(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記スプロケット機構は、放射状に伸延する、前記ソーチェーンの先端部の対応する幅以上の幅を有する先端が形成された駆動歯を有し、該先端は、前記ソーチェーンと係合する位置に配置されていることを特徴とする、請求項1記載のチェーンソー用ガイドバー。
前記スプロケット機構は、前記装着基端部に近い、中間切断部上に回転自在に配置された歯の形成されたスプロケット又はスプロケットホイールを有することを特徴とする、請求項1記載のチェーンソー用ガイドバー。
前記ガイドレールスロットは、前記装着基端部と作動先端部間で前記ガイドバーの、長手方向に伸延した上部端部に沿って伸延しており、前記上部端部に沿ったガイドレールスロットは前記ソーチェーンの外向き走行と摺接係合している、ことを特徴とする請求項8記載のチェーンソー用ガイドバー。
前記ソーチェーンは、前記チェーンの無支持状態の区間をワークの表面と係合させることで、前記ずれ位置に移動させることができる、ことを特徴とする請求項8記載のチェーンソー用ガイドバー。
前記装着基端部と作動先端部間の前記ガイドバーの中間部の大部分は、該中間部の長手方向に伸延する下部端部に沿ったガイドレールスロットを有さない、ことを特徴とする請求項8記載のチェーンソー用ガイドバー。
【発明を実施するための最良の形態】
【0066】
発明の詳細な説明
以下の詳細な記述は、本発明を実行する際の、現在の最善のモードである。記述は限定的な意味ではなく、本発明の全般的な原理を示す目的でのみなされている。本発明の多様な特色及び利点は、添付した図面と関連した以下の詳細な記述を参照することで、容易に理解することが出来るであろう。
【0067】
本発明の原理に基づく模式的な実施例の記述は、添付した図面と関連して読まれることを意図している。図面は、全体の記述の一部である。ここで、開示された本発明の実施例の記述において、方向や向きを示す言及は、単に記述の便宜のためであり、本発明の範囲をどのような形でも限定するものでは無い。「下の」、「上の」、「水平な」、「垂直な」、「上に」、「下に」、「上へ」、下へ」、「先」、「底」及びそれらの派生語(例えば、「水平に」、「下方に」、「上方に」など)は、議論の中で図面で示された、又は述べられた向きを参照するためのものであると、理解されるべきである。こうした相対的な語句は、記述の利便のためのみであり、特にそのように明示しない限り、装置を特定の向きに構築したり、運転したりすることを求めるものでは無い。「取り付ける」、「装着する」、「接続する」、「つなぐ」、「相互接続する」などの語句、及びそれに類似するものは、構造が互いに、その構造を介して、直接又は間接につなぎ止められる又は取り付けられる関係を示している。それは、他に明確な記載が無い限り、可動的または固定的な両方を含むものである。また、本発明の特色や利点は、好適な実施例を参照することで図的に示され、従って、本発明は、ある特徴の限定されない組み合わせを示す、こうした好適な実施例に限定されるものでは無い。この組み合わせも単独で、又は、他の特徴の組み合わせで存在することがある。本発明の範囲は、添付したクレームにより規定される。
【0068】
ここで開示した本発明の実施例の記述において、方向や向きを関する記述は、単に記述上の便宜のためであり、本発明の範囲をどのような形でも限定するものでは無い。また、本発明の特色や利点は好適な実施例を参照することで、図的に示されている。従って、本発明は、ある可能性を示すが、特徴の限定されない組み合わせを示す、こうした実施例に限定されるものでは無い。この組み合わせも単独で、又は、他の特徴の組み合わせで存在することがある。本発明の範囲は、添付したクレームにより規定される。
【0069】
図面を詳細に参照するに、同じ数字が同じ部品又は素子に付けられる。本発明は、新しいガイドバーデザインを示すものである。新しい改良されたガイドバーデザインは、現在のガイドバーの製造工程を大きく変えるものでないが、その構造、形状、重量が変わるものである。また、木材や他の似た材料の芸術的な彫刻に特に適するように利用して、チェーンソーによる彫刻を変えることが出来る点においても変わるものである。新しいガイドバーは、材料が中実又は積層材又は複合材である。ガイドバーは、硬化されたり、合金であったり、またスプロケットチップを持っていたり、ソーチェーンを張る調整機構を持っていても、いなくてもいい。また、ガイドバー及びソーチェーンに供される流体伝達装置を持っていても、いなくてもいい。
【0070】
現在入手可能な殆ど全てのガイドバーデザインは、十分に平らなデザインである。構造的なデザインは、外側や端部の寸法が変わっても、ガイドバーが単一の板で形成されるような、柔軟性の無いガイドバーのままである。本発明の新しいガイドバーは、その寸法と構造的な構成を変化させることで、切断及び彫刻性能を向上させるようになった。これは、ガイドバーを柔軟性の無い単一の板構造から曲がるようにするなど、いろいろな方法でガイドバーの本体の撓みを許容したり、ガイドバーが変形してソーチェーンがその固定的な軌跡を、彫刻性能及び半径切断性能を強化するために、変えることが出来るようにしたりしたものである。ガイドバーの多様な構成を示す以下のそれぞれの実施例は、全長さが8インチから22インチまでで、全高が3から4インチの、似たような小さな寸法を有している。これらの寸法の変化は、必要に応じて以下に述べられる。
【0071】
本発明の第1実施例では、新しいガイドバー110の平らな面は、へこんだ部分を有しており、バーを軽量化すると共に、ユーザがより小さな半径の切断を、簡単に行なうことが出来、新しいガイドバーの彫刻性能を高めるようになっている。この実施例は、最も高い構造強度とガイドバー剛性を有している。
図1に示すように、ガイドバー110は、中実の細長い本体112及び先端のスプロケットチップ114を有している。本体112は、ガイドバー110の長さを示しており、スプロケットチップ114に向けて外に伸延する上部の長手方向のガイドレール116及び下部の長手方向のガイドレール118を有する。
図1Aは、ガイドバー110の断面図であり、上部及び下部ガイドレール116,118及び、ガイドバー110の細長い部分でのへこんだ部分112の範囲を示している。上部の長手方向ガイドレール端部116及び下部の長手方向ガイドレール端部118は、それぞれガイドレールスロット120を有している。ガイドレールスロット120には、ソーチェーンが入り込んで、該ガイドレールスロット120に沿って動くことが出来る。へこんだ部分112により、ガイドバーは、彫刻やワークを仕上げる際により小さい半径の切断が可能となる。へこんだ部分112は、ガイドバー110の全体の高さ寸法に従って、チップ114に向けてテーパとなっている。
【0072】
図2に示す、第2の実施例では、ガイドバー210は重量軽減開口222を有し、それによりガイドバーが軽量化され、ソーの全体重量が軽減されている。細長い本体212は、ガイドバー210の後方に近くに位置した開口222を取り囲んで、該開口222の先で、約2インチにその高さを減少させる形で前方に伸延している。より好ましくは、スプロケットチップ214の終端で1インチがよい。
図2Aは、側壁が重量軽減開口222に向けて内方にテーパしているガイドバー210の中央部を示す。そのテーパは、二つの側壁が交差する丸みを帯びた部分で終わり、切断時の材料内での円滑な通過を実現している。上部の長手方向のガイドレール216及び下部の長手方向のガイドレール218のそれぞれは、ガイドレールスロット220を有しており、ガイドレールスロット220には、ソーチェーンが入り込んで、該ガイドレールスロット220に沿って動くことが出来る。
図2Bに、ガイドレールスロット220を共に有する上部の長手方向のガイドレール216及び下部の長手方向のガイドレール218が設けられた、ガイドバー210の細長い本体212の先端部を示す。ガイドバー210は、その先端部で寸法が最小となり、約2インチの高さであり、より好ましくは1インチの高さである。1/4又は3/8インチの利用されるチェーンの大きさ応じて、可能な曲線切断の半径を小さくすることが出来る。ワークの彫刻性能及び輪郭付け性能を強化するために、中央部と先端部が結合するガイドバー210の底部224は、凹形に形成され、ソーチェーンは当該部分で無張力状態となる。ガイドバー210の中央部と先端部の全体の高さ寸法が異なるが、上部及び下部の長手方向のガイドレール219,218は互いに平行な平面内に位置し続け、スプロケットチップ214で最小距離となるようにそれらの距離は保たれる。
【0073】
下部ガイドレール218の中央底部と先端底部の間の結合部領域で、木材又は類似した材料のワークに対して、本実施例のガイドバー210を装着したチェーンソーによる切断をし、該底部を係合させ又はソーチェーンの戻し走行をさせると、ソーチェーンにワークから圧力が作用し、ソーチェーンの戻り走行がガイドバー210の底部ガイドレール218のガイドレールスロット220内に引き込まれる。この構造的な構成は、ソーチェーンとガイドバー210の最小高さの側面を当てることとなり、利用するソーチェーンの大きさに対応して、最小半径曲線での切断が可能となる。
【0074】
本発明の第3の実施例を、
図3に示す。ガイドバー310は、複数の重量軽減開口322を有している。この開口は、機能的及び/又は審美的な目的に応じて多様な形状及び寸法を取ることが出来る。
