(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
互いに対向する縦向きの破砕面を有する一対の第1、第2ベッドを備えており、加熱急冷処理済みの高純度の原料シリコンを挟んで加圧して破砕する前記一対の破砕面を近接離間させることによって当該原料シリコンを加圧破砕する原料シリコン破砕装置であって、
前記第1ベッドは、前記破砕面側に開口した有底箱状の第1ケースと、
その一部が前記第1ケースの開口から外方へ突出するようにして配設されており、その突出面が前記破砕面となる、原料シリコンと等しい或いはそれ以上に高い純度を持つ第1破砕用シリコンと、
前記第1破砕用シリコン及び前記第1ケースの間に介装された第1防汚部材とを有しており、
前記第2ベッドは、前記破砕面側に開口した有底箱状の第2ケースと、
その一部が前記第2ケースの開口から外方へ突出するようにして配設されており、その突出面が前記破砕面となる、原料シリコンと等しい或いはそれ以上に高い純度を持つ第2破砕用シリコンと、
前記第2ケースの両側面板に配設されたサイドシリコンケースと、
前記サイドシリコンケースに嵌め込まれており、前記一対の破砕面で挟まれた空間の両側面を覆う、原料シリコンと等しい或いはそれ以上に高い純度を持つ一対のサイドシリコンと、
前記第2破砕用シリコンと前記第2ケースとの間に介装された第2防汚部材と、
前記サイドシリコンと前記サイドシリコンケースとの間に介装された第3防汚部材とを有していることを特徴とする原料シリコン破砕装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、いずれの原料シリコンの破砕手段を選択したとしても、破砕時にタングステン(ハンマー)やタングステンカーバイド(ジョークラッシャーの歯)等が原料シリコンの表面に付着して、原料シリコンの純度を低下させるという問題があった。また、ハンマーやジョークラッシャーを用いた場合、原料シリコンのパウダー(粒度が1mm以下のもの)発生率が10〜20%(質量ベース)と高く、いわゆる「微粉化ロス」が大きいという問題もあった。
【0007】
これに対し、手頃な大きさの原料シリコン塊をハンマー代わりにして破砕すべき原料シリコンに叩きつける方法(共割り方法)であれば、破砕時における原料シリコンの純度低下を最小化できるものの、この方法はハンマーを用いて破砕する方法と同等若しくはそれ以上の労力を要することから、作業者が腱鞘炎になるおそれがあり、さらに、ハンマー代わりに当該シリコン材料を掴んで共割り作業を行っている最中に誤って手を傷つけてしまうおそれがあった。
【0008】
また、ジョークラッシャーの歯を高純度のシリコン材料で形成することにより、原料シリコンの純度低下を回避することも考えられるが、当該歯をシリコン以外の金属で形成された固定部材で固定する必要があり、当該固定部材から金属汚染が発生してしまうことから、シリコン材料の純度低下を完全に回避することは出来ず、金属汚染部分を化学エッチングで除去する必要があった。
【0009】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みて開発されたものである。それゆえに本発明の主たる課題は、原料シリコンの純度を低下させることなく、かつ、微粉化ロスを低く抑えつつ、機械的に原料シリコンを破砕することができる原料シリコン破砕装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載した発明は、
「互いに対向する縦向きの破砕面16、18を有する一対の第1、第2ベッド12、14を備えており、加熱急冷処理済みの高純度の原料シリコンGを挟んで加圧して破砕する前記一対の破砕面16、18を近接離間させることによって当該原料シリコンGを加圧破砕する原料シリコン破砕装置10であって、
前記第1ベッド12は、前記破砕面16側に開口した有底箱状の第1ケース22と、その一部が前記第1ケース22の開口から外方へ突出するようにして配設されており、その突出面が前記破砕面16となる、原料シリコンGと等しい或いはそれ以上に高い純度を持つ第1破砕用シリコン20と、前記第1破砕用シリコン20および前記第1ケース22の間に介装された第1防汚部材24とを有しており、
