特許第5779681号(P5779681)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5779681体積変化を緩和できるSi―ブロック共重合体コア―シェルナノ粒子及びこれを用いたリチウム二次電池用負極活物質
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5779681
(24)【登録日】2015年7月17日
(45)【発行日】2015年9月16日
(54)【発明の名称】体積変化を緩和できるSi―ブロック共重合体コア―シェルナノ粒子及びこれを用いたリチウム二次電池用負極活物質
(51)【国際特許分類】
   C01B 33/02 20060101AFI20150827BHJP
   H01M 4/38 20060101ALI20150827BHJP
   H01M 4/587 20100101ALI20150827BHJP
   H01M 4/36 20060101ALI20150827BHJP
   C08F 293/00 20060101ALI20150827BHJP
   C08J 3/20 20060101ALI20150827BHJP
   B82Y 30/00 20110101ALI20150827BHJP
   B82Y 40/00 20110101ALI20150827BHJP
【FI】
   C01B33/02 Z
   H01M4/38 Z
   H01M4/587
   H01M4/36 B
   C08F293/00
   C08J3/20 BCER
   B82Y30/00
   B82Y40/00
【請求項の数】22
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2014-38716(P2014-38716)
(22)【出願日】2014年2月28日
(65)【公開番号】特開2014-224028(P2014-224028A)
(43)【公開日】2014年12月4日
【審査請求日】2014年2月28日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0054163
(32)【優先日】2013年5月14日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】513280854
【氏名又は名称】オーシーアイ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】OCI Company Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100082647
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 義久
(72)【発明者】
【氏名】キム・ヨソプ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ウンヘ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ソンホ
(72)【発明者】
【氏名】キム・ヒョンラク
【審査官】 森坂 英昭
(56)【参考文献】
【文献】 特表2012−501951(JP,A)
【文献】 特開2004−221014(JP,A)
【文献】 特開2011−040326(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 33/00 − 33/36
B82Y 30/00
B82Y 40/00
C08F 293/00
C08J 3/20
H01M 4/36
H01M 4/38
H01M 4/587
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
Siコア;及び
Siとの親和度が高いブロック及びSiとの親和度が低いブロックを含み、前記Siコアを中心に球状のミセル構造を形成するブロック共重合体シェル;を含むSi―ブロック共重合体コア―シェルナノ粒子。
【請求項2】
前記Siコアと前記ブロック共重合体シェルの重量比は2:1ないし1000:1である、請求項1に記載のSi―ブロック共重合体コア―シェルナノ粒子。
【請求項3】
前記Siコアと前記ブロック共重合体シェルの重量比は4:1ないし20:1である、請求項1に記載のSi―ブロック共重合体コア―シェルナノ粒子。
【請求項4】
前記Siコアは2nmないし200nmの直径を有する球状である、請求項1に記載のSi―ブロック共重合体コア―シェルナノ粒子。
【請求項5】
前記ブロック共重合体シェルの厚さは1nmないし50nmである、請求項1に記載のSi―ブロック共重合体コア―シェルナノ粒子。
【請求項6】
前記Si―ブロック共重合体コア―シェルナノ粒子の全体直径は4nmないし300nmである、請求項1に記載のSi―ブロック共重合体コア―シェルナノ粒子。
【請求項7】
前記Siコアの直径と前記ブロック共重合体シェルの厚さの比は1:25ないし200:1である、請求項1に記載のSi―ブロック共重合体コア―シェルナノ粒子。
【請求項8】
前記Siとの親和度が高いブロックは、ポリアクリル酸、ポリアクリレート、ポリメタクリル酸、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリルアミド、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアセテート、又はポリマレイン酸である、請求項1に記載のSi―ブロック共重合体コア―シェルナノ粒子。
【請求項9】
前記Siとの親和度が低いブロックは、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリフェノール、ポリエチレングリコール、ポリラウリルメタクリレート、又はポリビニルジフルオライドである、請求項1に記載のSi―ブロック共重合体コア―シェルナノ粒子。
【請求項10】
前記ブロック共重合体シェルは、ポリアクリル酸―ポリスチレンブロック共重合体シェルである、請求項1に記載のSi―ブロック共重合体コア―シェルナノ粒子。
