【文献】
Organometallics,2011年 8月25日,Vol. 30,5010-5017
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1〜請求項5のうちいずれか一項のジアザジエン系金属化合物を原料として使用し、化学気相蒸着法または原子層蒸着法を使用して基材上に蒸着させ、ニッケル、コバルトまたはマンガンが含まれた金属薄膜を形成することを含む、薄膜の製造方法。
前記気体状態のジアザジエン系金属化合物は、バブリング方式、気相(vapor phase)流量制御(MFC:mass flow controller)方法、直接液体注入(DLI:Direct Liquid Injection)方法及び化合物を有機溶媒に溶かして移送する液体移送方法(LDS:Liquid Delivery System)からなる群より選択された方法で前記基材上に運搬されるものである、請求項11に記載の薄膜の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付した図面を参照して、本願が属する技術分野で通常の知識を持った者が容易に実施することができるように、本願の具現例及び実施例を詳しく説明する。
【0019】
しかし、本願は、様々な異なる形態で具現されることができ、ここで説明する具現例及び実施例に限らない。そして、図面で本願を明確に説明するために、説明と関係ない部分は省略し、明細書全体を通じて類似した部分に対しては、類似した図面符号を付けた。
【0020】
本願の明細書全体において、ある部材が他の部材の『上に』位置しているとすると、これは、ある部材が他の部材に接している場合だけでなく、二つの部材間にまた他の部材が存在する場合も含む。
【0021】
本願の明細書全体において、ある部分がある構成要素を『含む』とすると、これは、特に反対する記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0022】
本明細書で使用される程度の用語『約』、『実質的に』などは、言及された意味に固有の製造及び物質許容誤差が提示される時、その数値でまたはその数値に近接した意味として使用され、本願の理解を助けるために、正確であるか絶対的な数値が言及された開示内容を非良心的な侵害者が不当に利用することを防止するために使用される。本願の明細書全体で使用される程度の用語『〜(する)ステップ』または『〜のステップ』は、『〜のためのステップ』を意味しない。
【0023】
本願の明細書全体において、マーカッシュ形式の表現に含まれた『これらの組合』の用語は、マーカッシュ形式の表現に記載された構成要素からなる群より選択される一つ以上の混合または組合を意味するものであり、前記構成要素からなる群より選択される一つ以上を含むことを意味する。
【0024】
本願の明細書全体において、用語『アルキル』は、他に定義されなければ、単独でまたは『アルコキシ』、『アリールアルキル』、『アルカノールアミン』及び『アルコキシアミン』のような他の用語と共に使用される場合、約1〜約22個の炭素原子、または約1〜約20個の炭素原子、または約1〜約12個の炭素原子、または約1〜約10個の炭素原子、または約1〜約6個の炭素原子を有する線状または分枝状のアルキル基を含む。例えば、前記アルキルとしては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、イソブチル、ペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、ヘブチル、4、4−ジメチルペンチル、オクチル、2、2、4−トリメチルペンチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル及びこれらの異性体などが挙げられるが、これに制限されない。
【0025】
以下、本願のジアザジエン系金属化合物、その製造方法及び前記ジアザジエン系金属化合物を利用した薄膜の製造方法について、具現例及び実施例と図面を参照して具体的に説明する。しかし、本願は、このような具現例及び実施例と図面に制限されない。
【0026】
本願の第1側面によるジアザジエン系金属化合物は、下記化学式1〜化学式4のように表示されることができる。
<化学式1>
【化1】
<化学式2>
【化2】
<化学式3>
【化3】
<化学式4>
【化4】
前記化学式1〜化学式4で、MはNi、CoまたはMnであり、R
1〜R
4は、それぞれ独立的に水素、または炭素数約1〜約6の線状または分枝状のアルキル基(alkyl group)である。
【0027】
本願の一具現例において、前記ジアザジエン系金属化合物は、前記R
1及びR2がiso−プロピル基またはtert−ブチル基であり、前記R
3及びR
4は、水素である化学式1で表示されるものであることができるが、これに制限されない。
【0028】
本願の一具現例において、前記ジアザジエン系金属化合物は、前記R
1及びR
2がiso−プロピル基またはtert−ブチル基であり、前記R
3は、水素である化学式2で表示されるものであることができるが、これに制限されない。
【0029】
