(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0015】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態に係る金型温度制御装置A(
図2参照)により温度が制御される樹脂成形用金型21と該金型21が取り付けられる成形機本体2とを有する射出成形機1の概略を示す。成形機本体2は、溶融樹脂を金型21のキャビティ21c内に射出する射出装置10と、型締装置20とを含む。
【0016】
上記射出装置10は、金型21における後述の固定型21aに接続される加熱シリンダ11を有し、この加熱シリンダ11には、該加熱シリンダ11内に供給する樹脂材料たるペレットを貯留するホッパ12が接続されている。ホッパ12から加熱シリンダ11内に供給されたペレットは、加熱シリンダ11内で、不図示のヒータにより溶融する。
【0017】
上記加熱シリンダ11内には、スクリュー13が前後方向に進退自在にかつ回転自在に設けられ、このスクリュー13の後端部(
図1の右側端部)が、前後方向に移動可能に設けられた支持部材14によって支持されている。この支持部材14には、サーボモータ等の計量モータ15が取り付けられている。この計量モータ15の出力軸の回転がタイミングベルト16を介してスクリュー13に伝達されて、スクリュー13が回転する。
【0018】
また、射出装置10は、スクリュー13と平行に前後方向に延びるねじ軸17を更に有する。このねじ軸17の後端部は、タイミングベルト18を介して、射出モータ19の出力軸に連結されている。一方、ねじ軸17の前端部は、支持部材14に形成された不図示の雌ねじ部に螺合している。これにより、射出モータ19が駆動されると、射出モータ19の出力軸の回転がタイミングベルト18を介してねじ軸17に伝達され、ねじ軸17及び上記雌ねじ部によって、ねじ軸17の回転が支持部材14が前後方向の移動に変換され、この結果、スクリュー13が前後方向に移動することになる。
【0019】
上記金型21は、複数の分割型(本実施形態では、2分割型)からなる。すなわち、本実施形態では、金型21は、固定型21aと可動型21bとからなり、これら固定型21aと可動型21bとが、後述の如く型締装置20により型締めされた状態で、これらの互いの合わせ面間にキャビティ21cが形成される。そして、スクリュー13が計量モータ15によって回転しながら、射出モータ19によって前進することで、予め決められた量の溶融樹脂が上記キャビティ21c内に射出される。1回の溶融樹脂の射出を1ショットとして、通常は、複数のショットが繰り返し行われ、そのショットの時間間隔は、予め決められた一定時間に設定されている。
【0020】
上記型締装置20は、上記固定型21aが着脱自在に取り付けられた固定プラテン22と、上記可動型21bが着脱自在に取り付けられた可動プラテン21bとを有する。固定プラテン22と可動プラテン23とは、タイバー25によって互いに連結されている。可動プラテン23は、タイバー25に沿って摺動可能に構成されていて、固定プラテン22に対して接近したり離れたりする。
【0021】
また、型締装置20は、一端部が可動プラテン23に連結されかつ他端部がトグルサポート26に連結されたトグル機構27を更に有する。トグルサポート26の中央部には、ボールねじ軸29が回転自在に支持されている。このボールねじ軸29のトグル機構27側の端部(
図1の右側端部)は、トグル機構27に設けられたクロスヘッド30に形成された雌ねじ部31に螺合している。一方、ボールねじ軸29のトグル機構27とは反対側の端部(
図1の左側端部)は、タイミングベルト34を介して、型締モータ35の出力軸に連結されている。
【0022】
上記型締モータ35が駆動されると、型締モータ35の出力軸の回転がタイミングベルト34を介してボールねじ軸29に伝達され、ボールねじ軸29及び雌ねじ部31によって、ボールねじ軸29の回転がクロスヘッド30の直線移動に変換されて、トグル機構27が作動する。このトグル機構27の作動により、可動プラテン23がタイバー25に沿って移動して、型閉じ、型締め及び型開きが行われる。
【0023】
上記計量モータ15、射出モータ19及び型締モータ35の駆動は、後述のコントローラ40(詳しくは、後述の射出成形機制御回路部46)によって制御されて、射出成形機1(金型21)により製品が成形されることになる。
【0024】
金型温度制御装置Aは、上記金型21の温度を制御するコントローラ40を備えている。このコントローラ40は、周知のマイクロコンピュータをベースとするものであって、プログラムを実行する中央算出処理装置(CPU)と、例えばRAMやROMにより構成されてプログラムおよびデータを格納するメモリと、種々の信号の入出力を行うための入出力(I/O)バスとを含む。
【0025】
