(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、所定の警戒領域内に不法侵入者が入り込んだことを検知して照明灯を点灯または点滅したり、あるいは警報ブザーやサイレンを鳴らして警報を発する防犯警報装置には、その起動スイッチとして受動型赤外線式人体検知装置が用いられている。
【0003】
このような受動型赤外線式人体検知装置は、光学系の受光方向をほぼ水平方向に向けた配置で建造物や家屋の壁面などに設置されるとともに、一般に壁面から数メートル離れた区域に警戒すべき検知エリアを設定するように赤外線エネルギーの検出感度が調整される。そして、背景と検知エリアとの温度差を監視して、検知エリアの温度が高くなるように変化したときに検知エリア内に人体が入り込んだと検知する。
【0004】
さらに、設置場所の周囲を広い範囲で警戒可能とするとともに、検知エリアの角度を可変とすることで最大検知距離を限定可能に構成された受動型赤外線式人体検知装置も既に実用化されている。
【0005】
図10はそのような受動型赤外線式人体検知装置100の外観図である。この
図10に示すように、受動型赤外線式人体検知装置100は、壁面などへ取り付けられる本体101の前面がカバー102で覆われており、そのカバー102前面中央の開口部には略半円筒状のレンズ103が配置されている。カバー102の前面上部には、設置・調整作業時などに人体などが検知されていることを表示する動作表示灯(不図示)の点灯を外部から視認可能にする動作表示窓104が設けられている。
【0006】
図11は受動型赤外線式人体検知装置100によって形成される検知エリアA100の平面図である。
【0007】
この受動型赤外線式人体検知装置100では、水平180度の範囲で15度毎の方向(計13方向)の小エリアからの集光が可能となるように、レンズ103内面形状が光学的に設計されている。また、本体101に内蔵されている赤外線受光ユニット(不図示)は、水平90度の範囲から赤外線を受光するとともに、正面方向中心に左右それぞれ最大45度まで15度毎に回転してその位置に固定可能に構成されている。
【0008】
これにより、15度毎の7つの小エリアからなる検知エリアA100が水平90度の範囲に亘って形成される。本体101内部の赤外線受光ユニットが正面に向けられている場合は、ちょうど
図11に示すように、受動型赤外線式人体検知装置100正面を中心に左右それぞれ45度の範囲に亘って検知エリアA100が形成される。また、例えば、本体101内蔵の赤外線受光ユニットを正面に対して左45度に回転して固定した場合には、受動型赤外線式人体検知装置100正面から左90度の範囲に亘って検知エリアA100が形成されることになる。
【0009】
なお、検知エリアA100として水平90度の範囲が必ずしも必要ではなく、むしろより狭い範囲内だけを警戒対象としたい場合や、特定方向を検知対象から除外したい場合もあり得る。そのような場合には、例えば、レンズ103内面の対応箇所にマスキングシールなどを貼って赤外線の通過を遮断することでその方向の検知を実質的に無効化すればよい。
【0010】
図12(a)〜
図12(d)はこの受動型赤外線式人体検知装置100によって形成される検知エリアA100の側面図である。
【0011】
この受動型赤外線式人体検知装置100には、検知エリアA100の角度を4段階で可変とする機構(不図示)が設けられており、検知距離調整レバー(不図示)を押しながらスライドさせて設定位置A、B、CまたはDのいずれかへ移動することでその位置に固定することができる。これらの設定位置に連動して、
図12(a)〜
図12(d)に順に示すように、検知エリアA100による最大検知距離(通常時、以下も同様)がそれぞれ12m、8m、5mまたは2mとなるように変更される。例えば、検知エリアA100の先に道路などがあると、そこを通行する車や人などによって受動型赤外線式人体検知装置100が誤検知をする可能性がある。検知エリアA100をできる限り下方に向け、最大検知距離をその道路より手前となるように設定することで、そのような誤検知を極力防止することができる。
【0012】
以上のような受動型赤外線式人体検知装置100設置後の検知エリアA100の調整などは設置作業者が行うことになる。しかし、検知エリアA100自体は肉眼で直接見ることができないため、設置作業者が受動型赤外線式人体検知装置100の種類毎に固有の検知エリアA100の形状などをその平面図および側面図などに基づいてイメージしながら作業する必要があり、必ずしも容易ではなかった。
【0013】
特に、受動型赤外線式人体検知装置100の検知エリアA100の配置や最大検知距離などが可変であって、しかも、警戒すべき領域内が複雑な形状だったり誤報の原因となり得る木や植物がある場合などに、検知エリアA100の配置や最大検知距離を最適化することはなかなか困難であった。
【0014】
また、調整作業後には、作業者自身や補助者が実際に検知エリアA100を遮るように横切ったりして動作表示の点灯をその都度確認するなどのウォークテストが必要であるが、想定通りの動作をしない場合には、改めて受動型赤外線式人体検知装置100のカバー102を外して再調整などを行わなければならず、調整などの所要時間が長くなり得た。
【0015】
