【文献】
FUJIMOTO,J. et al,Antiestrogenic compounds inhibit estrogen-induced expressions of basic fibroblast growth factor and its mRNA in well-differentiated endometrial cancer cells,Gen Pharmacol,1997年,Vol.28, No.2,p.215-9
【文献】
MATALLIOTAKIS,I.M. et al,Serum concentrations of growth factors in women with and without endometriosis: the action of anti-endometriosis medicines,Int Immunopharmacol,2003年,Vol.3, No.1,p.81-9
【文献】
藤本次良,婦人科悪性腫瘍の浸潤・転移における内分泌関与,日本産科婦人科学会雑誌,1996年,Vol.48, No.8,633-43
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、眼の血管新生性の疾病又は症状を治療するための方法を提供する。「眼の血管新生性の疾病及び症状」は、血管新生により悪化する又は血管新生に起因するものを含む眼の疾病又は症状である。同方法は、式I又はIVに記載のステロイド又は薬理学的に許容されるその塩若しくはエステルの、眼に発生する血管新生を阻害するのに有効な量を必要に応じて動物に投与する工程を含む。
【0016】
本発明に従って治療することができる眼の血管新生性疾病及び症状は、黄斑変性症、糖尿病性網膜症、血管新生緑内障、未熟児網膜症、鎌状赤血球網膜症、酸素誘導網膜症、目の損傷(外傷性若しくは外科的損傷又は眼組織の移植)に起因する血管新生及び腫瘍を含むが、それらに限定されるものではない。
【0017】
本発明はまた、脳の血管新生性の疾病又は症状を治療するための方法を提供する。「脳の血管新生性の疾病及び症状」は、血管新生により悪化する又は血管新生に起因するものを含む脳の疾病又は症状である。同方法は、式I又はIVに記載のステロイド又は薬理学的に許容されるその塩若しくはエステルの、脳に発生する血管新生を阻害するのに有効な量を必要に応じて動物に投与する工程を含む。
【0018】
本発明に従って治療することができる脳の血管新生性疾病及び症状は、腫瘍、脳の損傷(脳組織の外傷性若しくは外科的損傷又は脳卒中に起因するような)に起因する血管新生を含むが、それらに限定されるものではない。
【0019】
本発明に従って治療することができる脳腫瘍は、原発性腫瘍及び転移性(二次的)腫瘍を含む任意の良性若しくは癌性の腫瘍を含むが、それらに限定されるものではない。
全ての原発性腫瘍の約半分は神経膠腫である。神経膠腫は、星細胞腫(例えば、毛様細胞性星細胞腫、低悪性度星細胞腫、未分化(高悪性度)星細胞腫及び多形性膠芽腫)、脳幹グリオーマ上衣腫、神経節細胞腫、若年性の毛様細胞性星細胞腫、混合性神経膠腫、乏突起膠腫及び視神経膠腫を含む。膠芽細胞腫は成人における最も一般的な悪性脳腫瘍であり、全ての癌のうちで最も治療の困難なものである。
【0020】
髄膜腫は、原発性腫瘍の約27%を占め、大部分が良性である。しかしながら、その他の箇所にできる良性腫瘍と異なり、脳の良性腫瘍は時として身体障害の原因となり、かつ時として生命の危険性をも脅かす。髄膜腫は、多くの場合外科的に治癒するが、本発明に従う治療は、外科的治療の代わりに使用され得るか、又は外科的治療に加えて使用され得る。
【0021】
その他の原発性腫瘍は、脊索腫、頭蓋咽頭腫、髄芽腫、松果体部腫瘍、下垂体腺腫、原始神経外胚葉性腫瘍、神経鞘腫及び血管腫瘍を含む。
転移性脳腫瘍は、身体の別の部位から脳に広がる腫瘍である。脳に転移する最も一般的な癌は、乳癌、黒色腫及び肺癌である。転移性脳腫瘍は脳腫瘍の最も一般的な形態であり、原発性脳腫瘍よりもその数はかなり多い。
【0022】
本発明は更に、眼の炎症性の疾病又は症状を治療するための方法を提供する。「眼の炎症性の疾病及び症状」は、炎症により悪化する又は炎症に起因するものを含む眼の疾病又は症状である。同方法は、式I、IV又はVに記載のステロイド又は薬理学的に許容されるその塩若しくはエステルの、眼に発生する炎症を阻害するのに有効な量を必要に応じて動物に投与する工程を含む。
【0023】
本発明に従って治療することができる眼の炎症性疾病及び症状は、ブドウ膜炎、強膜炎、角膜炎、網膜炎、虹彩炎、ブドウ膜網膜炎、ブドウ膜強膜炎、結膜炎、Moorenの潰瘍、アレルギー、及び関節炎、リウマチ性及び結合組織疾患における眼の炎症症状の徴候を含むが、それらに限定されるものではない。(例えば、BucknallのRheumatology、第44(10)巻、1207−1209頁、2005年を参照されたい。)
【0024】
本発明は、更に、脳の炎症性の疾病又は症状を治療するための方法を提供する。「脳の炎症性の疾病及び症状」は、炎症により悪化する又は炎症に起因するものを含む脳の疾病又は症状である。同方法は、式I、IV又はVに記載のステロイド又は薬理学的に許容されるその塩若しくはエステルの、脳に発生する炎症を阻害するのに有効な量を、必要に応じて動物に投与する工程を含む。
【0025】
本発明に従って治療することができる脳の炎症性疾病及び症状は、膿瘍(細菌感染、真菌感染及び寄生虫感染に起因する膿瘍を含む)、髄膜炎(細菌性髄膜炎、結核及びサルコイドーシスを含む)、脳炎(単純ヘルペス脳炎、東部馬脳炎及び西部馬脳炎、セントルイス脳炎、カリフォルニアウィルス脳炎、ライム病脳炎及び感染後脳炎を含む)、脈管炎、自閉症及び神経変性疾病を含むが、それらに限定されるものではない。
【0026】
本発明に従って治療することができる神経変性疾病は、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン舞踏病、多発性硬化症、パーキンソン病及び老年性認知症を含むが、それらに限定されるものではない。
【0027】
「治療する」、「治療」又は「治療法」は、本明細書においては、疾病又は症状の徴候、持続又は重篤度を(全体的に、または部分的に)軽減することを意味するために使用されており、疾病を治癒すること又は疾病若しくは症状を回避することを含む。
【0028】
「阻害する」又は「阻害」は、本明細書においては、(全体的に、または部分的に)低減すること、又は回避することを意味するために使用されている。
「血管新生」は、新たな血管の成長を意味する。「血管新生」はまた、本明細書においては、新血管形成、脈管化、動脈化及び脈管形成と同じものを意味するか、又はこれらを含むものとして使用されている。
【0029】
上記したように、本発明の実施例において使用され得るステロイドは、以下の式I、IV及びVに示す化合物及び薬理学的に許容されるその塩若しくはエステルを含む。
式1は:
【0030】
【化1】
である。
同式Iにおいて、R
1は、1乃至6個の炭素原子を有するアルキル基、2乃至6個の炭素原子を有するアルケニル基、又は2乃至6個の炭素原子を有するアルキニル基であり、R
2は、ヒドロキシル基、1乃至6個の炭素原子を有するアルコキシ基、1乃至7個の炭素原子を有するアルカノイルオキシ基、式(II)の置換基または式(III)の置換基である。
【0031】
【化2】
ここで、R
11は、水素、1乃至6個の炭素原子を有するアルキル基、ヒドロキシル基、1乃至6個の炭素原子を有するアルコキシ基又は式−N(R
14)
2の置換基であり、各R
14は同一であるか又は異なっており、かつ水素又は1乃至6個の炭素原子を有するアルキル基である。
【0032】
各R
12及びR
13は、同一であるか又は異なっており、かつ水素又は1乃至6個の炭素原子を有するアルキル基であり、そしてm及びnは、同一であるか又は異なっており、各々が0であるか若しくは1乃至4の整数である。
【0033】
各R
3及びR
4は、同一であるか又は異なっており、かつ水素又は1乃至6個の炭素原子を有するアルキル基であり、R
5及びR
6は同一であるか又は異なっており、かつ水素又は1乃至6個の炭素原子を有するアルキル基であるか、或いはR
5及びR
6が結合して一重結合を示し、R
7、R
8、R
9及びR
10は、それらに結合している炭素原子を合わせて5乃至9員環の複素環を示し、同5乃至9員環の複素環は選択的に、1乃至7個の置換基で置換されている(この置換基は同一であるか又は異なっており、かつ以下に定義される置換基αから選択される)。
【0034】
置換基αは、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、シアノ基、アミノ基、1乃至6個の炭素原子を有するアルキル基、1乃至6個の炭素原子を有するアルコキシ基、1乃至6個の炭素原子を有するアルキルチオ基、1乃至6個の炭素原子を有するアルキルスルフィニル基、1乃至6個の炭素原子を有するアルキルスルホニル基、フェニル基及び式−N(R
16)
2の置換基から構成される置換基であり、各R
16は同一であるか又は異なっており、かつ水素又は1乃至6個の炭素原子を有するアルキル基である。
【0035】
R
7、R
8、R
9及びR
10は、それらに結合している炭素原子を合わせて5乃至9員環の複素環を示す場合、同複素環は、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群より選択される1乃至4個の原子を含む5乃至9員環の複素環であり、かつ、例えば、フリル基、チエニル基、ピロリル基、アゼピニル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、オキサゾリル基、イソキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、1,2,3−オキサジアゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、チアジアゾリル基、ピラニル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、アゼピニル基、アゾシニル基又はアゾニニル基、のような不飽和複素環置換基、或いは上記した不飽和複素環置換基が、例えば、モルフォリニル基、チオモルフォリニル基、ピロリジニル基、ピロリニル基、イミダゾリジニル基、イミダゾリニル基、ピラゾリジニル基、ピラゾリニル基、ピペリジル基、ピペラジニル基、パーヒドロアゼピニル基、パーヒドロアゾシニル基またはパーヒドロアゾニニル基のような部分的又は完全に還元されている置換基、であり得る。好ましくは、それは、一つ以上の窒素原子と選択的に酸素原子及び/又は硫黄原子を含む5乃至7員環の複素環置換基であり、例えば、ピロリル基、アゼピニル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、オキサゾリル基、イソキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、1,2,3−オキサジアゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、チアジアゾリル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基又はピラジニル基であるか、或いは上記した不飽和複素環置換基が、例えば、モルフォリニル基、チオモルフォリニル基、ピロリジニル基、ピロリニル基、イミダゾリジニル基、イミダゾリニル基、ピラゾリジニル基、ピラゾリニル基、ピペリジル基又はピペラジニル基のような部分的又は完全に還元されている置換基、であり得、より好ましくは、R
7、R
8、R
9及びR
10はそれらに結合している炭素原子を合わせて、イソキサゾリル基またはピラゾリル基である。
【0037】
【化3】
である。
式IVにおいて、R
18、R
19及びR
21は同一であるか又は異なっており、かつ各々が水素又は1乃至6個の炭素原子を有するアルキル基であり、R
17は、水素、1乃至6個の炭素原子を有するアルキル基、又は2乃至6個の炭素原子を有するアルケニル基であり、R
22は、ヒドロキシル基、1乃至6個の炭素原子を有するアルコキシ基、1乃至7個の炭素原子を有するアルカノイルオキシ基、式(I)において既に定義された式(II)の置換基、又は式(I)において既に定義された式(III)の置換基であるか、又はR
17とR
22とを結合させて、オキソ基、エチレンジオキシ基またはプロピレンジオキシ基を示す。
【0038】
R
20及びR
24は各々、同一であるか又は異なっており、かつ各々が水素又は1乃至6個の炭素原子を有するアルキル基であるか、或いはR
20とR
24とを結合させて一重結合を示し、R
23及びR
29は各々、同一であるか又は異なっており、かつ各々が水素又は1乃至6個の炭素原子を有するアルキル基であるか、或いはR
23とR
29とがエポキシ結合されている。
【0039】
R
25、R
26、R
27及びR
28は各々が同一であるか又は異なっており、かつ水素、1乃至6個の炭素原子を有するアルキル基、シアノ基、ヒドロキシル基、1乃至6個の炭素原子を有するアルコキシ基又は式−N(R
30)
2の置換基であり、各R
30は同一であるか又は異なっており、かつ水素又は1乃至6個の炭素原子を有するアルキル基であるか、或いはR
25及びR
26とR
27及びR
28とのうちの少なくとも一方はそれらに結合している炭素原子を合わせてカルボニル基を示すか、或いはR
25、R
26、R
27及びR