図3の第3の実施例は、細長い本体312を有し、該本体312は、ガイドバー310の全長をなし、スプロケットチップ314で終わる複数の開口322を有している。材料が少ないことから、これらのガイドバー310は、密度によるが一般的に6インチ以下のものを切断するように設計されており、ガイドバー310の装着部又は中央部の端部は、あったとしてもまれにしか使用されない。ガイドバー310のフレーム内の中空部には、照明や名札など、機能的及び/又は審美的な目的でのアタッチメントを装着するためのネジ棒326など装置を取り付ける余裕がある。ネジ棒326が、ガイドバー310の装着端部に近接して、重量軽減開口322の一つの内側に設けられている。
【0075】
図3Aと3Bは、ガイドバー310の異なる断面をそれぞれ示すものである。
図3Bは、重量軽減開口322の側壁が内側にテーパし、二つの側壁が交わったところで丸い接合部で終端し、切断された材料内で円滑に通過することが出来るようになっていることを示している。いくつかの重量軽減開口322間の構造的なスポーク324のそれぞれは、窪んだ形状か丸い端部に向けたテーパ状に形成されており、切断された材料内で円滑に通過することが出来るようになっている。複数の開口322とそのそれぞれの支柱324は、上部及び下部の長手方向のガイドレール316及び318を、
図3Bに示すように、平行な関係にそれぞれ保持する役目をしている。既に前の実施例で説明したように、上部ガイドレール316及び下部ガイドレール318はそれぞれガイドレールスロット320を有しており、それらガイドレールスロット320はチェーンを内部に保持し、バー310のガイドレールに沿って搭載している。
【0076】
重量軽減開口322はガイドバー310を軽量化するだけで無く、切断曲線の半径を減少させるような役割をしている。これは、切断や彫刻時に応力が作用することで、ガイドバー310が上部ガイドレール316に沿って僅かな撓みが生じるように、支柱324の寸法や窪みの研磨状態が特別に決められていることによる。上部の長手方向のガイドレール316は、その長手方向寸法に沿って部分的に出っ張った形状をしており、下部ガイドレール318に対して僅かな角度、横方向に、平行から外れるように曲がるように設計され、曲線切断を更に補足させることができる。ガイドバー310の長さの1/3以下の切断量の材料を切断する際には、切断曲線の切り口を介してバー310が力を受けるので、バー310の長さの中央部で材料を切断する。曲線切断をするために、オペレータによって長手方向のトルクがガイドバー310に作用する。このトルクは、上部の長手方向のガイドレール端部316をその平行整合状態から曲げる。それは、変形していない上部ガイドレールを有するガイドバーの半径よりも小さな半径の曲線状の切り口のために、上部ガイドレール端部316が下部の長手方向のガイドレール端部318に追従するからである。上部レール316の凸形状により、表面を生成し、滑らかにする目的で、ユーザがソーチェーンのかなりの長さを凹んだ表面に順応させることが出来る。
【0077】
図4の第4の実施例では、ガイドバー410は通常の装着端部及び細長い本体412を有しているが、装着端部からスプロケットチップ414までの全長に渡る長さ方向のガイドレールは一つだけである。変形構造のガイドバー410は、市販されているものと比較して、上部の長手方向のガイドレール416の多くの部分を無くすことで、大幅な軽量化がなされているが、これらのガイドバーが設計される軽度の切断や彫刻に相応の構造的な基準は備えている。上部の長手方向のガイドレールの基部と先端部416A、416Bのそれぞれの間には、開口422が挿入されている。開口422は、ガイドバー410の底部に沿ってその高さが小さく縮小された本体412のガイドバー410の全長の半分以上を占める。開口422は、チェーン潤滑チューブ428を、
図4Aに明瞭に示すように、細長い本体412の上部に配置換えする形で、ガイドバー410の長手方向に伸びている。チェーン潤滑チューブ428は、細長い本体412の上部の長手方向端部に沿って設けられ、標準の装着穴を介して、ガイドバー410とソーチェーンに、ソーチェーンの動力源からガイドバー410を介して流体移動が可能なように、接続している。
図4Aは、先端414方向に向いた、
図4の断面図であり、上部にチェーン潤滑チューブ428が配置された細長い本体412が示されている。上部の長手方向のガイドレール部416Bは上方に伸延して、開口422上を横断したソーチェーンを再度捕捉する際に、該ソーチェーンを保持、ガイドする。以前の実施例と同様に、上部の長手方向のガイドレール部418及び下部の長手方向のガイドレール418は、それぞれガイドレールスロット420を有する。
【0078】
従来のチェーンソー装置に対する、この実施例の有用性は、ソーチェーンが細長い本体412からガイドバーチップ414まで、開口422上を非係合状態で走行する点にある。このソーチェーンの無張力部分により、ユーザは、出っ張った形状部分にソーチェーンの非支持部分の多くの部分を当て、実質的にどのような形のワークでも効率的にかつ効果的な方法で滑らかにすることが出来るようになる。更に幅広の開口422で囲まれたガイドバー410の細長い本体412の中央部の高さが減少したことで、この構造を有するガイドバーが可能となり、またガイドバー410及びソーチェーンのより小さな高さ形状が可能となり、適切なサイズのソーチェーンを使用することで最小半径での切断が可能となる。また、ガイドバー410の伸延部分を跨ぐ上部ガイドレール部416が無くなることで、ユーザは、表面を形成し滑らかにするために、凹んだ表面にソーチェーンの十分な長さをあてがうことが出来る。広い開口422上の上部の長手方向のガイドレールが無いので、チェーンが細長い本体412のかなりの部分を無拘束で走行することとなり、摩擦が少なくなり、ガイドバー410とチェーンは従来のガイドバー410よりも、低温な状態が保たれる。
【0079】
正確な曲線と輪郭を削るガイドバー
【0080】
本発明の別の観点は、木やチェーンソーで切ること出来る他のタイプの材料から彫像や装飾的な対象物(例えば、
図21参照)を芸術的に切り出す際の、特別なタイプの切断を為すことに特に適した、改良されたチェーンソー用ガイドバーを提供することである。従来のチェーンソー用ガイドバーでは、職人は、こうした特別の切断が出来なかった。こうした特別な切断の一つは、弓状の窪みや円弧を形作る出っ張った表面形状(即ち、円周で360度未満)や、ワークの内部を形成する円又は長円形の穴(例えば、楕円や楕円面)を形成する完全に360度の弓状曲面などの造作を作り出すに必要な小さな半径での曲線切断である。こうした弓形状の曲線切断は、特に大きな彫刻の全長にわたり形状を十分な深さで形成するためには、それに適した一定な曲線半径又は直径で為されることが望ましい。
【0081】
チェーンソーによる芸術的な彫刻にしばしばみられる他のタイプの曲線切断としては、
図24及びここで更に述べるような、完成時に滑らで丸い又は曲がった形状を持ったワークの外部又は表面に形成される弓状の出っ張った表面形状である。
【0082】
従来のチェーンソー用ガイドバーは、前述の曲線切断や造作を為すことが出来なかった。従って、意図する最終形状を切断するためには、まず粗切断を行うのに多くの切断作業が必要で、更に、木にぎざぎざ等を形成するのみ、サンダー、電気ドリル等の、手動又は電動の成型用木工具を使用する、時間の掛かる仕上げステップが追加で必要だった。
【0083】
本発明の実施例による改良されたガイドバー及びガイドシステムは、以下に述べるが、殆どチェーンソーを単独で使用して、小さな半径の曲面を作ることが出来、追加的な切断ステップ及び/又は仕上げ工具の必要性を大幅に無くし、最小化することができる。これは、芸術的な彫刻を彫ったりするためや、正確な曲線切断や輪郭取りが必要な他の用途に使用するために、特に適したより用途の広いチェーンソー用ガイドバーをユーザや彫刻家に提供することとなる。多様な実施例において、本発明は、曲線彫刻や切断用ガイドバーを提供し(例えば、
図5及び6のガイドバー500及び530を参照)、また以下に述べる輪郭彫刻又は切断用ガイドバーを提供(例えば、
図31,35及び36のガイドバー800及び900を参照)する。
【0084】
曲線切断用ガイドバー
【0085】
図5に示すように、本発明の一実施例に基づく曲線切断用ガイドバー500はチェーンソーで、従来のチェーンソー用ガイドバーよりもより小さな半径の曲線切断が可能で、またソーチェーンの安定性を向上させ、またチェーン摩耗を減らすためにソーチェーンをガイドバー内に引き込むことで、改良されたチェーン制御及び案内を同時に行なうことができる。ガイドされたチェーンの動きは、ここで開示された独特のガイドバー構成との組み合せで、装飾的な木の又は他のタイプのワークに精密な芸術的な形状及び輪郭を形成することが出来るが、こうした精密切断は、木の伐採や選定、薪の切断、又は丸太建築や似た建物を作ったりする際、丸太や他の大きな木製梁や柱を所定長さに切断するために設計された従来のチェーンソー用ガイドバーを用いて木に雑な直線状の切り口を付けるためのものとは、全く異なるものである。
【0086】
ガイドバー500の独特な形状と構造は、木のワークに挿入する際に、ガイドバーの作動部分ないしは切断部分の全部を挿入することで可能となる、弧や全周にわたる穴を含む、はっきりとした半径(半径の保たれた)の曲線切断が可能となる。この利点により、本発明による木彫用ガイドバー500を装着した従来のチェーンソーパワーユニットで、比較的均一な形状の、はっきりとした鋭い半径の曲線弧や穴を加工することが出来る。従って、切断深さ全体にわたり、比較的均一な直径を持った、円筒形の穴を加工することができる。また、はっきりとした半径の曲線切断及び形状は、ここで更に述べるように、ソーチェーン550の外向き走行551(即ち、ガイドバーの上方に沿った)又はチェーンの戻り走行552(即ち、ガイドバーの底部)を利用して、どの切断方向でも可能である。
