(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
分散質と液相分散媒とが供給口を介して供給される供給室と、前記供給室の外周側に形成され前記供給室に連通する環状の翼室と、前記翼室内で回転駆動可能な回転翼と、前記翼室の外周側に形成された吐出口とを本体ケーシングに配置し、前記回転翼の回転駆動により、前記分散質及び前記液相分散媒を前記供給室から前記翼室に吸引し、前記液相分散媒に前記分散質を分散させたゾルを生成して前記吐出口から吐出する遠心式の吸引ポンプ機構を備えた分散システムであって、
前記本体ケーシングに、前記供給室に対し区画板により区画形成され前記翼室に連通する導入室を配置し、
前記吐出口に通じる吐出路と前記導入室の導入口とを接続する循環路を配置し、前記吐出口から吐出されたゾルの少なくとも一部を前記循環路に通流させて前記導入室に循環供給させる循環機構部を備え、前記循環機構部における前記導入室の導入口に前記循環路の流路を絞る絞り部が形成され、
前記循環路に、前記循環路を通流して前記導入室に循環供給されるゾルを前記導入口に向けて強制供給する強制循環ポンプが配設されている分散システム。
前記分散質を定量供給する分散質供給部と前記液相分散媒を定量供給する液相分散媒供給部とを有し、前記分散質供給部からの前記分散質及び前記液相分散媒供給部からの前記液相分散媒を予備混合した予備混合物を、前記供給口を介して前記供給室に供給する供給機構部を備え、
前記循環路における前記強制循環ポンプの下流側の部位から分岐して、前記供給機構部の前記液相分散媒供給部に接続されるバイパス路を備えた請求項1から3の何れか一項に記載の分散システム。
前記吐出路に、前記吐出口から吐出されたゾルに含まれる気泡を分離する分離部を備え、前記循環路が、前記分離部の下流側に接続されている請求項1から4の何れか一項に記載の分散システム。
前記供給室及び前記導入室の外周側で且つ前記翼室の内周側に配置され、周方向に複数の絞り透孔を有する円筒状のステータを備えた請求項1から5の何れか一項に記載の分散システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記分散システムでは、液相分散媒に対する分散質(特に、粉体)の比率が高く(濃度が濃く)流動性が低い(粘度が高い)ゾルや分散質が液相分散媒に分散するに連れて流動性が低く(粘度が高く)なったゾルを、循環路の流路が絞られた絞り部を通流させると圧力損失が非常に大きくなり、循環路を介して本体ケーシング内(導入室及び翼室内)に吸引されるゾルの量が大幅に減少する場合がある。このような場合、本体ケーシング内に十分な量のゾルが導入されず、本体ケーシング内及び循環路におけるゾルの循環が滞ることから、吐出口から吐出されたゾルの殆どが、循環路を介して再度本体ケーシング内に供給されず分散が促進されることがなく、外部に払い出されることになるので、所期の分散処理能力が得られない虞がある。
【0007】
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、液相分散媒に対する分散質の比率の高いゾルが循環路における絞り部を通過する場合であっても、本体ケーシング内に吸引されるゾルの量を充分に確保し、所期の分散処理能力を得ることのできる分散システムを確立する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明に係る分散システムは、
分散質と液相分散媒とが供給口を介して供給される供給室と、前記供給室の外周側に形成され前記供給室に連通する環状の翼室と、前記翼室内で回転駆動可能な回転翼と、前記翼室の外周側に形成された吐出口とを本体ケーシングに配置し、前記回転翼の回転駆動により、前記分散質及び前記液相分散媒を前記供給室から前記翼室に吸引し、前記液相分散媒に前記分散質を分散させたゾルを生成して前記吐出口から吐出する遠心式の吸引ポンプ機構を備えた分散システムであって、その特徴構成は、
前記本体ケーシングに、前記供給室に対し区画板により区画形成され前記翼室に連通する導入室を配置し、
前記吐出口に通じる吐出路と前記導入室の導入口とを接続する循環路を配置し、前記吐出口から吐出されたゾルの少なくとも一部を前記循環路に通流させて前記導入室に循環供給させる循環機構部を備え、前記循環機構部における前記導入室の導入口に前記循環路の流路を絞る絞り部が形成され、
前記循環路に、前記循環路を通流して前記導入室に循環供給されるゾルを前記導入口に向けて強制供給する強制循環ポンプが配設されている点にある。
【0009】
上記特徴構成によれば、本体ケーシングの吐出口に通じる吐出部と導入室の導入口とを接続する循環路に、当該循環路を通流して導入室に循環供給されるゾルを、循環路の流路を絞る絞り部が設けられた導入口に向けて強制供給する強制循環ポンプが配設されているので、液相分散媒に対する分散質の比率が高く(濃度が高く)流動性が低い(粘度が高い)ゾル、或いは、分散質が液相分散媒に分散するに連れて流動性が低く(粘度が高く)なったゾルが循環路を通流する場合であっても、これらゾルを循環路における絞り部にて滞留させることなく導入室及び翼室内に強制的に供給することができる。
従って、吐出口から吐出されたゾルのうち循環路を通流し絞り部を介して本体ケーシング内に導入されるゾルの量を安定した状態で確保できるので、本体ケーシング内における分散を促進することができ、結果、本体ケーシング内における液相分散媒に対する分散質の分散処理能力の低下を防止することができる。なお、強制循環ポンプによりゾルを導入口に向けて強制供給する際の流量は、ゾルの流動性(粘度)に応じて、吸引ポンプ機構のポンプ機能を阻害しない程度の流量に適宜設定することができる。