受動型赤外線式人体検知装置100と同様、肉眼で見ることができない熱線センサの警戒エリアの位置を明確かつ容易に確認可能とした従来技術としては、テレビカメラと熱線センサを備える監視カメラが提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0016】
しかし、特許文献1に記載の監視カメラでは、テレビカメラと熱線センサとが別個に角度調整されるのではなくて相対的視野が常に一定の関係を保った状態で角度調整なされるような構成が前提条件となっている。熱線センサの警戒エリアはテレビカメラの視野より狭くなければならないし、テレビカメラだけを動かして周囲の状況を見ることはできない。特許文献2に記載の監視カメラでは、テレビカメラと熱線センサとは別個に角度調整可能であるが、やはり、熱線センサの警戒エリアはテレビカメラの視野より狭くなければならないはずである。また、特許文献1、特許文献2に記載の監視カメラでは、テレビカメラと熱線センサとが同一ケースに内蔵されていることが前提条件であるから、例えば、単体の熱線センサでテレビカメラが内蔵されていないものへ事後的に適用することは困難である。
【0017】
その他、撮像部とセンサ部とを互いに相対位置の制約を受けずに設置でき、センサ部により設定された実際に有効な検知エリアをモニタ画面の撮像部による映像に重畳して表示できる侵入検知装置も提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0018】
この特許文献3に記載の侵入検知装置であれば、監視カメラ単体の熱線センサの検知出力に接続することで事後的な適用も可能と思われる。しかし、実際に有効な検知エリアをモニタ画面の撮像部による映像に重畳して表示するために、作業員が監視エリアを歩き回っているときに撮像部からの画像信号に対して移動物を検出する画像処理を行い、画像信号中における作業員の位置を検出することでマーカを表示するような構成となっている。その反面、作業員が監視エリアをくまなく歩き回らない限り、検知エリア全体を表示することはできない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
従来技術のこのような課題に鑑み、本発明の目的は、肉眼で直接見ることができないまたは困難な人体検出センサなどの検知エリアを周囲の映像と重畳して見易く表示することで、検知エリアの配置状況などの確認や調整および設定作業などを正確かつ容易に行うことができるような検知エリア表示装置、検知エリア表示方法、検知エリア表示プログラムおよび検知エリア表示プログラムを記録した記録媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記目的を達成するため、本発明の検知エリア表示装置は、
検知エリア表示装置であって、実空間を撮像して映像信号を出力する撮像部と、この映像信号に基づく表示を行う表示部と、前記撮像部による撮像方向の変化量を3次元で検出する方向変化量検出部と、少なくとも1機種以上の
、対象物体の有無を検知する物体検知装置の各検知エリアの3次元形状情報をそれぞれ記憶する記憶部と、
いずれかの機種の物体検知装置について、その設置場所の地表面からの第1高さと前記検知エリア表示装置の前記地表面からの保持位置の第2高さとが予め入力されるとともに、前記撮像部からの基準距離と前記表示部上の位置との対応関係が予め設定され、前記第1高さ、前記第2高さおよび前記対応関係に基づいて、前記記憶部に記憶されている各検知エリ
アの3次元形状情報に応じた
前記地表面への射影の外形である平面的な仮想エリアを仮想空間内に形成するとともに、その仮想エリアを前記方向変化量検出部によって検出された3次元変化量に
も基づいて前記仮想空間内で移動させてから前記映像信号に合成する制御部とを備え
、前記物体検知装置の前記設置場所の直下または直上に保持されるとともに、前記撮像部の撮像方向が最初は前記物体検知装置の対象物体を検知する正面方向に一致させられることを特徴とする。
【0023】
ここで、これらの構成要件を備えるものを専用装置として実現することは技術的に十分可能であるが、必要なハードウェア構成を備える携帯情報端末などにユーザが作成した検知エリア表示プログラムをインストールして実現することがより好ましい。
【0024】
このような構成の検知エリア表示装置によれば、肉眼で直接見ることができないまたは困難な人体検出センサなどの検知エリアを周囲の映像と重畳して見易く表示する。これにより、検知エリアA100の配置状況などの確認を容易に行うことができる。
【0025】
また、本発明の検知エリア表示装置において、ユーザによる操作が可能な操作部をさらに備え、前記物体検知装置はその検知エリアの配置が可変となるように構成されており、前記記憶部には各検知エリアの配置がどのように可変であるかを示す可変配置情報がさらに記憶されており、前記制御部は前記可変配置情報に基づいて前記操作部における操作に応じて前記仮想エリアの配置を変更すること特徴としてもよい。さらに、前記制御部によって配置が変更された後の前記仮想エリアの配置状態情報を前記表示部に所定書式で表示することを特徴としてもよい。
【0026】
このような構成の検知エリア表示装置によれば、前記操作部における操作で検知エリアの配置変更や最大検知距離の調整などを行いながら検知エリアの配置状況などをその都度容易に確認できる。これにより、警戒すべき領域内が複雑な形状だったり誤報の原因となり得る木や植物がある場合であっても、検知エリアの配置や最大検知距離の調整の最適化などを迅速かつ効率的に行うことができる。
