(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5779625
(24)【登録日】2015年7月17日
(45)【発行日】2015年9月16日
(54)【発明の名称】工作物表面を走査する方法および接触感知プローブ
(51)【国際特許分類】
G01B 5/012 20060101AFI20150827BHJP
【FI】
G01B5/012
【請求項の数】20
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-187395(P2013-187395)
(22)【出願日】2013年9月10日
(62)【分割の表示】特願2009-508478(P2009-508478)の分割
【原出願日】2007年5月8日
(65)【公開番号】特開2014-6262(P2014-6262A)
(43)【公開日】2014年1月16日
【審査請求日】2013年10月7日
(31)【優先権主張番号】0608998.1
(32)【優先日】2006年5月8日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】391002306
【氏名又は名称】レニショウ パブリック リミテッド カンパニー
【氏名又は名称原語表記】RENISHAW PUBLIC LIMITED COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス ジョン ウェストン
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー マクファーランド
【審査官】
梶田 真也
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−065702(JP,A)
【文献】
英国特許出願公開第02070249(GB,A)
【文献】
特開平10−281751(JP,A)
【文献】
特開平06−147886(JP,A)
【文献】
特開2000−193404(JP,A)
【文献】
特開2001−091236(JP,A)
【文献】
特開平09−096518(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 5/00 − 5/30
G01B 21/00 − 21/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
座標位置決め機内に装着された接触感知プローブを使用して工作物表面を走査する方法であって、
前記プローブは、プローブ本体と、長手方向軸を有する物体接触スタイラスと、前記プローブ本体内の前記スタイラス用の装着物と、前記スタイラスを前記長手方向に振動させるために前記スタイラスに機械的に結合された変換器とを備え、前記装着物は、前記長手方向軸を横切る方向において堅く、前記長手方向軸の周りで均一な横方向堅さを有し、
前記方法が、
(A)前記工作物表面と前記スタイラスを接触させるステップ、
(B)前記工作物表面と前記スタイラスの間の接触を維持しながら、前記表面を走査するステップであって、前記装着物が前記横方向において堅いため、走査中における前記工作物表面との横方向の接触力の結果として前記プローブの変形がわずかであるステップ、
(C)前記スタイラスの振動から、前記走査中に接触が引き続き維持されていることを検出するステップ、および
(D)前記(C)ステップで決定されたとおりに前記接触が引き続き維持されている間、前記座標位置決め機に前記工作物表面の一連の連続座標読み取りをおこなわせるステップ
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記装着物は、前記長手方向軸に関して円形対称の横方向堅さを有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記(A)ステップは、前記工作物表面と前記スタイラスを横方向に接触させることを含み、前記(B)ステップは、前記工作物表面と前記スタイラスの間の接触を横方向に維持しながら、前記工作物表面を走査することを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記装着物は、前記長手方向軸を横切る2つの直交する前記方向において堅いことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記装着物は、マスと、コンプライアント部材と、前記マスおよび前記スタイラスの間に装着される変換器とを備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記マスと前記コンプライアント部材は、前記プローブ本体と前記スタイラスの間に直列に接続され、前記マスは、前記スタイラスと前記コンプライアント部材の間に接続されていることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記マスと、前記コンプライアント部材とは、前記スタイラスの振動を前記プローブ本体から機械的に隔離するための手段を形成するよう、配置されていることを特徴とする請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
