(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記停止位置と前記上折返し位置との間隔及び前記停止位置と前記下折返し位置との間隔は、前記ワイパブレードの前記フロントガラスを払拭する部分の前記フロントガラスに対する角度が変化し得る距離である請求項4に記載のワイパ装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載されているワイパ装置は、車両が運転されない場合にワイパ装置がワイパブレードをP1又はP2に移動させるように制御するので、車両のエンジンが始動されず、オルタネータによる発電が望めない状況で、車載コンピュータ及びワイパモータを作動させている。そのため、車載バッテリに蓄えられた電力を浪費するという問題があった。
【0007】
本発明は上記問題点を解消するためになされたものであり、車載バッテリの電力を浪費せずにワイパブレードのブレードラバーの塑性変形を抑制するワイパ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を解決するために請求項1記載の発明に係るワイパ装置は、車体に対して回動可能に支持されたワイパアームを介して、回動に伴って前記車体のフロントガラスを払拭するワイパブレードと、リンクを介して前記ワイパアームと回転力を伝達可能に接続された出力軸を有し、前記出力軸を正逆回転させて前記ワイパブレードを上反転位置と下反転位置との間で往復回動させる
ワイパモータと、
前記上反転位置と前記下反転位置との間での前記ワイパブレードの往復回動を停止させる場合は前記ワイパブレードを第1停止位置又は前記第1停止位置よりも上方に設けられた第2停止位置に回動させて停止させ
るように前記ワイパモータを制御すると共に、車両のイグニッションスイッチがオン又はオフになった場合、前記ワイパブレードが前記第1停止位置で停止していた場合は前記ワイパブレードを前記第2停止位置へ、前記ワイパブレードが前記第2停止位置で停止していた場合は前記ワイパブレードを前記第1停止位置へ、各々回動させて停止するように前記ワイパモータを制御する
制御ユニットと、を備えている。
【0012】
このワイパ装置によれば、回動を停止したワイパブレードは、第1停止位置又は第2停止位置で停止し、イグニッションスイッチが操作された場合、例えば、第1停止位置にワイパブレードが停止していたときは、第2停止位置にワイパブレードを移動させるように、ワイパブレードを所定の範囲である第1停止位置と第2停止位置との間で回動させることにより、ワイパブレードのブレードラバーの塑性変形を抑制することができる。
【0013】
請求項
2のワイパ装置は、請求項
1に記載のワイパ装置であって、前記制御ユニットは、前記ワイパモータを制御した履歴を記憶する記憶手段を有し、前記イグニッションスイッチがオン又はオフになった場合に、該記憶手段に記憶されている履歴を参照し、前記イグニッションスイッチが前回オン又はオフになった場合の制御で、前記ワイパブレードを前記第1停止位置で停止させた場合は前記ワイパブレードを前記第2停止位置へ、前記ワイパブレードを前記第2停止位置で停止させた場合は前記ワイパブレードを前記第1停止位置へ、各々回動させて停止するように前記ワイパモータを制御する構成とされている。
【0014】
このワイパ装置によれば、前回の制御でのワイパブレードの停止位置を参照して、前回の制御とは異なる停止位置にワイパブレードを移動させることにより、前回の制御とは異なる態様でワイパブレードを停止でき、ワイパブレードのブレードラバーの塑性変形を抑制することができる。
【0015】
請求項
3のワイパ装置は、請求項
1に記載のワイパ装置において、前記イグニッションスイッチがオン又はオフになった場合に、前記ワイパブレードが停止している位置を検知する検知手段をさらに備え、前記制御ユニットは、前記イグニッションスイッチがオン又はオフになった場合に、前記検知手段が検知した前記ワイパブレードの位置が前記第1停止位置の場合は前記ワイパブレードを前記第2停止位置へ、前記ワイパブレードの位置が前記第2停止位置の場合は前記ワイパブレードを前記第1停止位置へ、各々回動させて停止するように前記ワイパモータを制御する構成とされている。
【0016】
このワイパ装置によれば、イグニッションスイッチが操作される毎に、ワイパブレードの停止位置を認識し、認識した停止位置とは異なる停止位置にワイパブレードを移動させるようにするので、ワイパブレードのブレードラバーの塑性変形を抑制することができる。
