【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、例えば、シャワー水に空気を混入して、洗髪時に頭皮に刺激を与えるためには、空気の泡は大きい方が良い筈である。何故なら、物理的刺激を与えるのは「シャワー水」そのものの衝撃であり、このシャワー水の流れが、混入している空気によって一旦途切れた後に、次のシャワー水が吐出することによって断続的に刺激が与えられると考えられるからである。これに対して、身体を温めるために「炭酸ガス」を使用する場合は、この炭酸ガスの気泡をなるべく小さくして、炭酸ガス自体が身体表面に接触するようにすると良いようであるが、炭酸ガスは別途用意しなければならない。
【0007】
そこで、本発明者は、シャワーヘッドの周囲に充満している空気を利用して、この空気の気泡を含むシャワー水による物理的刺激が十分となるようにするにはどうしたらよいか、またそのための構造はできるだけ簡素にしたい等、について種々検討してきた結果、次のような結論を得たのである。
(イ)シャワー水中の「泡」による物理的刺激(マッサージ効果)は、大きい泡の方が高いこと
(ロ)水道やこれにつながっている湯水混合栓からの圧力(2〜4Kgf/cm
2)程度で発生するベンチュリー効果で十分機能するようにすること。
(ハ)水流中で一旦発生した気泡が潰れる(細かくなる)のは、上記特許文献1の発明者も気付いているように、「旋回流」が発生すること。
(ニ)気泡を含んだ水流が何か(例えば、特許文献1に記載された発明における「背面側部20から散水面側部12の方向へ向かって延び、且つ自身と散水面側部12との間において散水面側部12に沿って流れることが可能な流路18aを形成する第一の壁部20c」)に衝突しても、この気泡は細かくなってしまうこと。
(ホ)空気の気泡を含むシャワー水による物理的刺激が十分となるようにするには、シャワー水が身体表面にできるだけ直角に吐出されるようにすること。
【0008】
そこで、本発明者等は、この種のシャワーヘッドについて、できるだけ簡素な構造で、空気の気泡を含むシャワー水による物理的刺激が十分となるようにするにはどうしたらよいか、について種々検討を重ねてきた結果、本発明を完成したのである。
【0009】
すなわち、本発明の目的とするところは、ベンチュリー部で取り込まれた空気の泡ができるだけ潰れないような構造にすることによって、気泡を含むシャワー水による物理的刺激が十分となるようにすることのできるシャワーヘッドを、簡素な構造で提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以上の課題を解決するために、まず、請求項1に係る発明の採った手段は、後述する最良形態の説明中で使用する符号を付して説明すると、
「水道管や湯水混合栓からの給水ホースに接続されて、この給水ホースからの源水中に空気を混入したシャワー水40を散水板30から吐出させるシャワーヘッド100であって、
シャワー水40を通すシャワー通路11を形成するとともに、このシャワー通路11内に
シャワー水40の流れの障害となる突起物を有さない通路本体10と、この通路本体10と前記給水ホースとを液密的に接続するとともに、前記源水中に一時的な負圧を発生させるベンチュリー部21を有する給水部材20と、を備え、
給水部材20の
外形形状を楕円にするとともに、ベンチュリー部21の前記楕円の長軸端部に位置する部分に、前記空気を導入する第一空気穴22を形成して、
前記空気の泡50が、シャワー通路11の中心から最も離れた部分にて流れるようにして、シャワー通路11の中で潰れないようにしたことを特徴とするシャワーヘッド100」である。
【0011】
この請求項1に係るシャワーヘッド100は、図示しない水道管や湯水混合栓からの給水ホースに接続されるものであり、この給水ホースからの源水を散水板30から吐出させる前に、源水中に空気を混入してシャワー水40とするものである。
【0012】
水道管や湯水混合栓からの源水の圧力は、一般的には、2〜4Kgf/cm
2程度であるが、この圧力を利用すればベンチュリー効果が十分発生する。すなわち、このシャワーヘッド100が備えているベンチュリー部21では、
図2の(b)に示すように、図示下から上に向けて順次大径となっている通水通路が形成されているから、この中を2〜4Kgf/cm
2の圧力で流れる源水には、順次負圧が発生する。この負圧が発生する箇所には第一空気穴22が形成してあって、この第一空気穴22は
図2の(b)に示すように外気に通じているから、第一空気穴22を介して外気、つまり空気が当該シャワーヘッド100の通路本体10内に供給されるのである。
【0013】
管路中を流れる流体は、川の流れのように、管路(川岸)抵抗がない管路の中心部分が、管路抵抗やその影響を受ける外側部分よりも早く流れる。ここで、本発明に係るシャワーヘッド100では、
図2の(a)に示すように、給水部材20の
外形形状を楕円にするとともに、ベンチュリー部21の前記楕円の長軸端部に位置する部分に、空気を導入する第一空気穴22が形成してあるから、この第一空気穴22から導入された空気は、