28はそれらに結合している炭素原子を合わせて5乃至9員環の複素環を示し、同5乃至9員環の複素環は、1乃至7個の置換基で選択的に置換されており、同置換基は同一であるか又は異なっており、かつ既に定義された置換基αから選択される。
【0040】
R
25、R
26、R
27及びR
28はそれらに結合している炭素原子を合わせて選択的に5乃至9員環の複素環を示す場合、同複素環は、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群より選択される1乃至4個の原子を含む5乃至9員環の複素環であり、かつ例えば、フリル基、チエニル基、ピロリル基、アゼピニル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、オキサゾリル基、イソキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、1,2,3−オキサジアゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、チアジアゾリル基、ピラニル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、アゼピニル基、アゾシニル基又はアゾニニル基、のような不飽和複素環置換基、或いは上記した不飽和複素環置換基が、例えば、モルフォリニル基、チオモルフォリニル基、ピロリジニル基、ピロリニル基、イミダゾリジニル基、イミダゾリニル基、ピラゾリジニル基、ピラゾリニル基、ピペリジル基、ピペラジニル基、パーヒドロアゼピニル基、パーヒドロアゾシニル基またはパーヒドロアゾニニル基のような部分的又は完全に還元されている置換基、であり得る。好ましくは、それは、一つ以上の窒素原子と選択的に酸素原子及び/又は硫黄原子を含む5乃至7員環の複素環置換基であり、例えば、ピロリル基、アゼピニル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、オキサゾリル基、イソキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、1,2,3−オキサジアゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、チアジアゾリル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基又はピラジニル基であるか、或いは上記した不飽和複素環置換基が、例えば、モルフォリニル基、チオモルフォリニル基、ピロリジニル基、ピロリニル基、イミダゾリジニル基、イミダゾリニル基、ピラゾリジニル基、ピラゾリニル基、ピペリジル基又はピペラジニル基のような部分的又は完全に還元されている置換基、であり得、最も好ましくは、R
25、R
26、R
27及びR
28はそれらに結合している炭素原子を合わせて、イソキサゾリル基である。
【0042】
【化4】
である。
式Vにおいて、R
35は、1乃至6個の炭素原子を有するアルキル基、2乃至6個の炭素原子を有するアルケニル基、又は2乃至6個の炭素原子を有するアルキニル基であり、R
36は、ヒドロキシル基、1乃至6個の炭素原子を有するアルコキシ基、1乃至7個の炭素原子を有するアルカノイルオキシ基、式(I)において既に定義された式(II)の置換基または式(I)において既に定義された式(III)の置換基である。
【0043】
各R
37及びR
38は、同一であるか又は異なっており、かつ水素又は1乃至6個の炭素原子を有するアルキル基である。
各R
39及びR
40は、同一であるか又は異なっており、かつ水素又は1乃至6個の炭素原子を有するアルキル基であり、或いはR
39及びR
40が結合して一重結合を示し、各R
41、R
42、R
43及びR
44は同一であるか又は異なっており、かつ水素、1乃至6個の炭素原子を有するアルキル基、ヒドロキシル基、1乃至6個の炭素原子を有するアルコキシ基、又は式−N(R
45)
2の置換基であり、各R
45は同一であるか又は異なっており、かつ水素又は1乃至6個の炭素原子を有するアルキル基であるか、或いはR
41及びR
42とR
43及びR
44とのうちの少なくとも一方はそれらに結合している炭素原子を合わせてカルボニル基を示すか、或いはR
41、R
42、R
43及びR
44はそれらに結合している炭素原子を合わせて5乃至9員環の複素環を示し、同5乃至9員環の複素環は選択的に、1乃至7個の置換基で置換されている(この置換基は同一であるか又は異なっており、かつ既に定義された置換基αから選択される)。
【0044】
R
41、R
42、R
43及びR
44は、それらに結合している炭素原子を合わせて選択的に置換された5乃至9員環の複素環を示す場合、同複素環は、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群より選択される1乃至4個の原子を含む5乃至9員環の複素環であり、かつ例えば、フリル基、チエニル基、ピロリル基、アゼピニル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、オキサゾリル基、イソキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、1,2,3−オキサジアゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、チアジアゾリル基、ピラニル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、アゼピニル基、アゾシニル基又はアゾニニル基、のような不飽和複素環置換基、或いは上記した不飽和複素環置換基が、例えば、モルフォリニル基、チオモルフォリニル基、ピロリジニル基、ピロリニル基、イミダゾリジニル基、イミダゾリニル基、ピラゾリジニル基、ピラゾリニル基、ピペリジル基、ピペラジニル基、パーヒドロアゼピニル基、パーヒドロアゾシニル基またはパーヒドロアゾニニル基のような部分的又は完全に還元されている置換基、であり得る。好ましくは、それは、一つ以上の窒素原子と選択的に酸素原子及び/又は硫黄原子を含む5乃至7員環の複素環置換基であり、例えば、ピロリル基、アゼピニル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、オキサゾリル基、イソキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、1,2,3−オキサジアゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、チアジアゾリル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基又はピラジニル基であるか、或いは上記した不飽和複素環置換基が、例えば、モルフォリニル基、チオモルフォリニル基、ピロリジニル基、ピロリニル基、イミダゾリジニル基、イミダゾリニル基、ピラゾリジニル基、ピラゾリニル基、ピペリジル基又はピペラジニル基のような部分的又は完全に還元されている置換基、であり得、最も好ましくは、R
41、R
42、R
43及びR
44はそれらに結合している炭素原子を合わせて、イソキサゾリル基またはピラゾリル基である。
【0045】
1乃至6個の炭素原子を有するアルキル基は、1乃至6個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状アルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、t−ペンチル基、1−メチルブチル基、ヘキシル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、1−エチルブチル基又は2−エチルブチル基であり得、好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基又はt−ブチル基のような1乃至4個の炭素原子を有するアルキル基であり、より好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基又はイソプロピル基であり、最も好ましくはメチル基である。
【0046】
2乃至6個の炭素原子を有するアルケニル基は、2乃至6個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状アルケニル基であり、例えば、ビニル基、2−プロペニル基、1−メチル−2−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、2−エチル−2−プロペニル基、2−ブテニル基、1−メチル−2−ブテニル基、2−メチル−2−ブテニル基、1−エチル−2−ブテニル基、3−ブテニル基、1−メチル−3−ブテニル基、2−メチル−3−ブテニル基、1−エチル−3−ブテニル基、2−ペンテニル基、1−メチル−2−ペンテニル基、2−メチル−2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、1−メチル−3−ペンテニル基、2−メチル−3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、1−メチル−4−ペンテニル基、2−メチル−4−ペンテニル基、2−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、4−ヘキセニル基及び5−ヘキセニル基であり得る。2乃至4個の炭素原子を有するアルケニル基が好ましく、2又は3個の炭素原子を有するアルケニル基が最も好ましい。
【0047】
2乃至6個の炭素原子を有するアルキニル基は、2乃至6個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状アルキニル基であり、例えば、エチニル基、2−プロピニル基、1−メチル−2−プロピニル基、2−ブチニル基、1−メチル−2−ブチニル基、1−エチル−2−ブチニル基、3−ブチニル基、1−メチル−3−ブチニル基、2−メチル−3−ブチニル基、1−エチル−3−ブチニル基、2−ペンチニル基、1−メチル−2−ペンチニル基、3−ペンチニル基、1−メチル−3−ペンチニル基、2−メチル−3−ペンチニル基、4−ペンチニル基、1−メチル−4−ペンチニル基、2−メチル−4−ペンチニル基、2−ヘキシニル基、3−ヘキシニル基、4−ヘキシニル基及び5−ヘキシニル基であり得る。2乃至4個の炭素原子を有するアルキニル基が好ましく、2又は3個の炭素原子を有するアルキニル基が最も好ましい。
【0048】
1乃至7個の炭素原子を有するアルカノイルオキシ基は、炭素原子が水素原子又は上記したように1乃至6個の炭素原子を有するアルキル基で置換されているカルボニルオキシ基(−COO−)、であり、例えば、ホルミルオキシ基、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、イソブチリルオキシ基、ペンタノイルオキシ基、またはヘキサノイルオキシ基であり得、好ましくはアセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基またはイソブチリルオキシ基のような2乃至5個の炭素原子を有するアルカノイルオキシ基であり、より好ましくはアセチルオキシ基である。
【0049】
1乃至6個の炭素原子を有するアルコキシ基は、水素原子が上記したように1乃至6個の炭素原子を有するアルキル基で置換されているヒドロキシ基であり、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、s−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、2−メチルブトキシ基、ネオペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、4−メチルペンチルオキシ基、3−メチルペンチルオキシ基、2−メチルペンチルオキシ基、3,3−ジメチルブトキシ基、2,2−ジメチルブトキシ基、1,1−ジメチルブトキシ基、1,2−ジメチルブトキシ基、1,3−ジメチルブトキシ基または2,3−ジメチルブトキシ基であり得、好ましくは、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基又はn−ブトキシ基のような1乃至4個の炭素原子を有するアルコキシ基であり、より好ましくはメトキシ基である。
【0050】
1乃至6個の炭素原子を有するアルキルチオ基は、上記したように1乃至6個の炭素原子を有するアルキル基で置換されたメルカプト基であり、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、n−ブチルチオ基、イソブチルチオ基、s−ブチルチオ基、tert−ブチルチオ基、n−ペンチルチオ基、イソペンチルチオ基、2−メチルブチルチオ基、ネオペンチルチオ基、1−エチルプロピルチオ基、n−ヘキシルチオ基、イソヘキシルチオ基、4−メチルペンチルチオ基、3−メチルペンチルチオ基、2−メチルペンチルチオ基、1−メチルペンチルチオ基、3,3−ジメチルブチルチオ基、2,2−ジメチルブチルチオ基、1,1−ジメチルブチルチオ基、1,2−ジメチルブチルチオ基、1,3−ジメチルブチルチオ基、2,3−ジメチルブチルチオ基又は2−エチルブチルチオキであり得、好ましくは、メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基又はn−ブチルチオ基のような1乃至4個の炭素原子を有するアルキルチオ基であり、より好ましくは、メチルチオ基である。
【0051】