前記スタイラスを隔離するための前記手段は、機械的な低域通過フィルタを形成することを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記コンプライアント部材は、可撓性ダイヤフラムを備えることを特徴とする請求項5〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記可撓性ダイヤフラムは、前記長手方向軸に関して半径方向または回転方向に対称であることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記可撓性ダイヤフラムは、前記長手方向軸に関して円形対称であることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記可撓性ダイヤフラムは、ディスク形状であることを特徴とする請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
前記装着物は、追加のコンプライアント部材を備え、前記追加のコンプライアント部材は、前記スタイラスと前記マスおよび前記変換器の少なくとも一方との間に設けられていることを特徴とする請求項5〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記マスと、前記コンプライアント部材および前記追加のコンプライアント部材とは、前記スタイラスの振動を前記プローブ本体から機械的に隔離するための手段を形成するよう、配置されていることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記座標位置決め機は、手動測定機、座標測定機および工作機械から選択されることを特徴とする請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
座標位置決め機のための接触感知プローブであって、プローブ本体と、長手方向軸を有する物体接触スタイラスと、前記プローブ本体内の前記スタイラス用の装着物と、前記スタイラスを前記長手方向に振動させるために前記スタイラスに機械的に結合された変換器とを備え、前記装着物は、前記長手方向軸を横切る方向において堅く、前記長手方向軸の周りで均一な横方向堅さを有し、前記装着物は、前記プローブが、前記スタイラスの前記長手方向軸に対して横方向でほぼ剛直であり、前記プローブが走査中に曲がらないよう、構成されていることを特徴とする接触感知プローブ。
【請求項17】
前記装着物はコンプライアント部材を備え、前記コンプライアント部材は可撓性ダイヤフラムを備え、前記可撓性ダイヤフラムは完全中実ディスクを備えることを特徴とする請求項16に記載の接触感知プローブ。
【請求項18】
前記装着物は、コンプライアント部材と別のコンプライアント部材とを備え、前記コンプライアント部材は、完全中実ディスクを備える可撓性ダイヤフラムを備え、前記別のコンプライアント部材は、スポーク形状を有する別の可撓性ダイヤフラムを備えることを特徴とする請求項16に記載の接触感知プローブ。
【請求項19】
前記装着物は、前記長手方向軸に関して円形対称の横方向堅さを有することを特徴とする請求項16〜18のいずれか一項に記載の接触感知プローブ。
【請求項20】
請求項16〜19のいずれか一項に記載の接触感知プローブを備えたことを特徴とする座標位置決め機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用中に振動するスタイラスを有する、接触感知すなわち「タッチ」プローブに関する。詳細には、本発明は、携帯型連接測定アーム(portable articulated measuring arms)、座標測定機(CMM)、および工作機械などの座標位置決め機に使用するそうしたプローブに関する。
【背景技術】
【0002】
接触感知プローブは既知である。特許文献1には、接触要素(例えばスタイラス)およびスタイラスを振動させる圧電変換器を有するタッチプローブが記載されている。そうしたプローブのスタイラスは、1つまたは複数の異なる振動モードに対応する1つまたは複数の固有振動数を有する。したがって、変換器がある振動数すなわち振動モードで駆動される度に機械的共振が起こる。感知回路がさらに設けられ、圧電変換器に印加されるまたはそれによって生成される電気信号のパラメータ変化を感知することによって接触要素と物体の係合を検出する。
【0003】
特許文献2には、もう1つのタッチプローブ装置が記載されている。この装置は、取り付けられたスタイラスの超音波振動をその共振振動数で引き起こすようにRF信号が印加される変換器も備える。圧電変換器に供給される電気信号は、スタイラスが物体と接触したことを示す変化について監視される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】英国特許第2006435号明細書
【特許文献2】米国特許第5247751号明細書