【0087】
木彫用バーは、徐々に狭くなるテーパ状のものが知られている。これらのガイドバーは、バーがユーザ及び装着基端部に向けて広がっているので、バーをワークの中に更に突っ込むと、切断加工可能な最小半径が増大し(例えば
図17参照)、円錐形の穴しか彫ることが出来ない。
【0088】
ガイドバーの装着基端部の高さは、ガイドバーが装着される現在のチェーンソーパワーユニットの機械的なパラメータによって決まってしまうので、従来の幅広(即ち、高い)ガイドバーでは、深さを伴ったはっきりとした半径切断の能力は極めて限られたものとなる。
図5のガイドバー500の好ましい実施例に示すように、外周囲のガイドレールスロット613の形状を変えて、好ましくはガイドバーのパワーユニット装着端に近いガイドバー500上に装着されてソーチェーンをレールスロットに保持するためのアイドラー又はガイドスプロケット機構600を利用することで、ガイドバーの高さは大幅に減少し、従来のチェーンソーよりも小さな半径の曲線切断が出来る糸鋸やサーベル鋸のように扱える木彫用チェーンソーが出来る。従来のチェーンソーは、直線的な切断や平らな板の切断に適しており、装飾的な彫刻又対象物に必要な繊細に仕上った曲線的な彫刻のようなものを加工するには全く不向きである。
【0089】
図5に示すように、本発明による小さな半径の曲線切断をするためにガイドされたソーチェーンを有するチェーンソーは、長手方向に伸延するガイドバー500を有する。ガイドバー500は長手方向軸LAを持った細長い平らな本体を有し、幅広の装着基端部501とより狭い反対側先端の先端作動部又は切断端502を有する。装着基端部501は、よく知られた従来のパワーユニット504(点線で模式的にのみ示す)に装着できる大きさに調整されている。こうした従来のパワードライブユニットの例としては、米国特許第5,813,123、 6,964,101及び7,200,941があり、それ全ては、ここで、参照することでそのまま導入される。パワードライブユニット504は、駆動軸を有する、可燃性燃料で駆動されるエンジン又は電気モータを制御するためのトリガー動作機構を通常有しており、駆動軸には、ソーチェーンを動かす回転チェーン駆動用クラッチ機構が接続している。チェーン駆動用クラッチ機構は、パワードライブユニットのハウジング内でガイドバー500の装着基端部501と軸的に整合しており、ガイドバーの周囲にソーチェーンを循環させることが出来る。
【0090】
ガイドバー500の反対側先端の作動先端部又は切断端502は、全体が丸い形状のチップ503となっており、ここで更に述べるように、好適な実施例では切断又はソーチェーン550を摺動係合させる形でガイドしている。
【0091】
ガイドバー501の装着基端部501の大きさや形状は、それが装着されるパワードライブユニット504の大きさや機械的な制限により決定される。装着基端部501は、従来からの装着スロット506及び、ソーチェーン550を潤滑するために、チェーンガイドレールスロット613に連通したオイル穴505(例えば、
図5参照)を有している。スロット506は、従来から1本か2本のボルト(図示せず)を、そこを貫通する形で受け入れており、ボルトはパワーユニット504のチェーン駆動機構の一部をなし、ガイドバー500と張られたチェーン550の位置を調整するために使われている。なお、他の装着及び調整穴も適用可能である。
【0092】
図5において、ガイドバー500は、上部長手方向ガイドレール端部508及下部長手方向ガイドレール端部509を有し、図示するように、共に循環する切断又はソーチェーン550を摺動自在に係合ガイドしている。ガイドバー500は外周にチェーンガイド溝又はスロット613を有し、チェーンガイド溝又はスロット613は上部及び下部のガイドレール端部508,509に沿って、またチップ503の周囲を伸延している。上部ガイドレール端部508は、チェーンの方向矢印が示すように、パワードライブユニット504からのソーチェーン550の外向き走行をガイドし、下部ガイドレール端部509は、チェーンの戻り走行552をガイドしている。ソーチェーン550は、
図5に示すように、アーチ状に形成された先端のガイド端部を形成する、全体が丸く又は円形の輪郭を持ったチップ503により、先端の動作先端部502の周囲をガイドされている。図示するいくつかの実施例では、ガイドバー500の切断部先端部502周囲のチェーン500の案内を助け、チップ部分でのチェーンの摩耗を減らすために、回転自在な端部スプロケット510をガイドバー500の先端部502のチップ503内に設けてもよい。他の実施例では、スプロケットは省略してもよい。
図6に示す実施例のように、ガイドバー500のチップ503は、ガイドバーチップそれ自身の摩耗を防ぐために、該チップの円周周囲に伸延する硬化された鋼又は他の金属合金の端部512を持っていてもよい。
【0093】
図5において、チェーンソー用ガイドバー500は、装着基端部501と先端の作動先端部502の間に配置され、装着基端部と作動先端部で連続した切断部が形成された中間動作又は切断部507を有している。切断部507は、有効切断長さL1及び有効切断高H1を有する。好適な実施例では、先端切断端部502は、図示するように、切断高H1とほぼ等しい切断高を有する。好ましくは、切断部507は、有効切断長さL1に渡り、均一で一定な切断高H1を有している。
【0094】
切断部507は木や他のワークに、その長さにおいて大部分が一致する最大深さの貫通穴を形成することが出来、より好ましくは、切断部の全有効切断長さL1と一致する穴を形成することができる。このために、
図5の好適な実施例に示すように、切断部507の上部及び下部の長手方向端部508,509は、互いに平行に配置され、ガイドバー500の隣接する装着基端部501よりも低い高さとなっている。ある実施例では、切断部507の有効切断高H1は、ガイドバー500の装着基端部501の高さH2の半分以下であり、より好ましくは、高さH2の1/3以下である。通常、従来のチェーンソーパワードライブユニット504の装着に必要な装着基端部501の標準の高さH2は、比較的小さな従来のチェーンソーで約1-3/4インチであり、大型のもので、2-3/4インチである。
【0095】
図5に示すように、縮小移行領域又は部分511は、切断部507と装着基端部501の間のガイドバー500上に規定され、その間で高さが減少している。一つの実施例では、移行部分511は、下方に傾斜した、好ましくは曲線が混じった形状の上部ガイドレール端部508及び、ガイドバー500の切断部507の下部ガイドレール端部509と軸方向に平行に整合した、長手方向に直線的な下部ガイドレール端部509を有している。移行部分511は、ガイドバー500上の、装着基端部501が最大高さ又はほぼ最大高さH2となるパワードライブユニット504のハウジングのすぐ前方の、描画ポイント又は垂直線V1近くから始まり、切断部507が始まる描画ポイント又は垂直線V2で終わる。垂直線V2の境界点は、
図5に示すように、ガイドバー500で切断部507が始まる点又は基端部側開始端と一致し、そこはまた上部及び下部ガイドレール端部508,509が互いに長手方向に平行に走り始める位置として規定される。
【0096】
好適な実施例では、ガイドバー500の移行部分511は、凸状の端部表面513及びそれに隣接して連続する凹状の端部表面514の両方を有する上部ガイドレール端部508を有している。凹部表面514は、ガイドバー500の切断部507に隣接して配置されている。表面513及び514は、ソーチェーン550がガイドレールスロット613内に円滑に収納されるように、滑らかな曲線で形成されている。好適な実施例では、凹部表面514は、
図5に示すスプロケット機構600の回転軸Rと一致した中心を有する円の弧である。
【0097】
それぞれの実施例では、限定する意味で無く、ガイドバー500の切断部507は、例えば約6〜22インチの有効切断長さL1を有し、より好ましくは8〜18インチの有効切断長さL1を有する。また、対応する有効切断高H1は、2インチ以下であり、より好ましくは1-1/2未満である。芸術的な彫刻用のワークに小さな半径の曲線切断を効果的に彫るために、最も好ましくは、1インチ以下である。高さH1の好適な範囲は、だいたい3/4インチ以上で1-3/8インチ以下である。極小半径切断をするためのガイドバー500の好適な実施例では、切断部507は約3/4インチの高さH1である。こうした有効切断高H1により、ガイドバー500の切断部507を用いて、芸術的な彫刻又は他の用途において、非常に好ましい小半径の曲線切断が可能となる。ガイドバー500の横の厚さは少なくとも3/16インチ以上であり、使用するソーチェーン550の厚さによる。なお、先行する図面の寸法は、作成時の誤差及び変動により1/16程度の誤差がある。
【0098】
前述した好適な大きさの範囲での実施例では、ガイドバー500の切断部507は、縦横比L1:H1(ここでは、説明上、L1/H1と規定する)が、8:1に等しいかそれよりも大きい。より、好ましくは、10:1に等しいかそれよりも大きく、更に、最も好ましくは、ある実施例では18:1に等しいかそれよりも大きい。このガイドバー切断部507の縦横比は、芸術的彫刻又はその他の作業に適した十分な長さを有しており、ワークを必要な深さで貫通して曲線状表面を彫ることが出来る。また、これに対応して、比較的小さな高さH1のせいで、小さな半径の曲線状の凹や凸の切断を行うことができる。切断部507の有効切断高H1は、ガイドバー500が曲げや撓みに対する抵抗が損なわれる程に薄くならないように、長さL1と共に長くなることが望ましいが、好ましくは、実施例では、縦横比が30:1を超えることはない。