1乃至6個の炭素原子を有するアルキルスルフィニル基は、上記したように1乃至6個の炭素原子を有するアルキル基で置換されたスルフィニル基(−SO−)であり、例えば、メタンスルフィニル基、エタンスルフィニル基、n−プロパンスルフィニル基、イソプロパンスルフィニル基、n−ブタンスルフィニル基、イソブタンスルフィニル基、s−ブタンスルフィニル基、tert−ブタンスルフィニル基、n−ペンタンスルフィニル基、イソペンタンスルフィニル基、2−メチルブタンスルフィニル基、ネオペンタンスルフィニル基、n−ヘキサンスルフィニル基、4−メチルペンタンスルフィニル基、3−メチルペンタンスルフィニル基、2−メチルペンタンスルフィニル基、3,3−ジメチルブタンスルフィニル基、2,2−ジメチルブタンスルフィニル基、1,1−ジメチルブタンスルフィニル基、1,2−ジメチルブタンスルフィニル基、1,3−ジメチルブタンスルフィニル基又は2,3−ジメチルブタンスルフィニル基であり得、好ましくは、メタンスルフィニル基、エタンスルフィニル基、n−プロパンスルフィニル基、イソプロパンスルフィニル基又はn−ブタンスルフィニル基のような1乃至4個の炭素原子を有するアルキルスルフィニル基であり、より好ましくはメタンスルフィニル基である。
【0052】
1乃至6個の炭素原子を有するアルキルスルホニル基は、上記したように1乃至6個の炭素原子を有するアルキル基で置換されたスルホニル基(−SO
2−)であり、例えば、メタンスルホニル基、エタンスルホニル基、n−プロパンスルホニル基、イソプロパンスルホニル基、n−ブタンスルホニル基、イソブタンスルホニル基、s−ブタンスルホニル基、tert−ブタンスルホニル基、n−ペンタンスルホニル基、イソペンタンスルホニル基、2−メチルブタンスルホニル基、ネオペンタンスルホニル基、n−ヘキサンスルホニル基、4−メチルペンタンスルホニル基、3−メチルペンタンスルホニル基、2−メチルペンタンスルホニル基、3,3−ジメチルブタンスルホニル基、2,2−ジメチルブタンスルホニル基、1,1−ジメチルブタンスルホニル基、1,2−ジメチルブタンスルホニル基、1,3−ジメチルブタンスルホニル基又は2,3−ジメチルブタンスルホニル基であり得、好ましくは、メタンスルホニル基、エタンスルホニル基、n−プロパンスルホニル基、イソプロパンスルホニル基又はn−ブタンスルホニル基のような1乃至4個の炭素原子を有するアルキルスルホニル基であり、より好ましくはメタンスルホニル基である。
【0053】
式(I)、(IV)及び(V)のステロイドを製造する方法は当該技術分野において公知である。例えば、米国特許第3135743号明細書、米国特許第3296255号明細書、英国特許出願公開第1123770号公報及び英国特許出願公開第2130588号公報を参照されたい。また、式(I)、(IV)及び(V)によりカバーされるダナゾール、トリロスタン及びその他の化合物は、例えば、LKT Laboratories社、Mochida Pharmaceuticals社、Sanofi社及びSanofi Winthrop社から市販されている。
【0054】
本発明の式(I)、(IV)又は(V)の化合物又は薬理学的に許容されるそのエステルは塩基性基を有する場合、酸と反応させることにより同化合物は塩に変換される。本発明の式(I)、(IV)又は(V)の化合物又は薬理学的に許容されるそのエステルは酸性基を有する場合、塩基と反応させることにより同化合物は塩に変換される。本発明の化合物はそのような塩を包含する。同塩を治療上の用途にて使用する場合、それは薬理学的に許容されるものでなければならない。式(I)、(IV)又は(V)の化合物又は薬理学的に許容されるそのエステルに存在する塩基性基で形成された塩の好ましい例は、ヒドロハロゲン酸塩(例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩及びヨウ化水素酸塩)、硝酸塩、過塩素酸塩、硫酸塩及びリン酸塩のような無機酸塩、その低級アルキル部分が上記したような1乃至6個の炭素原子を有するアルキル基である低級アルカンスルホン酸塩(例えば、メタンスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩及びエタンスルホンサン塩)、そのアリール部分が6乃至14個の炭素原子を有するアリール基であるアリールスルホン酸塩(例えば、ベンゼンスルホン酸塩又はp−トルエンスルホン酸塩)、酢酸塩、リンゴ酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、アスコルビン酸塩、酒石酸塩、シュウ酸塩、マレイン酸塩のような有機酸塩、グリシン塩、リジン塩、アルギニン塩、オルニチン塩、グルタミン酸塩及びアスパラギン酸塩のようなアミノ酸塩を含む。ヒドロハロゲン酸塩が特に好ましい。
【0055】
式(I)、(IV)又は(V)の化合物又は薬理学的に許容されるそのエステルに存在する酸性基で形成された塩の好ましい例は、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩及びリチウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウム塩及びマグネシウム塩)、アルミニウム塩、鉄塩、のような金属塩、無機アミン塩(例えば、アンモニウム塩)及び有機アミン塩(例えば、t−オクチルアミン塩、ジベンジルアミン塩、モルホリン塩、グルコサミン塩、フェニルグリシンアルキルエステル塩、エチレンジアミン塩、N−メチルグルカミン塩、グアニジン塩、ジエチルアミン塩、トリエチルアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン塩、クロロプロカイン塩、プロカイン塩、ジエタノールアミン塩、N−ベンジルフェネチルアミン塩、ピペラジン塩、テトラメチルアンモニウム塩及びトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩)、及びグリシン塩、リジン塩、アルギニン塩、オルニチン塩、グルタミン酸塩及びアスパラギン酸塩のようなアミノ酸塩を含む。アルカリ金属塩が特に好ましい。
【0056】
本発明の式(I)、(IV)又は(V)の化合物又は本発明の化合物の薬理学的に許容されるその塩及びエステルは時として、大気中にさらされる、或いは水を吸収する若しくは水和物を形成するために再結晶化される場合に、水を吸収し、そのような水和物もまた本発明の範囲に含まれる。付随的に、溶媒和物を形成するために本発明の化合物は所定のその他の溶媒を吸収し、そのような溶媒和物も本発明の一部である。
【0057】
本発明の式(I)、(IV)又は(V)の化合物は時として、一つ以上の不斉中心を含み、従って光学異性体(ジアステレオ異性体)を形成し得る。本発明の化合物に対して、同異性体及び同異性体の混合物の各々は、それぞれ、一つの式、即ち、式(I)、(IV)又は(V)にて記載される。従って、本発明は、個々の異性体及び、ラセミ混合物を含むその任意の割合の混合物の両方を包含する。
【0058】
本発明は、式(I)、(IV)又は(V)の化合物のエステルを包含する。これらのエステルは、式(I)、(IV)又は(V)の化合物であり、同式(I)、(IV)又は(V)の化合物のヒドロキシル基またはカルボキシ基が、当該技術分野において周知の技術を使用して、保護基の付加により修飾されている(例えば、Theodora W.Greene及びPeter G.M.Wutsの「Protective Groups in Organic Synthesis(第2版)」、1991年、John Wiley & Sons社刊を参照されたい)。
【0059】
保護基の性質に関しては、エステルが治療の目的にて意図されており、薬理学的に許容されるものであるならば、即ち、同化合物の哺乳動物の身体へ投与され、その代謝過程(例えば、加水分解)によって保護基が必ず除去され、式(I)、(IV)又は(V)の化合物又はその塩が与えられるのであれば、特に制限されることはない。即ち、薬理学的に許容されるエステルは、本発明の式(I)、(IV)又は(V)の化合物のプロドラッグである。
【0060】
本発明の式(I)、(IV)又は(V)の化合物のエステルが薬理学的に許容されるかどうかは容易に決定され得る。試験される化合物は、ラット又はマウスのような実験動物へ静脈内投与され、その後動物の体液が試験される。式(I)、(IV)又は(V)の化合物又は薬理学的に許容されるその塩が体液中にて検出される場合、その試験される化合物は薬理学的に許容されるエステルであり得ると判断される。
【0061】
本発明の式(I)、(IV)又は(V)の化合物はエステルに変換され、その例は式(I)、(IV)又は(V)の化合物に存在するヒドロキシル基がエステル化されたものを含む。エステル残基は、エステル化された化合物が薬理学的に許容されるものとなるためにはインビボの代謝過程(例えば、加水分解)にて、除去可能であることが必要である。そのような保護基の好ましい例は、以下のものを含む。
【0062】
(i)1−(アシルオキシ)低級アルキル基:その例としては、1乃至6個の炭素原子を有するアルキルカルボニルオキシ基で置換された既に定義された1乃至6個の炭素原子を有するアルキル基からなる1−(脂肪族アシルオキシ)低級アルキル基であって、その例としホルミルオキシメチル基、アセトキシメチル基、プロピオニルオキシメチル基、ブチリルオキシメチル基、ピバロイルオキシメチル基、バレリルオキシメチル基、イソバレリルオキシメチル基、ヘキサノイルオキシメチル基、1−ホルミルオキエチル基、1−アセトキシエチル基、1−プロピオニルオキシエチル基、1−ブチリルオキシエチル基、1−ピバロイルオキシエチル基、1−バレリルオキシエチル基、1−イソバレリルオキシエチル基、1−ヘキサノイルオキシエチル基、1−ホルミルオキプロピル基、1−アセトキシプロピル基、1−プロピオニルオキシプロピル基、1−ブチリルオキシプロピル基、1−ピバロイルオキシプロピル基、1−バレリルオキシプロピル基、1−イソバレリルオキシプロピル基、1−ヘキサノイルオキシプロピル基、1−アセトキシブチル基、1−プロピオニルオキシブチル基、1−ブチリルオキシブチル基、1−ピバロイルオキシブチル基、1−アセトキシペンチル基、1−プロピオニルオキシペンチル基、1−ブチリルオキシペンチル基、1−ピバロイルオキシペンチル基及び1−ピバロイルオキシヘキシル基を含む1−(脂肪族アシルオキシ)低級アルキル基と;カルボニルオキシ基が1乃至6個の炭素原子を有するシクロアルキル基で置換されたシクロアルキルカルボニルオキシ基で置換された既に定義された1乃至6個の炭素原子を有するアルキル基からなる1−(シクロアルキルカルボニルオキシ)低級アルキル基であって、その例としてシクロペンチルカルボニルオキシメチル基、シクロヘキシルカルボニルオキシメチル基、1−シクロペンチルカルボニルオキシエチル基、1−シクロヘキシルカルボニルオキシエチル基、1−シクロペンチルカルボニルオキシプロピル基、1−シクロヘキシルカルボニルオキシプロピル基、1−シクロペンチルカルボニルオキシブチル基及び1−シクロヘキシルカルボニルオキシブチル基を含む1−(シクロアルキルカルボニルオキシ)低級アルキル基と;アリールカルボニル基で置換された酸素原子を含むアリールカルボニルオキシ基で置換された既に定義された1乃至6個の炭素原子を有するアルキル基からなる1−(芳香族アシルオキシ)低級アルキル基であって、その例としてベンゾイルオキシメチル基を含む1−(芳香族アシルオキシ)低級アルキル基と;が挙げられる。
【0063】
(ii)置換されたカルボニルオキシアルキル基:その例としては、既に定義された1乃至6個の炭素原子を有するアルキル基、既に定義された1乃至6個の炭素原子を有するアルコキシ基で置換されたカルボニルオキシ基を含む低級アルコキシカルボニルオキシ基で置換された1乃至6個の炭素原子を有するシクロアルキル基、又は1乃至6個の炭素原子を有するシクロアルコキシ基からなる(低級アルコキシカルボニルオキシ)アルキル基であって、その例としてはメトキシカルボニルオキシメチル基、エトキシカルボニルオキシメチル基、プロピオキシカルボニルオキシメチル基、イソプロピオキシカルボニルオキシメチル基、ブトキシカルボニルオキシメチル基、イソブトキシカルボニルオキシメチル基、ペンチルオキシカルボニルオキシメチル基、ヘキシルオキシカルボニルオキシ−メチル基、シクロヘキシルオキシカルボニルオキシメチル基、シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ(シクロヘキシル)−メチル基、1−(メトキシカルボニルオキシ)エチル基、1−(エトキシカルボニルオキシ)エチル基、1−(プロポキシ−カルボニルオキシ)エチル、1−(イソプロポキシカルボニルオキシ)エチル基、1−(ブトキシカルボニルオキシ)エチル基、1−(イソブトキシカルボニルオキシ)エチル基、1(t−ブトキシカルボニルオキシ)エチル基、1−(ペンチルオキシカルボニルオキシ)エチル基、1−(ヘキシルオキシカルボニルオキシ)エチル基、1−(シクロペンチルオキシカルボニルオキシ)−エチル基、1−(シクロペンチルオキシカルボニルオキシ)−プロピル基、1−(シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)−プロピル基、1−(シクロペンチルオキシカルボニルオキシ)−ブチル基、1−(シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)ブチル基、1−(シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)エチル基、1−(エトキシカルボニルオキシ)プロピル基、1−(メトキシ−カルボニルオキシ)プロピル基、1−(エトキシカルボニルオキシ)プロピル基、1−(プロポキシカルボニルオキシ)プロピル基、1−(イソプロポキシカルボニルオキシ)プロピル基、1−(ブトキシカルボニルオキシ)プロピル基、1−(イソブトキシカルボニルオキシ)プロピル基、1−(ペンチルオキシカルボニルオキシ)プロピル基、1−(ヘキシルオキシカルボニルオキシ)プロピル基、1−(メトキシカルボニルオキシ)ブチル基、1−(エトキシカルボニルオキシ)ブチル基、1−(プロピオキシ−カルボニルオキシ)ブチル基、1−(イソプロポキシカルボニルオキシ)ブチル基、1−(ブトキシカルボニルオキシ)ブチル基、1−(イソブトキシカルボニルオキシ)ブチル基、1−(メトキシカルボニルオキシ)ペンチル基、1−(エトキシカルボニルオキシ)ペンチル基、1−(メトキシカルボニルオキシ)ヘキシル基及び1−(エトキシカルボニルオキシ)ヘキシル基を含む置換されたカルボニルオキシアルキル基;及び置換されたオキソジオキソレニルメチル基であって、既に定義された1乃至6個の炭素原子を有するアルキル基と、既に定義された6乃至14個の炭素原子を有するアリール基であって、既に定義された1乃至6個の炭素原子を有する少なくとも一つのアルキル基、既に定義された1乃至6個の炭素原子を有するアルコキシ基、又はハロゲン原子で選択的に置換されているアリール基と、からなる群より選択された置換基でそれ自身が選択的に置換されているオキソジオキソレニルメチル基において、その例が、(5−フェニル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メチル基、[5−(4−メチルフェニル)−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル]メチル基、[5−(4−メトキシフェニル)−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル]メチル基、[5−(4−フルオロフェニル)−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル]メチル基、[5−(4−クロロフェニル)−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル]メチル基、(2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)−メチル基、(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)−メチル基、(5−エチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)−メチル基、(5−プロピル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)−メチル基、(5−イソプロピル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)−メチル基及び(5−ブチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)−メチル基、を含むオキソジオキソレニルメチル基。
【0064】
(iii)既に定義された1乃至6個の炭素原子を有するアルキル基及び既に定義された1乃至6個の炭素原子を有するアルコキシ基からなる群より選択された置換基で選択的に置換され得るフタリジル基を有するフタリジル基:その例としては、フタリジル基、ジメチルフタリジル基及びジメトキシフタリジル基が挙げられる。
【0065】
(iv)脂肪族アシル基であって、その例としては1乃至25個の炭素原子を有するアルキルカルボニル基と、飽和又は不飽和のC
2−C
10脂肪族ジカルボン酸のエステル形成残基と、そのアルキル部分が少なくとも一つのハロゲン原子で置換されている1乃至25個の炭素原子を有するハロゲン化アルキルカルボニル基と、そのアルキル部分が既に定義された少なくとも一つのC
1−C
6アルコキシ基で置換されている1乃至25個の炭素原子を有するアルキルカルボニル基を含む低級アルコキシアルキルカルボニル基と、1乃至25個の炭素原子を有する不飽和アルキルカルボニル基と、を含み、アルキルカルボニル基の例としては、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ペンタノイル基、ピバロイル基、バレリル基、イソバレリル基、オクタノイル基、ノナノイル基、デカノイル基、3−メチルノナノイル基、8−メチルノナノイル基、3−エチルオクタノイル基、3,7−ジメチルオクタノイル基、ウンデカノイル基、ドデカノイル基、トリデカノイル基、テトラデカノイル基、ペンタデカノイル基、ヘキサデカノイル基、1−メチルペンタデカノイル基、14−メチル−ペンタデカノイル基、13,13−ジメチルテトラデカノイル基、ヘプタデカノイル基、15−メチルヘキサデカノイル基、オクタデカノイル基、1−メチルヘプタデカノイル基、ノナデカノイル基、エイコサノイル基及びヘネイコサノイル基が挙げられ;エステル形成残基の例としてはフマル酸塩、マレイン酸塩、シュウ酸塩又はコハク酸塩が挙げられ、ハロゲン化アルキルカルボニル基の例としてはクロロアセチル基、ジクロロアセチル基、トリクロロアセチル基及びトリフルオロアセチル基が挙げられ;低級アルコキシアルキルカルボニル基の例としてはメトキシアセチル基が挙げられ;かつ不飽和アルキルカルボニル基の例としてはアクリロイル基、プロピオロイル基、メタクリロイル基、クロトノイル基、イソクロトノイル基及び(E)−2−メチル−2−ブテノイル基が挙げられ、これらのうちでは1乃至6個の炭素原子を有するアルキルカルボニル基が好ましい。
【0066】
(v)芳香族アシル基であって、その例としては、すでに定義された6乃至14個の炭素原子を有するアリール基で置換されたカルボニル基を含むアリールカルボニル基と、少なくともひとつのハロゲン原子で置換された既に定義されたアリールカルボニル基を含むハロゲン化アリールカルボニル基と、既に定義された1乃至6個の炭素原子を有する少なくとも一つのアルキル基で置換された既に定義されたアリールカルボニル基を含む低級アルキル化アリールカルボニル基と、すでに定義された1乃至6個の炭素原子を有する少なくとも一つのアルコキシ基で置換された既に定義されたアリールカルボニル基を含む低級アルコキシ化アリールカルボニル基と、少なくとも一つのニトロ基で置換されたすでに定義されたアリールカルボニル基を含むニトロ化アリールカルボニル基と、既に定義された1乃至6個の炭素原子を含むアルコキシ基で自身が置換されているカルボニル基で置換された既に定義されたアリールカルボニル基を含む低級アルコキシカルボニル化アリールカルボニル基と、既に定義された6乃至14個の炭素原子を有する少なくとも一つのアリール基で置換された既に定義されたアリールカルボニル基を含むアリール化アリールカルボニル基と、を含み、アリールカルボニル基の例としてはベンゾイル基、α−ナフトイル基及びβ−ナフトイル基が挙げられ;ハロゲン化アリールカルボニル基の例としては2−ブロモベンゾイル基、4−クロロベンゾイル基及び2,4,6−トリフルオロベンゾイル基が挙げられ;低級アルキル化アリールカルボニル基の例としては2,4,6−トリメチル−ベンゾイル基及び4−トルオイル基が挙げられ;低級アルコキシ化アリールカルボニル基の例としては4−アニソイル基が挙げられ;ニトロ化アリールカルボニル基の例としては4−ニトロベンゾイル基及び2−ニトロベンゾイル基が挙げられ;低級アルコキシカルボニル化アリールカルボニル基の例としては2−(メトキシカルボニル)ベンゾイル基が挙げられ;かつアリール化アリールカルボニル基の例としては4−フェニルベンゾイル基が挙げられる。
【0067】
(vi)コハク酸の半エステル塩残基。
(vii)リン酸エステル塩残基。
(viii)グルタミン酸塩及びアスパラギン酸塩のようなアミノ酸のエステル形成残基。
【0068】
(ix)既に定義された1乃至6個の炭素原子を有する一つ又は二つのアルキル基で選択的に置換され得るカルバモイル基。
(x)その低級アルコキシ部分が既に定義された脂肪族アシルオキシ基またはすでに定義された芳香族アシルオキシ基で置換されているすでに定義された低級アルコキシカルボニル基を含む1−(アシルオキシ)アルコキシカルボニル基であって、その例としてピバロイルオキシメチルオキシカルボニル基を含む、1−(アシルオキシ)アルコキシカルボニル基。
【0069】
ヒドロキシル残基が修飾された式(I)、(IV)又は(V)の化合物を合成するために使用される上述の保護基であって、インビボにおける代謝過程(例えば、加水分解)により除去することが可能な保護基のうちで、C
1−C
25アルキルカルボニル基及び置換されたカルボニルオキシアルキル基が好ましい。
【0070】
式(I)の好ましい化合物は、式(Ia)の化合物及び薬理学的に許容されるその塩及びエステルである。
【0071】
【化5】
ここで、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9及びR
10は既に定義され、かつ例示されている。
式(Ia)の化合物及び薬理学的に許容されるその塩及びエステルのうちで好ましいものは以下のものである。
【0072】
(i)R
1は、1乃至4個の炭素原子を有するアルキル基、2乃至4個の炭素原子を有するアルケニル基、又は2乃至4個の炭素原子を有するアルキニル基である。
(ii)R
1は、メチル基又はエチニル基である。
(iii)R
2は、ヒドロキシル基、2乃至5個の炭素原子を有するアルカノイルオキシ基、式(II)の置換基であって、nが0、1又は2であり、かつR
11が1乃至4個の炭素原子を有するアルキル基、ヒドロキシル基、1乃至4個の炭素原子を有するアルコキシ基又は式−N(R
14)
2の置換基(ここで、各R
14基は、同一又は異なっており、かつ水素又は1乃至4個の炭素原子を有するアルキル基である)である式(II)の置換基、或いは式(III)の置換基であって、mが0、1又は2であり、かつR
12及びR
13の各々が同一であるか又は異なっており、かつ水素又は1乃至4個の炭素原子を有するアルキル基である式(III)の置換基である。
【0073】
(iv)R
2は、ヒドロキシル基、2又は3個の炭素原子を有するアルカノイルオキシ基、式(II)の置換基であって、nが0であり、かつR
11がメチル基、エチル基、ヒドロキシル基、メトキシ基、エトキシ基、アミノ基、メチルアミノ基又はジメチルアミノ基である式(II)の置換基、或いは式(III)の置換基であって、mが0又は1であり、かつR
12及びR
13の各々が同一であるか又は異なっており、かつ水素、メチル基又はエチル基である式(III)の置換基である。
【0074】
(v)R
2はヒドロキシル基である。
(vi)R
3は水素又は1乃至4個の炭素原子を有するアルキル基である。
(vii)R
3はメチル基である。
(viii)R
4は水素又は1乃至4個の炭素原子を有するアルキル基である。
(ix)R
4はメチル基である。
(x)R
7、R
8、R
9及びR
10は、それらに結合されている炭素原子を合わせて5乃至7員環の複素環置換基を構成し、同5乃至7員環の複素環置換基は選択的に1乃至3個の置換基で置換されており、同置換基は同一あるか異なっており、かつ以下の置換基α
1から選択され、置換基α
1はハロゲン原子、ヒドロキシル基、アミノ基、1乃至4個の炭素原子を有するアルキル基、1乃至4個の炭素原子を有するアルコキシ基及び式−N(R
16a)
2の置換基(ここで、各R
16a基は、同一又は異なっており、かつ水素又は1乃至4個の炭素原子を有するアルキル基である)から構成される官能基である。
【0075】
(xi)R
7、R
8、R
9及びR
10は、それらに結合されている炭素原子を合わせてイソキサゾリル基を構成する。
(xii)そして、R
5及びR
6の各々は水素原子であるか、又はR
5及びR
6を合わせて一重結合を構成する。
【0076】
(i)乃至(ii)、(iii)乃至(v)、(vi)乃至(vii)、(viii)乃至(ix)及び(x)乃至(xi)の各群において、より大きな数の置換基内に収まる置換基を有する式(Ia)の化合物及び薬理学的に許容されるその塩及びエステルがより好ましい。
【0077】
式(Ia)の化合物及び薬理学的に許容されるその塩及びエステルは、(i)乃至(ii)から選択されるR
1、(iii)乃至(v)から選択されるR
2、(vi)乃至(vii)から選択されるR
3、(viii)乃至(ix)から選択されるR
4、(x)乃至(xi)から選択されるR
7、R
8、R
9及びR
10及び(xia)から選択されるR
5及びR
6と選択的に組み合わされると、同様に好ましい。
【0078】
式(Ia)の化合物及び薬理学的に許容されるその塩及びエステルは以下の組み合わせを有すると特に好ましい。
(a)R
1=(i)、R
2=(iii)、R
3=(vi)、R
4=(viii)、R
5及びR
6=(xia)、R
7、R
8、R
9及びR
10=(x);(b)R
1=(ii)、R
2=(iv)、R
3=(vii)、R
4=(xi)、R
5及びR
6=(xia)、R
7、R
8、R
9及びR
10=(x);及び(c)R
1=(ii)、R
2=(v)、R
3=(vii)、R
4=(ix)、R
5及びR
6=(xia)、R
7、R
8、R
9及びR
10=(xi)。
【0079】
式(Ia)の最も好ましい化合物及び薬理学的に許容されるその塩及びエステルは、ダナゾール及びスタノゾロール並びに薬理学的に許容されるそれらの塩及びエステルである。
【0080】
【化6】
【化7】
