(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【図面の簡単な説明】
【0009】
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図1】本発明に従うアパーチャの分布を非均一に調節したアパーチャパターンを有する被覆研磨ディスクの例示的な実施形態の図である。
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図2】本発明に従う時計回りおよび反時計回りの斜列を有する葉序(phyllotactic)螺旋パターンの説明図である。
【
図3】本発明に従う時計回りおよび反時計回りの斜列を有する葉序螺旋パターンの別の説明図である。
【
図4】本発明に従うフォーゲルモデルの説明図である。
【
図5】
図5A〜
図5Cは、本発明に従う開度が相違するフォーゲルモデルと一致する葉序螺旋パターンの説明図である。
【
図6】
図6A〜
図6Fは、本発明に従うアパーチャスリット形状の例示的な実施形態の説明図である。
【
図7】本発明に従う被覆研磨物品の例示的な実施形態の断面部の説明図である。
【
図8】本発明に従う148のアパーチャを有するアパーチャパターンの例示的な実施形態のグラフィックイメージである。
【
図9】
図8のアパーチャパターンの転置の、本発明に従う例示的な実施形態の説明図である。
【
図10】
図8のアパーチャパターンと協働するバックアップパッドの、本発明に従う例示的な実施形態の説明図である。
【
図11】本発明に従う246のアパーチャを有するアパーチャパターンの例示的な実施形態のグラフィックイメージである。
【
図12】
図11のアパーチャパターンの転置の、本発明に従う例示的な実施形態の説明図である。
【
図13】
図11のアパーチャパターンと協働するバックアップパッドの、本発明に従う例示的な実施形態の説明図である。
【
図14】本発明に従う344のアパーチャを有するアパーチャパターンの例示的な実施形態のグラフィックイメージである。
【
図15】
図14のアパーチャパターンの転置の、本発明に従う例示的な実施形態の説明図である。
【
図16】
図14のアパーチャパターンと協働するバックアップパッドの、本発明に従う例示的な実施形態の説明図である。
【
図17】
図17A〜
図17Dは、所与のアパーチャパターンのオービタル回転中のアパーチャカバリッジのグラフ図である。
図17B〜
図17Dは、所与のアパーチャパターンのオービタル回転中のアパーチャカバリッジのグラフ図であり、本発明に従う例示的な実施形態である。
【
図18】
図18A〜
図18Dは、所与のアパーチャパターンのオービタル回転中のアパーチャカバリッジのグラフ図である。
図18B〜
図18Dは、所与のアパーチャパターンのオービタル回転中のアパーチャカバリッジのグラフ図であり、本発明に従う例示的な実施形態である。
【
図19】本発明に従う例示的なアパーチャパターンの研磨性能を、最高技術水準のアパーチャパターンと比較したチャートである。
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図20】本発明に従う例示的なアパーチャパターンの研磨性能を、最高技術水準のアパーチャパターンと比較したチャートである。
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図21】本発明に従う例示的なアパーチャパターンの研磨性能を、最高技術水準のアパーチャパターンと比較したチャートである。
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図22】本発明に従う例示的なアパーチャパターンの研磨性能を、最高技術水準のアパーチャパターンと比較したチャートである。
【
図23】本発明に従う例示的なアパーチャパターンおよび協働的なバックアップパッドの研磨性能を、最高技術水準のアパーチャパターンおよび最高技術水準のバックアップパッドと比較したグラフである。
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図24】本発明に従う例示的な被覆研磨ディスクおよびバックアップパッドの対の研磨性能を、最高技術水準の被覆研磨材およびバックアップパッドの組合せと比較したグラフである。
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図25】ビークルパネルの10,000平方フィートを、本発明に従う例示的な被覆研磨ディスクおよびバックアップパッドを用いて研磨する時間を算出して、最高技術水準の被覆研磨材およびバックアップパッドの組合せと比較したグラフである。
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図26】本発明に従う例示的な被覆研磨ディスクおよびバックアップパッドを用いて、ビークルパネルに対するカット効率を、最高技術水準の被覆研磨材およびバックアップパッドの組合せと比較したグラフである。
【
図27】本発明に従う他の例示的な被覆研磨ディスクおよびバックアップパッドを用いて、ビークルパネルに対するカット効率を、最高技術水準の被覆研磨材およびバックアップパッドの組合せと比較した別のグラフである。
【
図28】螺旋経路(本発明に従う34の外側螺旋経路および8の内側螺旋経路)のパターンを有するバックアップパッドの実施形態の説明図である。バックパッドパターンは、151のアパーチャを有するフォーゲル式パターンに対応する。
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図29】本発明に従う螺旋経路(34の外側螺旋経路および8の内側螺旋経路)のパターンを有するバックアップパッドの別の実施形態の説明図である。バックパッドパターンは、251のアパーチャを有するフォーゲル式パターンに対応する。
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図30】本発明に従う螺旋経路(34の外側螺旋経路および8の内側螺旋経路)のパターンを有するバックアップパッドの別の実施形態の説明図である。バックパッドパターンは、351のアパーチャを有するフォーゲル式パターンに対応する。
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図31】本発明に従う螺旋経路(34の外側螺旋経路および8の内側螺旋経路)のパターンを有するバックアップパッドの実施形態の説明図である。バックパッドパターンは、247のアパーチャを有するフォーゲル式パターンに対応する。
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図32】本発明に従う螺旋経路(34の外側螺旋経路および8の内側螺旋経路)のパターンを有するバックアップパッドの実施形態の説明図である。バックパッドパターンは、346のアパーチャを有するフォーゲル式パターンに対応する。
【
図33】本発明に従う螺旋経路(34の外側螺旋経路および8の内側螺旋経路)のパターンを有するバックアップパッドの実施形態の説明図である。バックパッドパターンは、442のアパーチャを有するフォーゲル式パターンに対応する。
【
図34】本発明に従う、151のアパーチャ(150のアパーチャが、中心アパーチャを囲む)を有する被覆研磨材の実施形態の研磨面の説明図である。
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図35】
図34に示されるのと同じ実施形態の裏面の説明図である。
【
図36】本発明に従う、247のアパーチャ(246のアパーチャが、中心アパーチャを囲む)を有する被覆研磨材の実施形態の研磨面の説明図である。
【
図37】
図36に示されるのと同じ実施形態の裏面の説明図である。
【
図38】本発明に従う、251のアパーチャ(250のアパーチャが、中心アパーチャを囲む)を有する被覆研磨材の実施形態の研磨面の説明図である。
【
図39】
図38に示されるのと同じ実施形態の裏面の説明図である。
【
図40】本発明に従う、346のアパーチャ(345のアパーチャが、中心アパーチャを囲む)を有する被覆研磨材の実施形態の研磨面の説明図である。
【
図41】
図40に示されるのと同じ実施形態の裏面の説明図である。
【
図42】本発明に従う、351のアパーチャ(350のアパーチャが、中心アパーチャを囲む)を有する被覆研磨材の実施形態の研磨面の説明図である。
【
図43】
図42に示されるのと同じ実施形態の裏面の説明図である。
【
図44】本発明に従う、442のアパーチャ(441のアパーチャが、中心アパーチャを囲む)を有する被覆研磨材の実施形態の研磨面の説明図である。
【
図45】
図44に示されるのと同じ実施形態の裏面の説明図である。
【
図46】本発明に従う34の外側螺旋経路および8の内側螺旋経路を有する単一アライメント(2倍アライメントとも呼ばれる)バックアップパッドの実施形態の説明図である。
【
図47】本発明に従う68の外側螺旋経路および8の内側螺旋経路を有する二重アライメント(4倍アライメントとも呼ばれる)バックアップパッドの実施形態の説明図である。
【
図48】
図46の単一アライメントバックアップパッドを覆う、フォーゲル式に従う442のアパーチャ(441が中心アパーチャを囲む)を有する被覆研磨材の実施形態の説明図であり、被覆研磨材は、バックアップの位相から90度回転して、被覆研磨材のアパーチャが、バックアップパッドの何れの外側螺旋にも対応しない。
【
図49】
図46の単一アライメントバックアップパッドを覆う、フォーゲル式に従う442のアパーチャ(441が中心アパーチャを囲む)を有する被覆研磨材の実施形態の説明図であり、被覆研磨材は、バックアップの位相から180度回転して、被覆研磨材のほぼ全てのアパーチャが、バックアップパッドの少なくとも1つの外側螺旋に対応する。
【
図50】
図46の単一アライメントバックアップパッドを覆う、フォーゲル式に従う442のアパーチャ(441が中心アパーチャを囲む)を有する被覆研磨材の実施形態の説明図であり、被覆研磨材は、バックアップの位相から270度回転して、被覆研磨材のアパーチャが、バックアップパッドの何れの外側螺旋にも対応しない。
【
図51】
図46の単一アライメントバックアップパッドを覆う、フォーゲル式に従う442のアパーチャ(441が中心アパーチャを囲む)を有する被覆研磨材の実施形態の説明図であり、被覆研磨材は、バックアップの位相から0度回転して、被覆研磨材のほぼ全てのアパーチャが、バックアップパッドの少なくとも1つの外側螺旋に対応する。
【
図52】
図47の二重アライメントバックアップパッドを覆う、フォーゲル式に従う442のアパーチャ(441が中心アパーチャを囲む)を有する被覆研磨材の実施形態の説明図であり、被覆研磨材は、バックアップの位相から45度回転して、被覆研磨材のアパーチャが、バックアップパッドの何れの外側螺旋にも対応しない。
【
図53】
図47の二重アライメントバックアップパッドを覆う、フォーゲル式に従う442のアパーチャ(441が中心アパーチャを囲む)を有する被覆研磨材の実施形態の説明図であり、被覆研磨材は、バックアップの位相から90度回転して、被覆研磨材のほぼ全てのアパーチャが、バックアップパッドの少なくとも1つの外側螺旋に対応する。
【
図54】
図47の二重アライメントバックアップパッドを覆う、フォーゲル式に従う442のアパーチャ(441が中心アパーチャを囲む)を有する被覆研磨材の実施形態の説明図であり、被覆研磨材は、バックアップの位相から135度回転して、被覆研磨材のアパーチャが、バックアップパッドの何れの外側螺旋にも対応しない。
【
図55】
