(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
反応槽から溶融状態で排出し、冷却固化し、粉砕して得られる融点が240〜330℃である低重合度サーモトロピック液晶ポリエステル粉砕物を、振動させた反応器内で少なくとも上下方向に流動させて固相重合する、サーモトロピック液晶ポリエステルの製造方法であって、
前記反応器は、円筒形状の内面を有し、円筒軸線が略水平となるように配されており、当該反応器に、円筒軸線回りの円振動又は楕円振動を付与することを特徴とする、サーモトロピック液晶ポリエステルの製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本実施形態のサーモトロピック液晶ポリエステルの製造方法は、反応槽から溶融状態で排出し、冷却固化し、粉砕して得られる融点が240〜330℃である低重合度サーモトロピック液晶ポリエステル粉砕物を、振動させた反応器内で少なくとも上下方向に流動させて固相重合する。
【0017】
本実施形態の方法で製造されるサーモトロピック液晶ポリエステルとしては、例えば、芳香族ジカルボン酸と芳香族ジオールと芳香族ヒドロキシカルボン酸との組み合わせからなるもの、異種の芳香族ヒドロキシカルボン酸からなるもの、芳香族ジカルボン酸と芳香族ジオールとの組み合わせからなるもの、脂環式ジカルボン酸と芳香族ジカルボン酸と芳香族ジオールと芳香族ヒドロキシカルボン酸との組み合わせからなるもの、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルに芳香族ヒドロキシカルボン酸を反応させたもの、等が挙げられる。
【0018】
サーモトロピック液晶ポリエステルの具体的な構造単位としては、例えば下記のものが挙げられる。
【0019】
芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する構造単位としては、下記式(A−1)〜(A−5)で示される構造単位が挙げられる。
【0021】
式(A−1)及び(A−2)中、X
1及びX
2はハロゲン原子又はアルキル基を示し、n及びmは0〜4の整数を示す。
【0022】
芳香族ジカルボン酸に由来する構造単位としては、下記式(B−1)〜(B−6)で示される構造単位が挙げられる。
【0024】
式(B−1)及び(B−2)中、X
3及びX
4はそれぞれ、ハロゲン原子、アルキル基又はアリール基を示し、s及びtはそれぞれ、0〜4の整数を示す。式(B−6)中、L
1は、2価の炭化水素基、−O−、−O−CH
2CH
2−O−、−SO−、−SO
2−、−CO−、又は−S−を示す。
【0025】
脂環式ジカルボン酸に由来する構造単位としては、下記式(B−7)で示される構造単位が挙げられる。
【化3】
式(B−7)で表されるシクロヘキシル基の2つの結合手はメタ位またはパラ位である。
【0026】
芳香族ジオールに由来する構造単位としては、下記式(C−1)〜(C−6)で示される構造単位が挙げられる。
【0028】
式(C−1)及び(C−2)中、X
5及びX
6はそれぞれ、ハロゲン原子、アルキル基又は無置換若しくは置換基を有するアリール基を示し、u及びvはそれぞれ、0〜4の整数を示す。置換基を有するアリール基の置換基としては、ハロゲン原子又はアルキル基が挙げられる。式(C−6)中、L
2は、2価の炭化水素基、−O−、−S−、−SO−、−CO−、又は−SO
2−を示す。
【0029】
本実施形態において、好ましいサーモトロピック液晶ポリエステルは、融点が280℃以上のものであり、特に、p−ヒドロキシ安息香酸(I)、テレフタル酸及び/又はイソフタル酸(II)、4,4’−ジヒドロキシビフェニル(III)(これらの誘導体を含む。)を80〜100モル%(但し、(I)と(II)の合計を60モル%以上とする。)、および、(I)、(II)、(III)のいずれかと縮合反応可能な他の芳香族化合物0〜20モル%を重縮合してなる融点280℃以上の液晶ポリエステルである。
【0030】
さらに好ましくは、p−ヒドロキシ安息香酸や2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸などの芳香族ヒドロキシカルボン酸から得られるポリエステル、さらにこれらとテレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸とハイドロキノン、レゾルシン、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、2,6−ジヒドロキシナフタレンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物とから得られる液晶性ポリエステルなどが挙げられる。