よって、液相分散媒に対する分散質の比率の高いゾルが循環路における絞り部を通過する場合であっても、本体ケーシング内に吸引されるゾルの量を充分に確保し、所期の分散処理能力を得ることができる。
【0010】
本発明に係る分散システムの更なる特徴構成は、前記分散質が粉体からなる点にある。
【0011】
ここで、翼室内での回転翼の回転駆動により分散質が液相分散媒とともに供給室及び翼室内に吸引される際の負圧吸引力は、循環路を通流して導入室内に導入されるゾルの流入量が絞り部にて制限されることによる圧力損失により、循環路における絞り部の上流側に対して翼室内(更には、導入室内及び供給室内)が負圧となることで発生する。しかしながら、供給口を介して供給室に供給される分散質が粉体である場合、当該負圧吸引力により液相分散媒とともに粉体が供給室及び翼室内に吸引されるのに伴って、当該粉体の周囲に存在する空気等の気体も同伴吸引されることとなり、当該負圧吸引力が低下してしまう場合がある。このように低下した負圧吸引力では、粉体及び液相分散媒を充分に供給室内に供給できず、また、循環路を通流するゾルを、絞り部を介して導入室内、引いては翼室内に導入することが困難となる。
本特徴構成によれば、このように負圧吸引力が低下する場合であっても、導入口に向けて強制供給する強制循環ポンプにより導入室及び翼室内にゾルを強制的に供給するので、循環路を通流し絞り部を介して本体ケーシング内に導入されるゾルの量を安定して確保することができる。すなわち、翼室内及び供給室内に発生する負圧吸引力が低下して供給が滞った粉体及び液相分散媒(或いはゾル)の量に対応するゾルを、強制循環ポンプにより導入口を介して導入室内及び翼室内に強制的に供給して補充することができ、結果、分散質が粉体であり空気等の気体を必然的に同伴吸引する場合であっても、本体ケーシング内において液相分散媒に対する分散質の所期の分散処理能力を得ることができる。
【0012】
本発明に係る分散システムの更なる特徴構成は、前記強制循環ポンプが、スクリューポンプにより構成されている点にある。
【0013】
本特徴構成によれば、強制循環ポンプがスクリューポンプにより構成されているので、循環路に配設された強制循環ポンプの存在により当該循環路におけるゾルの通流を阻害することが無いとともに、必要に応じて強制循環ポンプを運転することにより、循環路における導入口に向けてゾルを強制供給することができる。
すなわち、ゾルが絞り部を介して循環路を順調に通流している場合には、運転の停止した強制循環ポンプが循環路に存在していても、当該強制循環ポンプにより循環路を通流するゾルの通流を阻害することが無く、一方で、ゾルの通流が循環路の絞り部にて滞り、当該ゾルが導入室内に充分に導入されない状況となっている場合には、循環路に設けられた強制循環ポンプの運転を開始してゾルを導入口に向けて強制的に供給することができる。
【0014】
本発明に係る分散システムの更なる特徴構成は、前記分散質を定量供給する分散質供給部と前記液相分散媒を定量供給する液相分散媒供給部とを有し、前記分散質供給部からの前記分散質及び前記液相分散媒供給部からの前記液相分散媒を予備混合した予備混合物を、前記供給口を介して前記供給室に供給する供給機構部を備え、
前記循環路における前記強制循環ポンプの下流側の部位から分岐して、前記供給機構部の前記液相分散媒供給部に接続されるバイパス路を備えた点にある。
【0015】
上記特徴構成によれば、分散質供給部から定量供給された分散質と液相分散媒供給部から定量供給された液相分散媒とを所定の混合割合で連続的に予備混合された予備混合物を供給室に供給できるので、翼室内に吸引される前に分散質を液相分散媒にある程度均一に分散させておくことができ、翼室内での回転翼の回転駆動による分散処理を、より迅速且つ確実に行うことができる。
また、循環路における強制循環ポンプの下流側の部位から分岐して、供給機構部の液相分散媒供給部に接続されるバイパス路を備えているので、液相分散媒供給部から定量供給される液相分散媒の量が低下或いはゼロとなった場合でも、バイパス路を介して循環路を通流するゾルの一部を液相分散媒供給部に供給することができる。従って、当該ゾルの一部及び液相分散媒供給部の液相分散媒の混合物或いは当該ゾルの一部のみを、分散質と予備混合した予備混合物として供給室内に供給することができる。これにより、循環路を通流するゾルの一部に含まれる液相分散媒により、予備混合物中における分散質に対する液相分散媒の比率を上昇させて、流動性の低下を良好に防止することができる。
更に、バイパス路を介して液相分散媒供給部に供給されるゾルの一部は、強制循環ポンプにより循環路からバイパス路及び液相分散媒供給部に強制的に供給されるので、良好な供給状態を期待することができる。
【0016】
本発明に係る分散システムの更なる特徴構成は、前記吐出路に、前記吐出口から吐出されたゾルに含まれる気泡を分離する分離部を備え、前記循環路が、前記分離部の下流側に接続されている点にある。
【0017】
上記特徴構成によれば、分離部において、吐出口から吐出され循環路を介して導入室に導入されるゾルから気泡(液相分散媒の気泡)が分離されるので、導入室において気泡の存在により分散質に対する液相分散媒の浸透が抑制されることを防止できる。また、当該気泡の存在により、絞り部にて発生する負圧吸引力が低下することを防止でき、回転翼の回転駆動によって生じる吸引ポンプ機構内でのポンプ効果の低下を防止できる。
【0018】
本発明に係る分散システムの更なる特徴構成は、前記供給室及び前記導入室の外周側で且つ前記翼室の内周側に配置され、周方向に複数の絞り透孔を有する円筒状のステータを備えた点にある。
【0019】