【請求項11】
前記ポリアクリル酸の数平均分子量(Mn)は100ないし100,000である、請求項10に記載のSi―ブロック共重合体コア―シェルナノ粒子。
【請求項12】
前記ポリスチレンの数平均分子量(Mn)は100ないし100,000である、請求項10に記載のSi―ブロック共重合体コア―シェルナノ粒子。
【請求項13】
a)Siとの親和度が高いブロック及びSiとの親和度が低いブロックからなるブロック共重合体を溶媒と混合する段階;
b)前記混合溶液にSi粒子を添加する段階;及び
c)前記Si粒子が添加された混合溶液を分散及びコーティングする段階;を含むSi―ブロック共重合体コア―シェルナノ粒子を含む混合溶液の製造方法。
【請求項14】
前記a)段階で、溶媒は、N―メチル―2―ピロリドン(NMP)、テトラヒドロフラン(THF)、水、メタノール、エタノール、シクロヘキサノール、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトン、ジメチルスルホキシド(DMSO)及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれた一つ以上である、請求項13に記載のSi―ブロック共重合体コア―シェルナノ粒子を含む混合溶液の製造方法。
【請求項15】
前記a)段階で、Siとの親和度が高いブロックは、ポリアクリル酸、ポリアクリレート、ポリメタクリル酸、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリルアミド、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアセテート、又はポリマレイン酸である、請求項13に記載のSi―ブロック共重合体コア―シェルナノ粒子を含む混合溶液の製造方法。
【請求項16】
前記a)段階で、Siとの親和度が低いブロックは、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリフェノール、ポリエチレングリコール、ポリラウリルメタクリレート、又はポリビニルジフルオライドである、請求項13に記載のSi―ブロック共重合体コア―シェルナノ粒子を含む混合溶液の製造方法。
【請求項17】
前記c)段階で、分散及びコーティングは、超音波処理、ファインミル(fine mill)処理、ボールミル(ball mill)処理、3段ロールミル(three roll mill)処理、スタンプミル(stamp mill)処理、エディーミル(eddy mill)処理、ホモミキサー(homo mixer)処理、遠心混合器(planetary centrifugal mixer)処理、均質器(homogenizer)処理又は加振器(vibration shaker)処理によって行われる、請求項13に記載のSi―ブロック共重合体コア―シェルナノ粒子を含む混合溶液の製造方法。
【請求項18】
前記超音波処理時には、10kHzないし100kHzの超音波を1分ないし120分間処理する、請求項17に記載のSi―ブロック共重合体コア―シェルナノ粒子を含む混合溶液の製造方法。
【請求項19】
請求項1ないし請求項12のいずれか1項によるSi―ブロック共重合体コア―シェルナノ粒子が炭化されてSiコアを中心に球殻構造を形成する炭素シェルを含むSi―炭素コア―シェルナノ粒子。
【請求項20】
内部に気孔を含む非晶質系炭素;及び
前記気孔の内部に分散されている請求項19項による前記Si―炭素コア―シェルナノ粒子;を含むリチウム二次電池用負極活物質。
【請求項21】
前記非晶質系炭素は、ソフトカーボン(soft carbon)又はハードカーボン(hard carbon)である、請求項20に記載のリチウム二次電池用負極活物質。
【請求項22】
前記Si―炭素コア―シェルナノ粒子のシェルの厚さは、炭化される前のSi―ブロック共重合体コア―シェルナノ粒子のブロック共重合体シェルの厚さに対して10%ないし50%である、請求項20に記載のリチウム二次電池用負極活物質。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体積変化を緩和できるSi―ブロック共重合体コア―シェルナノ粒子及びこれを用いたリチウム二次電池用負極活物質に関する。
【背景技術】
【0002】
モバイル機器に対する技術開発と需要が増加するにつれて、エネルギー源として二次電池の需要が急激に増加しており、そのような二次電池のうち、高いエネルギー密度と作動電位を示し、サイクル寿命が長く、自己放電率の低いリチウム二次電池が常用化されて広く使用されている。
【0003】
また、環境問題に対する関心が高まるにつれて、大気汚染の主要原因の一つであるガソリン車両、ディーゼル車両などの化石燃料を使用する車両に取って代わる電気自動車、ハイブリッド電気自動車に対する研究が大いに進められており、リチウム二次電池は、このような電気自動車、ハイブリッド電気自動車などの動力源として商用化段階にある。
【0004】
従来、負極活物質としてはリチウム金属を使用していたが、リチウム金属を使用する場合、デンドライト(dendrite)形成による電池短絡が発生し、爆発の危険性があるので、 負極活物質としては、前記リチウム金属の代わりに炭素系物質が多く使用されている。
【0005】
リチウム二次電池の負極活物質として使用される前記炭素系活物質としては、天然黒鉛及び人造黒鉛などの結晶質系炭素と、ソフトカーボン(soft carbon)及びハードカーボン(hard carbon)などの非晶質系炭素とがある。しかし、前記非晶質系炭素は、容量が大きいが、充放電過程で非可逆性が大きいという問題を有する。結晶質系炭素のうち代表的に使用されるグラファイトは、理論限界容量が372mAh/gと高いため負極活物質として用いられているが、寿命劣化が激しいという問題を有する。
【0006】
また、このようなグラファイトやカーボン系活物質は、理論容量が多少高いとしても約372mAh/gに過ぎないので、今後、高容量リチウム二次電池の開発時に上述した負極を使用できなくなるという問題を有する。
【0007】