【0099】
図5及び6に示す一つの実施例では、ガイドバー500、530は、切断部507の上部及び下部のガイドレール端部508又は509の一方がガイドバーの装着基端部501の対応するガイドレール端部と軸方向に整列する、非対称の形状を有している(
図5で示した装着基端部の形状の多少の変化は除く)。従って、切断部507は、ガイドバー500の装着基端部501により規定される長手方向軸LAから垂直方向に距離Yだけオフセットされた切断部507の長手方向の中心線により規定される切断軸CAに示すように、長手方向軸LAの上方か下方にオフセットされる。
図5及び6に示す、好適な実施例及びガイドバー500の向きにおいて、切断部507は長手方向軸LAの下方にオフセットされている。また、下部ガイドレール端部509は装着基端部501の対応する下部ガイドレール端部と軸方向に整列している。個別の実施例では、Yは、少なくとも約7/16インチ以上、約7/8インチ以下である。
【0100】
なお、別の実施例では(図示せず)、切断部507はガイドバー500の長手方向軸LAと軸方向に整合しており、切断軸CAは長手方向軸L1と一致する。この場合、上部及び下部ガイドレール端部508,509は、それぞれ装着基端部501に形成された対応する上部及び下部ガイドレール端部508、509から距離Yだけそれぞれオフセットされる。このような対称的な曲線ガイドバーには、
図5に示し、説明したような、上部及び下部のスプロケット機構600が設けられ、上部及び下部の切断部507の両方のガイドレールスロット内にソーチェーンを保持するようにする。図示しないが、こうした構成は
図5及びそれに関連するここでの記述に基づくと、当業者にとって自明な事項である。
【0101】
図7ないし9に、ガイドバー500に使用できる従来のソーチェーン550の例を示す。ソーチェーン550は、上部に伸延したカッタ558及び上部に突出するカッタ深さゲージ突起560が設けられたベース部553を有する切断リンク557及び、ガイドバー500の周囲に形成されたガイドレールスロット613(
図5参照)内に互いに摺動可能に形成された、下方に突出したガイド部又は中子559を有する駆動リンク554及び、図示するように、駆動リンクと切断リンクを互いに接続する連結ストラップ又はリンク556を有している。
図9によく示されるように、従来の3節チェーンでは、駆動リンク554は長手方向に連続的に配置されており、連結リンク556の外側ペアの間、又は連結リンク556と切断リンク557との組み合わせの真ん中に点在する形で配置されている。カッタ558は切断リンク557から上方に突出しており、
図9に示すように、角付けされた先端切断歯を持ったL字形の形状(
図7によく示されている)をしている。従来は、チェーン550は、左及び右方向に向いたカッタ558の組み合わせであり、
図9に示すようにチェーン内で交互に配置されている。カッタ深さゲージ突起560は、カッタ558がワークを貫通する深さを設定するものである。ソーチェーン550は、合金鋼より製造され、焼き入れされるかクロムメッキされたカッタ558を有する。切断、駆動及び連結リンクは互いにリベット止めされて可撓チェーンを形成する。本発明の実施例よるガイドバーに使用可能な適切なソーチェーンは、オレゴン州、ミルウオーキのCarlton® Companyおよびその他の製造者から商業的に入手できる。
【0102】
図5及び7−9に示すように、ガイドバー500は、バーの周囲をチェーンが循環する際に、ソーチェーン550をガイドバーに係合保持させるために、長手方向に伸びる外周チェーンガイドレールスロット613を有する。チェーンガイドレールスロット613は、切断部507及び装着基端部501の両方において、上部ガイドレール端部508に沿って、先端の切断端502及びチップ503を回り、更に下部のガイドレール端部509に沿って連続的に伸延している(スロット613部分のみを明瞭に図示しているが)。ガイドレールスロット613は、
図7−9に示すように、駆動リンク554のガイド中子559をその中に摺動自在に受け入れるよう構成されている。ソーチェーン550がガイドレールスロット613中を摺動する際には、ガイド中子559は切断時のチェーンをガイドし、安定させ、特に、ワークで小さな半径の曲線を切断する際に、チェーンに作用する横方向の力により、ガイドバー500からチェーンが外れてしまうことを防いでいる。
【0103】
ソーチェーン550は、
図5及び6に示すように、ガイドバー500に対して、常に係合し、圧力が掛かっており、アイドラースプロケット機構600によりガイドレールスロット613内に入っている。ある実施例では、スプロケット機構600は、回転自在なスプロケット601又は
図13に示すように、スプロケットホイール700を有する。他の実施例では、
図5に示すように、スプロケット601はガイドバー500に装着されたり、またそれから支持されたり、駆動ユニット504のハウジング(図示せず)から支持されている。アイドラースプロケット601は回転自在で有り、ここで更に述べるように、ソーチェーン550により駆動される。
【0104】
図5及び6に示すように、ガイドバー500を非対称の形にすることで、ソーチェーン550が装着基端部501と切断部507の間に形成される曲線遷移領域511に適合しなくなって、特にワークからチェーンに横方向の力が作用する極小曲線切断を行う際などに、チェーンがガイドバーから外れやすくなる。切断部の全上部ガイドレール端部が切断に供することが出来るように、上部ガイドレール端部508に沿った切断部の開始点(即ち、
図5の想像線V2参照)でソーチェーン550がガイドバー500と十分に係合していることが望ましい。これにより深い曲線穴をワークに作ることが出来る。アイドラースプロケット601はソーチェーン550をガイドレールスロット613内に、ガイドバー500と近接した摺動係合状態で、有効に収納しておくことが出来(例えば
図5及び7参照)る。これにより、ガイドバーの上部ガイドレール端部508、チップ503又は下部ガイドレール端部509でワークを切断することが可能となる。芸術的な木彫では、弧や穴を含むあらゆるタイプのそしてあらゆる向きの曲線切断表面の制作が要求されるので(例えば、
図24に示すように、動物や他の複雑な形状を彫刻する時など)、切断部507のどのような場所でも使用可能な柔軟性は、木彫家にとって有意義である。ガイドバー500の利用可能な都合のいい切断表面を用いてチェーンソーで切断することの出来る特徴により、彫刻面の正確性や見た目に悪い影響を与える使いづらい位置でチェーンソーを保持する必要性をなくしたり、またチェーンソーに合わせてワークの位置を変更したりする必要をなくしたりできる。こうしてアイドラースプロケット601を有するガイドバー500の実施例では、上方に向いた曲線切断や下方に向いた曲線切断及び、弧や穴のようなガイドバーを最初に押し込んで切り込み、そして深い曲線切断を為すことが出来る。
【0105】
図5,10及び11に、アイドラースプロケット機構600の実施例を示す。
図10は、
図5のガイドバー500とスプロケット601を通る断面図であるソーチェーン550の外側に回転自在に設けられたスプロケット601を有するアイドラースプロケット機構600では、チェーンがスプロケットとガイドバー500との間を走る。好適な実施例では、スプロケット601はガイドバー500の移行部分511に近い位置に装着されており、パワードライブユニット504による駆動時には、ソーチェーン550が真っ直ぐになることを防ぐように配置され、その他の点ではガイドバーの装着基端部501とチップ503におよぶ直線的な移動軌跡を確保している。パワーユニットによる駆動がチェーンを真っ直ぐまたは直線状の形態に付勢することから、逆張力ないしは引っ張り力が上部ガイドレール端部508に沿ったチェーン550に作用する。従って、アイドラースプロケット601がソーチェーン550の真っ直ぐとなる傾向に釣り合うように作用して、線V2により規定される中央の開始点かその近くから始まる切断部507の全てないしは大部分について、チェーンをガイドレール端部508に沿ってガイドバー500に係合保持させている。また、好ましくは、スプロケット601は、ガイドレールスロット613(
図7参照)から駆動リンク554(
図8参照)が離れることを防止することで、移行部分511の全ての又は大部分でソーチェーン550を係合させている。従って、ソーチェーン550は、
図5に示すガイドバー500の装着基端部501及びチップ503の間で、チェーンがガイドレールスロット613内に入り込むように、ガイドバーの上部ガイドレール端部508の外周部に沿う形で、動きPで示すような曲線的な軌跡を為している。これによりソーチェーン550は制御され、案内された動きが可能となり、ワークの彫刻時には、正確に複雑な曲線形状を形成することが出来る。
【0106】
図5−6及び10−11に示すように、アイドラースプロケット601は、移行部分511(
