(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
車体フレームに昇降機構を具備してなる支柱を立設し、該支柱上部にベースフレームを止着し、該ベースフレームにスライド機構を介して載置台を設けるとともに、前記載置台の移動側には少なくとも立設状態と水平状態で保持可能にサイドレールを具備してなるストレッチャーにおいて、両端に線ファスナーを縫着してなる移載ベルトを前記載置台の幅方向に巻回して無端状とし、該移載ベルトの上面に設けた筒部にはスライド規制具を備えた作動具に止着するスライドプレートを挿通するとともに、該スライド規制具を載置台の幅方向に止着した連結軸に挿通する一方、前記ベースフレームにはスライド規制部材を取り付け、前記載置台をベッド側に移動させる際、前記スライド規制具に止着する規制ピンが該スライド規制部材を引っ張り、該スライド規制部材のスライド孔に挿通する固定軸が該スライド孔の端部に位置する状態までは前記移載ベルトを前記載置台に対して相対的に位置を変えないようにし、さらに、前記スライド機構を作動させると、前記スライド規制部材により前記スライド規制具のベッド側への移動を保持するよう構成してなる第一保持機構と、前記載置台をストレッチャー側に移動させる際、前記スライド規制具の掛止部に前記サイドレールから出没操作自在に設けたストッパー部材を掛止することで、前記移載ベルトが前記載置台に対して相対的に位置を変えるよう前記スライド規制具のベッド側からの移動を保持するよう構成してなる第二保持機構とからなる移載機構を設けたことを特徴とするストレッチャー。
上記第一保持機構により上記スライド規制具を保持する位置と、上記第二保持機構による前記スライド規制具の保持状態を解除する位置を上記サイドレールをベッド側に倒伏した状態でベッド側となる端部と上記載置台の後端が略一致する位置とした移載機構となるよう構成したことを特徴とする請求項1に記載のストレッチャー。
上記第二保持機構を、上記ベースフレームまたはボトム支持フレームに上下回動自在に設けたレバー部材の上方回動により上記ストッパー部材を上記サイドレールから突出するよう構成するとともに、載置台がストレッチャー側に戻る際に該レバー部材を倒伏して前記ストッパー部材の突出状態を解除する一方、前記スライド規制具にスライド自在に支承した解除プレートに前記載置台後部が接触することで該解除プレートに設けた傾斜部が前記スライド規制具とストッパー部材との係合状態を強制的に解除するよう構成してなる移載機構としたことを特徴とする請求項1あるいは請求項2に記載のストレッチャー。
上記ベースフレームの両側部に隣接するようにボトム支持フレームを上下回動操作自在に取り付けるとともに、前記載置台を中部ボトムフレームの両側部に上下回動自在となるよう側部ボトムフレームを取り付けて前記ベースフレーム及びボトム支持フレームで支持する構成とするとともに、それぞれに巻回した移載ベルトの筒部に挿通する作動具のスライドプレートを載置台の上下回動に応じて屈曲するようにそれぞれを回動自在に連設してなる作動具を備えた移載機構としたことを特徴とする請求項1あるいは請求項3に記載のストレッチャー。
【実施例1】
【0011】
本発明に係る移載機構1を備えたストレッチャーSは、主として前後左右に移動自在となるよう構成した車体フレーム2と、この車体フレーム2に立設される昇降機構3を具備した支柱4と、この支柱4と患者を載置する載置台5との間に設けたスライド機構6と、該スライド機構6による載置台5の位置と移動方向により前記載置台5に対して移載ベルト7を回転させるよう構成した移載機構1からなるものである。
以下、図面に基づいて各部の説明をする。なお、以下の説明では、
図17においてストレッチャーSのベッド側を後方とし、反ベッド側を前方としている。
【0012】
まず、車体フレーム2について説明する。
図1,
図2に示すように、この車体フレーム2は四隅にキャスター2a,2a,・・・を装着して前後左右に移動自在とし、該キャスター2a,2a,・・・を制動するためのブレーキ2bを備えて構成したものである。
そして、この車体フレーム2にX字状に構成したリンクフレーム8の一方を回動自在に支承するとともに、他方を該車体フレーム2に沿ってスライドまたは転動自在に構成して取り付けている。そして、このリンクフレーム8の上側の一方を
図3に示す昇降フレーム9の軸受9a,9aに回動自在に取り付けるとともに、他方をレール部9b,9bに沿ってスライドまたは転動自在に構成して取り付けている。
なお、昇降機構3の駆動手段10は該昇降フレーム9に設けた取付ブラケット9cに一端部を軸止するとともに他端部を前記リンクフレーム8の一方に軸止している。
そして、前記車体フレーム2と昇降フレーム9間に前記昇降機構3を覆うジャバラ状のカバー部材11を止着して支柱4を構成している。なお、図においては駆動手段10としてアクチュエータを示しているが、本願発明において駆動手段や昇降機構を限定するものではなく、後述する載置台5を昇降可能に構成したものであれば良い。
【0013】
前述のように構成した昇降機構3によれば、前記駆動手段10の伸縮により、前記リンクフレーム8が開閉し、昇降フレーム9が前記車体フレーム2に対して昇降する。
なお、前記駆動手段10の制御装置については図示していないが、
図1に示すように車体フレーム2に上昇ペダル及び下降ペダルからなる昇降ペダル12を支柱4に対して対称となるように配置し、この昇降ペダル12を踏込むことによって上昇操作及び下降操作できるよう構成しておくと、両手で患者の安全確保を行いながら昇降操作することができ安全なものとすることができる。
