(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
デイビス法に基づくHLB値が3.72以上4.23以下であるポリエーテル型の非イオン性界面活性剤(A)およびイオン性界面活性剤(B)を含有するリユース剤と、洗浄に供されたことで油分を含有する洗浄液である老化洗浄液とを混合して混合体を得る混合工程、
前記混合体を前記非イオン性界面活性剤(A)の曇点以上に加熱して前記混合体を油性相と水性相とに相分離する相分離工程、
前記水性相を回収して水性組成物を得る回収工程、および
前記水性組成物を原料の少なくとも一つとして、再生洗浄液を得る再生工程を備えており、
前記非イオン性界面活性剤(A)が、下記一般式(i)により表わされる化合物であり、
前記イオン性界面活性剤(B)がカチオン性界面活性剤からなることを特徴とする再生洗浄液の製造方法。
R−O−[(PO)m/(EO)n]−H (i)
(式中、Rは炭素数20以下の直鎖または分岐鎖のアルキル基またはアルケニル基、POはオキシプロピレン基、EOはオキシエチレン基、mはPOの平均付加モル数、nはEOの平均付加モル数を表し、mおよびnは非負整数であってm+n≦8を満たす。)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような方法では、非イオン性界面活性剤は、洗浄液における洗浄機能の一部を担いつつ、かつ老化洗浄液となったときにその液体に含有される油分を回収するための機能をも有する必要がある。このため、洗浄液の組成の設計自由度を高めることは困難であり、汚れの程度が激しい機械加工部品等を洗浄するための洗浄剤として適用することは必ずしも容易ではなかった。また、老化洗浄液に含有される油分を回収するためには、老化洗浄液を希釈したり特に高温に加熱したりすることが必要とされていた。
【0005】
さらに、上記の洗浄液では非イオン性界面活性剤と相互作用してミセルを形成している油分が主として回収され、老化洗浄液中に非イオン性界面活性剤との相互作用が少ない油分が含まれている場合には、そのような油分については十分に回収できないという問題があった。
【0006】
このため、上記の洗浄液では、機械加工された部品、特に切削などの二次加工により得られた部品の洗浄のような、油汚れの程度が激しい洗浄対象物を洗浄した場合には、老化洗浄液から油分を回収した後の洗浄液には依然として多くの油分が含有し、洗浄液の再生という観点では満足できるものではなかった。
【0007】
本発明はかかる現状を改善し、洗浄能力に優れる再生洗浄液の製造方法、その製造方法に使用されるためのリユース剤、およびそのリユース剤を用いる老化洗浄液から油分を除去する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するための基本的な考え方として、洗浄液に油分回収の機能を付与するのではなく、老化洗浄液を水性相と油性相とに相分離するための組成物であるリユース剤を用いることとした。かかるリユース剤を用いることにより、洗浄液には特段の油分回収機能を付与する必要がなくなるため、洗浄液の成分の設計自由度が高まる。しかも、そのような油分回収機能を有してない洗浄液についても、リユース剤を添加することにより再生洗浄液の原料とすることが可能となる。
【0009】
また、そのように洗浄剤とは独立にリユース剤を用いることで、リユース剤に含有される非イオン性界面活性剤を相分離に特に適した成分とすることができる。相分離の程度を高める観点のみからは、親油性の高い、すなわちHLB値が低い物質をリユース剤の成分として用いることが好ましい。しかしながら、そのような親油性の高い物質をリユース剤の成分とすると、そのままでは、老化洗浄液内にその成分が十分に拡散できず、相分離が適切に行われない場合があることが明らかになった。そこでさらに検討した結果、イオン性界面活性剤をリユース剤の成分として共存させることにより、親油性の高い非イオン性界面活性剤を老化洗浄液中に容易に拡散させることができ、老化洗浄液の相分離の程度が高まるとの知見を得た。