【0027】
また、本発明の検知エリア表示装置において、ユーザによる操作が可能な操作部をさらに備え、前記物体検知装置は少なくとも1つの調整可能機能を有しており、前記記憶部には前記物体検知装置が有する各調整可能機能がそれぞれどのように調整可能であるかを示す調整可能機能情報がさらに記憶されており、前記制御部は前記調整可能機能情報に基づいて前記操作部における操作に応じて前記調整可能機能を調整することを特徴としてもよい。
【0028】
また、本発明の検知エリア表示装置において、前記表示部は前記操作部を兼ねるタッチパネルであることを特徴としてもよい。このような構成の検知エリア表示装置によれば、表示が見易くなるとともに操作性が大きく向上する。
【0029】
あるいは、本発明の検知エリア表示方法は、
検知エリア表示方法であって、実空間を撮像して映像信号を出力する撮像工程と、この映像信号に基づく表示を行う表示工程と、前記撮像工程における撮像方向の変化量を3次元で検出する方向変化量検出工程と、少なくとも1機種以上の
、対象物体の有無を検知する物体検知装置の各検知エリアの3次元形状情報をそれぞれ記憶する記憶工程と、
いずれかの機種の物体検知装置について、その設置場所の地表面からの第1高さと前記検知エリア表示装置の前記地表面からの保持位置の第2高さとが予め入力される入力工程と、前記物体検知装置について、前記撮像工程による撮像を行う撮像部からの基準距離と前記表示工程による表示を行う表示部上の位置との対応関係が予め設定される設定工程と、前記物体検知装置について、前記第1高さ、前記第2高さおよび前記対応関係に基づいて、前記記憶工程で記憶された各検知エリ
アの3次元形状情報に応じた
前記地表面への射影の外形である平面的な仮想エリアを仮想空間内に形成するとともに、その仮想エリアを前記方向変化量
検出工程において検出された3次元変化量に
も基づいて前記仮想空間内で移動させてから前記映像信号に合成する制御工程とを備え
、前記物体検知装置の前記設置場所の直下または直上に保持されるとともに、前記撮像工程における撮像方向が最初は前記物体検知装置の対象物体を検知する正面方向に一致させられることを特徴とする。
【0030】
また、本発明の検知エリア表示方法において、ユーザによる操作が可能な操作工程をさらに備え、前記物体検知装置はその検知エリアの配置が可変となるように構成されており、前記記憶工程では各検知エリアの配置がどのように可変であるかを示す可変配置情報もさらに記憶され、前記制御工程は前記可変配置情報に基づいて前記操作工程における操作に応じて前記仮想エリアの配置を変更することを特徴としてもよい。
【0031】
また、本発明の検知エリア表示方法において、ユーザによる操作が可能な操作工程をさらに備え、前記物体検知装置は少なくとも1つの調整可能機能を有しており、前記記憶工程では前記物体検知装置が有する各調整可能機能がそれぞれどのように調整可能であるかを示す調整可能機能情報もさらに記憶され、前記制御工程は前記調整可能機能情報に基づいて前記操作工程における操作に応じて前記調整可能機能を調整することを特徴としてもよい。
【0032】
あるいは、本発明の検知エリア表示プログラムは、コンピュータに上記検知エリア表示方法を実行させることを特徴とする。
【0033】
このような構成の検知エリア表示プログラムによれば、プログラムが実行可能なコンピュータ環境さえあれば、どこにおいても本発明の検知エリア表示方法を実現することができる。また、インターネットや携帯電話網などを通じて検知エリア表示プログラムを配信できるようにしておけば、検知エリア表示プログラムを迅速かつ手軽に入手できる。
【0034】
あるいは、本発明の検知エリア表示プログラムを記録した記録媒体は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、上記検知エリア表示プログラムを記録していることを特徴とする。
【0035】
このような構成の検知エリア表示プログラムを記録した記録媒体によれば、本発明の検知エリア表示方法を様々な場所や環境で実現することが容易になり、本発明の検知エリア表示方法の汎用性を高めることができる。
【発明の効果】
【0039】
本発明の検知エリア表示装置および検知エリア表示方法によれば、肉眼で直接見ることができないまたは困難な人体検出センサなどの検知エリアを周囲の映像と重畳して見易く表示する。これにより、検知エリアの配置状況などの確認を容易に行うことができる。
【0040】
本発明の検知エリア表示プログラムによれば、プログラムが実行可能なコンピュータ環境さえあれば、どこにおいても本発明の検知エリア表示方法を実現することができる。また、インターネットや携帯電話網を通じて検知エリア表示プログラムを配信できるようにすれば、検知エリア表示プログラムを迅速かつ手軽に入手できる。
【0041】
本発明の検知エリア表示プログラムを記録した記録媒体によれば、本発明の検知エリア表示方法を様々な場所や環境で実現することが容易になり、本発明の検知エリア表示方法の汎用性を高めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0045】
<第1実施形態>