【0017】
上記目的を解決するために請求項4記載の発明に係るワイパ装置は、車体に対して回動可能に支持されたワイパアームを介して、回動に伴って前記車体のフロントガラスを払拭するワイパブレードと、リンクを介して前記ワイパアームと回転力を伝達可能に接続された出力軸を有し、前記出力軸を正逆回転させて前記ワイパブレードを上反転位置と下反転位置との間で往復回動
させるワイパモータと、
前記上反転位置と前記下反転位置との間での前記ワイパブレードの往復回動を停止させる場合は前記ワイパブレードを停止位置に回動させて停止させるように前記ワイパモータを制御すると共に、前記ワイパモータを制御した履歴を記憶する記憶手段を有
し、車両のイグニッションスイッチがオン又はオフになった場合に、該記憶手段に記憶されている履歴を参照し、前記イグニッションスイッチが前回オン又はオフになった場合の制御で、前記ワイパブレードを前記停止位置よりも下方に設けられた下折返し位置に回動させて前記停止位置で停止させた場合は前記ワイパブレードを前記停止位置より上方に設けられた上折返し位置へ回動させた後に前記停止位置で停止させ、前記イグニッションスイッチが前回オン又はオフになった場合の制御で、前記ワイパブレードを前記上折返し位置へ回動させた後に前記停止位置で停止させた場合は、前記ワイパブレードを前記下折返し位置へ回動させた後に前記停止位置で停止させるように前記ワイパモータを制御する
制御ユニットと、を備えている。
【0018】
このワイパ装置によれば、イグニッションスイッチがオン又はオフになる毎に、ワイパブレードを所定の範囲で移動させた後に元の停止位置で停止させるので、ワイパブレードのブレードラバーの塑性変形を抑制することができると共に、停止状態のワイパブレードを常に定位置に配置させることができる
【0019】
請求項
5のワイパ装置は、請求項
4に記載のワイパ装置において、前記停止位置と前記上折返し位置との間隔及び前記停止位置と前記下折返し位置との間隔は、前記ワイパブレードの前記フロントガラスを払拭する部分の前記フロントガラスに対する角度が変化し得る距離である構成とされている。
【0020】
このワイパ装置によれば、ワイパブレードのフロントガラスを払拭する部分の角度を確実に変化させられるので、ワイパブレードのブレードラバーの塑性変形を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[第1の実施の形態]
以下、図面に基づき、本発明の第1の実施の形態に係るワイパ装置について説明する。
【0023】
図1は、本実施の形態に係るワイパ装置10の構成を示す概略図である。ワイパ装置10は、例えば、乗用自動車等の車両に備えられたフロントガラス12を払拭するためのものであり、一対のワイパ14及び16と、ワイパモータ18と、リンク機構20と、制御ユニット22とを備えている。
【0024】
ワイパ14及び16は、それぞれワイパアーム24及び26とワイパブレード28及び30とにより構成されている。ワイパアーム24及び26の基端部は、後述するピボット軸42及び44に各々固定されており、ワイパブレード28及び30は、ワイパアーム24及び26の先端部に各々固定されている。
【0025】
ワイパ14及び16は、ワイパアーム24及び26の回動に伴ってワイパブレード28及び30がフロントガラス12上を往復移動し、ワイパブレード28及び30がフロントガラス12を払拭する。
【0026】
ワイパモータ18は、主にウォームギアで構成された減速機構52を介して、正逆回転可能な出力軸32を有し、リンク機構20は、クランクアーム34と、第1リンクロッド36と、一対のピボットレバー38及び40と、一対のピボット軸42及び44と、第2リンクロッド46とを備えている。
【0027】
クランクアーム34の一端側は、出力軸32と固定されており、クランクアーム34の他端側は、第1リンクロッド36の一端側と回動可能に連結されている。また、第1リンクロッド36の他端側は、ピボットレバー38のピボット軸42を有する端とは異なる端寄りのカ所に回動可能に連結されており、ピボットレバー38のピボット軸42を有する端とは異なる端及びピボットレバー40におけるピボットレバー38の当該端に対応する端には、第2リンクロッド46の両端がそれぞれ回動可能に連結されている。
【0028】