このような問題を改善するために、現在活発に研究されている物質が金属系又は金属間化合物(intermetallic compounds)系の負極活物質である。例えば、アルミニウム、ゲルマニウム、シリコン、錫、亜鉛、鉛などの金属又は半金属を負極活物質として活用したリチウム二次電池が研究されている。このような材料は、高容量でありながら高エネルギー密度を有し、炭素系材料を用いた負極活物質より多くのリチウムイオンを吸蔵・放出することができ、高容量及び高エネルギー密度を有するリチウム二次電池を製造できると見なされている。例えば、純粋なシリコンは、4017mAh/gの高い理論容量を有することで知られている。
【0008】
しかし、シリコンは、炭素系材料に比べてサイクル特性が低下するので、未だに実用化の障害物となっている。その理由は、負極活物質として前記シリコンや錫などの無機質粒子をそのままリチウム吸蔵及び放出物質として使用した場合、充放電過程での体積変化によって活物質間の導電性が低下したり、負極集電体から負極活物質が剥離されるためである。すなわち、負極活物質に含まれたシリコンや錫などの無機質粒子は、充電によってリチウムを吸蔵し、その体積が約300%ないし400%に至るほどに膨張する。そして、放電によってリチウムが放出されると、前記無機質粒子は収縮するようになり、このような充放電サイクルを繰り返すと、無機質粒子と負極活物質との間に発生する空きスペースによって電気的絶縁が発生し、リチウム二次電池の寿命が急激に低下するという特性を有するようになるので、 無機質粒子をリチウム二次電池に使用するのに深刻な問題を有している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、リチウム二次電池の充放電時、Siによる体積変化を緩和できる膜を分散及びコーティング工程中に形成するためのものであって、本発明は、Siコア;及びSiとの親和度が高いブロック及びSiとの親和度が低いブロックを含み、前記Siコアを中心に球状のミセル(micelle)構造を形成するブロック共重合体シェル;を含むSi―ブロック共重合体コア―シェルナノ粒子及びこれを用いたリチウム二次電池用負極活物質を提供しようとする。
【0010】
しかし、本発明が達成しようとする技術的課題は、以上で言及した課題に制限されず、言及していない他の課題は、下記の記載から当業者に明確に理解され得るだろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、Siコア;及びSiとの親和度が高いブロック及びSiとの親和度が低いブロックを含み、前記Siコアを中心に球状のミセル構造を形成するブロック共重合体シェル;を含むSi―ブロック共重合体コア―シェルナノ粒子を提供する。
【0012】
本発明の一具現例において、a)Siとの親和度が高いブロック及びSiとの親和度が低いブロックからなるブロック共重合体を溶媒と混合する段階;b)前記混合溶液にSi粒子を添加する段階;及びc)前記Si粒子が添加された混合溶液を分散及びコーティングする段階;を含むSi―ブロック共重合体コア―シェルナノ粒子を含む混合溶液の製造方法を提供する。
【0013】
本発明の他の具現例において、前記Si―ブロック共重合体コア―シェルナノ粒子が炭化されて形成されたSi―ブロック共重合体コア―シェルナノ炭化粒子を提供する。
【0014】
本発明の更に他の具現例において、内部に気孔を含む非晶質系炭素;前記気孔の内部に分散されている前記Si―ブロック共重合体コア―シェルナノ炭化粒子;を含むリチウム二次電池用負極活物質を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、Siコア;及びSiとの親和度が高いブロック及びSiとの親和度が低いブロックを含み、前記Siコアを中心に球状のミセル構造を形成するブロック共重合体シェル;を含むSi―ブロック共重合体コア―シェルナノ粒子に関し、Si―ブロック共重合体コア―シェルナノ粒子を含む混合溶液でのSi―ブロック共重合体コア―シェルナノ粒子は分散性及び安定性に優れるので、これを炭化させることによってリチウム二次電池用負極活物質に容易に適用することができ、これを用いたリチウム二次電池用負極活物質は、Si―ブロック共重合体コア―シェルナノ炭化粒子及び気孔を含むことによって、長寿命、高容量及び高エネルギー密度を有し、また、Si―ブロック共重合体コア―シェルナノ炭化粒子のブロック共重合体シェルは、リチウム二次電池の充放電時における体積変化を緩和し、寿命特性を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】Siコアとブロック共重合体シェルの重量比によるSi―ブロック共重合体コア―シェルナノ粒子の全体直径を動的光散乱法(Dynamic light scattering)で測定した図である。
図2】(a)Si―ブロック共重合体コア―シェルナノ粒子及び(b)Siナノ粒子をエネルギー分散型X線分析器(Energy dispersive X―ray spectroscopy)で観察した図である。
図3】(a)Si―ブロック共重合体コア―シェルナノ粒子及び(b)Siナノ粒子を走査電子顕微鏡(Scanning electron microscope)で観察した図である。
図4】(a)Si―ブロック共重合体コア―シェルナノ粒子及び(b)Siナノ粒子を透過電子顕微鏡(Transmission electron microscope)で観察した図である。
図5】(a)Si―ブロック共重合体コア―シェルナノ粒子を含む混合溶液でのSi―ブロック共重合体コア―シェルナノ粒子及び(b)Siナノ粒子を含む混合溶液でのSiナノ粒子の分散性を動的光散乱法で確認した図である。
図6】(a)Si―ブロック共重合体コア―シェルナノ粒子を含む混合溶液でのSiコア及び(b)Siナノ粒子を含む混合溶液でのSiナノ粒子の濃度による肉眼観察結果及び分散度を示した図である。
図7】Si―ブロック共重合体コア―シェルナノ粒子を含む混合溶液でのSi―ブロック共重合体コア―シェルナノ粒子(“P4”〜“P9”)、Siナノ粒子を含む混合溶液でのSiナノ粒子(“C”)、及びSi―ポリスチレン混合体を含む混合溶液でのSi―ポリスチレン混合体(“STY”)の肉眼観察結果及び粒子サイズ分布(particle size distribution)を示した図である。
