(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5779600
(24)【登録日】2015年7月17日
(45)【発行日】2015年9月16日
(54)【発明の名称】部品および溶接継手の改善処理のための超音波装置
(51)【国際特許分類】
B23K 31/00 20060101AFI20150827BHJP
C21D 7/06 20060101ALI20150827BHJP
【FI】
B23K31/00 F
C21D7/06 Z
【請求項の数】18
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-557011(P2012-557011)
(86)(22)【出願日】2010年9月3日
(65)【公表番号】特表2013-525110(P2013-525110A)
(43)【公表日】2013年6月20日
(86)【国際出願番号】UA2010000057
(87)【国際公開番号】WO2011112163
(87)【国際公開日】20110915
【審査請求日】2013年8月28日
(31)【優先権主張番号】A201002798
(32)【優先日】2010年3月12日
(33)【優先権主張国】UA
(73)【特許権者】
【識別番号】513072307
【氏名又は名称】ストラクチュラル インテグリティ テクノロジーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100116850
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 隆行
(72)【発明者】
【氏名】クドリャフステフ,ユリィ
(72)【発明者】
【氏名】クレイマン,ヤコブ
(72)【発明者】
【氏名】ルゴフスキー,オレクサンドル
(72)【発明者】
【氏名】モフチャニュク,アンドレイ
【審査官】
岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】
特表2009−504397(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 31/00
C21D 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面および溶接継手の処理のための超音波装置において,
前記装置は,
前端と台尻を有し複数の成形スロットが内部に形成されたハウジングであって,
前記ハウジングには,往復運動可能なスリーブが取り付けられており,
前記スリーブは,
1)超音波振動子と,
2)前記超音波振動子の温度を検知する温度センサと,
3)前記ハウジングに対する前記スリーブの位置を検知する位置センサと,
4)前記超音波振動子を冷却する強制空気冷却システムとを含むものと,
前記スリーブの操作端部に取り付けられた往復運動可能なアタッチメントであって,
前記アタッチメントは,取り外し可能な加工ヘッドに取り付けられる取付手段を有し,前記加工ヘッドは,表面および溶接継手を処理するためのストライカの先端を有するものと,
一端が前記超音波振動子に接続され,他端が前記加工ヘッドの前記ストライカの先端に接続された振動速度トランスフォーマと,
前記ハウジングのピンスロットに位置するピンであって,前記ピンスロットは,前記ハウジングの前端に対応する先端と,前記ハウジングの台尻に対応する後端を有し,
前記ピンは,前記ハウジングに前記スリーブを固定して前記スリーブの移動を制限し,前記ピンは,前記スリーブの操作端部と前記ハウジングの台尻の間に設けられたバネによって前記ピンスロットの先端に向かって付勢されているものと,
前記超音波装置と加工物の表面の間に所定の接触力を与える可動スピゴットであって,前記可動スピゴットはスピゴットピンを有し,前記スピゴットピンは,前記スピゴットの軸方向の移動を制限するために前記複数の成形スロットに挿入されており,これにより,前記所定の接触力を与えるために,前記バネに対して圧縮力または張力を加えるものと,を備える
超音波装置。
【請求項2】
前記超音波振動子は,振動絶縁パッキン上に取り付けられている