【0031】
また、サーモトロピック液晶ポリエステルは、p−ヒドロキシ安息香酸を40〜75モル%含有するものであることが好ましい。この場合、後述する低重合度サーモトロピック液晶ポリエステル粉砕物にp−ヒドロキシ安息香酸を40〜75モル%含有させることにより、適度な結晶化により表面が硬い粒子となって固相重合が安定に効率よく進行し、優れた耐熱性、成形加工性を得ることができる。
【0032】
次に、低重合度サーモトロピック液晶ポリエステル粉砕物の製造について説明する。
【0033】
上述の芳香族ジカルボン酸及び/又は脂環式ジカルボン酸、芳香族ジオール及び芳香族ヒドロキシカルボン酸などのモノマーから通常の重縮合反応によって低重合度のサーモトロピック液晶ポリエステルを得ることができる。その際、モノマーの水酸基の少なくとも一部が酢酸エステル(アセチル化モノマー)であるものを使用して脱酢酸反応を伴いながら重縮合反応を行うのが好ましい。重合装置はモノマー供給手段、酢酸排出手段、溶融ポリマー取り出し手段および攪拌手段を備えた重合槽を用いて行うのが好ましい。このような重合装置は公知のものから適宜選択することができる。重合温度は好ましくは150℃〜350℃である。重合温度は150℃から、0.1℃/分〜2℃/分の範囲で昇温して、最終温度として280〜350℃まで上昇させるのが好ましい。重合の進行により生成重合体の溶融温度が上昇するのに対応して重合温度も上昇する。
【0034】
本実施形態においては、低重合度のサーモトロピック液晶ポリエステルの融点が、240〜330℃に相当する重合度、好ましくは240〜270℃に相当する重合度に達したら、低重合度のサーモトロピック液晶ポリマーを溶融状態のまま重合槽からスチールベルトやドラムクーラー等の冷却機へ抜き出し、冷却して固化させる。低重合度の液晶ポリエステルの融点が240℃未満では、重合度が低すぎ、固相重合の時間が極めて長くなり工業的に好ましくない。
【0035】
なお、低重合度サーモトロピック液晶ポリエステル粉砕物の融点は、例えばセイコー電子工業(株)製の示差走査熱量計(DSC)により、リファレンスとしてα−アルミナを用い、昇温速度20℃/分で室温から420℃まで昇温してポリマーを完全に融解させた後、速度10℃/分で150℃まで降温し、更に20℃/分の速度で420℃まで昇温するDSC測定を行ったときに得られる吸熱ピークの頂点を指す。
【0036】
また、上記低重合度サーモトロピック液晶ポリエステル粉砕物は、p−ヒドロキシ安息香酸を40〜75モル%含有することが好ましい。当該低重合度サーモトロピック液晶ポリエステル粉砕物は、p−ヒドロキシ安息香酸以外の成分として、4,4’−ジヒドロキシジフェニルに代表されるジオール成分、テレフタル酸に代表されるジカルボン酸成分を含有することができる。
【0037】
固化した低重合度物の粉砕方法は特に限定されないが、例えば、ホソカワミクロン社製のフェザーミル、ビクトミル、コロプレックス、パルベラーザー、コントラプレックス、スクロールミル、ACMパルベラ−ザー等の衝撃式粉砕機、マツボー社製の架砕式粉砕機であるロールグラニュレーター等が挙げられる。特に好ましくは、ホソカワミクロン社製のフェザーミルである。
【0038】
本実施形態において、固相重合を行う粉砕物の粒径に特に制限はないが、好ましくはJIS標準工業フルイ(タイラーメッシュ)で4メッシュ通過〜2000メッシュ不通(粒径で約0.01〜5mmの範囲にあるものに相当)の範囲である。粒径が4メッシュ以下(5mm以上)のものが多く含有されると、大小粒子間で固相重合反応の進行に差が生じること、大粒径粒子の表皮部と内部の重合度の差が生じること、また、粒子内に酢酸が残留する等の問題が発生し、固相重合後のポリマー全体の均一性を低下させるので好ましくない。また、粒径が2000メッシュ以上(0.01mm以下)のものが多く含有されることは、ダストの発生、それらが溶融して重合反応器内壁に付着することによる熱伝導効率の低下、それらが滑剤的効果を発生して他の粉砕物の反転攪拌による表面更新の障害等を生じるため好ましくない。これらの点から150〜2000メッシュ(約0.01〜0.1mmの粒径)の成分を1〜20質量%、4〜20メッシュ(約0.8〜5mmの粒径)の成分を1〜20質量%含有する粒度分布を有するものであることが好ましい。