本願の一具現例において、前記ジアザジエン系金属化合物は、前記R
1及びR
2がiso−プロピル基またはtert−ブチル基であり、前記R
3及びR
4は、水素である化学式3で表示されるものであることができるが、これに制限されない。
【0030】
本願の一具現例において、前記ジアザジエン系金属化合物は、前記R
1及びR
2がiso−プロピル基またはtert−ブチル基であり、前記R
3及びR
4は、水素である化学式4で表示されるものであることができるが、これに制限されない。
【0031】
本願の一具現例において、前記化学式1〜化学式4で、前記R
1及びR
2の両方がiso−プロピル(isopropyl、
iPr)基であるか、tert−ブチル(tertiary butyl、
tBu)基であることができるが、これに制限されない。特に、R
1及びR
2が
iPr基または
tBu基であり、R
3とR
4が水素である下記の構造のジアザジエン系Ni、CoまたはMn化合物が蒸気圧が高くて、化学蒸着法と原子層蒸着法に使用するのに有利である。
【0033】
本願の第2側面は、下記反応式1のように、下記化学式5で表示されるジアザジエン中性リガンドと水素還元剤とを反応させてジアザジエン−誘導された2価の陰イオンを合成すること、及び下記化学式5で表示されるジアザジエン中性リガンドとMX
2で表示される2価のハロゲン金属化合物とを反応させた後、これに前記ジアザジエン−誘導された2価の陰イオンを添加して反応させることを含む、ジアザジエン系金属化合物の製造方法を提供する。
<化学式5>
【化5】
<反応式1>
ここで、XはCl、BrまたはIで、MはNi、CoまたはMnであり、R
1〜R
4は、それぞれ独立的に水素、または炭素数約1〜約6の線状または分枝状のアルキル基(alkyl group)である。
【0034】
具体的に、有機溶媒にMX
2及びジアザジエン中性リガンドを入れた溶液を(MX
2は、溶媒に溶けることもでき、また粉末として溶媒に分散していることもできる)−30℃〜0℃の温度に冷やし、これに水素還元剤をジアザジエン中性リガンドと反応させて得た2価の陰イオン溶液を徐々に添加し、撹拌反応を進行した後、有機溶媒に溶けない塩を濾過し、有機溶媒を除去して製造することができる。
【0035】
前記有機溶媒としては、非極性有機溶媒または弱い極性の有機溶媒であれば特に限定されないが、テトラヒドロフラン (tetrahydrofuran、THF)、1、2−ジメトキシエタン(1、2−dimethoxyethane)または2−メトキシエチルエーテル(2−methoxyethylether)などを使用することができる。撹拌反応時に反応途中の湿気または酸素などによる分解反応を抑制するために、窒素(N
2)またはアルゴン(Ar)のような不活性気体下で反応を進行することができるが、これに制限されない。
【0036】
水素還元剤として、LiH、NaH、KH以外にNaBH
4、LiAlH
4、(n−Bu)
3SnHなどを使用することができるが、これに制限されない(n−Buは、ノルマルブチル基を意味する)。
【0037】
本願の第3側面は、下記反応式2のように、下記化学式6で表示されるジアザジエン中性リガンドと水素還元剤とを反応させてジアザジエン−誘導された1価の陰イオンを合成すること、及び前記ジアザジエン−誘導された1価の陰イオンにMX
2で表示される2価のハロゲン金属化合物を添加して反応させることを含む、ジアザジエン系金属化合物の製造方法を提供する。
<化学式6>
【化6】
<反応式2>
ここで、XはCl、BrまたはIで、MはNi、CoまたはMnであり、R
1〜R
3は、それぞれ独立的に水素、または炭素数約1〜約6の線状または分枝状のアルキル基(alkyl group)である。
【0038】
本願の第4側面は、下記反応式3のように、下記化学式5で表示されるジアザジエン中性リガンドとアルカリ金属M'とを反応させてジアザジエン−誘導された2価の陰イオンを合成すること、及び下記化学式5で表示されるジアザジエン中性リガンドとMX
2で表示される2価のハロゲン金属化合物とを反応させた後、これに前記ジアザジエン−誘導された2価の陰イオンを添加して反応させることを含む、ジアザジエン系金属化合物の製造方法を提供する。
<化学式5>
【化5】
<反応式3>
ここで、M'はLi、NaまたはKで、XはCl、BrまたはIで、MはNi、CoまたはMnであり、R
1〜R
4は、それぞれ独立的に水素、または炭素数約1〜約6の線状または分枝状のアルキル基(alkyl group)である。
【0039】
本願の第5側面は、下記反応式4のように、下記化学式5で表示されるジアザジエン中性リガンドとアルカリ金属M'とを反応させてジアザジエン−誘導された1価の陰イオンを合成すること、及び前記ジアザジエン−誘導された1価の陰イオンにMX
2で表示される2価のハロゲン金属化合物を添加して反応させることを含む、ジアザジエン系金属化合物の製造方法を提供する。
<化学式5>
【化5】
<反応式4>
ここで、M'はLi、NaまたはKで、XはCl、BrまたはIで、MはNi、CoまたはMnであり、R
1〜R