請求項1に記載の超音波装置。
【請求項3】
前記複数の成形スロットは,2つ,又は3つの成形スロットを含む
請求項1に記載の超音波装置。
【請求項4】
前記スリーブは,前記ハウジング内に形成された摺動ガイドによって,前記ハウジングに取り付けられている
請求項1に記載の超音波装置。
【請求項5】
前記ハウジングに取り付けられたハンドルをさらに備える
請求項1に記載の超音波装置。
【請求項6】
前記ハンドルは,エクステンダを介して,前記ハウジングに取り付けられている
請求項5に記載の超音波装置。
【請求項7】
表面および溶接継手の処理のための超音波装置において,
前記装置は,
前端と台尻を有し複数の成形スロットが内部に形成されたハウジングであって,
前記ハウジングには,往復運動可能なスリーブが取り付けられており,
前記スリーブは,
1)超音波振動子と,
2)前記超音波振動子の温度を検知する温度センサと,
3)前記ハウジングに対する前記スリーブの位置を検知する位置センサと,
4)前記超音波振動子を冷却する強制空気冷却システムとを含むものと,
前記スリーブの操作端部に取り付けられた往復運動可能なアタッチメントであって,
前記アタッチメントは,取り外し可能な加工ヘッドに取り付けられる取付手段を有し,前記加工ヘッドは,表面および溶接継手を処理するためのストライカの先端を有するものと,
前記アタッチメントの前記取付手段であって,
前記取付手段は,前記加工ヘッドと前記ストライカの先端の軸方向の移動を防止するために,前記加工ヘッドに設けられた受け機構と係合可能なバネボールロック機構を有するものと,
一端が前記超音波振動子に接続され,他端が前記加工ヘッドの前記ストライカの先端に接続された振動速度トランスフォーマと,
前記ハウジングのピンスロットに位置するピンであって,前記ピンスロットは,前記ハウジングの前端に対応する先端と,前記ハウジングの台尻に対応する後端を有し,
前記ピンは,前記ハウジングに前記スリーブを固定して前記スリーブの移動を制限し,前記ピンは,前記スリーブの操作端部と前記ハウジングの台尻の間に設けられたバネによって前記ピンスロットの先端に向かって付勢されているものと,を備える
超音波装置。
【請求項8】
前記超音波振動子は,振動絶縁パッキン上に取り付けられている
請求項7に記載の超音波装置。
【請求項9】
前記複数の成形スロットは,2つ,又は3つの成形スロットを含む
請求項7に記載の超音波装置。
【請求項10】
前記スリーブは,前記ハウジング内に形成された摺動ガイドによって,前記ハウジングに取り付けられている
請求項7に記載の超音波装置。
【請求項11】
前記ハウジングに取り付けられたハンドルをさらに備える
請求項7に記載の超音波装置。
【請求項12】
前記ハンドルは,エクステンダを介して,前記ハウジングに取り付けられている
請求項11に記載の超音波装置。
【請求項13】
表面および溶接継手の処理のための超音波装置において,
前記装置は,
前端と台尻を有し複数の成形スロットが内部に形成されたハウジングであって,
前記ハウジングには,往復運動可能なスリーブが取り付けられており,
前記スリーブは,
1)超音波振動子と,
2)前記超音波振動子の温度を検知する温度センサと,
3)前記ハウジングに対する前記スリーブの位置を検知する位置センサと,
4)前記超音波振動子を冷却する強制空気冷却システムとを含むものと,
前記スリーブの操作端部に取り付けられた往復運動可能なアタッチメントであって,
前記アタッチメントは,取り外し可能な加工ヘッドに取り付けられる取付手段を有し,前記加工ヘッドは,表面および溶接継手を処理するためのストライカの先端を有するものと,
前記アタッチメントの前記取付手段であって,
前記取付手段は,前記加工ヘッドと前記ストライカの先端の軸方向の移動を防止するために,前記加工ヘッドに設けられた受け機構と係合可能なバネボールロック機構を有するものと,
一端が前記超音波振動子に接続され,他端が前記加工ヘッドの前記ストライカの先端に接続された振動速度トランスフォーマと,
前記ハウジングのピンスロットに位置するピンであって,前記ピンスロットは,前記ハウジングの前端に対応する先端と,前記ハウジングの台尻に対応する後端を有し,
