【実施例】
【0042】
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。各評価方法について以下に述べる。
【0043】
(1)ポリイミド樹脂の赤外吸収スペクトルの測定
堀場製作所製FT−IR720を用いてKBr法により測定した。
【0044】
(2)ポリイミド樹脂の重量平均分子量の測定
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(日本ウォーターズ株式会社製 Waters 2690)を用い、ポリスチレン換算で重量平均分子量を求めた。カラムは東ソー(株)製 TOSOH TXK−GEL α−2500、およびα−4000を用い、移動層にはN−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPとする。)を用いた。
【0045】
(3)マイクロカプセル型硬化剤のDSC(示差走査熱量測定)の測定
測定サンプル((A)マイクロカプセル型硬化剤とBisA型エポキシ樹脂および/またはBisF型エポキシ樹脂の混合物)を密封測定パンに封入し、標準サンプルとしてアルミナを同様に密封測定パンに封入し、セイコーインスツルメンツ製DSC測定装置(DSC6200)を用いて昇温速度5℃/分で、30〜250℃の温度領域で測定を行った。得られた測定チャートで、測定値が最大となるときの温度を読み取り反応ピーク温度とした。
【0046】
(3’)半導体用絶縁性接着剤のDSC(示差走査熱量測定)の測定
測定サンプルを密封測定パンに封入し、標準サンプルとしてアルミナを同様に密封測定パンに封入し、セイコーインスツルメンツ製DSC測定装置(DSC6200)を用いて昇温速度10℃/分で、30〜350℃の温度領域で測定を行った。得られた測定チャートで、測定値が最大となるときの温度を読み取り反応ピーク温度とした。
【0047】
(4)マイクロカプセル型硬化剤の全塩素量の測定
試料1gを25mlのエチレングリコールモノブチルエーテルに溶解し、これに1規定KOHのプロピレングリコール溶液25mlを加えて20分間煮沸した後、硝酸銀水溶液で滴定した。
【0048】
(5)ハンドリング性(半導体用絶縁性接着剤のカケの発生しやすさ)の評価
得られたポリエチレンテレフタレートフィルムの層と接着剤組成物の層からなるフィルムを、カッターナイフを用いて1cm×5cmの長方形にカットした。カットした際の端部にカケがあるかどうか目視にて確認した。10回同様の試験を繰り返し、6回以上カケが発生した場合を△、3〜5回であった場合を○、2回以下であった場合を◎とした。
【0049】
(6)評価用パターンテープサンプル(くし型形状)の作成
TAB用接着剤付きテープ(#9300、東レ(株)製)に18μmの電解銅箔を、140℃、0.1MPaの条件でラミネートした。続いてエアオーブン中で80℃で3時間、100℃で5時間、150℃で5時間の順次加熱キュア処理を行ない、銅箔付きTAB用テープを作成した。得られた銅箔付きTAB用テープの銅箔面に感光性のドライフィルムレジストをラミネート後、露光することによりフォトレジスト膜を形成し、エッチング、レジスト剥離を行ない、評価用パターンテープサンプル(くし型形状)を作成した。評価用パターンテープサンプル(くし型形状)のライン/スペース(L/S)は40μm/40μmとした。
【0050】
(7)絶縁信頼性の評価
得られた評価用パターンテープサンプル(くし型形状)付半導体用絶縁性フィルムを121℃、85%RHの恒温恒湿槽内に入れ、100Vの電圧を連続的に印加した状態において100時間抵抗値を測定した。電圧印加後5時間以内での抵抗値の最大値を絶縁抵抗値とし、合否については100時間の間、一度も10
7Ωを下回らなかった場合を合格とし、一度でも10
7Ωを下回った場合、不合格とした。
【0051】
(8)耐熱性の評価
