【実施例】
【0069】
つぎに、本発明にかかる実施例について具体的に説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではないことはもちろんである。
【0070】
参考例
【0071】
ここではチタン酸バリウム(BT)の核生成・粒子成長の条件の探索について述べる。まず複合粒子の作製に適切な合成法と原料の選択を行った。次に、BTをソルボサーマル法により合成し、BTが生成する条件を探索した。さらに、その結果からBTの核生成が生じる領域と核生成が生じない条件の領域を推測した。
【0072】
使用する原料について説明する。ソルボサーマル法を用いて複合粒子を作製するためには二つの条件がある。一つ目は、原料が溶液中にイオンや分子の状態で存在していることである。二つ目は、低温で核生成が生じないことである。まず一つ目の条件を満たすため、バリウム(Ba)源およびストロンチウム(Sr)源は、Ba源としてBa(OH)
2(和光純薬工業、>95%)、Sr源としてSr(OH)
2(宇部マテリアルズ、>99.9%)を用いた。Ba(OH)
2は水に対して可溶(25℃で100gの水に4.68g溶解)、エタノールに難溶、Sr(OH)
2は水に対して可溶(25℃で100gの水に2.2g溶解)、エタノールに難溶である。
【0073】
一方、ソルボサーマル合成法を用いて基板単結晶粒子の表面に新しい層を均一に成長させるためには、Tiが溶媒中にイオンや分子の状態で存在していることが必要である。そこで、本参考例ではTi源に液体の原料を用いることにより分散した状態のBTを得ることにした。チタンのキレート錯体であるジ-i-プロポキシビス(アセチルアセトナト)チタン(Ti(i-PrO)
2(
acac)
2、TPA)(日本曹達(株)、>74.1%)を用いた。このTPAは
acac配位子が配位するため、低温で反応しないことが期待出来る。溶媒は蒸留水(H
2O)、エタノール(C
2H
5OH)を用いた。
【0074】
ソルボサーマル合成法を用いるにあたりパラメーターは、温度、原料混合比、溶媒混合比について着目した。反応温度は160から260℃まで、Ba/Ti元素比は0.75から3.0まで、EtOH/(H
2O+EtOH)比は0から1.0までの範囲においてBTの合成を行った。Baイオン濃度は常に0.06mol/lに固定した。この条件で得られた生成物は遠心分離機で採取した。生成物の同定と結晶構造は簡易的なX線回折(XRD) (Rigaku RINT2000,Cu Kα,40kV,40mA)によって調べた。
【0075】
作製手順は以下のように行った。まず、Ba(OH)
2とTPAを、水-エタノール混合溶液(250 ml) に撹拌しながら少しずつ加え、5分程度攪拌を行った。できた白濁した溶液を500 ml のオートクレーブ内に移し変えた。装置に取り付け、密閉状態で一定の反応温度まで昇温し、18時間保持した。オートクレーブ内は、密閉中は常時、攪拌棒で300 rpmで攪拌した。その後、容器内が室温まで冷めるまで空冷し、反応物を取り出して微量用高速遠心分離機を用いてろ過採集を行い、採取した沈殿物を24時間程度乾燥した。
【0076】
得られた試料は乳鉢で軽く粉砕し、X線回折測定 (XRD)また、試料により走査型電子顕微鏡 (SEM)による観察を行った。電子顕微鏡観察用の試料は粒子形状を見やすくするためにエタノールに粒子を微量混ぜ、超音波によって分散処理を行った。また、不純物である炭酸バリウム(BaCO
3)、炭酸ストロンチウム(SrCO
3)が多く含まれる粉体は、薄い酢酸溶液により10分程度洗浄を行い、微量用高速遠心分離機でろ過採集した後、乾燥機内で乾燥した。
【0077】
BTの合成結果について説明する。Ba/Ti元素比が1.5およびEtOH/(H
2O+EtOH)比が0.5の条件下において温度160から260℃の範囲で実験を行ったところ、BTの生成はXRD測定結果から180℃以上で観測した。次に、Ba/Ti元素比と反応温度をそれぞれ1.5と260℃とし、EtOH/(H
2O+EtOH)比を0から1.0の範囲で実験を行ったところ、XRD測定からEtOH/(H