【特許文献3】欧州特許第0730210号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、本発明者らの研究によって、スタイラスの共振は、スタイラスがプローブ内に装着される方法、またはプローブがCMMもしくは他の座標位置決め機に装着される方法などの要因によって影響を受ける恐れがあることが示されてきた。手動操作のCMMの場合、作業者のそのシステムの持ち方によってすら影響を受けることがあり得る。これは、スタイラスの振動を大きく変えて、スタイラスと物体との接触の誤った感知の可能性につながる恐れがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、接触感知プローブは、プローブ本体と、プローブ本体内に装着される物体接触スタイラスと、スタイラスを振動させるようにスタイラスに機械的に結合される変換器と、プローブ本体を介して引き起こされる振動からスタイラスを機械的に隔離する手段とを備える。
【0007】
好ましくは、スタイラスを隔離する手段は、機械的低域通過フィルタを形成する。それは、プローブ本体と変換器またはスタイラスとの間に装着されることができる。それは、マス(mass)と共に1つまたは複数(好ましくは2つ)の可撓性ダイヤフラムを備えることができる。さらに、ダイヤフラムの可撓度(flexibilities)およびマスの寸法は、隔離をもたらすように決めることができる。
【0008】
好ましくは、変換器は1つまたは複数の圧電素子を備える。好ましくは、変換器は、スタイラスを長手方向に振動させる(すなわちスタイラスの軸に沿った圧縮波である)。
【0009】
座標位置決め機は、本発明による接触感知プローブを組み込むことができる。その座標位置決め機は、手動測定機(例えば、特許文献3に記載されているタイプの連接アーム)、電動式CMMまたは工作機械であってよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、正確な測定を行うことができるという、優れた効果が発揮される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明によるプローブの断面を示す図である。
【
図2】プローブの機械システムを示す理想化された概略図である。
【
図3】プローブが取り付けられるCMMと組み合わされたプローブの機械システムを示す、同様の理想化された概略図である。
【
図4】プローブが取り付けられるCMMと組み合わされたプローブの機械システムを示す、同様の理想化された概略図である。
【
図6】プローブと共に任意選択で使用することができるスタイラスの断面図である。
【
図7】プローブに使用されることができるダイヤフラムスプリングの平面図である。
【
図8】プローブに使用されることができるダイヤフラムスプリングの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明の実施形態を一例として、添付の図面を参照して説明する。
図1、5を参照すると、本発明のプローブ2が示されている。
プローブ2は、座標位置決め機への装着に適したプローブ本体4を備える。本実施例において、プローブ2は、携帯型連接測定アームへの装着に適した手動走査プローブである。プローブ2は、解放可能に取り付け可能なスタイラス6、および駆動回路10によって駆動される圧電スタック(piezo−electric stack)8の形の変換器を備える。この構成によってスタイラス6が必要振動数で長手方向に振動することができるようになる。
【0013】
圧電スタック8は、スタイラス先端20と測定対象物体との接触を検出するセンサとしても働く。接触が起こると、それによって振動の変化が引き起こされ、それは圧電スタックの電気信号を監視することにより検出される。
【0014】
圧電スタック8、関連の駆動回路10、プローブの検出の態様および他の態様は、本発明者らの参照文献に属する本発明と同時に出願された本発明者らの同時係属の国際PCT特許出願0685/WOおよび0686/WO(英国特許出願第0609022.9号および英国特許出願第0608999.9号にそれぞれ一致しそれらの優先権を主張する)により詳細に記載されている。それらの特許出願内容を参照により本明細書に組み込む。
【0015】
プローブ本体4内には、前方可撓性ダイヤフラムスプリング(diaphragm spring)14および後方可撓性ダイヤフラムスプリング16を有するケーシング12が設けられる。ケーシング12およびプローブ本体4は、ダイヤフラム14、16を介して圧電スタック8から機械的に隔離されるように配置される。圧電スタック8は、スタイラスホルダ22とカウンタマス(counter mass)24の間に、後方ダイヤフラム16の開口を貫通するボルト18によって挟まれる。スタイラスホルダ22は、前方ダイヤフラム14に形成された開口を貫通し、その中にはスタイラス6が解放可能にねじで取り付けられる。スタイラス6、圧電スタック8、スタイラスホルダ22、マス24およびボルト18は、このように1つのアセンブリを形成する。ダイヤフラム14、16は、(直接的またはこのアセンブリを介して間接的に)スタイラス6をケーシング12およびプローブ本体4に連結する。添付の特許請求の範囲において、「連結される」という用語は、直接連結または間接連結を示す。