図8】(a)Si―ブロック共重合体コア―シェルナノ粒子及び(b)Si―ブロック共重合体コア―シェルナノ炭化粒子を走査電子顕微鏡及び透過電子顕微鏡で観察し、エネルギー分散型X線分析器で分析した図である。
図9】(a)Si―ブロック共重合体コア―シェルナノ炭化粒子及び(b)Si―ポリフェノール炭化粒子を透過電子顕微鏡で観察した図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、Siコア;及びSiとの親和度が高いブロック及びSiとの親和度が低いブロックを含み、前記Siコアを中心に球状のミセル構造を形成するブロック共重合体シェル;を含むSi―ブロック共重合体コア―シェルナノ粒子を提供する。
【0018】
前記コア―シェルナノ粒子は、Siコアを中心に、Siコアの表面にSiとの親和度が高いブロック及びSiとの親和度が低いブロックからなるブロック共重合体シェルがコーティングされた構造を有し、前記コア―シェルナノ粒子のブロック共重合体シェルは、ファン・デル・ワールス(van der Waals)力などによってSiとの親和度が高いブロックがSiコアの表面に向けて会合され、Siとの親和度が低いブロックがSiコアの外側に向けて会合される球状のミセル構造を形成する。
【0019】
このように、前記コア―シェルナノ粒子のブロック共重合体シェルは、Siコアを中心に球状のミセル構造を形成するものであって、コア―シェルナノ粒子を含む混合溶液でのコア―シェルナノ粒子は分散性及び安定性に優れるので、粒子間の固まり現象が減少し、単純ナノ粒子に比べて粒子サイズが減少する。
【0020】
前記Siコアと前記ブロック共重合体シェルの重量比は2:1ないし1000:1であることが望ましく、前記Siコアと前記ブロック共重合体シェルの重量比は4:1ないし20:1であることがさらに望ましいが、これに限定されることはない。このとき、Siコアと前記ブロック共重合体シェルの重量比が2:1未満であると、負極活物質内で実際にリチウムと合金化できるSiコアの含量が低くなるので、負極活物質の容量が低くなり、リチウム二次電池の効率が低下するという問題がある。一方、Siコアと前記ブロック共重合体シェルの重量比が1000:1を超えると、ブロック共重合体シェルの含量が低くなるので、コア―シェルナノ粒子を含む混合溶液での分散性及び安定性が低下し、負極活物質内でコア―シェルナノ炭化粒子のブロック共重合体シェルが緩衝作用を確実に行えないという問題がある。
【0021】
図1は、Siコアとブロック共重合体シェルの重量比によるSi―ブロック共重合体コア―シェルナノ粒子の全体直径を動的光散乱法で測定した図である。
【0022】
図1に示したように、Si―ブロック共重合体コア―シェルナノ粒子においてSiコアとブロック共重合体シェルの重量比が2:1(ブロック共重合体シェル/Siコアの重量%が50重量%)ないし1000:1(ブロック共重合体シェル/Siコアの重量%が0.1重量%)である場合、特に、Si―ブロック共重合体コア―シェルナノ粒子においてSiコアとブロック共重合体シェルの重量比が4:1(ブロック共重合体シェル/Siコアの重量%が25重量%)ないし20:1(ブロック共重合体シェル/Siコアの重量%が5重量%)である場合は、Siナノ粒子(ブロック共重合体シェル/Siコアの重量%が0重量%)に比べて、Si―ブロック共重合体コア―シェルナノ粒子の全体直径(hydrodynamic size)が大いに減少するので、優れた分散性及び安定性を有することが分かる。
【0023】
すなわち、コア―シェルナノ炭化粒子のブロック共重合体シェルは、負極活物質内で実際にリチウムと合金化できる物質ではなく、リチウム二次電池の充放電時におけるSiによる体積変化を緩和するための物質であって、Siコアに対して少量だけ含まれることが望ましい。
【0024】
また、前記Siコアは2nmないし200nmの直径を有する球状であって、前記ブロック共重合体シェルの厚さは1nmないし50nmであり得る。
【0025】
前記Siコアの直径と前記ブロック共重合体シェルの厚さの比は1:25ないし200:1であることが望ましいが、これに限定されることはない。前記Siコア直径と前記ブロック共重合体シェルの厚さの比が1:25ないし200:1を維持する場合、 前記Si―ブロック共重合体コア―シェルナノ粒子は、Siの体積膨張に対応して電極の寸法安定性を目標にしてキャベツ構造(cabbage structure)を有するSi/非晶質系炭素/結晶質系炭素複合体に適用するのに特に適している。
【0026】
したがって、前記Si―ブロック共重合体コア―シェルナノ粒子は、Siコアを中心に、Siコアの表面にブロック共重合体シェルがコーティングされた構造を有し、前記Si―ブロック共重合体コア―シェルナノ粒子の全体直径は4nmないし300nmであり得る。
【0027】
前記Siとの親和度が高いブロックはファン・デル・ワールス力などによってSiコアの表面に向けて会合されるが、このとき、前記Siとの親和度が高いブロックは、ポリアクリル酸、ポリアクリレート、ポリメタクリル酸、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリルアミド、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアセテート、又はポリマレイン酸であることが望ましいが、これに限定されることはない。
【0028】
前記Siとの親和度が低いブロックは、ファン・デル・ワールス力などによってSiコアの外側に向けて会合されるが、このとき、前記Siとの親和度が低いブロックは、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリフェノール、ポリエチレングリコール、ポリラウリルメタクリレート、又はポリビニルジフルオライドであることが望ましいが、これに限定されることはない。
【0029】