4は、それぞれ独立的に水素、または炭素数約1〜約6の線状または分枝状のアルキル基(alkyl group)である。
【0040】
本願の第6側面による薄膜製造方法は、本願の第1側面による前記化学式1〜化学式4で表示されるジアザジエン系金属化合物を原料として使用し、化学気相蒸着法または原子層蒸着法を使用して基材上に蒸着させ、ニッケル、コバルトまたはマンガンが含まれた金属薄膜を形成することを含むことができるが、これに制限されない。
【0041】
本願の一具現例において、前記ジアザジエン系金属化合物が気体状態であることができるが、これに制限されない。
【0042】
本願の一具現例において、前記ジアザジエン系金属化合物を前駆体として使用し、化学蒸着法や原子層蒸着法で基材上に薄膜を蒸着時に、蒸着温度が約50℃〜約700℃であることができるが、これに制限されない。例えば、前記蒸着温度は、約50℃〜約700℃、約50℃〜約600℃、約50℃〜約500℃、約50℃〜約400℃、約50℃〜約300℃、約50℃〜約200℃、または約50℃〜約100℃であることができるが、これに制限されない。
【0043】
本願による前記ジアザジエン系金属化合物を気体状態で基材の表面に運搬する時、バブリング方式、気相(vapor phase)流量制御(MFC:mass flow controller)方法、直接液体注入(DLI:Direct Liquid Injection)方法や前駆体化合物を有機溶媒に溶かして移送する液体移送方法(LDS:Liquid Delivery System)を含んで多様な供給方式が適用されることができるが、これに制限されない。
【0044】
前記本願によるジアザジエン系金属化合物を工程に供給するための運送ガス(carrier gas)または原子層蒸着法の浄化ガス(purge gas)として、アルゴン、窒素、ヘリウム(He)、水素(H
2)またはこれらの混合ガスを使用することができるが、これに制限されない。化学気相蒸着法及び原子層蒸着法で金属酸化物薄膜を蒸着するために反応ガスとして水蒸気(H
2O)、酸素(O
2)またはオゾン(O
3)を使用することができ、また、金属、金属シリサイドまたは金属酸化物薄膜を形成する時、反応ガスとして水素、アンモニア(NH
3)、アルコール(alcohol)類、アルデヒド(aldehyde)類、カルボン酸(carboxylic acid)類及びシラン(silane)類を使用することができるが、これに制限されない。
【0045】
以下、実施例を通じて本願をより具体的に説明する。しかし、下記実施例は、本願の理解を助けるために提示されるだけであって、本願がこれに限定されることではない。
[発明を実施するための形態]
【0046】
[実施例]
実施例1:化学式7の有機コバルト前駆体の製造
火炎乾燥した250mLのシュレンクフラスコで、無水CoCl
210g(77mmol、1当量)と、N、N'−ジイソプロピル−1、4−ジアザ−1、3−ブタジエン(N、N'−diisopropyl−1、4−diaza−1、3−butadiene、
iPr−DAD)10.80g(77mmol、1.0当量)とを2−メトキシエチルエーテル(2−methoxyethyl ether)50mLに溶かして懸濁液を作った後、−20℃に維持させた。−20℃を維持する前記フラスコに、
iPr−DAD10.80g(77mmol、1.0当量)と、NaBH
45.83g(154mmol、2.0当量)とを2−メトキシエチルエーテル70mLに溶かして製造した溶液を徐々に添加した後、反応溶液を室温まで徐々に昇温させた。この混合液を12時間室温で撹拌した後、減圧下で溶媒及び揮発性副反応物を除去した後、ノルマルヘキサン200mLを加えて溶かした。ノルマルヘキサンを加えた混合物をセルライトパッドとガラスフリットとを通じて濾過して得た濾過液を減圧下で溶媒であるノルマルヘキサンを除去し、減圧蒸留して下記化学式7で示す褐色の液体化合物を得た。
【0047】
<化学式7>
【化7】
歩留まり(yield):11.12g(42.3%)
元素分析(elemental analysis):計算値(C
16H
34N
4Co)C、56.29;H、10.04;N、16.41、実測値C、56.22;H、9.68;N、16.56
沸騰点:0.32torrで75℃
密度:1.203g/mL、25℃
【0048】
実施例2:化学式8の有機コバルト前駆体の製造
火炎乾燥した250mLのシュレンク(Schlenk)フラスコで、無水CoCl
210g(77mmol、1当量)を2−メトキシエチルエーテル50mLに溶かして懸濁液を作った後、−20℃に維持させた。−20℃を維持する前記フラスコに、NaBH
45.83g(154mmol、2.0当量)と
iPr−DAD21.60g(154mmol、2.0当量)とを2−メトキシエチルエーテル70mLに溶かした溶液を徐々に添加した後、混合液を室温まで徐々に昇温させた。この混合液を12時間室温で撹拌した後、減圧下で溶媒及び揮発性の副反応物を除去した後、ノルマルヘキサン(n−hexane、C
6H