前記第2ベッド14は、前記破砕面18側に開口した有底箱状の第2ケース42と、その一部が前記第2ケース42の開口から外方へ突出するようにして配設されており、その突出面が前記破砕面18となる、原料シリコンGと等しい或いはそれ以上に高い純度を持つ第2破砕用シリコン41と、前記第2ケース42の両側面板42aに配設されたサイドシリコンケース45と、前記サイドシリコンケース45に嵌め込まれており、前記一対の破砕面16、18で挟まれた空間Aの両側面を覆う、原料シリコンGと等しい或いはそれ以上に高い純度を持つ一対のサイドシリコン44と、前記第2破砕用シリコン41と前記第2ケース42との間に介装された第2防汚部材48と、前記サイドシリコン44と前記サイドシリコンケース45との間に介装された第3防汚部材49とを有していることを特徴とする原料シリコン破砕装置10」である。
【0011】
本発明に係る原料シリコン破砕装置10では、原料シリコンGは前記高純度の第1、第2破砕用シリコン20、41との間で加圧破砕されるのであるが、この時、第1、第2破砕用シリコン20、41、及びサイドシリコン44と、原料シリコンGに対して異物であって不純物混入の原因となる第1、第2及びサイドシリコンケース22、42、45との間に第1〜第3防汚部材24、48、49がそれぞれが介装され、両者の直接接触を防止して第1、第2破砕用シリコン20、41、及びサイドシリコン44への第1、第2及びサイドシリコンケース22、42、45の構成成分の付着汚染を防止しているから、破砕工程を経ても原料シリコンGの純度を保つことができることは勿論、仮に破砕工程で第1、第2破砕用シリコン20、41、及びサイドシリコン44の一部が破損して原料シリコンGに混入しても破損片には不純物の付着がないので、破砕された原料シリコンGの純度が低下することはない。
【0012】
また、この原料シリコン破砕装置10では、原料シリコンGを衝撃力によってではなく加圧力によって噛み砕かれて原料シリコンGに生じた大きな亀裂に沿って破砕するので被破砕物は大きなブロック状になり、微粉化される量が激減して微粉化ロスを例えば2〜3%(重量ベース)程度に極小化することができる。
【0013】
加えて、原料シリコンGが加圧破砕されるとき、当該原料シリコンGは、一対の破砕面16、18で挟まれた空間Aの両側面を覆う一対のサイドシリコン44とで囲まれており、破砕された原料シリコンGが不所望に両側面からこぼれ出るのを回避できる。
【0014】
請求項2に記載した発明は、請求項1に記載した原料シリコン破砕装置10の改良に関し、「前記第1ケース22および第2ケース42の少なくとも一方には、前記ベッド12、14を振動させる加振器40が取り付けられている」ことを特徴とする。
【0015】
第1破砕用シリコン20および第2破砕用シリコン41の破砕面16、18で原料シリコンGを加圧破砕すると、粉砕された原料シリコンGの破片が当該破砕面16、18に押しつけられて付着してしまい、この付着量が多くなってくると破砕後の原料シリコンGの排出に支障を来すことになる。その点、本発明の原料シリコン破砕装置10には加振器40が設けられており、当該加振器40を作動させることにより、第1ベッド12および/または第2ベッド14を振動させて破砕面16、18に付着した原料シリコンGの破片を払い落とすことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、加熱急冷処理済みの原料シリコンと直接接触するものを、原料シリコンと前記高純度或のシリコン材料のみに限定することができるので、原料シリコンの破砕工程において、当該原料シリコンの純度が低下するおそれを極小化するとともに、微粉化ロスを低下させつつ、原料シリコンの破砕に要する労力を人力で破砕する場合に比べて大幅に低減することができた。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明が適用された原料シリコン破砕装置10について、図面を用いて説明する。原料シリコン破砕装置10は、加熱急冷処理が施され、内部に無数の微細クラックを包蔵したロッド状或いは大塊状(あるいはCZ法、FZ法、キャスティング法で製造し、シリコンウエーハを切り出した後の残材)の高純度の原料シリコンGの破砕に適したものであり、