図47の二重アライメントバックアップパッドを覆う、フォーゲル式に従う442のアパーチャ(441が中心アパーチャを囲む)を有する被覆研磨材の実施形態の説明図であり、被覆研磨材は、バックアップの位相から180度回転して、被覆研磨材のほぼ全てのアパーチャが、バックアップパッドの少なくとも1つの外側螺旋に対応する。
【
図56】
図47の二重アライメントバックアップパッドを覆う、フォーゲル式に従う442のアパーチャ(441が中心アパーチャを囲む)を有する被覆研磨材の実施形態の説明図であり、被覆研磨材は、バックアップの位相から225度回転して、被覆研磨材のアパーチャが、バックアップパッドの何れの外側螺旋にも対応しない。
【
図57】
図47の二重アライメントバックアップパッドを覆う、フォーゲル式に従う442のアパーチャ(441が中心アパーチャを囲む)を有する被覆研磨材の実施形態の説明図であり、被覆研磨材は、バックアップの位相から270度回転して、被覆研磨材のほぼ全てのアパーチャが、バックアップパッドの少なくとも1つの外側螺旋に対応する。
【
図58】
図47の二重アライメントバックアップパッドを覆う、フォーゲル式に従う442のアパーチャ(441が中心アパーチャを囲む)を有する被覆研磨材の実施形態の説明図であり、被覆研磨材は、バックアップの位相から315度回転して、被覆研磨材のアパーチャが、バックアップパッドの何れの外側螺旋にも対応しない。
【
図59】
図47の二重アライメントバックアップパッドを覆う、フォーゲル式に従う442のアパーチャ(441が中心アパーチャを囲む)を有する被覆研磨材の実施形態の説明図であり、被覆研磨材は、バックアップの位相から0度回転して、被覆研磨材のほぼ全てのアパーチャが、バックアップパッドの少なくとも1つの外側螺旋に対応する。
【0010】
異なる図面中の同じ参照符号の使用により、部材が類似している、または同じであることが示される。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施形態において、研磨物品は、分布が非均一に調節されたパターンで配置される複数の穴部(以降、同様に「パーホレーション」または「アパーチャ」と呼ぶ)を有する被覆研磨材を含む。アパーチャパターンは、分布が非均一に調節された任意のパターンであってよく、放射パターン、螺旋パターン、葉序パターン、非対称パターン、またはこれらの組合せが挙げられる。パターンは、部分的に、実質的に、または完全に、非対称であってよい。パターンは、研磨物品全体をカバーし(すなわち、全体にわたって分配され)てよく、研磨物品全体を実質的にカバーしてよく(すなわち、50%を超えるが100%未満である)、研磨物品の大部分をカバーしてよく、または研磨物品の一部分のみをカバーしてよい。
【0012】
「分布が非均一に」調節されたとは、アパーチャパターンが非対称に調節された(すなわち、ランダムに調節された)ことを意味する。これは、アパーチャ分布は、例えば、放射、螺旋、葉序の式によって説明または予測され得るが、アパーチャパターンはなお、少なくとも部分的な非対称から完全な非対称を示すようなものである。
【0013】
非対称の調節は、鏡映非対称(鏡面対称、線対称および左右対称とも呼ばれる)の調節、回転非対称の調節、並進対称の調節、映進対称の調節、またはこれらの組合せであってよい。非均一分布の例は、放射、螺旋、または葉序アパーチャパターンについて、回転対称が1のオーダであると実証され得る。これは、このようなアパーチャパターンが回転対称を有していないことを意味する(アパーチャパターンが、その中心周りに360°回転する間、それ自体を一度しか繰り返さないためである)。言い換えると、同じ正確なパターンの2つのコピーが互いに直接的に覆いかぶさり、そして一方のコピーが不変に保持される一方で、第2コピーがその中心周りに360°回転する場合、両コピーの開口全てが、360°の回転中、一度しかアライメントされないこととなる。
【0014】
通常、アパーチャパターンの全アパーチャ(すなわち、全パターン)が、非対称に調節されることとなる。しかしながら、本実施形態に従うアパーチャパターンとして、アパーチャパターンのアパーチャの総数の一部分(すなわち、パターンの一部分)のみが非対称に調節されたアパーチャパターンも挙げられると考えられる。そのようなものは、例えば、均一に分配されたパターン、または完全にランダムなパターンの一部分を組み合わせる、または置換することによって生じてよく、パターンは、非均一分布となるように調節されて、生じたアパーチャパターンのアパーチャの一部分のみが、非均一分布となるように調節されている。非均一に調節された総アパーチャの一部分は、離散数として、またはアパーチャパターンのアパーチャ総数の分数、パーセンテージまたは比として、定量化されてよい。実施形態において、アパーチャパターンのアパーチャの少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.9%が、非対称に調節される。非対称に調節されたアパーチャパターンのアパーチャの一部分は、先の上下限の任意の対を含む範囲内にあってよい。特定の実施形態において、アパーチャパターンの約50%から約99.9%、約60%から約99.5%、約75%から約99%が、非均一分布となるように調節される。
【0015】
別の実施形態において、アパーチャパターンは、少なくともおよそ5つのアパーチャ、少なくともおよそ10のアパーチャ、少なくともおよそ15のアパーチャ、少なくともおよそ20のアパーチャ、少なくともおよそ25のアパーチャ、または少なくともおよそ50のアパーチャにわたって、非対称に調節されている。別の実施形態において、アパーチャパターンは、およそ100,000のアパーチャ以下、およそ10,000のアパーチャ以下、およそ5,000のアパーチャ以下、およそ2,500のアパーチャ以下、およそ1,000のアパーチャ以下、およそ750のアパーチャ以下、またはおよそ500のアパーチャ以下にわたって、非対称に調節されている。非対称に調節されたアパーチャの数は、先の上下限の任意の対を含む範囲内であってよい。
【0016】
上記のように、本実施形態のアパーチャパターンは、分布が非均一に調節された任意のパターンであってよく、放射パターン、螺旋パターン、葉序パターン、非対称パターン、またはこれらの組合せが挙げられる。放射パターンは、中心点から放射するように見える(車輪のハブからのスポーク等)任意のパターンであってよい。
【0017】
実施形態において、螺旋パターンは、研磨物品上の中心点から出発し、中心点周りに回転するにつれ、次第により離れるように延びる任意の曲線、または曲線のセットであってよい。中心点は、研磨物品の中心に、もしくはその付近に位置決めされてもよいし、または代わりに、研磨物品の中心から離れて位置決めされてもよい。単一螺旋であっても多重螺旋(すなわち、複数の螺旋)であってもよい。螺旋は、離散的(discreet)でも連続的でもよいし、分離されても結合されてもよい。分離した螺旋は、異なる中心点から出発してよもよいし(すなわち、各螺旋が、それ自身の中心点を持つ)、共通の中心点から出発してもよいし(すなわち、各螺旋が、中心点を共有する)、これらの組合せであってもよい。螺旋パターンとして:アルキメデス螺線;オイラー螺旋、コルニュ螺線またはクロソイド;フェルマー螺旋;双曲螺線;リチュウス;対数螺旋;フィボナッチ螺旋;黄金螺旋;またはこれらの組合せが挙げられ得る。
【0018】
実施形態において、パターンは葉序パターンであってよい。本明細書中で用いられるように、「葉序パターン」は、葉序に関連したパターンを意味する。葉序は、多くの植物種における横方向の器官(葉、花、鱗片、小花および種子等)の配置である。多くの葉序パターンは、天然に存在する現象の、目をひくパターン(弧、螺旋および渦巻きを有する)によって特徴付けられる。ヒマワリの頭花における種子パターンが、この現象の例である。
図2および
図3に示すように、多数の弧または螺旋(斜列とも呼ばれる)が、それらの起点を中心点(C)に有し、外側に向かって進む一方で、他の螺旋が生じて、内側螺旋によって残されたギャップが満たされてよい。Jean’s Phyllotaxis A Systemic Study in Plant Morphogenesis(p.17)参照。多くの場合、螺旋パターン配置は、時計回りおよび反時計回りの両方向において、外側に向かって放射するように見られ得る。
図3に示すように、これらのタイプのパターンは、目に見えて向かい合う斜列対が、(m、n)によって表され得る。ここで、中心点から離れて時計回り方向に放射する螺旋または弧の数が「m」であり、反時計回り方向に放射する螺旋または弧の数が「n」である。さらに、連続する2つの螺旋間または弧間の、それら中心での角度は、開度「d」と呼ばれる。驚くべきことに、葉序パターンは、研磨物品、特に被覆研磨物品にとって、新たなアパーチャパターンを生じさせるのに有用であることが、発明者らによって発見された。
【0019】
実施形態において、アパーチャパターンは、いくつかの時計回り螺旋、およびいくつかの反時計回り螺旋を有し、時計回り螺旋の数および反時計回り螺旋の数は、フィボナッチ数、またはフィボナッチ数の倍数である。特定の実施形態において、時計回り螺旋の数および反時計回り螺旋の数は、対(m、n):(3、5)、(5、8)、(8、13)、(13、21)、(21、34)、(34、55)、(55、89)、(89、144)、またはこのような対の倍数、である。別の実施形態において、時計回り螺旋の数および反時計回り螺旋の数は、ルーカス数またはルーカス数の倍数である。特定の実施形態において、時計回り螺旋の数および反時計回り螺旋の数は、対(m、n):(3、4)、(4、7)、(7、11)、(11、18)、(18、29)、(29、47)、(47、76)もしくは(76、123)、またはこのような対の倍数、である。別の実施形態において、時計回り螺旋の数および反時計回り螺旋の数は、黄金比に収束する比の任意の数であり、黄金比は、1プラス5の平方根の合計を2で割った、(1+√5)/2に等しく、およそ1.6180339887に等しい。特定の実施形態において、時計回り螺旋の、反時計回り螺旋に対する比は、黄金比におよそ等しい。
【0020】
既に上で言及したように、ヒマワリ植物の種子が螺旋葉序パターンに配置されることが、自然界で観察されてきた。実施形態において、アパーチャパターンは、ヒマワリパターンである。
【0021】
ヒマワリパターンは、フォーゲルのモデル(一種の「フィボナッチ螺旋」、または連続する点間の開度が、黄金角度に接近する固定フィボナッチ角度である(137.508°に等しい)螺旋である)によって、表されてきた。
【0022】
図4は、フォーゲルモデルを図解しており、これは:
【数1】
であり、式中:
nは、中心から外側に数えた、小花の順次番号であり;
φは、リファレンス方向と、頭状花序の中心にて始まる極座標系における第n番目の小花の位置ベクトルとの間の角度であり、任意の連続する2つの小花の位置ベクトル間の開度αは一定であり、ヒマワリパターンに関して、137.508°であり;
rは、頭状花序の中心から第n番目の小花の中心までの距離であり;
cは、一定のスケーリングファクタである。
【0023】
実施形態において、アパーチャパターンは、フォーゲルモデル、またはフォーゲルモデルの変形によって表される。特定の実施形態において、アパーチャパターンは、フォーゲルモデルによって表され:
nは、アパーチャパターンの中心から外側に数えた、アパーチャの順次番号であり;
φは、リファレンス方向と、アパーチャパターンの中心にて始まる極座標系における第n番目のアパーチャの位置ベクトルとの間の角度であり、任意の連続する2つのアパーチャの位置ベクトル間の開度は一定の角度αであり;
rは、アパーチャパターンの中心から第n番目のアパーチャの中心までの距離であり;
cは、一定のスケーリングファクタである。
【0024】