2O+EtOH)比0.3から0.7でBTが生成することを確認した。3つ目にEtOH/(H
2O+EtOH)比を1.0、反応温度を240℃にとしてBa/Ti元素比を0から3.0まで変化させた。XRD測定からBa/Ti元素比が1.5以上でBTの生成を確認した。同様の実験を他のいくつかの条件においても行った。このようにして得られた結果を最終的に
図2に示すような、温度、溶媒混合比および元素比の3軸からなる立方体を用いて示した。BTの生成はBa/Ti元素比が1.5およびEtOH/(H
2O+EtOH)比が0.5に固定した場合、175℃までは生成されず、180℃以上で生成された。一方で、同様にEtOH/(H
2O+EtOH)比を0.5とし、Ba/Ti元素比を3.0とした場合では175℃においてもBTの生成が確認された。このことから、BTの生成する範囲は、Ba/Ti元素比1.5以上の範囲において、その値が大きいほど広がっていると考えられる。これらの条件をもとに、BTが生成すると思われる条件の領域を推測し、その領域は
図2中に示した。
【0078】
実施例1
【0079】
ここでは、上述した、BTが生成すると思われる条件の領域から任意に選択した条件において、STの基板単結晶粒子を加えて合成し、ST基板上にBT層がエピタキシャル成長する条件を探索した。また、ST単結晶基板粒子として野澤[1]らの報告したキューブ状のST単結晶ナノ粒子すなわちSTナノキューブを用いた。STナノキューブは球状の粒子のようにランダムな結晶方位に成長した粒子と異なり、その粒子の表面は整った結晶面であることから、BT層のエピタキシャル成長において結晶面を積極的に用いることができると考えた。
【0080】
本実施例で基板粒子として用いたSTナノキューブは、野澤[1]らの報告に基づき合成した。合成法を次に示す。溶媒をエタノールと2-メトキシエタノールの混合溶媒を用い、混合比はエタノール:2-メトキシエタノール=3:2とした。Sr(OH)
2(宇部マテリアルズ、>99.9%)とルチル型TiO
2ナノ粒子をSTナノキューブの原料に用い、Sr/Ti元素比を1.5、Ti濃度0.04mol/lとした。反応温度は260℃、保持時間は18時間でソルボサーマル合成を行い、高速遠心分離機で採取した生成物を24時間乾燥させ、さらに希薄な酢酸水溶液を用いて不純物のSrCO
3を除去した。
【0081】
STナノキューブの合成原理は、発生した核が低温で成長が進む場合、その核はランダムな結晶方位に成長し球状の粒子となるのに対し、高温で成長が進む場合は核が結晶方位を揃えて成長するためにキューブ状になると考えられている。本実施例で溶媒の一部に用いた2-メトキシエタノールは150℃から240℃の高温側で変化し、この溶媒に対し低温側で難溶であったSr(OH)
2が溶解することにより、高温側で核生成および成長が起こるためナノキューブが合成される。
【0082】
ST基板単結晶粒子に確立した条件を用いてBTを析出させ、そして、BT/ST複合ナノ粒子の合成について検討した。ST基板単結晶粒子にはSTナノキューブを用いた。STナノキューブの粒度分布は5から50nm程度であった。まず、Ba(OH)
2と
TPAを撹拌しながら溶媒に徐々に加えた。次に、STナノキューブは、ソルボサーマル反応の出発原料として溶液上部に加え、よく撹拌した。また、Ti濃度は0.02mol/lとした。生成物は遠心分離機を用いて採取した。生成物の同定と結晶構造は簡易的なX線回折(XRD)(Rigaku Ultima IV,Cu Kα,40kV,30mA)によって調べ、BTおよびSTのピーク分離が困難である場合や、結晶構造の温度変化を測定する場合は、必要に応じて高光度X線を用いた粉末X線回折をSPring-8 BL02B02において測定し、リートベルト解析により格子定数の算出を行った。また、形状とサイズは走査型電子顕微鏡(SEM)と必要に応じて透過型電子顕微鏡(TEM)によって調べた。
【0083】
高輝度放射光X線を用いた粉末X線解析について説明する。Cu-Kα線を用いた簡易的なX線回折の他にSpring-8で使用可能な高輝度放射光X線を用いて、より詳細な結晶構造の解析を行った。BL02B2粉末X線回折ビームラインのデバイシェラー・カメラを用いて測定を行った。サンプルに対して透過法でイメージングプレート(IP)上にデバイシェラーパターンを記録する方式となっている。