ダナゾール及びスタノゾロールは、抗アンドロジェン活性を有する公知の合成ステロイドホルモンである。ダナゾール(17α−プレグナ−2,4−ジエン−20−イノ[2,3−d]−イソキサゾール−17β−オル)は、種々のステロイドホルモン受容体と結合し、エストラジオール、プロゲステロン、テストステロン及びグルココルチコイドの合成を阻害する弱アンドロゲンであり、子宮内膜症の治療に使用される経口剤としての用途が周知である。スタノゾロール(17−メチル−5α−アンドロスタノ[3,2−c]ピラゾール−17β−オル)は、合成テストステロン類似体である。
【0081】
コンピュータモデルは、ダナゾールは血液脳関門を通過すべきであることを示している(データは示さない)。出願人の知る限りにおいて、ダナゾールが通過することは本発明の前には報告されていない。
【0082】
式(IV)の好ましい化合物は、式(IVa)の化合物及び薬理学的に許容されるその塩及びエステルである。
【0083】
【化8】
ここで、R
17、R
18、R
19、R
20、R
21、R
22、R
23、R
24、R
25、R
26、R
27、R
28及びR
29は既に定義され、かつ例示されている。
式(IVa)の化合物及び薬理学的に許容されるその塩及びエステルのうちで好ましいものは以下のものである。
【0084】
(xii)R
18及びR
19の各々は、同一であるか又は異なっており、かつ水素又は1乃至4個の炭素原子を有するアルキル基である。
(xiii)R
18及びR
19の各々は、メチル基である。
(xiv)R
20、R
21及びR
24の各々は、同一であるか又は異なっており、かつ水素又は1乃至4個の炭素原子を有するアルキル基であるか、或いはR
21は水素原子であり、かつR
20及びR
24は合わせて一重結合を構成する。
【0085】
(xv)R
20、R
21及びR
24の各々は水素であるか、或いはR
21は水素原子であり、かつR
20及びR
24は合わせて一重結合を構成する。
(xvi)R
17は、水素又は1乃至4個の炭素原子を有するアルキル基である。
(xvii)R
17は水素である。
(xviii)R
22は、ヒドロキシル基、2乃至5個の炭素原子を有するアルカノイルオキシ基、式(II)の置換基であって、nが0、1又は2であり、かつR
11が1乃至4個の炭素原子を有するアルキル基、ヒドロキシル基、1乃至4個の炭素原子を有するアルコキシ基又は式−N(R
14)
2の置換基(ここで、各R
14基は、同一又は異なっており、かつ水素又は1乃至4個の炭素原子を有するアルキル基である)である式(II)の置換基、或いは式(III)の置換基であって、mが0、1又は2であり、かつR
12及びR
13の各々が同一であるか又は異なっており、かつ水素又は1乃至4個の炭素原子を有するアルキル基である式(III)の置換基である。
【0086】
(xix)R
22は、ヒドロキシル基、2又は3個の炭素原子を有するアルカノイルオキシ基、式(II)の置換基であって、nが0であり、かつR
11がメチル基、エチル基、ヒドロキシル基、メトキシ基、エトキシ基、アミノ基、メチルアミノ基又はジメチルアミノ基である式(II)の置換基、或いは式(III)の置換基であって、mが0又は1であり、かつR
12及びR
13の各々が同一であるか又は異なっており、かつ水素、メチル基又はエチル基である式(III)の置換基である。
【0087】
(xx)R
17及びR
22は合わせてオキソ基を構成する。
(xxi)R
23、及びR
29の各々は水素であるか、或いはR
23及びR
29は合わせてエポキシ結合を構成する。
【0088】
(xxii)R
25は水素又は1乃至4個の炭素原子を有するアルキル基であり、R
26はシアノ基であり、かつR
27及びR
28はそれらに結合されている炭素原子を合わせてカルボニル基を構成する。或いは、R
25、R
26、R
27及びR
28は、それらに結合されている炭素原子を合わせて5乃至7員環の複素環置換基を構成し、同5乃至7員環の複素環置換基は選択的に1乃至3個の置換基で置換されている(同置換基は同一あるか異なっており、かつ既に定義された置換基α
1から選択される)。
【0089】
(xxiii)R
25は水素であり、R
26はシアノ基であり、かつR
27及びR
28はそれらに結合されている炭素原子を合わせてカルボニル基を構成する。或いは、R
25、R
26、R
27及びR
28は、それらに結合されている炭素原子を合わせてイソキサゾリル基を構成する。
【0090】
(xii)乃至(xiii)、(xiv)乃至(xv)、(xvi)乃至(xvii)、(xviii)乃至(xix)及び(xxii)乃至(xxiii)の各群において、より大きな数の置換基内に収まる置換基を有する式(IVa)の化合物及び薬理学的に許容されるその塩及びエステルがより好ましい。
【0091】
式(IVa)の化合物及び薬理学的に許容されるその塩及びエステルは、(xii)乃至(xiii)から選択されるR
18及びR
19、(xiv)乃至(xv)から選択されるR
20、R
21及びR
24、(xvi)、(xvii)及び(xx)から選択されるR
17、(xviii)乃至(xx)から選択されるR
22、(xxi)から選択されるR
23及びR
29及び(xxii)乃至(xxiii)から選択されるR
25、R
26、R
27及びR
28と選択的に組み合わされると、同様に好ましい。
【0092】
式(IVa)の化合物及び薬理学的に許容されるその塩及びエステルは以下の組み合わせを有すると特に好ましい。
(d)R
18及びR
19=(xii)、R
20、R
21及びR
24=(xiv)、R
17=(xvi)及びR
22=(xviii)、R
23及びR
29=(xxi)並びにR
25、R
26、R
27及びR
28=(xxii);(e)R
18及びR
19=(xiii)、R
20、R
21及びR
24=(xv)、R
17=(xvii)及びR
22=(xix)、R
23及びR
29=(xxi)並びにR
25、R
26、R
27及びR
28=(xxiii);(f)R
18及びR
19=(xii)、R
20、R
21及びR
24=(xiv)、R
17及びR
22を合わせて(xx)、R
23及びR
29=(xxi)並びにR
25、R
26、R
27及びR
28=(xxii);(g)R
18及びR
19=(xiii)、R
20、R
21及びR
24=(xv)、R
17及びR
22を合わせて(xx)、R
23及びR
29=(xxi)並びにR
25、R
26、R
27及びR
28=(xxii)。
【0093】
式(IVa)の最も好ましい化合物及び薬理学的に許容されるその塩及びエステルは、トリロスタン、トリロスタンII、トリロスタンIII、ケト−トリロスタン並びに薬理学的に許容されるそれらの塩及びエステルである。
【0094】
【化9】
トリロスタン(2α−シアノ−4α,5α−エポキシアンドロスタン−17β−オル−3−オン)及びその誘導体は、コルチゾルのようなグルココルチコイドの血中濃度を低下させる活性を有する合成ステロイドホルモンである。トリロスタンは、クッシング症候群及び進行乳癌の治療のための経口薬として周知であり、英国特許出願公開第1123770号公報、英国特許出願公開第2130588号公報、英国特許出願公開第2345851号公報、米国特許第3296255号明細書及び国際出願WO/080930号に記載されており、これらの内容は、本明細書において参照により援用される。
【0095】
コンピュータモデルは、トリロスタンは血液脳関門を非常に容易に通過すべきであることを示している(データは示さない)。出願人の知る限りにおいて、トリロスタンが通過することは本発明の前には報告されていない。
【0096】
式(V)の好ましい化合物は、式(Va)の化合物及び薬理学的に許容されるその塩及びエステルである。
【0097】
【化10】
ここで、R
35、R
36、R
37、R
38、R
39、R
40、R
41、R
42、R
43及びR
44は既に定義され、かつ例示されている。
式(Va)の化合物及び薬理学的に許容されるその塩及びエステルのうちで好ましいものは以下のものである。
【0098】
(i)R
35は、1乃至4個の炭素原子を有するアルキル基、2乃至4個の炭素原子を有するアルケニル基、又は2乃至4個の炭素原子を有するアルキニル基である。
(ii)R
35は、メチル基又はエチニル基である。
(iii)R
36は、ヒドロキシル基、2乃至5個の炭素原子を有するアルカノイルオキシ基、式(II)の置換基であって、nが0、1又は2であり、かつR
11が1乃至4個の炭素原子を有するアルキル基、ヒドロキシル基、1乃至4個の炭素原子を有するアルコキシ基又は式−N(R
14)
2の置換基(ここで、各R
14基は、同一又は異なっており、かつ水素又は1乃至4個の炭素原子を有するアルキル基である)である式(II)の置換基、或いは式(III)の置換基であって、mが0、1又は2であり、かつR
12及びR
13の各々が同一であるか又は異なっており、かつ水素又は1乃至4個の炭素原子を有するアルキル基である式(III)の置換基である。
【0099】
(iv)R
36は、ヒドロキシル基、2又は3個の炭素原子を有するアルカノイルオキシ基、式(II)の置換基であって、nが0であり、かつR
11がメチル基、エチル基、ヒドロキシル基、メトキシ基、エトキシ基、アミノ基、メチルアミノ基又はジメチルアミノ基である式(II)の置換基、或いは式(III)の置換基であって、mが0又は1であり、かつR
12及びR
13の各々が同一であるか又は異なっており、かつ水素、メチル基又はエチル基である式(III)の置換基である。
【0100】
(v)R
36はヒドロキシル基である。
(vi)R
37は水素又は1乃至4個の炭素原子を有するアルキル基である。
(vii)R
37はメチル基である。
(viii)R
38は水素又は1乃至4個の炭素原子を有するアルキル基である。
(ix)R
38はメチル基である。
(x)R
41及びR
42の各々は水素であり、かつR
43及びR
44はそれらに結合している炭素原子を合わせてカルボニル基を構成する。或いは、R
41、R
42、R
43及びR
44は、それらに結合されている炭素原子を合わせて5乃至7員環の複素環置換基を構成し、同5乃至7員環の複素環置換基は選択的に1乃至3個の置換基で置換されている(同置換基は同一あるか異なっており、かつ以下の置換基α
1から選択され、置換基α
1はハロゲン原子、ヒドロキシル基、アミノ基、1乃至4個の炭素原子を有するアルキル基、1乃至4個の炭素原子を有するアルコキシ基、フェニル基及び式−N(R
16a)
2の置換基(ここで、各R
16a基は、同一又は異なっており、かつ水素又は1乃至4個の炭素原子を有するアルキル基である)からなる群を示す)。
【0101】
(xi)R
41、R
42、R
43及びR
44は、それらに結合されている炭素原子を合わせてイソキサゾリル基を構成する。
(xii)そして、R
39及びR
40の各々は水素原子であるか、又はR
39及びR
40を合わせて一重結合を構成する。
【0102】
(i)乃至(ii)、(iii)乃至(v)、(vi)乃至(vii)、(viii)乃至(ix)及び(x)乃至(xi)の各群において、より大きな数の置換基内に収まる置換基を有する式(Va)の化合物及び薬理学的に許容されるその塩及びエステルがより好ましい。
【0103】
式(Va)の化合物及び薬理学的に許容されるその塩及びエステルは、(i)乃至(ii)から選択されるR
35、(iii)乃至(v)から選択されるR
36、(vi)乃至(vii)から選択されるR
37、(viii)乃至(ix)から選択されるR
38、(x)乃至(xi)から選択されるR
41、R
42、R
43及びR
44及び(xia)から選択されるR
39及びR
40と選択的に組み合わされると、同様に好ましい。
【0104】
式(Va)の化合物及び薬理学的に許容されるその塩及びエステルは以下の組み合わせを有すると特に好ましい。
(a)R
35=(i)、R
36=(iii)、R
37=(vi)、R
38=(viii)、R
39及びR
40=(xia)、R
41、R
42、R
43及びR
44=(x);(b)R
35=(ii)、R
36=(iv)、R
37=(vii)、R
38=(ix)、R
39及びR
40=(xia)、R
41、R
42、R
43及びR
44=(x);及び(c)R
35=(ii)、R
36=(v)、R
37=(vii)、R
38=(ix)、R
39及びR
40=(xia)、R
41、R
42、R
43及びR
44=(xi)。
【0105】
式(Va)の最も好ましい化合物及び薬理学的に許容されるその塩及びエステルは、エチステロン、ダナゾール及びスタノゾロール並びに薬理学的に許容されるそれらの塩及びエステルである。
【0106】
【化11】
エチステロンは、抗アンドロゲン活性を有する公知の合成ステロイドホルモンである。エチステロン(17α−ヒドロキシプレグン−4−エン−20−イン−3−オン)は、生理不順を治療するために、経口避妊薬と組み合わせる成分として、これまでは使用されてきた。ダナゾール及びスタノゾロールは既に記載した。
【0107】
既に明記したように、式I又はIVのステロイド或いは薬理学的に許容されるその塩若しくはエステルは、眼若しくは脳の血管新生性の疾病若しくは症状を治療するために使用可能である。そのために、式I又はIVのステロイド或いは薬理学的に許容されるその塩若しくはエステルは、治療の必要な動物に投与される。好ましくは、動物は、ウサギ、ヤギ、イヌ、ネコ、ウマ又はヒトのような哺乳動物である。最も好ましくは、動物はヒトである。
【0108】
既に明記したように、式I、IV又はVのステロイド或いは薬理学的に許容されるその塩若しくはエステルは、眼若しくは脳の炎症性の疾病若しくは症状を治療するために使用可能である。そのために、式I、IV又はVのステロイド或いは薬理学的に許容されるその塩若しくはエステルは、治療の必要な動物に投与される。好ましくは、動物は、ウサギ、ヤギ、イヌ、ネコ、ウマ又はヒトのような哺乳動物である。最も好ましくは、動物はヒトである。