図5に良く示されている)の上部ガイドレール端部508上に形成されている凹部表面514の、近くでその上方に、僅かに前方に位置する形で配置されている。これにより、ソーチェーン550とガイドバー500の移行部分511の全て又は大部分において両者の係合が維持され、前述したようにソーチェーン550について、前述の動きPの曲線軌跡を維持することが出来る。更に、ソーチェーン550を保持するアイドラースプロケット601の位置は、ガイドバーの切断部507の開始位置となる。外部配置されたアイドラースプロケット601が無ければ、ガイドバー500の装着基端部501とチップ503の間で直線的な軌跡を取ろうとするチェーンの張力により、ソーチェーン550は、凹部表面514又は切断部507の開始位置においてガイドバーのガイドレールスロット613と係合を維持することが出来なくなる。
【0107】
図5−6及び10−11に示すように、アイドラースプロケット601はガイドバー500を横切るように配置された回転中心軸Rを規定する。
図5に示す好適な実施例では、スプロケットの回転軸Rはガイドバー500上の、切断部507が始まる(
図5参照)想像垂直線V2の垂直上方か、それに近い位置に配置され、ソーチェーン550をガイドレールスロット60内に収納保持するのに好適な前述した位置を保持している。この実施例では、スプロケットの回転軸Rは、円弧を形成する凹部表面514を規定する、半径線の中心又は基点と一致するように配置されている。この配置は、ガイドバーの移行部分511及びガイドバー500の装着基端部501にもっとも近い切断部507の始まりの凹部表面514に沿って、弓状に形成されたガイドレールスロット613部分に、チェーン550を保持するのに好都合である。ある実施例では、ガイドバー500の凹部表面514は、スプロケット601がその軸を中心に回転した際に形成される想像上の円に平行な弧を規定する。
【0108】
図5,10及び11に示すように、アイドラースプロケット601の形態の一つは、中央バブ603上に放射方向に伸延した複数の駆動歯602を有する拍車形のものである。歯602は、ソーチェーン550と係合する先端604を有しており(
図5に、良く現れている)、先端の歯幅は、係合するチェーン550の先端部の対応する幅と等しいか、それよりも大きい(
図10参照)。アーム602はチェーン550と係合するに十分な半径方向の長さを有している。
【0109】
図6及び12アイドラースプロケット601の別の実施例であり、
図11に示す直線状の歯602の代わりに、螺旋形状の駆動歯605を有している。その他の点では、機能や設計上は前述のものと同様である。
【0110】
図13及び14に、ガイドバー500と係合するソーチェーン550を保持する、前述のアイドラースプロケット601に代えて使用される被動アイドラーホイール700の実施例を示す。アイドラーホイール700は、二つ間隔を開けて対向配置された円盤状のワッシャー701及びそれらワッシャー701の間に横断する形で配置された複数の駆動ピン702を有し、それらはソーチェーン550と係合するように形成されている。駆動ピン702は、円形、四角形、六角形、その他などの適切な曲線又は直線的な断面形状を有しているが、これに限らない。ピン702は、チェーン550の先端部の対応する幅に少なくとも等しいか、好ましくはそれよりも大きな長さを有しており、ホイール700はチェーンにより駆動されるので、チェーンとピンの間の係合と接触を十分なものとしている。ピン702は、ワッシャー701に、溶接、しまり嵌め又は機械的な締結(それらに限定されないが)など、適当な従来技術による方法を用いて装着されている。
【0111】
アイドラーホイール700は、
図5及び6で示し、述べたアイドラースプロケット601と同じように、ガイドバー500に位置決め装着され、使用される。
【0112】
図13及び14に示すように、実施例の駆動ピン702は、ワッシャー701の円周端部から放射方向に差し込んで、ソーチェーン550の少なくとも上方の部分を捕捉するように構成することもできる。この構成によれば、チェーン550の上側はワッシャー701の端部とピン702で跨がられる形となり、パワーユニット604で駆動したときに、アイドラーホイール700からチェーンが横や縦方向に滑り出すことを防止することが出来る。
【0113】
歯602又は605を持ったアイドラースプロケット601及びピン702を持ったアイドラーホイール700の実施例は、適切な品質の鋼、ステンレススチール、アルミニウム、チタニウム又は合金及びそれらの組み合わせなど(これらに限定されないが)の、適当な金属で作成することが出来る。歯602,605及びピン702は、スプロケット又はホイールの他の部分と同じ又は異なる材料で作ることも可能で或る。
【0114】
図5−6及び11−13に最初に示したように、駆動歯602,605及び駆動ピン702(どれが使われるかによるが)は、丸いハブ603に対して円周方向に間隔があいて設けられ、好ましくは切断リンク557間で、最も好ましくは、連結リンク556と駆動リンク554の上のカッタ深さゲージ突起560の直前でソーチェーン550と係合している。好適な実施例では、十分な数の駆動歯602,605又は駆動ピン702が設けられ、チェーン550は切断リンク557の全ての組の間で係合している。
【0115】
チェーンソーのモータ駆動ユニットが運転される運転時には、歯602,605又は駆動ピン702は、ソーチェーンのカッタ深さゲージ突起560の先(前)端部と係合し、アイドラースプロケット601又はアイドラーホイール700を回転させる原動力を与える。運転時には駆動歯602,605又駆動ピン702は連結及び駆動リンク556,554上で下方に押圧され、ソーチェーン550をガイドバー500内方に付勢し、これにより下方に飛び出している駆動リンク554のガイド中子559がガイドレールスロット613(
図5及び6参照)から離れてしまうことを防止している。これは、チェーンがガイドバー500の周囲を回動することでチェーンに作用する張力により、駆動端部501とチップ503間で直線的な軌跡を取ろうとするソーチェーン550により、駆動歯602、605及びピン702に上方への力が作用することを防止する。アイドラースプロケット601及びアイドラーホイール700(もし、代わりに使用してる場合)は、すでに説明したように好適な位置に配置されているので、ソーチェーン550はスプロケットの回転中心位置で駆動歯602,605又は駆動ピン702から解放される。この位置では、ガイドバー500の切断部507には、上部ガイドレール端部508のガイドレールスロット613内に十分に受け入れられた状態のソーチェーンがある。この位置では、
図5及び6に示すように、切断部507の上部及び下部ガイドレール端部508,509は互いに平行なので、チェーン550は、更なる案内手段や制御手段を設けなくても、ガイドバー500と係合を継続している(即ち、駆動リンク554がガイドレールスロット613内に入り込んでいる)。これにより、ソーチェーン550は十分に安定し、曲線切断に使用する全切断部507を使用して曲線切断を制御された状態で行うことが出来る。また、駆動歯602、605又は駆動ピン702が最初にソーチェーン550と係合するのは、望ましくは、ガイドバー500の切断部の前であり、移行部分511の上部ガイドレール端部508に沿った場所であることが望ましい。
【0116】
運転時には、
図5及び6に示すように、ソーチェーン550は軌跡Pで示す、第1の時計回転方向で回転しており、アイドラースプロケット601又はそれにかわるアイドラーホイール700(もし、使用したなら)は、チェーン550に駆動される形で第2の対向した反時計方向に回転する(回転方向矢印を参照)。
図5に示す実施例では、アイドラースプロケット601又はアイドラーホイール700に関連して、端部スプロケット510を追加的に設けている。端部スプロケット510は、しかし、ソーチェーン550と同じ時計方向に回転する。
【0117】
前述したように、スプロケット機構600は、機能的、設計的及び目的において、ガイドバー端部チップスプロケット510とは明確に異なる点を認識すべきである。スプロケット機構600の必要性は、今までは追加の工具やステップが必要であり、同様なものが出来なかった複雑な曲線の細部をチェーンソーで木彫に施す際に特に有用で適している、ガイドバー500の独特な形状に起因するものである。
【0118】
図5,10及び11に示すように、スプロケット601はハブ603の穴606を貫通する軸651と支持ブラケット650により回転自在に支持されている。この実施例では、スプロケット601は穴606内に設けられたベアリング607を有しており、ベアリング607は、摩擦を低減し摩耗寿命を伸ばすボール又はジャーナルベアリング、あるいはブッシュである。軸651はベアリング607に陥入係合され、支持ブラケット650の先端の自由端653に装着さている。支持ブラケット650は、反対側に、ガイドバー500に固着された基部652を有し、ソーチェーン550による変位に対抗している。
【0119】
好適な実施例では、支持ブラケット650は、チップ503とは反対のガイドバー500に設けられており、ガイドバー500の装着基端部501に近いパワードライブユニット504の前方及びそれに近い移行部分511に設けられ、パワー駆動ユニット504の外側で、露出したガイドバー材料の最も背の高い領域の前方に設けるようにする。ブラケット650をこのように設けることで、ガイドバー500を可能な限り高さ的に短く又は狭く作ることが出来る。これは、鋭い半径の曲線切断をなすための曲率半径はガイドバーの高さに比例するからである(ここで、更に述べるように)。他の実施例では、支持ブラケット650は切断部507に装着されていてもよい。また、他の実施例では、ブラケット650はパワードライブユニット504に、それまで説明したものと同様に露出する形で装着されていても、また、パワードライブユニット504のハウジング内部に装着されていてもよい。