また、ピボット軸42及び44は、車体に設けられた図示しないピボットホルダによって回動可能に支持されており、ピボットレバー38及び40におけるピボット軸42及び44を有する端は、ピボット軸42及び44を介してワイパアーム24及び26が各々固定されている。
【0029】
本実施の形態に係るワイパ装置10では、出力軸32が第1の回動範囲θ1で正逆回転されると、この出力軸32の回転力がリンク機構20を介してワイパアーム24及び26に伝達され、このワイパアーム24及び26の往復回動に伴ってワイパブレード28及び30がフロントガラス12上における上反転位置P1と下反転位置P2との間で往復移動をする。
【0030】
ワイパ装置10では、出力軸32が第2の回動範囲θ2で正逆回転すると、このワイパアーム24及び26の往復回動に伴ってワイパブレード28及び30が下反転位置P2と、下反転位置P2よりも下方の第1停止位置P3との間を移動する。
【0031】
本実施の形態において、下反転位置P2と第1停止位置P3との間をワイパブレード28及び30が移動するのは、ワイパブレード28及び30がフロントガラスを払拭するための上反転位置P1と下反転位置P2との間で往復移動を停止する場合であるので、便宜上、下反転位置P2と第1停止位置P3との間を格納エリアP5とする。
【0032】
また、出力軸32が第3の回動範囲θ3で正逆回転されると、このワイパアーム24及び26の往復回動に伴ってワイパブレード28及び30が第1停止位置P3と第2停止位置P4との間を移動する。
【0033】
また、本実施の形態に係るワイパ装置10では、
図1に示されるように、ワイパブレード28及び30が第1停止位置P3に位置された場合には、クランクアーム34と第1リンクロッド36とが直線状をなす構成とされている。
【0034】
ワイパモータ18には、ワイパモータ19の回転を制御するための制御ユニット22が接続されている。
【0035】
制御ユニット22は、例えば、入力回路、ECU、駆動回路及びワイパ制御の履歴を記憶するメモリ等を有して構成されており、オン状態で車両の内燃機関の点火系統に電力を供給するイグニッションスイッチ48及びワイパスイッチ50が接続されている。
【0036】
本実施の形態では、イグニッションスイッチ48がオン又はオフとなる毎に、その旨が制御ユニット22に通知され、制御ユニット22は、イグニッションスイッチ48がオン又はオフとなる毎に、ワイパを停止している位置から所定の範囲で回動させて停止するようにワイパモータ18を制御する。
【0037】
また、制御ユニット22が供えるメモリ(図示せず)には、イグニッションスイッチ48がオン又はオフになった毎にワイパモータ18を制御した履歴が記憶されており、イグニッションスイッチ48がオン又はオフになった場合に、制御ユニット22はメモリに記憶されている履歴を参照し、イグニッションスイッチ48が前回オン又はオフになった場合の制御で、ワイパブレード28及び30を第1停止位置P3で停止させた場合はワイパブレード28及び30を第2停止位置P4へ、ワイパブレード28及び30を第2停止位置P4で停止させた場合はワイパブレード28及び30を第1停止位置P3へ、各々移動させるようにワイパモータ18を制御する。
【0038】
ワイパスイッチ50は、車両のバッテリからワイパモータ18に供給される電力をオン又はオフするスイッチである。
【0039】
ワイパスイッチ50は、ワイパブレード28及び30を、低速で回動させる低速作動モード選択位置、高速で回動させる高速作動モード選択位置、一定周期で間欠的に回動させる間欠作動モード選択位置、格納(停止)モード選択位置に切替可能であって、各モードの選択位置に応じた信号を制御ユニット22に出力する。
【0040】
ワイパスイッチ50から各モードの選択位置に応じて出力された信号が制御ユニット22に入力されると、制御ユニット22がワイパスイッチ50からの出力信号に対応する制御を行うようになっている。
【0041】
図2は、本実施の形態に係るワイパ装置10の第1停止位置P3及び第2停止位置P4におけるフロントガラス12を含めたワイパブレード28の断面図である。
図2は、左側がフロントガラス12の上方であり、右側がフロントガラス12の下方に相当する。
【0042】
ワイパブレード28が第1停止位置P3に停止する場合、ワイパブレード28はフロントガラス12の上方から移動してきて第1停止位置P3で停止するので、ワイパブレード28のラバーのリップ部56は、左側、すなわちフロントガラス12の上方側に傾いて停止する。
【0043】