上記のように、アパーチャパターンのアパーチャの全て、実質的に全て、または一部分が、フォーゲルモデルによって表される(すなわち、フォーゲルモデルに一致する)であろう。実施形態において、アパーチャパターンの全アパーチャが、フォーゲルモデルによって表される。別の実施形態において、アパーチャの少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%が、フォーゲルモデルによって表される。
【0025】
発明者らは、驚くべきことに、葉序パターンが、研磨物品(固定研磨物品(結合研磨物品および被覆研磨物品等)が挙げられる)の性能を向上させる新たなアパーチャパターンを生じさせるのに有用であることを見出した。特に、葉序パターンは、被覆研磨物品について新たなアパーチャパターンを生じさせるのに有用である。葉序アパーチャパターンは、表面物質の高い除去率を達成しながらもなお、許容可能な表面品質を達成し、研磨表面上の削り屑ローディング量を引き下げ、そして研磨材の高い耐久性および長い耐用寿命を維持するという競合問題を解決するのに役立つ。これは、部分的に、少なくとも以下の点において驚くべきものである。第1に、本実施形態の葉序アパーチャパターンは、予想外にも、総アパーチャ面積が、最高技術水準のアパーチャパターンの総アパーチャ面積未満である場合でさえ、最高技術水準の研磨材アパーチャパターンと比較して、より優れた削り屑除去カバリッジを提供し、そして研磨材の表面にわたる削り屑抽出部位(すなわち、アパーチャ)の分布がより完全である。第2に、本実施形態の葉序アパーチャパターンは、予想外にも、総研磨面積が、最高技術水準のアパーチャパターンのもの未満である場合でさえ、真空適用の存在下および不在下で最高技術水準のアパーチャパターンと比較して、少なくとも匹敵する、より優れた研磨性能(例えば、累積物質カット)を実現する。第3に、本実施形態の葉序パターンは、予想外にも、最高技術水準のアパーチャパターンと比較して、研磨面積の増大を実現しながらもなお、最高技術水準のアパーチャパターンのものよりも完全なアパーチャカバリッジを提供することができる。さらに、本願の後半でより詳細に議論するように、本実施形態の有効性および性能は、協働的バックアップパッドおよび真空系と組み合わされると、さらにより増進され得る。
【0026】
当然のことながら、アパーチャパターン設計の、被覆研磨物品にとって重要な実施態様として、総研磨表面積のパーセンテージ、アパーチャに特化した総面積(すなわち、アパーチャ面積)のパーセンテージ;研磨表面積のアパーチャ面積に対する比、研磨物品の使用(例えば、オービタルサンダーでの回転、シートサンダーでのオシレーション、ベルトサンダーでの連続的横方向移動)中の予測アパーチャ面積カバリッジ、スケーリングファクタ、アパーチャ数、アパーチャ間の開度、アパーチャのサイズ、隣接するアパーチャ間の距離、および最も外側のアパーチャと、被覆研磨物品の端部との距離が挙げられる。
【0027】
研磨ディスクのサイズ
研磨材は、産業で、そして商業消費者によって一般的に用いられ、約小数インチの直径からフィートの直径にまで通常及ぶ種々のサイズがある。本アパーチャパターンは、ほとんどの任意のサイズの研磨材での使用に適しており、種々の標準サイズの研磨ディスクが挙げられる(例えば、3インチから20インチのもの)。実施形態において、研磨物品は、直径が少なくとも約0.25インチ、少なくとも約0.5インチ、少なくとも約1.0インチ、少なくとも約1.5インチ、少なくとも約2.0インチ、少なくとも約2.5インチ、または少なくとも約3.0インチの円形ディスクである。別の実施形態において、研磨物品は、直径が約72インチ以下、約60インチ以下、約48インチ以下、約36インチ以下、約24インチ以下、約20インチ以下、約18インチ以下、約12インチ以下、約10インチ以下、約9インチ以下、約8インチ以下、約7インチ以下、約6インチ以下の円形ディスクである。別の実施形態において、研磨物品は、サイズが、約0.5インチの直径から約48インチの直径、約1.0インチの直径から約20インチの直径、約1.5インチの直径から約12インチの直径の範囲である。
【0028】
総ポテンシャル表面積
研磨物品のサイズおよび形状が、研磨物品の総ポテンシャル表面積を決定する。例えば、直径が1インチの研磨ディスクは、総ポテンシャル表面積が0.7854in
2である。別の例として、2インチ×3インチと測定される矩形の研磨シートは、総ポテンシャル表面積が6in
2であろう。
【0029】
総アパーチャ面積
総アパーチャ面積は、削り屑抽出量に影響を及ぼす。通常、アパーチャ面積量が増大するにつれ、削り屑抽出量は増大し、これが、使用中の研磨物品の物質除去率(すなわち「カット」率)を維持する、または時折向上させる傾向がある。しかしながら、アパーチャ面積量の増大はまた、利用可能な研磨面積量を直接的に少なくし、ある点にて物質除去率を低下させることとなる。実施形態において、総アパーチャ面積は、研磨物品の表面上の全アパーチャ面積の合計に等しい。実施形態において、総アパーチャ面積は、研磨物品について、総ポテンシャル表面積の多くとも約0.5%、少なくとも約0.75%、少なくとも約1.0%、少なくとも約1.25%、少なくとも約1.5%、少なくとも約1.75%、少なくとも約2.0%、少なくとも約2.25%、少なくとも約2.5%、または少なくとも約3.0%である。別の実施形態において、総アパーチャ面積は、約50%以下、約45%以下、約40%以下、約35%以下、約30%以下、約25%以下、約20%以下、約15%以下、または約12%以下である。総アパーチャ面積の量は、先の上下限の任意の対を含む範囲内であってよい。別の実施形態において、総アパーチャ面積は、約0.5%から約35%、約1.0%から約25%、約1.5%から約15%、または約2.0%から約10%に及ぶ。特定の実施形態において、総アパーチャ面積の量は、約2.5%から約10%の範囲内である。総アパーチャは、パーセンテージの代わりに離散量と考えられてよい。例えば、研磨5インチディスクは、総アパーチャ面積が約0.0982in
2から約9.8175in
2に及んでよい。
【0030】
総研磨表面積
総研磨表面積は、除去される表面物質の量に影響を及ぼす。通常、総研磨表面積の量が増大するにつれ、除去される表面物質の量は増大する。また、通常、除去される表面物質の量が増大するにつれ、削り屑が蓄積する(build−up)傾向が増大し、かつ表面粗さが増大する傾向にある。実施形態において、被覆研磨材の総研磨表面積は、研磨物品の総ポテンシャル表面(すなわち、アパーチャがなければ、研磨表面積)マイナス総アパーチャ面積(すなわち、全アパーチャ面積の合計)に等しい。従って、総研磨表面積の量は、総ポテンシャル表面積の約50%から約99.5%に及んでよく、これは、所望のアパーチャ面積の量によって決まる。例えば、5インチディスクは、総研磨表面積が約9.8175in
2から約19.5368in
2に及んでよい。
【0031】
総アパーチャ面積の、総研磨表面積に対する比
実施形態において、総アパーチャ面積の、総研磨表面積に対する比は、少なくとも約1:199、少なくとも約1:99、少なくとも約1:65.7;少なくとも約1:49、または少なくとも約1:39である。別の実施形態において、総アパーチャ面積の、総研磨面積に対する比は、約1:1.9以下、約1:2.0以下、約1:2.3以下、約1:3.0以下、約1:3.5以下、約1:4.0以下、約1:5.7以下、または約1:9.0以下である。総アパーチャ面積の、総研磨面積に対する比は、先の上下限の任意の対を含む範囲内であってよい。別の実施形態において、総アパーチャ面積の、総研磨面積に対する比は、約1:99から約1:1.9、約1:65.7から約1:2.0、約1:39.0から約1:3.0、または約1:32.3から約1:5.7に及ぶ。特定の実施形態において、総アパーチャ面積の、総研磨表面積に対する比は、約1:65.7から1:9.0の範囲内である。
【0032】
アパーチャ数
アパーチャ数は、アパーチャ面積の総量および総研磨面積量に影響を与える。さらに、アパーチャ数は、研磨物品の表面上のアパーチャカバリッジの密度および分布に影響を及ぼし、これは同様に研磨物品の削り屑抽出効率に直接的に影響を及ぼす。実施形態において、アパーチャ数は、少なくとも約5、少なくとも約10、少なくとも約15;少なくとも約18、または少なくとも約21である。別の実施形態において、アパーチャ数は、約100,000以下;約50,000以下;約10,000以下;約1,000以下;約800以下;約750以下;約600以下;または約550以下である。アパーチャ数は、先の上下限の任意の対を含む範囲内であってよい。別の実施形態において、アパーチャ数は、約21から約10,000;約25から約1,000;約30から約750;または約35から約550の範囲である。特定の実施形態において、アパーチャ数は、約21から約550の範囲である。
【0033】
開度
開度αの増大または減少は、如何にアパーチャが、時計回り螺旋および反時計回り螺旋のパターン内および形状内に置かれるかに影響を及ぼす。開度は、360°を一定値または可変値で割ったものに等しいので、開度は一定値であってもよく、変化してもよい。開度の小さな変化が、アパーチャパターンを大きく変更し得ることが観察された。
図5a、
図5bおよび
図5cは、開度の値が僅かに異なる葉序パターンを示す。
図5aの開度は、137.3°である。
図5bの開度は、137.5°である。
図5cの開度は、137.6°である。実施形態において、開度は少なくとも約30°、少なくとも約45°、少なくとも約60°;少なくとも約90°、または少なくとも約120°である。別の実施形態において、開度は180°未満であり、約150°以下等である。開度は、先の上下限の任意の対を含む範囲内であってよい。別の実施形態において、開度は、約90°から約179°、約120°から約150°、約130°から約140°、または約135°から約139°に及ぶ。実施形態において、開度は、360°を無理数で割ることによって決定される。特定の実施形態において、開度は、360°を黄金比で割ることによって決定される。特定の実施形態において、開度は、約137°から約138°(約137.5°から約137.6°、約137.50°から約137.51°等)の範囲内である。特定の実施形態において、開度は137.508°である。
【0034】
研磨材の端部までの距離
研磨物品のジオメトリおよびその意図する使用に従い、アパーチャパターンの全体寸法が決定されてよい。パターンの中心から最も外側のアパーチャまでの距離は、研磨物品の端部と境を接する距離にまで延びてよい。従って、最も外側のアパーチャの端部は、研磨物品の端部にまで延びてもよいし、研磨物品の端部と交差してもよい。あるいは、パターンの中心から最も外側のアパーチャまでの距離が延びて、最も外側のアパーチャの端部と研磨物品の端部との間のスペース量が、アパーチャをなくする距離にまでなってよい。最も外側のアパーチャの端部からの最小距離は、所望の通りに特定されてよい(can specified)。実施形態において、最も外側のアパーチャの端部から、研磨物品の外側の端部までの最小距離は、特定の距離であり、離散的長さとして、またはアパーチャパターンが現れる研磨物品の表面の長さのパーセンテージとして、識別される。実施形態において、最も外側のアパーチャの端部から、研磨物品の外側端部までの最小距離は、少なくとも約ゼロであってよく(すなわち、最も外側のアパーチャの端部は、研磨物品の端部と交差する、または研磨物品の端部と末端を共にする(co−terminus))、研磨物品の表面の長さの約15%に及ぶ。
【0035】
アパーチャのサイズ
アパーチャのサイズは、少なくとも部分的に、研磨物品にとって所望されるアパーチャ面積総量によって、決定される。アパーチャのサイズは、パターンの全体を通じて一定であってもよいし、パターン内で変化してもよい。実施形態において、アパーチャのサイズは一定である。別の実施形態において、アパーチャのサイズは、パターンの中心からのアパーチャの距離によって変化する。