得られた半導体用絶縁性フィルムを、セイコーインスツルメンツ製粘弾性測定装置(DMS6100)を用いて、周波数1Hz、10℃/分の昇温速度で耐熱性の測定を行った。得られたチャートを解析し、tanδの最大値をガラス転移温度(Tg)(℃)とした。また150℃における弾性率(Pa)を読み取った。
【0052】
(A)マイクロカプセル型硬化剤と(B)エポキシ樹脂の混合物
ノバキュア HX−3088(旭化成イーマテリアルズ(株)製)、(アミンアダクト型硬化剤の粒子をマイクロカプセル内部に有するマイクロカプセル型硬化剤35重量%、BisA型エポキシ樹脂65重量%、反応ピーク温度177℃(
図3)、全塩素量1200ppm)
ノバキュア LSA−H0402(旭化成イーマテリアルズ(株)製)、(アミンアダクト型硬化剤の粒子をマイクロカプセル内部に有するマイクロカプセル型硬化剤35重量%、BisA型エポキシ樹脂50重量%、BisF型エポキシ樹脂15重量%、反応ピーク温度176℃、全塩素量70ppm)
ノバキュア HX−3941HP(旭化成イーマテリアルズ(株)製)、(アミンアダクト型硬化剤の粒子をマイクロカプセル内部に有するマイクロカプセル型硬化剤35重量%、BisF型エポキシ樹脂55重量%、BisA型エポキシ樹脂10重量%、反応ピーク温度105℃、全塩素量700ppm)
ノバキュア HXA−3922HP(旭化成イーマテリアルズ(株)製)、(アミンアダクト型硬化剤の粒子をマイクロカプセル内部に有するマイクロカプセル型硬化剤35重量%、BisF型エポキシ樹脂55重量%、BisA型エポキシ樹脂10重量%、反応ピーク温度105℃(
図4)、全塩素量700ppm)
(B)エポキシ樹脂
エピクロンN−865(Dic(株)製、BisAノボラック型エポキシ樹脂)
エピクロンEXA−850CRP(Dic(株)製、BisA型液状エポキシ樹脂)
エピクロンHP4710(Dic(株)製、ナフタレンノボラック型エポキシ樹脂)
jER YL983U(三菱化学(株)製、BisF型液状エポキシ樹脂)
(C)有機溶剤可溶性ポリイミド
ポリイミド樹脂:乾燥窒素気流下、2,2−ビス(4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル)プロパン二無水物(以下、BPADAとする。)52g(0.1モル)、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン(以下、SiDAとする。)10.93g(0.044モル)、1,3‐ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン15.91g(0.055モル)をNMP200gに溶解させた。次いで70℃で1時間撹拌した。その後、190℃で3時間攪拌した。攪拌終了後、溶液を水3Lに投入して白色沈殿したポリマーを得た。この沈殿をろ過して回収し、水で3回洗浄した後、真空乾燥機を用いて80℃、100時間乾燥した。得られたポリマー固体の赤外吸収スペクトルを測定したところ、1780cm
−1付近、1377cm
−1付近にポリイミドに起因するイミド構造の吸収ピークが検出された。重量平均分子量は約30000であった。
【0053】
(C’)アクリル樹脂
アクリル樹脂:Vamac−G(三井デュポンポリケミカル(株)製):エチレン‐アクリル共重合体 Mw=100000
(D)無機粒子
SO−E2(アドマテックス(株)製、球状シリカ、平均粒径0.5μm)
(実施例1)
(i)(A)成分と(B)成分の混合物としてノバキュアHX−3088 20g(20重量部)をメチルイソブチルケトン10gで希釈した(I液)。一方、(B)成分としてエピクロンN−865 55g(55重量部)および(C)成分として上記ポリイミド樹脂25g(25重量部)をメチルイソブチルケトン37gと混合し溶解させた(II液)。これらI液とII液を混合し接着剤組成物溶液1を得た。
【0054】