図2に模式的に示すように、固定型21aの内部には、冷温調装置51にて温度が一定値にそれぞれ調整された冷水と温水とが供給されるようになっており、これら冷水及び温水の固定型21aへの供給量が、固定型冷水調整弁52及び固定型温水調整弁53によってそれぞれ調整されて、固定型21aの温度が調整される。また、可動型21bの内部にも、固定型21aと同様に、上記冷水と上記温水とが供給されるようになっており、これら冷水及び温水の可動型21bへの供給量が、可動型冷水調整弁54及び可動型温水調整弁55によってそれぞれ調整されて、可動型21bの温度が調整される。したがって、固定型冷水調整弁52及び固定型温水調整弁53は、固定型21aの温度を調整する温度調節手段に相当し、可動型冷水調整弁54及び可動型温水調整弁55は、可動型21bの温度を調整する温度調節手段に相当する。尚、
図2では、便宜上、固定型21aを上側に、可動型を下側にそれぞれ記載している。実際に、固定型21a及び可動型21bを、
図2のように上下型とすることも可能である。
【0026】
上記固定型冷水調整弁52及び固定型温水調整弁53の作動(開度)は、コントローラ40の固定型温度制御部41により制御され、可動型冷水調整弁54及び可動型温水調整弁55の作動(開度)は、コントローラ40の可動型温度制御部42により制御されるようになっている。
【0027】
固定型21aには、該固定型21aの温度を検出する複数(
図2の例では、3つ)の固定型温度検出センサ58が配設されている。これら固定型温度検出センサ58の配設位置は、固定型21aにおける可動型21bとの接合表面近傍において温度が互いに大きく異なる部位(熱容量が大きく異なる部位)である。また、可動型21bには、該可動型21bの温度を検出する複数(
図2の例では、3つ)の可動型温度検出センサ59が配設されている。これら可動型温度検出センサ59の配設位置は、可動型21bにおける固定型21aとの接合表面近傍において温度が互いに大きく異なる部位(熱容量が大きく異なる部位)である。固定型及び可動型温度検出センサ58,59は、金型21の各分割型の温度をそれぞれ検出する温度検出手段を構成する。
【0028】
上記複数の固定型温度検出センサ58により検出された検出温度は、コントローラ40の固定型温度平均値演算部43に入力されて、この固定型温度平均値演算部43にて上記複数部位の検出温度の平均値が演算される。この演算された平均値が固定型温度制御部41に入力される。また、上記複数の可動型温度検出センサ59により検出された検出温度は、コントローラ40の可動型温度平均値演算部44に入力されて、この可動型温度平均値演算部44にて上記複数部位の検出温度の平均値が演算される。この演算された平均値が可動型温度制御部42に入力される。また、本実施形態では、可動型温度平均値演算部44にて演算された平均値が、固定型温度制御部41の目標温度として入力される。
【0029】
固定型温度制御部41は、固定型冷水調整弁52及び固定型温水調整弁53の作動を制御して、固定型温度検出センサ58による上記検出温度(平均値)を、固定型21aの目標温度になるようにする温度制御(本実施形態では、PID制御によるフィードバック制御)を実行する。また、可動型温度制御部42は、可動型冷水調整弁54及び可動型温水調整弁55の作動を制御して、可動型温度検出センサ59による上記検出温度(平均値)を、可動型21bの目標温度になるようにする温度制御(本実施形態では、PID制御によるフィードバック制御)を実行する。固定型21a及び可動型21bの目標温度については、後述する。
【0030】
本実施形態では、可動型温度制御部42が主制御部とされ、固定型温度制御部41が追従制御部とされている。上記主制御部は、2つの温度制御部41,42のうち、上記目標温度がステップ状に変化した場合の、上記温度制御の実行による上記検出温度の立ち上がり特性が悪い方の温度制御部、又は、上記目標温度が一定である場合の、上記温度制御の実行による上記検出温度の変動幅が大きい方の温度制御部であり、上記追従制御部は、残りの温度制御部である。すなわち、固定型温度制御部41(追従制御部)による温度制御の応答性が、可動型温度制御部42(主制御部)による温度制御の応答性よりも良い。本実施形態では、主制御部及び追従制御部となる温度制御部は、予め試験の結果から決定しておく。こうして、上記のように、可動型温度制御部42が主制御部とされ、固定型温度制御部41が追従制御部とされている。
【0031】
上記立ち上がり特性は、上記目標温度がステップ状に変化してから所定時間が経過するまでの特性であり、この所定時間は、例えば
図3に示すように、上記検出温度が上記目標温度を最初に超えて次に上記目標温度を下回った後に目標温度に達する時間(
図3のt3)又はそれに近い時間である。
【0032】
上記立ち上がり特性の良し悪しは、上記目標温度がステップ状に変化してから上記検出温度が立ち上がるまでの時間であるむだ時間(
図3のt1)、上記検出温度の立ち上がり時の変化率、上記目標温度がステップ状に変化してから最初に目標温度に達するまでの時間(t2)、目標温度に対するオーバーシュート量(又はアンダーシュート量)、上記時間t3等によって評価する。その際、上記各項目毎に重み係数を設定して、各項目を重み付けて評価してもよい。
【0033】