【0109】
本発明の化合物の効果的な剤型、投与様式及び投与量は、経験的に決定され、そのような決定を行うことは当業者の知識の範囲内にある。投与量は、使用される特定の化合物、治療されるべき疾病又は症状、疾病又は症状の重篤度、投与経路、同化合物の排泄率、治療期間、動物に投与されるその他任意の薬物の存在、動物の年齢、大きさ及び種、並びに医学及び獣医学の技術分野において周知の同様の因子より変更できることが当業者によって理解される。一般的に、本発明の化合物の適切な一日量は、治療効果を生ずるのに効果的な最も低い容量である化合物量であろう。しかしながら、一日量は適正な医学的判断の範囲内において医師又は獣医師の立会いの下に決定されるであろう。所望に応じて、効果的な一日量は、一日を通して、適切な間隔にて別々に、2回、3回、4回、5回、6回又はそれ以上の回数に分けて投与され得る。化合物の投与は、許容できる反応が達成されるまで継続されるべきである。
【0110】
本発明の化合物(即ち、式(I)、(IV)又は(V)のステロイド或いは薬理学的に許容されるその塩若しくはエステル)は任意の適切な投与経路にて治療のために動物の患者に投与され、同投与経路としては、経口投与、経鼻投与、非経口投与(例えば、静脈内投与、腹腔内投与、皮下投与又は筋肉内投与)、経皮投与、眼内投与及び局所投与(口腔又は舌下を含む)を含む。眼の疾病及び症状を治療するのに好ましい投与経路は経口投与、眼内投与及び局所投与である。最も好ましいのは局所投与である。脳の疾病及び症状を治療するのに好ましい投与経路は、経口投与及び非経口投与である。最も好ましいのは経口投与である。
【0111】
本発明の化合物は単独にて投与することが可能ではあるものの、製剤(組成物)として同化合物を投与することが好ましい。本発明の製薬組成物は、混合物内に活性成分として本発明の一つ又は複数の化合物を含み、同混合物は、製薬的に許容される一つ以上の担体を含み、かつ選択的に一つ以上のその他の化合物、薬物又はその他の材料を含む。各担体は、製剤のその他の成分と適合されるとともに、動物に害を与えないという観点から「許容することができる」ものである必要がある。製薬的に許容される担体は、当業者には周知である。選択された投与経路に関わらず、本発明の化合物は、当業者に周知の従来の方法により製薬的に許容される剤型に製剤化される。例えば、Remington=s Parmaceutical Sciencesを参照されたい。
【0112】
本発明の経口投与に適した製剤は、カプセル剤、カシュ剤、丸剤、錠剤、散剤、顆粒剤の形態であり得るか、水性又は非水性の液体中の液剤又は懸濁剤として、水中油型若しくは油中水型の乳剤として、エリキシル剤若しくはシロップ剤として、トローチ剤(ゼラチン及びグリセリン、またはショ糖及びアラビアゴムのような不活性な基材を使用する)として形成され、各々が本発明の一つ又は複数の化合物の所定量を活性成分として含んでいる。本発明の一つ又は複数の化合物は、大丸薬、舐剤又はパスタ剤としても投与され得る。
【0113】
経口投与のための本発明の固体剤型(カプセル剤、錠剤、丸剤、糖衣錠、散剤、顆粒剤等)において、活性成分(即ち、上記した式の一つ以上のステロイド及び/又は薬理学的に許容可能なその塩及び/又はエステル)は、一つ以上の製薬的に許容される担体と混合され、同担体としては、例えば、クエン酸ナトリウム又はリン酸二カルシウム、及び/又は以下のうちの任意のもの:(1)、デンプン、乳糖、ショ糖、グルコース、マンニトール及び/又はケイ酸のような充填剤又は増量剤、(2)例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ショ糖及び/又はアラビアゴムのような結合剤、(3)グリセロールのような保湿剤、(4)寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモデンプン若しくはタピオカデンプン、アルギン酸、所定のケイ酸塩及び炭酸ナトリウムのような崩壊剤、(5)パラフィンのような溶液遅延剤、(6)4級アンモニウム化合物のような吸収促進剤、(7)例えば、セチルアルコール及びモノステアリン酸グリセロールのような湿潤剤、(8)カオリン及びベントナイト粘土のような吸収剤、(9)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム及びそれらの混合物のような潤滑剤、及び(10)着色剤を含む。カプセル剤、錠剤及び丸剤の場合、製薬組成物はまた緩衝剤を含み得る。同種の固体組成物は、充填されたゼラチン軟カプセル及びゼラチン硬カプセル中にラクトース又は乳糖のような賦形剤並びに高分子量ポリエチレングリコール等を使用する充填材が使用され得る。
【0114】
錠剤は、一つ以上の補助成分とともに選択的に圧縮又は成形により製造され得る。圧縮錠剤は、結合剤(例えば、ゼラチン又はヒドロキシプロピルメチルセルロース)、潤滑剤、不活性な希釈剤、保存剤、崩壊剤(例えば、デンプングリコール酸ナトリウム又は架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム)、界面活性剤又は分散剤を使用して調製され得る。成形錠剤は、不活性の液体希釈剤で湿潤させた粉体化合物の混合物を適切な機械にて成形することにより製造され得る。
【0115】
錠剤及び、例えば糖衣錠、カプセル剤、丸剤及び顆粒剤のような本発明の製薬組成物のその他の固体剤型は、例えば、腸溶性コーティング及び製剤の技術分野において周知のその他のコーティングのようなコーティング及びシェルを備えた状態にて選択的に得られるか、又は調製され得る。それらは、例えば、所望の放出プロファイルを得るために混合比を変化させたヒドロキシプロピルメチルセルロース、その他のポリマーマトリックス、リポソーム及び/又はマイクロスフェアを使用して、活性成分の遅延型放出又は徐放性放出を提供するように製剤化される。それらは、例えば細菌保持フィルタを介するろ過により滅菌される。これらの成分はまた、選択的に乳白剤を含んでおり、消化器官の特定の部分において、選択的に遅延様式にて、活性成分のみを放出する、又は活性成分を優先的に放出する組成物であり得る。使用され得る埋め込み組成物の例としては、ポリマー物質及びロウを含む。活性成分は、マイクロカプセル形態であり得る。
【0116】
本発明の化合物の経口投与のための液体剤型は、製薬的に許容される乳剤、マイクロエマルジョン、溶液、懸濁剤、シロップ剤及びエリキシル剤を含む。活性成分に加えて、液剤は例えば、水、又は例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、油脂(特に、綿実油、落花生油、コーン油、胚芽油、オリーブ油、ひまし油及びごま油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコール、ソルビタン脂肪酸エステル及びそれらの混合物のようなその他の溶媒、可溶化剤及び乳化剤のような当該技術分野にて一般的に使用されている不活性の希釈剤を含み得る。
【0117】
不活性の希釈剤に加えて、経口組成物は湿潤剤、乳化剤及び懸濁化剤、甘味剤、調味料、着色料、香料及び保存剤のような助剤を含み得る。
活性成分に加えて懸濁剤は、例えば、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトール及びソルビタンエステル、微結晶セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、寒天、及びトラガカント並びにそれら混合物のような懸濁化剤を含み得る。
【0118】
本発明はまた、眼の治療に適した医薬製品を提供する。そのような医薬製品は、製薬組成物、装置及びインプラント(組成物又は装置であり得る)を含む。
本発明の一つ又は複数の化合物の眼球へ注射するための製剤(製薬組成物)は、液剤、乳剤、懸濁剤、粒子、カプセル、マイクロスフェア、リポソーム、マトリックス等を含む。例えば、米国特許第6060463号明細書、米国特許出願公開第2005/0101582号公報及び国際出願公開WO2004/043480号を参照されたい。これらの開示全体は参照により本明細書に援用される。例えば、眼内注射の製剤は、本発明の一つ以上の化合物と組み合わせて、一つ以上の製薬的に許容される滅菌かつ等張化された水性又は非水性の液剤、懸濁剤又は乳剤を含み、これらは抗酸化剤、緩衝剤、懸濁化剤、増粘剤又は粘度増強剤(例えば、ヒアルロン酸ポリマーのような)を含む。適切な水性又は非水性の担体の例は、水、生理食塩水(好ましくは0.9%)、デキストロース水(好ましくは5%)、緩衝剤、ジメチルスルホキシド、アルコール及びポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等)を含む。これらの組成物はまた、湿潤剤、乳化剤及び分散剤のような助剤を含み得る。加えて、注射可能な製剤の徐放性の吸収は、ポリマー及びゼラチンのような吸収を遅延させる作用物質を含むことにより起こり得る。注射可能なデポ剤は、ポリラクチド−ポリグリコリドのような生体分解性ポリマーから形成されるマイクロカプセル又はマイクロスフェアに薬物を封入することにより形成され得る。その他の生体分解性ポリマーの例としては、ポリ(オルトエステル)、ポリ(グリコール酸)、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン及びポリ(無水物)が含まれる。注射可能なデポ剤は、薬物を、眼の組織に適合可能なリポソーム(ジパルミトイルフォスファチジルコリンのような通常の成分から構成される)又はマイクロエマルジョン中に封入することによっても調製され得る。ポリマー又は脂質に対する薬物の比率、特定のポリマー又は脂質成分の性質、使用されるリポソームの種類、マイクロカプセル又はマイクロスフェアがコーティングされているか否か、に依存して、マイクロカプセル、マイクロスフェア及びリポソームからの薬物の放出速度は制御され得る。
【0119】
本発明の化合物はまた、眼内インプラントとして外科的に投与され得る。例えば、ポリビニルアルコール又はポリ酢酸ビニルの分散壁を有し、本発明の一つ以上の化合物を含むリザーバ容器は、強膜上、又は眼内に移植され得る。別の例として、本発明の一つ以上の化合物は、例えばポリカプロラクトン、ポリ(グリコール酸)、ポリ(乳酸)、ポリ(無水物)のようなポリマーまたはセバシン酸のような脂質から形成されたポリマーマトリックス中に組み込まれ、かつ強膜上、又は眼内に移植され得る。これは通常、局部又は局所麻酔を受けた患者の角膜の後側に形成された小さな切開部を使用して実施され得る。次に、マトリックスが切開部から挿入され、強膜に縫合される。
【0120】
本発明の好ましい実施形態は、本発明の化合物の眼への局所投与であり、本発明の特に好ましい実施形態は、眼に適用するのに適した局所製薬組成物である。眼に適用するのに適した局所製薬組成物は、液剤、懸濁剤、分散剤、滴下剤、ゲル、ハイドロゲル及び軟膏を含む。例えば、米国特許第5407926号明細書及び国際出願公開WO2004/058289号、WO01/30337号及びWO01/68053号を参照されたい。これらの開示全体は参照により本明細書に援用される。
【0121】
眼に適用するのに適した局所製剤は水性又は非水性ベース中に本発明の一つ以上の化合物を含む。局所製剤はまた、吸収促進剤、浸透促進剤、増粘剤、粘度増強剤、pHを調整及び/又は維持する作用物質、浸透圧調整剤、保存剤、界面活性剤、緩衝剤、塩(好ましくは塩化ナトリウム)、懸濁化剤、分散剤、可溶化剤、安定化剤及び/又は等張化剤を含む。眼に適用するのに適した局所製剤は本発明の一つ以上の化合物の吸収又は浸透を促進するための吸収促進剤若しくは浸透促進剤、及び/又は、本発明の一つ以上の化合物の眼内での滞留時間を増加させることができる増粘剤若しくは粘度増強剤を好ましくは含むであろう。例えば、国際出願公開WO2004/058289号、WO01/30337号及びWO01/68053号を参照されたい。例示的な吸収/浸透促進剤は、メチルスルホニルメタン単独、又はジメチルスルホキシド、カルボン酸及び界面活性剤との組み合わせを含む。例示的な増粘剤及び粘度増強剤はデキストラン、ポリエチレングリコール、ボリビニルピロリドン、ポリサッカライドゲル、Gelrite(登録商標)、セルロースポリマー(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、カルボキシル含有ポリマー(例えば、アクリル酸のポリマー又はコポリマー)、ポリビニルアルコール及びヒアルロン酸若しくはその塩を含む。
【0122】
眼の治療に適した液体剤型(例えば、液剤、懸濁剤、分散剤及び滴下剤)は、例えば、本発明の一つ以上の化合物を、例えば、水、生理食塩水、水性デキストロース、グリセロール、エタノール等のような担体に溶解、分散、懸濁させることにより調製され、液剤、分散剤又は懸濁剤を形成する。所望に応じて、同製剤は、例えば、酢酸ナトリウム、ソルビタンモノラウレート、酢酸トリエタノールアミンナトリウム、オレイン酸トリエタノールアミンのような、湿潤剤若しくは乳化剤、pH緩衝剤等のような微量の非毒性の補助剤を含有し得る。
【0123】
眼の治療に適した水性の液剤及び懸濁剤は、本発明の化合物に加えて、保存剤、界面活性剤、緩衝剤、塩(好ましくは塩化ナトリウム)、等張化剤及び水を含み得る。懸濁剤が使用される場合、眼への刺激を最小限にするために、粒子径は10μm未満とすべきである。液剤又は懸濁剤が使用される場合、眼に送達される量は、それらが目から過剰に溢れ落ちることを回避するために50μlを超えるべきではない。