前記ピンは,前記ハウジングに前記スリーブを固定して前記スリーブの移動を制限し,前記ピンは,前記スリーブの操作端部と前記ハウジングの台尻の間に設けられたバネによって前記ピンスロットの先端に向かって付勢されているものと,
前記超音波装置と加工物の表面の間に所定の接触力を与える可動スピゴットであって,前記可動スピゴットはスピゴットピンを有し,前記スピゴットピンは,前記スピゴットの軸方向の移動を制限するために前記複数の成形スロットに挿入されており,これにより,前記所定の接触力を与えるために,前記バネに対して圧縮力または張力を加えるものと,を備える
超音波装置。
【請求項14】
前記超音波振動子は,振動絶縁パッキン上に取り付けられている
請求項13に記載の超音波装置。
【請求項15】
前記複数の成形スロットは,2つ,又は3つの成形スロットを含む
請求項13に記載の超音波装置。
【請求項16】
前記スリーブは,前記ハウジング内に形成された摺動ガイドによって,前記ハウジングに取り付けられている
請求項13に記載の超音波装置。
【請求項17】
前記ハウジングに取り付けられたハンドルをさらに備える
請求項13に記載の超音波装置。
【請求項18】
前記ハンドルは,エクステンダを介して,前記ハウジングに取り付けられている
請求項17に記載の超音波装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,超音波振動のエネルギーを技術的に利用する分野に適用される。また,本発明は,機械の組み立て,造船,および他の産業において,特に,振動および繰り返し荷重下で作動する部品および溶接継手および構造体の改善処理に使用することができる。金属部品および溶接継手の表面改善は,最後の技術的工程として,機械部品の耐久性を大幅に高め,その品質および疲労寿命を向上させる。現在,塑性変形を利用する表面処理の最も普及している方法は,ショットピーニング,圧延,ハンマーピーニング,振動ローラによるバニシ仕上げ,および他の同様の方法による処理である。表面処理の高エネルギープロセスは,これらのうちの1つである超音波振動を利用する表面改善を含めて,大きな関心を生み出してきた。試験結果および運用実践が明らかとなるにつれて,超音波法は,金属,とりわけ,高力材料の処理に十分に有効であることが証明されてきた。超音波法は,構造材料の機械的性質,とりわけ,その疲労寿命および耐久性の大幅な向上を容易にしてきた。一方,超音波処理プロセスの効率および品質ならびにその保守性は,相当程度,超音波装置の設計に依存する。
【背景技術】
【0002】
技術水準は,超音波励振を利用する振動衝撃装置(露国特許#2179919 С2,МПК В25D 9/14,В06В 1/08,B06B 1/12,B24B 39/04,2000に記載)であって,ハンドルを有するハウジングと,磁歪トランスデューサおよび振動速度トランスフォーマ(vibrational velocity transformer)からなり,摺動ガイドにおいてハウジングの隙間に配置され,往復運動の機能を有し,ばねを介してハウジングと接触する振動励振源と,振動速度トランスフォーマと並んだストライカを有する加工ヘッドと,磁歪トランスデューサのための空気冷却システムとを備える振動衝撃装置を含む。
【0003】
このような振動衝撃装置の空気冷却システムは,磁歪トランスデューサのみから熱を移動させる。作動中に相当に熱くなる,ストライカを有する加工ヘッドは,機器内で冷却されない。このことは,振動衝撃装置が作動し続けることのできる時間を大幅に減少させる。このような装置の他の欠点は,表面および溶接継手の処理の品質に一貫性がないことである。このような非一貫性の背景にある原因は,装置の空間的配置に応じて,操作者が,ハンドル,ハウジング,ばね,および振動励振源を介して処理表面にストライカを押し付ける際に,ばねに加わる振動励振源の重力効果の方向が変動することによって,速度トランスフォーマと,ストライカとの間に発生する押し下げ力が変化することである。装置が水平に配置される場合,振動励振源の重さは,ストライカを処理表面に対して押す力に影響を与えない。天井の面および継手の処理に特有の,垂直方向上向きの配置の場合,振動励振源の重さは,ストライカを処理表面に対して押す押し下げ力を減少させる。垂直方向下向きの配置の場合,振動励振源の重さは,ストライカを処理表面に対して押す押し下げ力を増加させる。装置のサイズが小さく,また,ハンドルがハウジングに直接配置されていることから,操作者が,振動衝撃状況下で,処理表面または溶接継手に対して振動ツールを保持することが難しくなっている。このため,操作者の疲労のペースが速くなってしまう。