本発明は専用装置として実現することも可能であるが、必要なハードウェア構成を備えている携帯端末などでユーザが作成したアプリケーションソフトウェアの動作が可能なものが入手可能であれば、それを利用することが好ましい。アプリケーションソフトウェア以外の開発や製造などが不要となるだけでなく、既に量産されて市販されている携帯端末であれば比較的安価に入手できるからである。
【0046】
以下では、必要なハードウェア構成を備えている携帯情報端末に本発明に係る検知エリア表示プログラムをインストールし、その検知エリア表示プログラムを実行させることによって実現したものを第1実施形態として説明する。
【0047】
図1(a)は本発明の第1実施形態に係る携帯情報端末10の正面図であり、
図1(b)はこの携帯情報端末10の背面図である。
【0048】
この
図1(a)に示すように、四隅が少し丸められた縦長薄板状の携帯情報端末10の前面中央に、各種情報や画像などを表示するとともに指先によるタッチ操作などが可能な縦長矩形状のタッチパネル12が配置されている。携帯情報端末10の背面上部中央には、
図1(b)に示すように、カメラ11が配置されている。
【0049】
携帯情報端末10の待機時などには、タッチパネル12にアプリケーションなどのアイコン19が整列配置されており、所望のアイコン19にタッチすることで対応するアプリケーションを起動することができる。カメラ11を使用するアプリケーションを起動した倍には、このカメラ11によってそのときに撮像されている画像がタッチパネル12に表示される。
【0050】
図2は、携帯情報端末10のうちで本発明に関連する構成の概略を示すブロック図である。なお、この携帯情報端末10と受動型赤外線式人体検知装置100との間には信号線などが一切存在しない。
【0051】
図2に示すように、携帯情報端末10は、上述したカメラ11およびタッチパネル12の他、カメラ11による撮像方向を変えるために携帯情報端末10自体の向きを変化させたときの動きの量を3次元で検出するセンサ群13と、受動型赤外線式人体検知装置100(
図10参照)などの検知エリアA100(
図11、11参照)の3次元形状情報および検知エリアA100の配置がどのように可変であるかを示す情報(可変配置情報)やその他の調整関連情報を記憶するメモリ14と、携帯情報端末10全体を制御するコントロールユニット15とを備えている。
【0052】
カメラ11は、受動型赤外線式人体検知装置100の検知エリアA100などが形成される実際の空間を撮像して映像信号を出力する。
【0053】
タッチパネル12は、カメラ11から出力される映像信号を表示できるとともに、指先によるタッチ操作などが行われると、そのこととタッチ位置などをコントロールユニット15に伝達する。
【0054】
センサ群13としては、例えば、互いに直交する3方向の加速度をそれぞれ計測する加速度センサ、3軸のジャイロセンサ、電子コンパスなどによって構成すればよい。携帯情報端末10のカメラ11による撮像方向の傾き(俯仰角)やその変化は、加速度センサにジャイロセンサを組み合わせることでより正確に検出できるようになる。カメラ11による撮像方向の方位角およびその変化は、電子コンパスによって検出できる。つまり、カメラ11による撮像方向の変化量は、センサ群13によって俯仰角および方位角の変化量として3次元で検出される。ただし、センサ群13の構成はこれに限るものではなく、例えば、カメラ11で撮像された画像を常時または周期的に監視しておいて、画像内の特徴的部分の動きなどに基づいてカメラ11による撮像方向の変化量を検出してもよい。
【0055】
メモリ14としては、例えば、フラッシュメモリなどの不揮発メモリやハードディスクなどが挙げられるが、これに限るものではない。このメモリ14には、受動型赤外線式人体検知装置100を含む各種の物体検知装置毎にその検知エリアの3次元形状情報が記憶される。さらに、各検知エリアの配置がどのように可変であってそれらをどのように調整するかなどの情報も併せて記憶される。例えば、受動型赤外線式人体検知装置100であれば、
図11および
図12を参照して説明したように、水平90度の範囲に亘って形成される検知エリアA100の中心の向きを正面方向に対して左右それぞれ最大45度まで15度毎に回転可能であること、検知エリアA100内の7つの小エリアを個別にマスキング可能なこと、検知エリアA100の角度が4段階に可変であってそれによって最大検知距離が可変となることなどが記憶される。
【0056】
コントロールユニット15は、例えば、CPUなどが挙げられるが、さらに、画像処理や映像信号処理の専用チップなどと組み合わせて構成してもよい。
【0057】
また、コントロールユニット15は、メモリ14に各種情報を記憶している物体検知装置などの一覧をタッチパネル12に表示し、このタッチパネル12へのタッチ操作で選択された物体検知装置の検知エリアの3次元形状情報に応じた仮想エリアを仮想空間内に形成する。このときに形成する仮想エリアは、検知エリアの3次元形状情報をそのまま用いた忠実な立体的形状に必ずしもしなくてよい。例えば、受動型赤外線式人体検知装置100の場合であれば、実際にタッチパネル12に表示したときの見易さなども考慮すると、検知エリアA100の各小エリアの地表面への射影の外形を平面的な仮想エリアとして仮想空間内に形成してもよい。そして、コントロールユニット15は、この仮想エリアをカメラ11から出力されている映像信号に合成する。これにより、タッチパネル12には実際の空間の映像に仮想エリアに対応する図形が重畳して表示されることになる。