前記ブロック共重合体シェルは、ポリアクリル酸―ポリスチレンブロック共重合体シェルであることが最も望ましい。このとき、前記ポリアクリル酸の数平均分子量(Mn)は、100ないし100,000であることが望ましく、前記ポリスチレンの数平均分子量(Mn)は、100ないし100,000であることが望ましいが、これに限定されることはない。
【0030】
図2は、(a)Si―ブロック共重合体コア―シェルナノ粒子及び(b)Siナノ粒子をエネルギー分散型X線分析器で観察した図である。
【0031】
図2に示したように、Si、C、及びOの分布を通して、(a)Si―ブロック共重合体コア―シェルナノ粒子においては、(b)Siナノ粒子とは異なり、Siコアの表面にC及びOを含む重合体シェルが形成されたことが分かる。
【0032】
図3は、(a)Si―ブロック共重合体コア―シェルナノ粒子及び(b)Siナノ粒子を走査電子顕微鏡で観察した図である。
【0033】
図3に示したように、(a)Si―ブロック共重合体コア―シェルナノ粒子においては、(b)Siナノ粒子とは異なり、Siコアの表面に重合体シェルが形成されたことが分かる。
【0034】
図4は、(a)Si―ブロック共重合体コア―シェルナノ粒子及び(b)Siナノ粒子を透過電子顕微鏡で観察した図である。
【0035】
図4に示したように、(a)Si―ブロック共重合体コア―シェルナノ粒子においては、(b)Siナノ粒子とは異なり、Siコアの表面に重合体シェルが形成されたことが分かり、Siコアの表面に形成された重合体シェルは11.2nmの厚さを有することが分かる。
【0036】
また、本発明は、a)Siとの親和度が高いブロック及びSiとの親和度が低いブロックからなるブロック共重合体を溶媒に混合する段階;b)前記混合溶液にSi粒子を添加する段階;及びc)前記Si粒子が添加された混合溶液を分散及びコーティングする段階;を含むSi―ブロック共重合体コア―シェルナノ粒子を含む混合溶液の製造方法を提供する。
【0037】
前記製造方法は、Si粒子の分散及びコーティングのためのものであって、常温(15℃ないし25℃)で行うことができる。
【0038】
一般に、ナノ粒子をコーティングするためには、熱処理、高圧処理、酸素及び空気パージング(purging)などの別途の反応が必須的である。本発明に係る製造方法は、熱処理、高圧処理、酸素及び空気パージングなどの別途の反応がなく、常温でSi粒子の分散及びコーティングを一度に行えるという利点を有する。
【0039】
前記a)段階は、Siとの親和度が高いブロック及びSiとの親和度が低いブロックからなるブロック共重合体を溶媒に混合する段階である。
【0040】
前記a)段階で、溶媒は、N―メチル―2―ピロリドン(NMP)、テトラヒドロフラン(THF)、水、メタノール、エタノール、シクロヘキサノール、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトン、ジメチルスルホキシド(DMSO)及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれた一つ以上であることが望ましいが、これに限定されることはない。このとき、N―メチル―2―ピロリドン(NMP)溶媒又はテトラヒドロフラン(THF)溶媒を使用した場合、 本発明に係るコア―シェルナノ粒子を含む混合溶液でのコア―シェルナノ粒子は、層分離がなく、非常に優れた分散性及び安定性を有する。
【0041】
前記a)段階で、Siとの親和度が高いブロックは、ポリアクリル酸、ポリアクリレート、ポリメタクリル酸、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリルアミド、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアセテート、又はポリマレイン酸であることが望ましいが、これに限定されることはない。
【0042】
前記a)段階で、Siとの親和度が低いブロックは、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリフェノール、ポリエチレングリコール、ポリラウリルメタクリレート、又はポリビニルジフルオライドであることが望ましいが、これに限定されることはない。
【0043】
前記a)段階で、ブロック共重合体は、ポリアクリル酸―ポリスチレンブロック共重合体であることが最も望ましい。このとき、前記ポリアクリル酸の数平均分子量(Mn)は、100ないし100,000であることが望ましく、前記ポリスチレンの数平均分子量(Mn)は、100ないし100,000であることが望ましいが、これに限定されることはない。
【0044】
このとき、a)段階でのブロック共重合体の合成時には、多様なリビング重合方法のうちいずれも適用可能であり、本発明では、Siとの親和度が高いブロックとSiとの親和度が低いブロックの可逆的付加開裂連鎖移動(reversible addition fragmentation chain transfer)方法でブロック共重合体を合成した。
【0045】
前記b)段階は、前記混合溶液にSi粒子を添加する段階である。
【0046】
前記b)段階で添加されるSi粒子と前記ブロック共重合体の重量比は2:1ないし1000:1であることが望ましく、前記Si粒子と前記ブロック共重合体の重量比は4:1ないし20:1であることがさらに望ましいが、これに限定されることはない。
【0047】
すなわち、ブロック共重合体シェルは、負極活物質内で実際にリチウムと合金化できる物質ではなく、緩衝作用をするための物質であって、Si粒子に対して少量含まれることが望ましい。
【0048】
前記c)段階は、前記Si粒子が添加された混合溶液を分散及びコーティングする段階である。
【0049】
前記分散及びコーティングは、超音波処理、ファインミル(fine mill)処理、ボールミル(ball mill)処理、3段ロールミル(three roll mill)処理、スタンプミル(stamp mill)処理、エディーミル(eddy mill)処理、ホモミキサー(homo mixer)処理、遠心混合器(planetary centrifugal mixer)処理、均質器(homogenizer)処理又は加振器(vibration shaker)処理などの多様な処理方法によって行うことができ、ここで、超音波処理時には、10kHzないし100kHzの超音波を1分ないし120分間処理することが望ましいが、これに限定されることはない。