【0004】
技術水準は,さらに,表面および溶接継手の改善処理のための超音波装置(ウクライナ国特許#68264,МПК В24В 39/00,В06В 1/06,2007に記載)であって,摺動ガイドに沿って収容される,往復運動の可能な金属スリーブを有するハウジングを含む超音波装置を含む。スリーブの内部には,振動絶縁体を使用して,振動速度トランスフォーマと接続された超音波圧電トランスデューサと,2つのセンサ(軸方向の往復運動に関するセンサおよび温度センサ)とが取り付けられている。ばねを有する空気圧室が,スリーブと同軸にハウジングに取り付けられている。スリーブには,さらに,ストライカを有する加工ヘッドの回転および迅速な取り外しを可能とするアタッチメントが備わっている。なお,ストライカは,自由に往復運動することができ,振動速度トランスフォーマの外端と接触するように取り付けられている。ハウジングに取り付けられた2つのハンドルに関して,一方は,ハウジングの軸周りを回転することができ,他方は,固定されている。
【0005】
このような装置は,効果のない冷却システムを保有している。これは,密閉された金属スリーブの内部に配置された熱くなった超音波振動子が,大気対流によって,外面の非常に小さな領域からのみ熱を移動させるからである。ストライカを有する熱くなった加工ヘッドは,強制冷却されずに,効果のない大気対流によってのみ冷却される。処理された加工物の表面を覆うほこり,ちり,および金属の削りくずが,振動衝撃処理プロセス中の処理領域の視覚制御を妨げる。その上,これらは,可動ストライカと加工ヘッドとの間の小さな隙間に入り込み,ストライカを動きにくくさせ,装置の動作の振動衝撃モードを鈍らせる傾向がある。先に言及した場合と同様に,このような装置の欠点は,表面および溶接継手の処理の品質に一貫性がないことである。このような非一貫性の背景にある原因は,装置の空間的配置に応じて,操作者が,ハンドル,ハウジング,ばね,超音波圧電トランスデューサを有するスリーブ,および振動励振源を介して処理表面にストライカを押し付ける際に,ばねに加わる振動励振源の重力効果の方向が変動することによって,振動速度トランスフォーマとストライカとの間に発生する押し下げ力が変化することである。装置のサイズが小さく,また,ハンドルがハウジングに直接配置されていることから,操作者が,振動衝撃状況下で,処理表面または溶接継手に対して振動ツールを保持することが難しくなっている。このため,操作者の疲労のペースが速くなってしまう。
【0006】
ウクライナ国特許#87006,МПК В24В 39/00,В06В 1/06,В24В 1/04 2009は,発明の実施形態に関する序節の段落1の特性によって,信頼性の高い空気冷却システムをすでに保有している,表面および溶接継手の改善処理のための超音波装置の機構を明らかにしている。ストライカを有する加工ヘッドの開口を介して,処理表面に対して空気を放出することによって,その表面のちり,および,ほこりが除去される。これによって,目詰まりによる,加工ヘッドのストライカの作動不良が防止される。
【0007】
