【実施例】
【0024】
図1および
図2は、裁断機1の概略的な構成を示す。裁断機1には、裁断テーブル2の表面に沿って、上方を平面移動する裁断ヘッド3を有する。平面移動は、Yビーム4の図の横方向となるX方向への移動と、裁断ヘッド3のYビーム4に沿う図の縦方向となるY方向への移動とを組合せて実現される。この移動範囲内に、コンベアテーブル5が設けられ、シート材料を載置して吸引して保持することができるとともに、搬入テーブル2a側から搬入し、搬出テーブル2b側に搬出することもできる。裁断ヘッド3には、裁断テーブル2上に、積層状態、または一枚だけを広げた状態で載置されるシート材料を、予め設定される裁断データに従って、図示しないナイフにより裁断する裁断装置6と、シート材料に穿孔する目打ち装置7とが設けられる。裁断ヘッド3には、エアー噴出部8および貯留部9も設けられる。裁断テーブル2には、全体の制御を行う制御部10が設けられ、外周部には、裁断ヘッド3の移動で貯留部9を接続可能な位置に、吸引除去部11が設けられる。
【0025】
図1に示すように、貯留部9は、エアー噴出部8の上方で、裁断ヘッド3に固定して設けられる。後述するように、エアー噴出部8は、裁断テーブル2の表面と貯留部9の高さ付近との間で昇降する。吸引除去部11には、貯留部9に接続するための吸引口11aと、吸引口11aに連通する配管11bとを含む。吸引除去部11は、さらに、配管11bを介して吸引口11aからエアーとともに吸引される目打ち屑を貯蔵する貯蔵槽11cとブロアなどの吸引機11dを、裁断テーブル2の下方に備える。本実施例の裁断テーブル2は、真空吸引機能やベルトコンベア機能を内蔵している。
【0026】
図2(a)は、裁断ヘッド3の裁断装置6や目打ち装置7が裁断や目打ちの動作を行っている状態を示す。裁断や目打ちの動作は、コンベアテーブル5上に吸引保持されているシート材料に対して行うけれども、シート材料の図示は省略する。目打ち装置7の動作時に発生する目打ち屑は、エアー噴出部8からのエアーで吹き飛ばされ、貯留部9に回収して貯留しておくことができる。貯留部9には開閉蓋9aが設けられ、目打ち屑の貯留時には、接続口9bを閉じる状態となっている。
【0027】
図2(b)は、制御部10による制御で、裁断ヘッド3を裁断テーブル2の外周部まで移動させ、貯留部9の接続口9bを吸引除去部11の吸引口11aに接続している状態を示す。開閉蓋9aは、貯留部9の接続口9bを吸引口11aに接近させる相対的な移動で開く状態となる。なお、本実施例では、裁断装置6が上下動するナイフの側方に設ける刃でシート材料を裁断することを想定しているけれども、回転する丸刃を使用してもよい。
【0028】
図3は、裁断機1の概略的な電気的構成を示す。コンベアテーブル5には、吸引保持部5aおよびコンベア駆動部5bが設けられる。裁断テーブル2に対するYビーム4の移動に対しては、X方向移動部2xが設けられる。Yビーム4に対する裁断ヘッド3の移動に対しては、Y方向移動部4yが設けられる。裁断装置6のナイフに対しては、裁断のための往復動を駆動する裁断刃駆動部6a、シート材料に対する裁断と非裁断とを切替える裁断刃昇降部6b、裁断の向きを変える裁断刃回動部6cが設けられる。目打ち装置7に対しては、目打ち回転部7a、目打ち昇降部7b、押出し駆動部7cが設けられる。エアー噴出部8に対しては、たとえば裁断機1に備えられるコンプレッサーからエアーが供給される途中に、エアー弁8aが設けられる。制御部10は、これらの各部を制御するとともに、吸引除去部11の吸引機11dも制御する。ただし、専用の吸引機11dを設けずに、弁などを設けて裁断テーブル2の吸引用に設ける吸引保持部5aの吸引力を利用するようにしてもよい。これらの制御は、入力部12に入力される裁断や穿孔のデータや、裁断機1の各部に設けるセンサなどからの入力信号に応答して行われる。
【0029】
図4は、制御部10による概略的な制御動作を示す。以下の判断は、制御部10によって行われる。ステップs0で裁断や穿孔のデータを入力し、制御を開始する。ステップs1では、裁断や穿孔の対象となるシート材料を、裁断テーブル2の搬入テーブル2a側からコンベアテーブル5上に搬入する。ステップs2では、データに従って裁断ヘッド3を移動し、裁断装置6による裁断、または目打ち装置7による穿孔を行う。ステップs3では、穿孔後であるか否かを判断し、穿孔後であれば、ステップs4でエアー噴出部8からエアーを噴出させ、目打ち屑を吹き飛ばして、貯留部9に貯留させる。なお、ステップs3のような判断を行わず、目打ち装置7およびエアー噴出部8の動作を連続した一連の動作として行うように設定しておくこともできる。
【0030】
