(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
使用時、前記第1剥離フィルム層および前記第2剥離フィルム層が剥離され、前記吸着材料層が前記表示機能層の前記揮発性染料層と、前記吸着機能層が前記表示機能層全体を覆うように位置合わせされ、前記吸着材料層および前記揮発性染料層が前記第1基質材料層と前記第2基質材料層との間に封止され;前記第2基質材料層または前記第1基質材料層が前記感熱物品上に貼り付けられる、請求項2に記載の時間−温度インジケータ。
前記表示機能層および前記吸着機能層から独立した、または前記第1基質材料層上に前記揮発性染料層と隣接して配置された、または前記第1基質材料によって調製された、基準色タグであって、前記基準色タグの色深度が前記感熱物品の損傷処理と同じプロセスが行われた前記揮発性染料層のそれと同じである、基準色タグをさらに含む、請求項1に記載の時間−温度インジケータ。
前記表示機能層自体の前記基質材料層が基準色タグとして機能し、その色深度が前記感熱物品の損傷処理と同じプロセスが行われた前記揮発性染料層のそれと同じである、請求項1に記載の時間−温度インジケータ。
前記揮発性染料の揮発プロセスの活性化エネルギーと、前記感熱物品の品質変化プロセスのそれとの間の差が±10kJ/molの範囲内である、請求項1に記載の時間−温度インジケータ。
前記吸着材料が前記揮発性染料層から揮発した前記染料を不可逆的に吸着することができ、前記吸着材料が前記揮発性染料を吸着する吸着の速度が前記揮発性染料の揮発速度より高い、請求項1に記載の時間−温度インジケータ。
前記揮発性染料層をコーティングした後、基準色層を前記揮発性染料層の近くにコーティングするステップであって、前記基準色層は不揮発性染料から生成され、その色深度が前記感熱物品の損傷処理と同じプロセスが行われた前記揮発性染料層のそれと同じである、ステップ、または
不揮発性染料から別の基準色タグを生成するステップをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の第1態様は、感熱物品の品質状態をモニタリングするための時間−温度インジケータを提供する。
【0023】
1つの実施形態では、本発明の時間−温度インジケータは、使用前は互いに物理的に独立した2つの積層部分、すなわち、表示機能層および吸着機能層を含み;
前記表示機能層は:
第1基質材料層;
前記第1基質材料層の1つの面上の1つ以上の領域上にコーティングされた、揮発性染料層;および
前記揮発性染料層上にコーティングされた、第1剥離フィルム層であって、前記第1基質材料層および前記第1剥離フィルム層は前記揮発性染料層より寸法が大きく、前記揮発性染料層は前記第1基質材料層と前記第1剥離フィルム層との間に封止される、第1剥離フィルム層
を含み;
前記揮発性染料層の揮発プロセスの活性化エネルギーと、前記感熱物品の品質変化プロセスのそれとの間の差が所定の範囲内であり;
前記吸着機能層は:
第2基質材料層;
前記第2基質材料層の1つの面上にコーティングされた吸着材料層であって、前記吸着材料層は前記揮発性染料層より寸法が大きい、吸着材料層;
前記第2基質材料層上にコーティングされ、前記吸着材料層の外周を囲う接着剤層;および
前記接着剤層および前記吸着材料層を覆う、第2剥離フィルム層;
を含む。
【0024】
使用時、使用状態の時間−温度インジケータは以下のように形成される:第1剥離フィルム層および第2剥離フィルム層を除去し、吸着材料層を揮発性染料層と位置合わせし、揮発性染料層および吸着材料層を第1基質層と第2基質層との間に封止する。
【0025】
この時間−温度インジケータの第1基質層は感熱物品上にしっかり貼り付けられる。感熱物品を使用する前に、吸着材料層は揮発性染料層から分離され、次に揮発性染料層の色が観察または測定される。
【0026】
好適には、本発明の時間−温度インジケータに、感熱物品が有効性を喪失または劣化するプロセスと同じ処理が予め行われた後、揮発性染料層の色差が比色計で測定され、この色差値が最終的な色差として定義される。本発明の時間−温度インジケータを有する感熱物品が使用される前に、揮発性染料層の実際の色差が測定される。その揮発性染料層の実際の色差が最終的な色差より大きい場合、この感熱物品は損傷または劣化しておらず、使用可能な状態であることが示される。その揮発性染料層の実際の色差が最終的な色差より小さい、またはこれと同じである場合、この感熱物品はすでに損傷または劣化していることが示される。この場合、比色計はいずれかの市販の比色計であってもよい。
【0027】
好適には、最終的な色差が測定された後、この最終的な色差を有する基準色タグが不揮発性染料または顔料で調製される。本発明の時間−温度インジケータを有する感熱物品が使用される前に、揮発性染料層の色が視覚的に観察され、基準色タグと比較される。揮発性染料層の色が基準色タグのものより濃い場合、この感熱物品は損傷または劣化しておらず、使用可能な状態であることが示される。揮発性染料層の色が基準色タグのものより薄い、またはこれと同じである場合、この感熱物品はすでに損傷または劣化しており、使用可能ではないことが示される。
【0028】
例えば、感熱物品が温度T1で時間t1後に劣化または損傷する場合、本発明の時間−温度インジケータに温度T1で時間tlの間、処理を行うことができ、処理後の揮発性染料層の色差が最終的な色差として記録される。時間t1が長すぎる場合、最終的な色差は当業者に公知の加速試験で測定することもできる。
【0029】
基準色タグは表示機能層および吸着機能層から分離、または表示機能層中に組み入れることができる。好適には、基準色タグは揮発性染料層に隣接して配置される。ここで、例えば基準色タグが揮発性染料層と並んで配置される、または揮発性染料層の周りに配置される、など、いずれかの実行可能な配置を用いることができる。より好適には、揮発性染料層をコーティングした後、基準色層がその近くまたは周りにコーティングされ、この基準色層は基準色タグとして機能する。より好適には、揮発性染料層をコーティングし、基準色層をその近くまたは周りにコーティングした後、揮発性染料層および基準色層が第1基質層と第1剥離フィルム層との間に封止される。感熱物品が使用される前に、揮発性染料層の色は基準色タグ(すなわち基準色層)のものと視覚的に比較され、よって感熱物品が損傷または劣化するかが決定される。
【0030】
より好適には、第1基質材料層自体が基準色タグとして調製される。
【0031】
感熱物品は、ワクチン、生物学的物品、生物活性試料、薬、食品または飲料から選択される。好適には、感熱物品は、−40℃〜50℃、好適には−30℃〜40℃、好適には−30℃〜30℃、好適には−20℃〜20℃、好適には−20℃〜10℃、好適には−10℃〜10℃、好適には0℃〜10℃、例えば2℃〜8℃の範囲内の温度で保存および/または輸送される必要がある物品である。例えば、「中国薬典」2005年または2010年版の第1、2および3巻に記録された2℃〜8℃の範囲内の温度で保存および/または輸送される必要があるいずれかの物品であってもよい。感熱物品としては、これらに限定されないが:ワクチン、例えば熱不安定性ワクチン、例えばポリオワクチン、腸チフスワクチン、B型肝炎ワクチン等;生物学的物品、例えばヒト免疫グロブリン、抗ヒトTリンパ球ブタ免疫グロブリン、等;生物活性試料、例えば血漿、全血、血清等;薬、例えば下垂体後葉注射剤、注射用のエチフェニンおよび塩化第一スズ等;食品、例えば生肉、生魚等;飲料、例えば生乳、乳製品、ヨーグルト、殺菌乳等が挙げられる。
【0032】
本発明では、揮発性染料層の揮発プロセスの活性化エネルギーと、感熱物品の品質変化または損傷プロセスの活性化エネルギーとの差は所定の範囲内であり、好適にはその差は±10kJ/mol、より好適には±5kJ/molの範囲内である。好適には、揮発性染料層の揮発プロセスの活性化エネルギーは60〜140kJ/molである。本発明において記載される揮発性染料層の揮発プロセスの活性化エネルギーは、揮発性染料層の揮発プロセス中の使用時の本発明の時間−温度インジケータの見かけ活性化エネルギーを指す。
【0033】
好適には、揮発性染料層は0〜80℃の範囲内の温度で固体または液体状態であり、より好適には0〜50℃の範囲内の温度で固体状態である。
【0034】
本発明では、揮発性染料はとくに限定されず、本発明の目的を達成することができるいずれかの揮発性染料を用いることができる。好適には、揮発性染料は、アゾ染料、アントラキノン染料、式Iの化合物およびその誘導体、またはこれらの組み合わせから選択される少なくとも1つであり、式Iの化合物は以下の式:
【化1】
を有し、式中、
R1は、水素、ハロゲン、C
1〜6線状または分岐アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル等;C
1〜6線状または分岐アルコキシ、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、ヘキシルオキシ等;−COR2、−COOR2からなる群より選択され;
R2は、水素、C
1〜6線状または分岐アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル等;C
1〜6線状または分岐アルキルアミノ、例えばメチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、ブチルアミノ、sec−ブチルアミノ、tert−ブチルアミノ、ペンチルアミノ、イソペンチルアミノ、ネオペンチルアミノ、ヘキシルアミノ等からなる群より選択される。
【0035】
より好適には、揮発性染料は式Iの化合物から選択される。
【0036】
好適には、揮発性染料層は1つ以上の揮発添加剤も含有する。本発明では、揮発添加剤はとくに限定されず、本発明の揮発性染料の揮発速度を調節することができる限り、本発明の目的を達成することができるいずれかの揮発添加剤を用いることができる。本明細書における揮発添加剤は揮発性染料の揮発を加速または減速することができる。好適には、揮発添加剤は以下の揮発性化合物:
線状アルカン、分岐アルカン、シクロアルカンまたは芳香族炭化水素、例えばヘキサン、ヘプタン、オクタンまたはこれらの異性体、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロペンタン、ナフタレン、アントラセン等;
線状、分岐、芳香族または環状アルコール、例えばブタンテトラオール、ラウリルアルコール、トリデカノール、テトラデカノール、ペンタデカノール、ヘキサデカノール、ステアリルアルコール等;
線状、分岐、芳香族または環状カルボン酸、例えばマレイン酸、フマル酸、ラウリル酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等;
アミノ酸、例えばアミノ安息香酸、ロイシン、フェニルアラニン等;
エステル;
スルホン、例えばジフェニルスルホン、ジフェニルジスルホン、ジベンジルスルホン、ジブチルスルホン等;
およびナフタレン、カンファー等を含む、各種揮発性天然材料
から選択される1つ以上である。
【0037】