【0016】
この方法では、装置の振動部は、静止プローブ本体から機械的に隔離されることができる。したがって、圧電スタック8の急伸長および急収縮は、関連するプローブ本体の振動を最低限に抑えつつ、スタイラスにおける圧縮波の形の長手方向振動に変換することができる。
【0017】
次に、機械的隔離についてより詳細に説明する。
【0018】
図2を参照すると、プローブ/スタイラスシステムを簡易化されたマスおよびスプリングとみなす。マスm
sは、スタイラス先端の等価質量を表し、スプリングk
sはスタイラスの等価軸方向剛度を表し、減衰器c
sはシステムのスタイラス部内に存在する等価減衰を表す。理想的な場合では、プローブの本体は、30で表されるように接地される。
【0019】
残念ながら、圧電体(piezos)は、接地に強固に取り付けられていない。それは、最も簡単なシステムにおいてさえも、それ自体接地に強固に取り付けられていないプローブ本体から離して装着されなければならない。プローブ本体自体は、CMM上に装着される。それは、強固ではなく、やはり
図3に示されるようにマスおよびスプリング減衰システムとして示される。ここで、m
mはプローブ本体/CMM実装体(mount)の等価質量を表し、c
mはCMM構造の等価減衰を表し、k
mはCMM構造の等価剛度を表す。
【0020】
ここで留意すべきは、c
mおよびk
mはプローブの取り付けに依存するということである。手動CMMの場合、それらは作業者のシステムの持ち方にも依存する。それゆえに、m
m、c
m、k
mシステムは、スタイラスの振動状態における固有振動数と同様の固有振動数を有することがあり得る。そうした状況では、スタイラスの振動が、大きく修正され、プローブの装着方法または持ち方に起因する誤トリガの可能性につながる。
【0021】
その問題は、圧電運動素子とプローブ本体の間に機械的隔離をもたらすように、本質的に機械的な低域通過フィルタであるなにかを挿入することによって回避することができる。これは、スタイラスが振動するときの固定振動数より大幅に低い固定振動数を有することができる。このフィルタが所定の位置にある場合、プローブは、(起こりそうもないが)全構造がスタイラス振動と同じ固有振動数を有し、ごくわずかなエネルギがフィルタをどちらの方向にも通過することができるような方法でも装着されることができる。したがって、スタイラスの振動は、プローブ本体にほとんど影響を及ぼさず、また逆の場合も同様であり、装着または手で扱うことに起因する誤トリガの可能性が排除され得る。
【0022】
図4にはそうした構成が概略的に示されている。ダイヤフラムスプリングは、コンプライアント部材を形成する。低域通過フィルタは、m
cで示されるカウンタマス24、装着ダイヤフラム14、16の等価減衰c
c、および装着ダイヤフラム14、16の等価剛度k
cを含む。
【0023】
したがって、カウンタマス24の質量およびダイヤフラム14、16の可撓度は、低域通過フィルタを形成しかつ機械的隔離を達成するように選択する。
【0024】
留意すべきは、ダイヤフラム14、16は、スタイラスの軸に沿って最も曲がりやすい(コンプライアントである)ことである。これは、システムが機能する振動モード(vibration mode)であり、したがって、本体から隔離されなければならない最重要モードである。それは、プローブがこの軸に対して横方向でほぼ剛直であることも意味し、プローブがこの面においてほとんど曲がらないことを意味するという利点である。これは、作業者がプローブに最も大きなモーメント(したがって曲げ力)をかけることができる方向であるので、手動CMMでは最も重要である。したがって、振動モードをプローブの軸に沿うように選択することは、プローブが、本体から隔離されることができ、作業者がスタイラスに大きな横向きの力をかけても依然として剛直であることを意味する。スタイラスの振動方向におけるダイヤフラムの直径および厚さは、カウンタマス24の寸法を考慮に入れて、本システムの固有振動数が、スタイラスが振動し得る最低振動数をいくらか下回るように選択する。これによって、ダイヤフラムは、スタイラスの長手方向における軸方向振動についての効果的な低域通過フィルタになる。
【0025】
この低域通過フィルタの振動数は、スタイラスの軸方向における固有振動数のチューニングポイント(tuning point)の下限を定める。フィルタ振動数よりいくらか低いチューニングポイントによって、プローブが手で扱われるとき、誤トリガの影響を受けやすくなる。スタイラスの固有振動数の上限は、プローブの振動部内にある他の部分の最低固有振動数によって定められる。例えば、カウンタマス24は、60kHz前後の平面曲げ(plate−bending)モードを有することができる。これがチューニングポイントとして選択された場合、スタイラス先端がほとんど動かないので、プローブは全く無感応になる。
【0026】