図2の(b)に示すように、管路の中心部分で早く流れている源水の流れを避けた状態で源水中に入り込む。
【0014】
第一空気穴22から導入された空気が、中心部の速い流れに入り込まないということは、早い流れの周囲にできる渦流に代替されることを意味するとともに、渦流ができるべき個所に「横断応力」が0(ゼロ)である空気という気体が存在することなるから、第一空気穴22から導入された空気は、
図2の(b)に示すように、比較的長い、場合によっては切れ目のない連続した棒状の泡50となる。つまり、給水部材20の
外形形状を楕円にするとともに、ベンチュリー部21の前記楕円の長軸端部に位置する部分に、空気を導入する第一空気穴22を形成したことによって、第一空気穴22から導入された空気は、細かく潰されてしまうことはなく、比較的長い、あるいは切れ目のない連続した棒状の泡50となるのである。
【0015】
ベンチュリー部21から出た比較的長い、あるいは切れ目のない連続した棒状の泡50は、シャワー通路11内に
シャワー水40の流れの障害となる突起物を有さない通路本体10内を源水とともに流れるから、この通路本体10内にても細かく潰されてしまうことはなく、略そのままの状態を維持しながら散水板30の裏側に至る。
【0016】
この散水板30の裏側においては、
図3の(a)、
図4及び
図5に示すように、シャワー水40の流れを阻害するものは殆どないから、長くあるいは切れ目のない泡50は、散水板30に形成してある多数の散水穴31に向かう際に初めて各散水穴31毎に分断されるが、それ程細かくはならない。
【0017】
以上の泡50を含んだシャワー水40は、散水板30の各散水穴31から吐出されるのであるが、その様子を示すと、
図5の通りである。この
図5では、散水板30の一つの散水穴31から吐出されるシャワー水40が表現してあるが、このシャワー水40は、それまであまり細かくされなかった泡50は図示した空気部分42となり、残部の源水は湯水部分41となる。これらの湯水部分41と空気部分42とは、交互に各散水穴31から吐出され、特に湯水部分41の先端部分が身体に当たる際に物理的刺激が与えられるのであり、空気部分42が当たる際にはそれ程感ずることはない。
【0018】
換言すれば、散水板30の各散水穴31からは湯水部分41と空気部分42とが交互に吐出され、湯水部分41の先端が身体に当たるときに物理的刺激が身体に「トントン」と与えられるのであるから、シャワー水40による物理的刺激は十分なものとなるのである。
【0019】
従って、この請求項1のシャワーヘッド100は、ベンチュリー部21で取り込まれた空気の泡50ができるだけ潰れないようになっており、気泡50を含むシャワー水40による物理的刺激が十分となり、簡素な構造ともなっているのである。
【0020】
また、以上の課題を解決するために、請求項2に係る発明の採った手段は、後述する最良形態の説明中で使用する符号を付して説明する
と、上記請求項1に係るシャワーヘッド100について、
「通路本体10の、使用者が手で握る部分より散水板30に近い部分において、シャワー通路11が20°〜40°の範囲で屈曲するように、通路本体10を折り曲げた
こと」
である。
【0021】
この請求項2に係るシャワーヘッド100は、上記の請求項1に係るそれと殆ど共通の構成を有するものではあるが、請求項1のそれと異なる点は、通路本体10の、使用者が手で握る部分より散水板30に近い部分において、
図4に示すように、シャワー通路11が20°〜40°の範囲で屈曲するように、通路本体10を折り曲げたことである。逆に言えば、この折り曲げ部分以外の通路本体10は、シャワー通路11が殆ど曲がらないようにするため、略直線状を維持するようにしてある。後述する実施形態に係るシャワーヘッド100では、この折り曲げ角度は30°としている。
【0022】
この請求2に係るシャワーヘッド100は、以上のように通路本体10を20°〜40°の範囲で折り曲げ、そのほかの部分を略直線状となるようにしたことにより、泡50がシャワー通路11の中で潰れないで流れることになる。これにより、散水板30の各散水穴31からは湯水部分41と空気部分42とが交互に吐出され、湯水部分41の先端が身体に当たるときに物理的刺激が身体に「トントン」と与えられるのであるから、シャワー水40による物理的刺激は十分なものとなるのである。
【0023】
なお、この泡50を潰さないという機能は、請求項1の、給水部材20の
外形形状を楕円にするとともに、ベンチュリー部21の前記楕円の長軸端部に位置する部分に、空気を導入する第一空気穴22を形成するという構成を付加することで、より一層高まる。
【0024】