【0039】
本実施形態においては、粉砕物の粒径分布が、5メッシュ〜2000メッシュ(0.01〜4mmの粒径)にあればさらに好ましく、9メッシュ〜1450メッシュ(0.02〜2mmの粒径)にあればさらに好ましい。また、いずれの分布状態においても重量平均粒径が、0.2〜2mmにあればさらに好ましい。
【0040】
また、固相重縮合反応の進行の均一性、昇温効率と固相重縮合反応時の低分子量成分の除去の効率の観点から、粉砕物の粒径は、JIS標準工業フルイで5メッシュ(呼び径4.00mm)通過〜270メッシュ(呼び径53μm)不通の範囲にあることが好ましい。5メッシュ(呼び径4.00mm)通過〜100メッシュ(呼び径150μm)不通の範囲にあればさらに好ましく、9メッシュ(呼び径2.00mm)〜32メッシュ(呼び径500μm)不通の範囲にあればさらに好ましい。
【0041】
次に、粉砕物の固相重合について説明する。
【0042】
本実施形態において、粉砕物は振動させた反応器内で少なくとも上下方向に流動させることが必要である。粉砕物の流動パターンは、水平方向から反応器をみたときに、上下方向の流動を含むものであればよい。特に、反応器が円筒形状の内面を有し、円周方向に粉砕物が下方から上方にせり上がる流動を発生させることで、上下方向の流動が生じるものが好ましい。より具体的には、反応器が円筒形状の内面を有し、円筒軸線が略水平となるように配されており、当該反応器に円筒軸線回りの円振動又は楕円振動を付与することが好ましい。この場合、振動により、円周方向に粉砕物が下方から上方へせり上がる流動を容易に発生させることができ、上下方向の流動による粉砕物の攪拌効率を更に向上させることができる。また、粉砕物と反応器内部壁面との接触頻度を多くすることができるため、伝熱効率を向上させることができる。
【0043】
また、重合したポリマー粉体を反応器から排出する際の利便性を高めるために、上記反応器は、重合終了後に水平軸から3〜10度傾斜できる構造を有することが好ましい。
【0044】
本実施形態においては、反応器として粉粒体用振動処理装置を用いることができる。
図1の(a)及び(b)は、本実施形態の方法で用いられる反応器の一例を説明するための模式図である。
【0045】
図1に示される粉粒体用振動処理装置100は、支持柱14と、支持柱14上に設けられた弾性体12と、弾性体12上に配された反応器10と、反応器10に設けられた発振機16と、を有する。反応器10は、円筒形状の内面を有し、円筒軸線が略水平となるように弾性体12上に配されている。
【0046】
弾性体12は、コイルばねであるが、反応器10に付与される振動を吸収できる弾性体であれば、板ばね、エアばね、ゴム状弾性体等であってもよい。
【0047】
反応器10には、粉粒体として本発明に係る上記の低重合度サーモトロピック液晶ポリエステル粉砕物を投入するための投入口22と、重合後に得られるサーモトロピック液晶ポリエステルを取り出すための排出口24とが設けられている。投入口や排出口の配置は適宜変更することが可能である。また、反応器10は、気体導入口及び排気口を備え、密閉することができる構造を有している。これにより、減圧或いは真空下、又は不活性ガス流通下で固相重合反応を行うことができる。
【0048】
反応器10の容量としては、特に限定されないが、0.02〜10m
3が好ましい。
【0049】
発振機16は、不平衡錘を有する発振部を原動機(モータ)で回転させる機械式であるが、電磁石方式、振動モータ方式などに適宜変更が可能である。発振機16は反応器10の下部に連結されており、発振機16によって反応器10に円筒軸線回りの円振動又は楕円振動を付与することができる。
【0050】
本実施形態においては、例えば、発振機16の発振部を楕円振動(
図1(b)中の破線矢印A)させることにより、反応器10の上部の中央において上下振動(
図1(b)中の破線矢印B1)、反応器の下部の中央において円振動(
図1(b)中の破線矢印B2)を発生させることができる。このときの振動数(発振機モータ回転数)は、1000〜2000rpmが好ましく、1200〜1500rpmがより好ましい。また、反応容器の振動中心(
図1(b)中の破線矢印B2)における振幅(円振動の直径)は、2〜5mmが好ましく、3〜4mmがより好ましい。
【0051】