上記検出温度の変動幅の大小は、上記目標温度がステップ状に変化してから上記所定時間が経過した後(t3以降)でかつ上記目標温度が一定であるときにおいて、予め設定した設定時間(出来る限り長い時間が好ましく、例えば射出成形機1の連続運転時間)の範囲内で評価する。この設定時間の範囲内における上記検出温度の最大値から最小値を引いた値を、上記変動幅(
図3の例では、Tb)とする。
【0034】
可動型温度制御部42(主制御部)は、可動型21bの目標温度を、予め決められた所定温度(後述の運転時制御目標値)に設定して、可動型21b(第1の分割型に相当)について上記温度制御を実行する。
【0035】
一方、固定型温度制御部41(追従制御部)は、固定型21aの目標温度を、可動型温度検出センサ59による検出温度(平均値)に設定して、固定型21a(第2の分割型に相当)について上記温度制御を実行する。すなわち、固定型温度制御部41は、可動型温度制御部42により温度制御された可動型21bの温度に追従させるように上記温度制御を実行する。
【0036】
コントローラ40には、固定型温度制御部41、可動型温度制御部42、固定型温度平均値演算部43及び可動型温度平均値演算部44の他に、更にカレンダタイマ45、射出成形機制御回路部46及び制御目標値信号発生部47が設けられている。
【0037】
コントローラ40の上記メモリには、予め、射出成形機1を運転する曜日と、運転開始時刻と、運転停止時刻とが入力されて記憶されている。そして、カレンダタイマ45は、射出成形機1を運転する曜日の運転開始時刻になったときに、成形機停止信号の出力を停止して、成形機運転信号を射出成形機制御回路部46へ出力する。この成形機運転信号の出力は、同じ曜日の運転停止時刻になるまで継続し、運転停止時刻になったときに、成形機運転信号の出力を停止して、成形機停止信号を射出成形機制御回路部46へ出力する。この成形機停止信号の出力は、次の、射出成形機1を運転する曜日の運転開始時刻になるまで継続する。
【0038】
射出成形機制御回路部46は、カレンダタイマ45からの成形機運転信号を入力している間は、上記の如く、計量モータ15、射出モータ19及び型締モータ35の駆動を制御して、射出成形機1を運転し、成形機停止信号を入力している間は、射出成形機1の運転を停止する。また、射出成形機制御回路部46は、カレンダタイマ45からの成形機運転信号を入力している間は、同様の成形機運転信号を制御目標値信号発生部47へ出力し、成形機停止信号を入力している間は、同様の成形機停止信号を制御目標値信号発生部47へ出力する。
【0039】
上記メモリには更に、予め、運転時制御目標値(温度)と停止時制御目標値(温度)とが入力されて記憶されている。停止時制御目標値は、運転時制御目標値よりも低い温度である。そして、制御目標値信号発生部47は、射出成形機制御回路部46からの成形機運転信号を入力している間(射出成形機1が運転されているとき)は、上記運転時制御目標値を可動型温度制御部42へ目標温度として出力する。可動型温度制御部42は、可動型21bの目標温度を、その運転時制御目標値に設定して、上記の如く可動型21bについて上記温度制御を実行することになる。また、射出成形機1が運転されているとき、固定型温度制御部41は、可動型温度平均値演算部44にて演算された平均値(可動型温度検出センサ59による検出温度)を入力し、固定型21aの目標温度を、この入力した平均値(可動型温度検出センサ59による検出温度)に設定して、上記の如く固定型21aについて上記温度制御を実行することになる。
【0040】
また、制御目標値信号発生部47は、射出成形機制御回路部46からの成形機停止信号を入力している間(射出成形機1が停止されているとき)は、上記停止時制御目標値を可動型温度制御部42へ目標温度として出力する。可動型温度制御部42は、可動型21bの目標温度を、その停止時制御目標値に設定して、上記の如く可動型21bについて上記温度制御を実行することになる。また、射出成形機1が停止されているとき、固定型温度制御部41は、可動型温度平均値演算部44にて演算された平均値(可動型温度検出センサ59による検出温度)を入力し、固定型21aの目標温度を、この入力した平均値(可動型温度検出センサ59による検出温度)に設定して、上記の如く固定型21aについて上記温度制御を実行することになる。
【0041】
ここで、コントローラ40の制御動作について、
図4〜
図6のフローチャートに基づいて説明する。尚、このフローチャートは、固定型温度制御部41及び可動型温度制御部42のうちいずれの温度制御部が主制御部となっても、対応できるフローチャートとなっている。
【0042】
最初のステップS1で、作業者の操作により起動ボタンがONになったか否かを判定する。この起動ボタンがONになることで、コントローラ40の以下の処理動作が行われ、起動ボタンがONになるまでは、ステップS1の処理動作を繰り返す。
【0043】
起動ボタンがONになってステップS1の判定がYESになると、ステップS2に進んで、カレンダタイマ45が、射出成形機1を運転する曜日であるか否かを判定する。このステップS2の判定がNOであるときには、ステップS2の処理動作を繰り返し、ステップS2の判定がYESになると、ステップS3に進む。
