(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
日周運動によって、撮影装置に対して相対運動する天体を撮影するために、前記撮影装置の撮影光学系によって撮像面に形成された天体像が、撮影中、撮像素子の所定の撮像領域に対して固定されるように、天体自動追尾撮影する天体自動追尾撮影方法であって、
前記天体自動追尾撮影の前に、前記撮影装置を所定の天体に向け、天体追尾動作を停止した状態で予め設定された予備撮影時間の予備撮影を実行して予備画像を得る予備撮影段階と、
前記予備撮影によって得た予備画像から天体像の移動方向及び移動速度を演算する演算段階と、
前記演算した天体像の移動方向及び移動速度に基づき、前記天体追尾撮影を実行する段階と、
を有し、
前記予備撮影段階は、予備撮影中、予備撮影開始時及び予備撮影終了時に、撮影レンズの絞りを一時的に開けるか撮影感度を一時的に上げて明るく撮影する、
ことを特徴とする天体自動追尾撮影方法。
日周運動によって、撮影装置に対して相対運動する天体を撮影するために、前記撮影装置の撮影光学系によって撮像面に形成された天体像が、撮影中、撮像素子の所定の撮像領域に対して固定されるように、天体自動追尾撮影する天体自動追尾撮影方法であって、
前記天体自動追尾撮影の前に、前記撮影装置を所定の天体に向け、天体追尾動作を停止した状態で予め設定された予備撮影時間の予備撮影を実行して予備画像を得る予備撮影段階と、
前記予備撮影によって得た予備画像から天体像の移動方向及び移動速度を演算する演算段階と、
前記演算した天体像の移動方向及び移動速度に基づき、前記天体追尾撮影を実行する段階と、
を有し、
前記予備撮影段階は、所定時間間隔で、撮影レンズの絞りを一時的に開けるか撮影感度を一時的に上げて明るく撮影する動作を繰り返す、
ことを特徴とする天体自動追尾撮影方法。
日周運動によって、撮影装置に対して相対運動する天体を撮影するために、前記撮影装置の撮影光学系によって撮像面に形成された天体像が、撮影中、撮像素子の所定の撮像領域に対して固定されるように、天体自動追尾撮影する天体自動追尾撮影方法であって、
前記天体自動追尾撮影の前に、前記撮影装置を所定の天体に向け、天体追尾動作を停止した状態で予め設定された予備撮影時間の予備撮影を実行して予備画像を得る予備撮影段階と、
前記予備撮影によって得た予備画像から天体像の移動方向、移動速度及び回転速度を演算する演算段階と、
前記演算した天体像の移動方向、移動速度及び回転速度に基づき、前記天体追尾撮影を実行する段階と、
を有することを特徴とする天体自動追尾撮影方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、自動追尾装置を備えた赤道儀は高価であり、重く、扱いも容易ではなく、極軸を天の北極に向ける調整が不可欠である。複数の画像を合成するデジタルカメラ(特許文献1、2)は、画像の位置合わせ精度や画像加算処理の速度が遅いなど、画像合成をデジタルカメラ単体で行うことは事実上不可能であった。
【0006】
本発明は、高価で複雑な調整が必要な赤道儀を使用せずに、カメラを任意の天体に向けて地上に対して固定状態で撮影するだけで各天体を見かけ上静止した状態で撮影できる天体自動追尾撮影方法及びカメラを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の天体自動追尾撮影方法は、
第1の態様では、日周運動によって、撮影装置に対して相対運動する天体を撮影するために、前記撮影装置の撮影光学系によって撮像面に形成された天体像が、撮影中、撮像素子の所定の撮像領域に対して固定されるように、天体自動追尾撮影する天体自動追尾撮影方法であって、前記天体自動追尾撮影の前に、前記撮影装置を所定の天体に向け、天体追尾動作を停止した状態で予め設定された予備撮影時間の予備撮影を実行して予備画像を得る予備撮影段階と、前記予備撮影によって得た予備画像から天体像の移動方向及び移動速度を演算する演算段階と、前記演算した天体像の移動方向及び移動速度に基づき、前記天体追尾撮影を実行する段階と、を
有し、前記予備撮影段階は、予備撮影中、予備撮影開始時及び予備撮影終了時に、撮影レンズの絞りを一時的に開けるか撮影感度を一時的に上げて明るく撮影する、ことを特徴としている。
本発明の天体自動追尾撮影方法は、第2の態様では、日周運動によって、撮影装置に対して相対運動する天体を撮影するために、前記撮影装置の撮影光学系によって撮像面に形成された天体像が、撮影中、撮像素子の所定の撮像領域に対して固定されるように、天体自動追尾撮影する天体自動追尾撮影方法であって、前記天体自動追尾撮影の前に、前記撮影装置を所定の天体に向け、天体追尾動作を停止した状態で予め設定された予備撮影時間の予備撮影を実行して予備画像を得る予備撮影段階と、前記予備撮影によって得た予備画像から天体像の移動方向及び移動速度を演算する演算段階と、前記演算した天体像の移動方向及び移動速度に基づき、前記天体追尾撮影を実行する段階と、を有し、前記予備撮影段階は、所定時間間隔で、撮影レンズの絞りを一時的に開けるか撮影感度を一時的に上げて明るく撮影する動作を繰り返す、ことを特徴としている。
上記第1、第2の態様において、前記演算段階では、前記予備撮影によって得た予備画像から天体像の移動方向、移動速度及び回転速度を演算し、前記天体追尾撮影を実行する段階では、前記演算した天体像の移動方向、移動速度及び回転速度に基づき、前記天体追尾撮影を実行することが好ましい。
本発明の天体自動追尾撮影方法は、第3の態様では、日周運動によって、撮影装置に対して相対運動する天体を撮影するために、前記撮影装置の撮影光学系によって撮像面に形成された天体像が、撮影中、撮像素子の所定の撮像領域に対して固定されるように、天体自動追尾撮影する天体自動追尾撮影方法であって、前記天体自動追尾撮影の前に、前記撮影装置を所定の天体に向け、天体追尾動作を停止した状態で予め設定された予備撮影時間の予備撮影を実行して予備画像を得る予備撮影段階と、前記予備撮影によって得た予備画像から天体像の移動方向、移動速度及び回転速度を演算する演算段階と、前記演算した天体像の移動方向、移動速度及び回転速度に基づき、前記天体追尾撮影を実行する段階と、を有することを特徴としている。
【0008】
前記天体追尾撮影を実行する段階では、前記演算した天体像の
移動方向と移動速度、又は、移動方向と移動速度と回転速度に基づき、前記所定の撮像領域と天体像の少なくとも一方を撮影装置に対して相対移動させて撮影することができる。
【0009】
前記演算段階では、前記予備撮影によって得た予備画像から、少なくとも2個の天体像の撮像面上の始点位置と、予備撮影開始時から所定時間後の各天体像の撮像面上の終点位置とから、前記天体像の
移動方向と移動速度、又は、移動方向と移動速度と回転速度を演算することができる。
【0010】
前記演算段階では、前記少なくとも2個の天体像のうち、2個の天体像の始点位置を点S1、S2として、点S1、S2が予備撮影開始時から予備撮影終了時までの時間Δt後に終点位置である点S1'、S2'に移動していたとき、直線S1-S2と直線S1'-S2'の成す角Δθを撮像面上における天体像の回転角として演算し、点S1、S2のいずれとも異なる予備画像中の任意の点Oと点S1、S2によって定義される三角形△S1S2Oと合同な三角形△S1'S2'O'における点OO'間の距離量から、撮像面上における天体像の移動量を演算することができる。
【0011】
前記予備撮影時間よりも長い天体追尾撮影時間に対する天体像の移動量及び回転角は、前記予備撮影を複数回実施して得た天体像の移動量及び回転角の平均値あるいは変化率を演算して設定することができる。
【0012】
あるいは、前記演算段階では、矩形の撮像面の横方向をX軸、縦方向をY軸とするX-Y座標系において、前記少なくとも2個の天体像のうち、2個の天体像の始点位置を点S1、S2として、点S1、S2が予備撮影開始時から時間Δt後に点S1'、S2'に移動し、予備撮影開始時から時間(2×Δt)後、更に点S1''、S2''に移動していたとき、点S1、S2のいずれとも異なる予備画像中の任意の点Oと点S1、S2によって定義される三角形△S1S2Oと合同な三角形△S1'S2'O'及び△S1''S2''O''の、線分O-O'の垂直二等分線と線分O'-O''の垂直二等分線の交点Gの座標を(X0,Y0)、点GからY方向へ伸ばした垂線が直線G-Oと成す角をΘとおいて、点Oから時間T経過後の撮像面の予測中心点の座標(Xt,Yt)を、下記式により演算することができる。
Xt = X0 − r × sin(Θ + Δφ/Δt × T)
Yt = Y0 + r × cos(Θ + Δφ/Δt × T)
【0013】
上記第3の態様では、前記予備撮影段階は、所定時間間隔で2回以上多重露出する段階、又は所定時間間隔で2枚以上撮影し、撮影した画像を1枚の画像に合成する段階を含んでいてもよい。
【0014】
本発明のカメラは、上述したいずれかの天体自動追尾撮影を実行するためのカメラであって、前記予備撮影及び天体自動追尾撮影を実行する手段と、前記演算を実行する手段と、を備えている。
【0015】
本発明のカメラは、さらに、撮影レンズに備えられた絞りと、この絞りの絞り開口の大きさを制御する制御手段とを備えている。
【0016】
前記予備撮影及び天体自動追尾撮影を実行する手段は、
前記演算段階において演算された天体像の移動方向と移動速度、又は、移動方向と移動速度と回転速度に基づいて、前記撮像素子を撮影光学系の光軸に対して直交する方向に平行移動及び該光軸と平行な軸回りに回転移動する移動手段を含んでいる。
ここで言う「撮影光学系の光軸」とは、偏心調整機能付きの撮影装置にあっては、偏心調整前の初期状態における撮影光学系の光軸を意味する。
