特許第5779783号(P5779783)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5779783ボルトの共回り防止手段およびそれを備えた金属屋根用の取付金具
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5779783
(24)【登録日】2015年7月24日
(45)【発行日】2015年9月16日
(54)【発明の名称】ボルトの共回り防止手段およびそれを備えた金属屋根用の取付金具
(51)【国際特許分類】
   E04D 13/00 20060101AFI20150827BHJP
   E04D 13/18 20140101ALI20150827BHJP
   E04D 3/40 20060101ALI20150827BHJP
   H02S 20/23 20140101ALI20150827BHJP
【FI】
   E04D13/00 K
   E04D13/18ETD
   E04D3/40 V
   H02S20/23 B
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-151764(P2012-151764)
(22)【出願日】2012年7月5日
(62)【分割の表示】特願2012-42339(P2012-42339)の分割
【原出願日】2012年2月28日
(65)【公開番号】特開2013-177793(P2013-177793A)
(43)【公開日】2013年9月9日
【審査請求日】2013年12月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】591188941
【氏名又は名称】株式会社サカタ製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100113804
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 敏
(72)【発明者】
【氏名】小柳 俊
(72)【発明者】
【氏名】岩名 紘司
【審査官】 西村 隆
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭58−168626(JP,U)
【文献】 特開2006−028759(JP,A)
【文献】 特開2006−009275(JP,A)
【文献】 実開昭54−022662(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 13/00
E04D 3/40
E04D 13/18
H02S 20/23
F16B 37/04
F16B 41/00
F16B 43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部材間に横貫して設けられた締結具としてのボルトの共回りを防止するボルトの共回り防止手段であって、
ボルト頭部の内面と接触する部材の接触部分の外側に切り起こし片を複数形成し、ボルト頭部の側面と当接させることにより、共回りしようとするボルトの回転運動を切り起こし片で規制し、ボルトの共回りを防止するとともに、
ナット側の部材にも形成された同じ切り起こし片に対して、ボルト頭部よりも設置面の大きい座金又はフランジナットを用いることで、ナットの締め付け時に切り起こし片を寝かせることを特徴としたボルトの共回り防止手段。
【請求項2】
切り起こし片を矩形状又は三角形状で形成したことを特徴とした請求項1記載のボルトの共回り防止手段。
【請求項3】
切り起こし片をボルト頭部の隣り合う側面又は向かい合う側面に当接するように形成したことを特徴とした請求項1又は記載のボルトの共回り防止手段。
【請求項4】
請求項1からのいずれかに記載のボルトの共回り防止手段を備えた金属屋根用の取付金具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、金属屋根の上面に設置物(例えば、ソーラーパネルなど)を取り付けるために上部ボルトを備えた取付金具の上部ボルト固定構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
金属屋根にソーラーパネルなどの設置物を取り付けるための取付金具としては、下記の特許文献1に示すものが挙げられる。
特許文献1は、図10に示すように、(はぜ式)折板屋根1のはぜ継ぎ部1a’に、レール固定用ボルト(上部ボルト)4cを備えたレール受け金具(取付金具)4をボルト締めして取り付けるものである。
【0003】