【0010】
かかる知見に基づき完成された本発明は次のとおりである。
(1)デイビス法に基づくHLB値が3.72以上4.23以下であるポリエーテル型の非イオン性界面活性剤(A)およびイオン性界面活性剤(B)を含有するリユース剤と、洗浄に供され油分を含有する洗浄液である老化洗浄液とを混合して混合体を得る混合工程、前記混合体を前記非イオン性界面活性剤(A)の曇点以上に加熱して前記混合体を油性相と水性相とに相分離する相分離工程、前記水性相を回収して水性組成物を得る回収工程、および前記水性組成物を原料の少なくとも一つとして、再生洗浄液を得る再生工程を備え
ており、前記非イオン性界面活性剤(A)が、下記一般式(i)により表わされる化合物であり、前記イオン性界面活性剤(B)がカチオン性界面活性剤からなることを特徴とする再生洗浄液の製造方法。
R−O−[(PO)m/(EO)n]−H (i)
(式中、Rは炭素数20以下の直鎖または分岐鎖のアルキル基またはアルケニル基、POはオキシプロピレン基、EOはオキシエチレン基、mはPOの平均付加モル数、nはEOの平均付加モル数を表し、mおよびnは非負整数であってm+n≦8を満たす。)
【0011】
(2)前記再生洗浄液中の前記イオン性界面活性剤(B)の含有量が0.003モル当量/L以下である上記(1)に記載の製造方法。
【0013】
(3)前記非イオン性界面活性剤(A)は、POの平均付加モル数mが4以下、かつEOの平均付加モル数nが6以下である、上記
(2)に記載の製造方法。
【0014】
(4)上記(1)から(3)のいずれか一つに記載される製造方法を実施するために用いられるリユース剤であって、前記非イオン性界面活性剤(A)および前記イオン性界面活性剤(B)、ならびにこれらに対する可溶性を有する極性溶媒を含有することを特徴とするリユース剤。
【0015】
(5)上記(1)から(3)のいずれか一つ
に記載される製造方法を実施するために用いられるリユース剤を用いて、上記(1)に記載される混合工程から回収工程までを実施することを特徴とする、洗浄に供され油分を含有する洗浄液である老化洗浄液から油分を除去する方法。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、老化洗浄液から効率的に油分が除去され、洗浄力に優れる再生洗浄液を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
1.リユース剤
本発明の一実施形態に係るリユース剤は、デイビス法に基づくHLB値(以下、「HLB値」と略記する。)が
3.72以上4.64以下であるポリエーテル型の非イオン性界面活性剤(A)およびイオン性界面活性剤(B)を含有する。
【0018】
(1)非イオン性界面活性剤(A)
本実施形態に係る非イオン性界面活性剤(A)はポリエーテル型の構造を有する。かかる構造を有する分子は、曇点以上に加熱されると水分子との相互作用の程度が低下して分子内の親水性が低下し、水系溶媒からなる液体への溶解度が低下する特性を有する。本実施形態に係るリユース剤は、この特性を利用して、老化洗浄液を油性相と水性相とに分離する。以下、リユース剤における非イオン性界面活性剤(A)に基づく相分離を行う機能を「相分離機能」という。
【0019】
したがって、非イオン性界面活性剤(A)のHLB値は低ければ低いほど曇点が低く、老化洗浄液を相分離させる能力も高い。ところが、非イオン性界面活性剤(A)のHLB値が過度に低い場合には、非イオン性界面活性剤(A)内の親水性が過度に低くなって、老化洗浄液の溶媒である極性溶媒、典型的には水(以下、この溶媒を「洗浄液溶媒」という。)との相互作用が少なくなり、結果的に洗浄剤内に適切に拡散することができなくなる。したがって、非イオン性界面活性剤(A)のHLB値には下限が存在する。