【0044】
ステップS3では、カレンダタイマ45が、射出成形機1を運転する時刻(上記運転開始時刻と上記運転停止時刻との間の時刻)であるか否かを判定する。このステップS3の判定がNOであるときには、ステップS3の処理動作を繰り返し、ステップS3の判定がYESになると、ステップS4に進む。
【0045】
ステップS4では、カレンダタイマ45が成形機停止信号の出力を停止し、次のステップS5では、射出成形機制御回路部46が成形機停止信号の出力を停止する。
【0046】
次のステップS6では、カレンダタイマ45が成形機運転信号を出力し、次のステップS7では、射出成形機制御回路部46が成形機運転信号を出力し、次のステップS8では、制御目標値信号発生部47が運転時制御目標値を出力する。
【0047】
次のステップS9では、固定型温度制御部41が主制御部であるか否かを判定する。このステップS9の判定がNOであるときには、ステップS18に進む一方、ステップS9の判定がYESであるときには、ステップS10〜S17の処理動作を順に実行する。尚、本実施形態では、可動型温度制御部42が主制御部であるとしたので、ステップS18に進むことになるが、固定型温度制御部41が主制御部であるとした場合には、ステップS10〜S17を実行することになる。
【0048】
ステップS10では、固定型温度制御部41が、固定型21aの目標温度を、運転時制御目標値に設定し、次のステップS11で、固定型温度制御部41が、固定型温度検出センサ58による検出温度(平均値)を入力し、次のステップS12で、固定型温度制御部41が、固定型温度検出センサ58による検出温度を、上記運転時制御目標値にするための制御出力量(PID制御量)を演算し、次のステップS13で、固定型温度制御部41が、その制御出力量を固定型冷水調整弁52及び固定型温水調整弁53に対して出力する。
【0049】
次のステップS14では、可動型温度制御部42が、可動型21bの目標温度を、固定型温度検出センサ58による検出温度(平均値)に設定し、次のステップS15で、可動型温度制御部42が、可動型温度検出センサ59による検出温度(平均値)を入力し、次のステップS16で、可動型温度制御部42が、可動型温度検出センサ58による検出温度を、固定型温度検出センサ58による検出温度にするための制御出力量(PID制御量)を演算し、次のステップS17で、可動型温度制御部42が、その制御出力量を可動型冷水調整弁54及び可動型温水調整弁55に対して出力する。しかる後、ステップS18に進む。
【0050】
ステップS18では、可動型温度制御部42が主制御部であるか否かを判定する。このステップS18の判定がNOであるときには、ステップS27に進む一方、ステップS18の判定がYESであるときには、ステップS19〜S26の処理動作を順に実行する。尚、本実施形態では、ステップS18の判定はYESとなる。
【0051】
ステップS19では、可動型温度制御部42が、可動型21aの目標温度を、運転時制御目標値に設定し、次のステップS20で、可動型温度制御部42が、可動型温度検出センサ59による検出温度(平均値)を入力し、次のステップS21で、可動型温度制御部42が、可動型温度検出センサ59による検出温度を、上記運転時制御目標値にするための制御出力量(PID制御量)を演算し、次のステップS22で、可動型温度制御部42が、その制御出力量を可動型冷水調整弁54及び可動型温水調整弁55に対して出力する。
【0052】
次のステップS23では、固定型温度制御部41が、固定型21aの目標温度を、可動型温度検出センサ59による検出温度(平均値)に設定し、次のステップS24で、固定型温度制御部41が、固定型温度検出センサ58による検出温度(平均値)を入力し、次のステップS25で、固定型温度制御部41が、固定型温度検出センサ58による検出温度を、可動型温度検出センサ59による検出温度にするための制御出力量(PID制御量)を演算し、次のステップS26で、固定型温度制御部41が、その制御出力量を固定型冷水調整弁52及び固定型温水調整弁53に対して出力する。しかる後、ステップS27に進む。
【0053】
ステップS27では、作業者が操作して射出成形機1を強制的に停止させるための停止ボタンがONになったか否かを判定し、このステップS27の判定がNOであるときには、ステップS28に進む一方、ステップS27の判定がYESであるときには、ステップS30に進む。
【0054】
ステップS28では、カレンダタイマ45が、射出成形機1を運転する時刻(上記運転開始時刻と上記運転停止時刻との間の時刻)であるか否かを判定する。このステップS28の判定がYESであるときには、上記ステップS9に戻って、ステップS9〜S28の処理動作を繰り返す。一方、ステップS28の判定がNOであるときには、ステップS29に進んで、射出成形機運転終了処理を実行し、しかる後に、上記ステップS2に戻る。
【0055】
上記ステップS27の判定がYESであるときに進むステップS30においても、射出成形機運転終了処理を実行し、しかる後に、コントローラ40の制御動作を終了する。