【0014】
続いて、スライド機構6について説明する。
このスライド機構6は、前記昇降フレーム9に止着するベースフレーム13と、スライドフレーム14及び、ボトムフレーム15とから主に構成し、前記スライドフレーム14には駆動手段16及び連動機構17を設けて前記ベースフレーム13に対して前記ボトムフレーム15が大きくベッドB側にはみ出すようにスライドするように構成したものである。
以下、各部の構成について説明する。
【0015】
まず、
図3に基づきベースフレーム13について説明する。
このベースフレーム13は、前記昇降フレーム9に固定するための取付プレート18,18を備えており、該取付プレート18にはスライドフレーム14を支持するための第一支持プレート19を立設状態で固着し、該第一支持プレート19,19を複数の連結パイプ20,20,20で繋いでいる。
前記支持プレート19には前上方に支軸19aを固着し、後上方にはブラケット部19bを設け、
図4に示すように転動自在にローラー21を支承している。
一方、前記取付プレート18の前後には第二支持プレート22,22を固着している。該第二支持プレート22,22の上部には、互いに対向する空孔部22a,22aを設けるとともに、前方側の第二支持プレート22には上下方向のレール部22bを設けている。
このように構成したベースフレーム13は、上記昇降フレーム9に固着したナット部材9d,9d,・・・にそれぞれの取付プレート18,18に穿設した空孔部18a,18aを合わせ、螺子を螺着して固定する。
【0016】
前記ベースフレーム13の両側部には、
図4に示すようにボトム支持フレーム25,25を取り付けている。
このボトム支持フレーム25は、左右対称状に構成したものであるので、ここでは一方側の構成について説明する。
ボトム支持フレーム25は、パイプを曲折して平面視においてブーツ型の枠パイプ25aを形成し、内部の適所に補強パイプ25bを固着するとともに、外側寄りに後述するボトムフレーム15を支持するボトム支持プレート25cを固着し、該ボトム支持プレート25cの上面にライナー部材25dを止着して構成している。
【0017】
上記構成によるボトム支持フレーム25は、前記ベースフレーム13に設けた空孔部22a,22aに回動自在に軸承している。
そして、前記ボトム支持フレーム25に固着しているブラケット25eと前記ベースフレーム13に固着している支点プレート18bに伸縮調節自在なガスシリンダー26を取り付けている。また、前記ブラケット25eには背上げレバー27を軸承して、該ガスシリンダー26の伸縮調節ができる構成としている。
このように構成した左右のボトム支持フレーム25は、それぞれ前記背上げレバー27を操作して、前記ガスシリンダー26を伸長あるいは縮退させることで、背上げしたり水平に戻したりできるよう構成している。
なお、本実施例ではこのように背上げできるように構成しているが、前記ベースフレーム13と一体となるよう固着して構成し、水平状態でのみ使用する形態であっても何ら問題はない。
【0018】
次にスライドフレーム14について説明する。
該スライドフレーム14は、平面視においてスライド方向側に開放したコ字状に構成している。詳述すると、
図5に示すように、L字プレート28aの上面の中央部にパイプ28bを固着してガイド部材28を構成し、左右のガイド部材28,28の前端部にフレームパイプ29を固着して構成している。
そして、このスライドフレーム14には、上述したように駆動手段16と連動機構17が設けられている。
【0019】
まず、駆動手段16について説明する。前記フレームパイプ29の両側部近傍には、取付プレート30,31を止着し、一方の取付プレート30に動力源となるモーター32を固定している。
前記モーター32の出力軸には第一スプロケット33を止着している。また、左右の取付プレート30,31には、両端部にベベルギア34,34を止着してなる連動軸35を軸受けしている。なお、この連動軸35にはモーター32の出力軸側のベベルギア34に隣接する状態で第二スプロケット36を止着している。
そして、左右のベベルギア34,34にそれぞれ対応するベベルギア37と第三スプロケット38を駆動軸39に止着して、該ベベルギア37を前記ベベルギア34に噛合させるとともに、前記ガイド部材28の前方部に第三スプロケット38が位置するように配置している。
そして、第一スプロケット33と第二スプロケット36に駆動チェーン40を張設して駆動手段16を構成している。
なお、図面においては、駆動手段16の制御装置等を図示していないが、昇降フレーム9にバッテリーを配置し、このバッテリーからモーター32に電力を供給して、該モーター32の正逆回転を制御できるものとするように構成してもよい。そして、モーター32の正逆回転の操作を行うためのスイッチは、スライドフレーム14に具備した駆動手段16のカバー部材に設けておくと使い勝手がよいものとなる。
【0020】
次に、前記連動機構17について説明する。
前記ガイド部材28の後端部には従動ローラー41を軸承した調節部材42を螺着しており、該従動ローラー41と前記第三スプロケット38間に連結部材43とスライドフレーム支持プレート44を介在させて、作動チェーン45をループ状に張設している。詳述すると、第三スプロケット38を迂回する第一チェーン45aと前記従動ローラー41を迂回する第二チェーン45bの一端部を連結部材43に止着するとともに、他端部をスライドフレーム支持プレート44に止着している。なお、前記第一チェーン45aと第二チェーン45bは略等しい長さとし、前記スライドフレーム支持プレート44は上記ベースフレーム13に止着しており、クランク状に曲折して前記L字プレート28aを迂回する形状としている。また、連結部材43の他端側には空孔部43aを設け、該空孔部43aとボトムフレーム15を連結して、連動機構17を構成している。
なお、
図5,6においては各チェーンの図示を省略している。
【0021】
前述のようにベースフレーム13にスライドフレーム14を取り付けたとき、該スライドフレーム14の後部は、ベースフレーム13に支承したローラー21,21に支持された状態にある。一方、該スライドフレーム14の前方側は、スライドリンク46を介してベースフレーム13に支持されている。
このスライドリンク46は、前記フレームパイプ29の両端にそれぞれ固着したリンク取付プレート47に設けた空孔部47aに支承される第一リンク46aと、上記ベースフレーム13の支軸19aに支承される第二リンク46bとからなり、該第二リンク46bの他端部を前記第一リンク46aの中間部に軸承している。そして、第一リンク46aの他端部にはローラー46cを支承して、ベースフレーム13のレール部22b内に挿通してベースフレーム13に該スライドフレーム14を前後に移動自在となる状態で支持したものである。そして、左右の第一リンク46a,46aの間には補強部材46dを固着してスライドリンク46を構成している。
なお、このスライドフレーム14には、ギアやチェーン等が露出しないようにカバーが設けられるが図面においては省略している。
【0022】
続いて、前記スライドフレーム14上に前記連結部材43,43を介して具備されるボトムフレーム15について説明する。
図7においては、中部ボトムフレーム48と、該中部ボトムフレーム48の両側にそれぞれ回動自在に取り付ける側部ボトムフレーム49,49とから構成してなるボトムフレーム14を図示している。
まず、中部ボトムフレーム48は、前記スライドフレーム14のガイド部材28,28を覆う下方開放の略コ字状のスライドプレート48a,48aを備えている。そして、このスライドプレート48a,48aの前後端面にはそれぞれブラケットプレート48b,48cを固着している。該ブラケットプレート48b,48cには中部ボトムフレーム48の左右方向で外側となる箇所に同一軸心で空孔部48dを穿設している。
そして、この両側に配置したスライドプレート48a,48a間にアンダーカバープレート48eを固着するとともに補強部材48f,48fを固着して構成している。なお、前記アンダーカバープレート48eには窓部48g,48gを設け、この窓部48g,48gに前記連結部材43,43を位置させ、前記スライドプレート48a,48aにそれぞれ固着したナット部材48h,48hに螺子止めして連動動作するよう構成している。
なお、この中部ボトムフレーム48の後部側には、ブラケット部48i,48iを設けて、上下に揺動自在となる揺動部材50を支承している。該揺動部材50の先端側には回転自在となるようにローラーパイプ50aを支承している。
【0023】
次に、前記側部ボトムフレーム49は、矩形状に構成したフレーム枠49aの中部ボトムフレーム側にブラケットプレート49b,49bを固着している。また、反対側にはカバー(図示省略)の取付部材49c,49cを固着している。この側部ボトムフレーム49の後部側には空孔部49d,49dを設けて、前記中部ボトムフレーム48と同様に、揺動部材50を支承している。
このように構成した側部ボトムフレーム49は前記中部ボトムフレーム48に連結軸51,51を挿通して回動自在に固定している。
【0024】
前述のように中部ボトムフレーム48と側部ボトムフレーム49,49とからなるボトムフレーム15は、
図8に示すように上記スライドフレーム14に取り付ける。
詳述すると、スライドフレーム14のガイド部材28の上面にはそれぞれカバー部材もしくはライナー部材(図示省略)が止着されており、該カバー部材と中部ボトムフレーム48のスライドプレート48a,48aの内面が接当する状態となるように中部ボトムフレーム48を載置し、作動チェーン45に連結した連結部材43の空孔部43aを中部ボトムフレーム48のナット部材48hに合わせ、ボルト部材52を螺着して取り付けている。
このように構成したボトムフレーム15は、スライドフレーム14とボトム支持フレーム25,25のライナー部材25d,25dによって支持されており、ボトム支持フレーム25を上方回動することで、側部ボトムフレーム49も上方回動することができる構成となっている。
なお、上述したように、ベースフレーム13にボトム支持フレーム25を固着して構成した場合には、このボトムフレーム15も中部ボトムフレーム48と側部ボトムフレーム49,49を固着して一体的なものとしても良い。
また、これら中部ボトムフレーム48及び側部ボトムフレーム49には、それぞれクッション性のあるマットを取り付けるとともに、それぞれにカバーが止着されて載置台5を構成するが、図面においてはそれぞれの構成及び位置関係をより明確に示すために図示することを省略している。
【0025】
次に、載置台5の両側に具備されるサイドレール53,54について説明する。
まず、
図2において、左側に具備する第一サイドレール53のロック機構55について説明する。