【0084】
リートベルト法による結晶構造解析について説明する。リートベルト法では粉末X線・中性子回折パターン全体を対象として構造パラメーターと格子定数を直接精密化する。実測パターンとできるだけよく一致するよう近似構造モデルに基づいて計算した回折パターンを当てはめる。本実施例では解析ソフトウェアDIFFRACplus TOPAS 2.1(Bruker AXS)を用いてリートベルト法により解析を行った。X線回折パターンに対して結晶の空間群、格子定数、原子位置など様々なパラメーターを合わせてフィッティングを行った。
【0085】
実験結果について説明する。上述した、BTが生成すると思われる条件の領域において、任意の条件を選択し、BT層のエピタキシャル成長の有無を検討した。175℃、Ba/Ti元素比3.0、EtOH/(H
2O+EtOH)比0.5、およびST基板粒子/BTモル比1.0で合成した生成物においてBT層生成の可能性を示唆する結果が得られた。このXRD測定結果を
図3(a)に示す。このXRDから、基板STナノキューブのXRDピーク以外にBTの生成が確認できる。また、SEM観測を、ST基板粒子の上のBTのエピタキシャル成長を確認するために行った。この生成物のSEM観察結果を
図4に示す。このSEM図によると
図5の基板STナノキューブのSEM像と比較し、ST基板粒子を等質的に覆う未知の層が明らかに観察される。また、比較のため、ST基板粒子とBT微粒子を等モル混合した混合粒子(BT-ST混合粒子)についても同様にXRD測定し、SEM観察を行った。なお、このBT-ST混合粒子についてはST基板粒子とBT微粒子を一緒にメノウ乳鉢を用いて5分間すり潰して作製した。この混合粒子のXRD測定結果を
図3(b)に示す。
【0086】
さらに比較しやすいように、
図6に得られた生成物と上記の混合物の200面のXRDピークを示す。BTとSTの混合粒子ではBTのピークとSTのピークは分離しており、間の強度が低い。これはBTナノ粒子とSTナノ粒子がそれぞれに存在し、互いに影響していないことが明らかである。一方で、得られた生成物のBTとSTのXRDピークの中間の強度は高く、さらに得られた生成物はBTのXRDピークが高角側にシフトし、ST基板粒子のXRDピークが低角側にシフトしている。これはBTとSTの互いが影響し合っていることを示唆している。
【0087】
図7に上記の得られた粒子と混合粒子の2種類の粒子の200面のXRDピークの温度変化を示す。温度変化は42から195℃まで変化させ、15℃ごとの11点でXRD測定を行った。さらに、この結果にリートベルト解析を行いそれぞれの格子定数を算出した結果を
図8に示す。この結果からBT-ST混合粒子と比較して、得られた生成物ではST基板粒子の格子定数が増加する一方で、BT の格子定数が収縮していることが明らかである。これは、ST基板粒子とBTがヘテロ界面を持つと仮定すると、その界面においてSTとBTがその整合性を保つために歪んだ構造すなわち構造傾斜層が存在する可能性を示唆している。
【0088】
さらにこの生成物を調べるためTEM観察を行った。
図9は生成物のTEM明視野像を表している。このTEM像によると図の中心の物質とその周囲の物質との間にエピタキシャルな界面をもつことが確認できる。
【0089】
このようなBT/STナノ複合粒子が作製されたとすると、
図10に示すようなモデルが考えられる。このモデルのような歪みの構造を持つことが可能ならば、格子定数がBTに比べて小さいSTの周囲をBTがエピタキシャルな界面を有した状態で覆うことが可能であると思われる。
【0090】
実施例2
【0091】
BT/ST集積体セラミックスの作製とその誘電特性の評価について説明する。
