(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記遊星歯車組はリング歯車をさらに含み、前記遊星歯車は前記恒星歯車と前記リング歯車の間に噛合し、前記リング歯車は前記遊星歯車組の駆動源となることを特徴とする、請求項8に記載のヘッドアップディスプレイの定位システム。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に図面を参照して本発明を実施するための形態について、詳細に説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
【0010】
図1に示す本発明の実施形態に係るヘッドアップディスプレイの定位システム10は、
コンバイナキャリア15と、
コンバイナキャリア15上に回転するように設置される
コンバイナ11と、
コンバイナキャリア15に収納位置と操作位置間の移動を行わせる移動構造13と、
コンバイナ11の傾斜角度の調整を行う角度調整構造14と、移動構造13と角度調整構造14を交替で駆動させる駆動構造16を含む。
【0011】
本実施形態では移動構造13は
コンバイナキャリア15上に回転するように設置される心棒(spindle)133で構成される。駆動構造16は駆動歯車162と、ガイド
スロット(guiding slot)163とガイド部材(guiding plate)1611からなる。駆動歯車162とガイド部材1611は心棒133上に設置され、また心棒133と共に回転する。ガイド部材1611はガイド
スロット163に収納されるガイドピン(guiding pin)1612を有する。駆動歯車162と歯車ベルト17(endless gear belt)は噛合される。歯車ベルト17はモーター18により駆動され、これにより駆動歯車162を駆動させ回転或いは移動させる。ガイド
スロット163は駆動歯車162の運転形態の切り換えを行う真直
スロット(straight slot)1631と湾曲
スロット(curve slot)1632を含む。
【0012】
本実施形態では角度調整構造14はカム(cam)141とカンチレバー(lever)142からなる。カム141は心棒133上に設置され、また心棒133と共に移動する。カンチレバー142の一端は
コンバイナ11に固定され、他端は自由端であって、その自由端はカム141が回転する時にカム141に動かされる。カム141と心棒133が共に回転する時、カム141はカンチレバー142の自由端を押し
コンバイナ11を回転させ
コンバイナ11の傾斜角度を調整させる。
【0013】
本実施形態ではガイドピン1612が真直
スロット1631内に位置する時、ガイド部材1611、心棒133及び駆動歯車162はガイドピン1612と真直
スロット1631間の抵抗により回転不能となる。この情況下では、モーター18が環状歯車ベルト17を駆動させることで、駆動歯車162は心棒133を駆動させ共に移動させ、これにより
コンバイナキャリア15に収納位置と操作位置間の移動を行わせる。
【0014】
本実施形態ではガイドピン1612が湾曲
スロット1632内に位置する時、ガイド部材161と、心棒133及び駆動歯車162の拘束が解かれ回転が行われる。この情況下では、モーター18が環状歯車ベルト17を駆動させることで、駆動歯車162はカム141を駆動させ共に回転させ、これにより
コンバイナ11の傾斜角度の調整が行われる
。
【0015】
[第1実施形態]
図1乃至
図4を参照する。
図2、
図3、
図4はそれぞれ
図1の定位システムの、
コンバイナが収納位置(parking position)に位置する情況、
コンバイナが操作位置(operating position)に位置する情況、
コンバイナの傾斜角度の調整が行われる情況を図示する側面断面図である。
定位システムの操作の詳細な説明を下述する。
図2に示す、定位システム10の操作開始前、
コンバイナキャリア15は収納位置に位置しており、またガイドピン1612は真直
スロット1631の端部に位置している。
この状況では、駆動歯車162はガイドピン1612と真直
スロット1631間の抵抗により回転不能となっている。定位システム10の操作開始時には、モーター18は歯車ベルト17を駆動させ、また同時に駆動歯車162を駆動させて移動させる。上述の操作中、
図3に図示するように、駆動歯車162は心棒133を駆動させて共に移動させ、これにより
コンバイナキャリア15は収納位置から操作位置まで移動され、またガイドピン1612は真直
スロット1631内の端部位置から真直
スロット1631と湾曲
スロット1632間の接点位置まで移動される。
【0016】
図3に示す、