このロック機構55は、第一サイドレール53のサイドレールボード53aの内部に止着する支持部材56を備えている。この支持部材56は、左右の支持プレート56a,56aを連結パイプ56bで連結するとともに、上部には固定プレート56c,56cを固着して構成している。なお、支持プレート56aには、ガイド孔56dと取付孔56eを設けている。さらに、連結パイプ56bの中央部にはガイドピン56fを固着している。
また、ロック片57aを備えたロックプレート57を備えている。該ロック片57aは前記ガイド孔56dに挿通されており、該ロックプレート57の反対側には左右方向の規制孔57bと作動ピン57cを設けている。
また、前記サイドレールボード53aに設けたレバー操作孔53bにはレバー58を配し、該レバー58に掛止する連動プレート59を取り付けている。該連動プレート59の下部には上下方向の規制孔59aが穿設されるとともに斜め下方向きの作動孔59bを設けている。
そして、連動プレート59に設けた規制孔59aに支持部材56のガイドピン56fを挿通するとともに、左右のロックプレート57のそれぞれの規制孔57bも同様に挿通する。また、ロックプレート57の作動ピン57cを連動プレート59の作動孔59bに挿通するとともに、左右のロックプレート57,57が離間方向に付勢されるようにスプリング60を取り付けている。
このように構成したロック機構55は、カバープレート61をサイドレールボード53aに止着してカバーリングされている。
【0026】
このように構成した第一サイドレール53は、上記スライドフレーム14のリンク取付プレート47に穿設した取付孔47bと前記支持部材56aに設けた取付孔56eにボルト部材62を螺着して
図11に示すように回動自在に取り付けている。
そして、
図12に示すように第一サイドレール53が立設している状態では、
図9の左側に示すようにスプリング60の付勢力で左右のロックプレート57,57が離間する方向に移動されるとともに、前記リンク取付プレート47,47に設けられたロック孔47c,47cにロック片57a,57aが挿通され、立設状態を保持している。
該第一サイドレール53を回動するには、
図9の右側に示すようにレバー58を引き上げ、ガイドピン56fに沿って連動プレート59を引き上げる。すると、ロックプレート57,57が規制孔57bと作動ピン57cの作用により水平状態を維持しながら、スプリング60の付勢力に抗して接近する。これにより、ロック片57a,57aがリンク取付プレート47,47のロック孔47c,47cから抜け、回動自在な状態となり、
図12の仮想線に示す下方回動した状態とすることができる。
【0027】
次に第二サイドレール54のロック機構63について説明する。
このロック機構63も前述のロック機構55と同様にサイドレールボード54aの内部に設けている。さらに、このロック機構55もサイドレールボード54aに設けたレバー操作孔54bに位置させるレバー64と連動プレート65により作動するよう構成している。
まず、支持部材66は、支持プレート66a,66aの上端に連結パイプ66bを固着するとともに、上部に取付プレート66c,66cも固着されており、前記サイドレールボード54aに止着される。なお、前記支持プレート66aには、それぞれガイドピン66d及びガイドプレート66eが固着されており、これらに対応するガイド溝67aを設けるとともに下端部がロック片67bとなるロックプレート67を配している。
そして、前記連動プレート65に掛止した作動プレート68の両端部に設けた作動片68a,68aを前記ロックプレート67,67に設けた空孔部67c,67cに挿通するとともに、前記支持部材66と該作動プレート68との間にスプリング69,69を挿通している。
このように構成したロック機構63は、カバープレート61をサイドレールボード54aに止着してカバーリングされている。
【0028】
このように構成した第二サイドレール54は、
図3及び
図4に示すように、ベースフレーム13に固着している取付プレート23,23に取り付けている。まず、該取付プレート23には空孔部23aが設けられ、一方の取付プレート23には規制軸23bを固着している。
前記空孔部23a,23aには第一リンク70,70を支承するとともに、該第一リンク70,70の他端部に前記第二サイドレール54の支持プレート66a,66aに設けた空孔部66f,66fを支承している。また、一方の支持プレート66aに固着した軸部材66gと前記規制軸23bには第二リンク71を支承している。なお、第二リンク71の規制軸23b側には略へ字状のガイド溝71aを設けている。
【0029】
このように取り付けた第二サイドレール54は、立設状態では、第一リンク70の下端部が昇降フレーム9あるいはベースフレーム13に接当して回動が拘束された状態とし、第一リンク70の上端部に設けたロック溝70aに上記ロック片67bが嵌り、回動不能な状態となる。
レバー64を引き上げると、左右のロックプレート67,67が引き上げられ、ロック片67b,67bがロック溝70a,70aから抜け、回動自在な状態となり、
図12の仮想線に示す倒伏状態とすることができる。
【0030】
なお、本願発明のスライド機構6を作動させるときには、
図13に示すように第二サイドレール54を略水平状に倒伏させて、ボトムフレーム15側に向けて押し込むように回動させる。すると、ガイドピン66dがベースフレーム13の取付部材24,24に取り付けたフック部材72に掛止され、水平状態を保持する構成となっている。