STナノキューブを用意し、バインダーとしてポリビニルアルコール(以下PVA)をSTナノキューブの量に対し2質量%になるよう添加し、アルミナ乳鉢と乳棒を用いて10分間ハンドミルにより混合した。混合後、試料を温度80℃に設定した乾燥機の中に入れて乾燥を行いPVAに含まれるアルコールを除去した。乾燥後、固まった試料を乳鉢と乳棒を用いて軽く粉砕し、ふるい(250μm)にかけ粉末の粒子のサイズを揃えた。粉末を約0.15gずつ秤量し金型に詰め込み、油圧プレスを用いて約2tの圧力をかけ、直径10mmのディスク状に成形した。この試料をアルミナ板に乗せ、電気炉にて、室温〜250℃まで100℃/h、250℃〜700℃まで0.5℃/min、10時間保持でバインダーとして使用したPVAを除去した。
【0092】
BTonST集積体セラミックスの作製にあたり、上述した、ST基板粒子にBTをエピタキシャル成長させる条件を応用した。使用した反応条件は、175℃、Ba/Ti元素比3.0、EtOH/(H
2O+EtOH)比0.5、Ti濃度は0.02mol/lを用いた。
【0093】
まず、Ba(OH)
2(0.1542g)とTPA(0.1446g)をテフロン(登録商標)製の反応容器に入れ、水-エタノール混合溶液(15 ml)を容器内に加え、さらにSTの圧粉体ペレットを溶液内に静かに入れた。反応容器をオートクレーブに入れ、オートクレーブのふたをしっかり固定した。2℃/minで175℃に昇温し、そのまま18時間保持した。反応後、ペレットを取り出し、エタノールで3回濯いだ。その後、電気炉を用いて200℃で1時間乾燥し、吸着した水およびエタノールを除去した。その後、アルキメデス法を用いて密度測定を行い、XRD測定によってペレットの定性を行った。
【0094】
STの圧粉体を基板としてBT層を析出させ、BTonST集積体セラミックスの作製を試みた。その結果、XRD測定結果から前向きな結果が得られた。
図11にそのXRD結果を示す。さらに、その111面の比較を
図12に示した。これらの結果からST圧粉体は反応1回目にBTの生成が確認できる。ST圧粉体を基板として用い、XRD測定は圧粉体のみ測定しているため、ST以外のピークはST圧粉体の気孔部および表面に付着した物質であるといえる。よって、このXRD測定結果において確認されるBTのピークはST圧粉体内の気孔部および表面にあるBTあると思われる。
【0095】
さらに、アルキメデス法を用いて測定した密度から算出したST単結晶との相対密度および気孔率を表1に示す。
【0096】
【表1】
【0097】
反応前のST圧粉体の相対密度および気孔率がそれぞれ39.4%、60.6%であるのに対し、反応1回目では52.6%、47.4%となっている。この相対密度および
気孔率の結果と、
図11,12のST圧粉体と反応1回目に示すXRD測定結果は、ST圧粉体が反応後、気孔部においてBTが生成したことを示している。
【0098】
このBTonST集積体セラミックスの密度を向上させるために、基板となるST圧粉体に対し行った反応を、このBTonST集積体セラミックスに対しても行うことを考えた。つまり、作製したBTonST集積体セラミックスを基板として同様の合成を繰り返し行い、密度の向上を試みた。反応を2回および3回繰り返して行った結果を
図11の反応2回目および反応3回目に示し、この111面のXRDピークを
図12の反応2回目および反応3回目に示す。さらに、相対密度および
気孔率について、表1の反応2回および反応3回に示す。これらの結果から、相対密度の増加が確認される。したがって、反応の繰り返しにより、高密度のBTonST集積体セラミックスの作製が可能と言える。また、
図12より、今回作製した試料におけるBTのピークは、反応1回目から反応3回目に進むに従い、シフトして
いることが確認できる。
図12におけるBTのXRDピークのシフトについても考慮すると、BTはST圧粉体の気孔部においてエピタキシャル成長したことを示唆していると考えられ、BTonST集積体セラミックスの作製が成功したと考えられる。
【0099】
BTonST集積体セラミックスと比較するため、BTonBT集積体セラミックスを作製した。 BT/BT集積体セラミックスの作製とその誘電特性の評価について説明する。
【0100】