【0050】
前記Si粒子が添加された混合溶液を超音波処理することによって、Si粒子とブロック共重合体の単純混合溶液ではなく、コア―シェルナノ粒子が分散された混合溶液を製造することができる。ここで、超音波処理時に、10kHzないし100kHzの超音波を5分ないし120分間処理することによって、短時間の超音波処理を通してエネルギー損失を最小化することができる。
【0051】
コア―シェルナノ粒子のブロック共重合体は、前記コア―シェルナノ粒子を含む混合溶液でSiコアを中心に球状のミセル構造を形成するものであって、前記コア―シェルナノ粒子を含む混合溶液でのコア―シェルナノ粒子は、Si粒子を含む混合溶液でのSi粒子又はSi―ポリスチレン混合体を含む混合溶液でのSi―ポリスチレン混合体に比べて優れた分散性及び安定性を有するので、粒子間の固まり現象が減少し、粒子サイズが減少する。
【0052】
このとき、前記コア―シェルナノ粒子を含む混合溶液でのSi―ブロック共重合体コア―シェルナノ粒子の粒子サイズ分布は4nmないし300nmであることが望ましく、前記コア―シェルナノ粒子を含む混合溶液でのSi―ブロック共重合体コア―シェルナノ粒子の粒子サイズ分布は100nmないし150nmであることがさらに望ましいが、これに限定されることはない。
【0053】
また、前記コア―シェルナノ粒子を含む混合溶液でのSiコアは、1重量%ないし50重量%の広い範囲の濃度を有することができる。
【0054】
したがって、コア―シェルナノ粒子を含む混合溶液でのコア―シェルナノ粒子は、分散性及び安定性に優れるので、これを炭化させることによって負極活物質に容易に適用することができる。
【0055】
図5は、(a)Si―ブロック共重合体コア―シェルナノ粒子を含む混合溶液でのSi―ブロック共重合体コア―シェルナノ粒子及び(b)Siナノ粒子を含む混合溶液でのSiナノ粒子の分散性を動的光散乱法で確認した図である。
【0056】
図5で確認したように、テトラヒドロフラン(THF)溶媒を使用した場合、(b)Siナノ粒子を含む混合溶液でのSiナノ粒子サイズに比べて、(a)Si―ブロック共重合体コア―シェルナノ粒子を含む混合溶液でのSi―ブロック共重合体コア―シェルナノ粒子サイズが著しく小さくなることを確認することができる。
【0057】
すなわち、前記コア―シェルナノ粒子のブロック共重合体シェルは、Siコアを中心に球状のミセル構造を形成するものであって、コア―シェルナノ粒子を含む混合溶液でのコア―シェルナノ粒子は分散性及び安定性に優れるので、粒子間の固まり現象が減少し、単純ナノ粒子に比べて粒子サイズが減少する。
【0058】
図6は、(a)Si―ブロック共重合体コア―シェルナノ粒子を含む混合溶液でのSiコア及び(b)Siナノ粒子を含む混合溶液でのSiナノ粒子の濃度による肉眼観察結果及び分散度を示した図である。
【0059】
図6に示したように、テトラヒドロフラン(THF)溶媒を使用した場合、(b)Siナノ粒子を含む混合溶液でのSiナノ粒子の濃度が2.5重量%、5重量%、10重量%であると、濃度の増加によって分散度が漸次高くなる傾向があるが、(a)Si―ブロック共重合体コア―シェルナノ粒子を含む混合溶液でのSiコアの濃度が2.5重量%、5重量%、10重量%である場合に比べて分散度が著しく低いことを確認することができる。特に、(b)Siナノ粒子を含む混合溶液でのSiナノ粒子の濃度が15重量%であると、ナノ粒子が試験管にくっ付いて乾いてしまい、分散度を測定することができない。ただし、(a)Si―ブロック共重合体コア―シェルナノ粒子を含む混合溶液でのSiコアの濃度が15重量%である場合にも、層分離がなく、分散度が高く維持されることを確認することができる。
【0060】
図7は、Si―ブロック共重合体コア―シェルナノ粒子を含む混合溶液でのSi―ブロック共重合体コア―シェルナノ粒子(“P4〜P9”)、Siナノ粒子を含む混合溶液でのSiナノ粒子(“C”)、及びSi―ポリスチレン混合体を含む混合溶液でのSi―ポリスチレン混合体(“STY”)の肉眼観察結果及び粒子サイズ分布を示した図である。
【0061】
図7に示したように、テトラヒドロフラン(THF)溶媒を使用した場合、Siナノ粒子を含む混合溶液でのSiナノ粒子(“C”)の粒子サイズ分布約350nmを基準にすると、Si―ポリスチレン混合体を含む混合溶液でのSi―ポリスチレン混合体(“STY”)の粒子サイズ分布はむしろ増加するが、Si―ブロック共重合体コア―シェルナノ粒子を含む混合溶液でのSi―ブロック共重合体コア―シェルナノ粒子(“P4”〜“P9”)の粒子サイズ分布は135nmないし150nmの範囲であって、層分離がなく、分散性及び安定性に優れることを確認することができる。
【0062】
また、本発明は、前記Si―ブロック共重合体コア―シェルナノ粒子が炭化されて形成されたSi―ブロック共重合体コア―シェルナノ炭化粒子を提供する。
【0063】
また、本発明は、内部に気孔を含む非晶質系炭素;前記気孔の内部に分散されている前記Si―ブロック共重合体コア―シェルナノ炭化粒子;を含むリチウム二次電池用負極活物質を提供する。
【0064】
前記リチウム二次電池用負極活物質は、Si/非晶質系炭素/結晶質系炭素複合体からなるものであって、Siの体積膨張に対応して電極の寸法安定性を目標にしてキャベツ構造を有する。したがって、リチウム二次電池用負極活物質は、ナノ粒子及び気孔を含むことによって長寿命、高容量及び高エネルギー密度を有するだけでなく、リチウム二次電池の充放電時における体積変化を緩和し、寿命特性を改善することができる。
【0065】
前記非晶質系炭素としては、ソフトカーボン(soft carbon)及びハードカーボン(hard carbon)などを使用することができ、前記結晶質系炭素としては天然黒鉛及び人造黒鉛などを使用することができる。
【0066】
前記コア―シェルナノ炭化粒子のブロック共重合体シェルは、Siコアを中心に球状の炭化膜を形成することができる。
【0067】