好適には、揮発性染料層は1つ以上の溶媒も含む。本発明では、溶媒はとくに限定されず、本発明の目的を達成することができるいずれかの溶媒を用いることができる。好適には、溶媒は、水、ヘキサン、シクロヘキサン、テトラヒドロフラン、ベンゼン、ジメチルベンゼン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、2−ブタノール、アセトン、ジエチルエーテル、酢酸メチル、酢酸エチル、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタンおよびジクロロエタンからなる群より選択される1つ以上である。
【0038】
本発明では、吸着材料の種類はとくに限定されず、本発明の目的を達成することができるいずれかの吸着材料を用いることができる。好適には、本発明の吸着材料は揮発性染料層から揮発した染料を不可逆的に吸着し、より好適には、吸着材料が揮発性染料層から揮発した揮発性染料を吸着する吸着の速度は揮発性染料の揮発速度よりかなり高い。吸着材料が揮発性染料層から揮発した揮発性染料を吸着する吸着の速度が揮発性染料の揮発速度よりかなり高い場合、揮発性染料の吸着速度は実質的に揮発速度のみに関連する。従って、染料の揮発速度は、例えばこれがその揮発により生成される飽和蒸気および/またはほぼ飽和蒸気により阻害されるという事実、等によってではなく、温度のみにより影響される。染料の揮発量は温度および時間のみにより影響されるので、揮発による色変化は感熱物品の熱履歴をより正確にモニターするために、時間−温度インジケータの熱履歴をより正確に反映することができる。とくに、吸着材料層が揮発性染料層の揮発を制限し、その揮発速度を低減する必要がある場合、比較的低い吸着速度を有する吸着材料を用いることもできる。1つの実施形態では、吸着材料としては、これらに限定されないが、油性または水性接着剤、市販の接着剤ペーパー、接着剤テープ等が挙げられる。
【0039】
本発明では、第1基質材料層および第2基質材料層の材料はとくに限定されず、本発明の目的を達成することができるいずれかの基質材料を用いることができる。同じ材料または異なる材料を第1基質材料層および第2基質材料層に用いることができる。好適には、第1基質材料層は第1剥離フィルム層とともに揮発性染料層を封止し;基質材料層は第2剥離フィルム層とともに吸着材料層を封止する。好適には、第1基質材料層は積層構造を有し、封止接着剤層、接着剤層および第3剥離フィルム層が基質材料層上の揮発性染料層に対向する面上に順に含まれる。使用時、第3剥離フィルム層がまず剥離され、第1基質材料層の接着剤層が感熱層上に貼り付けられる。次に第1剥離フィルム層および第2剥離フィルム層が剥離され、吸着材料層が揮発性染料層と位置合わせされ、吸着材料層および揮発性染料層はともに感熱物品上に封止される。
【0040】
好適には、時間−温度インジケータは分離層をさらに含み、使用時この分離層は揮発性染料層と吸着材料層との間に配置される。使用前、この分離層は揮発性染料層と第1剥離フィルム層との間、または吸着材料層と第2剥離フィルム層との間に配置される。この分離層は揮発性染料層の揮発性染料の揮発速度を調節するために用いることができる。この分離層は揮発性染料層および吸着材料層を分離するのに有利であり得る。本発明では、分離層の材料はとくに限定されず、本発明の目的を達成することができる限り、いずれかの材料を用いることができる。非限定的な例としては、不織布、ナイロンP6ネット、ナイロンP66ネット等が挙げられる。揮発性染料層の色または色差を観察または測定する場合、この分離層は吸着材料層とともに揮発性染料層から分離される。
【0041】
本発明の剥離フィルム層はとくに限定されず、本発明の目的を達成することができるいずれかの剥離フィルム層を用いることができる。本発明の剥離フィルム層は当業者であれば本発明の記載に従って容易に選択することができると理解することができる。本発明では、第1、第2および第3剥離フィルム層は揮発性染料を吸着する効果を有しない。剥離フィルム層に用いられる材料は広く選択することができ、非限定的な例としては、ペーパー、ワックスペーパー、およびポリマーフィルム、例えばポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレングリコールテレフタレート等が挙げられる。る。
【0042】
いずれの理論にも限定されず、本発明の発明者は、感熱物品の劣化または損傷プロセスの変化速度はアレニウス式、すなわち
【数1】
に従うと考える。式中、kは感熱物品の劣化または損傷プロセスの変化速度であり、Tは絶対温度(K)であり、Eは感熱物品が劣化または損傷するプロセスの活性化エネルギーであり、Rは理想気体定数であり、Aは定数である。
【0043】
同様に、いずれの理論にも限定されず、本発明の発明者は、本発明による揮発性染料層の揮発速度はアレニウス式、すなわち
【数2】
に従うと考える。本発明による揮発性染料層の揮発速度は、揮発性染料の種類およびその量を選択すること、または揮発添加剤を添加することにより、感熱物品の劣化または損傷プロセスの変化速度に近い速度に調節することができる。よって、感熱物品の劣化または損傷プロセスの熱履歴は、揮発性染料の退色速度により正確に示される。退色速度はその揮発速度と正の相関を有し、退色速度は感熱物品の劣化または損傷プロセスの変化速度と正の相関を有する。
【0044】
別の実施形態では、第1基質層は1つ以上の透明な領域を有する。時間−温度インジケータが使用される場合、使用状態の時間−温度インジケータは以下のように形成される:第1剥離フィルム層および第2剥離フィルム層を除去し、吸着材料層を揮発性染料層と位置合わせし、揮発性染料層および吸着材料層を第1基質層と第2基質層との間に封止する。第2基質層は感熱物品上に貼り付けられる。感熱物品を使用する前に、揮発性染料層の色深度または色差が透明な領域を通して直接観察または測定される。好適には、第1基質層自体は透明であり、時間−温度インジケータを使用する場合、第2基質層は感熱物品上に貼り付けられる。感熱物品を使用する前に、揮発性染料層の色変化は透明な第1基質層を通して観察または測定される。実際、揮発性染料層の色は直接観察することができるので、損傷または劣化した感熱物品を除去し、不要な保存および輸送を低減するように、いつでも感熱物品を選択することができる。感熱物品はたいてい低温で保存および輸送されるため、これは保存および輸送のコストを明らかに低減し、不要な保存および輸送を低減することができる。別の態様では、感熱物品の劣化または損傷の可能性を低減するために、使用者は劣化または損傷していないより薄い色を有する感熱物品を使用することを選択することができる。
【0045】
本発明では、第1基質材料層および第2基質材料層の材料はとくに限定されず、本発明の目的を達成することができるいずれかの基質材料を用いることができる。同じ材料または異なる材料を第1基質材料層および第2基質材料層に用いることができる。好適には、第1基質材料層は第1剥離フィルム層とともに揮発性染料層を封止し;第2基質材料層は第2剥離フィルム層とともに吸着材料層を封止する。好適には、第2基質材料層は積層構造を有し、封止接着剤層、接着剤層および第4剥離フィルム層が、基質材料層上の揮発性染料層に対向する面上に順に含まれる。使用時、第4剥離フィルム層がまず剥離され、第2基質材料層の接着剤層が感熱層上に貼り付けられる。次に第1剥離フィルム層および第2剥離フィルム層が剥離され、吸着材料層が揮発性染料層と位置合わせされ、吸着材料層および揮発性染料層がともに感熱物品上に封止される。
【0046】
この実施形態における他の特徴ならびにその記載および変形は前記実施形態のものと同じまたは同様であるので、それらはここでは繰り返されない。例えば、この実施形態における揮発性染料層、吸着材料層、分離層、第1剥離フィルム層、第2剥離フィルム層および基準色タグの記載は前記実施形態と同じまたは同様であり;この実施形態では、揮発性染料層の色差または色深度は前記実施形態のものと同じまたは同様の方法で観察または測定され;この実施形態では、感熱物品が損傷または劣化するかを決定する方法は前記実施形態のものと同じまたは同様である。すべての同じまたは同様の部分はここでは繰り返されない。
【0047】
本発明の第1態様により提供される時間−温度インジケータを用いることは、コストを低減し、感熱物品の熱履歴をモニタリングする精度を向上することができる。カスタマイズされた時間−温度インジケータは、適切な揮発性染料、揮発添加剤、溶媒およびそれらの量を選択することにより、各種感熱物品用に開発することができる。特に、特定の感熱物品について、その劣化または損傷プロセスの活性化エネルギーおよび前記アレニウス式中の各パラメータは実験によって決定することができる。次に前記アレニウス式中の揮発性染料層の各パラメータは、適切な揮発性染料、揮発添加剤、溶媒、およびそれらの量を選択することにより、特定の感熱物品のそれと近く、または同じに調節され、この特定の感熱物品の熱履歴を正確にモニターする時間−温度インジケータを得ることができ、これは従来技術では達成することができない。
【0048】
本発明の第1態様により提供される時間−温度インジケータは、感熱物品が損傷または劣化するかを揮発性染料層の色変化により直接決定し、これは適用するのが簡単である。従来技術におけるほとんどの時間−温度インジケータは低温でのみ保存することができる。本発明の時間−温度インジケータは表示機能層および吸着機能層が分離して保存され、使用時に組み合わされる構造を上手く採用し、そのため本発明の時間−温度インジケータは常温で保存することができ、インジケータの使用コストを低減する。
【0049】
本発明の第1態様により提供される時間−温度インジケータは、新しいインジケータの色変化の理論を用いることにより達成される。ポリマータイプ、酵素反応タイプおよび拡散タイプのインジケータとは異なり、本発明は、揮発−吸着染料輸送プロセスによる材料の揮発特性を用いることにより色変化を達成する。新しい理論を採用すると、安価な材料を選択および使用することができる一方、選択の範囲は大きく広がり、インジケータを調製するための包括的なコストは低減される。
【0050】
第1基質材料層が1つ以上の透明な領域を有する、または第1材料層自体が透明である場合、揮発性染料層の色は第1基質材料層を通して直接観察することができる。従って、使用者は、揮発性染料層の色に応じて感熱物品を選択および使用し、保存および輸送中に劣化または損傷した感熱物品を選別することができ、使用有効性は明らかに向上し、保存および輸送コストは低減される。
【0051】
使用時、本発明による時間−温度インジケータは感熱物品のパッケージ容器上に付着させ、とくに感熱物品上にいずれかの簡便な方法で付着させることができる。本明細書において記載される付着は貼り付けのようないずれかの実行可能な方法であってもよい。例えば、時間−温度インジケータは、例えばワクチン、薬等の一次パッケージ(または最小パッケージ、例えばワクチンのアンプル)の外面、例えばガラスボトルで包装されたワクチンまたは薬のガラスボトルの外面、またはソフトバッグで包装された血漿または乳剤のソフトバッグの外面上に貼り付けることができる。
【0052】
本発明の第2態様は、本発明の第1態様による温度インジケータを用いる感熱物品を提供する。感熱物品は本発明の第1態様において記載されるものである。
【0053】