また、このシャワーヘッド100では、通路本体10を20°〜40°の範囲で折り曲げてあるから、通路本体10を自然な状態で手で持ち、散水板30が身体に向くようにすると、シャワー水40は身体表面に対して略直角状態で吐出することになる。このことは、特に肩や背中にシャワー水40を使用する際に顕著となる。何故なら、一般的な人がシャワーヘッド100を使用する場合には、当該シャワーヘッド100を持った手を身体に密着させるよりも少し離した状態とするのが自然であり、シャワーヘッド100の先にある散水板30は身体からより離れた位置になることが多くなるが、通路本体10を20°〜40°の範囲で折り曲げておくことにより、散水板30は身体側により向かうことになって、結果的に、シャワー水40は身体表面に対して略直角状態で吐出することになるからである。
【0025】
従って、この請求項2のシャワーヘッド100も、ベンチュリー部21で取り込まれた空気の泡50ができるだけ潰れないようになっており、気泡50を含むシャワー水40による物理的刺激が十分となり、簡素な構造ともなっているのである。
【0026】
さらに、以上の課題を解決するために、請求
項3に係る発明の採った手段は、後述する最良形態の説明中で使用する符号を付して説明すると、
と、上記請求項1または請求項2に係るシャワーヘッド100について、
「散水板30の裏側に位置するシャワー通路11を、それまでのシャワー通路11に連続させるとともに、前記散水板30の裏面と通路本体10の該当部分とが平行となるように
したこと」
である。
【0027】
この請求項3に係るシャワーヘッド100は、上記の請求項1または請求項2に係るそれと殆ど共通の構成を有するものではあるが、請求項1及び請求項2のそれと異なる点は、
図3の(a)及び
図4に示すように、散水板30の裏側に位置するシャワー通路11を、それまでのシャワー通路11に連続させるとともに、散水板30の裏面と通路本体10の該当部分とが平行となるようにしたことである。
【0028】
すなわち、この請求項3に係るシャワーヘッド100では、散水板30の裏側に位置するシャワー通路11がそれまでのシャワー通路11に連続していて、しかも散水板30の裏面と通路本体10の該当部分とが平行となっているから、シャワー水40中に存在していた泡50は、これを潰す障害物が道中にほとんどない状態で、散水板30の各散水穴31に至ることになる。つまり、泡50はシャワー通路11の中を潰れずに流れることになり、これにより、散水板30の各散水穴31からは湯水部分41と空気部分42とが交互に吐出され、湯水部分41の先端が身体に当たるときに物理的刺激が身体に「トントン」と与えられるのであるから、シャワー水40による物理的刺激は十分なものとなるのである。
【0029】
なお、この泡50を潰さないという機能は、請求項1の、給水部材20の
外形形状を楕円にするとともに、ベンチュリー部21の前記楕円の長軸端部に位置する部分に、空気を導入する第一空気穴22を形成するという構成、あるいは請求項2の、散水板30の裏側に位置するシャワー通路11を、それまでのシャワー通路11に連続させるとともに、前記散水板30の裏面と通路本体10の該当部分とが平行となるようにするという構成を付加することで、より一層高まる。
【0030】
従って、この請求項3のシャワーヘッド100も、ベンチュリー部21で取り込まれた空気の泡50ができるだけ潰れないようになっており、気泡50を含むシャワー水40による物理的刺激が十分となり、簡素な構造ともなっているのである。
【発明の効果】
【0031】
以上説明した通り、請求項1に係る発明においては、
「水道管や湯水混合栓からの給水ホースに接続されて、この給水ホースからの源水中に空気を混入したシャワー水40を散水板30から吐出させるシャワーヘッド100であって、
シャワー水40を通すシャワー通路11を形成するとともに、このシャワー通路11内に
シャワー水40の流れの障害となる突起物を有さない通路本体10と、この通路本体10と前記給水ホースとを液密的に接続するとともに、前記源水中に一時的な負圧を発生させるベンチュリー部21を有する給水部材20と、を備え、
給水部材20の
外形形状を楕円にするとともに、ベンチュリー部21の前記楕円の長軸端部に位置する部分に、前記空気を導入する第一空気穴22を形成して、
前記空気の泡50が、シャワー通路11の中心から最も離れた部分にて流れるようにして、前記空気の泡50がシャワー通路11の中で潰れずに流れるようにしたたこと」
また、請求項2に係る発明においては、
「通路本体10の、使用者が手で握る部分より前記散水板30に近い部分において、前記シャワー通路11が20°〜40°の範囲で屈曲するように、前記通路本体10を折り曲げたこと」
さらに、請求項3に係る発明においては、
「
散水板30の裏側に位置するシャワー通路11を、それまでのシャワー通路11に連続させるとともに、前記散水板30の裏面と通路本体10の該当部分とが平行となるように
したこと」
に、それぞれの構成上の特徴があり、これにより、ベンチュリー部21で取り込まれた空気の泡50ができるだけ潰れないような構造にすることによって、気泡50を含むシャワー水40による物理的刺激が十分となるようにすることのできるシャワーヘッド100を、簡素な構造で提供することができるのである。