図2の(a)及び(b)は粉砕物の流動パターンの一例を示す模式図である。上記の振動によって反応器10内の粉砕物20は、円周上下方向への動きが主体の流動パターンで流動する。
図2中、矢印Cが重力方向を示し、重力の作用により粉砕物が流動する方向が上下方向の下方である。
【0052】
反応器10には温調手段が設けられており、粉砕物を加熱及び冷却することができる。温調手段としては、例えば、温水、水蒸気、冷水、熱媒油などの熱媒体を通過可能に配管されたジャケットなどが挙げられる。
【0053】
粉粒体用振動処理装置としては、例えば、VH25型、VH120型(以上、中央化工機株式会社製)などの振動式乾燥機を用いることができる。
【0054】
上述した粉粒体用振動処理装置によれば、振動だけで粉砕物を十分流動させることができるため、(i)粉砕物の破壊が少なく微粉の発生を抑制できる、(ii)局部加熱による重合ムラを抑制できる、(iii)粉砕物の充填率を高くしても重合ムラを抑制できる、(iv)振動させながら重合後のポリエステルを容易に排出することができる、などの効果が奏される。
【0055】
固相重合は、上述した振動を付与しながら、不活性ガス気流下又は真空若しくは減圧下、粉砕物(粉体)の最終到達温度250℃〜330℃、重合時間5時間〜24時間の条件で行うことができる。昇温の速度は、粉砕物の溶融付着を抑制する点で、0.05℃/分〜2℃/分の範囲が好ましい。
【0056】
減圧下で行う場合、10Torr以下が好ましい。この場合、窒素などの不活性ガスを流通させる費用を低減させることができる。
【0057】
反応器における粉砕物の充填率は、30〜70%が好ましく、生産効率の観点から、50〜70%がより好ましい。ここでいう充填率は、下記式で定義されるものである。
充填率(%)=[反応器内における粉砕物のかさ体積(m
3)]/[反応器の体積(容積)(m
3)]×100
なお、上記粉砕物のかさ体積は、(充填質量)/(粉砕物のかさ比重)から求めることができる。
【0058】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、発振機の取付位置を変更したり、振動のタイプを上下振動、斜め直線振動又は半楕円振動に変更したりしてもよい。また、反応器の形状についても、振動によって粉砕物を少なくとも上下方向に流動させることができるものであれば、種々の形状を選択することができる。
【実施例】
【0059】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0060】
<低重合度サーモトロピック液晶ポリエステル粉砕物の作製>
SUS316を材質とし、ダブルヘリカル攪拌翼を有する1700L重合槽(神戸製鋼社製)にp−ヒドロキシ安息香酸(上野製薬株式会社製)298kg(2.2キロモル)、4,4’−ジヒドロキシジフェニル(本州化学工業株式会社製)134kg(0.7キロモル)、テレフタル酸(三井化学株式会社製)90kg(0.5キロモル)、イソフタル酸(エイ・ジイ・インターナショナルケミカル株式会社製)30kg(0.2キロモル)、触媒として酢酸カリウム(キシダ化学株式会社製)0.04kg、酢酸マグネシウム(キシダ化学株式会社製)0.10kgを仕込み、重合槽の減圧−窒素注入を2回行って窒素置換した後、無水酢酸390kg(3.8キロモル)を添加し、攪拌翼の回転数45rpmで150℃まで1.5時間で昇温して還流状態で2時間アセチル化反応を行った。アセチル化終了後、酢酸留出状態にして0.5℃/分で昇温して、305℃において重合物をリアクター下部の抜き出し口から取り出した。取り出した重合体を冷却固化した後、ホソカワミクロン株式会社製の粉砕機により概ね5mm以下に粉砕し、JIS標準工業フルイにて、5メッシュ(呼び径4mm)通過〜270メッシュ(呼び径53μm)不通の範囲にある粉砕物を選別し、固相重合に供するプレポリマーとした。DSCによって測定したプレポリマーの融点は247℃であった。またプレポリマーのJIS Z 8807に準じて測定したかさ比重は0.7g/cm
3であった。
【0061】
<サーモトロピック液晶ポリエステルの製造>
(実施例1)
振動乾燥機(中央化工機製 VH−25型、容量25L)に、上記で得られたプレポリマーを10kg仕込み(充填率68%)、反応容器の振動中心の振幅4mm、振動数1200rpm、10Torrの減圧下の運転条件で、固相重合を行った。なお、重合は、熱媒油の温度を室温(20℃)から180℃まで30分で昇温、180℃で1時間保持、180℃から270℃まで4時間で昇温、270℃で1時間保持して行った。最終的な粉体の温度は250℃であった。その後、3時間かけて室温まで冷却した。