本発明の第3態様は、感熱物品の品質状態をモニタリングするための時間−温度インジケータの調製方法を提供する。
【0054】
1つの実施形態では、本発明の第3態様の方法は:
第1基質材料層を提供するステップ;
前記第1基質材料層の1つの面上の1つ以上の領域を揮発性染料層でコーティングし、揮発性染料層を形成するステップであって、前記揮発性染料層の揮発プロセスの活性化エネルギーと、感熱物品の品質変化または損傷プロセスのそれとの間の差が所定の範囲内である、ステップ;
前記揮発性染料層を第1剥離フィルムで覆うステップであって、前記第1剥離フィルム層は前記第1基質材料層とともに前記揮発性染料層をその間に封止し、表示機能層を形成する、ステップ;
および
第2基質材料層を提供するステップ;
前記第2基質材料層の1つの面を吸着材料でコーティングし、吸着材料層を形成するステップであって;前記吸着材料層は前記揮発性染料層より寸法が大きい、ステップ;
接着剤層を前記第2基質材料層上の前記吸着材料層の周りにコーティングするステップ;および
前記接着剤層および前記吸着材料層を第2剥離フィルム層で覆い、前記吸着材料層を前記第2基質材料層と前記第2剥離フィルム層との間に封止し、吸着機能層を形成するステップ、
を含む。
【0055】
使用時、時間−温度インジケータは以下のように形成される:第1剥離フィルムおよび第2剥離フィルムを剥離し、吸着機能層を揮発性染料層と位置合わせし、第1基質材料層を感熱物品上にしっかり貼り付け、揮発性染料層を吸着材料層とともに第1基質材料層と第2基質材料層との間に封止する。
【0056】
別個の表示機能層および吸着機能層が上記調製方法によって得られる。従って、本発明の時間−温度インジケータの表示機能層および吸着機能層は常温で保存および輸送することができ、これは従来技術の時間−温度インジケータでは達成することが困難である。使用時、それらは組み合わされて本発明の時間−温度インジケータを形成し、感熱物品上に貼り付けられ、感熱物品とともに保存および輸送が行われる。時間−温度インジケータは感熱物品の熱履歴を正確にモニターし、感熱物品の品質状態を正確に決定することができる。
【0057】
好適には、本発明の時間−温度インジケータが、感熱物品が有効性を喪失または劣化するプロセスと同じプロセスに予めかけられた後、感熱物品が損傷または劣化する場合の色差が比色計で測定され、最終的な色差として記録される。感熱物品が使用される前に、吸着材料層が揮発性染料層から分離され、揮発性染料層の実際の色差が比色計で測定され、実際の色差が最終的な色差と比較される。実際の色差が最終的な色差より大きい場合、感熱物品は損傷または劣化しておらず、使用可能な品質状態である。実際の色差が最終的な色差より小さい場合、感熱物品は損傷または劣化しており、使用不可能な品質状態である。
【0058】
好適には、本発明の時間−温度インジケータが感熱物品が有効性を喪失または劣化するプロセスと同じプロセスに予めかけられた後、感熱物品が損傷または劣化する場合の色差が測定され、最終的な色差として記録される。最終的な色差を有する基準色タグは不揮発性染料または不揮発性顔料で調製される。感熱物品が使用される前に、吸着材料層が揮発性染料層から分離され、揮発性染料層の実際の色が視覚的に観察され、その実際の色が基準色タグと比較される。実際の色が基準色タグより濃い場合、感熱物品は損傷または劣化しておらず、使用可能な品質状態である。実際の色が基準色タグのものより薄いまたは同じである場合、感熱物品は損傷または劣化しており、使用不可能な品質状態である。
【0059】
基準色タグは表示機能層および吸着機能層から独立していてもよい。好適には、基準色タグは表示機能層に含まれる。好適には、揮発性染料層をコーティングした後、最終的な色差を有する不揮発性染料または不揮発性顔料が揮発性染料層の周りにコーティングされ、基準色タグを形成する。基準色タグはいずれかの可能な方法で揮発性染料層の近くに配置することができ、例えば基準色タグは揮発性染料層と並んで配置される、または揮発性染料層の周りに配置される。より好適には、第1基質材料層自体が基準色タグとして調製される。
【0060】
例えば、感熱物品が温度T1で時間t1後に劣化または損傷する場合、本発明の時間−温度インジケータに温度T1で時間t1の間、処理が行われ、その処理後の揮発性染料層の色差が最終的な色差として記録される。
【0061】
感熱物品は、ワクチン、生物学的物品、生物活性試料、薬、食品または飲料から選択される。好適には、感熱物品は−40℃〜50℃、好適には−30℃〜40℃、好適には−30℃〜30℃、好適には−20℃〜20℃、好適には−20℃〜10℃、好適には−10℃〜10℃、好適には0℃〜10℃、例えば2℃〜8℃の範囲内の温度で保存および/または輸送される必要がある物品である。例えば、これは「中国薬典」2005または2010年版の第1、2および3巻に記録された2℃〜8℃の範囲内の温度で保存および/または輸送される必要があるいずれかの物品であってもよい。感熱物品としては、これらに限定されないが:ワクチン、例えば熱不安定性ワクチン、例えばポリオワクチン、腸チフスワクチン、B型肝炎ワクチン等;生物学的物品、例えばヒト免疫グロブリン、抗ヒトTリンパ球ブタ免疫グロブリン、等;生物活性試料、例えば血漿、全血、血清等;薬、例えば下垂体後葉注射剤、注射用のエチフェニンおよび塩化第一スズ等;食品、例えば生肉、生魚等;飲料、例えば生乳、乳製品、ヨーグルト、殺菌乳等が挙げられる。
【0062】
本発明では、揮発性染料層の揮発プロセスの活性化エネルギーと、感熱物品の品質変化または損傷プロセスの活性化エネルギーと間の差は所定の範囲内であり、好適にはその差は±10kJ/mol、より好適には±5kJ/molの範囲内である。好適には、揮発性染料層の揮発プロセスの活性化エネルギーは60〜140kJ/molである。本発明において記載される揮発性染料層の揮発プロセスの活性化エネルギーは、揮発性染料層の揮発プロセス中の使用時の本発明の時間−温度インジケータの見かけ活性化エネルギーを指す。
【0063】
好適には、揮発性染料層は0〜80℃の範囲内の温度で固体または液体状態であり、より好適には0〜50℃の範囲内の温度で固体状態である。
【0064】
本発明では、揮発性染料は特に限定されず、本発明の目的を達成することができるいずれかの揮発性染料を用いることができる。好適には、揮発性染料は、アゾ染料、アントラキノン染料、式Iの化合物およびその誘導体、またはこれらの組み合わせから選択される少なくとも1つであり、式Iの化合物は以下の式:
【化2】
を有し、式中、
R1は、水素、ハロゲン、C
1〜6線状または分岐アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル等;C
1〜6線状または分岐アルコキシ、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、ヘキシルオキシ等;−COR2、−COOR2からなる群より選択され;
R2は、水素、C
1〜6線状または分岐アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル等;C
1〜6線状または分岐アルキルアミノ、例えばメチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、ブチルアミノ、sec−ブチルアミノ、tert−ブチルアミノ、ペンチルアミノ、イソペンチルアミノ、ネオペンチルアミノ、ヘキシルアミノ等からなる群より選択される。
【0065】
より好適には、揮発性染料は式Iの化合物から選択される。
【0066】
好適には、揮発性染料層は1つ以上の揮発添加剤も含有する。本発明では、揮発添加剤はとくに限定されず、本発明の目的を達成することができるいずれかの揮発添加剤を用いることができる。本明細書における揮発添加剤は揮発性染料の揮発を加速または減速することができる。好適には、揮発添加剤は以下の揮発性化合物:
線状アルカン、分岐アルカン、シクロアルカンまたは芳香族炭化水素、例えばヘキサン、ヘプタン、オクタンまたはこれらの異性体、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロペンタン、ナフタレン、アントラセン等;
線状、分岐、芳香族または環状アルコール、例えばブタンテトラオール、ラウリルアルコール、トリデカノール、テトラデカノール、ペンタデカノール、ヘキサデカノール、ステアリルアルコール等;
線状、分岐、芳香族または環状カルボン酸、例えばマレイン酸、フマル酸、ラウリル酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等;
アミノ酸、例えばアミノ安息香酸、ロイシン、フェニルアラニン等;
エステル;
スルホン、例えばジフェニルスルホン、ジフェニルジスルホン、ジベンジルスルホン、ジブチルスルホン等;
およびナフタレン、カンファー等を含む、各種揮発性天然材料
から選択される1つ以上である。
【0067】
好適には、揮発性染料層は1つ以上の溶媒も含む。本発明では、溶媒はとくに限定されず、本発明の目的を達成することができるいずれかの溶媒を用いることができる。好適には、溶媒は、水、ヘキサン、シクロヘキサン、テトラヒドロフラン、ベンゼン、ジメチルベンゼン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、2−ブタノール、アセトン、ジエチルエーテル、酢酸メチル、酢酸エチル、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタンおよびジクロロエタンからなる群より選択される1つ以上である。
【0068】
好適には、揮発性染料層は、揮発性染料、揮発添加剤および溶媒を混合した後、第1基質材料層上に形成される。コーティング方法はとくに限定されず、揮発性染料層が形成される限り、いずれかのコーティング方法を用いることができる。例えば、噴霧、印刷、塗沫等のような、いずれかの既知のコーティング形成方法を用いることができる。
【0069】
好適には、本発明の吸着材料は揮発性染料層から揮発した染料を不可逆的に吸着し、より好適には、吸着材料が揮発性染料層から揮発した揮発性染料を吸着する吸着の速度が揮発性染料の揮発速度よりかなり高い。吸着材料が揮発性染料層から揮発した揮発性染料を吸着する吸着の速度が揮発性染料の揮発速度よりかなり高い場合、揮発性染料の吸着速度は実質的に揮発速度のみに関連する。従って、染料の揮発速度は、例えばこれがその揮発により生成される飽和蒸気および/またはほぼ飽和蒸気により阻害されるという事実、等によってではなく、温度のみにより影響される。染料の揮発量は温度および時間のみにより影響されるため、時間−温度インジケータの熱履歴はより正確に反映することができる。特に、揮発性染料層の揮発速度を低減する必要がある場合、比較的低い吸着速度を有する吸着材料、例えば、染料の吸着速度が染料の揮発速度より低い吸着材料を用いることもできる。本発明では、吸着材料の種類はとくに限定されず、本発明の目的を達成することができるいずれかの吸着材料を用いることができる。1つの実施形態では、吸着材料としては、これらに限定されないが、油性または水性接着剤、市販の接着剤ペーパー、接着剤テープ等が挙げられる。
【0070】