ここで、レール固定用ボルト(上部ボルト)4cはレール受け金具(取付金具)に固定されているものであるが、その固定には、一般的に以下のような方法がとられる。
(1)ボルトの根元を押し潰して固定する方法
(2)特殊座金を使用して固定する方法
(3)ボルトを溶着して固定する方法
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−236611号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記(1)〜上記(3)の固定方法には、以下のような課題を有していた。
上記(1)の固定方法では、専用のボルトと金型が必要になるが、専用ボルトは入手性が悪く、また、コストがかかる。
上記(2)の固定方法では、座金のコストがかかる上に、部品点数が増えるために組み立て作業性が悪い。
上記(3)の固定方法では、ボルトを溶着する作業工程が繁雑であり、溶着の程度によっては品質が安定しない。
【0006】
これに対して、本願発明者は、上記した一般的な上部ボルトの固定方法を採用せずに、取付金具の構造によって、簡易且つ確実に上部ボルトを固定できるこれまでにない新規な固定構造を提供すべく鋭意試験・研究を行い、本願発明を完成するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本願発明の第1の発明は、金属屋根の上面に設置物を取り付けるために上部ボルトを備えた取付金具の上部ボルト固定構造であって、取付金具は、一対の分割パーツを備え、第1分割パーツは、頂面に上部ボルトを挿通する長孔と、頂面の下側にあって長孔の一部に向かい合い挿通した上部ボルトの頭部を支持する支持部を有し、第2分割パーツは、第1分割パーツの頂面の上に重ね合わせる頂面を有するとともに、第1分割パーツの長孔に挿通されて支持部によってその頭部が支持された位置にある上部ボルトのネジ部を貫通させるボルト孔を頂面に形成したことを特徴とするものである。
第2の発明は、第1分割パーツ及び第2分割パーツの頂面に、頂面どうしの重ね合わせた状態を維持する係止手段を備えたことを特徴とする同取付金具の上部ボルト固定構造である。
第3の発明は、第1の発明又は第2の発明に係る取付金具の上部ボルト固定構造を備えた金属屋根用取付金具である。
第4の発明は、水平方向に組み合わせる第1分割パーツ及び第2分割パーツを締め付けるために横貫して設けられた締結具のボルトの共回りを防止する共回り防止手段を備えたことを特徴とする同取付金具である。
第5の発明は、共回り防止手段が、ボルトの頭部内面と接触する取付金具の接触部分の外側に切り起こし片を複数形成し、ボルトの頭部側面と当接させることを特徴とする同取付金具である。
【発明の効果】
【0008】
上記した本願発明によれば、以下のような効果を有する。
(1)本願発明は、取付金具が、一対の分割パーツを備え、第1分割パーツは、頂面に上部ボルトを挿通する長孔と、頂面の下側にあって長孔の一部に向かい合い挿通した上部ボルトの頭部を支持する支持部を有し、第2分割パーツは、第1分割パーツの頂面の上に重ね合わせる頂面を有するとともに、第1分割パーツの長孔に挿通されて支持部によってその頭部が支持された位置にある上部ボルトのネジ部を貫通させるボルト孔を頂面に形成したことで、まず、上部ボルトは第1分割パーツの長孔に挿通した後に、長孔の長手方向にスライドすることで上部ボルトの頭部が支持部によって支持されて第1分割パーツに仮止めされた状態になる。次に、第2分割パーツの頂面を第1分割パーツの頂面の上に重ね合わせるように組み合わせると、ちょうど第2分割パーツの頂面に形成したボルト孔に上部ボルトのネジ部が貫通し、上部ボルトのスライドを規制する。これによって、上部ボルトが取付金具に固定された状態になる。すなわち、取付金具の構造によって、簡易且つ確実に上部ボルトを固定できることになる。
(2)第1分割パーツ及び第2分割パーツの頂面に、頂面どうしの重ね合わせた状態を維持する係止手段を備えたことで、第1分割パーツの頂面から第2分割パーツの頂面が外れることを防止できるので、上部ボルトの固定をより確実なものとすることができる。
(3)上記する上部ボルト固定構造を取付金具に備えたことで、金属屋根の上面に設置物(例えば、ソーラーパネルなど)を取り付ける作業を極めて簡易且つ確実に行える。
(4)水平方向に組み合わせる第1分割パーツ及び第2分割パーツを締め付けるために横貫して設けられた締結具のボルトの共回りを防止する共回り防止手段を備えたことで、ボルトの共回りを防止して、締結具(ボルト及びナット)による締結作業をより確実・安定的に行うことができる。