【0062】
乾燥機内の粉砕物層の上側(以下、「中央部サンプル」という。)および下側(以下、「壁面部サンプル」という。)から、それぞれ、約300gの粉砕物をサンプリングした後、残りの粉砕物をタンブラーミキサーに入れて混合し、全体を均一化したものからも約300gの粉砕物をサンプリングした(以下、「全体サンプル」という。)。
【0063】
中央部サンプル、壁面部サンプル及び全体サンプルの融点はそれぞれ、302℃、299℃及び300℃であった。
【0064】
(比較例1)
上記で得られたプレポリマーを入江商会製のロータリーキルン型(容量10L)固相重合装置に1kg(充填率25%)充填し、窒素を0.2Nm
3/hrの流速にて流通し、回転速度5rpmでヒーター温度を室温から270℃まで1時間かけて昇温した後、10時間保持した。粉砕物の温度が250℃に到達したことを確認し、加熱を停止して、キルンを回転しながら、8時間かけて室温まで冷却した。ロータリーキルン内の粉砕物層の上側(以下、「中央部サンプル」という。)および下側(以下、「壁面部サンプル」という。)から、それぞれ、約50gの粉砕物をサンプリングした後、残りの粉砕物をタンブラーミキサーに入れて混合し、全体を均一化したものからも約50gの粉砕物をサンプリングした(以下、「全体サンプル」という。)。
【0065】
中央部サンプル、壁面部サンプル及び全体サンプルの融点はそれぞれ、299℃、301℃及び300℃であった。
【0066】
(比較例2)
上記で得られたプレポリマーを入江商会製のロータリーキルン型(容量10L)固相重合装置に1kg(充填率25%)充填し、窒素を0.2Nm
3/hrの流速にて流通し、回転速度5rpmでヒーター温度を室温(20℃)から180℃まで30分かけて昇温、180℃で1時間保持、180℃から270℃まで4時間かけて昇温、270℃で1時間保持した。最終的な粉体の温度は230℃であった。その後、8時間かけて室温まで冷却した。中央部サンプル、壁面部サンプル及び全体サンプルの融点はそれぞれ、274℃、277℃及び275℃であった。
【0067】
(比較例3)
上記で得られたプレポリマーを入江商会製のロータリーキルン型(容量10L)固相重合装置に2.8kg(充填率40%)充填し、窒素を0.2Nm
3/hrの流速にて流通し、回転速度5rpmでヒーター温度を室温から270℃まで1時間かけて昇温した後、10時間保持したが、粉体が壁面で固化したため、均一な重合体の粉体を得ることができなかった。
【0068】
(比較例4)
上記で得られたプレポリマーを入江商会製のロータリーキルン型(容量10L)固相重合装置に2.8kg(充填率40%)充填し、窒素を0.2Nm
3/hrの流速にて流通し、回転速度5rpmでヒーター温度を室温(20℃)から180℃まで30分で昇温、180℃で2時間保持、180℃から270℃まで8時間かけて昇温、270℃で6時間保持した。最終的な粉体の温度は250℃であった。その後、10時間かけて室温まで冷却した。中央部サンプル、壁面部サンプル及び全体サンプルの融点はそれぞれ、300℃、301℃及び300℃であった。
【0069】
本願発明の方法を用いた実施例1では、従来法である比較例1よりも容量が大きく且つ充填率が高いにもかかわらず、短い固相重合時間で、中央部及び壁面部でも融点がほぼ同じである均一な重合体を得ることができることが明らかとなった。したがって、本願発明の方法は、サーモトロピック液晶ポリエステルの生産効率が高いことがわかる。
【0070】
一方、ロータリーキルンを用いる従来法の比較例1では、粉体の熱伝導が悪いので初期に大きな熱量を与えるような温度設定で固相重合を進めたが、粉体の表面更新速度が遅いため熱伝導の効率が悪く、固相重合時間が長くなった。比較例2では、ロータリーキルンで実施例1と同様の段階的昇温により重合したが、やはり粉体の熱伝導が悪く、最終的な重合体の融点が低く重合度が不足した。比較例3では、ロータリーキルンの充填率を最大にして重合したが、粉体の表面更新が不十分で均一に加熱できず、反応器内壁面に粉体が融着してしまった。比較例4では、比較例3と同様に充填率を最大にし、実施例1に倣って段階的に昇温したところ、比較例3のような粉体の融着は防げたが、重合時間が著しく長く、実施例1の2.5倍にもなった。