本発明では、第1基質材料層および第2基質材料層の材料はとくに限定されず、本発明の目的を達成することができるいずれかの基質材料を用いることができる。同じ材料または異なる材料を第1基質材料層および第2基質材料層に用いることができる。好適には、第1基質材料層は第1剥離フィルム層とともに揮発性染料層を封止し;基質材料層は第2剥離フィルム層とともに吸着材料層を封止する。好適には、第1基質材料層は積層構造を有し、封止接着剤層、接着剤層および第3剥離フィルム層が、基質材料層上の揮発性染料層に対向する面上に順に含まれる。使用時、第3剥離フィルム層がまず剥離され、第1基質材料層の接着剤層が感熱層上に貼り付けられる。次に第1剥離フィルム層および第2剥離フィルム層が剥離され、吸着材料層が揮発性染料層と位置合わせされ、吸着材料層および揮発性染料層がともに感熱物品上に封止される。
【0071】
好適には、時間−温度インジケータは分離層をさらに含み、この分離層は揮発性染料層と吸着材料層との間に配置される。使用時、この分離層は揮発性染料層と第1剥離フィルム層との間、または吸着材料層と第2剥離フィルム層との間に配置される。この分離層は揮発性染料層の揮発性染料の揮発速度を調節するために用いることができる。本発明では、分離層の材料はとくに限定されず、本発明の目的を達成することができる限り、いずれかの材料を用いることができる。非限定的な例としては、不織布、ナイロンP6ネット、ナイロンP66ネット等が挙げられる。揮発性染料層の色または色差を観察または測定する場合、この分離層は吸着材料層とともに揮発性染料層から分離される。例えば、分離層は揮発性染料層をコーティングした後にコーティングされてもよく、次に第1剥離フィルム層がコーティングされる。あるいは、分離層は吸着材料層をコーティングした後にコーティングされ、次に第2剥離フィルム層がコーティングされる。
【0072】
別の実施形態では、本発明の第3態様の方法は:
第1基質材料層を提供するステップ;
前記第1基質材料層の1つの面上の1つ以上の領域を揮発性染料層でコーティングし、揮発性染料層を形成するステップであって、前記揮発性染料層の揮発プロセスの活性化エネルギーと、感熱物品の品質変化または損傷プロセスのそれとの間の差が所定の範囲内である、ステップ;
前記揮発性染料層を第1剥離フィルムで覆うステップであって、前記第1剥離フィルム層は前記第1基質材料層とともに前記揮発性染料層をその間に封止し、表示機能層を形成する、ステップ;
および
第2基質材料層を提供するステップ;
前記第2基質材料層の1つの面を吸着材料でコーティングし、吸着材料層を形成するステップであって;前記吸着材料層は前記揮発性染料層より寸法が大きい、ステップ;
接着剤層を前記第2基質材料層上の前記吸着材料層の周りにコーティングするステップ;および
前記接着剤層および前記吸着材料層を第2剥離フィルム層で覆い、前記吸着材料層を前記第2基質材料層と前記第2剥離フィルム層との間に封止し、吸着機能層を形成するステップ、
を含む。
【0073】
使用時、時間−温度インジケータは以下のように形成される:第1剥離フィルムおよび第2剥離フィルムを剥離し、吸着機能層を揮発性染料層と位置合わせし、第2基質材料層を感熱物品上にしっかり貼り付け、揮発性染料層を吸着材料層とともに第1基質材料層と第2基質材料層との間に封止する。
【0074】
好適には、第1基質層は1つ以上の透明な領域を有し、揮発性染料層の色はその領域を通して測定または観察することができる。より好適には、第1基質層自体は透明であり、揮発性染料層の色は透明な第1基質層を通して測定または観察することができる。
【0075】
本発明の剥離フィルム層は特に限定されず、本発明の目的を達成することができるいずれかの剥離フィルム層を用いることができる。本発明の剥離フィルム層は当業者であれば本発明の記載に従って容易に選択することができると理解することができる。本発明では、第1、第2、第3および第4剥離フィルム層は揮発性染料を吸着する効果を有しない。剥離フィルム層に用いられる材料は広く選択することができ、非限定的な例としては、ペーパー、ワックスペーパー、およびポリマーフィルム、例えばポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレングリコールテレフタレート等が挙げられる。
【0076】
この実施形態における他の特徴ならびにその記載および変形は前記実施形態のものと同じまたは同様であるので、それらはここでは繰り返さない。例えば、この実施形態における揮発性染料層、吸着材料層、分離層、第1剥離フィルム層、第2剥離フィルム層および基準色タグの記載は、前記実施形態のものと同じまたは同様であり;この実施形態では、揮発性染料層の色差または色深度は前記実施形態のものと同じまたは同様の方法で観察または測定され;この実施形態では、感熱物品が損傷または劣化するかを決定する方法は前記実施形態のものと同じまたは同様である。すべての同じまたは同様の部分はここでは繰り返されない。
【0077】
本発明の第4態様は、感熱物品の品質状態を検出する方法を提供し、1つの実施形態では、本発明の第4態様の方法は:
所望の処理温度T1で時間t1後に損傷または劣化する、感熱物品を提供するステップ;
感熱物品の1つ以上の領域上に:
揮発性染料層の揮発プロセスの活性化エネルギーと、感熱物品の劣化および損傷プロセスのそれとの間の差が所定の範囲内である、揮発性染料層;
前記揮発性染料層から揮発した染料を不可逆的に吸着する、吸着材料層;
前記吸着材料層および前記揮発性染料層より寸法が大きく、前記吸着材料層および前記揮発性染料層を感熱物品上に密着させる、封止フィルム層;
を付着させるステップ;
前記封止フィルムを付着させた感熱物品を実質的に処理するステップ;
前記吸着材料層を剥離するステップ;
実質的に処理された前記揮発性染料層における実際の色差C2を観察または測定するステップであって;
温度T1で時間t1後に前記揮発性染料層の最終的な色差がC1である、ステップ;
前記揮発性染料層の実際の色差C2を最終的な色差C1と比較するステップであって、前記揮発性染料層の実際の色差C2が最終的な色差C1より大きい場合、感熱物品は効果的な品質状態のままであることが示され;前記揮発性染料層の実際の色差C2が最終的な色差C1より小さい場合、感熱物品がすでに損傷または劣化したことが示される、ステップ、
を含む。
【0078】
好適には、揮発性染料層を付着する前に、基質材料の層を感熱物品上に付着させる。
【0079】
好適には、分離層を揮発性染料層と吸着材料層との間に付着させる。
【0080】
別の実施形態では、本発明の第4態様の方法は:
所望の処理温度T1で時間t1後に損傷または劣化する、感熱物品を提供するステップ;
感熱物品の1つ以上の領域上に:
吸着材料層;
揮発性染料層;
透明な封止フィルム層;
を付着させるステップであって;
前記吸着材料層は前記揮発性染料層から揮発した染料を不可逆的に吸着し、前記揮発性染料層の揮発プロセスの活性化エネルギーと、感熱物品の劣化または損傷プロセスのそれとの間の差が所定の範囲内である、ステップ;
前記封止フィルムを付着させた感熱物品を実質的に処理するステップ;
実質的に処理された前記揮発性染料層における実際の色差C2を観察または測定するステップであって;
温度T1で時間t1後に前記揮発性染料層の最終的な色差がC1である、ステップ;
前記揮発性染料層の実際の色差C2を最終的な色差C1と比較するステップであって、前記揮発性染料層の実際の色差C2が最終的な色差C1より大きい場合、感熱物品が効果的な品質状態のままであることが示され;前記揮発性染料層の実際の色差C2が最終的な色差C1より小さい場合、感熱物品がすでに損傷または劣化したことが示される、ステップ、
を含む。
【0081】
好適には、吸着材料層を付着させる前に、基質材料の層を感熱物品上に付着させる。
【0082】
好適には、分離層を揮発性染料層と吸着材料層との間に付着させる。
【0083】
本発明の第4態様によると、好適には、すべての層を付着させた感熱物品に劣化および損傷プロセスが予め行われた後、損傷または劣化する場合の感熱物品の色差が比色計で測定され、最終的な色差として記録される。感熱物品が使用される前に、揮発性染料層の実際の色差が比色計で測定され、実際の色差が最終的な色差と比較される。実際の色差が最終的な色差より大きい場合、感熱物品は損傷または劣化しておらず、使用可能な品質状態である。実際の色差が最終的な色差より小さい場合、感熱物品は損傷または劣化しており、使用不可能な品質状態である。
【0084】
好適には、最終的な色差を有する基準色タグは不揮発性染料または不揮発性顔料で調製される。感熱物品が使用される前に、揮発性染料層の実際の色が視覚的に観察され、実際の色が基準色タグと比較される。実際の色が基準色タグより濃い場合、感熱物品は損傷または劣化しておらず、使用可能な品質状態である。実際の色が基準色タグのものより薄い、またはこれと同じである場合、感熱物品は損傷または劣化しており、使用不可能な品質状態である。
【0085】
基準色タグは表示機能層および吸着機能層から独立していてもよい。好適には、基準色タグは表示機能層に含まれる。好適には、揮発性染料層をコーティングした後、最終的な色差を有する不揮発性染料または不揮発性顔料が揮発性染料層の周りにコーティングされ、基準色タグを形成する。基準色タグはいずれかの可能な方法で揮発性染料層の近くに配置することができ、例えば、基準色タグは揮発性染料層と並んで配置される、または揮発性染料層の周りに配置される。
【0086】
例えば、感熱物品が温度T1で時間t1後に劣化または損傷する場合、すべての層が付着された感熱物品は温度T1で時間t1の間、処理が行われ、処理後の揮発性染料層の色差は最終的な色差として記録される。
【0087】
感熱物品は、ワクチン、生物学的物品、生物活性試料、薬、食品または飲料から選択される。好適には、感熱物品は−40℃〜50℃、好適には−30℃〜40℃、好適には−30℃〜30℃、好適には−20℃〜20℃、好適には−20℃〜10℃、好適には−10℃〜10℃、好適には0℃〜10℃、例えば2℃〜8℃の範囲内の温度で保存および/または輸送される必要がある物品である。例えば、これは「中国薬典」2005または2010年版の第1、2および3巻に記録された2℃〜8℃の範囲内の温度で保存および/または輸送される必要があるいずれかの物品であってもよい。感熱物品としては、これらに限定されないが:ワクチン、例えば熱不安定性ワクチン、例えばポリオワクチン、腸チフスワクチン、B型肝炎ワクチン等;生物学的物品、例えばヒト免疫グロブリン、抗ヒトTリンパ球ブタ免疫グロブリン、等;生物活性試料、例えば血漿、全血、血清等;薬、例えば下垂体後葉注射剤、注射用のエチフェニンおよび塩化第一スズ等;食品、例えば生肉、生魚等;飲料、例えば生乳、乳製品、ヨーグルト、殺菌乳等が挙げられる。
【0088】
本発明では、揮発性染料層の揮発プロセスの活性化エネルギーと、感熱物品の品質変化または損傷プロセスの活性化エネルギーとの間の差は所定の範囲内であり、好適にはその差は±10kJ/mol、より好適には±5kJ/molの範囲内である。好適には、揮発性染料層の揮発プロセスの活性化エネルギーは60〜140kJ/molである。本発明において記載される揮発性染料層の揮発プロセスの活性化エネルギーは、揮発性染料層の揮発プロセス中の使用時の本発明の時間−温度インジケータの見かけ活性化エネルギーを指す。