【0056】
上記ステップS29及びS30における射出成形機運転終了処理の詳細を、
図7のフローチャートに基づいて説明する。
【0057】
すなわち、ステップS41で、カレンダタイマ45が成形機運転信号の出力を停止し、次のステップS42では、射出成形機制御回路部46が成形機運転信号の出力を停止する。
【0058】
次のステップS43では、カレンダタイマ45が成形機停止信号を出力し、次のステップS44では、射出成形機制御回路部46が成形機停止信号を出力し、次のステップS45では、制御目標値信号発生部47が停止時制御目標値を出力し、しかる後、リターンする。
【0059】
上記コントローラ40の制御動作により、射出成形機1を運転する曜日において運転する時刻になると、主制御部である可動型温度制御部42が、可動型21bの目標温度を運転時制御目標値に設定して(目標温度がステップ状に変化する)、可動型温度検出センサ59による検出温度が、その目標温度になるように温度制御を実行する。この温度制御により、可動型温度検出センサ59による検出温度は、例えば
図3のように変化する。一方、追従制御部である固定型温度制御部41は、固定型21aの目標温度を、可動型温度検出センサ59による検出温度に設定して、固定型温度検出センサ58による検出温度が、その目標温度になるように温度制御を実行する。この固定型温度制御部41の温度制御により、固定型温度検出センサ58による検出温度は、可動型温度検出センサ59による検出温度と略同じように変化する。すなわち、追従制御部による温度制御の応答性が主制御部による温度制御の応答性よりも良いので、固定型21aの温度を可動型21bの温度に正確に追従させるようにすることができる。この結果、固定型21aと可動型21bとの間の温度差を可及的に小さくすることができる。したがって、金型21により成形される成形品の品質の低下を抑制することができるとともに、金型21の寿命を長くすることができるようになる。
【0060】
(実施形態2)
図8は、本発明の実施形態2を示し、コントローラ40の構成を上記実施形態1とは異ならせたものである。尚、
図2と同じ部分については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0061】
本実施形態では、主制御部及びで追従制御部となる温度制御部を、予め試験の結果から決定しておくのではなくて、コントローラ40が、固定型温度制御部41及び可動型温度制御部42の上記温度制御の実行中に、現時点よりも前の上記温度制御の結果から、主制御部及び追従制御部となる温度制御部を自動的に決定する。そして、この決定を受けて、主制御部及び追従制御部となる温度制御部に変更がある場合に、主制御部及び追従制御部となる温度制御部を、当該決定に応じたものに切り換える。このために、コントローラ40には、上記実施形態1のものに対して、主従決定・切換え部61と、第1及び第2切換えスイッチ62,63とが更に追加して設けられている。
【0062】
上記第1切換えスイッチ62は、固定型温度制御部41と接続されたc端子を、a端子に接続するか又はb端子に接続するかを切り換える。射出成形機1が運転されているとき、第1切換えスイッチ62のa端子には、制御目標値信号発生部47からの運転時制御目標値が入力され、b端子には、可動型温度検出センサ59による検出温度(平均値)が入力される。c端子がa端子に接続されているときには、固定型温度制御部41の目標温度として運転時制御目標値が入力され、c端子がb端子に接続されているときには、固定型温度制御部41の目標温度として、可動型温度検出センサ59による検出温度(平均値)が入力されることになる。また、第1切換えスイッチ62とは関係なく、固定型温度検出センサ58による検出温度(平均値)が、固定型温度制御部41に常に入力可能な状態にある。
【0063】
上記第2切換えスイッチ63は、可動型温度制御部42と接続されたc端子を、a端子に接続するか又はb端子に接続するかを切り換える。射出成形機1が運転されているとき、第2切換えスイッチ63のa端子には、固定型温度検出センサ58による検出温度(平均値)が入力され、b端子には、制御目標値信号発生部47からの運転時制御目標値が入力される。c端子がa端子に接続されているときには、可動型温度制御部42の目標温度として、固定型温度検出センサ58による検出温度(平均値)が入力され、c端子がb端子に接続されているときには、可動型温度制御部42の目標温度として運転時制御目標値が入力されることになる。また、第2切換えスイッチ63とは関係なく、可動型温度検出センサ59による検出温度(平均値)が、可動型温度制御部42に常に入力可能な状態にある。
【0064】
可動型温度制御部42が主制御部でかつ固定型温度制御部41が追従制御部である場合には、第1及び第2切換えスイッチ62,63は共に、c端子がb端子に接続された状態に切り換えられる。一方、固定型温度制御部41が主制御部でかつ可動型温度制御部42が追従制御部である場合には、第1及び第2切換えスイッチ62,63は共に、c端子がa端子に接続された状態に切り換えられる。尚、第1及び第2切換えスイッチ62,63は、ハードで構成したものに限らず、ソフトウエアで構成することも可能である。