【0036】
スケーリングファクタ
スケーリングファクタは、アパーチャパターンの全体サイズおよび寸法に影響を与える。スケーリングファクタは、最も外側のアパーチャの端部が、研磨物品の外側端部の所望の距離内にあるように、調整されてよい。
【0037】
最も近い隣接するアパーチャ間の距離
アパーチャの数およびサイズの考慮と共に、最も近い隣接するアパーチャの中心間の距離が決定されてよい。任意の2つのアパーチャの中心間の距離は、他のアパーチャ設計を考慮した関数である。実施形態において、任意の2つのアパーチャの中心間の最短距離は、決して再現されない(すなわち、穴部から穴部の間隔は、決して同じ正確な距離ではない)。このタイプの間隔は、調節された非対称の例でもある。
【0038】
アパーチャパターンカバリッジ−許容可能な異形量
アパーチャパターンは、それが全体的に、または連続的に、研磨物品に適用される必要がないことは、明らかであろう。研磨物品の表面の様々な区分または区域に、完全なアパーチャパターンがないように、アパーチャパターンの一部分が適用または省略されてよい。実施形態において、アパーチャパターンの2分の1、3分の1、4分の1、5分の1、6分の1、8分の1、10分の1が、省略されてよい。別の実施形態において、アパーチャパターンは、研磨物品の僅か1つまたは複数の同心環状領域に、適用されてよい。別の実施形態において、アパーチャパターンの個々の弧または螺旋型アームに沿うアパーチャシリーズにおいて通常現れるであろう1つまたは複数のアパーチャを省略することが可能である。実施形態において、アパーチャが第n番目毎、またはアパーチャが第n番目の倍数毎に、省略されてよい。別の実施形態において、個々のアパーチャ、アパーチャ群、または特定数のシリーズに従うアパーチャが、省略されてよい。逆に、ある量のさらなるアパーチャをアパーチャパターンに含めることも可能である。アパーチャの追加または減少は、アパーチャパターンに対する異形として考えられてよく、パターンに対するある程度の異形量は、プラスでもマイナスでも許容可能であり得る。実施形態において、アパーチャパターンに対する許容可能な異形量は、研磨物品の総アパーチャ面積の0.1%から10%に及んでよい。
【0039】
アパーチャの形状
カバリッジの量は、アパーチャの形状によって影響されてよい。アパーチャの形状は、規則的であっても不規則であってもよい。実施形態において、アパーチャの形状は、スリット、正多角形、不規則多角形、楕円、円、弧、螺旋、チャンネル、またはこれらの組合せの形態であってよい。特定の実施形態において、アパーチャは形状が円である。別の実施形態において、アパーチャの形状は、1つまたは複数のスリットの形態であってよく、複数のスリットが交差する。
図6Aから
図6Fは、そのようなスリット形状のアパーチャの実施例を示す。スリットは、真空が研磨物品の後ろに対して適用された場合に、スリットによってもたらされるフラップが後屈する(bend back)ことで、やや正確な端部を有し得る、多角形に似たオープンなアパーチャが生じるように構成されている。削り屑の除去は、フラップの後方への屈曲によって促進されることとなると考えられている。これは、削り屑が真空系中に直接的に導かれて、任意のオープンな繊維層(研磨物品の後方に取り付けられてよい、フックおよびループ材料層等)内への削り屑の引込みが防止されることとなるためである。
【0040】
製造方法−アパーチャ
アパーチャは、標準的な変換技術によって生じてよく、スタンピング、打ち抜き(die−cutting)、レーザカット、またはこれらの組合せが挙げられる。実施形態において、アパーチャは打ち抜かれる。別の実施形態において、アパーチャはレーザカットされる。
【0041】
研磨物品の形状
研磨物品の形状は、所望のアパーチャパターンを収容し、かつ意図する研磨プロセスおよび製造材料によって決定されることとなる、任意の形状であってよい。実施形態において、研磨物品は、結合研磨物品である。別の実施形態において、研磨物品は、被覆研磨物品である。特定の実施形態において、研磨物品は、シート、ベルトまたは円形ディスクの1つである。
【0042】
図1は、分布が非均一であるパターンに配置された複数のアパーチャ101を有する被覆研磨物品100の実施形態の平面図を示す。被覆研磨材は、実質的に平面的な(すなわち、略平らな)円形ディスクの形状である。
【0043】
図7は、第1主要表面703および第2主要表面705を有するバッキング701を含む被覆研磨物品700の側面図を示す。研磨層707が、バッキングの第1主要表面上に配置されている。研磨層は、複数の層を含んでよく、バインダ層709が挙げられる(メイクコートとも呼ばれる)。複数の研磨粒711が、バインダ層内に分散されてもよいし、バインダ層中に侵入してもよいし、バインダ層上に置かれてもよいし、これらが組み合わされてもよい。アパーチャ713(すなわち、穴部)のパターンが、研磨物品の全層を突き通る。サイズコート715が任意で、バインダ層上に配置されてよい。特大サイズコート(図示せず)が、サイズコートを覆って配置されてよい。バックコート717が、バッキング層の第2主要表面(すなわち、背面)上に配置されてよい。ファスナー層719が、バックコートを覆って配置されてもよいし、あるいは、バッキングの第2主要面上に直接配置されてもよい。特定の実施形態において、被覆研磨物品700は任意で、バックアップパッド(図示せず)または真空系に取り付けられてよい。
【0044】
バッキング
バッキング701は、可撓性であってもよいし、硬質であってもよい。バッキングは、任意の数の種々の材料から製造されてよく、被覆研磨材の製造においてバッキングとして従来から用いられているものが挙げられる。可撓性のあるバッキングの例として、ポリマーフィルム(例えば、プライム処理(primed)フィルム)(ポリオレフィンフィルム(例えば、二軸延伸ポリプロピレンが挙げられる、ポリプロピレン)、ポリエステルフィルム(例えば、ポリエチレンテレフタレート)、ポリアミドフィルム、またはセルロースエステルフィルム等);金属箔;メッシュ;発泡体(例えば、天然のスポンジ材料またはポリウレタンフォーム);クロス(例えば、繊維またはヤーン(yams)(ポリエステル、ナイロン、絹、ワタ、ポリ−ワタまたはレーヨンを含む)から製造されるクロス);紙;加硫紙;加硫ゴム;加硫繊維;不織布材料;これらの組合せ;またはこれらを処理したものが挙げられる。クロスバッキングは、編まれてもよいし、ステッチボンドされてもよい。特定の実施例において、バッキングは、紙、ポリマーフィルム、クロス、ワタ、ポリ−ワタ、レーヨン、ポリエステル、ポリ−ナイロン、加硫ゴム、加硫繊維、金属箔、およびこれらの組合せからなる群から選択される。他の実施例において、バッキングとして、ポリプロピレンフィルムまたはポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムが挙げられる。
【0045】
バッキング701は任意で、飽和剤、プレサイズ層またはバックサイズ層の少なくとも1つを有してよい。これら層の目的は、一般的に、バッキングをシールすること、またはバッキングのヤーンもしくは繊維を保護することである。バッキングがクロス材料である場合、これら層の少なくとも1つが一般的に用いられる。プレサイズ層またはバックサイズ層を加えることで、付加的に、バッキングの前面側または裏面側の何れかに「より滑らかな」表面がもたらされ得る。当該技術において知られている他の任意の層が用いられてもよい(例えば、タイ層;米国特許第5700302号明細書(Stoetzel et al.)参照(この開示は、参照によって組み込まれる))。
【0046】
帯電防止材料が、クロス処理材料中に含まれてよい。帯電防止材料を加えることで、木材または木材様材料をサンダー仕上げする場合に、被覆研磨物品が静電気を蓄積する傾向が軽減され得る。帯電防止バッキングおよびバッキング処理に関するさらなる詳細が、例えば、米国特許第5108463号明細書(Buchanan et al.);米国特許第5137542号明細書(Buchanan et al.);米国特許第5328716号明細書(Buchanan);および米国特許第5,560,753号明細書(Buchanan et al.)において見られ得る(これらの開示は、参照によって本明細書に組み込まれる)。
【0047】
バッキングは、繊維性の熱可塑性強化プラスチック(例えば、米国特許第5417726号明細書(Stout et al.)に記載されるもの等)、または無端スプライスレスベルト(例えば、米国特許第5573619号明細書(Benedict et al.)に記載されるもの)であってよい(これらの開示は、参照によって本明細書に組み込まれる)。同様に、バッキングは、フッキングステムが突出するポリマー基質(例えば、米国特許第5505747号明細書(Chesley et al.)に記載されるもの等)であってよい(この開示は、参照によって本明細書に組み込まれる)。同様に、バッキングは、ループ布地(例えば、米国特許第5565011号明細書(Follett et al.)に記載されるもの等)であってよい(この開示は、参照によって本明細書に組み込まれる)。
【0048】
研磨層
研磨層707は、1つまたは複数のコートおよび複数の研磨粒から形成されてよい。例えば、研磨層は、メイクコート709を含み、そして任意でサイズコート715または特大サイズコートを含んでよい。研磨層は通常、バインダ上に配置された、バインダ内に埋められた、バインダ中に分散された、またはこれらが組み合わされた研磨粒711を含む。
【0049】
研磨粒
研磨粒711として、本質的には、単一フェーズの無機材料(アルミナ、炭化シリコン、シリカ、セリア等)、およびより硬い高性能超研磨粒(立方窒化ホウ素およびダイヤモンド等)が挙げられ得る。付加的に、研磨粒として、複合微粒子材料が挙げられ得る。このような材料として、凝集体が挙げられ得、スラリープロセシング経路を通して形成されてよい。この経路は、揮発または蒸発による液体キャリアの除去を含み、これにより緑色の凝集体が残り、任意で高温処理(すなわち、火入れ)が続いて、使用可能な焼成凝集体が形成される。さらに、研磨領域は、マクロ構造および特定の3次元構造を含むよう設計された研磨材を含んでよい。
【0050】
例示的な実施形態において、研磨粒はバインダ製剤と混合されて、研磨スラリーが形成される。あるいは、研磨粒は、バインダ製剤がバッキング上に被覆された後に、バインダ製剤を覆うように適用される。任意で、機能性粉末が研磨領域を覆うように適用されて、研磨領域のパターニングツーリングへの粘着が防止されてよい。あるいは、機能性粉末なしで研磨領域にパターンが形成されてよい。
【0051】
研磨粒は、シリカ、アルミナ(溶融または焼結)、ジルコニア、酸化ジルコニア/アルミナ、炭化シリコン、ガーネット、ダイヤモンド、立方窒化ホウ素、窒化シリコン、セリア、二酸化チタン、二ホウ化チタン、炭化ホウ素、酸化スズ、炭化タングステン、炭化チタン、酸化鉄、クロミア、フリント、エメリーが挙げられる研磨粒の任意の1つまたはこれらの組合せから形成されてよい。例えば、研磨粒は、シリカ、アルミナ、ジルコニア、炭化シリコン、窒化シリコン、窒化ホウ素、ガーネット、ダイヤモンド、共溶融アルミナジルコニア、セリア、二ホウ化チタン、炭化ホウ素、フリント、エメリー、窒化アルミナ、およびこれらの混合物からなる群から選択されてよい。特定の実施形態は、主にアルファ−アルミナで構成される高密度研磨粒が使用されて生じた。
【0052】
研磨粒はまた、特定の形状を有してもよい。このような形状の例として、ロッド、三角形、ピラミッド、錐、中実球、中空球等が挙げられる。あるいは、研磨粒は、ランダムな形状であってよい。
【0053】