詳述すると、前記取付部材24,24にはそれぞれガイド溝24a,24aが設けられており、該取付部材24,24の間にフック部材72を取り付けている。
該フック部材72は、連動軸72aの両端にフックプレート72b,72bを固着するとともに、中央部に解除プレート72cを固着してなるものである。
そして、
図12に示すように上方回動側に付勢するスプリング73を介在させている。
【0031】
このように構成したフック部材72によれば、第二サイドレール54を押し込むと、フックプレート72b,72bに設けた案内面によりスプリング73の付勢力に抗して該フック部材72が下方回動され、第二サイドレール54のガイドピン66dが掛止され、当該第二サイドレール54が水平状態で保持される。このとき、解除プレート72cが作動プレート68に設けた空孔部68bに掛止されており、前記レバー64を引くと、該フック部材72が下方回動され、第二サイドレール54を引き出し、立設状態とすることができるよう構成したものである。
【0032】
なお、左右のボトム支持プレート25,25の少なくとも一方が水平状態にないときには、ボトム支持フレーム25に固着したストッパープレート25fに第二サイドレール54が接触し、保持できる位置まで押し込むことができないように構成している。これは、第二サイドレール54を水平状態で保持した状態、すなわち、ボトムフレーム15が水平な状態でのみスライド機構6が作動するように構成するためのものであり、前記フック部材72の取付部に図示してはいないが検知手段を設けることで、誤作動することなく、安全にスライド機構6を使用できるものとすることができる。
【0033】
次に、上述のように構成してなるストレッチャーSのスライド機構6の作用について説明する。なお、
図14から
図15において、(a)図はスライド機構の要部平面図、(b)図は要部側面図である。
図14は、
図2に示したストレッチャーSの状態でのベースフレーム13とスライドフレーム14及びボトムフレーム15を移動させるための連結部材43を示している。
まず、この状態では、スライドリンク46が開いた状態でスライドフレーム14の前部を支持している。このとき、ベースフレーム13に止着しているスライドフレーム支持プレート44は、作動チェーン45の後端に位置し、逆に連結部材43は作動チェーン45の前端に位置している。
【0034】
この状態から駆動手段16のモーター32を正回転させ、第三スプロケット38を
図14(a)において時計周りの回転となるように作動させる。すると、作動チェーン45が回転され、
図15に示すように、第三スプロケット38がスライドフレーム支持プレート44側に接近する。この接近した移動量の分だけ連結部材43は第三スプロケット38から離間する。この移動に伴ってスライドリンク46は先端のローラー46cがレール部22b内を転動しながら、閉じた状態となって前記スライドフレーム14を支持している。
さらに、モーター32を正回転させ、第三スプロケット38を時計回りに回転させると、
図16に示すように、スライドフレーム支持プレート44は、作動チェーン45の前端に位置し、逆に連結部材43は作動チェーン45の後端に位置している。
【0035】
このように、モーター32の正逆回転が第三スプロケット38の正逆回転となり、この第三スプロケット38の回転が作動チェーン45の正逆回転となるように構成している。さらに、スライドフレーム14を基準とすると、該作動チェーン45に止着する連結部材43とスライドフレーム支持プレート44は逆方向に移動するように配置している。
したがって、ベースフレーム13に対してスライドフレーム14が移動した分だけ、スライドフレーム14に対してボトムフレーム15が移動するので、ボトムフレーム15の移動量がスライドフレーム14のガイド部材28の長さの2倍近いものとなり、載置台5の幅を広く構成することなく、ボトムフレーム13の移動量が十分確保できるものとなっている。
【0036】
図17は、上記構成のスライド機構6を備えたストレッチャーSの作動状態を示している。
図(a)は、ベッドBにストレッチャーSを横付けして、スライド操作できる状態とした様子を示している。
図(b)は、スライド機構6を作動させて、載置台5(ボトムフレーム15)をベッドB側に移動させた状態を示している。
図示しているように、スライド機構6を備えたストレッチャーSによれば、ベッドBに横付けした状態から、スライド機構6を作動させて載置台5すなわち、ボトムフレーム15全体をベッドB上に位置させるまでスライドさせることができる。
したがって、ベッドBのフレームが低床下され、ストレッチャーSの車体フレーム2をベッドBのフレーム下に挿通できないような場合であっても、本願スライド機構6を備えたストレッチャーSであれば、ベッドBに接するように横付けして、スライド機構6を作動させると、ベッドBの略中間部まで載置台5をスライドさせることができる。
【0037】
次に、前記スライド機構6の作動によってベッドBとの間を往復移動する載置台5に設けた移載ベルト7による移載機構1について説明する。
まず、前記移載ベルト7は中部ボトムフレーム48及び側部ボトムフレーム49,49に略同様の構成で取り付ける。ここでは、
図18に基づいて中部ボトムフレーム48に取り付ける移載ベルト7について説明する。
まず、中部ボトムフレーム48は上述した構成であり、この中部ボトムフレーム48の下面側に固着している補強部材48f及びアンダープレートカバー48eから上方に離間して前記中部ボトムフレーム48にマットフレーム74を止着している。なお、該マットフレーム74にはクッション部材74aが止着されるとともに布あるいはレザー等でできたカバー(図示省略)を縫着している。