それにもかかわらず,この機構にはまた,重大な欠点がある。先に言及した場合のように,このような装置の欠点は,表面および溶接継手の処理の品質に一貫性がないことである。このような非一貫性の背景にある原因は,装置の空間的配置に応じて,操作者が,ハンドル,ハウジング,ばね,超音波圧電トランスデューサを有するスリーブ,および振動励振源を介して処理表面にストライカを押し付ける際に,ばねに加わる振動励振源の重力効果の方向が変動することによって,振動速度トランスフォーマと,ストライカとの間に発生する押し下げ力が変化することである。装置が水平に配置される場合,振動励振源の重力は,ストライカを処理される加工物の表面に対して押す力に影響を与えない。天井の面および継手の処理に特有の,垂直方向上向きの配置の場合,振動励振源の重力は,ストライカの押し下げ力を減少させる。垂直方向下向きの配置の場合,振動励振源の重力は,ストライカの押し下げ力を増加させる。操作者は,装置の空間的配置を変更する際に,これらの点を考慮する必要がある。このことは,操作者の作業を妨げ,処理の品質を低下させる。これは,操作者が,ハウジングスロットのピンの位置によってのみ押し下げ力を制御するためである。
【0008】
本出願人らは,上記の欠点が克服され,さらなる利点が得られるように,本発明の設計および実施を行った。
【発明の概要】
【0009】
本発明は,発明を実施するための形態の記載において導入および説明される。
【0010】
本発明の目的は,表面および溶接継手の改善処理のための超音波装置であって,ストライカが対象とする加工物の表面に加わる押し下げ力にもとづく,装置内に配置された部材を有するスリーブの重力効果を除去することによって,装置の空間的配置に関係なく,高品質の処理を一貫して保証する超音波装置を作り出すことである。
【0011】
本発明の他の目的は,表面および溶接継手の変形処理のための超音波装置であって,部品および溶接継手の届きにくい領域を処理するために必要とされる角度位置に,ストライカを有する加工ヘッドを固定することを確実にし,および,平面を処理する際の,ストライカを有する加工ヘッドの自由な回転を可能とすることによって,機能的能力が強化された超音波装置を作り出すことである。
【0012】
本発明のさらに他の目的は,表面および溶接継手の変形処理のための超音波装置であって,装置のハウジングから加工ヘッドと反対の方向に離れたハンドルを動かすことにより装置の人間工学的特徴を強化することによって操作者の疲労のペースを遅らせる超音波装置を作り出すことである。
【0013】
表面および溶接継手の変形処理のための超音波装置は,本発明によれば,ハンドルおよび摺動ガイドを有するハウジングを備え,ハウジングには,アタッチメントを有するスリーブが,往復運動することのできるように,取り付けられている。スリーブは,振動絶縁パッキン上に,節面に取り付けられ,かつ振動速度トランスフォーマと接続された超音波振動子と,温度センサと,ハウジングに対するスリーブの位置に関するセンサと,トランスデューサのための強制空気冷却システムとを含み,強制空気冷却システムが,スリーブの台尻に圧縮空気を供給すること,および,圧縮空気を,速度トランスフォーマの出口開口の領域から放出することにもとづき,トランスフォーマは,ストライカの先端に接続しており,ストライカの先端は,往復運動することができ,かつ加工ヘッド内に収容されており,加工ヘッドの円筒形端部は,回転および迅速な取り外しを可能とするアタッチメントに装着されている。スリーブの移動は,ピンによって制限されており,ピンは,スリーブに固定され,ハウジングの長手方向スロットに配置され,かつばねによってスロットの先端に押し付けられており,ばねは,スリーブに形成された肩と,ハウジングの台尻の表面との間に配置されており,ここで,ハウジングは,ストライカが押された際に,スリーブをシフトさせることができる。可動スピゴット(moving spigot)には,3つの位置でスピゴットの軸方向移動を固定することができるように,ハウジングに作製された成形スロットに挿入されるピンが備え付けられ,スピゴットは,ばねと,ハウジングの台尻の表面との間に取り付けられている。ストライカを有する加工ヘッドは,軸方向移動を避けるために,ばねボールロックによって固定され,ばねボールロックのボールが,一平面の角ピッチ(one−plane angular pitch)で作製されたソケットのいずれか1つ,または,加工ヘッドの円筒形端部上に作製された円形溝に入り込んでおり,一方,ハンドルは,エクステンダを介してハウジングに取り付けられており,加工ヘッドとは反対の方向にシフトされる。
【0014】