図1に示すように、左右一対の第1ベッド12および第2ベッド14を備えており、これらベッド12、14の互いに対向する破砕面16、18で原料シリコンGを加圧破砕するもので、第1ベッド12は、
図2、3に示すように、大略、第1破砕用シリコン20と、第1ケース22と、押圧部材28及び第1防汚部材24とで構成され、第2ベッド14は、
図3(a)(b)に示すように、大略、第2破砕用シリコン41及びサイドシリコン44と、第2ケース42及びサイドシリコンケース45と、押圧部材50及び60及び第2、3防汚部材48及び49とで構成されている。
【0019】
第1破砕用シリコン20は、ジーメンス法で製造された、加熱急冷処理されていない中実円柱状の多結晶シリコンを所定長さに切断するとともに四角柱状に切り出し、四隅を面取りした後、エッチング処理を施して汚染金属を除去した高純度シリコンであり、原料シリコンGと同等(例えば、イレブンナイン)或いはそれ以上の純度となっている。なお、多結晶シリコンはジーメンス法以外の方法で製造してもよいが、ジーメンス法を用いることが第1破砕用シリコン20の硬さの点で好適である。これらのことは第2破砕用シリコン41およびサイドシリコン44においても同じである。
【0020】
本実施例の場合、2本の第1破砕用シリコン20が第1ケース22の内側にて縦方向(図示していないが横方向でも可)に並べられ、その一部が第1ケース22の開口から外方へ突出するようにして配設されており、この突出した部分の突出面が、第2ベッド14の破砕面18との間で原料シリコンGを加圧破砕する破砕面16となり、同様に第2破砕用シリコン41では、第2ケース42の開口からの突出面が第1ベッド12の破砕面16との間で原料シリコンGを加圧破砕する破砕面18となり、サイドシリコン44では、サイドシリコンケース45の開口からの突出面が原料シリコンGの破砕時において、第1ベッド12の破砕面16と第2ベッド14の破砕面18とに挟まれた空間Aの両側面を覆うようになっている。勿論、第1破砕用シリコン20の本数はこれに限られるものではなく、原料シリコン破砕装置10の定格能力に合わせて、1本でもよいし3本以上でもよい。また、第1破砕用シリコン20の長さも特に限定されるものではない。これらのことも第2破砕用シリコン41およびサイドシリコン44において同じである。
【0021】
第1ケース22は破砕面16側に開口した有底箱状体であって、本実施例ではステンレス板を折り曲げ、接合部を溶接したものが用いられており、背面板22d、背面板22dの側面から直角方向に折り曲げられた側面板22a、背面板22dの上端から直角方向に折り曲げられた天面板22b及び背面板22dの下端から直角方向に折り曲げられた底面板22cとからなる。
【0022】
本実施例の第1ケース22は、その両側面板22a上部において、第1破砕用シリコン20の着脱を容易にするため、そして後述する第2ケース42のサイドシリコン44と第1ケース22とが干渉しないようにするための切欠き26が形成されている。従って、天面板22bは両側面板22aの切欠き26分だけ前方に突出しており、第1ケース22の両側面板22aの切欠き26を避けた部分及び天面板22bの前記突出部分に当該押圧部材28を付勢する押しボルト30を取り付けるボルト孔32がそれぞれ2カ所ずつ形成され、押しボルト30が螺装されている。
【0023】
また、第1ケース22の背面は、その上、中、下段にて左右両側に突出するように設けられた3枚のスペーサー34を介してベース板36の一方の面にボルト止めにて取り付けられている。なお、スペーサー34とベース板36との間には必須ではないがここではゴム板のようなクッション材34aを挟み込まれている。また、ベース板36の他方の面には、その四隅に防振具38が取り付けられていると共に、その中央部に加振器40が取り付けられている。勿論、加振器40は、後述する第2ベッド14に取り付けてもよいし、両ベッド12、14に取り付けてもよい。
