【実施例1】
【0020】
次に、本発明の1実施例の送信機を示すブロック図(直交変調後に補償でデジタルアップコンバータ(Digital Up Converter)とデジタルダウンコンバータ(Digital Down Converter)のデジタル周波数変換と高周波帯ADCと高周波帯DAC)の
図1Aと、本発明の1実施例の奇対称歪信号発生回路を示すブロック図の
図2と、本発明の1実施例の偶対称歪信号発生回路を示すブロック図(自動係数算出)の
図3と、高周波電力増幅器のメモリ効果歪の時定数とベースバンド入力信号比較時の歪補償のカーテシアンループ時定数とOFDMベースバンド入力信号を示す模式図の
図4Aと、高周波電力増幅器の高周波出力信号の包絡線検波トラッキング(ERR)電源電圧(ベースバンド入力信号と近似)と高周波電力増幅器のメモリ効果歪の時定数と高周波での入力信号比較時の歪補償のループ時定数とOFDM高周波入力信号とOFDM高周波出力信号の包絡線を示す模式図の
図4BとOFDM高周波入力信号の包絡線とコアリングスレッシュホールドラインを示す模式図の
図5Aと、OFDM高周波入力信号のコアリング後の包絡線を示す模式図の
図5Bと、を用いて、本発明の1実施例の構成と動作とを説明する。
【0021】
実施例1では、入力信号のサンプル前との差分(微分を近似したもの)をとり、係数と入力信号を複素乗算しメモリ効果の振幅の微分成分を近似し、入力信号のサンプル前との差分(微分を近似したもの)をとり、メモリ効果の偶数次歪の微分成分を近似し、その結果を線形結合することで、メモリ効果の偶数次歪の逆特性を近似する。
【0022】
本発明の変調器内蔵歪補償回路38に内蔵されたOFDM変調器1から出力されたデジタル入力信号は直交変調器(直交変調)4で変調され、遅延器44とデジタルアップコンバータ41を通り、加算器22及び遅延器18へ入力される。遅延器18で遅延された入力信号は、
歪係数検出のための乗算器30と乗算器34に入力される。加算器22の出力信号は加算器3へ入力され、加算器3の出力信号はDAC5でアナログ信号に変換された後、歪補償回路38から出力されて、高周波電力増幅器(電力増幅器)7にて規定のレベルに電力増幅される。電力増幅器7から出力された出力信号は方向性結合器8とBPF9とを介してアンテナ10より電波送信される。
【0023】
一方方向性結合器8で分配された信号は、A/D変換器(ADC)
14でデジタル信号に変換される。変換された信号は可変増幅器(AGC)15で適切なレベルの信号にゲイン調整され、
歪係数検出のための乗算器30と乗算器34に入力される。
この時、遅延器18により加算器25に入力される2つの信号の遅延時間が同じになるように調整している。
【0024】
入力信号から、奇対称歪信号生成回路20と偶対称歪信号生成回路23にて奇対称な3次歪(A3、P3)〜7次歪(A7、P7)、偶対称な
2次歪(A2、P2)、のそれぞれの係数(大きさ)を独立に検出し、その奇対称歪係数と偶対称歪係数とは、コアリング回路32と43とで
図5Bのようにピークのみにコアリングされ、遅延器45と46とで加算器25の出力の歪(入力と帰還との差)信号と遅延をそろえられ、加算器25の出力の歪(入力と帰還との差)信号と乗算器
30と34とで乗算され、奇対称歪係数と偶対称歪係数と加算器
49と48とで加算され、奇対称歪補償信号と偶対称歪補償信号となる。そして、奇対称歪加算回路36及び偶対称歪加算回路37で入力信号に加算される。
【0025】
奇対称歪係数検出と奇対称歪加算とは特許文献1と同様なので、詳細説明は省略して簡単に説明し、偶対称歪係数検出と偶対称歪加算を中心に本発明の特異点を説明する。
本発明の1実施例の送信機を示すブロック図の
図1Aの偶対称歪信号生成回路23における、偶対称な振幅2次歪(A2)、偶対称な位相