【0058】
その後、携帯情報端末10が上下に傾けられたり左右に振られたりして、カメラ11による撮像方向が変化すると、その変化量がセンサ群13によって3次元で検出される。コントロールユニット15は、センサ群13によって検出された3次元変化量に基づいて仮想エリアを仮想空間内で移動させる。このような移動後の仮想エリアに対応する図形が、撮像方向変化後の実際の空間の映像に重畳されてタッチパネル12に表示されることになるので、結果として、カメラ11の撮像方向が変化してもそれに追従して仮想エリアに対応する図形が常に適切な位置に重畳して表示される。
【0059】
図3〜
図6は、携帯情報端末10を用いて受動型赤外線式人体検知装置100の検知エリアA100の調整前などに作業手順の概略説明図である。
【0060】
(1)準備操作など
まず、タッチパネル12に表示されているアイコン19の中から検知エリア表示用アプリケーションのアイコン19をタッチする。検知エリア表示用アプリケーションが起動すると、対応可能な物体検知装置などの機種名などの一覧がタッチパネル12に表示されるので、その中から受動型赤外線式人体検知装置100に該当する機種名を選んでタッチする。
【0061】
次に、受動型赤外線式人体検知装置100の設置場所(または設置予定場所)の地表面からの高さと、携帯情報端末10を保持している位置の地表面からの高さとをそれぞれ入力する。このとき、受動型赤外線式人体検知装置100の設置場所の直下または直上に携帯情報端末10を保持するとともに、カメラ11の撮像方向を受動型赤外線式人体検知装置100の正面方向に一致させておく。この操作時のカメラ11の撮像方向が基準となり、それ以降のカメラ11の撮像方向の変化量がセンサ群13によって3次元で検出される。
【0062】
(2)基準となる距離の設定
図3は基準となる距離を設定するための設定用画面12Aがタッチパネル12に表示されている場合を示す概略説明図である。ここで、この場所の遠方には林20があるとともに、左斜め前方から右手前へと舗装道22が続いており、これらの間には芝生面21が広がっているものとする。設定用画面12Aにはこれらの風景が肉眼視よりもやや小さめに表示される。
【0063】
また、設定用画面12Aには、カメラ11を中心とした同心円状の仮想等距離線30が4本、それぞれの距離値(2m、5m、8m、12m)とともに、カメラ11によって撮像された風景の映像に仮の初期位置において重畳されて表示されている。
【0064】
この設定用画面12Aで左上部に表示されているメッセージのように、基準となる距離が例えば4mとすると、カメラ11からちょうど4mの位置に目印となるものを置くか、あるいは別の作業者31を4mの位置に立たせた後、タッチパネル12に対するスライド操作で仮想等距離線30を上下に移動させ、4mに該当する仮想等距離線30の位置を実際の4mの距離に該当する目印または作業者31の足元に正確に重ねる。その状態でタッチパネル12上にタッチ操作を行って基準となる距離の設定を完了する。
【0065】
これにより、映像上の各画素の位置と実際の距離との対応関係が明確にわかるので、それ以降はタッチパネル12の映像に重畳して表示を行う際の位置決めを正確に行うことができるようになる。
【0066】
なお、受動型赤外線式人体検知装置100の設置場所の高さと、携帯情報端末10を保持している位置の高さと、カメラ11の撮像方向の上下方向の傾き、カメラ11の撮像光学系の画角(光学的または/および電子的変倍も含む)および画素数がすべて正確にわかっていれば、上記のような基準となる距離の設定は不可欠ではない。しかし、これらの一部の値が不明または十分正確な値でなければ、基準となる距離の設定を行う方が好ましい。
【0067】
(3)検知エリアA100の最大検知距離の調整
図4は検知エリアA100の角度を変更することで検知エリアA100の最大検知距離を調整するための調整用画面12Bがタッチパネル12に表示されている場合を示す概略説明図である。なお、この調整用画面12Bを用いて行う次の作業は、
図12(a)〜
図12(d)を参照して説明した調整作業などを携帯情報端末10で仮想的に行うことにほぼ相当する。
【0068】
図4に示すように、この調整用画面12Bには、設定用画面12A(
図3参照)とほぼ同様に、カメラ11を中心とした同心円状の仮想等距離線30が4本、それぞれの距離値(2m、5m、8m、12m)とともに、カメラ11によって撮像された風景の映像に重畳されて表示されている。ただし、基準となる距離の設定が既に完了しているので、調整用画面12Bでは仮想等距離線30それぞれの表示位置は実際の距離に正確に対応している。
【0069】
調整用画面12Bにはさらに、検知エリアA100の各小エリアの地表面への射影の外形が仮想エリアa100として表示されている。調整用画面12Bの上部には、検知エリアA100の調整状態などを示すインジケータや検知距離調整レバーの設定位置情報なども表示されている。
【0070】
また、タッチパネル12上においてカメラ11方向(タッチパネル12下端中央向き)またはその逆方向のタッチ&スライド操作を行うことで、ちょうど実際の検知距離調整レバーのスライド操作に対応するように検知エリアA100の角度を1段階ずつ変更したものとして、仮想空間内の仮想エリアに反映させるようになっている。つまり、タッチパネル12上におけるタッチ&スライド操作によって、最大検知距離を調整できることに相当する。