【0024】
第1防汚部材24は、第1ケース22に収納された1又は複数の高純度の第1破砕用シリコン20の天面に直接接触して覆う天面側の第1防汚部材24b、同側面に直接接触してこれを覆う側面側の第1防汚部材24a、同底面に直接接触してこれを覆う第1防汚部材24c及び同背面全面に直接接触してこれを覆う第1防汚部材24dで構成され、その材質としては、四フッ化エチレン板や原料シリコンGと同等(例えば、イレブンナイン)或いはそれ以上の純度のシリコン板等を使用することができる。
【0025】
より具体的に言うと、側面側及び天面側の第1防汚部材24a、24bは、第1ケース22の側面板22a及び天面板22bにおける押圧部材28と、収納されている1又は複数の第1破砕用シリコン20の天面又は側面との間にそれぞれ介装されている。第1ケース22の背面板22d及び底面板22cは押圧部材を用いることなく、第1破砕用シリコン20の背面及び底面との間に該背面全面及び底面全面にわたって背面側の第1防汚部材24d、底面側の第1防汚部材24cが直接挟み込まれている。
【0026】
側面側の第1防汚部材24a及び底面側の第1防汚部材24cの形状は、第1ケース22の側面及び底面の形状に合わせて形成され、該第1防汚部材24a、24cが第1ケース22の側面及び底面からそれぞれ外に露出しないように形成されている。
【0027】
一方、天面側の第1防汚部材24bは第1ケース22の天面板22bを超えて第1破砕用シリコン20の破砕面16の近傍まで大きくせり出しており、1又は複数の第1破砕用シリコン20の上面を全幅にわたって被覆保護している。また、背面側の第1防汚部材24dは1又は複数の第1破砕用シリコン20の背面全面を覆う大きさに形成されている。
【0028】
押圧部材28はステンレス板製で、天面側及び側面用の両第1防汚部材24a、24bの外側にそれぞれ配設され、これらと同一形状に形成されている。そして、第1ケース22の両側面及び天面のダブルナット掛けされた押しボルト30にて押圧部材28がそれぞれ押圧され、これらに接して配設された側面側と天面側の第1防汚部材24a、24b、及び直接挟持された底面側の第1防汚部材24cにて第1ケース22に嵌め込まれた第1破砕用シリコン20が第1ケース22に押圧固定されている。
【0029】
第2ベッド14は、
図3(a)(b)に示すように、大略、第2破砕用シリコン41と、第2ケース42と、サイドシリコン44と、サイドシリコンケース45と、第2防汚部材48及び第3防汚部材49並びに第2ケース42用とサイドシリコンケース45用の押圧部材50、60とで構成されている。
【0030】
第2ケース42は破砕面18側に開口した第1ケース22と同様の有底箱状体であって、ステンレス板の折曲加工溶接品が用いられ、背面板42d、側面板42a、天面板42b及び底面板42cとからなる。また、本実施例の第2ケース42にはサイドシリコンケース45が側面板42aに対して傾斜して設けられ、従ってサイドシリコンケース45に嵌め込まれるサイドシリコン44は側面板42aに対して傾斜して嵌め込まれることから、傾斜状態で嵌め込まれるサイドシリコン44のサイドシリコンケース45への挿入時に側面板42aが障害とならないように当該両側面板42aの幅はサイドシリコン44の傾斜に合わせてその下端部分がサイドシリコンケース45に挿入可能な幅まで狭く、上に行くほど幅広になるように斜めに切除されている(切除部分は
図3(b)の左下向き一点斜線部分であり、切除された側面板42aを右上向き一点斜線で示す。)。なお、本実施例では両側面板42aの下端部分ではサイドシリコン44の底面の傾斜に合わせて底面板42cの先端に向かって下り傾斜に切除されている。即ち、両側面板42aはサイドシリコンケース45に傾斜に合わせて直角三角形状に切除されている。
【0031】
第2ケース42の背面板42dは、第1ケース22と同様、収納される1又は複数の第2破砕用シリコン41に合わせてこれらが収納されるように形成され、天面板42b及び背面板42dの先端は収納された第2破砕用シリコン41の破砕面18より若干背面側に戻った位置まで延出されている。この先端と破砕面18までの距離Tは