【0065】
第1及び第2切換えスイッチ62,63の切換えは、上記主従決定・切換え部61により行われる。主従決定・切換え部61には、射出成形機制御回路部46からの成形機運転信号及び成形機停止信号が入力されるとともに、制御目標値信号発生部47からの運転時制御目標値、固定型温度検出センサ58による検出温度(平均値)、及び、可動型温度検出センサ59による検出温度(平均値)が入力される。そして、主従決定・切換え部61は、成形機運転信号が入力されているとき(つまり、固定型温度制御部41及び可動型温度制御部42の上記温度制御の実行中)、運転時制御目標値並びに固定型及び可動型温度検出センサ58,59による検出温度の入力情報から、上記立ち上がり特性が悪い方の温度制御部、又は、上記変動幅が大きい方の温度制御部を主制御部と決定し、残りの温度制御部を追従制御部と決定する。すなわち、応答性の良し悪しは、温度制御の途中で変わることもあり、応答性が良いとされて追従制御部とされていた温度制御部の温度制御による分割型の温度が、他方の分割型の温度に追従しなくなって、追従制御部の温度制御による分割型の温度の立ち上がり特性が他方の分割型の温度の立ち上がり特性よりも悪くなったり、追従制御部の温度制御による分割型の変動幅が、他方の分割型の温度の変動幅よりも大きくなったりする場合がある。このような場合、温度制御部の主従関係を入れ換えることで、固定型21aと可動型21bとの間の温度差を、継続的に小さい値に維持することが可能になる。
【0066】
主従決定・切換え部61は、上記立ち上がり特性の良し悪しについては、制御目標値信号発生部47が運転時制御目標値の出力を開始したときから、予め上記メモリに入力して記憶しておいた立ち上がり特性評価時間(上記実施形態1で説明した上記所定時間と同様の時間)が経過するまでの間において上記立ち上がり特性を評価して、主制御部及び追従制御部となる温度制御部を決定し、上記変動幅の大小については、上記運転時制御目標値の出力開始から上記立ち上がり特性評価時間が経過した後において、予め上記メモリに入力して記憶しておいた変動幅評価周期の時間内(本実施形態では、上記実施形態1で説明した上記設定時間範囲のような長い範囲ではなくて、変動幅を正確に評価可能でかつ主従関係の入れ換えが頻繁に起こらないような時間(例えば数ショット分ないし数十ショット分の時間))における上記変動幅を評価して、該変動幅評価周期で、主制御部及び追従制御部となる温度制御部を繰り返し決定する。
【0067】
そして、主従決定・切換え部61は、上記決定に応じた切換え信号を第1及び第2切換えスイッチ62,63に出力する。この切換え信号は、固定型温度制御部41を主制御部とする(可動型温度制御部を追従制御部とする)固定型主制御部信号、及び、可動型温度制御部42を主制御部とする(固定型温度制御部を追従制御部とする)可動型主制御部信号のうちのいずれか一方である。固定型主制御部信号により、第1及び第2切換えスイッチ62,63は共に、c端子がa端子に接続された状態になり、可動型主制御部信号により、第1及び第2切換えスイッチ62,63は共に、c端子がb端子に接続された状態になる。そして、主制御部及び追従制御部となる温度制御部に変更がある場合(固定型主制御部信号から可動型主制御部信号に変化した場合、又は、その逆の場合)に、主従決定・切換え部61により第1及び第2切換えスイッチ62,63の状態が切り換えられ、こうして、主制御部及び追従制御部となる温度制御部が上記決定に応じたものに切り換えられることになる。
【0068】
可動型温度制御部42が主制御部でかつ固定型温度制御部41が追従制御部である場合には、固定型及び可動型温度制御部41,42は上記実施形態1と同様の温度制御をそれぞれ実行することになる。
【0069】
固定型温度制御部41が主制御部でかつ可動型温度制御部42が追従制御部である場合には、固定型温度制御部41が、固定型21aの目標温度を、運転時制御目標値に設定して、固定型21a(この場合の第1の分割型に相当)について上記温度制御を実行し、可動型温度制御部42が、可動型21bの目標温度を、固定型温度検出センサ58による検出温度(平均値)に設定して、可動型21b(この場合の第2の分割型に相当)について上記温度制御を実行する。すなわち、可動型温度制御部42は、固定型温度制御部41により温度制御された固定型21aの温度に追従させるように上記温度制御を実行する。
【0070】
本実施形態では、主従決定・切換え部61が、主制御部及び追従制御部となる温度制御部を決定する決定部を構成し、主従決定・切換え部61並びに第1及び第2切換えスイッチ62,63が、主制御部及び追従制御部となる温度制御部を、上記決定部による決定に応じたものに切り換える切換え手段を構成することになる。
【0071】
ここで、コントローラ40の制御動作について、
図9〜
図13のフローチャートに基づいて説明する。
【0072】