【0071】
調整用画面12Bの表示によれば、最も右側の仮想エリアa100の先で8mより少し遠い距離のところに誤報の原因となり得る木32がある。最大検知距離が12m(検知距離調整レバーの設定位置:D)ではこの木32によって誤報が発生し得るが、最大検知距離を8m(検知距離調整レバーの設定位置:C)またはそれ以下であればこの木32による誤報の発生は回避できることが一目でわかる。
【0072】
もし、最大検知距離が12mに設定されていて、最も右側の仮想エリアa100が木32に重なっていれば、タッチパネル12上で矢印X1の方向にタッチ&スライド操作を行って、通常時の最大検知距離を8mまたはそれ以下に変更すればよい。最大検知距離の変更後は、調整用画面12Bに表示されている各仮想エリアa100が木32以外の障害物などに重なるかまたは接近していないかを十分確認する。
【0073】
(4)検知エリアA100の水平90度の範囲の調整
図5は受動型赤外線式人体検知装置100の本体101に内蔵されている赤外線受光ユニットの向きを正面方向中心に左右それぞれ最大45度まで15度毎に回転することで検知エリアA100の水平90度の範囲を調整するための調整用画面12Cがタッチパネル12に表示されている場合を示す概略説明図である。なお、この調整用画面12Cを用いて行う次の作業は、
図11を参照して説明した調整作業などを携帯情報端末10で仮想的に行うことにほぼ相当する。
【0074】
図5に示すように、この調整用画面12Cには、調整用画面12B(
図4参照)と同様に、カメラ11を中心とした同心円状の仮想等距離線30が4本、それぞれの距離値(2m、5m、8m、12m)とともに、カメラ11によって撮像された風景の映像に重畳されて表示されている。調整用画面12Cにはさらに、検知エリアA100の各小エリアの地表面への射影の外形が仮想エリアa100として表示されており、調整用画面12Cの上部には、検知エリアA100の調整状態などを示すインジケータや検知距離調整レバーの設定位置情報なども表示されている。
【0075】
また、タッチパネル12上において仮想等距離線30に沿った左右いずれかの方向のタッチ&スライド操作を行うことで、ちょうど実際の赤外線受光ユニットの向きを15度ずつ回転したものとして(ただし、正面方向を中心とした左右それぞれ最大45度までの範囲内に限定)仮想空間内の仮想エリアに反映させるようになっている。つまり、タッチパネル12上におけるタッチ&スライド操作によって、検知エリアA100の水平90度の範囲を回転移動する調整ができることに相当する。
【0076】
調整用画面12Cの表示によれば、右斜め方向で8mより少し遠い距離のところに誤報の原因となり得る木32がある。通常時の最大検知距離が12m(検知距離調整レバーの設定位置:D)のままでも、タッチパネル12上で矢印X2の方向にタッチ&スライド操作を行って検知エリアA100全体を左へ回転させると、調整用画面12Cに示すように、正面からちょうど30度させたときに最も右側の仮想エリアa100も木32に重ならなくなるので、この木32による誤報の発生が回避できることがわかる。
【0077】
(5)検知エリアA100内で無効化すべき小エリアの選択
図6は検知エリアA100内で特定方向を検知対象から除外したい場合に、レンズ103内面のどの箇所にマスキングシールなどを貼ればよいかを確認するための調整用画面12Dがタッチパネル12に表示されている場合を示す概略説明図である。なお、この調整用画面12Dを用いて行う次の作業は、
図11を参照して説明した調整作業の最後のなお書きに記載したことを携帯情報端末10で仮想的に行うことにほぼ相当する。
【0078】
図6に示すように、この調整用画面12Dには、調整用画面12B(
図4参照)と同様に、カメラ11を中心とした同心円状の仮想等距離線30が4本、それぞれの距離値(2m、5m、8m、12m)とともに、カメラ11によって撮像された風景の映像に重畳されて表示されている。調整用画面12Dにはさらに、検知エリアA100の各小エリアの地表面への射影の外形が仮想エリアa100として表示されており、調整用画面12Dの上部には、検知エリアA100の調整状態などを示すインジケータや検知距離調整レバーの設定位置情報なども表示されている。
【0079】
また、タッチパネル12上において仮想エリアa100にタッチ操作を行うことで、レンズ103内面でその仮想エリアa100に対応する箇所にマスキングシールなどを貼ったものとして仮想空間内の仮想エリアに反映させるようになっている。具体的には、その仮想エリアの外形を破線に変更して表示することでその他の有効な仮想エリアと明確に区別できるようにする。つまり、タッチパネル12上におけるタッチ操作によって、検知エリアA100の特定方向の検知を実質的に無効化したときの確認ができることに相当する。
【0080】
調整用画面12Dの表示によれば、右斜め方向で8mより少し遠い距離のところに誤報の原因となり得る木32がある。通常時の最大検知距離が12m(検知距離調整レバーの設定位置:D)のままで、しかも検知エリアA100全体が正面に向いている場合には、最も右側の仮想エリアa100が木32に重なってしまう。しかし、その仮想エリアa100にタッチ操作を行うことで無効化すれば、木32に重なる有効な仮想エリアa100が存在しなくなるので、この木32による誤報の発生が回避できることがわかる。