チューニング振動数の上限は、このポイントを越える第1のモードを有することができ、短いスタイラス、特に小さい(低質量の)先端が付いたスタイラスに問題を生じさせる。これは、
図6に示されるように、軸方向の剛度の付加なくして先端に追加の可動マスを加えることによって克服することができる。「スラグ」32は、中空のスタイラス6内部に加えられ、スタイラスの先端端部にだけ取り付けられる。これによって、固有振動数を所望の範囲内にすることができるようになる。
【0027】
図7に示されるように、完全ディスク(complete discs)を可撓性ダイヤフラム14、16の両方に使用することができる。ここで、参照番号40は、ダイヤフラムをケーシング12および圧電スタック8に装着する機構を示す。
【0028】
そうした完全ディスクの場合、ケーシング12上におけるそれぞれのダイヤフラムの装着ポイントの間隔は、圧電スタック8上の対応するダイヤフラム装着ポイントの間隔と同じであることが望ましい。これらの距離にかなり大きな違いがある場合、ダイヤフラムの一方または両方が、組み立て工程の間に皿形になる必要がある。完全ディスクの場合、この皿形にする工程は制御が非常に難しく、アセンブリの振動特性の大きなばらつきの原因となり得る。好ましくない振動特性は、対象振動モードの直ぐ近くに2つの共振がある「分裂(split)モード」の原因となり、プローブの感度を低下させる恐れがある。それにより、上述の本発明者らの同時係属の国際PCT特許出願に記載されている、チューニングアルゴリズムが働かなくなることさえあり得る。
【0029】
この問題を克服するために、皿形にする工程がより制御されるような方法でダイヤフラムの一方を作製することができる。
図8に示されるように、このダイヤフラムは、スポーク形を有し、ディスク上に径方向に延びる複数のフィンガ42を有する。皿形にすることにより生じる円周方向のひずみをこうして除去することができる。ダイヤフラムの一方だけをこの種のスポーク形パターンに作製する必要がある。
【0030】
スポーク形ダイヤフラムが使用されるとき、これはケーシング装着ポイント間の距離と圧電スタック装着ポイント間の距離のどんな差異も受け入れる。これらの差異は、一般に、製作公差、特に圧電素子自体に関する製作公差の集積によって引き起こされる。
【0031】
スポーク形ダイヤフラムは、本質的に、中実ディスクダイヤフラムより、特にディスク面から外に曲がりやすい傾向がある。この理由から、これは、スタイラス端部のダイヤフラム14としてよりはむしろ圧電スタックのカウンタマス端部の可撓性ダイヤフラム16として使用するのが好ましい。スタックのスタイラス端部は、対象の振動モード下でゼロ運動ポイントの最も近くにあり、その結果、振動モードに対するより堅いダイヤフラムの影響がこのポイントでより小さくなる。このように、より堅いダイヤフラムの任意の製作公差の影響および振動モードにおける装着の影響は、著しく小さくなる。さらに、これは、スタック/ケーシングアセンブリがより確実に製造され得ることを意味する。
【0032】
上述の実施例は手動位置決めアーム用のプローブの使用について述べたが、そうしたプローブは、どんなタイプの測定機にも使用できることに留意されたい。例えば、本明細書に記載されているタイプのプローブは、任意の手動測定機、電動式CMMまたは工作機械に使用することができる。実際、そうしたプローブは、低力接触感知が要求されるときはいつでも有利に使用することができる。電動式システムが使用される場合、プローブは、接触感知の間の損傷を防止するように所与の位置および向きに反復可能に戻る、オーバートラベル機構(例えば受動運動実装体(passive kinematic mount))をさらに備えることができる。
【0033】
そうした機械におけるプローブの1つの使用方法は、例えばタッチトリガプローブである。スタイラスが工作物表面に接触するとき、振動が減衰され、感知回路によってトリガ信号が送出される。
【0034】
次に、代替使用方法を説明する。既述のタイプのいずれかの座標位置決め機に装着された上記で述べたような接触感知プローブを使用して工作物表面が走査される。工作物表面は、スタイラス先端によってスタイラスの長手方向軸に対して横方向に接触される。次いで、表面とスタイラスの間の接触を横方向に維持しながら、工作物表面がスタイラスで走査される。感知回路が、スタイラスの振動の減衰から、走査中接触が引き続き維持されていることを検出する。座標位置決め機は、こうして決められたとおりに接触が引き続き維持されている間、対処すべき工作物表面の一連の連続座標読み取りをもたらす。
【0035】
この方法は、スタイラスの装着物(mounting)が横方向で剛直かつ堅いことを利用している。したがって、工作物表面との横方向の接触力の結果として、プローブとスタイラスの組み合わせのわずかな変形が生じる。この結果、正確な測定が確実なものになる。
【0036】
ダイヤフラムを介するスタイラスの装着物は、長手方向軸を横切る2つの直交する方向において堅く、その結果、プローブは、複雑な形状を有する立体工作物の走査に有用である。
【符号の説明】
【0037】
2 プローブ
4 プローブ本体
6 スタイラス
8 圧電スタック
14,16 ダイヤフラム