(ii)得られた接着剤組成物溶液1を、バーコーターで、離型剤付きの厚さ75μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レフィルム加工(株)製、セラピールHP2)に約40μmの乾燥厚さとなるように塗布し、90℃で10分間乾燥して、ポリエチレンテレフタレートフィルムの層と接着剤組成物の層からなるフィルム1を得た。得られたポリエチレンテレフタレートフィルムの層と接着剤組成物の層からなるフィルム1からポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、(3’)半導体用絶縁性接着剤のDSCの測定を行った(
図1)。
(iii)得られたポリエチレンテレフタレートフィルムの層と接着剤組成物の層からなるフィルム1を、上記(6)の評価用パターンテープサンプル(くし型形状)のパターン面に、接着剤組成物の層が接するように、70℃、0.1MPaの条件でラミネートした後、200℃、0.9MPaで1分間プレスした。ついでエアオーブン中で180℃、1時間加熱キュア処理を行い、その後ポリエチレンテレフタレートフィルムの層を剥離して、評価用パターンテープサンプル(くし型形状)付半導体用絶縁性フィルム1を得た。得られた評価用パターンテープサンプル(くし型形状)付半導体用絶縁性フィルム1を用いて上記(7)絶縁信頼性評価の評価を行った。結果を表1に示す。
(iv)また、上記のポリエチレンテレフタレートフィルムの層と接着剤組成物の層からなるフィルム1をエアオーブン中で180℃、1時間加熱キュア処理を行い、ポリエチレンテレフタレートフィルムの層を剥離して半導体用絶縁性フィルム1を得た。得られた半導体用絶縁性フィルム1を用いて(8)耐熱性の評価を行った。結果を表1に示す。
【0055】
(実施例2〜5)
(A)〜(C)成分を表1に記載のとおり変更した以外は実施例1と同様にしてポリエチレンテレフタレートフィルムの層と接着剤組成物の層からなるフィルム2〜5、評価用パターンテープサンプル(くし型形状)付半導体用絶縁性フィルム2〜5および半導体用絶縁性フィルム2〜5を得た。
【0056】
得られたポリエチレンテレフタレートフィルムの層と接着剤組成物の層からなるフィルム2〜5からポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、(3’)半導体用絶縁性接着剤のDSCの測定を行った。また得られた評価用パターンテープサンプル(くし型形状)付半導体用絶縁性フィルム2〜5を用いて上記(7)絶縁信頼性評価の評価を行った。また得られた半導体用絶縁性フィルム2〜5を用いて(8)耐熱性の評価を行った。結果を表1に示す。
【0057】
(実施例6)
(i)(A)成分と(B)成分の混合物としてノバキュアHX−3088 40g(40重量部)をメチルイソブチルケトン10gで希釈した(III液)。一方、(B)成分としてエピクロンN−865 35g(35重量部)、(C)成分として上記ポリイミド樹脂を 25g(25重量部)および(D)成分としてSO−E2 100g(100重量部)をメチルイソブチルケトン37gと混合し溶解させた(IV液)。これらIII液とIV液を混合し接着剤組成物溶液6を得た。
【0058】
(ii)接着剤組成物溶液1の代わりに接着剤組成物溶液6を用いた以外は実施例1(ii)〜(iv)と同様にしてポリエチレンテレフタレートフィルムの層と接着剤組成物の層からなるフィルム6、評価用パターンテープサンプル(くし型形状)付半導体用絶縁性フィルム6および半導体用絶縁性フィルム6を得た。
【0059】
得られたポリエチレンテレフタレートフィルムの層と接着剤組成物の層からなるフィルム6からポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、(3’)半導体用絶縁性接着剤のDSCの測定を行った。また得られたポリエチレンテレフタレートフィルムの層と接着剤組成物の層からなるフィルム6を用いて、(5)ハンドリング性の評価を行った。
【0060】
また得られた評価用パターンテープサンプル(くし型形状)付半導体用絶縁性フィルム6を用いて上記(7)絶縁信頼性評価の評価を行った。また得られた半導体用絶縁性フィルム6を用いて(8)耐熱性の評価を行った。結果を表1、3に示す。