ワイパブレード28が第2停止位置P4に停止する場合、ワイパブレード28はフロントガラス12の下方から移動してきて第2停止位置P4で停止するので、ワイパブレード28のラバーのリップ部56は、右側、すなわちフロントガラス12の下方側に傾いて停止する。
【0044】
ワイパブレードのラバーは弾性体ではあるが、長期間、第1停止位置P3での状態、又は第2停止位置での状態が継続すると、ラバーが塑性変形を起こすおそれがあり、かかる塑性変形が生じると、フロントガラス12を払拭するワイパの性能が低下する。
【0045】
本実施の形態では、イグニッションスイッチ48がオン又はオフになる毎に、ワイパブレード28及び30の停止位置を第1停止位置P3又は第2停止位置P4に変更することにより、ワイパブレード28及び30のラバーの塑性変形を抑制する。
【0046】
次に、本実施の形態に係るワイパ装置10の制御について説明する。
図3は、本実施の形態に係るワイパ装置10の制御を示すフローチャートである。
【0047】
イグニッションスイッチ48が操作されると、ステップ300において、メモリに記憶されている、イグニッションスイッチ48が操作されたときのワイパブレード28及び30の停止位置の制御の記録の履歴を参照する。
【0048】
ステップ302では、参照した履歴において、イグニッションスイッチ48が前回オン又はオフになった場合の制御でワイパブレード28及び30を第1停止位置P3で停止させたか否かを判定する。
【0049】
ステップ302において、イグニッションスイッチ48が前回オン又はオフになった場合の制御でワイパブレード28及び30を第1停止位置P3で停止させたと判定した場合は、ステップ304において、ワイパブレード28及び30を第2停止位置P4へ移動させて、処理を終了する。
【0050】
ステップ302において、イグニッションスイッチ48が前回オン又はオフになった場合の制御でワイパブレード28及び30を第1停止位置P3で停止させていない、すなわち、イグニッションスイッチ48が前回オン又はオフになった場合の制御でワイパブレード28及び30を第2停止位置P4で停止させたと判定した場合は、ステップ306において、ワイパブレード28及び30を第1停止位置P3へ移動させて、処理を終了する。
【0051】
なお、ステップ302では、イグニッションスイッチ48が前回オン又はオフになった場合の制御でワイパブレード28及び30を第2停止位置P4で停止させたか否かを判定してもよい。
【0052】
以上説明したように、本実施の形態のワイパ装置10によれば、イグニッションスイッチがオン又はオフになる毎に、停止しているワイパブレード28及び30の位置を変更することにより、ワイパブレード28及び30のラバーの塑性変形を抑制することができる。
【0053】
また、イグニッションスイッチ48がオン又はオフになった場合に、ワイパブレード28及び30が停止している位置を検知する検知手段をさらに備え、制御ユニット22は、当該検知手段が検知したワイパブレード28及び30の位置が第1停止位置P3の場合はワイパブレード28及び30を第2停止位置P4へ、ワイパブレード28及び30の位置が第2停止位置P4の場合はワイパブレード28及び30を第1停止位置P3へ、各々移動させるようにワイパモータ18を制御してもよい。
【0054】
ワイパブレード28及び30が停止している位置を検知する手段は種々考えられるが、例えば、ワイパモータの減速機構52等にMR(磁気抵抗)センサを設け、ワイパアームの位置を検出することでワイパブレード28及び30の停止位置を検出することが考えられる。
【0055】
MRセンサ等が検知したワイパブレード28及び30の停止位置は、現時点での実際のワイパブレード28及び30の停止位置なので、現時点でのワイパブレード28及び30の停止位置とは異なる停止位置にワイパブレード28及び30を停止させる制御が可能であり、かかる制御により、ワイパブレード28及び30のラバーの塑性変形による劣化を抑制できる。
【0056】
本実施の形態では、
図3で説明した制御とは別に、ワイパスイッチ50がオフになった場合、ワイパブレード28及び30は、第1停止位置P3又は第2停止位置P4で停止する。この場合、走行中の風圧を避けるのであれば、フロントガラス12の下方に位置する第1停止位置でワイパブレード28及び30を停止させることが考えられる。
【0057】
又は、上述のステップ300及び302のように、前回イグニッションスイッチ48が操作された時の制御の履歴を参照して、ワイパスイッチ50がオフになった時のワイパブレード28及び30の停止位置を決定してもよい。