ステップS101〜S107では、上記実施形態1におけるフローチャートのステップS1〜S7とそれぞれ同様の処理動作を実行し、次のステップS108で、前回の射出成形機運転終了処理のステップS181(
図14参照)で上記メモリに記憶しておいた切換え信号を読み出し、次のステップS109で、その切換え信号を第1及び第2切換えスイッチ62,63に出力し、次のステップS110で、制御目標値信号発生部47が運転時制御目標値を出力する。
【0073】
次のステップS111では、主従決定・切換え部61が、予め上記メモリに入力して記憶しておいた樹脂ガス化温度を読み出し、次のステップS112で、主従決定・切換え部61が、予め上記メモリに入力して記憶しておいた樹脂可塑化温度を読み出す。上記樹脂ガス化温度は、固定型及び可動型温度検出センサ58,59による検出温度が、該樹脂ガス化温度を超えた場合には、キャビティ21c内に射出された溶融樹脂が気化してしまう温度であり、上記樹脂可塑化温度は、固定型及び可動型温度検出センサ58,59による検出温度が、該樹脂可塑化温度を下回った場合に、キャビティ21c内に射出された溶融樹脂が早期に(キャビティ全体に行き渡る前に)固化してしまう温度である。通常は、固定型及び可動型温度検出センサ58,59による検出温度は、上記樹脂可塑化温度以上かつ上記樹脂ガス化温度以下の範囲内にあるが、後述の立ち上がり特性の解析評価(ステップS123参照)及び変動幅の解析評価(ステップS138参照)において、上記範囲から外れていることが分かった場合には、作業者に異常が生じた旨の警報を発して、射出成形機運転終了処理を実行する(フローチャートでは、この異常時の処理動作を省略している)。
【0074】
次のステップS113では、主従決定・切換え部61が、上記立ち上がり特性評価時間を読み出し、次のステップS114では、上記変動幅評価周期を読み出す。
【0075】
次のステップS115では、主従決定・切換え部61が、立ち上がり特性評価時間タイマの積算値を0にリセットし、次のステップS116で、主従決定・切換え部61が、その立ち上がり特性評価時間タイマによる積算を開始し、次のステップS117で、主従決定・切換え部61が、立ち上がり特性評価が完了したときに1に設定される立ち上がり特性評価完了フラグFrag1を0に設定する。
【0076】
次のステップS118では、主従決定・切換え部61が、立ち上がり特性評価完了フラグFrag1が0であるか否かを判定し、このステップS118の判定がNOであるときには、ステップS129に進む一方、ステップS118の判定がYESであるときには、ステップS119に進む。
【0077】
ステップS119では、主従決定・切換え部61が、固定型温度検出センサ58による検出温度(平均値)を取り込み、次のステップS120で、主従決定・切換え部61が、可動型温度検出センサ59による検出温度(平均値)を取り込み、次のステップS121で、主従決定・切換え部61が、運転時制御目標値を取り込む。
【0078】
次のステップS122では、主従決定・切換え部61が、上記立ち上がり特性評価時間タイマの積算値から、上記立ち上がり特性評価時間が経過したか否かを判定し、このステップS122の判定がNOであるときには、ステップS129に進む一方、ステップS122の判定がYESであるときには、ステップS123に進む。
【0079】
ステップS123では、主従決定・切換え部61が、上記取り込んだ、固定型及び可動型温度検出センサ58,59による検出温度並びに運転時制御目標値に基づいて、立ち上がり特性の解析評価(
図3のt1,t2,t3の大小評価等)を行い、次のステップS124で、主従決定・切換え部61が、その評価の結果から、固定型温度制御部41の方が劣るか否かを判定する。
【0080】
上記ステップS124の判定がNOであるときには、ステップS126に進む一方、ステップS124の判定がYESであるときには、ステップS125に進んで、主従決定・切換え部61が、固定型主制御部信号を第1及び第2切換えスイッチ62,63に出力し、しかる後、ステップS126に進む。
【0081】
上記ステップS126では、主従決定・切換え部61が、上記評価の結果から、可動型温度制御部42の方が劣るか否かを判定し、このステップS126の判定がNOであるときには、ステップS128に進む一方、ステップS126の判定がYESであるときには、ステップS127に進んで、主従決定・切換え部61が、可動型主制御部信号を第1及び第2切換えスイッチ62,63に出力し、しかる後、ステップS128に進む。
【0082】
上記ステップS128では、主従決定・切換え部61が、立ち上がり特性評価完了フラグFrag1を1に設定するとともに、変動幅評価初期化フラグFrag2を1に設定する。この変動幅評価初期化フラグFrag2は、上記立ち上がり特性評価時間の経過後でかつ射出成形機運転終了処理が実行される前において、変動幅評価周期で変動幅を評価するために用いられるフラグである。
【0083】
次のステップS129では、主従決定・切換え部61が、立ち上がり特性評価完了フラグFrag1が1であるか否かを判定し、このステップS129の判定がNOであるときには、ステップS144に進む一方、ステップS129の判定がYESであるときには、ステップS130に進む。