【0089】
好適には、揮発性染料層は0〜80℃の範囲内の温度で固体または液体状態であり、より好適には0〜50℃の範囲内の温度で固体状態である。
【0090】
本発明では、揮発性染料は特に限定されず、本発明の目的を達成することができるいずれかの揮発性染料を用いることができる。好適には、揮発性染料は、アゾ染料、アントラキノン染料、式Iの化合物およびその誘導体、またはこれらの組み合わせから選択される少なくとも1つであり、式Iの化合物は以下の式:
【化3】
を有し、式中、
R1は、水素、ハロゲン、C
1〜6線状または分岐アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル等;C
1〜6線状または分岐アルコキシ、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、ヘキシルオキシ等;−COR2、−COOR2からなる群より選択され;
R2は、水素、C
1〜6線状または分岐アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル等;C
1〜6線状または分岐アルキルアミノ、例えばメチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、ブチルアミノ、sec−ブチルアミノ、tert−ブチルアミノ、ペンチルアミノ、イソペンチルアミノ、ネオペンチルアミノ、ヘキシルアミノ等からなる群より選択される。
【0091】
より好適には、揮発性染料は式Iの化合物から選択される。
【0092】
好適には、揮発性染料層は1つ以上の揮発添加剤も含有する。本発明では、揮発添加剤は特に限定されず、本発明の目的を達成することができるいずれかの揮発添加剤を用いることができる。本明細書における揮発添加剤は揮発性染料の揮発を加速または減速することができる。好適には、揮発添加剤は以下の揮発性化合物:
線状アルカン、分岐アルカン、シクロアルカンまたは芳香族炭化水素、例えばヘキサン、ヘプタン、オクタンまたはこれらの異性体、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロペンタン、ナフタレン、アントラセン等;
線状、分岐、芳香族または環状アルコール、例えばブタンテトラオール、ラウリルアルコール、トリデカノール、テトラデカノール、ペンタデカノール、ヘキサデカノール、ステアリルアルコール等;
線状、分岐、芳香族または環状カルボン酸、例えばマレイン酸、フマル酸、ラウリル酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等;
アミノ酸、例えばアミノ安息香酸、ロイシン、フェニルアラニン等;
エステル;
スルホン、例えばジフェニルスルホン、ジフェニルジスルホン、ジベンジルスルホン、ジブチルスルホン等;
およびナフタレン、カンファー等を含む、各種揮発性天然材料、
から選択される1つ以上である。
【0093】
好適には、揮発性染料層は1つ以上の溶媒も含む。本発明では、溶媒は特に限定されず、本発明の目的を達成することができるいずれかの溶媒を用いることができる。好適には、溶媒は、水、ヘキサン、シクロヘキサン、テトラヒドロフラン、ベンゼン、ジメチルベンゼン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、2−ブタノール、アセトン、ジエチルエーテル、酢酸メチル、酢酸エチル、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタンおよびジクロロエタンからなる群より選択される1つ以上である。
【0094】
好適には、揮発性染料層は、揮発性染料、揮発添加剤および溶媒を混合した後、第1基質材料層上に形成される。コーティング方法は特に限定されず、揮発性染料層が形成される限り、いずれかのコーティング方法を用いることができる。例えば、噴霧、印刷、塗沫等のような、いずれかの既知のコーティング形成方法を用いることができる。
【0095】
好適には、本発明の吸着材料は揮発性染料層から揮発した染料を不可逆的に吸着し、より好適には、吸着材料が揮発性染料層から揮発した揮発性染料を吸着する吸着の速度は揮発性染料の揮発速度よりかなり高い。吸着材料が揮発性染料層から揮発した揮発性染料を吸着する吸着の速度が揮発性染料の揮発速度よりかなり高い場合、揮発性染料の吸着速度は実質的に揮発速度のみに関連する。従って、染料の揮発速度は、例えばこれがその揮発により生成される飽和蒸気および/またはほぼ飽和蒸気により阻害されるという事実、等によってではなく、温度のみにより影響される。染料の揮発量は温度および時間のみにより影響されるため、感熱物品の熱履歴はより正確にモニターすることができる。特に、
揮発性染料層の揮発速度を低減する必要がある場合、比較的低い吸着速度を有する吸着材料、例えば、吸着速度が染料の揮発速度より低い吸着材料を選択することもできる。本発明では、吸着材料の種類は特に限定されず、本発明の目的を達成することができるいずれかの吸着材料を用いることができる。1つの実施形態では、吸着材料としては、これらに限定されないが、油性または水性接着剤、市販の接着剤ペーパー、接着剤テープ等が挙げられる。
【0096】
本発明では、第1基質材料層および第2基質材料層の材料はとくに限定されず、本発明の目的を達成することができるいずれかの基質材料を用いることができる。同じ材料または異なる材料を第1基質材料層および第2基質材料層に用いることができる。
【0097】
本発明の第5態様は式I:
【化4】
の構造を有する化合物を提供し、式中、
R1は、水素;ハロゲン;C
1〜6線状または分岐アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル等;C
1〜6線状または分岐アルコキシ、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、ヘキシルオキシ等;−COR2、−COOR2等からなる群より選択され;
R2は、水素;C
1〜6線状または分岐アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、およびn−ヘキシル;C
1〜6線状または分岐アルキルアミノ、例えばメチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、ブチルアミノ、sec−ブチルアミノ、tert−ブチルアミノ、ペンチルアミノ、イソペンチルアミノ、ネオペンチルアミノ、およびヘキシルアミノ;等からなる群より選択される。
【0098】
本発明の第5態様による化合物では、
R1は、水素、−COR2および−COOR2から選択され;
R2は、水素;C
1〜4線状または分岐アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、およびtert−ブチル;C
1〜4線状または分岐アルキルアミノ、例えばメチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、ブチルアミノ、sec−ブチルアミノ、tert−ブチルアミノ、ペンチルアミノ、イソペンチルアミノ、ネオペンチルアミノ、およびヘキシルアミノ;等からなる群より選択される。
【0099】
本発明の第5態様による化合物では、R1は水素、−COOH、−COOCH
3、−COOCH
2CH
3、−COOCH
2CH
2CH
3、−COOCH(CH
3)
2等から選択される。
【0100】
本発明を通して、R1がそれぞれ−COOH、−COOCH
2CH
3および−COOCH(CH
3)
2である化合物はそれぞれ略して染料A、染料Bおよび染料Cと称される。
【0101】
本出願に引用される文献の全内容は本明細書に参照により組み入れる。本明細書に特に記載されない限り、本出願における各種用語およびフレーズは当業者に知られる一般的な意味を有する。
【0102】
本明細書に記載される場合、「劣化」の語は、感熱物品がもとの品質状態を喪失する、または特定の保存および輸送時間後に品質要件を満たすことができないことを指す。保存および輸送において、食品および薬は熱または他の因子のため常に劣化する。一般的な例では、保存および輸送温度が高いほど、劣化速度は高くなる。感熱物品は通常特定の保存および輸送温度を有し、よって特定の品質保証期間または保存寿命を有する。感熱物品の保存および輸送温度が特定の保存および輸送温度を超える場合、劣化速度は加速され、品質保証期間は短縮される。従来技術では、多くの食品および薬は特定の保存および輸送温度ならびにその品質保証期間のみを示すが、保存および輸送中に実際の保存および輸送温度が常に特定の保存および輸送温度より低く保たれるかを見出すことはできない。本発明では、驚くべきことに、揮発性染料層の揮発プロセスの活性化エネルギーを調節することにより、揮発性染料層における染料の揮発速度を感熱物品の品質変化速度に近づける、または一致させることができ、すなわち揮発性染料層の退色速度が感熱物品の品質変化速度に近く、またはこれと一致し、よって感熱物品の品質変化を正確にモニターすることができることが見出される。保存および輸送温度が増加する場合、揮発性染料層の揮発速度は増加し、退色速度は増加し、よって最終的な色差または最終的な色に到達するまでの時間が短縮され、感熱物品の品質保証期間が対応して短縮されることを示す。本発明の時間−温度インジケータの色差が最終的な色差に到達する、またはこれより小さい、すなわちその色が最終的な色に等しい、またはこれより薄い場合、感熱物品の保存および輸送時間は表示された品質保証期間に到達していないが、この感熱物品は劣化したことが示される。従って、本発明の時間−温度インジケータまたは本発明の感熱物品の品質状態をモニタリングするための方法によって、感熱物品の品質状態をより正確にモニターすることができ、感熱物品の使用安全性を保証することができる。
【0103】
本明細書に記載される場合、「損傷」の語は、特定の保存および輸送時間後に感熱物品がもとの有効性を喪失する、または品質要件を満たすことができないことを指す。例えば、ワクチンを使用する前に、その活性は特定の基準を満たすべきであり、保存および輸送後、その活性が特定の基準を満たすことができない場合、こうしたワクチンは損傷すると考えることができ、使用することができない。例えば、保存および輸送後のワクチンの活性が90%以上であると特定される場合、この活性が90%より低くなると損傷すると考えられる。異なる感熱物品には異なる損傷基準がある。本発明の時間−温度インジケータを用いる場合、その最終的な色差は各感熱物品の損傷基準に従って測定されるべきである。感熱物品の損傷プロセスはその保存および輸送プロセスの温度に密接に関連する。温度が増加する場合、感熱物品の損傷プロセスは加速される、すなわち損傷速度が増加し、その品質保証期間は短縮される。現在、多くの感熱物品について、その保存および輸送温度ならびに品質保証期間のみが特定されるが、その熱履歴は検出されない。使用者は、保存および輸送中の保存および輸送温度が特定の保存および輸送温度を超えるかを見出すことができない。本発明では、驚くべきことに、揮発性染料層の揮発プロセスの活性化エネルギーを調節することにより、揮発性染料層の染料の揮発速度を感熱物品の損傷速度に近づける、または一致させることができ、すなわち揮発性染料層の退色速度が感熱物品の損傷速度に近く、またはこれと一致し、よって感熱物品の損傷を正確にモニターすることができることが見出される。保存および輸送温度が増加する場合、揮発性染料層の揮発速度は増加し、退色速度は増加し、よって最終的な色差または最終的な色に到達するまでの時間が短縮され、感熱物品の品質保証期間が対応して短縮されることを示す。本発明の時間−温度インジケータの色差が最終的な色差に到達する、またはこれより小さい、すなわちその色が最終的な色に等しい、または最終的な色より薄い場合、感熱物品の保存および輸送時間は表示された品質保証期間に到達していないが、この感熱物品は損傷したことが示される。従って、本発明の時間−温度インジケータまたは本発明の感熱物品の損傷をモニタリングするための方法によって、感熱物品の損傷をより正確にモニタリングすることができ、感熱物品が損傷するかをより正確に決定することができ、感熱物品の使用安全性を保証することができる。これはワクチン、薬、食品等の分野において重要な役割を果たす。