【0058】
なお、本実施の形態では、第2停止位置P4を下反転位置P2と第1停止位置P3との間に設けたが、第2停止位置P4を下反転位置P2よりも上方に設け、フロントガラス12の上方から第2停止位置P4、下反転位置P2、第1停止位置P3となるようにしてもよい。
【0059】
本実施の形態では、出力軸32が正逆回転する範囲である第2の回動範囲θ2を調整、例えば、
図1に示す場合よりも大きくすることで、第2停止位置P4を下反転位置P2よりも上方に設けることが可能である。
【0060】
かかる場合では、第1停止位置P3と第2停止位置P4との距離が大きくなるので、例えば、第1停止位置P3から第2停止位置P4へワイパブレード28及び30を移動させた場合に、フロントガラス12に対するワイパブレード28及び30のラバー部分の傾きを確実に変えることができる。
【0061】
また、本実施の形態では、出力軸32が正逆回転する範囲を変更することで、第1停止位置P3及び第2停止位置P4を上反転位置P1及び下反転位置P2の間に設けることも可能である。
【0062】
[第2の実施の形態]
続いて、図面に基づき、本発明の第2の実施の形態に係るワイパ装置について説明する。
【0063】
図4は、本実施の形態に係るワイパ装置100の構成を示す概略図である。ワイパ装置100は、基本的には、第1の実施の形態に係るワイパ装置10と同じであり、第1の実施の形態に係るワイパ装置10と同一の構成については、
図4において、第1の実施の形態に係るワイパ装置10と同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0064】
本実施の形態に係るワイパ装置100の、第1の実施の形態に係るワイパ装置10との差異は、制御ユニット220と、制御ユニット220の制御に基づくワイパブレード28及び30の停止位置である。第1の実施の形態では、ワイパブレード28及び30は第1停止位置P3又は第2停止位置P4のいずれかに停止したが、本実施の形態では、ワイパブレード28及び30は第1の実施の形態での第2停止位置P4に相当する位置である停止位置P8に停止する。
【0065】
本実施の形態においても、出力軸32が第1の回動範囲θ1で正逆回転されると、この出力軸32の回転力がリンク機構20を介してワイパアーム24及び26に伝達され、このワイパアーム24及び26の往復回動に伴ってワイパブレード28及び30がフロントガラス12上における上反転位置P1と下反転位置P2との間で往復移動をする。
【0066】
また、本実施の形態では、出力軸32が第2の回動範囲θ2で正逆回転されると、ワイパアーム24及び26の往復回動に伴ってワイパブレード28及び30が上折返し位置P6と、下折返し位置P7との間を移動する。
【0067】
本実施の形態では、出力軸32が第3の回動範囲θ3で正逆回転されると、ワイパアーム24及び26の往復回動に伴ってワイパブレード28及び30が下折返し位置P7と、停止位置P8との間を移動する。
【0068】
また、本実施の形態では、出力軸32が第4の回動範囲θ4で正逆回転されると、ワイパアーム24及び26の往復回動に伴ってワイパブレード28及び30が上折返し位置P6と、停止位置P8との間を移動する。
【0069】
図4において、実施の形態における下折返し位置P7は、第1の実施の形態における第1停止位置P3に相当する。
【0070】
図4において、本実施の形態における上折返し位置P6は、上述の下反転位置P2に相当するが、出力軸32が正逆回転する範囲である第3の回動範囲θ3、第4の回動範囲θ4を調整することで、上折返し位置P6を下反転位置P2と異なる位置にすることが可能である。また、出力軸32が正逆回転する範囲を変更することで、上折返し位置P6及び下折返し位置P7を上反転位置P1及び下反転位置P2の間に設けることも可能である。
【0071】
本実施の形態では、制御ユニット220は、メモリにワイパモータ18を制御した履歴を記憶し、ワイパブレード28及び30が上反転位置P1と下反転位置P2との間での往復回動を停止させる場合に、ワイパブレード28及び30を停止位置P8へ回動させて停止させる。
【0072】