ステップs3で穿孔ではないと判断するとき、またはステップs4の終了後、ステップs5で吸引除去条件が成立しているか否かを判断する。目打ち屑が大量に発生する場合は、予め設定する穿孔回数毎に吸引除去条件が成立と判断する。データに従うシート材料への全ての穿孔が終了しても、貯留部9が満杯にならないような場合は、シート材料への裁断および穿孔が全て終了した後で吸引除去条件が成立と判断する。吸引除去条件成立と判断するときは、ステップs6で
図2(b)のように、貯留部9の接続口9bが吸引除去部11の吸引口11aに接続されるように裁断ヘッド3を移動させる。裁断ヘッド3は、Y方向につき吸引口11aが設けられている端部まで移動させておき、X方向に接近させる移動で、開閉蓋9aは吸引口11aで押されてスライドして接続口9bを開き、さらにX方向の移動で吸引口11aが接続口9bに接続される。ステップs7では、貯留部9内に貯留されている目打ち屑を吸引除去部11で吸引除去する。ステップs8では、裁断ヘッド3をX方向に移動させて、吸引口11aから接続口9bを離間させ、開閉蓋9aが接続口9bを閉じる。
【0031】
ステップs5で吸引除去条件成立と判断しないとき、またはステップs8の終了後、ステップs9で裁断および穿孔が終了しているか否かを判断する。終了していないと判断するときは、ステップs2に戻り、終了していると判断するときは、ステップs10で、コンベアテーブル5を作動させ、シート材料を搬出テーブル2b側に搬出して、ステップs11で制御を終了する。
【0032】
以上のように、開閉蓋9aはスライドによって開閉するので、裁断ヘッド3を一旦Y方向の端部に移動させた後、Yビーム4をX方向に移動させて、開閉蓋9aを吸引口11aに接近させながら、開閉蓋9aが接続口9bを開くようにすることができる。吸引口11aは、裁断ヘッド3の移動エリア内にはほとんど進出させる必要はないので、裁断ヘッド3が移動しても衝突するおそれがない範囲を広くとることができる。なお、貯留部9の外側に設けてスライドする開閉蓋9aではなく、貯留部9の接続口9bの内側で開閉するような機構を用いてもよい。ただし、この場合は、吸引口11aをY方向に裁断ヘッド3の移動エリア内に進出させておき、裁断ヘッド3がY方向に移動して、相対的に、吸引口11aが接続口9bを貯留部9の内側に開くように挿入する必要がある。吸引口11aが裁断ヘッド3の移動エリアに進出するので、移動エリアが多少狭くなるけれども、貯留部9と吸引除去部11との接続は確実に行うことができる。
【0033】
図5は、目打ち装置7の動作を簡略化して示す。目打ち装置7は、図示を省略しているコンベアテーブル5上に、積層状態で吸着保持されるシート材料15に穿孔するための中空円筒状の回転ドリル部7dを備えている。回転ドリル部7dの内部には、ピン7eが設けられている。回転ドリル部7dの下端付近には、刃先が設けられ、回転しながらシート材料15を貫通させると、目打ち孔の穿孔を行うことができ、回転ドリル部7dの内部に目打ち屑16が形成される。シート材料15の表面は、フットプレッサー8bで押えられる。本実施例では、フットプレッサー8bがエアー噴出部8として機能するとともに、ピン7eと連動して昇降する。すなわち、フットプレッサー8bを下端で支持する昇降ロッド8cは、図示を省略している上方で、ピン7eとともに、目打ち昇降部7bによって昇降駆動される。なお、ピン7eの昇降駆動は、フットプレッサー8bとは独立して行うようにしてもよい。昇降駆動されるピン7eの下端は、回転ドリル部7d内から目打ち屑16を押出して排出させる排出部7fとして機能する。昇降ロッド8cは、裁断ヘッド3に設けるフレーム脚7gによって案内されて昇降する。フレーム脚7gには、貯留部9も取付けられる。回転ドリル部7dは、回転駆動軸7hの下端に設けるチャック7iに装着され、異なる径に交換することもできる。なお、エアー噴出部8を、フットプレッサー8bとは別に設けることもできる。
【0034】
図5(a)は、シート材料15の積層厚全体まで、回転ドリル部7dを貫通させ、中空の内部に抜き屑16を形成している状態を示す。
図5(b)は、フットプレッサー8bを、シート材料15の表面に留め、回転ドリル部7dの引上げを開始している状態を示す。ただし、目打ち屑16の上部は、ピン7eの下端の排出部7fに達しないので、目打ち屑16は、内部に留まる状態で、回転ドリル部7dとともに上昇する。
図5(c)は、フットプレッサー8bをシート材料15の表面に留める状態で、回転ドリル部7dをシート材料15から引き上げ、目打ち屑16の全体を、ピン7eの下端の排出部7fで回転ドリル部7dの刃先よりも下方に押出している状態を示す。目打ち屑16の下部はシート材料15の穿孔部分に残る。シート材料15の表面上の目打ち屑16aは、エアーで吹き飛ばして、貯留部9内に移動させて回収する。