図4に示すように第1ケース22におけるそれと破砕面16までの距離Sに比べて幅狭(換言すれば、第2破砕用シリコン41の突出代が小さい。)に形成されている。
【0032】
また、第1ケース22同様、第2ケース42の背面42dは、必要に応じてゴム板のようなクッション材56aを挟み込んで上、中、下段3段に設けられたスペーサー56にてベース板58に取り付けられている。
【0033】
第2防汚部材48は、第2ケース42に収納された1又は複数の第2破砕用シリコン41の天面に直接接触して覆う天面側の第2防汚部材48b、同側面に直接接触してこれを覆う側面側の第2防汚部材48a、同底面に直接接触してこれを覆う第2防汚部材48c及び同背面に直接接触してこれを覆う第2防汚部材48dで構成されている。
【0034】
即ち、側面側及び天面側の第2防汚部材48a、48bは、第2ケース42の側面板42a及び天面板42bにおける押圧部材50と、収納されている1又は複数の第2破砕用シリコン41の天面又は側面との間にそれぞれ介装されている。更に第2ケース42の背面板42d及び底面板42cでは押圧部材を用いることなく、第2破砕用シリコン41の背面及び底面との間に該背面全面及び底面全面にわたって背面側の第2防汚部材48d、底面側の第2防汚部材48cが直接挟み込まれている。
【0035】
側面側、天面側及び底面側の第2防汚部材48a〜48cの形状は、第2ケース42の側面、天面側及び底面の形状に合わせて形成され、これらが第2ケース42の側面、天面及び底面から外に露出しないように形成されている。また、背面側の第2防汚部材48dは収納された1又は複数の第2破砕用シリコン42の背面全面を覆う大きさに形成されている。
【0036】
第2ケース42の押圧部材50は前述同様ステンレス板製で、天面側及び両側面用の第2防汚部材48a、48bの外側にそれぞれ配設され、これらと同一形状に形成されている。そして、第2ケース42の両側面及び天面のダブルナット掛けされた押しボルト30にて押圧部材50がそれぞれ押圧され、これらに接して配設された側面側と天面側の第2防汚部材48a、48b、及び直接挟持された底面側の第2防汚部材48cにて第2ケース42に嵌め込まれた第2破砕用シリコン41が第2ケース42に押圧固定されている。
【0037】
一対のサイドシリコンケース45はステンレス板金製の折曲加工溶接による同様の有底箱状体であり、背面板45d、側面板45a、天面板45b及び底面板45cとからなり、その開口が第2破砕用シリコン41に向かうように第2ケース42側の側面板45aの屈曲接合部45a1が第2ケース42の両側面板42aに全長にわたって溶接又はボルト固定され、両者を更に強固に保持するための断面L字状の補強部材62がベース板58の両側端に設けられた補強バー58aと一対のサイドシリコンケース45との間に全長にわたって配設固定されている(
図1参照)。そして、当該サイドシリコンケース45は、前述のように第2ケース42に対して傾斜して取り付けられており、
図3(b)に示すように、図中上方に行くほど、破砕面18からのサイドシリコン44の露出部分の出幅が大きくなるようになっている。また、押しボルト52を取り付けるボルト孔54が、サイドシリコンケース45の第1ケース側面板45aに上下2カ所、天面板45bに1カ所形成され、押しボルト52がダブルナット掛けで螺装されている。
【0038】
第3防汚部材49は、サイドシリコンケース45に収納された1又は複数の高純度サイドシリコン44の天面に直接接触して覆う天面側の第3防汚部材49b、同側面に直接接触してこれを覆う側面側の第3防汚部材49a、同底面に直接接触してこれを覆う第3防汚部材49c及び同背面に直接接触してこれを覆う第3防汚部材49dで構成されている。より具体的に言うと、第1ケース22側の側面側及び天面側の第3防汚部材49a、49bは、サイドシリコンケース45の第1ケース22側の側面板45a及び天面板45bにおける押圧部材60と、収納されているサイドシリコン44の天面又は第1ケース22側の側面との間にそれぞれ介装されている。更にサイドシリコンケース45の背面板45d、底面板45c及び第2ケース42側の側面側では押圧部材を用いることなく、サイドシリコン44の背面及び底面並びに第2ケース42側の側面との間に該背面全面及び底面並びに第2ケース42側の側面全面にわたって第3防汚部材49d、49c及び49aが直接挟み込まれている。