【0020】
本実施形態に係るリユース剤は、後に詳しく説明するようにイオン性の界面活性剤(B)を有することから、リユース剤内の非イオン性界面活性剤(A)は、リユース剤に含まれるイオン性の界面活性剤(B)と相互作用した状態にある。この相互作用の詳細は不明であるが、イオン性の界面活性剤(B)と相互作用することによって非イオン性界面活性剤(A)は老化洗浄液の溶媒に対する親和性が向上する。
【0021】
以下、その相互作用の一例として、イオン性の界面活性剤(B)がミセルを作り、そのミセル内に非イオン性界面活性剤(A)が包含されている場合を具体例として、老化洗浄液内の非イオン性界面活性剤(A)について説明する。なお、イオン性の界面活性剤(B)と相互作用した状態にある非イオン性界面活性剤(A)を、溶解性非イオン性界面活性剤(A’)という。
【0022】
老化洗浄液内の溶解性非イオン性界面活性剤(A’)は、イオン性の界面活性剤(B)がミセルをなしていることで、老化洗浄液内の水に対する親和性が高いことから、老化洗浄液内に容易に拡散することができる。
【0023】
ここで、一般的な老化洗浄液内には、アルカリ成分が油分をケン化したことに基づくイオン性の油分や、イオン性界面活性剤などが含有されている場合が多い。このため、非イオン性界面活性剤(A)と相互作用した状態にあるイオン性の界面活性剤(B)は、老化洗浄液中でこうしたイオン性の物質とも相互作用する。その結果、溶解性非イオン性界面活性剤(A’)における非イオン性界面活性剤(A)とイオン性の界面活性剤(B)との相互作用の程度は弱まり、非イオン性界面活性剤(A)は老化洗浄液中の油分と直接的に相互作用できるようになる。
【0024】
この状態で老化洗浄液を非イオン性界面活性剤(A)の曇点以上に加熱すると、非イオン性界面活性剤(A)は分子全体として高い親油性を有し、非イオン性界面活性剤(A)と相互作用していた油分や、他の親油性を有する物質とともに油性層を形成する。その結果、水性相と油性相との相分離が生じることとなる。
【0025】
以上の相分離工程を含む再生洗浄液の製造方法を安定的に実施する観点から、本実施形態に係る非イオン性界面活性剤(A)のHLB値は
3.72以上4.64以下とする
。
【0027】
非イオン性界面活性剤(A)の具体的な構造は、ポリエーテル構造を有し、分子として上記のHLB値の範囲にあれば、特に限定されない。上記のHLB値を満たすことが容易となる観点から、非イオン性界面活性剤(A)の好ましい具体例として、下記一般式(i)により表わされる化合物が挙げられる。
【0028】
R−O−[(PO)
m/(EO)
n]−H (i)
上記式(i)中、Rは炭素数20以下の直鎖または分岐鎖のアルキル基またはアルケニル基、POはオキシプロピレン基、EOはオキシエチレン基、mはPOの平均付加モル数、nはEOの平均付加モル数を表し、mおよびnは非負整数であってm+n≦8を満たす。POの平均付加モル数mは4以下であることが好ましく、2以下であることがさらに好ましい。一方、EOの平均付加モル数nは6以下であることが好ましく、4以下であることがさらに好ましい。
【0029】
リユース剤中の非イオン性界面活性剤(A)の含有量は特に限定されない。リユース剤として保管する際のフットプリントを少なくすること、老化洗浄液へのリユース剤としての添加量を少なくすることなどの観点からは、非イオン性界面活性剤(A)の含有量は高いことが好ましいが、過度に高い場合には保管時の安定性や添加時の取扱い性が低下する場合もあるため、500g/L以上1000g/L以下程度とすることが好ましい。
【0030】