装置の空間的配置に関係のない,表面および溶接継手の一貫して高品質の処理が,可動スピゴットをばねとスリーブの台尻の表面との間に取り付けることによって,達成される。なお,スピゴットには,3つの位置でスピゴットの軸方向の移動を固定するための,ハウジングに作製された成形スロットに挿入されるピンが備え付けられる。装置のこのような設計は,加工物の表面に対する,ストライカの押し下げ力にもとづく,内部に部材を有するスリーブの重力効果を打ち消す。
【0015】
装置の機能的能力は,ばねボールロックによって,ストライカを有する加工ヘッドをその軸方向移動に抗して取り付けることによって,強化される。なお,ばねボールロックのボールは,一平面の角ピッチで作製されたソケットのいずれか1つ,または,加工ヘッドの円筒形端部上に作製された円形溝に入り込む。加工ヘッドのこのような設計によって,届きにくい溶接継手の処理に最も好都合な取り付け角度位置,および,平面の処理のための自由な回転の双方が可能となる。
【0016】
装置のハウジングから加工ヘッドと反対の方向に離れたハンドルを動かすことによって,装置の強化された人間工学的特徴が達成される。
【0017】
本発明に関して先に言及したポイントおよび本発明の他のポイントは,添付図面の参照しながら非限定的な例として挙げられた,本発明の発明を実施するための形態に関する以下の説明によって,さらに明確にされる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図2】ハウジングの成形スロットに挿入されるピンを係合する際の様子を示す,ピンの部分図である(視点А)。
【発明を実施するための形態】
【0019】
部品および溶接継手の改善処理のための超音波装置は,摺動ガイド2を有するハウジング1を備える。なお,ハウジング1には,アタッチメント4を有するスリーブ3が,往復運動することができるように,取り付けられている。スリーブ3の内部には,振動絶縁パッキン上に,節面を介して振動速度トランスフォーマと接続された超音波振動子と,温度センサと,ハウジング1に対するスリーブ3の位置に関するセンサとが取り付けられている(センサおよび超音波振動子は,便宜上,図面には示していない)。スリーブ3の移動は,スリーブに固定されたピン5によって制限されている。ピン5は,ハウジング1の長手方向スロット6に配置され,ばね7によってスロット6の先端に対して押し付けられている。ばね7は,スリーブ3に形成された肩8と,シフトスピゴット9との間に配置されている。シフトスピゴット9には,3つの位置でスピゴット9の軸方向移動を固定することができるように,ハウジング1に作製された成形スロット11に挿入されるピン10が備え付けられている。この場合,加工ヘッド13は,往復運動することができるため,加工ヘッド13に配置されたストライカ12が押された際にシフトすることができる。また,この場合,ストライカ12の先端は,振動速度トランスフォーマ14の出力端に接続している。加工ヘッド13の円筒形端部は,アタッチメント4内に配置されている。これにより,回転および迅速な取り外しが可能となる。加工ヘッド13は,ボール15,平坦な円筒形のばね16,および一平面の角ピッチで作製されたソケットのいずれかまたは加工ヘッド13の円筒形端部上に作製された円形溝によって,アタッチメント4に対して取り付けられている。強制空気冷却システムに圧縮空気を供給するために使用されるコネクタ17が,スリーブ3の台尻に配置されている。加工ヘッド13の開口18を介して放出される空気は,作業領域に向けられる。装置を保持するために操作者によって使用されるハンドル19が,加工ヘッド13と反対の方向にそれをシフトさせるエクステンダ20を介して,ハウジング1に取り付けられている。超音波振動子と電気振動発生器(便宜上,図面には示していない)とを接続する電気ケーブルが,気密ガスケット21を介して,スリーブ3内に入っている。
【0020】