コンバイナキャリア15が操作位置まで移動すると、駆動歯車162の回転制限はガイドピン1612が湾曲
スロット1632内を移動する事で解放され、これにより駆動歯車162が回転を行えるようになる。これによりモーター18が駆動歯車162を持続駆動させた時、駆動歯車162が駆動されると共にカム141は駆動されて回転し、またカム141はカンチレバー142に押して移動させる(
図4に示すように)。カム141の半径は変化する為、カム141はカンチレバー142との距離を変える事でこれを押し、
コンバイナ11の回転角度を調整させ、これにより
コンバイナ11の傾斜角度は観察者の観察角度に合わせて調整される。
【0017】
続いて、もしユーザーが
コンバイナキャリア15を移動させ収納位置まで戻すと、モーターは逆回転し全過程が逆転して行われる。
図3に示すように、まず駆動歯車162が駆動されて逆回転しガイドピン1612を真直
スロット1631と湾曲
スロット1632の接点位置まで戻すように移動させる。次に、
図2に示すように駆動歯車162の更なる回転は制限され、駆動歯車162は駆動されて移動され
コンバイナキャリア15を連動させて収納位置まで戻す。
【0018】
同時に、カンチレバー142をカム141の押す力から解放させた後にカンチレバー142を押される前の位置まで戻す為に、カンチレバー142上には弾性部材、例えばバネ(図示せず)等が設置され、カム141の押す力に抵抗する弾力が与えられる
。
【0019】
[第2実施形態]
図5は本発明に係る第二実施形態のヘッドアップディスプレイの定位システム20を図示し、また
図6は
図5に示すヘッドアップディスプレイ定位システムの移動構造、駆動構造及び角度調整構造の放大図である。実施形態1と比較した場合、本実施形態は別の移動機構23と別の駆動機構26を提示しているが、実施形態1と同じ他の部材については同じ番号で標示する。
図5に示す、本発明のヘッドアップディスプレイの定位システム20は
コンバイナキャリア15と、
コンバイナキャリア15上に回転するように設置される
コンバイナ11と、
コンバイナキャリア15に収納位置と操作位置間の移動を行わせる移動構造23と、
コンバイナ11の傾斜角度の調整を行う角度調整構造24と、移動構造23と角度調整構造24を交替で駆動させる駆動構造26を含む。
【0020】
本実施形態では移動構造23は、その一端に設置されるストッパー部2312を有するラック歯車231と、
コンバイナキャリア15上に回転するように設置される心棒233と、心棒233上に設置されラック歯車(rack)231に噛合する歯車232で構成される。心棒233の回転時、歯車232と心棒233は共に回転しラック歯車231上を対向して移動し、これにより
コンバイナキャリア15に収納位置と操作位置間の移動を行わせる。
【0021】
本実施形態では駆動構造26はスリーブ(sleeve)261と、遊星歯車組262とガイド
スロット263からなる。スリーブ261は心棒233上に回転するように設置され、またガイド部材2611と突起部2613を有する。ガイド部材2611はガイド
スロット263内に収納されるガイドピン2612を有する。遊星歯車組262は恒星歯車2621と、遊星歯車2622とリング歯車2623を含む。恒星歯車2621は心棒233上に設置され心棒233と共に回転する。リング歯車2623は心棒233上に回転するように設置され歯車ベルト17と噛合する。歯車ベルト17はモーター18に駆動され、これによりリング歯車2623も駆動されて心棒233上で回転する。遊星歯車2622は突起部2613に回転するように連接され、また恒星歯車2621及びリング歯車2623と噛合する。ガイド
スロット263は遊星歯車組の運転型態を切り換えさせる真直
スロット2631と湾曲
スロット2632からなる。
【0022】
歯車ベルト17がモーター18に駆動されることでリング歯車2623が心棒233上で回転する時、ガイドピン2612が真直
スロット2631内に位置されると、恒星歯車2621は駆動され回転し、歯車232がストッパー部2312に到達すると恒星歯車2621は回転不能となる。
【0023】
なお、環状歯車ベルト17がモーター18に駆動されることでリング歯車2623が心棒233上で回転する時、ガイドピン2612は真直
スロット2631内で制限されると遊星歯車2622は固定位置で自転し、ガイドピン2612は湾曲
スロット2632に到達すると遊星歯車2622は恒星歯車2621の周囲を公転する。
【0024】
本実施形態では角度調整構造24はカム241とカンチレバー242からなる。カム241はスリーブ261上に設置されスリーブ261と共に回転する。カンチレバー242の一端は
コンバイナ11上に固定され、他端は自由端であってカム241の回転時に自由端はカム241に押される。カム241とスリーブ261が共に回転する時、カム241はカンチレバー242の自由端を押し