一方、前記移載ベルト7は、前後両端部にそれぞれ線ファスナー7aを縫い付けるとともに、該線ファスナー7aの後部には後述する作動具75を挿通するための筒部7bを設けている。
このように構成した移載ベルト7は、前記アンダープレートカバー48e等とマットフレーム74との間を通し、前記中部ボトムフレーム48の前後に回転自在に支承しているローラーパイプ50a,50bを迂回して前記マットフレーム74の上面で前記線ファスナー7aを閉め、無端状の移載ベルト7となるよう構成している。
なお、このように構成することで、線ファスナー7aを外して一方側を引き抜くと移載ベルト7を外すことができ、また前述のように容易に取り付けることもできるので、該移載ベルト7が汚れたとき等に交換し易いものとなっている。
【0038】
なお、上記側部ボトムフレーム49については図示していないが、側部ボトムフレーム49のフレーム枠49aの下面にアンダープレートカバーを止着する一方、中部ボトムフレーム48と同様にマットフレームを該アンダープレートカバーから上方に離間させて止着し、前述と同様に構成した移載ベルト7を取り付けるものとする。
【0039】
次に、前記移載ベルト7に設けた筒部7bに挿通する作動具75について説明する。
該作動具75は、上記中部ボトムフレーム48と側部ボトムフレーム49,49を回動自在に連結している連結軸51,51にそれぞれ挿通するスライド規制具76,76を備えている。
該スライド規制具76には、
図20に示すように前記連結軸51に挿通するための空孔部76aと、水平方向のスライド溝76bと、縦方向のガイド溝76cを設けるとともに、前方下部に切欠き状の掛止部76dを設けている。そして、前記ガイド溝76cには前方下面に傾斜部77aを備えるとともに、長孔状の取付孔77bとスプリング取付部77cを設けてなる解除プレート77を後方に付勢するスプリング78を挿通した状態でピン79により止着している。このように構成したスライド規制具76では、解除プレート77がスプリング78の付勢力によって後方位置にあるときには前記掛止部76dに掛止可能であり、前記スプリング78に抗して解除プレート77が前方に押し出されると前記傾斜部77aによって掛止状態が解除されるように作用するものである。
【0040】
前述のスライド規制具76には、固定部材80が固着される。該固定部材80には空孔部80a及び雌ねじ部80bを設けている。
そして、中部ボトムフレーム48の両側部に取り付けたスライド規制具76には中部ボトムフレーム48に装着した移載ベルト7の筒部7bに挿通するスライドプレート81と、側部ボトムフレーム49に装着した移載ベルト7の筒部7bに挿通するスライドプレート82を止着する。
なお、スライドプレート81には両端部に空孔部81aを穿設しており、スライドプレート82には一端部に回動筒82aを固着するとともに固定ブラケット83に回動自在に軸着している。該固定ブラケット83には空孔部83aと下方に突出する状態で固定ピン83b,83bが固着してあり、該固定ピン83b,83bを前記スライドプレート81の空孔部81a,81a及び固定部材80の空孔部80aに挿通して前記雌ねじ部80bに合わせてねじ止めして固定している。
【0041】
このように構成した作動具75は、ねじを緩めることで簡単に移載ベルト7から取り外すことができる。そのため、前述したように移載ベルト7の交換が簡単にできる構成となっている。
また、この作動具は、固定ブラケット83が回動自在な構成となっているので、上記ボトム支持フレーム25に設けた背上げレバー27の操作によって背上げした際にも側部ボトムフレーム49の動きに追従して回動され、移動時等には背上げして楽な姿勢をとることもできるように構成したものとなっている。
【0042】
次に、上記スライド機構6を作動して上記載置台5をベッドB側へ移動する際に前記スライド規制具76の移動を保持する第一保持機構84について説明する。
該第一保持機構84は、上記ベースフレーム13の前後の第二支持プレート22,22の上面に固着したガイドプレート85に前後に摺動自在に取り付けたスライド規制部材86を備えている。
詳述すると、前記ガイドプレート85はクランク状に曲折されたプレートであり、中央部には空孔部85aを穿設している。また、前記スライド規制部材86は左右に二連の平行なスライド孔86a,86bを設けたプレートであり、外側のスライド孔86aに固定軸87を挿通して前記ガイドプレート85の空孔部85aに固定している。
また、前記スライド規制具76に設けたスライド溝76bには前記スライド規制部材86の内側を挿通し、スライド規制具76に軸止する規制ピン88が前記スライド孔86bを通る状態で取り付けて構成している。
なお、これらスライド規制具76及びスライド規制部材86の後端部は前記中部ボトムフレーム48のブラケットプレート48cに接触する位置に設けている。また、
図21においては、一方の第一保持機構84を示しているが、他方の連結軸51側にも対称状に第一保持機構84を設けている。
これらの作用については後述する。
【0043】
続いて、上記スライド機構6を作動して上記載置台5を反ベッドB側へ移動する際に前記スライド規制具76の移動を保持する第二保持機構89について説明する。
該第二保持機構89は、主要な構成部を第二サイドレール54に設けている。