【0104】
本明細書に記載される場合、「感熱物品の損傷または劣化プロセスの活性化エネルギー」の語は、損傷または劣化プロセス中のアレニウス式
【数3】
における感熱物品の活性化エネルギーEを指し、この活性化エネルギーは実際の損傷または劣化プロセス中の感熱物品の見かけ活性化エネルギーを指す。いずれの理論にも限定されず、本発明の発明者は、感熱物品の損傷または劣化プロセスは前記アレニウス式に従うと考える。実際、感熱物品の損傷または劣化速度は、少なくとも2つの異なる温度、好適には5つ以上の温度下、より好適には10個以上の温度下の感熱物品で測定される。次に、温度Tの関数としてのlogkの曲線は直交座標系においてプロットされ、この曲線は直線またはほぼ直線である。感熱物品の損傷または劣化プロセスの見かけ活性化エネルギーおよび定数Aはこの直線の傾きおよび切片から得ることができる。
【0105】
同様に、「揮発性染料層の揮発プロセスの活性化エネルギー」の語は、揮発プロセス中のアレニウス式
【数4】
における揮発性染料層の活性化エネルギーEを指し、この活性化エネルギーは、実際の揮発プロセス中の本発明の時間−温度インジケータの揮発性染料層の見かけ活性化エネルギーを指す。いずれの理論にも限定されず、本発明の発明者は、揮発性染料層の揮発プロセスは前記アレニウス式に従うと考える。実際、揮発性染料層の揮発速度は、本発明の時間−温度インジケータを用いて、少なくとも2つの異なる温度下、好適には5つ以上の温度下、より好適には10個以上の温度下で測定される。次に、温度Tの関数としてのlogkの曲線は直交座標系においてプロットされ、この曲線は直線またはほぼ直線である。本発明の時間−温度インジケータの揮発性染料層の揮発プロセスの見かけ活性化エネルギーおよび定数Aはこの直線の傾きおよび切片から得ることができる。
【0106】
本発明では、揮発性染料層の揮発プロセスの見かけ活性化エネルギーおよび定数Aは、揮発性染料および/または揮発添加剤および/または溶媒ならびにそれらの量を選択することにより制御することができ、感熱物品の損傷または劣化プロセスの見かけ活性化エネルギーおよび定数Aに近づける、またはこれと一致させることができ、よって揮発性染料層の染料揮発速度が感熱物品の劣化速度または損傷速度に近づけられ、またはこれと一致させられ、感熱物品の熱履歴が揮発性染料層の色変化に従って正確にモニターされる。
【0107】
本明細書では、本明細書において定義される活性化エネルギーはEまたはEaで表される。
【0108】
本明細書に記載される場合、「色差」の語は、比色計で測定され、数字で表される色を指す。L
*a
*b
*色空間(別名CIELAB)が用いられる。この色空間では、L
*は輝度を表し、a
*およびb
*は色座標である。a
*およびb
*は色の方向を表し、+a
*は赤色の方向を表し、−a
*は緑色の方向を表し、+b
*は黄色の方向を表し、−b
*は青色の方向を表す。中心は無色であり、a
*およびb
*の値が増加し、中心から移動する場合、彩度は増加する。比色計は色差を正確に測定するために広く用いられる。L
*a
*b
*色空間では、色差はΔE
*abで単一数値として表すことができ、これは色差の大きさを表すが、どのアスペクトにおいて色が異なるかは示さない。ΔE
*abは以下のように定義される:
ΔE
*ab=[(ΔL
*)
2+(Δa
*)
2+(Δb
*)
2]
0.5
【0109】
色差は染料の揮発とともに減少し得るが、白基準について、測定されたΔE
*abが10以下である場合、こうした変化は人間の目ではほとんど観察することはできない。従って、10以上であるΔE
*abが最終的な色差として定義することができ、よって使用者は色深度を直接視覚的な観察によって比較することができる。例えば、ΔE
*ab=10、15、20、25等は最終的な色差として定義することができる。本発明の時間−温度インジケータを調製する場合、初期の色差C0は所定の最終的な色差、実際に測定された揮発性染料層の揮発速度および対応する退色速度に従って容易に決定することができる。換言すると、初期の色差C0が上記のように定義され、揮発性染料層の色差がC0とされる場合、時間−温度インジケータに感熱物品の損傷または劣化プロセスと同じ処理プロセスが行われた後に、その最終的な色差はまさに所定の色差、例えばΔE
*ab=10、15、20、25等である。C0が決定された後、C0を有する揮発性染料層は、揮発性染料層における揮発性染料の種類および含有量、ならびに揮発添加剤、溶媒等の種類および含有量のような因子を調節することにより得ることができる。加えて、実際の色差が最終的な色差と視覚的観察により比較される場合、揮発性染料層の初期の色差C0は最終的な色差を有する基準色タグの色が人間の目で識別することができる範囲内にあることを確保するのに十分に大きいべきである、すなわち、最終的な色差値は10以上、例えば10、15、20、25以上であるべきであることを理解することができる。
【0110】
使用者は色深度の視覚的比較中に色の深度のみを比較する必要があるので、ΔE
*abは、L
*、a
*およびb
*の特定の値を決定することなく、直接比較することができる。従って、いずれかの色の揮発性染料を本発明の時間−温度インジケータに用いることができる。
【0111】
本発明では、「本発明の時間−温度インジケータに感熱物品の損傷または劣化プロセスと同じプロセスが行われる」または同様の記載は以下の意味を有する:温度T1で時間t1後に感熱物品が損傷または劣化し、時間t1前に損傷または劣化しない場合、時間−温度インジケータは時間t1の間温度T1で保持される。例えば、−8℃でのいくつかのワクチンの品質保証期間は2年であり、よって本発明の時間−温度インジケータは−8℃で2年間保持し、その最終的な色差または最終的な色を決定することができる。しかしながら、実際には、感熱物品の品質保証期間が長すぎる場合、本発明の時間−温度インジケータを決定するための時間は長すぎ、これは現実的ではない。従って、最終的な色差または最終的な色は、当業者に知られ、特定の感熱物品に特定され、または一般的に用いられる加速試験に従って決定することができる。例えば、関連テキストブック、例えば薬のような材料の安定性に関連するセクションの内容に記載される方法については、Physical Chemistry, the People’s Education Press, 1979, edited by Tianjin University; Su, Desen et al, Physicalpharmacy, Chemical Industry Press, Beijing, 2004; Nianzhu Xi, Pharmaceutics, the third edition, People’s Medical Publishing House, Beijing, 1994、他を参照されたい。例えば、テキストブック(Nianzhu Xi, Pharmaceutics, the third edition, People’s Medical Publishing House, Beijing, 1994, p141)に記載される従来の試験方法が参照される。例えば、2〜8℃で2年の有効期間を有する上記ワクチンが25℃で8週間保持された後、その活性は特定の基準下限の90%まで減少する場合、本発明の時間−温度インジケータは25℃で8週間保持することができ、その揮発性染料層の色差は最終的な色差として決定される。2〜8℃での2年間の保持と比較し、本発明の時間−温度インジケータの最終的な色差または最終的な色は、こうした方法においてより迅速に決定することができる。また、最終的な色差または最終的な色は、テキストブック(Nianzhu Xi, Pharmaceutics, the third edition, People’s Medical Publishing House, Beijing, 1994, p141)に記載される古典的な定温度法を参照することにより決定することもできる。こうした方法は通常アレニウス式
【数5】
に基づき、これには活性化エネルギーE、速度定数k、絶対温度T等のようなパラメータが含まれる。
【0112】
当業者であれば、本発明に記載される「感熱物品上」または「感熱物品の1つ以上の領域上」は「感熱物品のパッケージ上」または「感熱物品のパッケージの1つ以上の領域上」、例えばワクチン、薬等の一次パッケージ(または最小パッケージ、例えばワクチンのアンプル)の外面上、例えばガラスボトルで包装されたワクチンまたは薬のガラスボトルの外面、またはソフトバッグで包装された血漿または乳剤のソフトバッグの外面上を含むことを理解するはずである。領域の位置にはいずれの限定もないが、比較的均一であるべきである。領域の寸法にはいずれの限定もないが、本発明について、これは好適には0.2〜20cm
2、より好適には0.5〜5cm
2、より好適には0.5〜4cm
2、より好適には0.5〜2.5cm
2、より好適には0.5〜1cm
2である。
【0113】
本発明では、基準色タグまたは基準色層は不揮発性染料または顔料で調製される。本発明では不揮発性染料または顔料の種類はとくに限定されず、特定の色または色差を達成することができる限り、いずれかの市販の不揮発性染料を用いることができる。
【0114】
本明細書に記載される場合、「感熱物品が損傷するか」とは、この物品がその有効期間により特定される品質要件の範囲内であるかを指す。例えば、活性成分の含有量を例にとると、ある薬は、その活性成分の量が表示された量の90%以上であるべきと特定し、よって「損傷するか」は、保存および/または輸送された後、薬の活性成分の量が90%であるかに従って決定することができる。例えば、活性成分の量が90%超である場合、薬は損傷しておらず;活性成分の量が90%未満である場合、薬は損傷したことが示される。
【0115】