コンバイナ11を回転させ
コンバイナ11の傾斜角度を調整させる。
【0025】
図6から
図9を参照して、
図7から
図9にかけてはそれぞれ
図5に示す定位システムの、
コンバイナが収納位置に位置する情況、
コンバイナが操作位置に位置する情況、
コンバイナが傾斜角度の調整を受ける情況の側面断面図である。
ヘッドアップディスプレイの定位システムの操作の詳細について下述する。
図7に図示する、定位システム20の操作開始前、
コンバイナキャリア15は収納位置に収納され、またガイドピン2612は真直
スロット2631の末端位置に位置される。
【0026】
定位システム20の操作開始時、歯車ベルト17はモーター18に駆動され、同時にリング歯車2623も駆動され回転する。この時、ガイドピン2612と真直
スロット2631が互いに抵抗し合う事でスリーブ261の回転を制限し、遊星歯車2622はリング歯車2623を受け駆動され固定位置で自転する。これにより、恒星歯車2621は遊星歯車2622に駆動されて回転し、また心棒233と歯車232も同時に回転する。歯車232の回転により歯車232自身はラック歯車231上を対向移動し、歯車がストッパー部2312に接触するとストッパー部2312のストッパーにより回転を停止させられる。
【0027】
図8に示す、上述の操作時に
コンバイナキャリア15は収納位置から操作位置まで移動し、またガイドピン2612は真直
スロット2631内の末端位置から真直
スロット2631と湾曲
スロット2632の接点位置まで移動する。
コンバイナキャリア15が操作位置まで移動すると、恒星歯車2621、心棒233及び歯車232の更なる回転はストッパー部2312により停止させられる。この時、ガイドピン2612がスリーブ261の回転により湾曲
スロット2632内を移動し、スリーブ261は回転制限から解放される。これにより、モーター18がリング歯車2623を持続駆動させると、遊星歯車2622は恒星歯車2621の周囲を公転する。
【0028】
図9に示すように、遊星歯車2622が恒星歯車2621の周囲を公転する時、スリーブ261とカム241は駆動されて共に回転し、またカム241はカンチレバー242を押す。カム241の半径の変化により、カム241はカンチレバー242との距離を変える事でこれを押し、
コンバイナ11の回転角度を調整させ、これにより
コンバイナ11の傾斜角度は観察者の観察角度に合わせて制御される。
【0029】
続いて、ユーザーが
コンバイナキャリア15を収納位置まで移動させて戻す時、モーター18は逆回転し全過程を逆転させて行う。
図8に示すように、まずスリーブ261を駆動させて逆回転させガイドピン2612を真直
スロット2631と湾曲
スロット2632の接点位置まで移動させて戻す。次にスリーブ261の更なる回転は制限され、遊星歯車2621が公転から自転を変えて、これにより歯車232を駆動させて回転させながらラック歯車231上を移動させ
コンバイナ15を連動させて収納位置まで戻す。
【0030】
同時に、第一実施形態と同じように、カンチレバー242をカム241の押す力から解放させた後にカンチレバー242を押される前の位置まで戻す為に、カンチレバー242上には弾性部材、例えばバネ(図示せず)等が設置されカム241の押す力に抵抗する弾力が与えられる
。
【0031】
[第3実施形態]
図10は、本発明に係る第三実施形態のヘッドアップディスプレイの定位システム30を図示する。実施形態2と比較した場合、この実施形態では、別の角度調整構造34を提示している。またその他の部材は第二実施形態で説明される物と同様であり同じ番号で標示し、ここではその詳細な説明は省略する。この実施形態は第二実施形態を基にし更なる説明を加え、但しこの実施形態で提示される角度調整構造34は第一実施形態の調整構造14を置換するが、第一実施形態同様の方式で操作される。
【0032】
第三実施形態では、角度調整構造34は曲面カム(curved face cam)341と、メインカンチレバー(main lever)342及びサービスカンチレバー(service lever)343を含む。曲面カム341はスリーブ261上に設置されスリーブ261と共に回転する。メインカンチレバー342の一端は
コンバイナ11上に固定され、またメインカンチレバー342の他端は自由端となる。次に、メインカンチレバー342はその上にガイド
スロット3421を設ける。サービスカンチレバー343の一端は移動してガイド
スロット3421に連接され、またサービスカンチレバー343の他端はスリーブ261上に回転するように設置される。曲面カム341はピン344を有しサービスカンチレバー343を押す。