BTナノキューブを用意し、バインダーとしてポリビニルアルコール(以下PVA)をBTナノキューブの量に対し2質量%になるよう添加し、アルミナ乳鉢と乳棒を用いて10分間ハンドミルにより混合した。混合後、試料を温度80℃に設定した乾燥機の中に入れて乾燥を行いPVAに含まれるアルコールを除去した。乾燥後、固まった試料を乳鉢と乳棒を用いて軽く粉砕し、ふるい(250μm)にかけ粉末の粒子のサイズを揃えた。粉末を約0.15gずつ秤量し金型に詰め込み、油圧プレスを用いて約2tの圧力をかけ、直径10mmのディスク状に成形した。この試料をアルミナ板に乗せ、電気炉にて、室温〜250℃まで100℃/h、250℃〜700℃まで0.5℃/min、10時間保持でバインダーとして使用したPVAを除去した。
【0101】
BTonBT集積体セラミックスの作製にあたり、上述した、ST基板粒子にBTをエピタキシャル成長させる条件を応用した。使用した反応条件は、175℃、Ba/Ti元素比3.0、EtOH/(H
2O+EtOH)比0.5、Ti濃度は0.02mol/lを用いた。
【0102】
まず、Ba(OH)
2(0.1542g)とTPA(0.1446g)をテフロン(登録商標)製の反応容器に入れ、水-エタノール混合溶液(15 ml)を容器内に加え、さらにBTの圧粉体ペレットを溶液内に静かに入れた。反応容器をオートクレーブに入れ、オートクレーブのふたをしっかり固定した。2℃/minで175℃に昇温し、そのまま18時間保持した。反応後、ペレットを取り出し、エタノールで3回濯いだ。その後、電気炉を用いて200℃で1時間乾燥し、吸着した水およびエタノールを除去した。その後、アルキメデス法を用いて密度測定を行い、XRD測定によってペレットの定性を行った。
【0103】
図13にBTonBT集積体セラミックスのXRD結果を示す。さらに、その111面の比較を
図14に示す。さらに、アルキメデス法を用いて測定した密度から算出したBT単結晶との相対密度および気孔率を表2に示す。
【0104】
【表2】
【0105】
図13、14より目的とするBTのXRDピークのみ成長していることから、BTonBT集積体の生成を確認できた。また、表2より繰り返し作製することで相対密度は増大し、最終的にBTonSTと同様な密度のBTonBT集積対セラミックスを作製できた。
【0106】
ここでは、BTonST集積体セラミックスとBTonBT集積体セラミックスの誘電特性を評価した。BTonST集積体セラミックスおよびBTonBT集積体セラミックスの両面に3mm四方の金電極をスパッタし、d
33メーターにより300Hzでの静電容量を求め、それをもとに比誘電率を求めた。同試料を用いてP-Eヒステリシスを0.1Hz、25kVで測定した。
【0107】
図15に、BTonST集積体セラミックスとBTonBT集積体セラミックスの誘電特性の評価結果を示す。BTonST集積体セラミックス、およびBTonBT集積体セラミックスともに強誘電体特有のP-Eヒステリシスループを示し、強誘電体であることを確認できた。また、比誘電率に注目すると、BTonST集積体セラミックスでは約70、BTonBT集積体セラミックスでは約58とBTonST集積体セラミックスの方が高い誘電特性を示すことを確認できた。また、2つの集積体セラミックスにおける20%の比誘電率の差は、BT/ST界面によるものと考えられる。この理由として、BTセラミックス(緻密体)の比誘電率は1500程度、STセラミックス(緻密体)の比誘電率は300であり、もしもBT/ST界面の効果がないと考えると、BTonBT集積体セラミックスの比誘電率の方がBTonST集積体セラミックスよりも高くならなければならない。しかし、実験結果はBTonST集積体セラミックスの方がBTonBT集積体セラミックスよりも20%も高い比誘電率を持つことを明らかにした。このことはBT/ST界面で高い比誘電率が発現した結果であると結論できる。従って、本発明の目的であるヘテロエピタキシャル界面を導入することで誘電特性を向上させるという概念が実証されたことを意味する。更に、どちらのセラミックスも気孔が約40%以上の多孔体であるにも関わらず、BTonST集積体セラミックスにおいて20%近く高い値を得たことに注意すべきである。
【0108】
[参考文献]
[1]「ペロブスカイト型酸化物ナノキューブの合成とその集積化」、野澤あい、和枝智志、山梨大学卒業論文、2008年2月28日