14)200mLを加えて溶かした。ノルマルヘキサンを加えた混合物をセルライト(Cellite)パッドとガラスフリット(frit)とを通じて濾過して得た濾過液を減圧下で溶媒であるノルマルヘキサンを除去し、減圧蒸留して下記化学式8で示す黄味を帯びた褐色の液体化合物を得た。
【0049】
<化学式8>
【化8】
歩留まり(yield):10.54g(40.1%)
元素分析(elemental analysis):計算値(C
16H
34N
4Co)C、56.29;H、10.04;N、16.41、実測値C、55.98;H、10.8;N、16.39
沸騰点:0.32torrで76℃
密度:1.206g/mL、25℃
【0050】
実施例3:化学式9の有機コバルト前駆体の製造
火炎乾燥した250mLのシュレンクフラスコで、無水CoCl
210g(77mmol、1当量)とN、N'−ジ−tert−ブチル−1、4−ジアザ−1、3−ブタジエン(N、N'−di−tert−butyl−1、4−diaza−1、3−butadiene、
tBu−DAD)12.96g(77mmol、1.0当量)とを2−メトキシエチルエーテル50mLに溶かして懸濁液を作った後、−20℃に維持させた。−20℃を維持する前記フラスコに、
tBu−DAD12.96g(77mmol、1.0当量)とNaBH
45.83g(154mmol、2.0当量)2−メトキシエチルエーテル70mLに溶かして製造した溶液を徐々に添加した後、反応溶液を室温まで徐々に昇温させた。
この混合液を12時間室温で撹拌した後、減圧下で溶媒及び揮発性の副反応物を除去した後、ノルマルヘキサン200mLを加えて溶かした。ノルマルヘキサンを加えた混合物をセルライトパッドとガラスフリットとを通じて濾過して得た濾過液を減圧下で溶媒であるノルマルヘキサンを除去し、昇華精製して下記化学式9で示す黄味を帯びた褐色の固体化合物を得た。
【0051】
<化学式9>
【化9】
歩留まり(yield):16.62g(54.3%)
元素分析(elemental analysis):計算値(C
20H
42N
4Co)C、60.43;H、10.65;N、14.09、実測値C、60.21;H、10.61;N、14.16
沸騰点:0.32torrで83℃
密度:1.212g/mL、25℃
【0052】
実施例4:化学式10の有機コバルト前駆体の製造
火炎乾燥した250mLのシュレンク(Schlenk)フラスコで、無水CoCl
210g(77mmol、1当量)を2−メトキシエチルエーテル50mLに溶かして懸濁液を作った後、−20℃に維持させた。−20℃を維持する前記フラスコに、NaBH
45.83g(154mmol、2.0当量)と
tBu−DAD25.92g(154mmol、2.0当量)とを2−メトキシエチルエーテル70mLに溶かした溶液を徐々に添加した後、混合液を室温まで徐々に昇温させた。この混合液を12時間室温で撹拌した後、減圧下で溶媒及び揮発性の副反応物を除去した後、ノルマルヘキサン(n−hexane、C
6H
14)200mLを加えて溶かした。ノルマルヘキサンを加えた混合物をセルライト(Cellite)パッドとガラスフリット(frit)とを通じて濾過して得た濾過液を減圧下で溶媒であるノルマルヘキサンを除去し、昇華精製して下記化学式10で示す黄味を帯びた褐色の固体化合物を得た。
【0053】
<化学式10>
【化10】
歩留まり(yield):16.13g(52.7%)
元素分析(elemental analysis):計算値(C
20H
42N
4Co)C、60.43;H、10.65;N、14.09、実測値C、60.32;H、10.59;N、14.01
沸騰点:0.32torrで84℃
密度:1.213g/mL、25℃
【0054】
実施例5:化学式11の有機ニッケル前駆体の製造
火炎乾燥した250mLのシュレンクフラスコで、無水NiBr
210g(46mmol、1当量)と
iPr−DAD6.42g(46mmol、1.0当量)とを2−メトキシエチルエーテル50mLに溶かして懸濁液を作った後、−20℃に維持させた。−20℃を維持する前記フラスコに、
iPr−DAD6.42g(46mmol、1.0当量)とNaBH
43.46g(92mmol、2.0当量)2−メトキシエチルエーテル70mLに溶かして製造した溶液を徐々に添加した後、反応溶液を室温まで徐々に昇温させた。この混合液を12時間室温で撹拌した後、減圧下で溶媒及び揮発性の副反応物を除去した後、ノルマルヘキサン200mLを加えて溶かした。ノルマルヘキサンを加えた混合物をセルライトパッドとガラスフリットとを通じて濾過して得た濾過液を減圧下で溶媒であるノルマルヘキサンを除去し、減圧蒸留して下記化学式11で示す赤ワイン色の液体化合物を得た。
【0055】
<化学式11>
【化11】
歩留まり(yield):6.42g(41.1%)
元素分析(elemental analysis):計算値(C
16H
34N
4Ni)C、56.33;H、10.05;N、16.42、実測値C、56.32;H、9.88;N、16.51
沸騰点:0.32torrで75℃
密度:1.251g/mL、25℃
【0056】
実施例6:化学式12の有機ニッケル前駆体の製造
火炎乾燥した250mLのシュレンク(Schlenk)フラスコで、無水NiBr