【0033】
図11から
図14にかけてはそれぞれ
図10に図示する定位システムの、
コンバイナが収納位置に位置する情況、
コンバイナが操作位置に位置する情況、
コンバイナの傾斜角度が調整を受ける情況、及び
コンバイナがメンテナンス位置に位置する情況の側面断面図である。
この第三実施形態の移動構造23と駆動構造26の操作は第二実施形態と同様である。
【0034】
図11に図示する、定位システム30の操作開始前、
コンバイナキャリア15は収納位置に位置し、またガイドピン2612は真直
スロット2631の末端位置に位置する。
定位システム30の操作開始時、歯車ベルト17はモーター18に駆動され同時にリング歯車2623を駆動させ回転させる。この時、ガイドピン2612と真直
スロット2631が互いに抵抗し合う事でスリーブ261の回転を制限し、遊星歯車2622はリング歯車2623を受け駆動され固定位置で自転する。これにより、恒星歯車2621は遊星歯車2622を受け駆動されて回転し、また心棒233と歯車232も同時に回転する。歯車232の回転により歯車232自身はラック歯車231上を対向移動し、歯車がストッパー部2312に接触し、ストッパー部2312のストッパーにより回転は停止される。
【0035】
図12に示すように上述の操作中、
コンバイナキャリア15は収納位置から操作位置まで移動し、またガイドピン2612は真直
スロット2631内の末端位置から真直
スロット2631と湾曲
スロット2632の接点位置まで移動する。
コンバイナキャリア15が操作位置まで移動すると、恒星歯車2621、心棒233及び歯車232の更なる回転はストッパー部2312により停止される。この時、ガイドピン2612がスリーブ261の回転により湾曲
スロット2632内を移動した後、スリーブ261は回転制限から解放される。これにより、モーター18がリング歯車2623を持続駆動させると、遊星歯車2622は恒星歯車2621の周囲を公転する。
【0036】
遊星歯車2622が恒星歯車2621の周囲を公転する時、スリーブ261と曲面カム341は共に駆動されて回転し、曲面カム341にメインカンチレバー342を押させる(
図13に示すように)。曲面カム341の変化する半径により、曲面カム341はメインカンチレバー342を押して
コンバイナ11の回転角度を調整させ、これにより
コンバイナ11の傾斜角度を観察者の観察角度に合わせて調整させる。
【0037】
このほか、曲面カム341の更なる回転につれて、曲面カム341上に設けられるピン344はサービスカンチレバー343を押し、その一端をメインカンチレバー342のガイド
スロット3421内で移動させ、これによりメインカンチレバー342を更に押して
コンバイナ11の傾斜角度をさらに回転させ、
コンバイナ11をサービス位置まで移動させる(
図14に示すように)。サービス位置に位置する時、
コンバイナはフロントガラスとの距離を置く為、ユーザーは
コンバイナの後方に位置するフロントガラスを清潔に保てる。
【0038】
図15に示すように、異なる角度調整構造34は第一実施形態の調整構造14への交換が可能であり、第一実施形態の方式で操作できる。
角度調整構造34は曲面カム341と、メインカンチレバー342及びサービスカンチレバー343で構成される。曲面カム341は心棒133上に設置され心棒133と共に回転する。メインカンチレバー342の一端は
コンバイナ11上に固定され、またメインカンチレバー342の他端は自由端となる。さらに、メインカンチレバー342上にはガイド
スロット3421が設けられる。サービスカンチレバー343の一端は移動してガイド
スロット3421と連接され、またサービスカンチレバー343の他端は心棒133上に回転するように設置される。曲面カム341はサービスカンチレバー343を押すためのピン344を有する。
【0039】
操作方法は第一実施形態及び第三実施形態での説明と同様であり、ここではその詳細な説明は省略する。
【0040】
本発明のヘッドアップディスプレイの定位システムの、移動構造と角度調整構造は個別ユニットとなり、またその設計自由度も高く乗用車市場における計器板やフロントガラスの要求に合わせての改変も可能となる。さらに、本発明の駆動構造、移動構造及び角度調整構造は交替で駆動される為、各自別々に駆動構造を必要としない。このため、ヘッドアップディスプレイシステムのサイズを縮小出来る。
【0041】
上述の実施形態は本発明の技術思想及び特徴を説明するためのものにすぎず、当技術分野を熟知する者に本発明の内容を理解させると共にこれをもって実施させることを目的とし、本発明の特許請求の範囲を限定するものではない。従って、本発明の精神を逸脱せずに行う各種の同様の効果をもつ改良又は変更は、後述の請求項に含まれるものとする。