多くの種類の時間−温度インジケータ(TTI)が当業者に周知である。例えば、第CN101652645A号は時間−温度インジケータを開示し、以下の時間−温度インジケータ:少なくとも1つの金属層または金属含有層、および前記金属層または金属含有層と直接接触した少なくとも1つのドープポリマー層であって、ドーパントが酸、塩基もしくは塩、または光潜在性酸もしくは光潜在性塩基であり、ポリマー中に添加される、ドープポリマー層、ならびに/または少なくとも1つのポリマー層であって、ポリマーが潜在性酸性基もしくは潜在性塩基性基で官能基化されている、ポリマー層を含む、時間−温度インジケータを含む;または以下の時間−温度インジケータ:金属粒子および光潜在性酸もしくは光潜在性塩基を含有する少なくとも1つのポリマー層、または金属粒子を含有する少なくとも1つのポリマー層であって、ポリマーが潜在性酸性もしくは潜在性塩基性基で官能基化されている、ポリマー層を含む時間−温度インジケータを含む。別の例では、第CN1914509A号は、第1異性体の形態の少なくとも1つの表示化合物を含む時間−温度インジケータを開示し、前記表示化合物と結合した原子または化学基が異性化反応において移動しない例では、前記表示化合物は第2異性体の形態の表示化合物に時間および温度に応じた方法で変換され、前記第2異性体の形態の表示化合物の形成は前記表示化合物の物理的な特徴をモニタリングすることにより検出することができる。しかしながら、本発明の詳細な記載に従って、本発明の時間−温度インジケータは理論、構造および組成において従来技術における時間−温度インジケータとは異なり、本発明の時間−温度インジケータは製造、コスト、使いやすさ等において非常に有利である。特に、上記特許文献の全内容は本発明のより良い理解のため本明細書に参照により組み入れる。
【0116】
表示機能層または吸着材料層における「封止接着剤層」は、染料が基質材料層を透過し、次に移動またはさらに揮発するのを防止することができる。本発明では透過および移動を可能な限り防止することができる基質材料層を用いることが望ましいが、本発明の目的のため封止接着剤層を前記染料層に対向する基質材料層の面上にコーティングすることが好ましい。封止接着剤または封止接着剤層の材料は広く選択することができ、その非限定的な例としては市販の普通の接着剤が挙げられる。
【0117】
「封止接着剤層」と同様に、表示機能層における「封止フィルム層」は染料が基質材料層を透過し、次に移動またはさらに揮発するのを防止することができる。封止フィルムまたは封止フィルム層の材料は広く選択することができ、非限定的な例としては、ポリマーフィルム、例えばポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレングリコールテレフタレート等が挙げられる。
【0118】
表示機能層または吸着機能層における「接着剤層」は、対応する材料層のための接着効果および封止効果を提供することができる。表示機能層および吸着機能層の2つの層における「接着剤層」は同じまたは異なってもよいが、吸着機能層における「接着剤層」は良好な封止特性を有し、本発明のインジケータの使用において基質材料層を感熱物品としっかり組み合わせることにより、染料が漏出するのを防止することができる密閉空間を形成することができることが期待される。接着剤または接着剤層の材料は広く選択することができ、非限定的な例としては、油性または水性接着剤、市販の接着紙、接着テープ等が挙げられる。
【0119】
本発明では、本発明の感熱物品の「品質」、「品質状態」、「有効性」、「損傷」等について記載され、感熱物品のこれらの条件は、例えばいくつかの生物学的製品については、力価により表すことができ;活性により表すことができ;または含有量、例えば活性成分の含有量により表すこともできる。本発明ではそれらの表示方法はとくに限定されない。
【0120】
本発明では、式Iの化合物は、当業者に知られる方法を用いることにより調製することができる。例えば、R1が水素である式Iの化合物(本発明ではこれは染料Hと称される)を原料として用いることができ、置換基R1はハロゲン化、アルキル化、またはアシル化および次に加水分解または加アルコール分解などによってハロゲン、C
1〜6線状または分岐アルキル、C
1〜6線状または分岐アルコール、−COR2、−COOR2等に変換することができ、R2は本発明に記載されるとおりである。
【実施例】
【0121】
本発明は以下のさまざまな実施例によってさらに記載することができるが、本発明の範囲は以下の実施例に限定されない。当業者であれば、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、本発明のさまざまな変形および変更を行うことができることを理解することができる。試験において用いられる材料および試験方法は本発明において一般的におよび/または詳しく記載される。本発明の目的を達成するのに用いられる多くの材料および操作方法が当技術分野において知られるが、それらはまた本発明において可能な限り詳細に記載される。
【0122】
A.時間−温度インジケータの実施例
本発明は時間−温度インジケータを調製する材料の揮発特性を利用し、揮発−吸着プロセスによって所望の色変化効果を達成する。本発明の1つの実施例による時間−温度インジケータの構造およびその動作理論は
図1、
図2Aおよび
図2Bにおいて概略的に示される。
【0123】
図1は本発明の1つの実施例による時間−温度インジケータを示し、これは2つの部分で構成され、部分aは表示機能層1であり、部分bは吸着機能層2であり;2つの部分はそれぞれ調製、保存、輸送され;使用時それらはともに組み合わされ、モニターする感熱物品の容器またはパッケージの表面上に貼り付けられる。
【0124】
表示機能層では、封止接着剤層は基質材料層10下に印刷され、封止フィルム13の層は封止接着剤層下にさらに印刷され、揮発性染料層15が下方部分に拡散するのを防止する。接着剤層12は封止フィルム13下にさらに印刷され、剥離フィルム層11により保護される。封止接着剤の封止効果が十分に良好である場合、封止フィルム13は必要でない。基質材料層10自体が十分な封止効果を有する場合、封止接着剤層14および封止フィルム13は必要でない。接着剤層12が任意であることが理解される。
【0125】
有色機能材料(すなわち揮発性染料)の層は揮発性染料層として基質材料層10上の機能位置で印刷され、本発明における揮発性染料層15を形成し、揮発性染料層15の色(
図5では濃青色)は基質染料層10のそれまたは揮発性染料層15の周りに印刷された基準色層16のそれ(図では薄青色)とは非常に異なって見える。用いられる揮発性染料の揮発速度およびその温度効果は、表示される感熱物品の劣化または損傷の速度およびその温度効果と可能な限り一致するべきである。表示機能層が印刷および乾燥された後、これは剥離フィルム層17で封止される。この剥離フィルム層17は封止するために用いられ、用いられる揮発性染料の吸着効果を有さない。その封止特性は表示機能層を室温で保存および輸送することができることを確保する。
【0126】
吸着機能層2では、インジケータの適切な製品情報(例えばこのTTIが適用可能な感熱物品の種類)または使用情報(例えば感熱物品が損傷するかを決定するのにインジケータを使用する必要がある場合どのようにインジケータを操作するかの情報)を基質材料層20上に印刷することができる。基質材料層20下の表示機能層の位置に対応する位置で、揮発した感熱揮発性染料を効果的に吸着することができる吸着材料の層が印刷またはコーティングされ、吸着材料層21を形成し、接着剤層22が吸着材料層21の周りに印刷され、次に積層することにより形成される吸着機能層2が剥離フィルム層23で封止および保護される。吸着材料が揮発性材料(すなわち揮発性染料)と直接接触するのを防止する必要がある場合、任意である分離層24は、吸着材料層21の下方(すなわち基質材料層20から離れた)面上にさらに生成することができる。実際、分離層は染料層15と剥離フィルム層17との間に配置することができる。
【0127】
さらに、
図2は、
図1に示される時間−温度インジケータの使用および使用プロセスを示す。
図2Aの部分aでは、2つの積層部分、すなわち、それぞれ生成、保存および輸送される、表示機能層1および吸着機能層2が組み合わされる:表示機能層1の底部の剥離フィルム11がまず剥離され、表示機能層1がモニターする感熱物品3の容器またはパッケージの表面上に貼り付けられる;表示機能層1の剥離フィルム17および吸着機能層2の剥離フィルム23が剥離され、吸着機能層2のその部分が表示機能層1と位置合わせされ、モニターする感熱物品3の容器またはパッケージの表面上に貼り付けられる。好適な実施形態では、吸着材料層21の形状およびサイズは、揮発性染料層15および基準色層16の両方のものと同じ、またはこれらよりわずかに大きい。よって、図示されるように、吸着材料層21および任意の分離層24は揮発性染料層15および基準色層16の両方を完全に覆い、吸着材料層21の外周の接着剤層22はこれに付着した基質材料層とともに、感熱物品3のパッケージ容器にしっかり接着させることができ、よって基質材料層20、接着剤層22および感熱物品3のパッケージ容器はともに前記機能層の両方を封止することができる空間を形成する。2つの機能層の基質材料および接着剤の材料の選択は、表示機能層が製品の容器またはパッケージの表面にしっかり接着されること、接着される場合吸着機能層が適切な硬度を有し、表示機能層に印刷された揮発性染料を効果的に封止することができ、剥離することができ、剥離のプロセスが表示機能層に悪影響を及ぼさないことを確保する。
【0128】
このインジケータの使用プロセスにおいて、揮発性染料層15における揮発性染料が完全に揮発していない例(
図2Aにおける部分b)では、吸着機能層2が剥離された後、揮発性染料層15に残った染料(青色)はまだその外周の基準色層16(薄青色)とは明らかに異なる色に見える(
図2Aにおける部分c)、すなわち、揮発性染料層15の色は基準色層16のものより濃く、表示される製品がまだ有効で使用可能であることを反映する。揮発性染料層における感熱材料が完全に揮発した例(
図2Aにおける部分d)では、吸着機能層2が剥離された後、揮発性染料層15における染料(薄青色または無色)はその外周の基準色層16の色(薄青色)に近い、またはこれより薄い(
図2Aにおける部分e)、すなわち揮発性染料層15の色は基準色層16のものと同等、またはこれより薄く、モニターされた製品が過熱のため劣化または損傷することがあることを示す。
【0129】
図2Bでは、使用プロセス中の本発明の1つの実施例による時間−温度インジケータの揮発性染料層15の変化プロセスが、インジケータに垂直な方向で観察される。本発明が時間−温度インジケータを調製する材料の揮発特性を利用し、揮発−吸着プロセスによってインジケータの機能位置の色変化を達成し、この時間−温度インジケータを用いる製品が過熱または長すぎる時間のために劣化または損傷するかを示す、ことが示される。この実施例では、揮発性染料層は正方形の形状を有し(
図2Bにおける部分a、すなわち開始の状態に見られ、濃青色の正方形である)、この揮発性染料層の色は基準色層(
図2Bにおける部分(a)に見られ、基準色層は薄青色の丸であり、
図1における基準色層16に対応する)のものとはかなり異なって見え、基準色層16は基質または印刷された基準色層であってもよい。
【0130】