【0124】
眼の治療に適したコロイド状懸濁剤はマイクロ粒子(即ち、マイクロスフェア、ナノスフェア、マイクロカプセル又はナノカプセルであり、マイクロスフェア及びナノスフェアは通常製剤が取り込まれるか、吸収されるか、そうでなければ含有されるポリマーマトリックスのモノリシックな粒子である一方、マイクロカプセル及びナノカプセルでは、製剤が実際にカプセル化されている)から形成されている。これらのマイクロ粒子の大きさの上限は、約5μm乃至約10μmである。
【0125】
眼の治療に適した眼軟膏は、鉱油、液体ラノリン、白色ワセリン、上記のものの2つ又は3つの組み合わせ、或いはポリエチレン−鉱油ゲルのような適切なベース中に本発明の一つ以上の化合物を含む。保存剤も選択的に含まれ得る。
【0126】
眼の治療に適した眼軟膏は、Carpobol−940、又はエタノールと水とプロピレングリコールとの組み合わせ(例えば、40:40:20の比率)のような親水性ベース中に本発明の一つ以上の化合物が懸濁された状態にて含まれている。ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、又はグリチルリチン酸アンモニウムのようなゲル化剤が使用される。保存剤及び/又は等張化剤も選択的に含まれ得る。
【0127】
眼の治療に適したハイドロゲルは、増粘剤又は粘度増強剤として既に記載されたような膨潤可能なゲル形成ポリマーを組み込むことにより形成され、例外として、「ハイドロゲル」として当該技術分野において参照される製剤は典型的には「増粘された」液剤又は懸濁剤として参照されている製剤よりも高い粘度を有する。そのように予め形成されたハイドロゲルとは異なり、同製剤は、眼への適用後、その位置にてハイドロゲルを形成するように調製することもできる。そのようなゲルは室温では液体であるが、例えば、体液と接触した場合のような、より高い温度にてゲルとなる(従って、「熱可逆的」ハイドロゲルと称される)。この特性を与える生体分解性のポリマーは、アクリル酸ポリマー及びコポリマー、N−イソプロピルアクリルアミド誘導体、及び酸化エチレン及び酸化プロピレンのABAブロックコポリマー(従来「ポロキサマー」と称され、BASF−Wayndotte社よりPluronic(登録商標)の商品名にて市販されている)を含む。
【0128】
好ましい分散剤はリポソームであり、同リポソームでは製剤がリポソーム(水性部分と脂質二重層とが交互になって構成された微小なベシクル)内に封入されている。
点眼剤は、一つ以上の分散剤、可溶化剤又は懸濁化剤も含む水性又は非水性のベースで製剤化され得る。点眼剤は、簡単な、蓋付容器である目薬の容器により、又は特殊な形状のクロージャにより一滴ずつ液体含量を送達するように形成されたプラスチックボトルによって、送達され得る。
【0129】
本発明の化合物はまた、眼に挿入される薬物が含浸された固体担体によって局所投与され得る。薬物の放出は、典型的には、ポリマーの溶解性または生体浸食性、浸透圧又はそれらの組み合わせによって左右される。複数のマトリックス型の送達系が使用され得る。そのような系は、本発明の所望の化合物が含浸又は浸漬された親水性のソフトコンタクトレンズ、並びに眼に配置した後に除去する必要のない生体分解性または可溶性の装置を含む。これら可溶性の眼内挿入物は、眼にて耐え得ることができ、かつ投与されるべき本発明の化合物と適合する任意の分解性の物質から構成され得る。そのような物質は、ポリ(ビニルアルコール)、ポリアクリルアミドのポリマー及びコポリマー、エチルアクリレート及びビニルピロリドン並びに架橋ポリペプチド又はキチンのようなポリサッカライドを含むが、それらに限定されるものではない。
【0130】
本発明の化合物のその他のタイプの局所投与(即ち、眼以外の投与)、又は経皮投与の剤型は、散剤、噴霧剤、軟膏、パスタ剤、クリーム剤、ローション剤、ゲル剤、液剤、ハップ剤、滴下剤及び吸入剤を含む。滅菌状態にて、活性成分が製薬的に許容される担体、及び必要に応じて、緩衝剤又は推進剤とともに混合される。軟膏、パスタ剤、クリーム剤及びゲル剤は、活性成分に加えて、動物性脂肪及び植物性脂肪、油、ロウ、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコン、ベントナイト、ケイ酸、タルク及び酸化亜鉛又はそれらの混合物のような賦形剤を含み得る。散剤及び噴霧剤は、活性成分に加えて、乳糖、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウム及びポリアミド粉末、或いはこれらの物質の混合物のような賦形剤を含み得る。噴霧剤は付随的に、クロロフルオロ炭化水素及び、ブタン及びプロパンのような揮発性かつ未置換の炭化水素のような推進剤を含み得る。経皮用ハップ剤は本発明の化合物の身体への制御された送達を提供できるという更なる利点を有する。そのような剤型は、本発明の一つ以上の化合物をエラストマー・マトリックス材料のような適切な媒体中へ溶解させる、分散させる、そうでなければ組み込むことにより製造され得る。吸収促進剤もまた皮膚を浸透する化合物の流れを増大させるために使用され得る。そのような流速は、速度制御型の膜を提供することにより、又はポリマーマトリックス又はゲルに化合物を分散することにより、制御され得る。
【0131】
製剤は、吸入又は通気による投与、又は経鼻投与に適したものを含む。吸入による上部(鼻)又は下部呼吸路への投与のために、本発明の化合物は、吸入器、噴霧器、加圧パック又はエアゾールスプレーの送達に便利なその他の手段から簡便に送達される。加圧パックは、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素又はその他の適切なガスのような適切な推進剤を含み得る。加圧されたエアロゾルの場合、単位用量は、計測された量を送達するためにバルブを設けることにより決定され得る。
【0132】
代替的に、吸入又は通気による投与に対して、組成物は、乾燥した粉末の形態、例えば、本発明の一つ以上の化合物と、乳糖又はデンプンのような適切な粉末ベースと、の粉末混合物であり得る。粉末組成物は、例えば、カプセル又はカートリッジによる単位剤型、或いは、例えば粉末が吸入器、注入器又は定量吸入器を用いて投与され得るゼラチン又はブリスターパックの状態であり得る。
【0133】
鼻腔内投与に対して、本発明の化合物は、点鼻薬、又はプラスチック容器アトマイザー又は定量吸入器によるような液体噴霧剤の手段により投与され得る。液体噴霧剤は、加圧パックから簡便に送達される。典型的なアトマイザーは、Mistometer(Wintrop社)及びMedihaler(Riker社)である。
【0134】
点鼻薬は、水性又は非水性ベースで製剤化され、一つ以上の分散剤、可溶化剤又は懸濁化剤を含む。点鼻薬は、簡単な、蓋付容器である目薬の容器により、又は特殊な形状のクロージャにより一滴ずつ液体含量を送達するように形成されたプラスチックボトルによって、送達され得る。
【0135】
非経口投与に適した本発明の製薬組成物は、本発明の一つ以上の化合物と、製薬的に許容される滅菌等張水溶液若しくは非水溶液、分散剤、懸濁剤或いは乳剤、及び使用の直前に滅菌した注射可能な液剤若しくは懸濁剤に再構成され得る滅菌粉末と、を組み合わせて含み、それは、抗酸化剤、緩衝剤、同製剤を使用する患者の血液と等張にする溶質、懸濁化剤又は増粘剤を含み得る。
【0136】
本発明の製薬組成物に使用され得る適切な水性及び非水性担体の例としては、水、エタノール、ポリオール((例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等)及びそれらの適切な混合物、オリーブ油のような植物油及びオレイン酸エチルのような注射可能な有機エステルを含む。例えば、レシチンのようなコーティング材料を使用することにより、分散剤の場合は必要とされる粒子径を維持することにより、及び界面活性剤を使用することにより、適切な流動性が維持される。
【0137】
これらの組成物はまた、湿潤剤、乳化剤及び分散剤のような助剤を含み得る。組成物中に、砂糖、塩化ナトリウム等のような等張化剤を含むことも望ましい。加えて、注射可能な製剤の徐放性の吸収は、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンのような吸収を遅延させる作用物質を含むことにより達成され得る。
【0138】
幾らかの場合、薬物の効果を持続させるために、皮下注射又は筋肉内注射からの薬物の吸収を遅延させることが望ましい。これは、水に難溶性である結晶化材料又は非晶質材料の液体懸濁剤を使用することにより達成され得る。その場合の薬物の吸収速度は、溶出速度に依存し、それは、結晶の大きさ及び結晶形に依存する。代替的に、非経口投与薬物の遅延型吸収は、薬物を油脂担体に溶解又は懸濁させることにより達成される。
【0139】
注射可能なデポ剤は、薬物を、ポリラクチド−ポリグリコリドのような生体分解性のポリマー中に含むマイクロカプセルマトリックスを形成することにより製造される。薬物とポリマーの比率及び使用される特定のポリマーの性質に応じて、薬物の放出速度が制御される。その他の生体分解性ポリマーの例としては、ポリ(オルトエステル)及びポリ(無水物)が含まれる。注射可能なデポ剤はまた、生体組織に適合可能なリポソーム又はマイクロエマルジョン中に薬物を包含することによっても調製され得る。注射可能な材料は、例えば、細菌保持フィルタを介するろ過によって滅菌され得る。
【0140】
製剤は、単回投与用又は複数回投与用のシールされた容器、例えば、アンプル及びバイアルに含まれ、かつ使用直前に、注射用の水のような滅菌された液体担体を加えることのみが必要である凍結乾燥化状態にて保存され得る。用時調製型の注射用液剤及び懸濁剤は、上記したタイプの滅菌した散剤、顆粒剤及び錠剤から調製され得る。
【0141】
本発明の更なる目的、利点及び新規な特徴は、以下の非限定的な実施例を考慮することにより当業者には明らかになるであろう。
【実施例1】
【0142】
HUVEC血管新生におけるトリロスタンIIIの効果:浸潤チャンバ
目的
マトリゲル処理インサートを介する、ウシ胎児血清誘導内皮細胞浸潤におけるトリロスタンIIIの影響を調べること。
【0143】
材料
・継代5ヒト臍帯静脈内皮細胞7016(HUVEC)、Cambrex社(メリーランド州ウォーカーズヴィル所在)。
【0144】
・EGM−2培地、Cambrex社(メリーランド州ウォーカーズヴィル所在)、0.1%又は5%のウシ胎児血清を含むように補充されている。
・10mMLY294002及びLY303511のDMSO溶液、CalBiochem社。
【0145】
・50mMトリロスタンIIIエタノール溶液、Bowman Research社、英国サウスウェールズ州ニューポート所在(例えば、英国特許出願公開第1,123,770号明細書の記載に従って調製される)。
【0146】
・4mMカルセイン(Calcein)AMのDMSO溶液、シグマ社(ミズーリ州、セントルイス所在)。
・ヘペス(Hepes)緩衝生理食塩水(HBSS)、Cambrex社(メリーランド州ウォーカーズヴィル所在)。
【0147】
・BDバイオコートマトリゲル浸潤チャンバ、BDBiosciences社(カリフォルニア州サンノゼ所在)。
・蛍光マイクロプレートリーダー。
プロトコル:要約
1.CambrexEGM−2培地中にて70−80%のコンフルエンシーまで成長したフラスコからのトリプシン処理HUVEC細胞を、0.1%のFCSを含む37℃のEGM−2中で2回洗浄した。
【0148】
2.0.1%FCSを含むEGM−2中に30000個の細胞と化合物とを含む細胞懸濁液をインサートの上部チャンバに加えた。
3.5%FCSを含むEGM−2を底部チャンバに加え、37℃かつ5%CO
2にて24時間培養した。
【0149】
4.非浸潤細胞を上部チャンバから綿棒にて除去し、インサートを37℃のHBSSで2回洗浄した。
5.次にインサートを、HBSS中に10μMのカルセインAMを含むウェル中に配置した。
【0150】
6.37℃かつ5%CO
2にて4時間放置した後に、485nmの励起波長及び595nmの発光波長にて蛍光を測定した。
結果及び観察事項
結果は、バックグラウンドの蛍光を引いた3回(n=3)の平均蛍光単位(FU)として示した。HUVEC7016細胞は、播種時にトリパンブルー除去法により95%の生存率を示すものをこの実験では使用した。バックグラウンドの浸潤を決定するために、底部チャンバに0.1%FCSを含んだEGM−2を加えた空の(無)インサートを三回含んだ。走化性シグナルが存在せず、これらのインサートは、FCSウェル及びFSC+化合物ウェルと比較するためのバックグラウンド浸潤を与えるであろう。結果を以下の表1に示し、
図1にグラフ化した。
【0151】
【表1】
考察及び結論
トリロスタンIIIの高用量は、そのレベルをバックグラウンドまで低下させた。浸潤の周知の阻害剤であるLY294002が対照として含まれ、トリロスタンIIIと同様の阻害を示した。LY303511はLY294002の不活性変異体であるが、期待されたような浸潤の効果はなかった。要約すると、トリロスタンIIIは所定の個体において、又は細胞周期の適切な時期において、内皮細胞浸潤に対して効果を有すると思われる。
【実施例2】
【0152】
HUVEC細胞の増殖におけるトリロスタンIIIの効果
目的
HUVEC細胞の増殖におけるトリロスタンIIIの影響を調べること。
材料
・継代2ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)、Cambrex社。
・EGM−2培地、Cambrex社、0.1%又は5%のウシ胎児血清を含むように補充されている。
【0153】