また、前記コア―シェルナノ炭化粒子のシェルの厚さは、炭化される前のSi―ブロック共重合体コア―シェルナノ粒子のブロック共重合体シェルの厚さに対して10%ないし50%であり得る。
【0068】
すなわち、コア―シェルナノ粒子の炭化によってコア―シェルナノ炭化粒子のブロック共重合体シェルの厚さはある程度減少するが、一定の厚さを維持しながら、コア―シェルナノ炭化粒子にはSiとの親和度が高いブロックが存在するので、炭化後にもSiコアの表面にブロック共重合体シェルが残り、コア―シェルナノ炭化粒子のブロック共重合体シェルは、Siコアを中心に依然として球状の炭化膜を形成する。
【0069】
このとき、コア―シェルナノ炭化粒子のブロック共重合体シェルは、負極活物質内で実際にリチウムと合金化できる物質ではなく、リチウム二次電池の充放電時におけるSiによる体積変化を緩和するための物質である。
【0070】
したがって、大きい比表面積を有するコア―シェルナノ炭化粒子をリチウム二次電池用負極活物質に適用することによって、これを用いたリチウム二次電池用負極活物質は、高容量及び高エネルギー密度を有するだけでなく、コア―シェルナノ炭化粒子のブロック共重合体シェルは、リチウム二次電池の充放電時におけるSiによる体積変化を緩和させることができる。
【0071】
前記負極活物質でのCとSiの重量比は2:1ないし1000:1であることが望ましく、前記負極活物質でのCとSiの重量比は4:1ないし20:1であることがさらに望ましいが、これに限定されることはない。このとき、CとSiの重量比が2:1未満であると、Siの含量が高くなるので、充放電時に負極活物質の体積膨張が激しくなり、リチウム二次電池の寿命特性が低下するという問題があり、CとSiの重量比が1000:1を超えると、Siの含量が低くなるので、負極活物質の容量が低くなり、リチウム二次電池の効率が低下するという問題がある。
【0072】
図8は、(a)Si―ブロック共重合体コア―シェルナノ粒子及び(b)Si―ブロック共重合体コア―シェルナノ炭化粒子を走査電子顕微鏡及び透過電子顕微鏡で観察し、エネルギー分散型X線分析器で分析した図である。
【0073】
図8に示したように、(b)Si―ブロック共重合体コア―シェルナノ炭化粒子の場合も、(a)Si―ブロック共重合体コア―シェルナノ粒子と同様に、Siコアの表面にブロック共重合体セルが残っていることを確認することができる。このとき、Si―ブロック共重合体コア―シェルナノ炭化粒子のブロック共重合体シェルの厚さは3.8nmであって、Si―ブロック共重合体コア―シェルナノ粒子のブロック共重合体シェルの厚さ(11.2nm)に対して約34%であることを確認することができる。
【0074】
図9は、(a)Si―ブロック共重合体コア―シェルナノ炭化粒子及び(b)Si―ポリフェノール炭化粒子を透過電子顕微鏡で観察した図である。
【0075】
図9に示したように、(b)Si―ポリフェノール炭化粒子には、Siとの親和度が高いブロックが存在しないので、炭化後、Si粒子とブロック共重合体は互いに分離されるが、(a)Si―ブロック共重合体コア―シェルナノ炭化粒子にはSiとの親和度が高いブロックが存在するので、炭化後にもSiコアの表面にブロック共重合体シェルが残り、コア―シェルナノ炭化粒子のブロック共重合体シェルには、Siコアを中心に依然として球状の炭化膜が形成されていることを確認することができる。
【0076】
また、本発明は、前記リチウム二次電池用負極活物質;導電材;及びバインダー;を含むリチウム二次電池用負極を提供する。前記リチウム二次電池用負極は、負極集電体上に負極活物質、導電材及びバインダーを塗布・乾燥して製作され、必要に応じて、充填材をさらに含むこともできる。
【0077】
また、本発明は、前記リチウム二次電池用負極;正極活物質を含む正極;及び電解質;を含むリチウム二次電池を提供する。前記リチウム二次電池は、正極、負極及び分離膜を含んで形成されるものであって、前記正極と負極との間で前記各電極を絶縁させる分離膜としては、通常知られたポリオレフィン系分離膜や、前記オレフイン系基材に有機・無機複合層が形成された複合分離膜などを全て使用することができ、特別に限定されることはない。
【0078】
また、本発明は、前記リチウム二次電池を多数電気的に連結して含む中大型電池モジュール又は電池パックを提供する。前記中大型電池モジュール又は電池パックは、パワーツール(Power Tool);電気車(Electric Vehicle、EV)、ハイブリッド電気車(Hybrid Electric Vehicle、HEV)、及びプラグインハイブリッド電気車(Plug―in Hybrid Electric Vehicle、PHEV)を含む電気車;電気トラック;電気商用車;又は電力貯蔵用システムのうちいずれか一つ以上の中大型デバイス電源として用いることができる。
【0079】
以下では、本発明の理解を助けるために望ましい実施例を提示する。しかし、下記の実施例は、本発明をより容易に理解するために提供されるものに過ぎなく、下記の実施例によって本発明の内容が限定されることはない。
【0080】
[実施例]
【0081】
実施例1
【0082】
コア―シェルナノ粒子を含む混合溶液の製造
【0083】
ポリアクリル酸とポリスチレンから可逆的添加―分節連鎖移動方法でポリアクリル酸―ポリスチレンブロック共重合体を合成した。このとき、ポリアクリル酸の数平均分子量(Mn)は4090で、ポリスチレンの数平均分子量(Mn)は29370である。
【0084】
ポリアクリル酸―ポリスチレンブロック共重合体0.1gをN―メチル―2―ピロリドン(NMP)溶媒8.9gに混合した。前記混合溶液9gには、直径が50nmのSi粒子1gを添加した。
【0085】
Si粒子が添加された混合溶液を音波ホーン(sonic horn)によって20kHzの超音波で10分間処理し、20分間休止することによって、コア―シェルナノ粒子を含む混合溶液を製造した。
【0086】
コア―シェルナノ粒子を用いたリチウム二次電池用負極活物質の製造
【0087】
80℃、30mbarで真空オーブンを通してコア―シェルナノ粒子を含む混合溶液でN―メチル―2―ピロリドン(NMP)溶媒を蒸発させた後、コア―シェルナノ粒子を900℃で2時間熱処理し、コア―シェルナノ炭化粒子を製造した。