2次歪(P2)の係数検出について、本発明の1実施例の偶対称歪発生回路を示すブロック図(振幅微分と位相微分)の
図3を用いて、説明する。
【0026】
入力信号は絶対値化回路51にて複素数信号の絶対値のreal信号に変換される。変換されたreal信号は遅延器(D)52と加算器54とで1サンプル前との差分(微分を近似したもの)出力をとる。変換されたreal信号は実効値逆数算出回路62で実効値の逆数を算出し、乗算器56で加算器54の差分出力と乗算する。さらに、乗算器56出力と入力信号とを乗算器58で乗算して、偶対称な振幅2次微分歪係数を算出する。
【0027】
また、入力信号は遅延器(D)53と加算器55とで1サンプル前との差分(微分を近似したもの)出力をとる。さらに入力信号は実効値逆数算出回路63で実効値の逆数を算出し、乗算器57で加算器
82の差分出力と乗算し、乗算器59で係数0.6378と乗算し振幅偶対称な位相2次微分歪係数を算出する。
乗算器58出力と乗算器59出力とを加算器60で加算し、メモリ効果の偶対称な振幅2次歪(A2)、偶対称な位相
2次歪(P2)の係数を出力する。
【0028】
本発明の1実施例の送信機を示すブロック図の
図1Aを用いて、歪加算について説明する。
図1Aにおいて、偶対称歪
信号生成回路23を出力した現在の入力信号の偶対称歪信号は、コアリング回路43でコアリングされて、遅延器45で(カーテシアン)ループ(伝達)遅延分を遅延された遅延入力信号の偶対称歪信号となる。さらに、加算器25で生成された(カーテシアン)ループ(伝達)遅延の誤差信号と乗算器
34で乗算され、(カーテシアン)ループ(伝達)遅延偶対称歪誤差信号となる。また、現在の入力信号の偶対称歪信号は(カーテシアン)ループ(伝達)遅延偶対称歪誤差信号と加算器
48で加算され、(カーテシアン)ループ(伝達)遅延歪誤差を加味した現在の入力信号の偶対称歪信号となり、現在の入力信号に加算器3で混合される。
【0029】
また、
図1Aにおいて、奇対称歪
信号生成回路20を出力した現在の入力信号の奇対称歪信号は、コアリング回路32でコアリングされて、遅延器46で(カーテシアン)ループ(伝達)遅延分を遅延された遅延入力信号の奇対称歪信号となる。さらに、加算器25で生成された(カーテシアン)ループ(伝達)遅延の誤差信号と乗算器
30で乗算され、(カーテシアン)ループ(伝達)遅延奇対称歪誤差信号となる。また、現在の入力信号の
奇対称歪信号は(カーテシアン)ループ(伝達)遅延奇対称歪誤差信号と加算器
49で加算され、(カーテシアン)ループ(伝達)遅延歪誤差を加味した現在の入力信号の奇対称歪信号となり、現在の入力信号に加算器22で混合される。
【0030】
本発明の1実施例では、カーテシアンループ内に直交変調と直交復調とUp/Down周波数変換とBPFと位相器と平均化回路がなく、低遅延で電源電圧包絡線可変に追従させている。さらに、遅延が短く安定なため(カーテシアン)ループ(伝達)遅延を補償する遅延器18と遅延器45と遅延器46とERR電源電圧変化の時定数(遅延)を補償する遅延器44との遅延器の固定化が可能となっている。
また、平均化回路のかわりに、入力信号コアリングでA級定常時安定化し低遅延でAB級ピークに追従させている。
【0031】
その結果、直交変調後に補償する手段としてデジタル周波数変換と高周波帯ADCと高周波帯DACを有することにより、カーテシアンループ内に直交変調と直交復調と平均化回路を有しないため、高周波電力増幅器の高周波出力信号の包絡線検波トラッキング(ERR)電源電圧(ベースバンド入力信号と近似)と高周波電力増幅器のメモリ効果歪の時定数と時定数とカーテシアンループ内に直交変調と直交復調と平均化回路を有しない歪補償のループ時定数とOFDM高周波入力信号とOFDM高周波出力信号の包絡線を示す模式図の