【0061】
(実施例7、9〜12)
(A)〜(D)成分を表2、3に記載のとおり変更した以外は実施例6と同様にして、ポリエチレンテレフタレートフィルムの層と接着剤組成物の層からなるフィルム7、9〜12、評価用パターンテープサンプル(くし型形状)付半導体用絶縁性フィルム7、9〜12および半導体用絶縁性フィルム7、9〜12を得た。
【0062】
得られたポリエチレンテレフタレートフィルムの層と接着剤組成物の層からなるフィルム7、9〜12からポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、(3’)半導体用絶縁性接着剤のDSCの測定を行った。また得られたポリエチレンテレフタレートフィルムの層と接着剤組成物の層からなるフィルム7、9〜12を用いて、(5)ハンドリング性の評価を行った。
【0063】
また得られた評価用パターンテープサンプル(くし型形状)付半導体用絶縁性フィルム7、9〜12を用いて上記(7)絶縁信頼性評価の評価を行った。また得られた半導体用絶縁性フィルム7、9〜12を用いて(8)耐熱性の評価を行った。結果を表2、3に示す。
【0064】
(実施例8)
(i)(A)〜(D)成分を表2に記載のとおり変更した以外は実施例6(i)と同様にして接着剤組成物溶液8を得た。
【0065】
(ii)接着剤組成物溶液1の代わりに接着剤組成物溶液8を用いた以外は実施例1(ii)と同様にして、ポリエチレンテレフタレートフィルムの層と接着剤組成物の層からなるフィルム8を得た。得られたポリエチレンテレフタレートフィルムの層と接着剤組成物の層からなるフィルム8からポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、(3’)半導体用絶縁性接着剤のDSCの測定を行った。
(iii)得られたポリエチレンテレフタレートフィルムの層と接着剤組成物の層からなるフィルム8を、上記(5)の評価用パターンテープサンプル(くし型形状)のパターン面に、接着剤組成物の層が接するように、70℃、0.1MPaの条件でラミネートした後、エアオーブン中で180℃、1時間加熱キュア処理を行なって、その後ポリエチレンテレフタレートフィルムの層を剥離して、評価用パターンテープサンプル(くし型形状)付半導体用絶縁性フィルム8を得た。
【0066】
得られた評価用パターンテープサンプル(くし型形状)付半導体用絶縁性フィルム8を用いて上記(7))絶縁信頼性評価の評価を行った。結果を表2に示す。
(iv)また、ポリエチレンテレフタレートフィルムの層と接着剤組成物の層からなるフィルム1の代わりにポリエチレンテレフタレートフィルムの層と接着剤組成物の層からなるフィルム8を用いた以外は実施例1(iv)と同様にして、半導体用絶縁性フィルム8を得た。得られた半導体用絶縁性フィルム8を用いて(8)耐熱性の評価を行った。結果を表2に示す。
【0067】
(比較例1)
(A)〜(C)成分を表2に記載のとおり変更した以外は実施例1と同様にしてポリエチレンテレフタレートフィルムの層と接着剤組成物の層からなるフィルム13、評価用パターンテープサンプル(くし型形状)付半導体用絶縁性フィルム13および半導体用絶縁性フィルム13を得た。
【0068】
得られたポリエチレンテレフタレートフィルムの層と接着剤組成物の層からなるフィルム13からポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、(3’)半導体用絶縁性接着剤のDSCの測定を行った(
図2)。また評価用パターンテープサンプル(くし型形状)付半導体用絶縁性フィルム13を用いて上記(7)絶縁信頼性評価の評価を行った。また得られた半導体用絶縁性フィルム13を用いて(8)耐熱性の評価を行った。結果を表2に示す。
【0069】
(比較例2〜4)
(A)〜(D)成分を表2に記載のとおり変更した以外は実施例6と同様にしてポリエチレンテレフタレートフィルムの層と接着剤組成物の層からなるフィルム14〜16、評価用パターンテープサンプル(くし型形状)付半導体用絶縁性フィルム14〜16および半導体用絶縁性フィルム14〜16を得た。