210g(46mmol、1当量)を2−メトキシエチルエーテル50mLに溶かして懸濁液を作った後、−20℃に維持させた。−20℃を維持する前記フラスコに、NaBH
43.46g(92mmol、2.0当量)と
iPr−DAD12.84g(92mmol、2.0当量)とを2−メトキシエチルエーテル70mLに溶かした溶液を徐々に添加した後、混合液を室温まで徐々に昇温させた。この混合液を12時間室温で撹拌した後、減圧下で溶媒及び揮発性の副反応物を除去した後、ノルマルヘキサン(n−hexane、C
6H
14)200mLを加えて溶かした。ノルマルヘキサンを加えた混合物をセルライト(Cellite)パッドとガラスフリット(frit)とを通じて濾過して得た濾過液を減圧下で溶媒であるノルマルヘキサンを除去し、減圧蒸留して下記化学式12で示す赤ワイン色の液体化合物を得た。
【0057】
<化学式12>
【化12】
歩留まり(yield):6.15g(39.4%)
元素分析(elemental analysis):計算値(C
16H
34N
4Ni)C、56.33;H、10.05;N、16.42、実測値C、56.21;H、10.01;N、16.37
沸騰点:0.32torrで76℃
密度:1.253g/mL、25℃
【0058】
実施例7:化学式13の有機ニッケル前駆体の製造
火炎乾燥した250mLのシュレンクフラスコで、無水NiBr
210g(46mmol、1当量)と
tBu−DAD7.70g(46mmol、1.0当量)とを2−メトキシエチルエーテル50mLに溶かして懸濁液を作った後、−20℃に維持させた。−20℃を維持する前記フラスコに、
tBu−DAD7.70g(46mmol、1.0当量)とNaBH
43.46g(92mmol、2.0当量)とを2−メトキシエチルエーテル70mLに溶かして製造した溶液を徐々に添加した後、反応溶液を室温まで徐々に昇温させた。この混合液を12時間室温で撹拌した後、減圧下で溶媒及び揮発性の副反応物を除去した後、ノルマルヘキサン200mLを加えて溶かした。ノルマルヘキサンを加えた混合物をセルライトパッドとガラスフリットとを通じて濾過して得た濾過液を減圧下で溶媒であるノルマルヘキサンを除去し、昇華精製して下記化学式13で示す赤ワイン色の固体化合物を得た。
【0059】
<化学式13>
【化13】
歩留まり(yield):9.67g(53.2%)
元素分析(elemental analysis):計算値(C
20H
42N
4Ni)C、60.47;H、10.66;N、14.10、実測値C、60.39;H、10.57;N、14.06
沸騰点:0.32torrで85℃
密度:1.262g/mL、25℃
【0060】
実施例8:化学式14の有機ニッケル前駆体の製造
火炎乾燥した250mLのシュレンク(Schlenk)フラスコで、無水NiBr
210g(46mmol、1当量)を2−メトキシエチルエーテル50mLに溶かして懸濁液を作った後、−20℃に維持させた。−20℃を維持する前記フラスコに、NaBH
43.46g(92mmol、2.0当量)と
tBu−DAD15.40g(92mmol、2.0当量)とを2−メトキシエチルエーテル70mLに溶かした溶液を徐々に添加した後、混合液を室温まで徐々に昇温させた。この混合液を12時間室温で撹拌した後、減圧下で溶媒及び揮発性の副反応物を除去した後、ノルマルヘキサン(n−hexane、C
6H
14)200mLを加えて溶かした。ノルマルヘキサンを加えた混合物をセルライト(Cellite)パッドとガラスフリット(frit)とを通じて濾過して得た濾過液を減圧下で溶媒であるノルマルヘキサンを除去し、昇華精製して下記化学式14で示す赤ワイン色の固体化合物を得た。
【0061】
<化学式14>
【化14】
歩留まり(yield):9.36g(51.5%)
元素分析(elemental analysis):計算値(C
20H
42N
4Ni)C、60.47;H、10.66;N、14.10、実測値C、60.51;H、10.69;N、14.12
沸騰点:0.32torrで85℃
密度:1.264g/mL、25℃
【0062】
実施例9:化学式15の有機コバルト前駆体の製造
火炎乾燥した250mLのシュレンクフラスコで、無水CoCl
210g(77mmol、1当量)と
iPr−DAD10.80g(77mmol、1.0当量)とをTHF50mLに溶かして懸濁液を作った後、−20℃に維持させた。−20℃を維持する前記フラスコに、
iPr−DAD10.80g(77mmol、1.0当量)とリチウム(Li)1.07g(154mmol、2.0当量)とをTHF70mLに溶かして製造した溶液を徐々に添加した後、反応溶液を室温まで徐々に昇温させた。この混合液を12時間室温で撹拌した後、減圧下で溶媒及び揮発性の副反応物を除去した後、ノルマルヘキサン200mLを加えて溶かした。ノルマルヘキサンを加えた混合物をセルライトパッドとガラスフリットとを通じて濾過して得た濾過液を減圧下で溶媒であるノルマルヘキサンを除去し、減圧蒸留して下記化学式15で示す黄味を帯びた褐色の液体化合物を得た。
【0063】
<化学式15>
【化15】
歩留まり(yield):13.61g(52.1%)