使用プロセスでは、時間−温度インジケータが感熱物品と組み合わされた後、基準色層16の色深度は変化しないが、揮発性染料層15の色は染料の揮発のため薄くなるだろう。薄くなる速度は温度により影響される。感熱物品に特定される保存および輸送温度下である場合でも、揮発性染料層は特定の速度で揮発する。例えば、2〜8℃で保存される2年の有効期間を有する薬について、この薬が厳密に2〜8℃で2年間保存された後、揮発性染料層15は染料の遅い揮発のため徐々に薄くなるだろう。この時、揮発性染料層の色は基準色層16のものより濃く、またはわずかに濃く、この薬が2〜8℃で2年間保存された後まだ有効であることを示す。保存時間が延びる場合、揮発性染料層15は染料の連続的な揮発のため薄くなり続け、次に揮発性染料層の色は基準色層16のものに近くなり、またはこれより薄くなり、薬の有効期間が過ぎたことを示す。インジケータの使用プロセスでは、揮発性染料層が完全に揮発していない場合、吸着フィルムが剥離された後、残った揮発性染料はまだ外周の基準色層とは明らかに異なる色に見えることがあり(
図2Bにおける部分(b)、すなわち中間点での状態に見られる)、青色の正方形は基準の薄色の丸の色より濃く、表示される製品がまだ有効であることを反映する。揮発性染料層が揮発し続ける、または完全に揮発した場合、吸着フィルムが剥離された後、揮発性染料層15の色は外周の基準色層のものに近く(
図2Bにおける部分(c)、終了の状態)またはこれより薄く(
図2Bにおける部分(d)、終了後の点の状態)、モニターされた製品は過熱のため劣化または損傷することがあることを示す。
【0131】
B.時間−温度インジケータの調製および基準色層における位置の色の決定
図1において示される構造に従って時間−温度インジケータが製造された後、異なる温度(例えば5℃、10℃、25℃および/または37℃)下、時間経過に伴うインジケータの機能位置での色差変化が比色計で測定され、インジケータの色変化速度およびその温度効果を得ることができる。
【0132】
色変化は比色計でデジタル化することができる。色変化が比色計で測定される場合、L
*a
*b
*色空間(別名CIELAB色空間)のような色空間がまず定義される。この色空間では、L
*は輝度を表し;a
*およびb
*は色座標であり、色の方向を表し;+a
*は赤色の方向を表し、−a
*は緑色の方向を表し、+b
*は黄色の方向を表し、−b
*は青色の方向を表し、中心は無色である。a
*およびb
*の値が増加し、中心から移動する場合、彩度は増加する。この色空間では、色差は単一数値として表すことができ;
ΔE
*ab=[(ΔL
*)
2+(Δa
*)
2+(Δb
*)
2]
0.5
式中、ΔL
*は輝度の変化であり、Δa
*は赤−緑色軸に沿った変化であり、Δb
*は黄−青色軸に沿った変化である。色はMinolta CR−310色彩色差計等のような比色計で定量化され、よって色差を定量化することができ、製造された時間−温度インジケータの色変化機能を評価することができる。A4用紙のような白基質は色差の測定において基準として用いられる。色差ΔE
*ab<10である場合、その色は基質の色に多少近い。色差のさらなる減少は人間の目にとって顕著ではなく、よって色差ΔE
*ab=10は評価中の色変化の終点として機能する。実際の適用では、最終的な色差は実際の条件に応じて、例えば、特定の感熱物品に応じて定義することができ、ΔE
*abは他の値、例えばΔE
*ab=15、ΔE
*ab=20、ΔE
*ab=25、および/またはΔE
*ab=30として定義することができる。
【0133】
C.本発明の方法またはインジケータの設計および用途の特定の実施例による記載
実施例1:
染料Aは時間−温度インジケータの揮発性染料として用いられ、染料Aの2%は普通のA4用紙上に定量的に印刷され(溶媒は酢酸エチルであり、染料Aのコーティング量は1平方センチ当たり約200μgである)、表示機能層を形成し;染料Aを効果的に吸着することができる市販の接着紙は染料A上に配置され、接着剤は染料層に対面し、吸着機能層を形成し;表示機能層および吸着機能層は透過性でない封止フィルムでさらに封止され、封止された試料は25℃の定温で保持される。特定の時間放置した後、インジケータの色が観察および記録される。
図3は25℃の定温で0〜105日間保持されたインジケータの色記録である。染料Aが完全に揮発した後、裸眼下でいずれの少量の染料も残っておらず、表示機能位置はほぼ白い紙のもとの色に戻る。
【0134】
実施例2:
図4Aおよび4Bは、異なる温度での時間tの経過に伴う実施例1における方法に従って揮発性染料として染料Aで製造された時間−温度インジケータの色差ΔE
*abの変化を示す。このインジケータの色変化時間および速度は色変化の終点として色差ΔE
*ab=10で計算することができ、その変化プロセスの活性化エネルギーはアレニウス式から97.4kJ/mol(
図5)とさらに推定し、インジケータの色変化プロセスの温度効果の特徴パラメータを得ることができる。この活性化エネルギーは、文献によりポリオワクチンを不活性化させると報告される73.6〜109kJ/molの活性化エネルギー範囲を非常に十分にカバーすることができ、いくつかの他のワクチンを不活性化させる活性化エネルギー範囲もカバーすることができる。
【0135】
図6は染料AでB型肝炎ワクチン用に設計されたタグを示し、本発明のTTIの色変化応答はワクチンの活性変化とほぼ一致する。
【0136】
実施例3:
インジケータの色変化の総時間は、印刷中のインク量またはインクの濃度を調節することにより調節することができる、インジケータの表示機能位置で単位面積当たりに印刷される揮発性染料の量を調節することにより調節することができる。
【0137】
図7はインジケータの初期の色差および同じ温度での色変化プロセスを示し、インジケータは実施例1における方法に従って異なる濃度のインクおよび同じインク量を用いることによって揮発性染料として染料Aで得られる。インジケータが終点に到達するのにかかる時間は単位面積当たりに印刷された揮発性染料の量と線形関係にある(
図8)。
【0138】
実施例4:
インジケータの変化時間およびその温度効果は、染料の組成および構造を変化させることにより調節することができる。
図9は50℃での時間経過に伴う時間−温度インジケータの色差変化を示し、時間−温度インジケータは実施例1における方法に従ってその揮発性染料として3つの式Iの化合物(それぞれ染料A、染料Bおよび染料C)で製造される。異なる温度でのこのインジケータの色変化時間および速度は、色変化の終点として色差ΔE
*ab=10で計算することができ、染料Bおよび染料Cがそれぞれ揮発性染料として用いられるインジケータの変化プロセスの活性化エネルギーはアレニウス式からそれぞれ122および75kJ/molとさらに推定し、インジケータの色変化プロセスの温度効果の特徴パラメータを得ることができる。その結果から染料Bおよび染料Cでのインジケータの活性化エネルギーが染料Aでのインジケータのそれとは異なることがわかる。染料Bおよび染料Cは他の感熱物品に適したTTIを設計するために用いることができ、または異なる染料の組み合わせに用いることができる。
【0139】
実施例5:
揮発性染料層の印刷中、インジケータの色変化速度およびその温度効果は、異なる溶媒を用いることにより適切に調節することができる。
図10は同じ温度での時間経過に伴うインジケータの色差変化を示し、実施例1における方法に従って染料Aは揮発性染料層として印刷され、シクロヘキサン、ジクロロメタン、酢酸メチル、エタノールおよび酢酸エチルがそれぞれ溶媒として用いられる。その結果、エタノールが溶媒として用いられる場合、インジケータの色変化速度はもっとも高く;シクロヘキサンおよび酢酸メチルが溶媒として用いられる場合、インジケータの色変化速度は穏やかであり、溶媒としてエタノールを有するインジケータより低く;酢酸エチルが溶媒として用いられる場合、インジケータの色変化速度はより低く;溶媒としてジクロロメタンを用いて同じ量の揮発性染料が印刷される場合、色差は顕著に増加し、インジケータの色変化速度は他の溶媒を用いたインジケータのものよりかなり低くなり、これはすべての試験された溶媒についてもっとも低いことが示される。
【0140】
実施例6:
揮発性染料の印刷中、インジケータの色変化速度およびその温度効果は、適切な添加剤を添加することにより適切に調節することができる。
図11は80℃でのインジケータの色差変化と時間との間の関係を示し、インジケータは実施例1における方法に従って染料Aの有機溶液中に適切な結合剤EC(すなわちエチルセルロース)を添加することによって製造される。その結果では、結合剤を添加した後(図においてECとして示される曲線)、インジケータが終点に到達するのにかかる時間は結合剤なしのインジケータにかかる時間(図においてなしとして示される曲線)の3.5倍であることが示される。異なる温度でのこのインジケータの色変化時間および速度は、色変化の終点としてΔE
*ab=10での色差で計算することができ、結合剤を添加した後、インジケータの変化プロセスの活性化エネルギーはアレニウス式から67kJ/molとさらに推定することができ、これは結合剤なしのインジケータと比較して大きく変化する。
【0141】
実施例7:
時間−温度インジケータの色変化速度およびその温度効果は、異なる吸着材料を選択および使用することにより調節することができる。
図12は、同じ周辺温度での時間経過に伴う時間−温度インジケータの表示機能層における色差変化が顕著に異なって見えることを示し、時間−温度インジケータは実施例1における方法に従って3つの異なる吸着材料(図では、材料1、2および3はそれぞれ市販の接着紙、市販の接着剤コーティングA4用紙および市販の油性接着剤コーティングA4用紙である)を選択および使用することによって揮発性染料として染料Bで製造される。
【0142】
上記実施例から、本発明者は、驚くべきことに、色変化が揮発−吸着プロセスによる材料の揮発特性を利用することにより達成され、モニターされた製品が過熱のため劣化または損傷し得るかが非常に簡単で効果的に示されることを見出す。表示される製品の熱安定性を適切に反映するカスタマイズされた時間−温度インジケータは、適切な揮発の速度およびその活性化エネルギーを有する揮発性染料もしくは他の揮発性材料または必要に応じて添加剤を含有するように生成された材料配合物をスクリーニングすることにより製造することができる。インジケータの上の揮発性染料を効果的に吸着することができる吸着機能層を生成し、表示機能層および吸着機能層を効果的に封止することにより、揮発した材料による製品およびそのパッケージの汚染を回避することができ、インジケータの機能位置は外部汚染を防止することができる。さらに、吸着層を用いることにより、揮発後の感熱材料の拡散プロセスが吸着層の吸着プロセスとして人為的に設定され、製品の保存および輸送中の感熱材料の見かけ揮発速度に影響を及ぼす非温度因子の影響を効果的に低減し、製品の精度を向上する。さらに、インジケータは、2つの機能部分がそれぞれ生成、封止、および保存され、インジケータが製品の容器またはパッケージの表面上に貼り付けられる際にそれらが組み合わされるよう設計され、よってインジケータは室温で保存および輸送することができる。
【0143】
上記の代表的な記載および代表的な実施例は本発明の保護範囲を限定しないだろう。同一の変更もしくは同等の置換により形成されるいずれかの技術的解決法、または本発明の技術的解決法もしくはコンセプトに従って異なるプロセスもしくは配合で調製されるいずれかの時間−温度インジケータは本発明の保護範囲に該当する。