実施形態において、研磨粒は、平均粒サイズが800ミクロン以下であってよく、約700ミクロン以下、500ミクロン以下、200ミクロン以下、または100ミクロン以下等である。別の実施形態において、研磨粒サイズは、少なくとも0.1ミクロン、少なくとも0.25ミクロン、または少なくとも0.5ミクロンである。別の実施形態において、研磨粒サイズは、約0.1ミクロンから約200ミクロン、より一般的には約0.1ミクロンから約150ミクロン、または約1ミクロンから約100ミクロンである。研磨粒の粒サイズは通常、研磨粒の最長寸法であると特定される。通常、粒サイズの範囲分布がある。場合によっては、粒度分布は厳しく調節される。
【0054】
メイクコート−バインダ
メイクコートまたはサイズコートのバインダは、単一のポリマーまたはポリマーの混合物から形成されてよい。例えば、バインダは、エポキシ、アクリルポリマー、またはこれらの組合せから形成されてよい。また、バインダは、充填剤(ナノサイズの充填剤、またはナノサイズの充填剤およびミクロンサイズの充填剤の組合せ等)を含んでよい。特定の実施形態において、バインダはコロイド状バインダであり、硬化されてバインダが形成される製剤は、微粒子充填剤を含むコロイド状懸濁液である。あるいは、または加えて、バインダは、サブミクロンの微粒子充填剤を含むナノコンポジットバインダであってよい。
【0055】
バインダは通常、存在する場合、ポリマーマトリックスを含み、これにより研磨粒がバッキングまたは適応コート(compliant coat)に結合する。通常、バインダは、硬化バインダ製剤から形成される。1つの例示的な実施形態において、バインダ製剤は、ポリマー成分および分散相を含む。
【0056】
バインダ製剤は、1つまたは複数の反応構成要素、またはポリマー調製のためのポリマー構成要素を含んでよい。ポリマー構成要素として、モノマー分子、ポリマー分子、またはこれらの組合せが挙げられ得る。バインダ製剤はさらに、溶媒、可塑剤、連鎖移動剤、触媒、安定化剤、分散剤、硬化剤、反応メディエータ、および分散系の流動性に影響を与えるための剤からなる群から選択される成分を含んでよい。
【0057】
ポリマー構成要素は、熱可塑性プラスチックまたは熱硬化物を形成してよい。一例として、ポリマー構成要素は、ポリウレタン、ポリ尿素、重合エポキシ、ポリエステル、ポリイミド、ポリシロキサン(シリコン)、重合アルキド、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、ポリブタジエンの形成用のモノマーおよび樹脂、または一般に、熱硬化性ポリマーの生産用の反応性樹脂を含んでよい。別の例として、アクリレートまたはメタクリレートポリマー構成要素が挙げられる。前駆体ポリマー構成要素は通常、硬化性の有機材料である(すなわち、熱、もしくは他のエネルギー(電子ビーム、紫外光、可視光等)の源にさらされて直ぐに、またはポリマーを硬化もしくは重合させる化学触媒、水分もしくは他の剤が添加されて時間が経つにつれ、重合または架橋することができるポリマーモノマーまたはポリマー材料)。前駆体ポリマー構成要素の例として、アミノポリマーまたはアミノプラストポリマーの形成用の反応性構成要素が挙げられる(アルキル化尿素−ホルムアルデヒドポリマー、メラミン−ホルムアルデヒドポリマー、およびアルキル化ベンゾグアナミン−ホルムアルデヒドポリマー;アクリレートポリマー(アクリレートおよびメタクリレートポリマー、アルキルアクリレート、アクリル化エポキシ、アクリル化ウレタン、アクリル化ポリエステル、アクリル化ポリエーテル、ビニルエーテル、アクリル化油、またはアクリル化シリコンが挙げられる);アルキドポリマー(ウレタンアルキドポリマー等);ポリエステルポリマー;反応性ウレタンポリマー;フェノールポリマー(レゾールおよびノボラックポリマー等);フェノール/ラテックスポリマー;エポキシポリマー(ビスフェノールエポキシポリマー等);イソシアネート;イソシアヌレート;ポリシロキサンポリマー(アルキルアルコキシシランポリマーが挙げられる);または反応性ビニルポリマー等)。バインダ製剤は、モノマー、オリゴマー、ポリマーまたはこれらの組合せを含んでよい。特定の実施形態において、バインダ製剤は、硬化されると架橋し得る少なくとも2タイプのポリマーのモノマーを含む。例えば、バインダ製剤は、硬化されるとエポキシ/アクリルポリマーを形成するエポキシ構成要素およびアクリル構成要素を含んでよい。
【0058】
添加剤−グラインディング助剤
研磨層はさらに、グラインディング効率およびカット率を上げるために、グラインディング助剤を含んでよい。有用なグラインディング助剤として、無機系の、ハライド塩(例えば、ナトリウムクリオライトおよびテトラフルオロホウ酸カリウム)等;または有機系の、塩素化ワックス(例えば、ポリ塩化ビニル)等があり得る。特定の実施形態は、粒子サイズが1ミクロンから80ミクロン、最も一般的には5ミクロンから30ミクロンに及ぶクリオライトおよびテトラフルオロホウ酸カリウムを含む。特大サイズコートは、抗グレージング特性および抗ローディング特性を付与するために、研磨粒を覆うように適用されるポリマー層であってよい。
【0059】
バックコート−適応コート
被覆研磨物品は任意で、適応コートおよびバックコート(図示せず)を含んでよい。これらコートは、先に記載したように機能してよく、かつバインダ組成物から形成されてよい。
【0060】
バックアップパッド
実施形態において、バックアップパッドは、パターン中に配置される複数のエアフロー経路を含んでよい。エアフロー経路のパターンは、正多角形、不規則多角形、楕円、弧、螺旋、葉序パターンまたはこれらの組合せを含んでよい。エアフロー経路のパターンは、放射円弧(arcurate)経路、放射螺旋経路、またはこれらの組合せを含んでよい。エアフロー経路のパターンは、内側放射螺旋経路および外側放射螺旋経路の組合せを含んでよい。エアフロー経路のパターンは、時計回り放射螺旋経路および反時計回り放射螺旋経路の組合せを含んでよい。エアフロー経路は、互いに離散的、または不連続であってよい。あるいは、1つまたは複数のエアフロー経路が、流動的に連結されてよい。
【0061】
放射円弧経路(「弧」)、放射螺旋経路またはこれらの組合せの数は、変化してよい。実施形態において、放射円弧経路、放射螺旋経路またはこれらの組合せの数は、1000以下であってよく、750以下、500以下、250以下、100以下、90以下、80以下、または75以下等である。実施形態において、放射円弧経路、放射螺旋経路、またはこれらの組合せの数は、2以上であってよく、3以上、5以上、7以上、9以上、11以上、15以上、または20以上等である。実施形態において、放射円弧経路、放射螺旋経路、またはこれらの組合せの数は、2から500であってよく、2から100等である。
【0062】
別の実施形態において、バックアップパッドは、エアフロー経路と交差する環状エアフロー経路をさらに含むエアフロー経路のパターンを有してよい。特定の実施形態において、環状エアフロー経路は、放射円弧経路、放射螺旋経路、またはこれらの組合せと交差してよい。
【0063】
エアフロー経路は、幅が変化してよい。エアフロー経路の幅は、一定であっても変化してもよいし、これらが組み合わされてもよい。実施形態において、エアフロー経路の幅は、固定長さの範囲内であってよい。実施形態において、エアフロー経路の幅は、0.1mmから10cmまで変化してよい。別の実施形態において、エアフロー経路の幅は、バックアップパッドが用いられている被覆研磨材のアパーチャのサイズに関連することとなる。実施形態において、エアフロー経路の幅は、被覆研磨材のアパーチャのサイズの1/10以上であり、被覆研磨材のアパーチャのサイズの1/8、1/6、1/5、1/4、1/3、または1/2以上等である。実施形態において、エアフロー経路の幅は、被覆研磨材のアパーチャのサイズの10倍以下であり、被覆研磨材のアパーチャのサイズの8倍以下、6倍以下、5倍以下、4倍以下、3倍以下、2倍以下等である。実施形態において、エアフロー経路の幅は、被覆研磨材のアパーチャのサイズにほぼ等しい。
【0064】
エアフロー経路は、エアフロー経路に沿って、またはエアフロー経路内に配置される、1つまたは複数のキャビティ、オリフィス、通路、穴部、開口部、またはこれらの組合せを有してよく(エアフロー経路の分岐等)、これらは、バックアップパッドの本体中に広がる。実施形態において、各エアフロー経路は、バックアップパッドの本体中に広がるエアフロー経路内に配置される少なくとも1つの穴部を有することとなる。
【0065】
当然のことながら、アパーチャの分布が非均一に調節された被覆研磨材に対応するように設計されたバックアップパッドは、従来の被覆研磨材およびアパーチャの分布が非均一に調節された特定の被覆研磨材と共に、首尾よく用いられ得る。発明者らは、驚くべきことに、バックアップパッドの実施形態が、より優れた削り屑除去を実現し得、かつ従来の研磨材の研磨性能の向上を促進し得ることを発見した。
【0066】
実施形態において、バックアップパッドは、分布が非均一に調節されたパターンを有する被覆研磨材と協働するよう構成されたエアフロー経路パターンを有してよい。先に述べたように、このようなバックアップは、削り屑除去および研磨性能を促進するために穴が突き通った従来の被覆研磨材と共に、用いられ得る。
【0067】
実施形態において、バックアップパッドは、エアフロー経路のパターンを含んでよく、エアフロー経路のパターンは、分布が非均一に調節されたパターンのxおよびy座標から生じる。バックアップパッドエアフローパターンを生じさせるために用いられる、分布が非均一に調節されたパターンは、バックアップパッドが用いられる被覆研磨材のアパーチャパターンと同じであっても異なってもよい。実施形態において、分布が非均一に調節されたパターンは、バックアップパッドが用いられる被覆研磨材のアパーチャパターンと同じである。別の実施形態において、分布が非均一に調節されたパターンは、バックアップパッドが用いられる被覆研磨材のアパーチャパターンと異なる。
【0068】
実施形態において、バックアップパッドは、本明細書中に記載される被覆研磨材の実施形態に従う葉序パターンを有する被覆研磨材と協働するよう構成されてよい。バックアップパッドは、葉序パターンを有する被覆研磨材と協働するように、バックアップパッドが複数の開口部、複数のキャビティ、複数のチャンネル、複数の通路、またはこれらの組合せを含む場合であれば、これらが、研磨プロセス中に、葉序パターンを有する被覆研磨材のアパーチャを通して、ワーク表面からの吸引および削り屑除去を促進するように設計されたパターンに構成される。開口部、キャビティ、チャンネル、通路、またはこれらの組合せは、バックアップパッドに沿って、バックアップパッド内に、もしくはバックアップパッドを通して、またはこれらが組み合わされて位置決めされるエアフロー経路を、規定し得る。エアフロー経路は、被覆研磨材のアパーチャを通した、研磨プロセス中のワーク表面からの吸引および削り屑除去の向上を促進する。実施形態において、開口部、キャビティ、チャンネル、通路、またはこれらの組合せのパターンは、正多角形、不規則多角形、楕円、弧、螺旋、葉序パターン、またはこれらの組合せの形態であってよい。別の実施形態において、エアフロー経路は、正多角形、不規則多角形、楕円、弧、螺旋、葉序パターン、またはこれらの組合せの形態であってよい。
【0069】
実施形態において、適切な螺旋または葉序パターンは、先に記載される研磨物品の実施形態の任意の葉序アパーチャパターンのxおよびy座標から生じてよい。実施形態において、螺旋または葉序パターンのxおよびy座標は、以下の式に従って、転置かつ回転されて、螺旋または葉序バックアップエアフローパターンのx’およびy’座標が決定され、式中、θは、ラジアンでのπ/nに等しく、nは、任意の整数である:
【数2】
【0070】