・50mMトリロスタンIIIエタノール溶液、Bowman Research社、英国サウスウェールズ州ニューポート所在(例えば、英国特許出願公開第1,123,770号明細書の記載に従って調製される)。
【0154】
・ヘペス緩衝生理食塩水(HBSS)、Cambrex社。
・Celltiter96 Aqueous One試薬、Promega社。
・Falcon96ウェル組織培養プレート。
・蛍光マイクロプレートリーダー。
プロトコル:
1.HUVEC細胞は96ウェルプレートに、5000細胞/cm
2にて播種され、EGM−2培地中にて37℃かつ5%CO
2にて24時間培養した。
【0155】
2.培地を吸引し、細胞を37℃のHBSSにて2回洗浄した。
3.5%FCSを含むEGM−2中に化合物(0.01μM−200μMのトリロスタンIII)を含むもの及び含まないもの、をウェルに加え、24、48又は72時間インキュベートした。
【0156】
4.細胞を温HBSSで再び複数回洗浄し、0.1%FCSを含むEGM−2中のCelltiter試薬を加えた。
5.4時間の培養の後、各ウェルのODを470nmにて測定した。
6.各時点にて4及び5の工程を繰り返す。
結果及び観察事項
結果は、ブランクの平均ODを引いた3回(n=3)実施したサンプルの平均ODとして示した。HUVEC8750細胞は、播種時にトリパンブルー除去法により98%の生存率を示すものをこの実験では使用した。トリロスタンIII溶液を維持するために、更なるウシ胎児血清(2%から5%に増大)を加えた。原データを以下の表2に示し、かつ
図2にグラフ化した。
【0157】
【表2】
考察及び結論
トリロスタンIIIは、内皮細胞増殖の阻害に効果的であることが証明された。(24時間における)1μMまでの濃度で、細胞増殖において統計的に同等な減少を示した。用量を100μMまで増大すると、24、48及び72時間にて、それぞれ33、67及び90%にて培地を阻害した。ウェル当り1500個の細胞の初期の播種は細胞力価(celltiter)試験により検出不能である。細胞は、検出可能なレベルまで拡大する必要があり、100%の阻害が期待され、細胞毒性は推測されないであろう。生存細胞は、培地中での72時間の培養後の最も高い用量においてさえも、倒立顕微鏡にて試験した全てのウェルにて視認された。これらの結果は、トリロスタンIIIが、内皮細胞の初期増殖を干渉することによる効果的な抗血管新生化合物であり得ることを示す。
【実施例3】
【0158】
HUVECの血管新生におけるトリロスタンIIIの効果:管形成
目的
細胞外基質ゲル中のHUVEC細胞による管状構造体の形成におけるトリロスタンIIIの影響を調べること。
【0159】
材料
・継代3ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)、Cambrex社。
・EGM−2培地、Cambrex社、0.1%又は5%のウシ胎児血清を含むように補充されている。
【0160】
・10mMLY294002及びLY303511のDMSO溶液、CalBiochem社。
・50mMトリロスタンIIIエタノール溶液、Bowman Research社、英国サウスウェールズ州ニューポート所在(例えば、英国特許出願公開第1,123,770号明細書の記載に従って調製される)。
【0161】
・BDバイオコート血管新生システム:管形成試験、BDBiosciences社。
・蛍光マイクロプレートリーダー。
プロトコル:要約
1.CambrexEGM−2培地中にて70−80%のコンフルエンシーまで成長したフラスコからのトリプシン処理HUVEC細胞を、0.1%のFCSを含む37℃のEGM−2中で2回洗浄した。
【0162】
2.0.1%及び5%のFCSを含む二つのEGM−2中に10000個の細胞と化合物とを含む細胞懸濁液を各ウェルに加え、37℃かつ5%CO
2にて18時間培養した。
3.培養後、管形成を顕微鏡写真にて撮影した。
結果及び観察事項
継代3HUVE8750細胞は、播種時にトリパンブルー除去法により98%の生存率を示すものをこの実験では使用した。この試験ではほとんどの細胞が得られなかったが、管成長を妨害するようには見えなかった。化合物及び対照の代表的なウェルの写真を
図3に示した。
【0163】
考察及び結論
血管新生の最終過程は新しい血管構造体の形成である。細胞外基質タンパク質からなるゲル中にて成長された場合、HUVEC細胞は毛細血管の内腔に類似する液胞の「格子」を示すであろう。ウシ胎児血清又はその他の血管新生性物質の添加は、これらの構造体の全長及び画定化を高めるであろう。50μMのトリロスタンIIIの用量は、分岐した液胞の形成を低減し、衛星細胞において増大した。管形成を妨害することが知られているPI3キナーゼ阻害剤である50μMのLY294002は、空の(無)ウェルに見られるように成長を完全に阻害したが、不活性体は、未処理の細胞に対して比較できる管形成を示した。ウェルに5%のウシ胎児血清を含むと、管の画定化及び液胞形成が増大した。50μMのトリロスタンIII及び50μmのLY294002の処理は、ウシ胎児血清の存在下における管形成を大いに低減した。未処理の細胞は、対照化合物及びトリロスタンIIIの効果に対してはるかに高い感受性であった。要するに、トリロスタンIIIはHUVEC細胞の管形成を阻止しているように思われる。
【実施例4】
【0164】
HUVEC細胞増殖におけるダナゾールの影響
プロトコル:
初代HUVEC及びEGM−2成長培地をCambrex社(メリーランド州ウォーカーズヴィル所在)から入手した。細胞を、組織培養フラスコ中に2%のウシ胎児血清(FCS)が補充された培地中にて、37℃かつ5%CO
2にて継代培養した。供給業者に特定されたように60−80%のコンフルエンシーが得られた場合に、トリプシンを用いて継代培養を実施した。
【0165】
継代2のHUVEC細胞の凍結保存されたアンプルを解凍し、5000細胞/cm
2の濃度にて96ウェル組織培養プレートに播種した。ダナゾールの50mMのストック溶液をエタノールにて調製し、溶液中のダナゾールを維持するために培地中のFCSを5%に増大した。細胞を、最終濃度が0.1乃至100μMの範囲のダナゾールを含む培地で3回処理した。24時間、48時間及び72時間の培養が実施され、細胞の増殖は、Promega社(ウィスコンシン州マディソンに所在)からのCelltiter96AQ
ueous One Solution Cell Proliferation試験を使用して決定した。要約すると、培地を各ウェルから吸引し、細胞を、Cambrex社から入手した37℃まで加温した200μlのHepes緩衝生理食塩水(HBSS)で洗浄した。100μlの希釈した細胞力価(celltiter)溶液(15μlのストック+0.1%FCSを含む85μlのEGM−2)を各ウェルに加え、更に4時間培養した。光学密度は、ブランクを引いた後の530nmのフィルタを使用するマイクロプレートリーダーにより決定し、データをOD±標準偏差として示した。ウェル中のエタノールの最終濃度は0.2%未満であり、細胞の増殖及び生存に影響を及ぼさなかった。
【0166】
全てのデータは、3重に実施した代表的な実験として示した。サブセット間の差異は、マイクロソフトエクセルのスチューデントt−検定を使用して分析した。P<0.05が統計学的に有意であると考慮された。
【0167】
結果、観察事項及び考察
ダナゾールの存在下にて培養した初代HUVEC内皮細胞はプロメガ細胞力価増殖試験から得られたODが時間依存的及び用量依存的に減少した(
図4)。細胞力価試験はホルマザン染色に対する脱水素酵素による試験溶液の還元に基づいており、それは細胞数と直接相関している。24時間におけるダナゾール処理は、非常に高用量の場合のみ効果的であると思われた。試験したODの有意な減少(p値<0.05)は、10μM又はそれ以上の濃度のダナゾールにて認められた。空のウェル(無ウェル)において検出されたODは0.414±0.06であり、10μMのダナゾールで処理したものは、ODが0.288±0.037に、100μMのものでは0.162±0.017まで減少し、それは30%及び65%の阻害(%)とそれぞれ等しい。48時間の場合、観察された阻害は、生理学的なレベル又は約1μMにおいてさえも有意であった。培地中の48時間後に得られた無ウェルの読み取りは、0.629±0.095まで増大し、1μMにより0.378±0.037に、10μMにより0.241±0.012に、100μMにより0.19±0.033に低減した(或いは、それぞれ、40%、61%及び70%の阻害(%)であった)。72時間後、試験された全てのダナゾール処理物においてHUVEC増殖の有意な減少が認められた。無ウェルにて得られたODは、1.113±0.054であり、0.1μMでの処理後は0.798±0.037に低減し、1μMでは0.484±0.022、10μMでは0.229±0.016、そして100μMでは0.156±0.018であった(それぞれ28%、57%、80%及び86%の阻害(%)であった)。全ての100μMのダナゾールの用量から得られたODの試験は全ての時点にて一致しており、この濃度での細胞増殖の完全な阻止を示した。要約すると、ダナゾールは、内皮細胞増殖に強い阻害を示した。
【実施例5】
【0168】
HUVEC血管新生におけるダナゾールの影響:管形成
プロトコル:
HUVEC細胞による毛細血管様構造体の形成を試験するために、血管形成系:内皮細胞管形成試験をBDBiosciences社(カリフォルニア州サンノゼ所在)から購入し、製造業者のプロトコルに従って使用した。要約すると、100000個のHUVEC細胞を、5%FCS存在下での96ウェル組織培養プレート内の再水和したマトリゲルプラグ上に播種し、管形成を誘導した。ダナゾールを、最終濃度が1μM、10μM又は100μMとなるように加え、かつLY294002を100μMにて加えた。18時間後、ウェルを、倒立顕微鏡に装着されたKodak DCS Pro SLR/Nディジタルカメラ(ニューヨーク州ロチェスター)を使用して撮影した。担体が細胞分化に影響を与えるかどうかを決定するために、エタノール処理ウェルを含んだ。
【0169】
結果、観察事項及び考察
HUVECによる管様構造体の形成をダナゾールが阻止し得るかを解明するために、マトリゲルプラグを含む96ウェルプレートを使用した。血管形成性の物質の存在下にて培養され、かつ細胞外基質付着物が供給された場合、内皮細胞は、毛細血管に大まかに類似する構造体に分化するであろう。ダナゾールとともに成長したHUVEC細胞は対照よりも薄くかつ画定されていない内部結合を備えた殆どオーガナイズされていない構造体を示した(
図5を参照、同図において、A=対照、B=1μMのダナゾール、C=10μMのダナゾール、D=50μMのダナゾール、かつE=50μMのLY294002)。50μMのダナゾールでの処理は、ほんの僅の薄い連結部または内部空間容積を備えたHUVECの単離されたコロニーをプラグ内に形成した。ダナゾールの効果は陽性対照化合物であるLY294002と非常に類似していた。使用された担体が影響を与えないことを確認するために、使用された最も高用量のダナゾールに対応する濃度のエタノールで処理したが、管形成における影響は観察されなかった(データは示さない)。これらのデータは、ダナゾールが管形成の効果的な阻害剤であることを示す。
【実施例6】
【0170】
HUVEC血管新生におけるダナゾールの影響:浸潤チャンバ
プロトコル:
BioCoatマトリゲル浸潤チャンバをBDBiosciences社(カリフォルニア州、サンノゼ所在)から購入した。給湿インキュベータにて使用する前に、インサートを500μlのHBSSを用いて37℃にて2時間再水和した。トリプシン処理したHUVEC細胞を0.1%FCSを含む温EGM−2で2回洗浄し、全容量250μl中に100,000個の細胞にて、浸潤インサートの上部チャンバに加えた。ダナゾール及び対照化合物を最終濃度が10μM及び100μMとなるように上部リザーバに加えた。5%のFCSで補充された750μlのEGM−2を、浸潤を開始するために底部チャンバに加え、プレートを24時間インキュベートした。非浸潤細胞を湿気を含む綿棒にて上部チャンバから除去し、インサートをHBSSで2回洗浄した。次に、インサートをHBSS中にて調製された10μMのカルセインAM中に浸漬させ、4時間インキュベートした。485nmの励起波長及び595nmの発光波長にて蛍光をマイクロプレートリーダーにて測定した。LY294002と、構造的には類似するが不活性な化合物であるLY303511とを、この試験の陽性及び陰性の対照としてそれぞれ使用した。
【0171】
結果
結果は
図6に示した。全てのデータは、3重に実施した代表的な実験として示される。サブセット間の差異は、マイクロソフトエクセルのスチューデントt−検定を使用して分析した。P<0.05が統計学的に有意であると考慮された。
【0172】
多孔性のマトリゲルコーティングされたインサートを使用して、ダナゾールが内皮細胞の浸潤又は移動を妨害するかどうかを調べた(
図6)。本発明者の研究に使用されたシステムにおいて、細胞の有意な増加は、内皮細胞に相対向するチャンバにFCSを添加した後の蛍光染料により検出した(5674FU±77から7143±516まで)。10μM及び100μMの濃度のダナゾールでは影響はなかったが、LY294002は細胞浸潤のほぼ完全な減衰を示した(5814±153)。これらのデータは、FCSに存在する因子が、走化性勾配に沿った移動に従ってHUVEC細胞により細胞外基質を消化するプロテアーゼの産生を誘導することを示す。ダナゾールは、このモデルにおけるHUVEC細胞の浸潤及び移動に対して明確な阻害効果を示さなかった。