上記特徴構成によれば、分散質と液相分散媒とを予備混合した予備混合物が供給室から翼室側に供給され、ステータの複数の絞り透孔を通過するときにせん断作用を受けて混合されて、翼室内に吸引される。一方、吐出口を介して吐出路に吐出されたゾルの少なくとも一部は、循環路を通流して導入室から翼室側に循環供給され、絞り透孔を通過するときにせん断作用を受けて混合されて、翼室内に吸引される。そして、供給室から絞り透孔を通過して翼室に流入した予備混合物と、導入室から絞り透孔を通過して翼室に流入したゾルは、翼室を周回する回転翼により、さらにせん断作用を受けて混合され吐出口から吐出される。
従って、より分散質の凝集物(ダマ)の発生を極力抑制しながら、液相分散媒に対して分散質を、より確実に分散させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明に係る分散システム100を示す。
この分散システム100は、分散質として粉体Pを用い、液相分散媒として溶媒Rを用いて、粉体Pを溶媒Rに分散させてスラリーF(ゾルの一例)を生成するものである。
本実施形態においては、例えば、粉体P(固相分散質)としてCMC(カルボキシルメチルセルロース)を用い、溶媒R(液相分散媒)として水を用いた。
【0022】
図1及び
図2に示すように、分散システム100は、分散質供給部X1から定量供給される粉体Pと液相分散媒供給部X2から定量供給される溶媒Rとを予備混合部X3にて予備混合した予備混合物Fpを供給する供給機構部Xと、供給機構部Xにて予備混合された予備混合物Fpを吸引して分散混合する遠心式の吸引ポンプ機構Yと、吸引ポンプ機構Yから吐出されたスラリーFのうちの少なくとも一部(以下、未溶解スラリーFr)を再び吸引ポンプ機構Y内に循環供給する循環機構部Zとを備えて構成されている。
【0023】
〔供給機構部〕
図1に示すように、供給機構部Xは、粉体Pを所定量ずつ定量供給する分散質供給部X1と、溶媒Rを所定量ずつ定量供給する液相分散媒供給部X2と、分散質供給部X1からの粉体Pと液相分散媒供給部X2からの溶媒Rとを予備混合して予備混合物Fpを生成する予備混合部X3とを備え、当該予備混合物Fpを、吸引ポンプ機構Yからの負圧吸引力により供給口20aを介して供給室20内に供給可能に構成されている。
【0024】
〔分散質供給部〕
分散質供給部X1は、上部開口部1aから受け入れた粉体Pを下部開口部1bから排出させるホッパ1と、ホッパ1内の粉体Pを攪拌する攪拌機構2と、ホッパ1の上部開口部1aが大気開放された状態で、下部開口部1bの下流側に接続された吸引ポンプ機構Yの吸引により下部開口部1bに作用する負圧吸引力によって、下部開口部1bから排出された粉体Pを予備混合部X3を介して吸引ポンプ機構Y側に定量供給する容積式の定量供給部3とを備えて構成されている。
【0025】
ホッパ1は、上部から下部へ向かうに連れて縮径する逆円錐形状に構成され、上部開口部1a及び下部開口部1b夫々の横断面形状は中心軸A1を中心とする円形状とされる。
【0026】
攪拌機構2は、ホッパ1内においてホッパ1の内側壁面に沿う状態で配設されて、ホッパ1内の粉体Pを攪拌する攪拌羽根2Aと、当該攪拌羽根2Aをホッパ1の中心軸A1周りに回転させる羽根駆動モータM1と、羽根駆動モータM1をホッパ1の上部開口部1aの上方に位置させて支持する取付部材2Bと、羽根駆動モータM1の回転駆動力を攪拌羽根2Aに伝動させる伝動部材2Cとを備えて構成される。
【0027】
定量供給部3は、ホッパ1の下部開口部1bから供給される粉体Pを下流側の吸引ポンプ機構Yに所定量ずつ定量供給する容積式の定量供給部である。
具体的には、定量供給部3は、連通口3a及び排出口3bを備えたケーシング3Aと、ホッパ1の下部開口部1b及びケーシング3Aの連通口3aとを連通する連通部3Bと、計量回転体駆動モータM2により回転軸芯A2周りで回転駆動される状態でケーシング3A内に配設された計量回転体3Cと、スクリュー駆動モータM3により回転軸芯A3周りで回転駆動される状態でケーシング3A内に配設されたスクリュー回転体3Dとを備える。
【0028】
ケーシング3Aは、概略直方体形状に形成され、水平方向(
図1の左右方向)に対して45度傾斜した姿勢で、連通部3Bを介してホッパ1に接続されており、ケーシング3Aの上面に設けられたスリット状の連通口3aを介して、ホッパ1の下部開口部1bからの粉体Pをケーシング3A内に供給可能に構成されている。ケーシング3Aの側面の下部には、ケーシング3A内の粉体Pを下流側の予備混合部X3及び吸引ポンプ機構Yに排出する排出口3bが設けられ、その排出口3bには、粉体排出管4が接続されている。なお、粉体排出管4には、吸引ポンプ機構Yの供給口20aへの粉体Pの供給を停止可能なシャッタバルブ5が配設されている。
【0029】
計量回転体3Cは、ケーシング3A内において連通口3aの直下に配設され、計量回転体駆動モータM2の駆動軸(図示せず)に配設した円盤部材(図示せず)に、複数(例えば、8枚)の板状隔壁(図示せず)を円盤部材の中心部を除いて放射状に等間隔に取り付けることにより、周方向で等間隔に計量枡(図示せず)を複数区画(例えば、8室)形成するように構成されている。計量枡は、計量回転体3Cの外周面及び中心部において開口するように構成されるが、計量回転体3Cの中心部には開口閉鎖部材(図示せず)が周方向に偏在して固定状に配設され、各計量枡の中心部側の開口をその回転位相に応じて閉塞或いは開放可能に構成されている。なお、粉体Pの供給量は、計量回転体3Cを回転駆動する計量回転体駆動モータM2による計量回転体3Cの回転数を変化させることで、調整できる。
【0030】