まず、前記ロック機構63の支持部材66には作動ワイヤー90のアウター90aを固定するための固定プレート66hを固着するとともに、左右に回動軸66i,66iを固着している。
該回動軸66i,66iにはストッパー部材91,91を支承している。なお、該ストッパー部材91の一端側にはスプリング92を配して、通常ストッパー部材91がカバープレート61内に収まる方向に回動するように付勢している。
該ストッパー部材91,91は、一対の作動プレート93,93の先端に止着した凹凸状となるよう曲折してなる押上カム94,94によって作動する。
なお、前記作動プレート93,93は反転カム95によって連結されており、一方の作動プレート93に固着した固定プレート93aに前記作動ワイヤー90のインナー90bを止着している。なお、前記作動プレート93,93間にはスプリング96を張設して、互いの作動プレート93,93を接近する方向に付勢している。この状態では、押上カム94の谷部がストッパー部材91に接しており、前記スプリング96に抗して作動ワイヤー90のインナー90bを引くと、互いの作動プレート93,93が離間して押上カム94の山部にストッパー部材91が接して押し上げられる。このストッパー部材91が押し上げられた状態を
図23に示している。
なお、前記作動ワイヤー90の他端部は、
図26に示すようにボトム支持フレーム25に設けた取付ブラケット25gに上下回動自在に軸承したレバー部材97に取り付けており、該レバー部材97の上下回動操作により、前記ストッパー部材91,91を作動できる構成としている。
【0044】
本実施例における移載機構1は、前述のように支柱4の上部に取り付けたベースフレーム13と、該ベースフレーム13にスライド機構6を介して取り付けたボトムフレーム15からなる載置台5の間に構成したもので、この載置台5のベッドB等との間での往復移動に連動して作用するように構成したものである。
詳述すると、前記載置台5の幅方向に巻回した無端状の移載ベルト7の上面に位置する筒部7bに作動具75のスライドプレート81,82を挿通するとともに、前記載置台5がベッドB側に移動する際に前記作動具75のスライド規制具76を前記ベースフレーム13から一定間隔で保持する第一保持機構84と、前記載置台5がベッドB側から戻る際に前記作動具75のスライド規制具76を前記ベースフレーム13から一定間隔で保持する第二保持機構89とからなるものとしている。
このように、載置台5の往復移動によって作用する移載機構1を設けているので、個別に駆動力を必要とすることなく、簡単なものとすることができた。
【0045】
次に、上記構成の移載機構1の作用について説明する。なお、
図24から
図29においては、一方の側部ボトムフレーム49とボトム支持フレーム25を図示せず、第一保持機構84及び第二保持機構89の作用状態を示している。
まず、移載を行う前に
図17(a)に示すようにベッドBに横付けして、載置台5を水平状態とするとともに第二サイドレール54を水平保持して、ベッドBとの高さを合わせる。なお、このとき移載ベルト7に設けた筒部7bは
図24に示すように載置台5のベッドB側に位置している。
この状態からスライド機構6を作動させて、載置台5をベッドB側に移動する。このとき、スライド規制具76の規制ピン88がスライド規制部材86を引っ張り、
図25に示すように固定軸87がスライド孔86aの端部に位置する状態まで前記移載ベルト7は載置台5に対する相対的な位置を変えない。
【0046】
さらに、スライド機構6を作動すると、固定軸87によってスライド規制部材86が摺動できない状態となっているため、作動具75も移動しない状態にある。そのため、載置台5がベッドB側に移動するのに対して移載ベルト7の筒部7bはベースフレーム13に対して一定の位置を保持する。したがって、載置台5上に位置する移載ベルト7の上面はその位置が保持され、載置台5が患者とベッドBの間に入り込む際に、患者とこの移載ベルト7との間ではずれが生じないものとなっている。なお、このとき移載ベルト7の下面側は載置台5の後部を迂回して上面側に送り出されているが、ボトムフレーム15に止着しているアンダープレートカバー48eがベッドB等との接触面となるので過剰な摩擦が加わることはないものとなっている。
そして、
図26に示すように作動具75が載置台5の前方部に位置すると患者が載置台5上に移載できた状態となっている。
このように、ベッドBの上面と移載ベルト7の上面とは相対的な移動がない状態であるので、載置台5が患者とベッドBとの間に容易に滑り込み、載置台5の上に違和感や不快感を与えることなく、患者の移載が行われる。
【0047】
なお、この移載機構1では、前記第一保持機構84のスライド規制具76がスライド規制部材86によって保持される位置を水平保持している第二サイドレール54のベッドB側端部と載置台5の後部が略一致する位置としているので、ベッドB上の患者の傍にこの第二サイドレール54の端部を合わせることで、ベッドBに対するストレッチャーSの位置合わせを簡単なものとしている。
【0048】
また、上述したように該第一保持機構84は、載置台5がベッドB側に移動する際に、ベースフレーム13から作動具75を一定間隔で保持できるように構成したものであればよく、本実施例ではスライド規制部材86をプレートで構成したものを図示している。