【0120】
一つの実施例では、支持ブラケット650の基部652はガイドバー500に、
図5及び10に示すように、少なくとも一つのマシンボルト又はキャリッジボルト及びナットの組み合わせ654によりガイドバー500にしっかりとだが、取り外し可能に装着されている。ある実施例では、運転時にソーチェーン550によりブラケットに伝わる駆動力により揺れたり動いたりすることを防止し、ブラケット650を安定させるために、二組のボルトナットの組み合わせ654でもよい。ボルトナットの組み合わせの各ボルトの軸は、ガイドバー500及び支持ブラケット650の相補的な穴を介して挿入されている。好適な実施例では、従来のナイロン又は他のロックナットがボルトナットの組み合わせ654に使用され、駆動ユニット504の運転による振動に対抗している(
図5参照)。また、ブラケット650は溶接やリベット又は他の同様な永久的な装着方法で、ガイドバー500に永久的に装着されていてもよい。ほかの適当な取り外し可能な及び永久的な装着方法を採用することもできる。
【0121】
図5−6及び10に示すように、軸651は、支持ブラケット650の末端653に横断的に装着されたピン又は軸である。実施例では、図示するように、軸651は、従来のネジ式のマシンボルト又はキャリッジボルト及びナットの組み合わせ654のような締め具の軸である。ボルトナットの組み合わせ654のボルトの軸は支持ブラケット650の先端653に設けられた相補的な大きさの穴を介して挿入されている。この容易に分解が出来ることで、必要となれば、アイドラースプロケット601の迅速な取り外し交換が可能となる。実施例では、従来のナイロン又は他のロックナットがボルトナットの組み合わせ654に使用され、駆動ユニット504(
図5参照)の運転により生じる振動に対抗している。実施例では、軸651は、軸の一端に貫通装着された止めピン(図示せず)や、軸651を支持ブラケット650に回転自在に支持することのできる他の適当な装置などの固定手段によりブラケット650に固定された平滑なピンでもよい。実施例では、ロックナットがボルトナットの組み合わせ654に使用されている。しかし、スプロケット601を支持ブラケット650に回転自在に支持することが出来る限り、他の適当な軸構成や組立構造が使用できる。
【0122】
アイドラーホイール700も、前述したスプロケット601と同様にガイドバー500に、支持ブラケット650の及び軸651を使用して回転自在に保持される。
【0123】
図15に、U字形のクレビス及びクレビスピン662による装着ブラケット660の実施例を示す。クレビス661は、支持ブラケット650と幾分似ているが、図に示すように、クレビスピン662上の後述する支持ブラケット650の間に、アイドラースプロケット601(又はアイドラーホイール700)を回転自在に装着した、二つの間隔を開けた支持ブラケット663を有する。クレビスピン662は、
図10に示す軸651と同様で有り、従来のネジ式のマシンボルト及びナットの組み合わせ654等の固定手段の軸である。他の適当な軸構造の使用も可能である。
【0124】
図6及び16に、本体が凹んだ切断部507を有するチェーンソーガイドバー530の実施例を示す。チェーンソーガイドバー530は、長さ方向に伸延する凹部表面514を有しており、凹部表面514はガイドバーの両面に形成され、曲線切断、特に弧の形の切り抜きや穴のような、深い曲線切断を作成する際に、有効である。木のワークに曲線切断を行う際には、発生した木くずがガイドバーの周囲に固まったり、まとわりついたりする。特に、穴を切ろうとした場合には、顕著である。本体が凹んだガイドバー530がワークに突っ込まれると、凹部表面514の露出部と共に、ガイドバーの基部はワークの外側に残る。これが、曲線切断を為す際にワークから木くずを排出する道筋を形成し、木くずが歯にまとわりつくのを防止し、ワークに小さな半径の曲線切断をすることが容易になるばかりか、深い湾曲した切断部や穴を木のワーク又は彫刻に形成するのを容易にする。従って、凹部表面514はガイドバー切断部507の長さL1のほぼ全長に及び、更に図示するように、チップ503の直前にまで伸延することが望ましい。本体が凹んだガイドバー530の凹部表面514は曲線切断に有利である。即ち、ワークの弧の内側で凸状に形成された木の部分を、凹みに入れることが出来、より小さな半径の切断が可能となる。
【0125】
図6に示すガイドバー530の他の例では、凹部表面514は窓を形成するように完全に切り出した形でもよく、
図2及び2Aに示す開口222の概念に似て、該窓をガイドバーの端から端まで横方向に完全に伸延させるようにしてもよい。開口は
図6の凹んだに凹部表面514に似た形状又は、他の適当な形状とすることが出来る。この変形例は、木くずの排出路も形成し、切断時にガイドバーに木くずがまとわりつくことを防止、又は減少させることができ、更に、ガイドバーの重量を軽量化することが出来る。これは精密な切断をする場合に有効である。本体が凹んだガイドバー530の記述をベースにしてガイドバー530のこうした変形を為すことは、当業者にとって更なる説明を要しないものである。
【0126】
図17及び18に、従来形状及び大きさのガイドバーと本発明によるガイドバー500によって形成される切断半径の比較をそれぞれ示す。木ないしは他の中実ワークに対して実際に試し切断をした際に得られた結果に基づいて、ガイドバー500で形成される曲線切断半径の改善状態を比較するために、理論的な切断線を点線で、それぞれのバーについて示した。図に示すように、ガイドバー500による曲線切断半径1は、標準/従来のチェーンソーガイドバーでの切断半径2よりも小さい。
【0127】
ガイドバー500は上部及び下部のガイドレール端部508、509を用いてどちらの方向(
図18参照)でも切断することが出来る利点がある。この多様性は狭いガイドバー500と、ソーチェーン550を上部ガイドレール端部508に保持するスプロケット機構600の組み合わせで達成されている。従来のガイドバーも上部及び下部ガイドレール端部の両方での切断は可能であるが(
図17の方向矢印を参照)、垂直方向により広いガイドバーにより、きつい半径の曲線切断の類いが困難である。こうした点は、きつい半径を要求する美的な木彫切断や他の用途においては、大いなる利点である。
【0128】
切断部507によって規定される有効切断高さH1が3/4インチの曲線彫像用ガイドバー500は、約1.25インチ間隔のカッタ558を有しており、ガイドバーの左側は、カッタ558の左端の部分から約0.05インチだけ入り込んでいる。実際の試し切断では、こうしたバーは、約3インチ+/−の半径(半径1)の曲線切断弧を形成することが出来た。このことは、2−1/4インチの高さを持った、やや大型の従来のガイドバーを用いた、弧の半径(半径2)が約19インチ+/−での切断と比較される。これらの有利なより小さな半径の曲線切断は、
図5及び6で示したガイドバー500の小さな高さH1と独特な構成によるものである。そして、これらは、ここで述べたアイドラースプロケット機構600の戦略的な配置との組み合わせでなされた。
【0129】
また、ガイドバー500は、時間の掛かる追加的な仕上げステップを省略することができ、及び/又は木彫用の小型のみやサンダーのような追加的で副次的な造形工具の使用も省略することができる。
図19−21に、チェーンソーを用いてサギを彫る例(限定的なものではない)で、この点を示す。
図19及び20に示す中実で均一な細長いワークWPから始め、木彫作品の美的な彫刻の第1段階は、殆どチェーンソーだけを使用して、粗彫りを行って、仕上がりの彫像のだいたいの形と特徴を削りだす。
図19は、
図17の従来のガイドバーで削りだした初期ブロックである。これは、大きな半径の造作(例えば、ワークWPの右側を参照)を除いて、直線的又は平面的な板状の切断ばかりである。
図21に示す、仕上がり彫像にまでいくには、多くの追加的な手動又は自動木彫工具と時間の掛かる作業が必要となる。
【0130】
一方、
図20に示すように、本発明によるガイドバー500で切断した初期ブロックは、より小さな半径での曲線切断を多用することで、従来のガイドバーよりも、
図21の仕上がり彫像の最終的な曲線造作により近いブロックを最初から削り出すことが出来る。これにより、彫像を完成させるための追加的な彫りの量や工具のステップが少なくなる。さらに、小さな半径の内側又は内部の曲線部分又は造作(例えば、
図21の頭と首の間の開口を参照)は、初期段階では、従来のチェーンソーガイドバーでは切断できない。
【0131】
輪郭切断用ガイドバー
【0132】
特別な切断の他の形は、チェーンソーを用いた芸術的な彫刻又は物の彫刻にしばしば見られるが、弓状に出っ張った表面である。それらは、主に、ワーク表面又は外部に形成され、例えば、
図24−30に示し、以下に説明するように、完成時には滑らかで丸みを帯びた輪郭を持つように意図されている。ここで提供される、こうした輪郭を彫るガイドバーを用いる以前は、多くの時間の掛かる彫刻ステップ及び/又は追加的な成形工具が、意図した出っ張った表面形状を形成するためには必要だった。
【0133】
図31−34に、弓なりの形状の出っ張った表面を切り出し、彫刻するのに特に適した、軽量チェーンソーガイドバー800の一例を示す。ガイドバー800は、長手方向に伸延したガイドバー800を有し、ガイドバー800は、従来のパワードライブユニット504(例えば、