生じた転置かつ回転座標(x’およびy’)は、コンピューター支援製図(CAD)ソフトウェアの使用等によってプロットされて、適切なエアフローパターン(螺旋または葉序パターン等)が生じてよい。転置された葉序パターンの特定の実施形態が、
図9、
図12、
図15において示される。
【0071】
パターンは続いて、放射正確チャンネルおよび放射螺旋チャンネル、ならびに円弧チャンネルおよび螺旋チャンネルと交差してよい環状チャンネル、またはこれらの組合せを規定するために、用いられてよい。続いて、環状チャンネル、円弧チャンネル、螺旋チャンネル、またはこれらチャンネルの組合せは、適切な素材(溝、キャビティ、オリフィス、通路または他の経路の形態等)にカットされて、協働バックアップパッドが形成されてよい。転置された葉序パターンに基づくチャンネルパターンの特定の実施形態が、
図10、
図13、
図16に示される。転置された葉序パターンに基づくバックアップパッドのさらなる実施形態が、
図28、
図29、
図30、
図31、
図32、
図33、
図46および
図47に示される。
【0072】
ある実施形態において、バックアップパッドのエアフロー経路は、部分的乃至完全に、被覆研磨材のアパーチャと合致することとなる。アパーチャの領域の少なくとも一部が、エアフロー経路の一部と一致する、または位置合わせされる場合、エアフロー経路は、アパーチャと合致することが理解されよう。実施形態において、対応するバックアップパッドのエアフロー経路は、アパーチャの少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%と合致することとなる。実施形態において、対応するバックアップパッドのエアフロー経路は、被覆研磨材のアパーチャの少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも55%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも100%と合致してよい。
【0073】
当然のことながら、あるバックアップパッドの螺旋および葉序エアフローパターンは、特にエアフローパターンが被覆研磨材のアパーチャの座標の転置および回転に基づく場合、被覆研磨材のアパーチャパターンとの一定の品質のアライメントを示すこととなる。実施形態において、バックアップパッドのエアフローパターンは、バックアップパッドが、被覆研磨材に対して特定の位相角または回転角度にある場合、大多数乃至ほぼ全ての被覆研磨材アパーチャと合致することとなる。バックアップパッドは、バックアップが、被覆研磨材と比較して90°または180°回転し、被覆研磨材の大多数乃至ほぼ全てのアパーチャが、バックアップパッドの少なくとも1つのエアフロー経路と合致して、バックアップパッドのエアフロー経路が、被覆研磨材のアパーチャと合致する場合、単一アライメント(2倍アライメントとも呼ばれる)バックアップパッドであるといわれる。
図46は、単一アライメントバックアップパッドの実施形態を図解する。
図48から
図51は、
図46の単一アライメントバックアップパッドを覆う、フォーゲル式に従う、442のアパーチャ(441が中心アパーチャを囲む)を有する被覆研磨材の実施形態の図解を示しており、被覆研磨材は、被覆研磨材のアパーチャが、バックアップパッドの何れの外側螺旋とも対応しない被覆研磨材のアパーチャ間を行き来するように、バックアップパッドの位相から90°、180°、270°および0°回転して、被覆研磨材のほぼ全てのアパーチャを、バックアップパッドの少なくとも1つの外側螺旋に対応させる。二重アライメント(4倍アライメントとも呼ばれる)バックアップパッドが、
図47に図解される。
図52から
図59は、
図47の二重アライメントバックアップパッドを覆う、フォーゲル式に従う、442のアパーチャ(441が中心アパーチャを囲む)を有する被覆研磨材の実施形態の図解を示しており、被覆研磨材は、バックアップパッドの位相から45°、90°、135°、180°、225°、270°、315°および0°回転する。ここでも、被覆研磨材のアパーチャが、バックアップパッドの何れの外側螺旋(45°、135°、225°および315°)とも対応しない被覆研磨材のアパーチャ間を行き来して、被覆研磨材のほぼ全てのアパーチャを、バックアップパッドの少なくとも1つの外側螺旋(90°、180°、270°および0°)に対応させることが、示されている。
【0074】
実施形態において、バックアップパッドは、アライメントインディケータを含む、または含むように構成されてよい。アライメントインディケータは、バックアップパッドの、被覆研磨材とのアライメントの程度を示すためのマーク、装置、ノッチ、アタッチメント、カラー、突起、またはこれらの組合せであってよい。特定の実施形態において、アライメントインディケータはマークであってよい。
【0075】
このようなバックアップパッドは、本明細書中に記載される研磨物品の実施形態と協働すると記載されるが、標準的な最高技術水準の、穴の突き通った被覆研磨材と用いられてもよい。予想外にも、複数の開口部、複数のキャビティ、複数のチャンネル、またはこれらの組合せが適切な螺旋または葉序パターンエアフロー経路を形成するバックアップパッドは、削り屑除去を向上させ、研磨カット性能、ならびに、標準的な最高技術水準の、穴の突き通った被覆研磨材、およびパーホレーションの葉序パターンを有する被覆研磨材双方の研磨寿命を増進し得ることが分かった。
【0076】
バックアップパッドは可撓性であってもよいし、硬質であってもよい。バックアップパッドは、任意の数の種々の材料、または材料の組合せから製造されてよく、バックアップパッドの製造において従来から用いられているものが挙げられる。バックアップパッドは、単一ピース、単体構造、または多ピース構造(多層構造または同心層構造等)から製造されてよい。バックアップパッドは好ましくは、弾性材料(軟質発泡体等)である。適切な発泡体として、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエステル−ウレタン、ポリエーテルウレタン;天然または人工ゴム(ポリブタジエン、ポリイソプレン、EPDMポリマー、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリクロロプレン(polychroloprene)もしくはスチレン/ブタジエンコポリマー;またはこれらの組合せ等)があり得る。発泡体はオープンセルでもクローズドセルでもよい。添加剤(カップリング剤、強化剤、硬化剤、抗酸化剤、補強剤等)等が、所望の特性を達成するために、発泡体製剤に加えられてよい。染料、顔料、充填剤、帯電防止剤、難燃剤およびスクリムが、バックアップパッドを製造するために用いられる発泡体または他の弾性材料に、加えられてもよい。
【0077】
特に有用な発泡体として、TDI(トルエンジイソシアネート)/ポリエステルおよびMDI(メチレンジフェニルジイソシアネート)/ポリエステル発泡体が挙げられる。実施形態において、バックアップパッドは、弾性のあるオープンセルポリウレタン発泡体(ポリエーテルポリオールおよび芳香族ポリイソシアネートの反応生成物として形成される)から製造される。別の実施形態において、バックアップパッドは、発泡体、加硫ゴム、またはこれらの任意の組合せであってよい。
【0078】
製造方法−被覆研磨物品
アパーチャパターンを有する被覆研磨物品を製造する方法に着目すると、バッキングは、ロールから分配されてよく、バッキングは、被覆装置から分注されるバインダ製剤で被覆されてよい。例示的な被覆装置として、ドロップダイコータ、ナイフコータ、カーテンコータ、真空ダイコータ、またはダイコータが挙げられる。被覆方法論として、接触方法または非接触方法の何れかが挙げられ得る。そのような方法として、2本ロール、3本ロールリバース、ナイフオーバーロール、スロットダイ、グラビア、押出し、またはスプレー被覆適用が挙げられる。
【0079】
実施形態において、バインダ製剤は、製剤および研磨粒を含むスラリー中に与えられてよい。別の実施形態において、バインダ製剤は、研磨粒とは別に分注されてよい。研磨粒は、バッキングのバインダによる被覆後、バインダ製剤の部分的硬化後、バインダ製剤のパターニング後(もしあれば)、またはバインダ製剤の完全硬化後に、与えられてよい。研磨粒は、例えば、静電被覆、ドロップ被覆、または機械的プロジェクション等の技術によって、適用されてよい。
【0080】
別の実施形態において、バッキング(バインダおよび研磨粒で被覆される)は、スタンプされ、打ち抜きされ、レーザカットされ、またはこれらが組み合わされて、アパーチャのパターンが形成されてよい。アパーチャには、バッキング材料、バインダおよび研磨粒が実質的になくてよい。
【0081】
別の実施形態において、バッキングは、バインダで選択的に被覆され、被覆されない領域が残り、これがその後カットされて、アパーチャが形成されてよい。例えば、バインダは、バッキング上に、スクリーンプリント、オフセットプリントまたはフレキソグラフプリント等によって、プリントされてよい。別の実施例において、バインダは、グラビア被覆、スロットダイ被覆、マスクド吹付け被覆等を用いて、選択的に被覆されてよい。あるいは、フォトレジストまたはUV硬化性マスクが、バッキングに適用され、そしてフォトリソグラフィー等によって現像されて、バッキングの一部分がマスクされてよい。別の実施例において、デウェッティング化合物がバッキングに適用されてから、バインダが適用されてよい。
【0082】
ワークピースを研磨する方法に着目すると、ワークピースは、被覆研磨材と接触してよい。被覆研磨材は、ワークピースに対して回転してよい。例えば、被覆研磨材は、オービタルサンダーに取り付けられて、ワークピースと接触してよい。ワークピースを研磨する一方で、ワークピースから研磨された物質が、アパーチャ内に蓄積し得る。蓄積された物質は、使用中の被覆研磨材の移動によって、アパーチャから排出され得る。あるいは、真空系が研磨物品(研磨物品と協働して機能するように構成されたバックアップパッドを含んでよい)に装備されてよい。
【実施例】
【0083】
実施例1−削り屑抽出効率
研磨ディスクアパーチャパターンのポテンシャル削り屑抽出効率を、選択したオービタルにおける研磨ディスクの回転によって規定される概念的な表面上の任意の点について、アパーチャからの平均距離を決定することによって、定量化することができる。比較サンプル1(
図20A)および本発明のサンプル1からサンプル3(
図20Bから
図20D)の研磨表面(すなわち、研磨ディスクパターン)を、
図20Aから
図20Dの上側部分に示す。研磨ディスクの回転によって規定される概念的な表面上の任意の点について、アパーチャからの平均距離を、シミューレーションソフトウェアを用いて決定した。パワードハンドヘルドオービタルサンダーの標準的なオービタルに相当するオービタルを用いた。
図20Aから
図20Dの中央部分に示すように、各研磨パターンの平均距離をプロットした。アパーチャからの平均距離を、
図20Aから
図20Dの下側部分に、半径の関数としてグラフ化し、そして曲線下面積を積分し、各アパーチャパターンの値を比較した。積分値が低い程、アパーチャカバリッジがより良好であり、従って削り屑抽出効率がより良好であることが示される。本発明のアパーチャパターンは全て積分値がより低く、従って削り屑抽出効率は、比較サンプルよりも優れていた。これは、全サンプルがほぼ等しい量のアパーチャ面積を有することを考えると、驚くべきことであった。これは、研磨ディスクの表面について、アパーチャの分布がより優れていることを示す。本発明のサンプル3は特に、積分値が劇的に低かった(93%の減少)。
【0084】
比較サンプル1は、5”MultiAir研磨ディスクパターンであり、125の穴部があり、そしてアパーチャ面積(すなわち、除去した面積)が10.5%であった。任意のある点について、アパーチャからの最大平均距離は、3から4mmの範囲内であった。アパーチャからの平均距離の積分は、49mm