(5)共回り防止手段が、ボルトの頭部内面と接触する取付金具の接触部分の外側に切り起こし片を複数形成し、ボルトの頭部側面と当接させることで、共回りしようとするボルトの回転運動を規制し、ボルトの共回りを防止できる。また、切り起こし片がナット側に形成されていたとしても、座金やフランジナット(ボルトの頭部よりも設置面の大きいもの)を用いることで、ナットの締め付け時に切り起こし片を寝かせることができるので、特に支障が無く、ボルト側とナット側で同じ切り起こし片の形成された部材を用いることができる。すなわち、リブ等を用いた通常の共回り防止手段では、ボルト側にリブ有りの部材でナット側にリブ無いの部材を用いる非対称形状のために、非効率であった。これに対して、本願発明の共回り防止手段を用いれば、ボルト側とナット側に共通の部材を使用できるので、部品点数の減少、生産性の向上が可能になる。また、汎用の六角ボルトを使用できるために、部品調達も容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】取付金具の上部ボルト固定構造の実施形態を示す説明図(1)。
図2】取付金具の上部ボルト固定構造の実施形態を示す説明図(2)。
図3】取付金具の上部ボルト固定構造の実施形態を示す説明図(3)。
図4】取付金具の上部ボルト固定構造の実施形態を示す説明図(4)。
図5】取付金具の上部ボルト固定構造の使用状態を示す説明図。
図6】ボルトの共回り防止手段を示す説明図(1)。
図7】ボルトの共回り防止手段を示す説明図(2)。
図8】ボルトの共回り防止手段を示す説明図(3)。
図9】ボルトの共回り防止手段を備えた取付金具を示す斜視図。
図10】特許文献1に開示された従来技術を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本願発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本願発明に係る取付金具の上部ボルト固定構造の実施形態を示す説明図(1)である。なお、図1(a)は全体斜視図、図1(b)は分解図である。
図1(a)に示すように、上部ボルト10は、取付部材20の構造、すなわち取付部材20を構成する第1分割パーツ30と第2分割パーツ40の構造によって、取付部材20に固定されている。
【0011】
図1(b)に示すように、第1分割パーツ30は、頂面31に上部ボルト10を挿通する長孔32と、頂面31の下側にあって長孔32の一部に向かい合い挿通した上部ボルト10の頭部11を支持する支持部33を有する。
また、第2分割パーツ40は、第1分割パーツ30の頂面31の上に重ね合わせる頂面41を有するとともに、第1分割パーツ30の長孔32に挿通されて支持部33によってその頭部11が支持された位置にある上部ボルト10のネジ部12を貫通させるボルト孔42を頂面41に形成する。
【0012】
図2及び図3は、本願発明に係る取付金具の上部ボルト固定構造の実施形態を示す説明図(2)及び(3)であり、上部ボルト10の固定構造の仕組みを説明したものである。なお、図2は斜視図、図3は断面図で、上部ボルト10の固定構造の仕組みを説明した。
図2及び図3に示すように、まず、上部ボルト10は第1分割パーツ30の長孔32に挿通した後に(図2(a)及び図3(a))、長孔32の長手方向にスライドすることで上部ボルト10の頭部11が支持部33によって支持されて第1分割パーツ30に仮止めされた状態にする。
【0013】
次に、第2分割パーツ40の頂面41を第1分割パーツ30の頂面31の上に重ね合わせるように組み合わせると(図2(b)及び図3(b))、ちょうど第2分割パーツ40の頂面41に形成したボルト孔42に上部ボルト10のネジ部12が貫通し、上部ボルト10のスライドを規制する(図3(c))。これによって、上部ボルト10が取付金具20に固定された状態になる。すなわち、取付金具20の構造によって、簡易且つ確実に上部ボルト10を固定できることになる。
【0014】
図4は、本願発明に係る取付金具の上部ボルト固定構造の実施形態を示す説明図(4)であり、上部ボルト10の固定をより確実なものとする実施形態を説明したものである。
図4に示すように、第1分割パーツ30の頂面31に切欠溝34,34を形成し、この切欠溝34,34に対応する差込片43,43を第2分割パーツ40の頂面41に形成する。こうして、お互いに係合する切欠溝34と差込片43によって、第1分割パーツ30及び第2分割パーツ40の頂面どうしの重ね合わせた状態を維持する係止手段を備える。これによって、第1分割パーツ30の頂面31から第2分割パーツ40の頂面41が外れることを防止できるので、上部ボルト10の固定をより確実なものとすることができる。