図5を参照)に装着するために形成された後部装着基端部801を持った長細い本体、作動チップ803が丸く形成されて終端する作動先端部又は切断端部802、及び装着部と切断端部との間に規定される中間部807を有する。装着基端部801は、ガイドバー500の装着基端部501と似た構成で有り、ソーチェーン550を潤滑する複数のオイル穴805及びガイドバーをパワードライブユニット504に取り付ける装着スロット806を有している。
【0134】
図31に示すように、本発明では、先端の作動先端部802は、好ましくは、長手方向軸LAから下方(
図31で見る場合)に離れる方向に向いた球根状の形状をしており、ソーチェーン550の戻り走行552をガイドするランプを規定している(チェーン軌跡P1,P2参照)。この実施例では、端部802は最も高い高さH5を有し、従って、より狭い隣接する中間部807の高さH3よりも大きい。従って、球根状の形状の作動先端部802は、より高く幅が広いガイドバーの平面内で、隣接する中間部807よりも大きさ的に大きい。
【0135】
図31−34に示すように、ガイドバー800の中間部802は、高さH4を有する装着基端部801よりも高さH3において、より狭く又は短く、ガイドバーの底部に下方に開口した凹んだ場所850を形成している。窪んだ場所850は、更に述べるように、一つの取り得る位置として、ソーチェーン550を少なくとも部分的にその中に受け入れることが出来る。この構成と凹みにより、ガイドバー800の重さは減少し、装飾的な彫像又は対象を彫る際により操作がしやすい。凹んだ場所850は、好ましくはガイドバー800の装着基端部801から先端の作動先端部802まで伸延している。
【0136】
図31に示すように、ガイドバー800は更に、チェーンガイドレールスロット813を有する上部の長手方向ガイドレール端部808(
図5のガイドレールスロット603と構成及び目的が同様である)及び下部の長手方向端部809を有する。ガイドレールスロット813は、好ましくは上部ガイドレール端部808の全長にわたって伸延しており、バーの作動端部803の周囲を約180度、連続して、点852、好ましくはガイドバーの下部又は底部端部809により規定される凹んだ場所850内の、点852で終わっている。
【0137】
図31−34の実施例で示すように、ガイドレールスロット813は、中間部807の下方の端部809に沿って伸延する必要は無く、そこは平坦であり(例えば、
図33参照)、製造及び関連するコストを低減させている。その領域では、ソーチェーン550は自由に無支持状態で、好ましくは下方の端部と係合すること無く走行するために、中間部807の下方の端部809にはガイドレールスロット813は無い。他の実施例では、チェーン550は中間部807と係合するように設計されており、この場合には、ガイドレールスロット813は、中間部の下方の長手方向に伸延する端部809に、
図35で示すように、似た感じで設けられている。
【0138】
好適な実施例では、ガイドバー800は全体的に弓のような形状をしており、上部の長手方向ガイドレール端部808はやや弧状で凸の形状をしている。
【0139】
ガイドバー800は、凹んだ場所850の近くのソーチェーン550と小さな弛み又は遊びを持って運転されるように設計されている。このチェーンのフレキシブルな無支持部分及び弛みにより、ガイドバー800は、チェーン550の無支持な形に順応する切断端のおかげで、凹んだ形状を簡単に形取ることが出来る。ガイドバーの中間部807の凹んだ場所850で、ガイドバー800及びチェーン550の操作をして、
図26に示すように、ワーク上でガイドバー800を横方向に動かすことで、苦労すること無く、また熟練を要すること無く、ワークを丸みを帯びた滑らかな形状に切断形成することができる。今まで、従来のチェーンソーガイドバーを用いて、このように輪郭をうまく形成することは、熟練した彫刻家のみが可能で有り、また、このような滑らかな又は丸みを帯びた輪郭又は丸く出っ張った形状は、形状成形工具を追加的に使用しない限り、全く不可能であった。ガイドバー800により彫刻初心者でも、簡単に滑らかな丸い出っ張った表面を形成することが出来る。
【0140】
図31に示すように、ガイドレールスロット813は、凹んだ場所850の基部であるガイドバー800の装着基端部801で再度形成され、後方に、装着端の一番端の垂直端部まで続いている。ガイドレールスロット813は、図示し、また以下に述べるように、少なくとも部分的に、近くに装着されたスプロケット601(
図5に示した実施例と同様である)の周囲を回り、またスプロケットに近接して配置されている。
【0141】
図31−34に示すように、上部の長手方向ガイドレール端部808は僅かに出っ張った線で規定され、それは、ガイドバー800の端部802に向けた小さな半径曲線端部851に繋がっている。作動端部803は、
図5に示すように(
図31には示さないが)、アイドラースプロケット510が装着されていてもよく、ないしは端部803は
図31に示すように、硬化された合金端部512でもよい。それらはここで、チェーン550による摩耗を減らすためのものである。また、作動又は切断端部802は、
図34(断面図)に示すように、ガイドバーの端部の周囲でソーチェーン550を部分的に受け入れガイドするために端部802の周囲にまで伸延したガイドレールスロット813でもよい。
【0142】
ガイドバー800の他の観点によると、戻りチェーン用アイドラーリターンスプロケット機構600は、スプロケット601を有し、
図31に示すように、中間部807の凹んだ場所850の下を無支持状態で走行して戻ってくる、ソーチェーン550の戻り走行552と再係合して、チェーン550をガイドレールスロット813内に再度入れ込むために設けられている。スプロケット601は、ガイドバーの下部に設けられ、より好ましくは、ガイドバー800の中間部807と凹んだ場所850に近接した装着基端部801の前方底部に設けられる。ガイドバー800に組み合わせて使用されるスプロケット601は、すでに
図5−6で示し、説明したものと同様であるが、他の適宜なものでもよい。
【0143】
図31及び32に示すように、スプロケット601は、チェーン550とガイドバー800の間の内部に回転自在に設けられており、側面856間のガイドバー800の装着基端部801内に形成された相補的な穴855内に設けられている。軸651はガイドバー800の側面856間に設けられ、回転軸としてスプロケット601を支持し、ガイドバー800の中間部807と長手方向軸LAの下方に配置されている。
図32に断面図に示すように、スプロケット601の放射方向に伸延する駆動歯602又は603の先端604は、好ましくはチェーンガイドレールスロット813内に伸延し、少なくとも部分的にスロットを超えて、ソーチェーン550と係合している。好ましくは、放射方向に伸延する駆動歯602又は605は、円周方向に間隔が開いており、
図31に最適に示すように、駆動リンク554間で、ソーチェーン550の駆動リンク554(
図8も参照のこと)間の連結リンク556及び切断リンク557の内側側部/下部側と係合している。特に、スプロケット歯601の先端604は、ソーチェーンの連結及び切断リンク556,557と交互に係合している。運転時には、先端604は、ガイドバー800の装着基端部801の前方で、下部ガイドレール端部809から僅かに間隔を開ける形で、徐々にチェーン550と係合して、保持し、バーの装着基端部の下部809のガイドレールスロット813内にチェーンを円滑かつ容易にガイドする形で戻す。
【0144】
使用時には、戻りスプロケット601を、チェーン550の無支持状態の戻り走行552部分に組み合わせることで、ソーチェーンが再度駆動端801及びガイドレールスロット813内に入り込む領域で、スプロケットが無かった場合に生じる、チェーン550がガイドバーに対して打ち付けられたり騒音が生じたりすることを防止する。これは、バーとチェーンに深刻なダメージを与え、特にチェーンを使用不可能にしてしまう。無支持状態でガイドの無いチェーンによって、チェーンに引き起こされるこうした望ましくない力は、連結ストラップ又はリンク556及び切断リンク557を駆動リンク554に対してかしめるように作用し、リベット連結を動かない、固着した状態にしてしまう。
【0145】
図31に示すように、装着基端部801で支持されたスプロケット601とガイドバーの球根状の先端の作動先端部802により規定される支持体の間の、ソーチェーン550の無支持状態での戻り走行552により、ガイドバーの長手方向軸LAに関して横方向に揺れ動く切断端部が出来、ワークを出っ張った形の表面に輪郭付けしたり又は丸めたりすることができる。
図27−30に順番に示すように、ソーチェーン550はワークに対して係合し、又は押しつけられ、ガイドバー800方向に向いた内向きの戻り力Fがチェーンに作用し、チェーンを長手方向軸LAに対して垂直方向及び横断方向にずらす。これにより、ソーチェーン550は、
図31に示すように、ワークと係合していない状態の第1のずれていない位置853から、ワークと係合する第2のずれ位置854に移動し、ずれ動くことができる。ずれ位置854は、ずれていない位置よりもガイドバー800により近く、中間部807と実際に係合する場合もある。
【0146】
ソーチェーン550は、ずれていない位置853では概して直線状の又は、やや外側に出っ張った形状、又は軌跡P1を示すが、内側に向いた力F(