【0081】
図7は、
図3〜
図6とは別の場所において、受動型赤外線式人体検知装置100の本体101に内蔵されている赤外線受光ユニットの向きを左側へ30度回転させた後の調整用画面12E1がタッチパネル12に表示されている場合を示す概略説明図である。
図8は
図7の状態から携帯情報端末10を左側へ振った後の調整用画面12E2がタッチパネル12に表示されている場合を示す概略説明図である。
【0082】
これらの
図7および
図8に示すように、この場所のほぼ中央には奥の方へと舗装道43が続いている。この舗装道43沿いのやや遠方左側には高い木41があり、舗装道43右側には数棟の建物40が連なっており、舗装道43左側の駐車スペースには多くの自動車42が駐車されている。
【0083】
図7の調整用画面12E1では、検知エリアA100全体を左へ回転させたことで最も左側の仮想エリアa100の先端部が画面外となってしまい、その仮想エリアa100周囲すべてを確認ができなくなっている。しかし、その状態から携帯情報端末10を左側へ振った後の調整用画面12E2には、最も左側の仮想エリアa100もその先端部まで画面内となっているので、その仮想エリアa100周囲すべてを確認することができる。
【0084】
以上で説明した第1実施形態の構成によれば、肉眼で直接見ることができない受動型赤外線式人体検知装置100などの検知エリアA100がタッチパネル12上に周囲の映像と重畳して見易く表示される。これにより、検知エリアA100の配置状況などの確認を容易に行うことができる。
【0085】
また、タッチパネル12上におけるタッチ&スライド操作などで検知エリアA100の配置変更や最大検知距離の調整などを行いながら検知エリアA100の配置状況などをその都度容易に確認できる。これにより、警戒すべき領域内が複雑な形状だったり誤報の原因となり得る木や植物がある場合であっても、検知エリアA100の配置や最大検知距離の調整の最適化などを迅速かつ効率的に行うことができる。
【0086】
受動型赤外線式人体検知装置100などの側での改造や配線なども一切不要であり、既存の機種であっても検知エリアA100の3次元形状情報や配置がどのように可変であるかを示す情報などがわかりさえすればよいので、幅広い活用が可能である。携帯情報端末10を利用しているので、比較的安価に入手できる上、携帯性にも優れている。
【0087】
<第1実施形態の変形例>
上述した第1実施形態では、メモリ14に、受動型赤外線式人体検知装置100(
図10参照)などの検知エリアA100(
図11、11参照)の3次元形状情報および検知エリアA100の配置がどのように可変であるかを示す情報(可変配置情報)やその他の調整関連情報を記憶させていたが、さらに他の情報も記憶させておいてもよい。他の人体検知装置などでは、検知エリアの配置が可変である以外にも1つ以上の調整可能機能を有している場合があるが、例えば、検知感度、複数回数の検知を有効と扱うカウント数、動作表示灯のオン/オフなどでが挙げられる。
【0088】
それらの調整可能機能などがそれぞれどのように調整可能であるかを示す情報(調整可能機能情報)もメモリ14に記憶しておくとともに、それに対応して携帯情報端末10側の検知エリア表示プログラムも拡張すれば、第1実施形態による検知エリアの配置変更や最大検知距離の調整とほぼ同様に、タッチパネル12上におけるタッチ&スライド操作などで人体検知装置などの各調整可能機能の調整を行うことができる。
【0089】
<第2実施形態>
上述した第1実施形態やその変形例では、携帯情報端末10と受動型赤外線式人体検知装置100との間には有線・無線を問わず信号線などが一切存在しないし、他の手段によっても互いに情報のやり取りを行わないので、既存の受動型赤外線式人体検知装置100だけでなくその他の各種検知装置などに幅広い活用が可能である。
【0090】
その反面、
図3〜
図6などを参照して説明した作業手順で受動型赤外線式人体検知装置100の検知エリアA100の配置や最大検知距離が携帯情報端末10上で適切に調整できたとしても、実際にはその後に改めて設置作業者などが、受動型赤外線式人体検知装置100に対して本体101に内蔵されている赤外線受光ユニットの向きを回転させたり、レンズ103内面にマスキングシールなどを貼ったり、検知距離調整レバーをスライドさせたりする必要があって面倒であった。
【0091】
そこで、これらの問題点を解決可能な第2実施形態を以下で説明する。なお、この第2実施形態は、次に述べる点を除いては第1実施形態と同一であるので、同じ構成部材などには同じ参照符号を付すこととして、主として相違点について説明する。
【0092】
図9は本発明の第2実施形態に係る携帯情報端末10A(ただし、本発明に関連する構成のみを図示)と相互に通信可能な受動型赤外線式人体検知装置50を備える物体検知システム60の概略構成を示すブロック図である。
【0093】
図9に示すように、携帯情報端末10Aは、携帯情報端末10(
図2参照)にはなかったインターフェイス16も備えている。ただし、このインターフェイス16は、もともと携帯情報端末10にも備えられていたものの、第1実施形態では使用されないので