【0015】
図5は、取付金具の上部ボルト固定構造の使用状態を示す説明図である。
図5に示す取付部材21は、立平葺屋根50に用いられる立平葺屋根用取付部材である。この立平葺屋根用取付部材21に上記した上部ボルト10の固定構造を用いることで、立平葺屋根50の上面に設置物60(例えば、ソーラーパネルなど)を取り付ける作業を極めて簡易且つ確実に行える。
なお、上記した上部ボルト10の固定構造は、立平葺屋根用取付部材だけでなく、その他の金属屋根用の取付金具に使用することができる。
【0016】
図6及び図7は、ボルトの共回り防止手段を示す説明図(1)及び(2)である。
図6及び図7に示すように、部材80,90,80間に横貫して設けられた締結具70のボルト71の共回りを防止する共回り防止手段は、ボルト71の頭部72内面73と接触する部材80の接触部分の外側に切り起こし片81を複数形成し(図6(a)、図7(a))、ボルト71の頭部72側面74と当接させるものである(図6(b)、図7(b)及び(c))。すなわち、共回りしようとするボルト71の回転運動を切り起こし片81で規制し、ボルト71の共回りを防止する。
【0017】
ここで、切り起こし片81がナット75側の部材80に形成されていたとしても、座金やフランジナット76(ボルト71の頭部72よりも設置面の大きいもの)を用いることで、ナット76の締め付け時に切り起こし片81を寝かせることができるので(図7(b)→(c))、特に支障が無く、ボルト71側とナット75側で同じ切り起こし片81の形成された部材80を用いることができる。すなわち、リブ等を用いた通常の共回り防止手段では、ボルト側にリブ有りの部材、ナット側にリブ無いの部材を用いる非対称形状のために、非効率であった。これに対して、本願発明の共回り防止手段を用いれば、ボルト側とナット側に共通の部材を使用できるので、部品点数の減少、生産性の向上が可能になる。また、汎用の六角ボルトを使用できるために、部品調達も容易になる。
【0018】
図8は、ボルトの共回り防止手段を示す説明図(3)であり、切り起こし片81のバリエーションを例示したものである。
図8(a)は、切り起こし片81a(矩形状)をボルト71の頭部72の隣り合う側面74に当接するように形成したものである。
図8(b)は、切り起こし片81b(矩形状)をボルト71の頭部72の向かい合う側面74に当接するように形成したものである。
図8(c)は、切り起こし片81c(三角形状)をボルト71の頭部72の隣り合う側面74に当接するように形成したものである。
図8(d)は、切り起こし片81d(三角形状)をボルト71の頭部72の向かい合う側面74に当接するように形成したものである。
なお、上記した切り起こし片81a〜81dは、例示であって、切り起こし片81の形状及び位置・数は、これに限定されるものではない。すなわち、切り起こし片81は、ボルトの頭部側面と当接させることで、共回りしようとするボルトの回転運動を規制し、ボルトの共回りを防止できるものであれば、その形状及び位置・数は問わない。
【0019】
図9は、ボルトの共回り防止手段を備えた取付金具を示す斜視図である。
図9に示す取付部材22は、図5で図示した立平葺屋根50に用いられる立平葺屋根用取付部材である。この立平葺屋根用取付部材22に上記したボルトの共回り防止手段を用いることで、立平葺屋根50の上面に設置物60(例えば、ソーラーパネルなど)を取り付ける作業を極めて簡易且つ確実に行える。
なお、上記したボルトの共回り防止手段は、立平葺屋根用取付部材だけでなく、その他の金属屋根用の取付金具に使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本願発明に係る取付金具の上部ボルト固定構造は、金属屋根の上面に設置物を取り付けるために上部ボルトを必要とする取付金具に広く利用できるものである。なお、図6図8で説明したボルトの共回り防止手段は、金属屋根用の取付金具だけでなく、ボルト及びナットで締結する部材に広く利用できるものである。
【符号の説明】
【0021】
10 上部ボルト
11 頭部
12 ネジ部
20 取付部材
21 取付部材(立平葺屋根用取付部材)
30 第1分割パーツ
31 頂部
32 長孔
33 支持部
34 切欠溝
40 第2分割パーツ
41 頂面
42 ボルト孔
43 差込片
50 立平葺屋根
60 設置物
70 締結具
71 ボルト
72 頭部
73 内面
74 側面
75 ナット
76 フランジナット
80 部材
81 切り起こし片
90 部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10