【0039】
また、サイドシリコン44は
図1に示すように第2ベッド14を作動させて破砕面16、18を閉じた時、サイドシリコン44が第1破砕用シリコン20の側面に接触しないように若干の隙間をあけて第2破砕用シリコン41の側面に向かってに配置されている。従って、第2破砕用シリコン41とサイドシリコン44との間に隙間が発生する。この隙間は第2破砕用シリコン41に対してサイドシリコン44が傾斜して配置されているため、すでに述べた第2ケース42の側面板42aとの関係で該隙間は下に行く程次第に幅広になる直角三角形を示す。第2破砕用シリコン41とサイドシリコン44との隙間には、この隙間を埋めるための四フッ化エチレン板製或いは前記シリコン41、44と少なくとも同程度の純度の充填部材88が第2破砕用シリコン41の突出代を残して詰められており(
図1参照)、破砕した原料シリコンGが当該隙間に入り込むのを回避している。なお、サイドシリコン44は第1、2破砕用シリコン20、41より背が高く、これらより上方に突出している(
図4、5参照)。
【0040】
原料シリコン破砕装置10は
図4及び
図5に示すように、第1、2ベース63、70を介して台座68に載置されており、原料シリコン破砕装置10の破砕面16、18の直下に一致して破砕された原料シリコンGを落下させる開口69が設けられている。なお、開口69の下には図示しないが破砕された原料シリコンGを搬出する搬送車が配置されるようになっている。
【0041】
原料シリコン破砕装置10の第1ベッド12は、その破砕面16がほぼ垂直となるように防振具38を介して第1ベース64に取り付けられている。第1ベース64は、その下端面でスライド機構66を介して台座68の上面に取り付けられており、このスライド機構66は、第1ベッド12が台座68に対して摺動自在な状態或いは固定された状態を選択できるようになっている。
【0042】
第2ベッド14は、第1ベッド12の破砕面16に対向するようにして第2ベース70に取り付けられており、この第2ベース70は開口69を介して台座68の上面に取り付けられている。具体的には、第2ベース70の下端における第1ベッド12側端部がヒンジ72によって台座68に対して回動可能に枢着されていると共に、当該第2ベース70の背面(図中右側面)には、ヒンジ72を中心として第2ベッド14を回動させる回動機構74が取り付けられている。この回動機構74によって、第2ベッド14の破砕面18はほぼ垂直で第1ベッド12の破砕面16とほぼ平行となっている状態(
図4)から、当該破砕面16との距離が上方へ行くほど広くなる口を開けた状態(
図5)までの範囲において往復揺動する。
【0043】
回動機構74は、リンク機構76と、油圧(或いは空圧又は水圧等でもよい)で伸縮するアクチュエータ78とで構成されている。リンク機構76は、2本のリンク部材80a、80bを有しており、一方のリンク部材80aの一端は、第2ベッド14が取り付けられた第2ベース70の側面に回動可能に枢着されており、他方のリンク部材80bの一端は、例えば建屋の鉄骨等に取り付けられたブラケット82に回動可能に枢着されている。そして、一方のリンク部材80aの他端、他方のリンク部材80bの他端、およびアクチュエータ78の一端は、ピン84によって枢着されており、アクチュエータ78の他端は、台座68の上面に取り付けられたブラケット86に回動可能に枢着されている。従って、アクチュエータ78を伸縮させることにより、リンク部材80a、80bによって第2ベッド14がヒンジ72を中心に台座68に対して往復揺動する。なおこの時、第2ベッド14が後方に倒れ込んで第1ベッド12との開き角度を最大にした特、サイドシリコン44の第1ベッド12側の側面の縦方向の稜線は少なくとも第1破砕用シリコン20の破砕面16を超えずオーバーラップした状態を保つ。
【0044】