(2)イオン性界面活性剤(B)
本実施形態に係るリユース剤が含有するイオン性界面活性剤(B)は、その親油性基の部分にて非イオン性界面活性剤(A)と相互作用し、その親水性基の部分にて洗浄液溶媒と相互作用できる限り、具体的な構造は特に限定されない。親水性基はカチオン性の基であってもよいし、アニオン性の基であってもよい。
【0031】
ただし、老化洗浄液には多くの場合界面活性剤が含まれ、その種類はアニオン性が一般的であるから、イオン性界面活性剤(B)がカチオン性である場合には、老化洗浄液内のミセルブレーカとして機能することができる。また、老化洗浄液内の油分が脂肪酸イオンの状態(乳化)で含まれている場合には、こうした乳化油分を効率的に油性層に含有させることもできる。このため、リユース剤の分離性能が向上し、水性相に含まれる液体の清浄度が高まる。このことは、再生洗浄液の洗浄力向上に寄与する。
【0032】
イオン性界面活性剤(B)がカチオン性である場合、つまりカチオン性界面活性剤である場合の具体的な構造は特に限定されない。カチオン性界面活性剤の具体例として、ジ長鎖アルキルジメチル4級アンモニウムイオン、長鎖アルキルジメチル4級アンモニウムイオン、アルキルアンモニウムイオン、第4級アンモニウムイオンが挙げられる。これらは、通常、塩酸塩などの形態で配合される。イオン性界面活性剤(B)は、これらの一種類から構成されていてもよいし、複数種類から構成されていてもよい。
【0033】
これらの中でも、供給安定性に優れ、かつ品質とコストとのバランスに優れることから、長鎖アルキルジメチル4級アンモニウムイオンが好ましい。
【0034】
イオン性界面活性剤(B)の含有量はリユース剤の相分離機能が適切な範囲である限り限定されない。イオン性界面活性剤(B)の含有量が過度に多い場合や過度に少ない場合には、リユース剤の相分離機能が低下する傾向を示すことが懸念される。通常、イオン性界面活性剤(B)の含有量は0.001モル当量/L以上とすることが好ましく、0.002モル当量/L以上とすることがより好ましく、0.003モル当量/L以上とすることがさらに好ましい。
【0035】
なお、イオン性界面活性剤(B)がカチオン性であって、再生洗浄液がアニオン性界面活性剤を含有する場合には、再生洗浄液内に含まれるイオン性界面活性剤(B)の含有量が0.003モル当量/L程度以上となると、再生洗浄液内のアニオン性界面活性剤の機能を阻害することが懸念されるため、この点についても留意することが好ましい。具体的には、リユース剤内のカチオン性のイオン性界面活性剤(B)の含有量は、0.02モル当量/L以下であることが好ましく、0.015モル当量/L以下であることがより好ましく、0.01モル当量/L以下であることがさらに好ましい。
【0036】
(3)溶媒
本実施形態に係るリユース剤の溶媒は特に限定されないが、非イオン性界面活性剤(A)およびイオン性界面活性剤(B)に対する可溶性を有する極性溶媒であることが、これらをリユース剤内で適切に相互作用させる観点から好ましく、プロトン性極性溶媒であることがより好ましい。そのような溶媒の典型は水であり、その他アルコールが例示される。ただし、アルコールのような有機基を有する溶媒はリユース剤の相分離機能を低下させる場合もあるため、本実施形態に係るリユース剤の溶媒は水であることが好ましい。
【0037】
(4)その他の成分
本実施形態に係るリユース剤は、上記の非イオン性界面活性剤(A)およびイオン性界面活性剤(B)以外の成分を含有してもよい。そのような成分として、硫酸ナトリウムなどの中性無機塩、キレート剤などの有機系金属イオン封鎖剤、ゼオライトなどの金属イオン封鎖剤、シリコン油などの消泡剤、ベンゾトリアゾールなどの腐食抑制剤が例示される。これらの含有量は限定されない。上記の非イオン性界面活性剤(A)およびイオン性界面活性剤(B)の機能を阻害しない限り任意である。