スクリュー回転体3Dは、ケーシング3A内において計量回転体3Cの下部に配設され、スクリュー駆動モータM3の駆動軸(図示せず)に、外周側に螺旋状の翼部(図示せず)を有するスクリューを取り付けることにより構成されている。スクリュー回転体3Dの先端は、ケーシング3A内における排出口3bの近傍箇所に位置するように配置されている。従って、スクリュー回転体3Dの回転により、計量回転体3Cから定量供給された粉体Pを排出口3bを介して、予備混合部X3及び吸引ポンプ機構Y側に所定量ずつ強制的にかつ連続的に供給できるように構成されている。なお、スクリュー回転体3Dの回転軸芯A3と計量回転体3Cの回転軸芯A2とは、平行(
図1に示す例では、水平方向に対して45度傾斜する角度)に設定されている。
【0031】
〔液相分散媒供給部〕
液相分散媒供給部X2は、溶媒源50からの溶媒Rを、設定流量で予備混合部X3を介して吸引ポンプ機構Yの供給口20aに連続的に供給するように構成されている。
具体的には、液相分散媒供給部X2は、溶媒Rを送出する溶媒源50と、溶媒源50と予備混合部X3とを接続する溶媒供給管51と、溶媒源50から溶媒供給管51に送出される溶媒Rの流量を設定流量に調整する流量調整バルブ(図示せず)とを備えて構成される。
【0032】
〔予備混合部〕
予備混合部X3は、粉体排出管4と溶媒供給管51とを供給口20aに連通接続する予備混合部材60を備え、設定流量に調整された溶媒Rと定量供給される粉体Pとを混合して吸引ポンプ機構Yの供給口20aに供給するように構成されている。
この予備混合部材60は、円筒状の供給口20aよりも小径に構成されて、供給口20aとの間に環状のスリット61を形成すべく供給口20aに挿入状態で配設される筒状部62、及び、環状のスリット61に全周にわたって連通する状態で供給口20aの外周部に環状流路63を形成する環状流路形成部64を備えて構成されている。
予備混合部材60には、粉体排出管4が筒状部62に連通する状態で接続されると共に、溶媒供給管51が環状流路63に対して溶媒Rを接線方向に供給するように接続される。
粉体排出管4、予備混合部材60の筒状部62及び供給口20aは、それらの回転軸芯A2を供給方向が下向きとなる傾斜姿勢(水平面に対する角度が45度程度)となるように傾斜させて配置されている。
【0033】
〔吸引ポンプ機構〕
図2に示すように、吸引ポンプ機構Yは、両端開口が前壁部10Aと後壁部10Bとで閉じられた円筒状の外周壁部10Cを備えた本体ケーシング10を備え、その本体ケーシング10の内部に同心状で回転駆動自在に設けられたロータ11と、その本体ケーシング10の内部に同心状で前壁部10Aに固定配設された円筒状のステータ12と、ロータ11を回転軸芯A4周りで回転駆動させるポンプ駆動モータM4等を備えて構成されている。
【0034】
ロータ11の径方向の外方側には、複数の回転翼13が、前壁部10A側である前方側(
図2の左側)に突出し且つ周方向に等間隔で並ぶ状態でロータ11と一体的に形成されている。
円筒状のステータ12には、複数の透孔12a,12bが周方向に夫々並べて備えられ、そのステータ12が、ロータ11の前方側(
図2の左側)で且つ回転翼13の径方向の内側に位置させて前壁部10Aに固定配設されて、そのステータ12と本体ケーシング10の外周壁部10Cとの間に、回転翼13が周回する環状の翼室14が形成される。
【0035】
予備混合部X3にて粉体Pと溶媒Rとが予備混合された予備混合物Fpを回転翼13の回転により本体ケーシング10の内部に吸引導入する供給口20aが、本体ケーシング10の前壁部10Aの内面に形成された環状溝15と連通する状態で設けられている。供給口20aは、前壁部10Aの中心軸(回転軸芯A4)よりも外周側に偏移した位置に設けられている。
【0036】
粉体Pと溶媒Rとが混合されて生成されたスラリーFを吐出する円筒状の吐出口16aが、本体ケーシング10の円筒状の外周壁部10Cの周方向における1箇所に形成され、その外周壁部10Cの接線方向に延びて翼室14に連通する状態で設けられており、その吐出口16aに通じる吐出路16が接続されている。なお、吐出路16は、一方側が吐出口16aに接続され、他方側がスラリーFの供給先74に接続されている。
【0037】
吐出口16aから吐出されたスラリーFは、吐出路16を通して分離部70に供給され、分離部70にて気泡が分離される。そして、その気泡が分離されたスラリーFが未溶解スラリーFrとして循環路17を介して本体ケーシング10内に循環供給する導入口18aが、本体ケーシング10の前壁部10Aの中央部(回転軸芯A4と同心状)に設けられている。
また、ステータ12の内周側を前壁部10A側の供給室20とロータ11側の導入室18とに区画する区画板19が、ロータ11の前方側に当該ロータ11と一体回転する状態で設けられると共に、区画板19の前壁部10A側に掻出翼21が設けられている。掻出翼21は、同心状に、周方向において均等間隔で複数(例えば、4つ)備えられ、各掻出翼21がその先端部を環状溝15内に進入した状態でロータ11と一体的に周回可能に配設されている。
【0038】
供給室20及び導入室18は、ステータ12の複数の透孔12a,12bを介して翼室14と連通されるように構成され、供給口20aが供給室20に連通し、導入口18aが導入室18に連通するように構成されている。
具体的には、供給室20と翼室14とは、ステータ12における供給室20に臨む部分に周方向に等間隔で配設された複数の供給室側透孔12aにて連通され、導入室18と翼室14とは、ステータ12における導入室18に臨む部分に周方向に等間隔で配設された複数の導入室側透孔12bにて連通されている。なお、各供給室側透孔12aは、概略円形状に形成され、供給室20の流路面積よりも複数の供給室側透孔12aの合計流路面積が小さくなるように設定されており、また、各導入室側透孔12bは、概略楕円形状に形成され、導入室18の流路面積よりも複数の供給室側透孔12bの合計流路面積が小さくなるように設定されている。