【0088】
実施例2
【0089】
ポリアクリル酸の数平均分子量(Mn)は1760で、ポリスチレンの数平均分子量(Mn)は77410であることを除いては、実施例1と同一にした。
【0090】
実施例3
【0091】
ポリアクリル酸の数平均分子量(Mn)は4360で、ポリスチレンの数平均分子量(Mn)は29370であることを除いては、実施例1と同一にした。
【0092】
実施例4
【0093】
ポリアクリル酸の数平均分子量(Mn)は4010で、ポリスチレンの数平均分子量(Mn)は77410であることを除いては、実施例1と同一にした。
【0094】
実施例5
【0095】
ポリアクリル酸の数平均分子量(Mn)は12000で、ポリスチレンの数平均分子量(Mn)は29370であることを除いては、実施例1と同一にした。
【0096】
実施例6
【0097】
ポリアクリル酸の数平均分子量(Mn)は12240で、ポリスチレンの数平均分子量(Mn)は77410であることを除いては、実施例1と同一にした。
【0098】
実施例7
【0099】
N―メチル―2―ピロリドン(NMP)溶媒の代わりにテトラヒドロフラン(THF)溶媒を使用したことを除いては、実施例1と同一にした(実施例7に係るコア―シェルナノ粒子を含む混合溶液は、図7で“P4”と表示)。
【0100】
実施例8
【0101】
N―メチル―2―ピロリドン(NMP)溶媒の代わりにテトラヒドロフラン(THF)溶媒を使用したことを除いては、実施例2と同一にした(実施例8に係るコア―シェルナノ粒子を含む混合溶液は、図7で“P5”と表示)。
【0102】
実施例9
【0103】
N―メチル―2―ピロリドン(NMP)溶媒の代わりにテトラヒドロフラン(THF)溶媒を使用したことを除いては、実施例3と同一にした(実施例9に係るコア―シェルナノ粒子を含む混合溶液は、図7で“P6”と表示)。
【0104】
実施例10
【0105】
N―メチル―2―ピロリドン(NMP)溶媒の代わりにテトラヒドロフラン(THF)溶媒を使用したことを除いては、実施例4と同一にした(実施例10に係るコア―シェルナノ粒子を含む混合溶液は、図7で“P7”と表示)。
【0106】
実施例11
【0107】
N―メチル―2―ピロリドン(NMP)溶媒の代わりにテトラヒドロフラン(THF)溶媒を使用したことを除いては、実施例5と同一にした(実施例11に係るコア―シェルナノ粒子を含む混合溶液は、図7で“P8”と表示)。
【0108】
実施例12
【0109】
N―メチル―2―ピロリドン(NMP)溶媒の代わりにテトラヒドロフラン(THF)溶媒を使用したことを除いては、実施例6と同一にした(実施例12に係るコア―シェルナノ粒子を含む混合溶液は、図7で“P9”と表示)。
【0110】
比較例1
【0111】
コア―シェルナノ粒子を含む混合溶液の代わりにSiナノ粒子を含む混合溶液を製造したことを除いては、実施例1と同一にした。
【0112】
比較例2
【0113】
ポリアクリル酸―ポリスチレンブロック共重合体の代わりにポリスチレンを使用したことを除いては、実施例1と同一にした。
【0114】
比較例3
【0115】
N―メチル―2―ピロリドン(NMP)溶媒の代わりにテトラヒドロフラン(THF)溶媒を使用したことを除いては、比較例1と同一にした(比較例3に係るSiナノ粒子を含む混合溶液は、図7で“C”と表示)。
【0116】
比較例4
【0117】
N―メチル―2―ピロリドン(NMP)溶媒の代わりにテトラヒドロフラン(THF)溶媒を使用したことを除いては、比較例2と同一にした(比較例2に係るSi―ポリスチレン混合体を含む混合溶液は、図7で“STY”と表示)。
【0118】
比較例5
【0119】
Si粒子が添加された混合溶液を超音波処理する段階を省略したことを除いては、実施例7と同一にした。
【0120】
比較例6
【0121】
ポリアクリル酸―ポリスチレンブロック共重合体の代わりにポリフェノールを使用したことを除いては、実施例7と同一にした。
【0122】
比較例1及び比較例3に係るSiナノ粒子を含む混合溶液でのSiナノ粒子の粒子サイズ分布を基準にすると、比較例2及び比較例4に係るSi―ポリスチレン混合体を含む混合溶液でのSi―ポリスチレン混合体の粒子サイズ分布は、層分離によってむしろ増加するが、実施例1ないし実施例12に係るコア―シェルナノ粒子を含む混合溶液でのコア―シェルナノ粒子の粒子サイズ分布は135nmないし150nmの範囲であって、層分離がなく、分散性及び安定性に優れることを確認することができた。
【0123】
実施例1ないし実施例12に係るコア―シェルナノ粒子が分散された混合溶液を熱処理してコア―シェルナノ炭化粒子を製造した場合、Siコアの表面にブロック共重合体セルが残っていることを確認できたが、比較例5のように、コア―シェルナノ粒子が分散された混合溶液ではなく、Si粒子とブロック共重合体の単純混合溶液を熱処理する場合、Si粒子とブロック共重合体は互いに分離されることを確認できた。
【0124】
実施例1ないし実施例12に係るコア―シェルナノ炭化粒子には、Siとの親和度が高いブロックが存在するので、炭化後にもSiコアの表面にブロック共重合体シェルが残っており、コア―シェルナノ炭化粒子のブロック共重合体シェルには、Siコアを中心に依然として球状膜が形成されている。しかし、比較例6のように、Si―ポリフェノール炭化粒子には、Siとの親和度が高いブロックが存在しないので、炭化後、Si粒子とブロック共重合体は互いに分離されることを確認できた。
【0125】
上述した本発明の説明は、例示のためのものであって、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者であれば、本発明の技術的思想や必須的な特徴を変更せずとも他の具体的な形態に容易に変形可能であることを理解できるだろう。そのため、以上で記述した各実施例は、全ての面で例示的なものであって、限定的なものではないことを理解しなければならない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8a
図8b
図9