超音波装置は,以下のように作動する。すなわち,コネクタ17を介して供給される圧縮空気は,スリーブ3を通過し,超音波圧電トランスデューサを冷却し,加工ヘッド13の開口18を介して装置から出る。この間に,この圧縮空気は,振動速度トランスフォーマ14の出力端およびストライカ12を冷却する。温度センサは,動作中のトランスデューサの温度を制御する。これにより,トランスデューサの過熱が防止される。ストライカ12は,ピーニングされる金属の表面と機械的に接触するように配置される。ハンドル19およびエクステンダ20を介して押し付けることによって,操作者は,ハウジング1に対するスリーブ3の位置に関するセンサ(スリーブ3内に配置されている)が起動するまで,スリーブ3に対してハウジング1を軸方向にシフトさせる(3〜5mm)。シフトセンサによって,超音波電気振動発生器が起動される。超音波電気振動発生器は,気密ガスケット21を介して超音波振動子に超音波周波数電圧を供給し,超音波振動子に長手方向の機械的な共鳴弾性振動を発生させる。振動速度のトランスフォーマ14は,出力端の振動の振幅を,最大で20〜30ミクロン増加させる。さらに,出力端に接続しているストライカ12が,衝撃相互作用により,加工ヘッド13のアパーチャ内を移動する際に,長手方向に振動し始める。ストライカ12が超音波振動子から獲得した運動エネルギーは,処理表面を変形させるために,および,ストライカの弾性反発のために消費される。加工物の表面に加わる装置の押し下げ力は40〜60Nであり,その結果ばね7が変形し,溝6内のピン5が,各々の距離シフトする。ストライカの押し下げ力の大きさに影響する他の要因は,スリーブ3およびスリーブ3が含む部材の重力である。したがって,装置の空間的配置に応じて,操作者は,ピン10を有するスピゴット9を成形スロット11においてシフトさせて固定する。装置が,水平に配置される場合,操作者は,成形スロット11の中央の切欠にピン10を固定する。装置が,垂直方向上向き,または,垂直方向下向きに配置される場合,操作者は,成形スロット11の対応する切欠にピン10をシフトさせて固定する。これによって,スリーブ3およびスリーブ3が含む部材の重量だけ,ばね7の予備圧力が,追加的に増加または減少される。装置は,溶接継手または加工物の表面に沿って移動される。必要ならば,届きにくい継手を処理する場合,操作者は,カートリッジの円筒面上のインデントと連結された弾性ボール15によって,それを固定する,必要な離れた位置に加工ヘッド13を回転させる。平面を振動衝撃処理する場合,操作者は,ストライカ12がインラインに配置された加工ヘッド13を,複数のストライカが分散して配置されたマルチストライカ加工ヘッドに交換する。アタッチメント4に接続する,このタイプの加工ヘッドの円筒面は,溝を有する。この溝には,ばね荷重ボール15が嵌まり込む。これにより,加工ヘッドの,自身の軸周りの自由な回転が可能となり,また,アタッチメント4からの加工ヘッドの脱落が防止される。加工ヘッドの開口18を介して放出される空気は,加工物の表面をきれいにする。これにより,一定の視覚制御が容易となり,また,処理プロセスにおけるゴミ(例えば,スケール(scale),さび,ちり等)が,加工ヘッドの開口,とりわけ,ストライカが動く,加工ヘッドの開口に入り込むことが防止される。
【0021】
装置に利用される交番ばね圧力によって,装置の空間的配置に関係なく,表面および溶接継手の高品質の処理が一貫して保証される。ストライカに加えられる推奨接触圧力が40〜60Nであることに対して,電力が400ワットの超音波振動子および振動速度トランスフォーマを有するスリーブの重さが,約20〜25Nであることを考慮するならば,予備ばね圧力に対する上記の補正を導入することの重要性は明白である。こうして,装置の空間的配置を変更する場合,操作者は,印加圧力の補正および一定レベルの印加圧力の維持を行う必要がない。このことは,振動衝撃処理の品質の向上,および,操作者の作業の簡易化につながる。装置からハンドルを離した,使い勝手の良い人間工学的な配置によって,操作者の手の中に振動装置が保持されることが容易となる。これにより,作業品質がさらに向上し,操作者の疲労のペースが遅くなる。自身の軸周りを旋回することができ,かつアタッチメントにしっかりと保持された,ストライカを有する加工ヘッドは,平面の振動衝撃処理の品質をさらに向上させる。ストライカがインラインに配置され,離れた角度に固定された加工ヘッドは,装置の機能的能力を拡張し,構造体の届きにくい溶接継手を処理する際の作業品質を向上させる。