【0038】
(5)リユース剤の調製方法
本実施形態に係るリユース剤の調製方法は特に限定されない。リユース剤に含有される成分のうち、少なくとも非イオン性界面活性剤(A)およびイオン性界面活性剤(B)を溶媒中に溶解させればよい。そのための手法は任意であり、これらの成分の溶解度を高めるために溶媒を加熱してもよい。リユース剤がその他の成分を含み、その含有されるその他の成分が溶解度の低い成分や不溶性の成分を含む場合には、リユース剤中にそれらの成分が固体状態で分散していてもよい。
【0039】
リユース剤がその他の成分を含む場合には、前述のように非イオン性界面活性剤(A)およびイオン性界面活性剤(B)をリユース剤中で相互作用させることが好ましいことから、これらの成分のみを含む組成物を別途調製し、これを他の成分と混合することが好ましい。単独の槽にて調整する場合には、非イオン性界面活性剤(A)およびイオン性界面活性剤(B)を最初に添加して、これらの相互作用が優先的に行われるようにすることが好ましい。
【0040】
2.再生洗浄液の製造方法
本実施形態に係る再生洗浄液の製造方法は、リユース剤と老化洗浄液とを混合して混合体を得る混合工程、混合体を非イオン性界面活性剤(A)の曇点以上に加熱して混合体を油性相と水性相とに相分離する相分離工程、水性相を回収して水性組成物を得る回収工程、および水性組成物を原料の少なくとも一つとして、再生洗浄液を得る再生工程を備える。
【0041】
混合工程の詳細は限定されない。前述のように、リユース剤は、含有する非イオン性界面活性剤(A)が老化洗浄液内に十分に拡散できるようにイオン性界面活性剤(B)をも含有するため、混合工程において加熱したり激しく撹拌したり希釈したりする作業は特に必要とされない。リユース剤の老化洗浄液内への拡散が適切になるように、適宜攪拌してもよい。必要であれば、老化洗浄液内の油分とリユース剤内の成分との相互作用を促進するために、40℃程度までであれば若干の加熱を行ってもよい。
【0042】
相分離工程の詳細は前述のとおりである。なお、非イオン性界面活性剤(A)の曇点以上に加熱するにあたり、曇点の具体的な温度は、非イオン性界面活性剤(A)およびイオン性界面活性剤(B)のそれぞれの種類や含有量、さらにはその他の成分の種類や含有量によって変化するため確定的には決定されない。イオン性界面活性剤(B)がカチオン性の場合には、曇点が低下する傾向がみられる場合がある。また、相分離工程を完了させるための時間は任意であるが、相分離を安定化させる観点から、加熱した混合体をその状態で数時間程度静置することが好ましい。
【0043】
回収工程において水性相を回収する方法は任意である。通常は、容器の底部から水性相を抜き取る、容器の上部の油性相を流し出す、といった作業が行われる。
【0044】
回収された水性相からなる水性組成物は、再生洗浄液の原料の少なくとも一つとなる。水性組成物をそのままで再生洗浄液としてもよいし、必要に応じアルカリ成分や界面活性剤などを添加してもよい。これらの添加成分の添加量は適宜設定されるべきものである。
【0045】
こうして得られた再生洗浄液は、老化洗浄液に含まれていた油分の残留量が少ないため、汚れの程度が激しい機械加工部品等の洗浄対象物を洗浄するための洗浄剤としても使用することができる。そのような洗浄対象物の具体例として、金属系材料からなる板材や棒材、線材などの一次加工品、ねじ、ボルトなどの二次加工品が挙げられる。
【0046】
3.油分の除去方法
上記の再生洗浄液の製造方法における混合工程から回収工程までを備える油分の除去方法を実施してもよい。
【実施例】
【0047】
以下、実施例等により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例等に限定されるものではない。
【0048】