図2中での図示や説明を省略していただけである。携帯情報端末には外部との通信が可能な複数種類のインターフェイスが備えられているが、これらのうちから適切なものを選択してインターフェイス16として使用すればよい。
【0094】
また、コントロールユニット15Aは、コントロールユニット15(
図2参照)とハードウェア構成などは基本的に同一であるが、制御内容などがコントロールユニット15とは一部で異なる。
【0095】
受動型赤外線式人体検知装置50は、侵入者などを検知するための検知エリアを形成する受光ユニット51と、その検知エリアの配置を可変とするエリア配置変更部52と、インターフェイス16を介して携帯情報端末10Aとの通信を行うインターフェイス53と、これらを制御するコントローラ54とを備えている。
【0096】
受光ユニット51は、受動型赤外線式人体検知装置100の赤外線受光ユニットとは異なり、検知エリアを構成する小エリアそれぞれに対応する受光面を電気的に分割して別々の受光信号を出力するように構成しておく。それぞれの受光信号を使用するか無視するかなどはコントローラ54側で決定できる。これにより、検知エリアの水平範囲を変更する際に、受動型赤外線式人体検知装置100のように赤外線受光ユニットを回転させる必要がない。特定方向を検知対象から除外したい場合でも、受動型赤外線式人体検知装置100のようにレンズ103内面の対応箇所にマスキングシールなどを貼らなくてもよい。
【0097】
エリア配置変更部52は、検知エリアの角度を可変とする機構をコントローラ54側で制御可能とするもので、ユーザによる検知距離調整レバーのスライド操作の代わりにモーターやアクチュエータなどでよってその機構を駆動する。
【0098】
第1実施形態では、検知エリア表示用アプリケーション起動後にタッチパネル12に表示される対応可能な物体検知装置などの機種名などの一覧から、ユーザが機種名を選んでタッチする必要があった。第2実施形態では、携帯情報端末10Aが受動型赤外線式人体検知装置50との通信を行うことで機種名を自動的に識別することができる。
【0099】
また、メモリ14には、第1実施形態と同様に、各種の物体検知装置毎にその検知エリアの3次元形状情報やその配置がどのように可変であってそれらをどのように調整するかなどの情報を記憶しておいてもよい。あるいは、これらの情報を受動型赤外線式人体検知装置50との通信によってその都度取得し、メモリ14には一時的に記憶するだけとしてもよい。
【0100】
携帯情報端末10Aの画面上における受動型赤外線式人体検知装置50の検知エリアの配置や最大検知距離などの調整作業は第1実施形態と同様に行うことができる。調整作業完了後には、その結果情報などを携帯情報端末10Aから受動型赤外線式人体検知装置50へ送信する。
【0101】
受動型赤外線式人体検知装置50では、携帯情報端末10Aから受信した結果に基づいてコントローラ54がエリア配置変更部52によって検知エリアの最大検知距離を変更する。なお、検知エリアの配置変更情報はその後のコントローラ54の制御に反映される。
【0102】
以上で説明した第2実施形態の構成によれば、第1実施形態と同様の作用効果に加えて、検知エリアの配置や最大検知距離が携帯情報端末10上で適切に調整できれば、その結果を受動型赤外線式人体検知装置50に自動的に反映させることができる。これにより、受動型赤外線式人体検知装置50の調整作業などを極めて容易かつ効率的に行うことが可能となる。
【0103】
なお、第2実施形態についても、第1実施形態の変形例と同様にメモリ14に記憶させる情報を増やすとともに検知エリア表示プログラムを拡張してもよいことは言うまでもない。
【0104】
<その他の実施形態>
上述した第1実施形態やその変形例および第2実施形態では、必要なハードウェア構成を備えている携帯情報端末に本発明に係る検知エリア表示プログラムをインストールし、その検知エリア表示プログラムを実行させることによって本発明を実現したが、もちろん、専用装置として本発明を実現することも可能である。
【0105】
このようにして本発明を実現した場合は、入手が容易な携帯情報端末などでは性能面がやや不足している点を補うこともできる。例えば、電子コンパスでは方位角の変化の検出がやや遅いが、より高性能のセンサを代わりに用いることで、撮像方向を素早く変化させたときなどの仮想エリアの表示位置の追従性を向上させることができる。
【0106】
また、検知エリア表示プログラムは、コンピュータに読み取り可能な記録媒体に記録されていてもよい。記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、CD−ROM、DVD−ROM、フラッシュメモリなどが挙げられるがこれらに限らない。
【0107】
また、本発明は、検知エリアを肉眼で直接見ることができない場合だけでなく、検知エリアなどの肉眼視が不可能ではないものの困難である場合にも適用できる。また、肉眼でもある程度は見えるものの、より見易くまたはわかりやすく表示したい場合などにも応用が可能である。
【0108】
なお、本発明は、その主旨または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文にはなんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。