元素分析(elemental analysis):計算値(C
16H
32N
4Co)C、56.62;H、9.50;N、16.51、実測値C、56.32;H、9.58;N、16.61
沸騰点:0.25torrで80℃
密度:1.092g/mL、25℃
【0064】
実施例10:化学式16の有機コバルト前駆体の製造
火炎乾燥した250mLのシュレンク(Schlenk)フラスコで、無水CoCl
210g(77mmol、1当量)をTHF50mLに溶かして懸濁液を作った後、−20℃に維持させた。−20℃を維持する前記フラスコに、リチウム(Li)1.07g(154mmol、2.0当量)と
iPr−DAD21.60g(154mmol、2.0当量)とをTHF70mLに溶かして製造した溶液を徐々に添加した後、反応溶液を室温まで徐々に昇温させた。この混合液を12時間室温で撹拌した後、減圧下で溶媒及び揮発性の副反応物を除去した後、ノルマルヘキサン(n−hexane、C
6H
14)200mLを加えて溶かした。ノルマルヘキサンを加えた混合物をセルライト(Cellite)パッドとガラスフリット(frit)とを通じて濾過して得た濾過液を減圧下で溶媒であるノルマルヘキサンを除去し、減圧蒸留して下記化学式16で示す黄味を帯びた褐色の液体化合物を得た。
【0065】
<化学式16>
【化16】
歩留まり(yield):12.64g(48.4%)
元素分析(elemental analysis):計算値(C
16H
32N
4Co)C、56.62;H、9.50;N、16.51、実測値C、55.99;H、9.53;N、16.48
沸騰点:0.25torrで80℃
密度:1.113g/mL、25℃
【0066】
実施例11:化学式17の有機ニッケル前駆体の製造
火炎乾燥した250mLのシュレンクフラスコで、無水NiBr
210g(46mmol、1当量)と
iPr−DAD6.42g(46mmol、1.0当量)とをTHF50mLに溶かして懸濁液を作った後、−20℃に維持させた。−20℃を維持する前記フラスコに、
iPr−DAD6.42g(46mmol、1.0当量)とリチウム(Li)0.64g(92mmol、2.0当量)とをTHF70mLに溶かして製造した溶液を徐々に添加した後、反応溶液を室温まで徐々に昇温させた。この混合液を12時間室温で撹拌した後、減圧下で溶媒及び揮発性の副反応物を除去した後、ノルマルヘキサン200mLを加えて溶かした。ノルマルヘキサンを加えた混合物をセルライトパッドとガラスフリットとを通じて濾過して得た濾過液を減圧下で溶媒であるノルマルヘキサンを除去し、減圧蒸留して下記化学式17で示す赤ワイン色の液体化合物を得た。
【0067】
<化学式17>
【化17】
歩留まり(yield):8.53g(55.1%)
元素分析(elemental analysis):計算値(C
16H
32N
4Ni)C、56.66;H、9.51;N、16.52、実測値C、56.22;H、9.58;N、16.66
沸騰点:0.26torrで80℃
密度:1.102g/mL、25℃
【0068】
実施例12:化学式18の有機ニッケル前駆体の製造
火炎乾燥した250mLのシュレンク(Schlenk)フラスコで、無水NiBr
210g(46mmol、1当量)をTHF50mLに溶かして懸濁液を作った後、−20℃に維持させた。−20℃を維持する前記フラスコに、
iPr−DAD12.84g(92mmol、2.0当量)とリチウム(Li)0.64g(92mmol、2.0当量)とをTHF70mLに溶かして製造した溶液を徐々に添加した後、反応溶液を室温まで徐々に昇温させた。この混合液を12時間室温で撹拌した後、減圧下で溶媒及び揮発性の副反応物を除去した後、ノルマルヘキサン(n−hexane、C
6H
14)200mLを加えて溶かした。ノルマルヘキサンを加えた混合物をセルライト(Cellite)パッドとガラスフリット(frit)とを通じて濾過して得た濾過液を減圧下で溶媒であるノルマルヘキサンを除去し、減圧蒸留して下記化学式18で示す黄味を帯びた褐色の液体化合物を得た。
【0069】
<化学式18>
【化18】
歩留まり(yield):7.26g(46.9%)
元素分析(elemental analysis):計算値(C
16H
32N
4Ni)C、56.66;H、9.51;N、16.52、実測値C、56.73;H、9.56;N、16.41
沸騰点:0.26torrで82℃
密度:1.105g/mL、25℃
【0070】
実施例13:化学式19の有機マンガン前駆体の製造
火炎乾燥した250mLのシュレンクフラスコで、無水MnCl
210g(79mmol、1当量)と
iPr−DAD11.14g(79mmol、1.0当量)とを2−メトキシエチルエーテル50mLに溶かして懸濁液を作った後、−20℃に維持させた。−20℃を維持する前記フラスコに、
iPr−DAD11.14g(79mmol、1.0当量)とNaBH