(実施例1)
(1)模擬老化洗浄液の調製
水酸化ナトリウム8g/L、ケイ酸ナトリウム5水和物3g/L、およびラウリルアルコールエーテルEO付加物(三洋化成工業(株)製、エマルミン NL−80)3g/Lを含有し水を溶媒とする洗浄液495mlを1Lビーカー内に調製した。
【0049】
この洗浄液の温度を50℃に維持した状態で、鉱物油(昭和シェル(株)製ヘシェルビトリアオイル100)を10ml/L添加して、添加後の洗浄液をスターラーで2時間攪拌した。こうして得られた500mlの液体を、老化洗浄液を模した模擬老化洗浄液とした。
【0050】
(2)分離機能の評価
表1に示される非イオン性界面活性剤(A)(上記式(i)で示される化合物であって、表1には、R,mおよびnが示されている。)としての化合物およびイオン性界面活性剤(B)としてのカチオン性の界面活性剤のそれぞれを混合してなるリユース剤を
調製した。
この調製された各リユース剤5mlを上記の模擬老化洗浄液500mlに添加した。なお、試験No.1ではリユース剤を添加しなかった。その結果、得られた液体中の非イオン性界面活性剤(A)およびイオン性界面活性剤(B)の含有量は表1に示されるとおりとなった。
リユース剤が添加された模擬老化洗浄液(試験No.1は模擬老化洗浄液のみ)をガラス棒にて30秒攪拌した後、60℃に加熱し、その状態で2時間静置した。静置後の液体は油性相と水性相とに相分離していた。この液体における油性相を、シリンジを用いて吸引除去し、さらに吸引除去後の液体上にオイルマットを載置して、液体に残留する油性相を吸着除去した。
こうして油性相が除去され水性相のみからなる液体230mlを、容量250mlの濁度測定用のメスシリンダー(底面に十字模様を有し、底部に液抜きを有する。)内に入れた。メスシリンダー内の液体の流動が沈静化したことを確認して、メスシリンダーの上部から液体を観察しながら、メスシリンダーの液抜きから液体を流出させて、メスシリンダー内の液量を低下させた。メスシリンダー底面に設けられた十字模様を、液体を通じて目視にて確認できたときに、液抜きを停止し、そのときの液体の液面のメスシリンダー内の高さを測定した。
【0051】
この測定された液面の高さにより分離性能を次の基準で評価した。
良(分離機能に優れる、表1中「◎」):7cm以上である場合
可(リユース剤として必要な分離機能を有する、表1中「○」):5cm以上7cm未満である場合
不可:(リユース剤として必要な分離機能を有していない、表1中「×」):5cm未満である場合
【0052】
(3)再生洗浄液の洗浄機能の評価
上記の水性相からなる液体の全量をメスシリンダーから抜き取り、その液体に対して、ラウリルアルコールエーテルEO付加物(三洋化成工業(株)製、エマルミン NL−80)の含有量が3g/Lになるように添加して、再生洗浄液を得た。なお、再生洗浄液中におけるイオン性の界面活性剤(B)の含有量を測定したところ、検出限界(1.0×10
−6モル当量/L)以下であった。
SPCC−SD鋼板の双方の主面(主面形状:10cm×5cm)に対して、前述の鉱物油を0.5ml/cm
2塗布し、その状態で12時間静置した。
【0053】
液温が50℃に維持された再生洗浄液に12時間静置後の鋼板を10秒間浸漬させた。その後、鋼板を再生洗浄液から取り出し、水洗を十分に行い、水洗後の水濡れ部分は鉱物油が洗浄された部分とみなし、鋼板の主面における水濡れ面積を測定した。水濡れ面積の主面の面積に対する比率を水濡れ面積率として求め、この水濡れ面積率を用いて、再生洗浄液の洗浄機能を次の基準で評価した。
良(洗浄機能に優れる、表1中「◎」):90%以上
可(洗浄機能を有する、表1中「○」):80%以上90%未満
不可:(洗浄機能を有していない、表1中「×」):80%未満
【0054】
評価結果を表1に示す。
【0055】
【表1】