【0084】
ステップS130では、主従決定・切換え部61が、変動幅評価初期化フラグFrag2が1であるか否かを判定し、このステップS130の判定がNOであるときには、ステップS134に進む一方、ステップS130の判定がYESであるときには、ステップS131に進む。
【0085】
ステップS131では、主従決定・切換え部61が、変動幅評価周期タイマの積算値を0にリセットし、次のステップS132で、主従決定・切換え部61が、その変動幅評価周期タイマによる積算を開始し、次のステップS133で、変動幅評価初期化フラグFrag2を0に設定する。
【0086】
次のステップS134〜S136では、上記ステップS119〜S121とそれぞれ同様の処理動作を実行し、次のステップS137で、主従決定・切換え部61が、変動幅評価周期タイマの積算値から、変動幅評価周期の時間が経過したか否かを判定する。このステップS137の判定がNOであるときには、ステップS144に進む一方、ステップS137の判定がYESであるときには、ステップS138に進む。
【0087】
ステップS138では、主従決定・切換え部61が、上記取り込んだ、固定型及び可動型温度検出センサ58,59による検出温度並びに運転時制御目標値に基づいて、変動幅の解析評価(
図3のTbの大小の評価)を行う。
【0088】
次のステップS139〜S143では、上記ステップS124〜S127とそれぞれ同様の処理動作を実行し、次のステップS143で、変動幅評価初期化フラグFrag2を1に設定する。
【0089】
次のステップS144〜S165では、上記実施形態1におけるフローチャートのステップS9〜S30とそれぞれ同様の処理動作を実行し、ステップS165の、射出成形機運転終了処理の実行後、コントローラ40の制御動作を終了する。
【0090】
上記射出成形機運転終了処理は、
図14に示すように、ステップS181のみが、上記実施形態1における射出成形機運転終了処理とは異なり、ステップS182〜S186は、上記実施形態1におけるフローチャートのステップS41〜S45とそれぞれ同様の処理動作である。
【0091】
上記ステップS181は、主従決定・切換え部61が、現時点(射出成形機1の運転終了時点)の切換え信号(固定型主制御部信号又は可動型主制御部信号)を上記メモリに記憶する処理動作である。この記憶した切換え信号が、次の運転開始時に出力される(ステップS108,S109参照)ので、運転開始時の主制御部及び追従制御部となる温度制御部は、この記憶した切換え信号により決まる。
【0092】
そして、次の運転開始後における立ち上がり特性の評価結果から、追従制御部の立ち上がり特性が主制御部の立ち上がり特性よりも悪かった場合には、主従関係を入れ換える。また、立ち上がり特性評価時間の経過後は、変動幅評価周期で検出温度の変動幅の大小を評価して、追従制御部による変動幅が主制御部による変動幅よりも大きくなった場合にも、主従関係を入れ換える。
【0093】
したがって、本実施形態2では、主制御部及び追従制御部による温度制御の途中で応答性の良し悪しに変化があったとしても、主制御部及び追従制御部となる温度制御部を、主従決定・切換え部61並びに第1及び第2切換えスイッチ62,63により適切に切り換えることができ、固定型21aと可動型21bとの間の温度差を、継続的に小さい値に維持することができる。
【0094】
本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、請求の範囲の主旨を逸脱しない範囲で代用が可能である。
【0095】
例えば、上記実施形態では、金型21を2分割型としたが、スライド型を含めて分割数はいくつであってもよい。そして、その金型21の各分割型の温度をそれぞれ検出する複数の温度検出手段と、上記各分割型の温度をそれぞれ調節する複数の温度調節手段と、上記各分割型毎に、上記温度調節手段の作動をそれぞれ制御して、上記温度検出手段により検出される検出温度を、当該分割型の目標温度になるようにする温度制御を実行する複数の温度制御部とを設け、それら複数の温度制御部のうち、上記目標温度がステップ状に変化した場合の、上記温度制御の実行による上記検出温度の立ち上がり特性が最も悪い温度制御部、又は、上記目標温度が一定である場合の、上記温度制御の実行による上記検出温度の変動幅が最も大きい温度制御部を主制御部とし、その他の温度制御部を追従制御部とすればよい。
【0096】
また、上記実施形態では、金型21が樹脂成形用金型であったが、本発明は、ダイカスト成形用金型を用いてダイカスト成形を行う際の該金型の温度調節にも適用することができる。
【0097】
上述の実施形態は単なる例示に過ぎず、本発明の範囲を限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は請求の範囲によって定義され、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。