【0070】
得られたポリエチレンテレフタレートフィルムの層と接着剤組成物の層からなるフィルム14〜16からポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、(3’)半導体用絶縁性接着剤のDSCの測定を行った。また得られた評価用パターンテープサンプル(くし型形状)付半導体用絶縁性フィルム14〜16を用いて上記(7)絶縁信頼性評価の評価を行った。また得られた半導体用絶縁性フィルム14〜16を用いて(8)耐熱性の評価を行った。結果を表2に示す。
【0071】
(参考例1)
(A)〜(D)成分を表2に記載のとおり変更した以外は実施例8と同様にしてポリエチレンテレフタレートフィルムの層と接着剤組成物の層からなるフィルム17、評価用パターンテープサンプル(くし型形状)付半導体用絶縁性フィルム17および半導体用絶縁性フィルム17を得た。
【0072】
得られたポリエチレンテレフタレートフィルムの層と接着剤組成物の層からなるフィルム17からポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、(3’)半導体用絶縁性接着剤のDSCの測定を行った。また得られた評価用パターンテープサンプル(くし型形状)付半導体用絶縁性フィルム17を用いて上記(7)絶縁信頼性評価の評価を行った。また得られた半導体用絶縁性フィルム17を用いて(8)耐熱性の評価を行った。結果を表2に示す。
【0073】
【表1】
【0074】
【表2】
【0075】
【表3】
【0076】
実施例1〜8により本発明の半導体用絶縁性接着剤は高い絶縁信頼性を有するといえる。実施例5、7から全塩素量の少ないマイクロカプセル型硬化剤を使用すれば、より高い絶縁性を得ることができると言える。また比較例4との比較により、アクリル樹脂を用いた場合は、ポリイミド樹脂を用いた場合よりも弾性率が著しく低下することがわかる。実施例6、7、9〜12の比較により、BisA型エポキシ樹脂とBisF型エポキシ樹脂の比率には、最適値が存在すると言える。
【0077】
また実施例7および実施例8を比較すると、反応ピーク温度の高いマイクロカプセル型硬化剤を使用した場合、プレス処理の有無によらず安定した絶縁信頼性が得られる。ところが、比較例2と参考例1を比較すると、反応ピーク温度の低いマイクロカプセル型硬化剤を使用した場合、プレス処理のない参考例1では高い絶縁性が得られるのに対し、プレス処理をした比較例2では絶縁性の著しい低下を招き、電気試験によりイオンマイグレーションが発生してしまう。
【0078】
この現象は、DSCにより測定した反応ピーク温度の低いマイクロカプセル型硬化剤は、マイクロカプセルが脆弱であるため、プレス処理によりマイクロカプセルの構造が崩壊し、半導体用絶縁性接着剤内部の吸水率の上昇やイオン性不純物の増加が起こることが原因と推測される。プレス処理の前後でマイクロカプセルの構造が崩壊する様子は、SEMなどの断面観察により確認することができる。
【0079】
一方、DSCにより測定した反応ピーク温度の高いマイクロカプセル型硬化剤は、マイクロカプセルが強じんであるため、プレス処理を行ってもマイクロカプセルの構造が崩壊しない。したがって、プレス処理の有無にかかわらず安定した絶縁性を有する。マイクロカプセルの構造が保持されている様子は、同様にSEMなどの断面観察により確認することができる。
【0080】
上記の結果から、従来用いられているDSCにより測定した反応ピーク温度の低いマイクロカプセル型硬化剤は、熱・圧力が比較的穏やかな実装用途には使用することができるが、過酷な実装条件には適用できないと言える。一方、本発明で用いるDSCにより測定した反応ピーク温度の高いマイクロカプセル型硬化剤は、過酷な実装条件であっても、信頼性の低下が起こらないため、より広範な実装条件でも使用することが可能であり、そのため優れた半導体用絶縁性接着剤を得ることができると考えられる。