しかし、ベースフレーム13とスライド規制具76間にワイヤーを張設することによって、第一保持機構84を構成したものであっても、ワイヤーが伸長した状態で前記スライド規制具76を一定間隔に保持できるものとなり、このようにワイヤーを用いた構成としても何ら問題はない。なお、ワイヤーを用いた場合には、ベースフレーム13側にワイヤーの弛みをなくすための巻取手段等を設けておくことが好ましい。
【0049】
前述の状態からスライド機構6を反ベッドB側に作動すると、載置台5上に患者を載せた状態で
図27に示すようにベースフレーム13上に載置台5が戻り、第一,第二サイドレール53,54を立設すると、移動可能な状態となる。
なお、このときにスライド規制部材86はスライド規制具76の規制ピン88によって引き戻されている。
【0050】
次に、ストレッチャーS側からベッドBに患者を戻す際の作用について説明する。
図27に示す状態からスライド機構6を作動させてベッドB上に載置台5を移動する。このとき、作動具75及び筒部7bは載置台5の前方に位置した状態にあるので、上記第一保持機構84が作用することはない。
然る後、
図28に示すようにボトム支持フレーム25に設けたレバー部材97を跳ね上げる。このレバー部材97を跳ね上げると、
図23に示すように第二サイドレール54のカバープレート61からストッパー部材91,91が上方回動し、前記スライド規制具76に設けた掛止部76dにそれぞれ掛止する状態となる。
そして、スライド機構6を作動させて載置台5を反ベッドB側に移動すると、作動具75はその位置が保持された状態にあるので、患者とベッドBとの間から載置台5が抜き取られるように動作する。このときにも、上述と同様に患者と移載ベルト7との間にずれが生じないので、患者は違和感や不快感を感じることなく、ベッドBに戻ることができる。
【0051】
前記保持具75が載置台5の後部に位置する状態となると、患者はベッドB上に移載できており、さらにスライド機構6を作動させると、
図29に示すように第二保持機構89を作動するためのレバー部材96に載置台5の前部が接当し、レバー部材96を下方回動して第二保持機構89を解除する。このとき、
図23に示すスライド規制具76の掛止部76dとストッパー部材91の掛止状態は解除される。なお、本実施例においては中部ボトムフレーム48の後部側のブラケットプレート48cがスプリング78に抗して解除プレート77を押し出すことで、解除プレート77に設けた傾斜部77aが強制的にストッパー部材91との掛止状態を解除できるようにも構成している。
この状態からさらにスライド機構6を作動すると、前記ブラケットプレート48cがスライド規制部材86を押しながら、
図24に示す元の位置まで移動する。
【0052】
このように、本実施例における移載機構1は、載置台5に巻回した無端状の移載ベルト7を載置台5に対して作動させるもので、この移載ベルト7の上面に設けた筒部7bに挿通する作動具75を、スライド機構6によってベッドBとの間で往復移動するように構成した載置台5の移動方向と載置台5の位置に応じて適宜作用するよう構成した第一保持機構84及び第二保持機構89によってベースフレーム13から所定の位置で保持することにより、載置台5に対して相対的に移載ベルト7を回転させるよう構成したものである。
したがって、スライド機構6の駆動力のみで移載ベルト7を作動させることができるものとなっており、単一のモーターを制御するだけでよいので複雑なものとならず、結果として故障し難く、安価なものを提供できるという効果がある。
【0053】
また、この移載機構1にあっては、載置台5に患者を載せるときに、載置台5に対して移載ベルト7が作動し始める位置、すなわち第一保持機構84が作動して作動具75がベースフレーム13に対して一定の間隔で保持された状態となる位置(
図25参照)をベッドB上に倒伏している第二サイドレール54の端部に載置台5の後端部が位置する状態としている。したがって、患者を移載する際には、この第二サイドレール54の端部を患者の傍に位置させることで適切な位置合わせができるという効果もある。
同様に、患者をベッドB側に移動させ終わる位置も第二サイドレール54の端部に載置台5の端部が位置する状態(
図29参照)としているので、患者を降ろしたい位置に前記第二サイドレール54の端部を合わせておくことで、容易に所望の位置に患者を移載することができるという効果もある。
【0054】
また、移載ベルト7の上面に設けた筒部7bにスライドプレート81,82を挿通することで、該移載ベルト7を作動させるよう構成しているので、該スライドプレート81,82を筒部7bから抜き取り、線ファスナー7aを外し、移載ベルト7を一方側に抜き取ることで移載ベルト7を簡単に取り外すことができる。同様にアンダープレートカバー48eとマットフレーム74間に移載ベルト7を通して、前後のローラーパイプ50a,50bを迂回させ載置台5の上面で線ファスナー7aを閉じ、筒部7bにスライドプレート81,82を挿通すれば移載ベルト7を取り付けることができる。このように、簡単に移載ベルト7の交換ができるので、衛生的に使用できるものとなっている。
【0055】
さらに、前記作動具75は、固定ブラケット83でそれぞれのスライドプレート81,82を回動自在に固定しているので、載置台5を背上げした状態とすることもでき、搬送中には楽な姿勢で移動することができるものとなっている。
このように、この移載機構1を設けてなるストレッチャーSは、ベッドB等との間での往復移動量を大きくとることができるスライド機構6によって載置台5を取り回しのよいコンパクトな大きさとすることができるとともに、上述したように使い勝手のよいものとなっている。