46.01g(159mmol、2.0当量)2−メトキシエチルエーテル70mLに溶かして製造した溶液を徐々に添加した後、反応溶液を室温まで徐々に昇温させた。この混合液を12時間室温で撹拌した後、減圧下で溶媒及び揮発性の副反応物を除去した後、ノルマルヘキサン200mLを加えて溶かした。ノルマルヘキサンを加えた混合物をセルライトパッドとガラスフリットとを通じて濾過して得た濾過液を減圧下で溶媒であるノルマルヘキサンを除去し、減圧蒸留して下記化学式19で示す濃い褐色の液体化合物を得た。
【0071】
<化学式19>
【化19】
歩留まり(yield):10.56g(39.4%)
元素分析(elemental analysis):計算値(C
16H
34N
4Mn)C、56.96;H、10.16;N、16.61、実測値C、56.72;H、10.21;N、16.56
沸騰点:0.32torrで78℃
密度:1.103g/mL、25℃
【0072】
実施例14:化学式20の有機マンガン前駆体の製造
火炎乾燥した250mLのシュレンク(Schlenk)フラスコで、無水MnCl
210g(79mmol、1当量)を2−メトキシエチルエーテル50mLに溶かして懸濁液を作った後、−20℃に維持させた。−20℃を維持する前記フラスコに、NaBH
46.01g(159mmol、2.0当量)と
iPr−DAD22.29g(159mmol、2.0当量)とを2−メトキシエチルエーテル70mLに溶かした溶液を徐々に添加した後、混合液を室温まで徐々に昇温させた。この混合液を12時間室温で撹拌した後、減圧下で溶媒及び揮発性の副反応物を除去した後、ノルマルヘキサン(n−hexane、C
6H
14)200mLを加えて溶かした。ノルマルヘキサンを加えた混合物をセルライト(Cellite)パッドとガラスフリット(frit)とを通じて濾過して得た濾過液を減圧下で溶媒であるノルマルヘキサンを除去し、減圧蒸留して下記化学式20で示す濃い褐色の液体化合物を得た。
【0073】
<化学式20>
【化20】
歩留まり(yield):10.08g(37.6%)
元素分析(elemental analysis):計算値(C
16H
34N
4Mn)C、56.96;H、10.16;N、16.61、実測値C、56.84;H、10.09;N、16.63
沸騰点:0.32torrで78℃
密度:1.105g/mL、25℃
【0074】
実施例15:化学式21の有機マンガン前駆体の製造
火炎乾燥した250mLのシュレンクフラスコで、無水MnCl
210g(79mmol、1当量)と
tBu−DAD13.37g(79mmol、1.0当量)とを2−メトキシエチルエーテル50mLに溶かして懸濁液を作った後、−20℃に維持させた。−20℃を維持する前記フラスコに、
iPr−DAD13.37g(79mmol、1.0当量)とNaBH
46.01g(159mmol、2.0当量)とを2−メトキシエチルエーテル70mLに溶かして製造した溶液を徐々に添加した後、反応溶液を室温まで徐々に昇温させた。この混合液を12時間室温で撹拌した後、減圧下で溶媒及び揮発性の副反応物を除去した後、ノルマルヘキサン200mLを加えて溶かした。ノルマルヘキサンを加えた混合物をセルライトパッドとガラスフリットとを通じて濾過して得た濾過液を減圧下で溶媒であるノルマルヘキサンを除去し、減圧蒸留して下記化学式21で示す濃い褐色の液体化合物を得た。
【0075】
<化学式21>
【化21】
歩留まり(yield):16.45g(52.6%)
元素分析(elemental analysis):計算値(C
20H
42N
4Mn)C、61.04;H、10.76;N、14.24、実測値C、61.12;H、10.81;N、14.36
沸騰点:0.32torrで84℃
密度:1.223g/mL、25℃
【0076】
実施例16:化学式22の有機マンガン前駆体の製造
火炎乾燥した250mLのシュレンク(Schlenk)フラスコで、無水MnCl
210g(79mmol、1当量)を2−メトキシエチルエーテル50mLに溶かして懸濁液を作った後、−20℃に維持させた。−20℃を維持する前記フラスコに、NaBH
46.01g(159mmol、2.0当量)と
tBu−DAD26.75g(159mmol、2.0当量)とを2−メトキシエチルエーテル70mLに溶かした溶液を徐々に添加した後、混合液を室温まで徐々に昇温させた。この混合液を12時間室温で撹拌した後、減圧下で溶媒及び揮発性の副反応物を除去した後、ノルマルヘキサン(n−hexane、C
6H
14)200mLを加えて溶かした。ノルマルヘキサンを加えた混合物をセルライト(Cellite)パッドとガラスフリット(frit)とを通じて濾過して得た濾過液を減圧下で溶媒であるノルマルヘキサンを除去し、減圧蒸留して下記化学式22で示す濃い褐色の液体化合物を得た。
【0077】
<化学式22>
【化22】
歩留まり(yield):16.04g(51.3%)
元素分析(elemental analysis):計算値(C
20H
42N
4Mn)C、61.04;H、10.76;N、14.24、実測値C、60.99;H、10.71;N、14.19
沸騰点:0.32torrで85℃
密度:1.225g/mL、25℃
【0078】
実験例1:熱重量分析及び示差走査熱量測定法