図4Bのように、対称な歪と非対称は歪をそれぞれ独立に検出し更にそれぞれ独立に補償するカーテシアンループ伝達遅延を、メモリ効果の時定数や高周波出力信号の包絡線検波トラッキングERR時定数(遅延)や図示しないAB級ピーク変動時定数(遅延)と同等まで短くすることが可能となり、歪改善量を大きくしても短時間に収束する。
【実施例2】
【0032】
次に、実施例2を説明する。実施例1と同様な構成や動作の説明は省略し、相違点のみ説明する。
【0033】
本発明の1実施例の構成と動作とを説明に、本発明の1実施例の送信機を示すブロック図(直交変調後に補償でデジタルアップコンバータ(Digital Up Converter)とデジタルダウンコンバータ(Digital Down Converter)のデジタル周波数変換と高周波帯ADCと高周波帯DAC)の
図1Aではなく、本発明の1実施例の送信機を示すブロック図(直交変調後に補償で直交補正ADCと直交補正DAC)の
図1Bを用いる。
【0034】
図1Bにおいて、本発明の変調器内蔵歪補償回路38に内蔵されたOFDM変調器1から出力されたデジタル入力信号は直交変調器(直交変調)4で変調され、遅延器44を通り、
乗算器2及び遅延器18へ入力される。遅延器18で遅延された入力信号は、
歪係数検出のための乗算器30と乗算器34に入力される。
乗算器2の出力信号は加算器3へ入力され、加算器3の出力信号はDAC5でアナログ信号に変換された後、歪補償回路38から出力されて、ミキサ40と発振器13とで周波数変換され、BPF6で不要波を除去し、高周波電力増幅器(電力増幅器)7にて規定のレベルに電力増幅される。電力増幅器7から出力された出力信号は方向性結合器8とBPF9とを介してアンテナ10より電波送信される。
【0035】
一方方向性結合器8で分配された信号は、ミキサ11と発振器13で周波数変換され、不要波をBPF12で除去した後、変調器内蔵歪補償回路
38へ入力される。入力された信号は直交補償A/D変換器(ADC)
14でデジタル信号に変換される。変換された信号は可変増幅器(AGC)15で適切なレベルの信号にゲイン調整され、加算器
25に入力される。
【0036】
本発明の1実施例では、カーテシアンループ内に直交変調と直交復調と位相器と平均化回路がなく、低遅延で、電源電圧包絡線可変に追従している。さらに、遅延が短く安定なため(カーテシアン)ループ(伝達)遅延を補償する遅延器18と遅延器45と遅延器46とERR電源電圧変化の時定数(遅延)を補償する遅延器44との遅延器の固定化が可能となっている。
【0037】
また、平均化回路のかわりに、入力信号コアリングでA級定常時安定化し低遅延でAB級ピークに追従させている。
【0038】
その結果、直交変調後に補償する手段として直交補正ADCと直交補正DACを有することにより、カーテシアンループ内に直交変調と直交復調と平均化回路を有しないため、高周波電力増幅器の高周波出力信号の包絡線検波トラッキング(ERR)電源電圧(ベースバンド入力信号と近似)と高周波電力増幅器のメモリ効果歪の時定数と時定数とカーテシアンループ内に直交変調と直交復調と平均化回路を有しない歪補償のループ時定数とOFDM高周波入力信号とOFDM高周波出力信号の包絡線を示す模式図の
図4Bのように、対称な歪と非対称は歪をそれぞれ独立に検出し更にそれぞれ独立に補償するカーテシアンループ伝達遅延を、メモリ効果の時定数や高周波出力信号の包絡線検波トラッキングERR時定数や図示しないAB級ピーク変動時定数と同等まで短くすることが可能となり、歪改善量を大きくしても短時間に収束する。
【0039】
本発明は、実施例1や実施例2に限らず、高周波帯の入力信号を電力増幅する高周波電力増幅器の各次数の奇対称歪補償信号の係数を独立に生成する前置歪補償回路において、入力信号のメモリ効果の偶数次歪の補償信号の複数の係数をそれぞれ独立に生成する歪前置補償回路に広く適用できる。