図5(d)は、ピン7eおよびフットプレッサー8bをシート材料15の表面から上方に引き上げて退避させている状態を示す。目打ち屑16は、下部がシート材料15中の穿孔部分に残る。シート材料15中に残る目打ち屑16の量は、シート材料15の表面からの排出部7fの高さで調整することができる。
なお、目打ち装置7での穿孔は、中空円筒状の回転ドリル部7dを回転させて行っているけれども、特許文献1のように、回転させずに打抜く場合でも、目打ち屑16を内部からピン7eで排出させれば、同様に処理することができる。また、中実の回転ドリルを用いる場合は、目打ち屑が外周部の螺旋状の溝に沿って排出されるので、エアーで吹き飛ばして、同様に貯留部9に貯留しておくことができる。
【0035】
図6は、エアー噴出部8および貯留部9の構成を簡略化して示す。エアー噴出部8のフットプレッサー8bには、
図3のエアー弁8aからエアーが供給されるノズル8dが設けられ、
図5(c)に示すような目打ち屑16aを、噴出するエアー8eで吹き飛ばすことができる。なお、目打ち装置7として複数の回転ドリル部7dを備えるような場合、フットプレッサー8bには、複数のドリル通過孔8f,8gを設けておく。フットプレッサー7bと貯留部9との間は、
図5に示すように、フットプレッサー8bが昇降移動しても連通状態を保つ可動通路8hで接続されている。したがって、エアー8eで吹き飛ばされる目打ち屑16aは、フットプレッサー8b内から可動通路8hを通る連通経路16bに沿って貯留部9内に移動して回収される。
【0036】
貯留部9に設ける開閉蓋9aは、支持部9cを支点とする揺動でスライド方向9dにスライド可能に支持される。開閉蓋9aには、突出部9eが設けられ、吸引除去部11の吸引口11aへの接近で突出部9eが押されるとスライドして開く機構が設けられる。吸引口11aが開閉蓋9aから離間すると、自重で開閉蓋9aは閉じる。開閉蓋9aの開閉のために専用のアクチュエータを設けてもよい。また、貯留部9の内部を外部に連通させる接続口9bは、実施例のようなY方向に向う側面ばかりではなく、X方向に向う側面や、上面あるいは下面に設けることもできる。ただし、吸引除去部11の吸引口11aも接続口9bに対応する位置に設ける。接続口9bを貯留部9の上面に設けるような場合は、開閉しないで常に開口状態にしておく位置を選ぶことも可能になる。
【0037】
貯留部9には、フットプレッサー8bの可動通路8hに接続するための接続部9fも設けられる。貯留部9の底面には、多数の通気孔9gが設けられる。通気孔9gを設けることによって、吸引除去部11の吸引口11aを接続口9bに接続して、貯留部9内を吸引する際に、通気孔9gから入り込む空気によって、底面に溜った目打ち屑を浮き上がらせ、効果的に排出することができる。さらに、接続口9bに対向する端面に、噴出ノズル9hを設ければ、吸引除去の際にエアーを噴出して、目打ち屑の排出を促すようにすることも可能となる。
【0038】
図7は、貯留部9に対してフットプレッサー8bを昇降させる状態を簡略化して示す。
図7(0)に示すように、貯留部9の接続部9fには、開口部9iとガイド9jとが設けられる。接続部9fには、シャッター17が取付けられる。シャッター17の開口部17aは、接続部9fの開口部9iの一部に連通、または全体を遮断する。開口部17aの上部17bは突出しており、接続部9fのガイド9jで案内される長孔17cも設けられている。
【0039】
図7(1)、(2)、(3)で、(a)は正面から見た状態、(b)は右側方から見た状態、をそれぞれ示す。なお、(a)では、開閉蓋9aの図示を省略している。
図7(1)に示すように、フットプレッサー8bが最も下がっている状態、たとえば、コンベアテーブル5の表面まで下がっている状態では、フットプレッサー8bの可動通路8hは、シャッター17の開口部17aよりも下になる。可動通路8hは、貯留部9の接続部9fには連通しない。
図7(2)に示すように、コンベアテーブル5上にシート材料15が載置される状態などでフットプレッサー8bが上昇すると、可動通路8hがシャッター17の開口部17aを介して、接続部9fに連通する。可動通路8hの上端がシャッター17の上部17bに当接すると、
図7(3)に示すように、フットプレッサー8bの上昇でシャッター17も上昇し、連通状態が保たれる。なお、各部の寸法を適切に調整すれば、常に連通状態が保たれるようにすることもできる。また、連通状態を保つようにするためには、可撓性を有するチューブで接続するようにしてもよい。