【0039】
吸引ポンプ機構Yの各部について、説明を加える。
ロータ11は、その前面が概ね円錐台状に膨出する形状に構成されると共に、その外周側に、複数の回転翼13が前方に突出する状態で等間隔に並べて設けられている。なお、
図2では、周方向に等間隔に10個の回転翼13が配設されている。また、この回転翼13は、内周側から外周側に向かうに連れて、回転方向後方に傾斜するようにロータ11の外周側から内周側に突出形成されており、回転翼13の先端部の内径は、ステータ12の外径よりも若干大径に形成されている。
ロータ11が、本体ケーシング10内において本体ケーシング10と同心状に位置する状態で、後壁部10Bを貫通して本体ケーシング10内に挿入されたポンプ駆動モータM4の駆動軸22に連結されて、そのポンプ駆動モータM4により回転駆動される。また、ロータ11が、その回転軸芯A4方向視において回転翼13の先端部(内径側)が回転方向で前側となる向きに回転駆動されることにより、回転翼13の回転方向の後側となる面(背面)には、いわゆる局所沸騰(キャビテーション)が発生するように構成されている。
【0040】
区画板19は、ステータ12の内径よりも僅かに小さい外径を有する概ね漏斗状に構成されている。この漏斗状の区画板19は、具体的には、その中央部に、頂部が円筒状に突出する筒状摺接部19aにて開口された漏斗状部19bを備えると共に、その漏斗状部19bの外周部に、前面及び後面共に本体ケーシング10の中心(回転軸芯A4)に直交する状態となる環状平板部19cを備える形状に構成されている。
そして、区画板19が、頂部の筒状摺接部19aが本体ケーシング10の前壁部10A側を向く姿勢で、周方向に等間隔を隔てた複数箇所(この実施形態では、4箇所)に配設された間隔保持部材23を介して、ロータ11の前面に取り付けられる。
【0041】
従って、ロータ11が、区画板19の筒状摺接部19aが導入口18aに摺接回転可能に嵌めこまれた状態で本体ケーシング10内に配設され、ロータ11の膨出状の前面と区画板19の後面との間に、本体ケーシング10の前壁部10A側ほど小径となる先細り状の導入室18が形成され、導入口18aが区画板19の筒状摺接部19aを介して導入室18に連通するように構成されている。また、本体ケーシング10の前壁部10Aと区画板19の前面との間に、供給口20aに連通する環状の供給室20が形成される。
【0042】
そして、ロータ11が回転駆動されると、筒状摺接部19aが導入口18aに摺接する状態で、区画板19がロータ11と一体的に回転することになり、ロータ11及び区画板19が回転する状態でも、導入口18aが区画板19の筒状摺接部19aを介して導入室18に連通する状態が維持されるように構成されている。
【0043】
〔循環機構部〕
循環機構部Zは、吐出口16aに通じる吐出路16と導入室18の導入口18aとを接続する循環路17を備え、吐出口16aから吐出されたスラリーFの少なくとも一部である未溶解スラリーFrを循環路17に通流させて、再び導入室18に循環供給させるように構成されている。
【0044】
具体的には、一方が吐出口16aに通じ他方が供給先74に通じる吐出路16には、円筒状容器71内において比重によってスラリーFを分離する(スラリーF中の気泡を分離する)ように構成された分離部70が配設されている。
分離部70は、吐出口16aに通じる吐出路16が接続される導入パイプ72を円筒状容器71の底面から内部に突出して配設し、円筒状容器71の上部に供給先74に通じる吐出路16に接続される排出部を備えるとともに、下部に循環路17に接続される循環部を備え、導入パイプ72の吐出上端に、導入パイプ72から吐出されるスラリーFの流れを旋回させる捻り板73を配設して構成されている。
これにより、吸引ポンプ機構Yの吐出口16aから吐出されたスラリーFから、完全に溶解していない粉体Pを含む可能性がある状態の未溶解スラリーFr(気泡が分離された未溶解スラリーFr)を循環路17に、粉体Pが略完全に溶解した状態のスラリーF(比較的気泡が多く含まれるスラリーF)を供給先74に通じる吐出路16にそれぞれ分配するように構成されている。
【0045】
上述の通り、分離部70の下部(下流側)に接続された循環路17は、導入室18の導入口18aに接続されるが、円筒状の導入口18aは、本体ケーシング10と同心状で、本体ケーシング10の前壁部10Aの中心部に設けられている。この導入口18aには、循環路17の内径よりも小径で、区画板19の筒状摺接部19aよりも小径となり流路面積が小さな絞り部24が形成されている。
従って、ロータ11の回転翼13が回転することにより、吐出口16aを介してスラリーFが吐出部16に吐出されて分離部70に供給され、分離部70にて分離された未溶解スラリーFrが循環路17を通流して導入口18aに形成された絞り部24を介して導入室18内に順次導入されることになるので、絞り部24の上流側に対して本体ケーシング10内が減圧される。これにより、本体ケーシング10内は、循環路17における絞り部24の上流側及び供給口20aの上流側に対して減圧され、当該絞り部24の上流側及び供給口20aの上流側に対して負圧吸引力を作用させることができるように構成されている。
【0046】
〔強制循環ポンプ〕
強制循環ポンプとしてのスクリューポンプ80は、循環路17において、分離部70の下流側で且つ導入口18aの上流側に配設され、循環路17を通流して導入口18aを介して導入室18に循環供給される未溶解スラリーFrを、導入口18aに向けて強制供給できるように構成されている。
具体的には、スクリューポンプ80は、概略矩形状に形成されたポンプケーシング81と、ポンプケーシング81内に配設され外周側に螺旋状の翼部82aを有するスクリュー82と、スクリュー82を回転軸芯A5周りで回転駆動させる駆動軸83を備えたスクリューポンプ駆動モータM5とを備えている。