また、本実施の形態では、イグニッションスイッチ48がオン又はオフになった場合に、メモリに記憶されている履歴を参照し、イグニッションスイッチ48が前回オン又はオフになった場合の制御で、ワイパブレード28及び30を下折返し位置P7を経由して停止位置P8で停止させた場合はワイパブレード28及び30を停止位置P8より上方に設けられた上折返し位置P6へ回動させた後に停止位置P8で停止させ、イグニッションスイッチ48が前回オン又はオフになった場合の制御で、ワイパブレード28及び30を上折返し位置P6へ回動させた後に停止位置P8で停止させた場合は、ワイパブレード28及び30を下折返し位置P7へ回動させた後に停止位置P8で停止させるようにワイパモータを制御する。
【0073】
従って、本実施の形態では、本実施の形態に係るワイパ装置100の停止位置におけるフロントガラス12を含めたワイパブレード28の断面図である
図5に示すように、ワイパブレード28は停止位置P8に常に停止し、イグニッションスイッチが操作される毎に、停止位置P8から上折返し位置P6又は下折返し位置P7へ折返して停止位置P8に戻って停止することにより、フロントガラス12に対するリップ部56の角度を変更することができる。
【0074】
本実施の形態では、出力軸32が正逆回転する範囲である第3の回動範囲θ3又は第4の回動範囲θ4を調整することで、下折返し位置P7と上折返し位置P6との間隔を変更できるが、当該間隔は、ワイパブレード28及び30のフロントガラス12を払拭する部分であるリップ部56のフロントガラス12に対する角度が変化し得る距離であることを要する。
【0075】
当該距離は、ワイパブレード28及び30のリップ部56の柔軟性、ワイパ装置各部の構造、フロントガラス12の表面の曲率又はフロントガラス12の表面処理の差異等によって左右され得るので、実験を重ねて、統計的に決定することが考えられる。
【0076】
次に、本実施の形態に係るワイパ装置100の制御について説明する。
図6は、本実施の形態に係るワイパ装置100の制御を示すフローチャートである。
【0077】
イグニッションスイッチ48が操作されると、ステップ600において、メモリに記憶されている、イグニッションスイッチ48が操作されたときのワイパブレード28及び30の停止位置の制御の記録の履歴を参照する。
【0078】
ステップ602では、参照した履歴において、イグニッションスイッチ48が前回オン又はオフになった場合の制御でワイパブレード28及び30を上折り返し位置P6で折返したか、すなわちワイパブレード28及び30を停止位置P8から上折り返し位置P6に回動させた後に停止位置P8で停止させたか否かを判定する。
【0079】
ステップ602において、イグニッションスイッチ48が前回オン又はオフになった場合の制御でワイパブレード28及び30を停止位置P8から上折り返し位置P6に回動させた後に停止位置P8で停止させたと判定した場合は、ステップ604において、ワイパブレード28及び30を停止位置P8から下折り返し位置P7まで回動させた後にワイパブレード28及び30を停止位置P8で停止させて、処理を終了する。
【0080】
ステップ602において、イグニッションスイッチ48が前回オン又はオフになった場合の制御でワイパブレード28及び30を停止位置P8から上折り返し位置P6に回動させた後に停止位置P8で停止させていない、すなわち、イグニッションスイッチ48が前回オン又はオフになった場合の制御でワイパブレード28及び30を停止位置P8から下折り返し位置P7に回動させた後に停止位置P8で停止させたと判定され得る場合は、ステップ606において、ワイパブレード28及び30を停止位置P8から上折り返し位置P6まで回動させた後にワイパブレード28及び30を停止位置P8で停止させて、処理を終了する。
【0081】
なお、ステップ602では、イグニッションスイッチ48が前回オン又はオフになった場合の制御でワイパブレード28及び30を停止位置P8から下折り返し位置P7に回動させた後に停止位置P8で停止させたか否かを判定してもよい。
【0082】
以上説明したように、本実施の形態に係るワイパ装置100によれば、イグニッションスイッチがオン又はオフになる毎に、ワイパブレード28及び30を所定の範囲で移動させた後に元の停止位置で停止させるので、ワイパブレード28及び30のラバーの塑性変形を抑制することができると共に、第1の実施の形態と異なり、停止状態のワイパブレード28及び30を常に定位置に配置させることができる。
【0083】
また、イグニッションスイッチのオン又はオフに基づいてワイパブレードの回動が行われるため、雨天時などのワイパスイッチ操作とは関係なく、天候に左右されない。