図31参照)が作用すると、ずれ位置854で内側に凹んだ弓状の形状又は軌跡P2を示すように、徐々に変化する。力Fが無くなると、チェーンの張力により、ソーチェーン550Gは自動的にずれていない位置853及び軌跡P1に戻る。好ましくは、ソーチェーン550の張力は、ある程度の弛みを許容し、チェーンをずれていない位置とずれ位置の間で移動可能なように、ユーザにより調整される。ずれ量の許容値はチェーンの張力に依存し、それはパワードライブユニット504(例えば
図5参照)のチェーン駆動を介して従来の方法で調整が可能で或る。好ましくは、使用する張力は、チェーン550が使用中にガイドレールスロット613から外れてしまうほど小さいものではない。ガイドバー800の他の特色を阻害しない範囲で、ソーチェーン550を
図31の点線で示した。
【0147】
実施例では、ガイドバー800の全長(装着基端部801から先端803の端から端までの計測で)は、約12−18インチである。先端803とスプロケット601がある、装着基端部801の基部の最も大きな部分間の全長は、約7−12インチである。中間部807は全高H6(
図33参照)が約1/2から1インチである。なお、寸法は適宜変更が可能である。
【0148】
ワークに出っ張った形状の表面を形成するための輪郭彫刻用ガイドバー800の使用方法は、
図24−30を参照しつつ、以下に説明する。この例は、馬の後ろ1/4を彫刻する場合を示し、長手方向に見た場合に滑らかで丸みを帯びた外表面の形状を持っている。このために、彫刻家は最初に、粗い垂直及び水平方向の一連の荒削りを行う。これは、従来の直線切断用ガイドバーを用いて行うことが出来、複数の角張った平面が形成される。荒削りの隣接する切断表面間には、角が形成される(
図27参照)。
【0149】
馬の彫刻の所望の丸みを帯びた輪郭を形成するには、ユーザは、次に、ガイドバー800を、丸くしたいワークの部分の、対応する角張ったコーナー部上に当てる。次に、ユーザは、
図27に示すように、ワークに対してソーチェーン550の無支持状態でずれ動く状態の戻り走行552を押しつけ係合する(ガイドバー800の下方に向いた矢印を参照)。逆方向の垂直上方に向いた力がソーチェーン550に作用し、
図31に示すように、チェーンはずれていない位置853からずれ位置854に移動する。チェーン550は、最大ずれ位置854とずれていない位置853(ワークとの非係合時)との間で、どこにでも位置することが出来るが、ガイドバー800からワークに作用する圧力による。
【0150】
ソーチェーン550は、
図27に示すように、選ばれた少なくとも一つ以上の角部と係合する。ユーザは、実施例の場合、ガイドバー800を前後の長手方向に往復移動させ、同時にチェーン550をワークに対して押しつけ続ける形で、下方に向けて圧力を作用させる。残りの
図28−30に引き続き示すように、圧力を継続することで、ワークを所望の形状に加工してゆく。こうして、徐々に角張った部分が滑らかに丸くなってゆき、
図30に示すように、比較的滑らかな半径の出っ張った形状が形成される。ユーザは、次いで、前述と同様な方法で、残りの角部を選んで加工し、最終的に、
図24の彫像にあるような仕上げ形状を得る。
【0151】
ソーチェーン550の自己適合する不支持状態のスパンを持ったガイドバー800により、芸術的な彫刻において、滑らかで丸い出っ張った表面を簡単に素早く、他の追加工具を用いること無く、また多くの専門知識及び/又は経験を必要とすること無く、加工することが出来る。
【0152】
図25−30に示す例は、長手方向に伸延し、全体的に水平に角付けされた角部を輪郭付けしたり、丸めたりしているが、垂直及び垂直と水平の間に向いた角部も、必要に応じて輪郭彫刻用ガイドバー800が多様な位置を取るようにチェーンソーを保持することで、輪郭付けすることが出来る。
【0153】
図35は、輪郭切断/彫刻用ガイドバー900の別の実施例であり、ここで十分に説明したガイドバー800の変形例である。この実施例では、スプロケット機構600は省かれ、先端の作動端部802は、
図31に示すような球根状では無く、下方に曲がった丸い形状をしている。上部ガイドレール端部808は僅かに出っ張った形状をしており、下部ガイドレール端部809は、図示するように相補的に凹んだ形状をしている。従って、ガイドバー端部の曲がった部分は、全体的に平行である。また、装着基端部801は、
図31よりも中間部807に対してより緩やかに移行する形状を有しているが、これは、スプロケット機構600が省略されているからである。この実施例の場合、チェーンガイドレールスロット813は、上部及び下部の長手方向に伸延するガイドレール端部808,809の両方に形成されている。これは、図に示すようにチェーンが下部端部809に沿ってガイドスロット813に入り込むまでは、チェーン550は、使用中は十分にずれた状態にあることが望ましいからである。ガイドバー900は、ワークに出っ張った輪郭の表面を形成するために使用する方法及び機能に関しては、既に述べたガイドバー800と同じである。
【0154】
ユーザはガイドバー800又は900の上部を使用してガイドレール端部808の相補的な形状で表面を切断又は彫刻することもできる。従って、ガイドバーの上部及び下部のソーチェーン共に、切断及び彫刻に使用することが出来る。
【0155】
図36に、輪郭切断/彫刻用ガイドバー950の更に別の実施例を示す。これは、既に十分に述べたガイドバー800の変形例である。この実施例では、
図5で示したものと似た設計及び構造の上部スプロケット機構600が設けられ、チェーンの軌跡は、中間部807及びガイドバー950の作動先端部802の高さを小さくし、ソーチェーン550をガイドレールスロット813の上部に対して効率的に係合保持させている。ガイドバー950は、
図31の実施例と同様に、球根状の先端の作動先端部802を有し、それは、下方に曲がって丸まっている。上部のスプロケット機構600の前方の上部ガイドレール端部808は、ガイドバー950の装着基端部801の先端から下方に垂直にオフセットしており、
図36に示すように、凹んだ形状と隣接した出っ張った形状の先端部が合成された形状を有する。このオフセットにより、装着基端部801の下部端部809が中間部807の対応する下部端部809と軸方向に整合するので(完全ではないが)、
図31の下部スプロケット機構600の必要がなくなる。装着基端部801及びガイドバー950の中間部807の下部ガイドレール端部809が円滑に移行しているガイドレールスロット813を有する。従って、ずれた部分854において装着基端部801内にチェーンの戻り走行552を制御された形で入れ込んで、当該部分でのガイドバーに対する摩耗やダメージを避けるために、チェーン550は中間部807の下部ガイドレールスロット813内に入り込む。ガイドレール950の下部端部809の形状は、
図31で示したものと同様である。
【0156】
図36に示すように、下部端部809は上部ガイドレール端部808の曲がりに追随し、球根状の先端802まで比較的均一な高さを維持している。従って、中間部807の下部ガイドレール端部809は、ワークと接触した場合には、チェーン550をガイドスロット803の全長又は一部分で保持する。この実施例では、ガイドバーの下部でのチェーンの自由なスパンにより、ユーザは滑らかで丸い形状を生成することが出来る。また、上部ガイドレール端部808の出っ張った形状により、ガイドバーの先端を操作して同様な凹んだ表面を形成する場合と比較して、経験や専門知識が少なくても凹んだ同じ表面を切断形成することが出来る。ガイドバー950の使用法は、既に述べたガイドバー800のそれと同様である。
【0157】
ここで開示されたガイドバーは、チェーンソー用ガイドバーを製造するために従来から使用されてきた適当な材料から作ることが出来る。従って、これらのガイドバーは、限定するわけではないが、鋼、チタン、アルミニウム又はこれらの合金などの金属から作られる。ガイドバーは又、単一、複合又は積層材料又は構造であってもよい。従って、ここで開示されたガイドバーは単一金属板から形成することも又は、積層され、互いに隣接した及び/又は離れた及び互いに組み合わされた複数の板の合成材から、適切な従来技術を用いて作ることも出来る。従って、本発明のガイドバーの発明は材料の選択及び組立法にはなんら限定されない。
【0158】
ここで、開示されたガイドバーの実施例は、多様な用途に使用することが出来、装飾的な彫像又は対象の芸術的な彫刻に限るわけでは無く、小さな半径の曲線切断(凹みや出っ張り)又は出っ張った形状のワーク表面を輪郭付けしたり、滑らかにしたりすることが要求される全ての用途に使用可能である。ここで開示されたガイドバーは、木のワークを彫刻したり、切断したりするほかに、チェーンソーで切断して変化させることの出来る材料、限定されないが、氷(例えば、氷の彫刻)、ポリマー、合成材料他からなるワークに対しても適用が可能である。
【0159】
ここで開示されたガイドバーの実施例は、図面で示した位置とは全く反対の方向を含むあらゆる方向の切断及び彫刻で使用することが出来、垂直又はどのような角度でも可能である。従って、図に示した好適な方向はガイドバーを使用する際の位置に関しては、何らの限定でもなく、チェーンソーパワードライブユニット504に使用される内燃機関によって決定されただけのものである。
【0160】
本発明は、その精神またはその特徴から離れない限り、どのような形態も取ることが出来、従って、述べられた実施例は、全ての点で例示的であり、限定的な物ではない。発明の範囲を示すために、発明の範囲は、先行した詳細な記述よりむしろ添付したクレームに示されており、均等の範囲に入る全ての変形は本発明に含まれるものである。