【0047】
ポンプケーシング81の軸側部(
図1の上側)には、循環路17の分離部70側(上流側)に連通接続される流入口81aが形成され、軸端部(
図1の左側)には、循環路17の導入口18a側(下流側)に連通接続される流出口81bが形成されている。ポンプケーシング81の内部空間S内には、スクリュー82が、スクリュー82の径方向における外周端部が流入口81a側に臨み且つポンプケーシング81の内周面に近接するように配置され、スクリュー82の長手方向における先端が流出口81b側に臨むように配設されている。
【0048】
従って、スクリューポンプ駆動モータM5が停止しスクリュー82が回転していない場合には、ポンプケーシング81の内周面とスクリュー82の外周端部との間に形成された隙間を介して、流入口81aから流入した未溶解スラリーFrを流出口81bへ通流させることができ、一方で、スクリューポンプ駆動モータM5が運転を開始しスクリュー82が回転した場合には、スクリュー82の翼部82aにより、流入口81aから流入した未溶解スラリーFrを流出口81bに所定の流量で強制的に押し出すことができるように構成されている。なお、流出口81bから流出される未溶解スラリーFrの流量は、スクリューポンプ駆動モータM5の回転数を調整することにより適宜調整することができる。
【0049】
〔バイパス路〕
また、循環路17には、循環路17におけるスクリューポンプ80の下流側で且つ導入口18aの上流側の部位から分岐して、供給機構部Xの液相分散媒供給部X2の溶媒供給管51における溶媒源50の下流側で且つ予備混合部材60の上流側に接続されるバイパス路90が形成されている。
従って、このバイパス路90には、導入口18aに向かって循環路17を通流する未溶解スラリーFrの一部が通流可能に構成されており、スクリューポンプ80が運転されている際には、当該スクリューポンプ80による循環路17を通流する未溶解スラリーFrの強制供給により、未溶解スラリーFrの一部がバイパス路90を通流して溶媒供給管51に供給される。この場合、溶媒供給管51内に溶媒Rが通流している場合には当該溶媒Rと未溶解スラリーFrの一部との混合流体が予備混合部材60に供給されて、分散質供給部X1から定量供給される粉体Pと混合され、供給口20aを介して供給室20内に供給される。
【0050】
〔制御部〕
分散システム100に備えられる制御部は、図示しないが、CPUや記憶部等を備えた公知の演算処理装置からなり、分散システム100を構成する供給機構部X、吸引ポンプ機構Y、スクリューポンプ80等の各機器の運転を制御可能に構成されている。
【0051】
〔分散システムの動作〕
次に、この分散システム100の動作について説明する。
まず、分散質供給部X1を停止し、シャッタバルブ5を閉止して粉体排出管4を介する粉体Pの吸引を停止した状態で、液相分散媒供給部X2から溶媒Rの供給を開始しながら、吸引ポンプ機構Y及びスクリューポンプ80の運転を開始する。所定の運転時間が経過して、吸引ポンプ機構Y内が、負圧状態(例えば、−0.06MPa程度の真空状態)となると、シャッタバルブ5を開放する。これによって、分散質供給部X1のケーシング3A内を負圧状態(−0.06MPa程度)とし、連通部3Bの内部及びホッパ1の下部開口部1b近傍を当該負圧状態と大気圧状態との間の圧力状態にする。
【0052】
そして、分散質供給部X1を作動させ、ホッパ1内に貯留された粉体Pを、攪拌羽根2Aの攪拌作用及び吸引ポンプ機構Yの負圧吸引力により、ホッパ1の下部開口部1bから定量供給部3のケーシング3A内の計量回転体3C及びスクリュー回転体3Dを介して予備混合部X3に所定量ずつ連続的に定量供給する。この際には、吸引ポンプ機構Yの負圧吸引力により、溶媒源50からの溶媒Rは予備混合部X3に所定量ずつ連続的に定量供給されている。なお、本実施形態では、溶媒源50から供給される溶媒Rの総量とホッパ1から供給される粉体Pの総量とは、質量比で50:50とされている。
【0053】
従って、予備混合部X3からは、粉体Pが筒状部62を通して供給口20aに供給されると共に、溶媒Rが、環状のスリット61を通して切れ目のない中空円筒状の渦流の状態で供給口20aに供給され、供給口20aにより、粉体Pと溶媒Rとが予備混合され、その予備混合物Fpが環状溝15に導入される。すると、予備混合物Fpは、環状溝15に嵌め込まれて周回する掻出翼21により掻き出され、その掻き出された予備混合物Fpは、概略的には、供給室20内を区画板19における漏斗状部19bの前面と環状平板部19cの前面とに沿いながらロータ11の回転方向に流動し、更に、ステータ12の供給室側透孔12aを通過して翼室14に流入し、翼室14内において、高速で回転する回転翼13によりせん断作用を受けて解砕されたスラリーFが吐出口16aから吐出される。
【0054】
吐出口16aから吐出されたスラリーFは、吐出路16を通して分離部70に供給され、分離部70において、完全に溶解していない粉体Pを含む状態の未溶解スラリーFrと、粉体Pが略完全に溶解した状態のスラリーFとに分離されるとともに、溶媒Rの気泡が分離されて、未溶解スラリーFrは循環路17を通して再び吸引ポンプ機構Yの導入口18aに供給され、スラリーFは吐出路16を通して供給先74に供給される。
【0055】