2であった。
【0085】
サンプル1は、5”フォーゲルヒマワリ研磨ディスクパターンであり、150の穴部があり、そしてアパーチャ面積(すなわち、除去した面積)が10.7%であった。任意のある点について、アパーチャからの最大平均距離は、2から3mmの範囲内であった。アパーチャからの平均距離の積分は、33mm
2(32%の減少)であった。
【0086】
サンプル2は、5”フォーゲルヒマワリ研磨ディスクパターンであり、250の穴部があり、そしてアパーチャ面積(すなわち、除去した面積)が10.8%であった。任意のある点について、アパーチャからの最大平均距離は、1から2mmの範囲内であった。アパーチャからの平均距離の積分は、11mm
2(77%の減少)であった。
【0087】
サンプル3は、5”フォーゲルヒマワリ研磨ディスクパターンであり、350の穴部があり、そしてアパーチャ面積(すなわち、除去した面積)が10.7%であった。任意のある点について、アパーチャからの最大平均距離は、1から2mmの範囲内であった。アパーチャからの平均距離の積分は、3mm
2(93%の減少)であった。
【0088】
【表1】
【0089】
実施例2−研磨面積の増大による抽出効率の向上
さらなる本発明の研磨アパーチャパターンを、上記したのと同じ手順を用いて、ポテンシャル削り屑抽出効率に関して調査した。比較サンプル1(
図21A)および本発明のサンプル1からサンプル3(
図21Bから
図21D)の研磨ディスクパターンを、
図21Aから
図21Dの上側部分に示す。
図21Aから
図21Dの中央部分に示すように、各研磨パターンの平均距離をプロットした。アパーチャからの平均距離を半径の関数としてグラフ化し、
図20Aから
図20Dの下側部分に示した。曲線下面積を積分し、各アパーチャパターンの値を比較した。驚くべきことに、本発明の全サンプルは、アパーチャ面積が比較サンプルよりも2.7%から6.3%低いながらも、より良好な積分値に匹敵する積分値を達成した。これは、本発明の研磨ディスクの表面について、アパーチャの分布が望ましいことを示す。というのも、利用可能な研磨面積量が増大すると同時に、非常に高い削り屑抽出効率が維持され得るためである。本発明のサンプル3は、積分値が最も劇的に低かったが、利用可能な研磨面積は最も大きかった。
【0090】
比較サンプル1は、5”MultiAir研磨ディスクパターンであり、125の穴部があり、そしてアパーチャ面積(すなわち、除去した面積)が10.5%であった。任意のある点について、アパーチャからの最大平均距離は、3から4mmの範囲内であった。アパーチャからの平均距離の積分は、49mm
2であった。
【0091】
サンプル1は、5”フォーゲルヒマワリ研磨ディスクパターンであり、148の穴部があり、そしてアパーチャ面積(すなわち、除去した面積)が7.8%であった(研磨領域が2.7%増大した)。任意のある点について、アパーチャからの最大平均距離は、2から3mmの範囲内であった。アパーチャからの平均距離の積分は、51mm
2(4%の増大)であった。
【0092】
サンプル2は、5”フォーゲルヒマワリ研磨ディスクパターンであり、246の穴部があり、そしてアパーチャ面積(すなわち、除去した面積)が5.0%であった(研磨領域が5.5%増大した)。任意のある点について、アパーチャからの最大平均距離は、2から3mmの範囲内であった。アパーチャからの平均距離の積分は、32mm
2(34%の減少)であった。
【0093】
サンプル3は、5”フォーゲルヒマワリ研磨ディスクパターンであり、344の穴部があり、そしてアパーチャ面積(すなわち、除去した面積)が3.7%であった。任意のある点について、アパーチャからの最大平均距離は、1から2mmの範囲内であった。アパーチャからの平均距離の積分は、22mm
2(55%の減少)であった。
【0094】
【表2】
【0095】
実施例3−研磨性能−真空非特異的バックアップパッドあり
ハンドヘルドオービタルサンダーを用いてキャストアクリルパネルを研磨することによって、5インチの被覆研磨ディスクを試験した。各被覆研磨ディスクを、キャストアクリルパネルの全長にわたる直線において移動させた。各グラインディングサイクルの前および後に、スケールを用いてキャストアクリルパネルの重量を測定することによって、除去した物質の量を決定した。6回のグラインドの重量損失を合計することによって、除去した平均物質を決定した。3回のトライアルを平均することによって、平均材料除去を決定した。
【0096】
キャストアクリルパネルの表面終値(Rz)を、カットの全長に沿う3点での第1グラインド後に測定した。3回のトライアルの平均Rzをとった。
【0097】
図22は、比較サンプル1および本発明の3サンプルの累積カットおよび表面終値を比較したチャートを示す。
【0098】
粒サイズがP1500(約12.6ミクロンの平均研磨グリットサイズ)の被覆研磨ディスクの比較を行った。試験の各グラインドは、特に明記しない限り、真空を適用して30秒間行った。Dynabrade 54−穴部バックアップパッド(「硬い」パッド)を、全サンプルに用いた。
【0099】
比較サンプル1は、Norton MultiAir 5”直径ディスクであり、P1500のグリットサイズであり、125の穴部が分配されたグリッドパターンであった。アパーチャ面積の総量は、ディスクの10.5%であった。
【0100】
サンプル1は、5”直径の研磨ディスクであり、P1500のグリットサイズであり、そして葉序アパーチャパターンがフォーゲル式に基づいた。アパーチャ数は150であった。アパーチャ面積の総量は、10.5%であった。
【0101】
サンプル2は、アパーチャ数が250であること以外は、サンプル1と同じであった。アパーチャ面積の総量は、10.8%であった。
【0102】
サンプル3は、アパーチャ数が350であること以外は、サンプル1と同じであった。アパーチャ面積の総量は、10.7%であった。
【0103】
【表3】
【0104】
実施例4−研磨性能−真空非特異的バックアップパッドあり
図23は、比較サンプル1および本発明の3サンプルの累積カットおよび表面終値を比較したチャートを示す。
【0105】
研磨性能試験は、Norton Multi−Air 125穴部バックアップパッド(「軟らかい」パッド)を全サンプルに用いること以外は、先の実施例3と同じように行った。
【0106】
比較サンプル1および本発明のサンプル1からサンプル3は、先の実施例3と同じであった。
【0107】
【表4】
【0108】
実施例5−研磨性能−真空非特異的バックアップパッドあり
図24は、比較サンプル1および本発明の3サンプルの累積カットおよび表面終値を比較したチャートを示す。
【0109】
研磨性能試験は、6回のグラインドサイクルがそれぞれ2分間であること以外は、先の実施例3と同じように行った。
【0110】
比較サンプル1および本発明のサンプル1からサンプル3は、P80の研磨グリットサイズ(約201ミクロンの平均研磨粒サイズ)を全サンプルに用いること以外は、先の実施例3と同じであった。
【0111】
【表5】
【0112】
実施例6−研磨性能−真空非特異的バックアップパッドあり
図25は、比較サンプル1および本発明の3サンプルの累積カットおよび表面終値を比較したチャートを示す。
【0113】
研磨性能試験は、6回のグラインドサイクルがそれぞれ2分間であること以外は、先の実施例4と同じように行った。
【0114】
比較サンプル1および本発明のサンプル1からサンプル3は、P80の研磨グリットサイズ(約201ミクロンの平均研磨粒サイズ)を全サンプルに用いること以外は、先の実施例4と同じであった。
【0115】
【表6】
【0116】
実施例7−研磨性能−真空協働的バックアップパッドあり
図26は、比較サンプル1および本発明の2サンプルの進行時間間隔(progressive time intervals)にてカットした物質のグラフを示す。
【0117】
研磨性能試験を、先の実施例1と同じようにして、それぞれ30秒の6回のグラインドサイクルを用いて、行った。3反復行って、平均値を記録した。
【0118】
比較サンプル1は、Norton MultiAir 5”直径ディスクであり、P1500のグリットサイズであり、そして125の穴部が分配されたグリッドパターンであった。協働的MultiAirバックアップパッド(「軟らかい」パッド)を共に用いた。アパーチャ面積の総量は、ディスクの10.5%であった。
【0119】
サンプル1は、5”直径の研磨ディスクであり、P1500のグリットサイズであり、そして葉序アパーチャパターンがフォーゲル式に基づいた。アパーチャ数は246であり、246のフォーゲルアパーチャパターンの転置画像に基づく協働的バックアップパッド(「軟らかい」パッド)も共に用いた。研磨ディスクのアパーチャ面積の総量は、5%であった。
【0120】
サンプル2は、5”直径の研磨ディスクであり、P1500のグリットサイズであり、そして葉序アパーチャパターンがフォーゲル式に基づいた。アパーチャ数は344であり、344のフォーゲルアパーチャパターンの転置画像に基づく協働的バックアップパッド(「軟らかい」パッド)を共に用いた。研磨ディスクのアパーチャ面積の総量は、3.7%であった。
【0121】
グラフにおいて分かるように、最初のカット(第1サイクル)は僅かに低かったが、カットの低下率は、コントロールMulti−Airパターンと比較して、有意に向上した。低下率は、ディスクのローディングの兆候である。ローディングがより高い程、カット率はより速く低下する。カットの損失率が軽減したこの改善は、本発明のサンプルのアパーチャパターンが比較アパーチャパターンに対して改善されていることの明らかな兆候である。その上、本発明のサンプルは、比較サンプルよりも累積カット率が高い。サンプル1(+14.75%)およびサンプル2(+27.81)の累積カットの増大パーセントは、サンプル1(+5%)およびサンプル2(+6.8)のより大きな研磨面積量を不釣合いな程に上回る。これは、本発明のアパーチャパターンの削り屑除去効率の増大、および協働的バックアップパッドの使用による、相乗的な研磨性能効果を示すように思われる。さらに、本発明のサンプルの表面終値は、比較サンプルのものと同じであるか、それよりも良い(値がより低い程、平均粗さがより低いことを示す)。
【0122】
【表7】
【0123】
【表8】
【0124】
実施例8−研磨性能試験−真空かつ対応バックアップパッドあり
研磨性能試験を、ビークルサイドパネルに対して行った。サイドパネルはファイバーグラスであり、プライマーで電着被覆した。6インチの研磨ディスク、バックアップパッド、および真空アタッチメントを装備したハンドヘルドオービタルサンダーを用いて、ビークルサイドパネルを研磨した。コントロールの2サンプルおよび本発明の3サンプルを試験した。コントロールサンプルおよび本発明のサンプルの、研磨ディスクおよびバックアップパッドの組合せを表_に示し、以下でより詳細に記載する。
【0125】
全試験について、ビークルサイドパネルの表面全体にわたって連続した行をカバーする側方運動を用いて、ビークルサイドパネルを研磨した。複数のランを、研磨ディスクおよびバックアップパッドの各組合せについて行った。研磨ディスクの平均寿命、および研磨ディスクの寿命中に研磨される平均表面積を、測定した。
図24は、コントロールおよび本発明の各サンプルについての、平均寿命、および寿命中に研磨される平均面積を比較したチャートを示す。
【0126】
各サンプルの平均寿命および寿命中に研磨される平均面積を用いて、ビークルパネルの10,000平方フィートを研磨するのに必要とされる時間を推定および比較した。計算は、45秒の時間で研磨ディスクが変化すると仮定する。
図25は、コントロールおよび本発明のサンプルの、ビークルパネルの10,000平方フィートを研磨するのに必要な時間(時)を比較したチャートを示す。