上記した実施例1、実施例5、実施例9及び実施例11で製造した化学式7、化学式11、化学式15及び化学式17のコバルト及びニッケル化合物の熱的特性を分析するために、熱重量分析及び示差走査熱量測定法TGA/DSC)を実施した。この時、各サンプルの重量を約5mg取り、アルミナ試料容器に入れた後、10℃/minの昇温速度で500℃まで測定し、測定した結果を
図1〜
図6に示した。
【0079】
図1〜
図6で確認できるように、本願のコバルト及びニッケル化合物は、TGAグラフで両方100℃〜230℃で急激な質量減少が起った。化学式7及び化学式8の化合物に対して温度による重量減少で元試料の1/2の重量に到達する時にあたる温度、T
1/2は、それぞれ180℃及び199℃であった。また、DSCグラフで化学式7及び化学式8の化合物は、それぞれ272℃及び239℃で化合物の分解による吸熱ピークが見られる。
【0080】
実験例2:等温熱重量分析
上記した実施例1、実施例5、実施例9、実施例11で製造したコバルト及びニッケル化合物の時間による熱的安全性を評価するために、80℃、100℃、120℃及び150℃における等温熱重量分析(isothermal TGA)を実施した。この時、各サンプルの重量を約5mg取り、アルミナ試料容器に入れた後、10℃/minの昇温速度で加熱して各温度に到達した後、2時間測定し、測定した結果を
図7〜
図10に示した。
【0081】
図7〜
図10で確認できるように、本願で製造されたコバルト及びニッケル化合物は、両方150℃以下の温度で化合物の変形及び熱分解を見せず、揮発することが分かった。
【0082】
実験例3:化学気相蒸着法によるコバルト及びニッケル薄膜蒸着
上記した実施例1で製造した化学式7の液体コバルト化合物と実施例5で製造した化学式11の液体ニッケル化合物とを前駆体として使用し、化学気相蒸着(CVD)工程による成膜評価を行った。シリコン(001)面のウェハ(wafer)を基材として使用した。蒸着装置は、内径5cm、長さ40cmのパイレックス(登録商標)(pyrex)管を使用し、一端は、それぞれコバルト及びニッケル化合物で満たした。蒸着中には、前駆体の両方の温度を90℃に一定に維持し、真空(10
−2torr)ポンプと連結して反応器の圧力を低真空(120〜300mtorr)状態に維持し、基材の温度を250℃に維持した。
【0083】
250℃で1時間形成したコバルト及びニッケル薄膜の表面及び端面写真を走査電子顕微鏡(SEM)を利用して観察したイメージをそれぞれ
図11及び
図13に示し、コバルト化合物を使用して化学蒸着した薄膜を、オージェ(Auger)分光器を利用して分析した炭素(C)、窒素(N)、酸素(O)及びコバルト(Co)の含量を
図12に示した。ニッケル化合物を使用して化学蒸着した薄膜の炭素、窒素、酸素及びニッケル(Ni)の含量を
図14に示した。
【0084】
このことから、化学式7のコバルト化合物を他の反応気体なく使用した化学蒸着法で基材の表面に炭素が約20%含まれたコバルト金属膜が形成されたことが分かる。また、化学式11のニッケル化合物を他の反応気体なく使用した化学蒸着法で基材の表面に炭素が約10%含まれたニッケル金属膜が形成されたことが分かる。
【0085】
実験例4:化学気相蒸着法によるコバルト酸化物薄膜の蒸着
本願による金属ジアザジエン系化合物の中で、実施例1で製造した化学式7の液体コバルト化合物を前駆体として使用し、酸素(O
2)気体を反応気体として使用した化学気相蒸着法で酸化コバルト膜を形成した。シリコン(001)面のウェハを基材として使用した。
【0086】
チャンバ内にシリコン基板を位置させた後、チャンバ内の圧力を1.5Torrに調整した。また、基材の温度は300℃に加熱し、前駆体はステンレス鋼(stainless steel)材質のバブラー(bubbler)容器に入れ、90℃の温度で容器を加熱しながら200sccmの流速を有するアルゴンガスを前駆体の運搬ガスとして使用し、容器をバブリングして気化させた。この時、前記チャンバ内にコバルト前駆体と反応させるための反応ガスとして酸素ガスを20sccmの流量でチャンバ内に導入した。
【0087】
300℃で30分間蒸着された薄膜の炭素、酸素及びコバルトの含量をオージェ電子分光器を利用して測定した結果を
図15に示した。このことから、組成がCoOに近い酸化コバルト薄膜が形成されたことが分かる。
【0088】
前述した本願の説明は例示のためのものであり、本願が属する技術分野の通常の知識を持った者は、本願の技術的思想や必須の特徴を変更せずに他の具体的な形態に容易に変形が可能であるということが理解できるであろう。従って、以上で記述した実施例は全ての面で例示的なものであり、限定的ではないと理解するべきである。例えば、単一型で説明されている各構成要素は、分散して実施されることもでき、同様に分散したもので説明されている構成要素も、結合した形態で実施されることができる。
【0089】
本願の範囲は、前記詳細な説明よりは後述する特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の意味及び範囲、そしてその均等概念から導出される全ての変更または変形された形態が本願の範囲に含まれることと解釈されなければならない。