未溶解スラリーFrは、分離部70から循環路17を通流して、スクリューポンプ80のポンプケーシング81の流入口81aを介して内部空間S内に導入され、翼部83を備えたスクリュー82の回転駆動により流出口81bから所定の流量で強制的に吐出される。そして、強制的に吐出された未溶解スラリーFrのうちの大部分は、循環路17を通流し、導入口18aの絞り部24を介して流量が制限された状態で導入室18内に導入されて、再び翼室14に流入し回転翼13により再びせん断作用を受けて解砕されたスラリーFが吐出口16aから吐出される。一方で、未溶解スラリーFrのうちの大部分以外の一部は、バイパス路90を通流し、溶媒供給管51を通流する溶媒Rと合流して、当該溶媒Rとともに予備混合部X3を介して粉体Pと予備混合され、その予備混合物Fpが供給口20aに供給される。この際、溶媒供給管51を通流する溶媒Rとバイパス路90を通流する未溶解スラリーFrのうちの大部分以外の一部との流量比は、例えば、1:1程度とされている。
【0056】
スクリューポンプ80は、スクリューポンプ駆動モータM5が駆動軸82を所定の回転数(この実施形態では、一定の回転数)で回転駆動させることでスクリュー82が回転して、所定の流量(この実施形態では、一定の流量)の未溶解スラリーFrを流出口81bから導入口18a側の循環路17に強制的に吐出させている。従って、循環路17を通流して導入口18aに導入される未溶解スラリーFrを絞り部24にて滞留させることなく導入室18及び翼室14内に強制的に供給することができ、絞り部24を介して導入室18及び翼室14内に導入される未溶解スラリーFrの量を安定した状態で確保できるので、本体ケーシング10内の翼室14における分散を促進することができ、結果、本体ケーシング10内における溶媒Rに対する粉体Pの分散処理能力の低下を防止することができる。よって、溶媒Rに対する粉体Pの比率の高いスラリーFが循環路17における絞り部24を通過する場合であっても、本体ケーシング10内に吸引されるスラリーFの量を充分に確保し、所期の分散処理能力を得ることができる。
【0057】
また、供給口20aを介して供給室20に供給される粉体Pが、吸引ポンプ機構Yによる負圧吸引力により溶媒Rとともに供給室20及び翼室14内に吸引されるのに伴って、当該粉体Pの周囲に存在する空気等の気体も同伴吸引されることとなり、当該負圧吸引力が低下して供給が滞った未溶解スラリーFrの量に対応する未溶解スラリーFrを、スクリューポンプ80により導入口18aを介して導入室18内及び翼室14内に強制的に供給して補充することができる。結果、分散質が粉体Pであり空気等の気体を必然的に同伴吸引する場合であっても、本体ケーシング10内において溶媒Rに対する粉体Pの所期の分散処理能力を得ることができる。
【0058】
さらに、液相分散媒供給部X2から定量供給される溶媒Rの量が低下或いはゼロとなった場合でも、バイパス路90を介して循環路17を通流する未溶解スラリーFrの一部を液相分散媒供給部X2に供給することができ、未溶解スラリーFrの一部及び液相分散媒供給部の溶媒Rの混合物或いは当該未溶解スラリーFrの一部のみを、粉体Pと予備混合した予備混合物Fpとして供給室20内に供給することができる。これにより、循環路17を通流する未溶解スラリーFrの一部に含まれる溶媒Rにより、予備混合物Fp中における粉体Pに対する溶媒Rの比率を上昇させて、流動性の低下を良好に防止することができる。また、バイパス路90を介して液相分散媒供給部X2に供給される未溶解スラリーFrの一部は、スクリューポンプ80により循環路17からバイパス路90及び液相分散媒供給部X2に強制的に供給されるので、良好な供給状態を期待することができる。
【0059】
〔実証試験〕
次に、
図3に示す模擬的な分散システム200を用いて、強制循環ポンプとしてのスクリューポンプ80を備えた場合の例(実施例)と、スクリューポンプ80を備えない場合の例(比較例)とを比較して実験した場合における実証試験結果について説明する。
【0060】
〔実施例〕
実施例に係る分散システム200の構成について簡単に説明するが、上記実施形態に係る分散システム100と同様の構成については同一の番号を付して、説明を省略する場合がある。
【0061】
図3に示すように、分散システム200は、吸引ポンプ機構Yを備え、吸引ポンプ機構Yの吐出口16aに通じる吐出路16に分離部70が配設されている。分離部70の下部(下流側)に吸引ポンプ機構Yの導入口18aに接続される循環路17が配設され、循環路17における分離部70と導入口18aとの間にスクリューポンプ80が配設されている。また、循環路17において、分離部70とスクリューポンプ80との間には、循環路17を通流する未溶解スラリーFrの流量を検出する流量センサ101が配設されている。
分離部70の上部に、スラリーFの供給先74である攪拌タンク102の上部に連通する吐出路16が接続されており、攪拌タンク102の下部に、予備混合部X3に連通する再循環路103が接続されている。再循環路103には、攪拌タンク102の下部側から、ポンプ104、流量センサ105が記載順に配設され、ポンプ104の作動により再循環路103内を通流するスラリーFの流量の調整でき、また、流量センサ105により流量の検出もできるように構成されている。
また、予備混合部材60の筒状部62に通流管106が接続され、この通流管106には、予備混合部材60側から、圧力センサ107、パイロット弁108、流量センサ109が記載順に配設されている。圧力センサ107により吸引ポンプ機構Yの供給口20aから作用する負圧吸引力により減圧された通流管106内の圧力を検出でき、当該負圧吸引力によりパイロット弁108の開度が適宜変化して、流量センサ109の上流側から適宜吸引された空気を流量センサ109により検出できるように構成されている。
【0062】