【0127】
コントロールサンプル1は、Norton MultiAir 6”直径研磨ディスク(サイズP320の酸化アルミニウムグリットで被覆され、181の打ち抜きアパーチャ(1つはディスクの中心にある、半径が7.8mmのアパーチャ、プラス180の、1.65mmのアパーチャがあり、中心アパーチャを囲んでいる)が分配されたグリッドパターンを有する)を用いた(以降、「打ち抜きMultiAirディスク」と呼ぶ)。アパーチャ面積の総量は、ディスクの総面積のおよそ10%であった。対応するNorton MultiAir 6”直径バックアップパッド(以降、「MultiAirバックアップパッド」と呼ぶ)は、ポリウレタン発泡体から製造され、打ち抜きMultiAirディスクと同じパターンで181のアパーチャを有し、これを試験中に用いた。
【0128】
コントロールサンプル2は、被覆研磨ディスクのアパーチャがレーザカットアパーチャであること以外は、コントロールサンプル1と同じ、Norton MultiAir 6”被覆研磨ディスクを用いた(以降、「レーザカットMultiAirディスク」と呼ぶ)。コントロールサンプル1におけるのと同じMultiAirバックアップパッドを用いた。
【0129】
本発明のサンプル1は、コントロールサンプル2におけるのと同じレーザカットMultiAir研磨ディスクを用いた。螺旋エアフローチャンネルがフォーゲル式の転置に基づく、本発明の6”直径バックアップパッドを用いた(以降、「ヒマワリバックアップパッド」と呼ぶ)。ヒマワリバックアップパッドは、2回対称および螺旋パターンが、247の総アパーチャを有するフォーゲル式パターンと対応するように構成した。螺旋パターンは、34の外側螺旋および8の内側螺旋を含み、それぞれの幅は1.3mmであった。内側螺旋および外側螺旋は、互いに離散的であった。各螺旋は、エアを流すためのチャンネルを含み、エアは、研磨ディスクのアパーチャを通して、チャンネルに沿って、そして、チャンネル内に配置した少なくとも1つのアパーチャを通してバックアップパッドの本体を通った。
図36および
図46参照。
【0130】
本発明のサンプル2は、6”直径研磨ディスク(P320の酸化アルミニウム研磨グリットを有し、フォーゲル式に従う葉序アパーチャパターンに、総数247のアパーチャを有する(1つはディスクの中心にある、半径が7.8mmのアパーチャ、プラス246の、1.3mmのアパーチャがあり、中心アパーチャを囲んでいる))であった(以降、ヒマワリ研磨ディスクと呼ぶ)。ヒマワリディスクのアパーチャ面積の総量は、総ディスク面積のおよそ8%であった。コントロールサンプル1におけるのと同じMultiAirバックアップパッドを用いた。
【0131】
本発明のサンプル3は、6”直径研磨ディスク(P320の酸化アルミニウム研磨グリットを有し、フォーゲル式に従う葉序アパーチャパターンに、総数247のアパーチャを有する(1つはディスクの中心にある、半径が7.8mmのアパーチャ、プラス246の、1.3mmのアパーチャがあり、中心アパーチャを囲んでいる))であった(以降、ヒマワリ研磨ディスクと呼ぶ)。ヒマワリディスクのアパーチャ面積の総量は、総ディスク面積のおよそ8%であった。本発明のサンプル1におけるのと対応するヒマワリバックアップパッドを用いた。
【0132】
【表9】
【0133】
サンプル1は、ヒマワリバックアップパッドが、最高技術水準のMultiAirディスクと使用可能であったこと、そしてヒマワリバックアップパッドの切り屑が、コントロール1およびコントロール2と比較して、より大きな総表面積の研磨、およびより長い研磨ディスク寿命に寄与したことを実証する。パネルの10,000平方フィートを研磨するのに必要とされる時間の量は、13%引き下げられた。
【0134】
サンプル2は、ヒマワリ研磨ディスクが、最高技術水準のMultiAirバックアップパッドと使用可能であったこと、そしてヒマワリ研磨ディスクの切り屑が、コントロール1およびコントロール2と比較して、より大きな総表面積の研磨、およびより長い研磨ディスク寿命に寄与したことを実証する。パネルの10,000平方フィートを研磨するのに必要とされる時間の量は、3%引き下げられた。
【0135】
サンプル3は、ヒマワリ研磨ディスクおよびヒマワリバックアップパッドの対が、MultiAirディスクおよびMultiAirバックアップパッドの対と比較して、より大きな総表面積の研磨、およびより長い研磨ディスク寿命に寄与したことを実証する。さらに、ヒマワリ研磨ディスクおよびヒマワリバックアップパッドの対は、全試験組合せの中で最も高い総表面積の研磨を実現した。パネルの10,000平方フィートを研磨するのに必要とされる時間の量は、24%引き下げられた。なお、24%の引き下げ幅は、相乗的であるように思われる。というのも、この引き下げ幅は、サンプル1の引き下げ幅(ヒマワリバックアップパッド−13%の引き下げ)プラスサンプル2の引き下げ幅(ヒマワリ研磨ディスク−3%の引き下げ)の合計よりも大きいためである。ヒマワリ研磨ディスクのより高い研磨性能と同時に、削り屑除去のためのより小さなアパーチャ面積を達成することも指摘される。
【0136】
実施例9−カット効率試験
研磨性能試験をビークルサイドパネルに対して行い、研磨ディスクおよびバックアップパッドの種々の組合せのカット効率を推定した。ビークルサイドパネルは、実施例8において上記したように、ファイバーグラスであり、プライマーで電着被覆した。実施例8のように、6インチの研磨ディスク、バックアップパッド、および真空アタッチメントを装備したハンドヘルドオービタルサンダーを用いて、ビークルサイドパネルを研磨した。本発明の3サンプルおよびコントロールの1サンプルを試験した。MultiAirおよびヒマワリ研磨ディスクは、研磨グリットがサイズp80の酸化アルミニウムであること以外は、実施例8について上記したのと同じであった。コントロールサンプルおよび本発明のサンプルの、研磨ディスクおよびバックアップパッドの組合せを表10に示し、以下でより詳細に記載する。
【0137】
全試験について、実施例8において上記したのと同じように、ビークルサイドパネルの表面全体にわたって連続した行をカバーする側方運動を用いて、パネルを研磨した。単一の研磨ディスクを用いて、ディスクの寿命末期に達するまで、パネルに対する研磨を調節した。研磨ディスクの寿命末期に達する時間および総研磨面積を記録した。カット効率(総研磨面積/寿命)を算出した。
図26は、コントロールおよび本発明のサンプルの、算出したカット効率(efficinecies)を比較したチャートを示す。
【0138】
【表10】
【0139】
サンプル1およびサンプル2は、コントロール1と比較して、カット効率の向上および総研磨面積の向上を実証した。サンプル1は、コントロール1と比較して、カット効率が12%向上し、サンプル2は、コントロール1に対して、カット効率が9%向上した。
【0140】
実施例10−カット効率試験
研磨性能試験をビークルサイドパネルに対して行い、研磨ディスクおよびバックアップパッドの種々の組合せのカット効率を推定した。ビークルサイドパネルは、実施例9において上記したように、ファイバーグラスであり、プライマーで電着被覆した。実施例9のように、6インチの研磨ディスク、バックアップパッド、および真空アタッチメントを装備したハンドヘルドオービタルサンダーを用いて、ビークルサイドパネルを研磨した。本発明の3サンプルおよびコントロールの1サンプルを試験した。MultiAirおよびヒマワリ研磨ディスクは、研磨グリットがp80サイズのセラミック酸化アルミニウムおよびゾルゲル酸化アルミニウムの混合物であること以外は、実施例9について上記したのと同じであった。コントロールサンプルおよび本発明のサンプルの、研磨ディスクおよびバックアップパッドの組合せを表6_に示し、以下でより詳細に記載する。
【0141】
全試験について、実施例9において上記したのと同じように、ビークルサイドパネルの表面全体にわたって連続した行をカバーする側方運動を用いて、パネルを研磨した。単一の研磨ディスクを用いて、ディスクの寿命末期に達するまで、パネルに対する研磨を調節した。研磨ディスクの寿命末期に達する時間および総研磨面積を記録した。カット効率(総研磨面積/寿命)を算出した。
図27は、コントロールおよび本発明のサンプルの、算出したカット効率を比較したチャートを示す。
【0142】
【表11】
【0143】
サンプル1およびサンプル2は、コントロール1と比較して、カット効率の向上および総研磨面積の向上を実証した。サンプル1は、コントロール1と比較して、カット効率が16%向上し、サンプル2は、コントロール1に対して、カット効率が55%向上した。
【0144】
概説または実施例において先に記載した活動の全てが必要とされるわけではないこと、一部の特定の活動が、必要とされずともよいこと、そして1つまたは複数のさらなる活動が、記載されるものに加えて実行されてよいことに留意されるべきである。さらに、活動が記載される順序は、必ずしも、それらが実行される順序であるわけではない。
【0145】
先の明細書では、特定の実施形態を参照して概念を記載した。しかしながら、当該技術の通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載した本発明の範囲から逸脱しない範囲で、種々の修正および変更をしてよいことが理解できる。従って、明細書および図は、制限的な意味よりはむしろ実例的な意味で見られるべきであり、その修正は全て、本発明の範囲内に含まれることが意図される。
【0146】
本明細書中で使用されるものとして、用語「含む(comprises)」、「含んでいる(comprising)」、「含む(includes)」、「含んでいる(including)」、「有する(has)」、「有している(having)」、またはこれらの任意の他の変形は、非排他的な内包をカバーすることを意図している。例えば、特徴のリストを含むプロセス、方法、物品または装置は、必ずしも、それらの特徴にのみ限定されるわけではなく、そのようなプロセス、方法、物品または装置に明示的に記載されていない、または固有でない他の特徴を含んでよい。さらに、明示的にそれとは反対に述べられる場合を除き、「または(or)」は、排他的orではなく包含的orを指す。例えば、条件AまたはBは、以下の何れか1つによって満たされる:Aは真であり(または存在し)、かつBは偽である(または存在しない)、Aは偽であり(または存在しない)、かつBは真である(または存在する)、そしてAおよびBは双方とも真である(または存在する)。
【0147】
また、「a」または「an」の使用は、本明細書中に記載される(複数の)要素および成分を記載するために用いられる。これは、単に便宜のために行われ、本発明の範囲の広義の意味を与えるためである。この記載は、1つまたは少なくとも1つを含むと読まれるべきであり、単数は、そうでない場合を意味することが明らかである場合を除き、複数をも含む。
【0148】
利益、他の利点、および課題の解決策を、特定の実施形態に関して、上に記載した。しかしながら、利益、利点、課題の解決策、および、任意の利益、利点もしくは解決策が生じるように、またはより顕著になるようにし得る任意の特徴は、任意の、または全ての特許請求の範囲の決定的な、必要とされる、または不可欠な特徴として解釈されなくともよい。
【0149】
明細書を読んだ後に、当業者は、ある特徴が、明瞭となるように、別個の実施形態に照らして本明細書中に記載されていること、また、単一の実施形態において組み合わせて与えられてもよいことを理解することとなる。逆に、簡潔となるように、単一の実施形態に照らして記載される種々の特徴は、別々に、または任意の部分的組合せで、与えられてもよい。さらに、範囲において述べられた値への言及は、その範囲内の各値およびあらゆる値を含む。