本実施例の原料シリコン破砕装置10を用いて原料シリコンGを破砕する手順について説明する。最初に、第1ベッド12(第1ベース64)の下面に取り付けられたスライド機構66を用いて破砕面16と第2ベッド14の破砕面18との間隔を調整する。上述のように、回動機構74が作動することによって第2ベッド14は、その下端における第1ベッド12側端部のヒンジ72を中心として揺動するので、両破砕面16、18間の間隔は上方へ行くほど大きく変動するが、下端における間隔dは殆ど変化しない。このため、当該間隔dが原料シリコン破砕装置10から系外へ排出される破砕後の原料シリコンGの最大粒径となる。
【0045】
上記間隔dを適宜設定した後、スライド機構66を固定状態にして第1ベッド12を台座68に対して固定し、然る後、アクチュエータ78を作動させて第2ベッド14を倒れ方向に移動させ、両破砕面16、18間の上端における間隔を最大にして原料シリコン破砕装置10を原料シリコン受入可能状態とする(
図5)。その後、両破砕面16、18の上端から無数の微細クラックを内蔵する原料シリコンGの大塊を投入する。原料シリコンGの大塊はV字に開いた両破砕面16、18間のいずれかの位置で引っ掛かる。
【0046】
原料シリコンGを投入した後、その状態でアクチュエータ78を作動させて第2ベッド14を閉じる方向に回動させることにより、当該第2ベッド14の破砕面18が、対向する第1ベッド12の破砕面16に対して近接させて両破砕面16、18に鋏まれている原料シリコンGの大塊を加圧する。加圧された原料シリコンGの大塊は内包する微細クラックの内、弱い部分に沿って割れより小さいブロックとなる。続いて第2ベッド14を倒れ方向に再度移動させると破砕されてある程度小塊となった原料シリコンGは開口動作と共に両破砕面16、18間を落下し、両破砕面16、18の間隔dよりも小さいものはそのまま開口69へと落下する。間隔dよりも大きいものは途中で引っ掛かり、第2回目の第2ベッド14を閉じる方向の動作により更に小塊に破砕される。このような破砕運動を繰り返し、両破砕面16、18の間に位置する原料シリコンGを間隔dより小さい小塊に破砕する。即ち、原料シリコンGの粒径は、両破砕面16、18間で何度も加圧破砕されることによって次第に小さくなり、粒径が小さくなった原料シリコンGは徐々に下方に移動していく。最終的に、その粒径が両破砕面16、18の下端における間隔dよりも小さくなった段階で、破砕後の原料シリコンGが原料シリコン破砕装置10から系外へ排出される。間隔dは前述のように調整できるので、要求される粒径に応じて間隔dの調整が行われる。原料シリコンGの破砕は前述のように内包した微細クラックに沿って次第に小塊となるように行われるので、粉状にはなりにくく微粉化ロスが低下する。
【0047】
また、サイドシリコン44が第1、2破砕用シリコン20、41より背が高いので、破砕時に第2ベッド14の破砕方向への移動と共に破砕面16、18を滑って上方へ移動すると共に横方向に逃げようとしてもサイドシリコン44に阻まれて横からの脱落はない。
【0048】
また、原料シリコンGの排出時、加振器40によって第1ケース22(又は/及び第2ケース42)を振動させることができるようになっているので、第1ケース22(又は/及び第2ケース42)を振動させることにより、破砕面16(又は/及び破砕面18)に付着した原料シリコンGの破片を払い落とすことができる。
【0049】
なお、上記実施例では、サイドシリコン44が第2破砕用シリコン41に対して傾斜して配置されているが、原料シリコンGを破砕中に両破砕面16、18で挟まれた空間Aの両側面を覆うことができる程度に面積の大きなサイドシリコン44を使用するのであれば、当該サイドシリコン44を第2破砕用シリコン41に対して平行に取り付けてもよい。
【0050】
また、上述のように、第1破砕用シリコン20、第2破砕用シリコン41およびサイドシリコン44における原料シリコンGと接触する角部は面取り(例えば、70ないし80φ)されていることが好適である。仮に角部が尖っていたとすると、原料シリコンGを押圧破砕する際に当該尖った角部が欠けてしまうおそれがあるが、角部を面取りすることによってそのような問題を解消できるからである。