このような構成の分散システム200において、圧力センサ107にて検出される圧力が−0.04MPa程度となるように、吸引ポンプ機構Yのポンプ駆動モータM4を一定の回転数で回転駆動させ、流量センサ109にて検出される通流路106に吸引された空気の流量、及び、流量センサ101にて検出される循環路17を通流する流体の流量を計測した。なお、この実施例では、スクリューポンプ80のスクリューポンプ駆動モータM5は一定の回転数で回転駆動するが、スクリューポンプ80の運転により循環路17に強制供給される流体の量は、定格運転時において10m
3/時となるように設定されている。
分散システム200内を循環する流体としては、比較的粘度が低い水(1cp)と、比較的粘度の高いCMC溶解液(粉体PとしてのCMC(カルボキシルメチルセルロース)と溶媒Rとしての水とを質量比で3:97の比率(3wt%)で混合した溶解液(11000cp))とした。
【0063】
〔実施例での結果〕
分散システム200に水のみを循環させた場合には、通流路106に吸引された空気の量は、120L/分であり、循環路17を通流する水の量は、12m
3/時であった。
分散システム200にCMC溶解液を循環させた場合には、通流路106に吸引された空気の量は、25L/分であり、循環路17を通流するCMC溶解液の量は、10m
3/時であった。
【0064】
〔比較例〕
比較例は、上記実施例に係る分散システム200において、循環路17に配設されたスクリューポンプ80を省略し、分離部70から循環路17を介して導入口18aに導入される流体を、吸引ポンプ機構Yの吸引のみで行う(自然循環)点が相違する構成である。
【0065】
〔比較例での結果〕
比較例に係る分散システム200に水のみを循環させた場合には、通流路106に吸引された空気の量は、115L/分であり、循環路17を通流する水の量は、10m
3/時であった。
比較例に係る分散システム200にCMC溶解液を循環させた場合には、通流路106に吸引された空気の量は、15L/分であり、循環路17を通流するCMC溶解液の量は、6m
3/時であった。
【0066】
上記結果を検討すると、まず、実施例及び比較例のいずれの場合も、水を循環させた場合に対してCMC溶解液を循環させた場合の方が、通流路106に吸引された空気の量が著しく低下している。これは、循環路17を通流する流体の流動性が低く(粘度が高く)なるに連れて、循環路17における絞り部24にて流体の通流が滞り吸引ポンプ機構Yにより発生する負圧吸引力が低下して、当該吸引ポンプ機構Y内に吸引される空気、すなわち、上記実施形態における粉体Pと溶媒Rの予備混合物Fpの量が低下する傾向にあることを示しているものと考えられる。
また、CMC溶解液を循環させた場合、比較例に対して実施例の方が、循環路17を通流するCMC溶解液の量が倍近くに上昇している。これは、上述のように、吸引ポンプ機構Yにより発生する負圧吸引力が低下することで、循環路17に作用する負圧吸引力も低下し、比較例では循環路17から導入室18内に導入されるCMC溶液の量が低下しているものの、実施例ではスクリューポンプ80によりCMC溶解液が循環路17から導入口18aに向けて強制的に供給されることで、導入室18内に導入されるCMC溶解液の量が比較的上昇しているものと考えられる。
従って、実施例では、比較的濃度が高く流動性が低い(粘度が高い)CMC溶解液を循環させる場合であっても、循環路17を通流するCMC溶解液をスクリューポンプ80により導入口18aに向けて強制的に供給することにより、絞り部24を介して循環路17内に導入されるゾルの量を安定した状態で確保できることが確認できた。
これにより、実施例では、本体ケーシング10内における水に対するCMC粉体の分散を促進することができ、水に対するCMC粉体の比率のスラリーFrが循環路17における絞り部24を通過する場合であっても、本体ケーシング10内に吸引されるスラリーFの量を充分に確保し、所期の分散処理能力を得ることができる。
【0067】
〔別実施形態〕
(A)上記実施形態では、循環路17に強制循環ポンプとしてのスクリューポンプ80を配設したが、循環路17を通流する未溶解スラリーFrを導入口18aに向けて強制的に供給することができるポンプであれば、容積式ポンプ等のその他のポンプを採用することもできる。
【0068】
(B)上記実施形態では、吸引ポンプ機構Yが運転している間、スクリューポンプ80を常に運転する構成として説明したが、分散システムにおいて循環するゾルの性状等に応じて(例えば、粉体Pが溶媒Rに分散するに連れて流動性が低下(粘度が上昇)する場合等)、スクリューポンプ80の運転の開始及び停止のタイミングを適宜調整する構成としてもよい。
【0069】
(C)上記実施形態では、粉体Pとして単一種類のCMC粉体を用いたが、必要に応じて、複数種類の粉体を混合した混合粉体を粉体Pとして用いることができる。また、粉体Pと溶媒Rとの混合比率も適宜変更することができる。さらに、同様に、溶媒Rとして単一種類の水を用いたが、必要に応じて、複数種類の液体を混合した混合液体を溶媒Rとして用いることができる。
また、粉体Pとしては、粉体であれば特に除外されるものではなく、電池電極材料等の化学原料、脱脂粉乳や小麦粉等の食品原料、医薬原料等であって、顆粒、粉体、細粒等の粉体(これら粉体の混合物を含む)を例示することができる。粉体には、粉粒体も含まれる。
さらに、分散質としては、上記の実施形態において例示した粉体P(固相分散質)に限定されるものではなく、液状(液相分散質)のものとしてエマルジョンを生成するようにしても良い。例えば、液相分散質としての油を液相分散媒としての水に分散させる場合にも、本発明を適用することができる。
【0070】
(D)上記実施形態では、循環路17にバイパス路90を設けたが、予備混合部X3に供給される溶媒Rの量が充分に確保できたり、予備混合部X3での粉体と溶媒Rとの予備混合を良好に行える場合には、バイパス路90を省略することもできる。