【発明の効果】
【0017】
本発明の天体自動追尾撮影方法及びカメラによれば、高価で複雑な調整が必要な赤道儀を使用せずに、カメラを任意の天体に向けて地上に対して固定状態で撮影するだけで各天体を見かけ上静止した状態で撮影することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の天体自動追尾撮影方法及びデジタルカメラの実施形態を説明する。
図1に示すように、本実施形態のデジタルカメラ10は、カメラボディ11と撮影レンズ101(撮影光学系L)を備えている。カメラボディ11内には、撮影光学系Lの後方に撮像手段として撮像センサ13が配設されている。撮影光学系Lの光軸Zと撮像センサ13の撮像面14とは直交している。この撮像センサ13は、撮像センサ駆動ユニット(移動手段)15に搭載されている。撮像センサ駆動ユニット15は、固定ステージと、この固定ステージに対して可動な可動ステージと、該固定ステージに対して可動ステージを移動させる電磁回路とを有しており、可動ステージに撮像センサ13が保持されている。撮像センサ13(可動ステージ)は、光軸Zと直交する所望の方向に所望の移動速度で平行移動制御され、さらに光軸Zと平行な軸(光軸Zと直交する面内の何処かに位置する瞬間中心)を中心として所望の回転速度で回転制御される。このような撮像センサ駆動ユニット15は、例えば特許文献3に記載されているカメラの像ブレ補正装置の防振ユニットとして公知である。
【0020】
撮影レンズ101は、撮影光学系L内に、絞り103を備えている。この絞り103の絞り値(開閉度合い)は、カメラボディ11内に備えられた絞り駆動制御機構17によって制御される。
【0021】
カメラボディ11には、カメラ全体の機能を制御するCPU21が搭載されている。CPU21は、撮像センサ13を駆動制御し、撮影した画像信号を処理してLCDモニタ23に表示するとともに、メモリーカード25に書き込む。CPU21による撮像センサ13の駆動制御には、撮像センサ13の駆動周期及び撮影感度(ISO感度)の設定が含まれる。CPU21には、撮像センサ駆動ユニット15を防振ユニットとして用いる際にカメラに加わる振れを検出するために、撮影レンズ101の焦点距離検出装置105からの焦点距離情報fと、X方向ジャイロセンサGSX、Y方向ジャイロセンサGSY、及び回転検出ジャイロセンサGSRが検出した信号が入力される。
【0022】
カメラボディ11は、スイッチ類として、電源スイッチ27、レリーズスイッチ28、天体撮影スイッチ29、設定スイッチ30を備えている。CPU21は、これらのスイッチ27、28、29、30のオン/オフ状態に応じた制御を実行する。例えば、電源スイッチ27の操作を受けて、図示しないバッテリからの電力供給をオン/オフし、レリーズスイッチ28の操作を受けて焦点調節処理、測光処理及び撮影処理(天体撮影処理)を実行する。天体撮影スイッチ29は、デジタルカメラ10に天体自動追尾撮影モードや通常撮影モードなどの撮影モードを設定するスイッチである。設定スイッチ30は、例えば、撮像センサ13の撮影感度(ISO感度)を設定するためのスイッチである。
【0023】
このデジタルカメラ10は、その天体自動追尾撮影モードにおいて、次のように動作する。まず、撮影目標天体の移動方向、移動速度及び回転速度を測定するための予備撮影が、撮像センサ13の位置を固定した状態で行なわれる。次に、この予備撮影の結果に基づいて、撮影目標天体の追尾に必要な撮像センサ13の移動方向、移動速度及び回転速度が演算される。そして、演算された移動方向、移動速度及び回転速度で撮像センサ13が撮像センサ駆動ユニット15により駆動制御されながら本撮影を実行する。これにより、撮影目標天体の像を静止状態で得る。CPU21は、設定された露出時間Tで本撮影(天体自動追尾撮影)を実行し、露出時間Tが経過したら撮像センサ13から画像信号を取り込み、所定フォーマットの画像データに変換してLCDモニタ23に表示するとともにメモリーカード25へ書き込む。
【0024】
予備撮影及び天体自動追尾撮影についてより詳細に説明する。予備撮影に際しては、デジタルカメラ10を所定の天体方向に向けて固定し、撮像センサ13を固定した状態(つまり天体自動追尾動作を停止した状態)で天体の日周運動軌跡が撮影できる程度の長さの時間、一定時間間隔の予備撮影を行い、撮影された予備画像から天体の移動軌跡を得る。予備撮影は、CPU21により、予備撮影開始時から予備撮影終了時までの予備撮影中に所定の時間間隔で、撮影レンズ101の絞り103を一時的に開けること、撮像センサ13の撮影感度(ISO感度)を上げて明るく撮影することで実行する。予備撮影により得た移動軌跡と撮影の時間間隔によりその天体の撮像面上における移動方向、移動速度および回転速度を次のようにして求める。
【0025】
ここでは、簡単のため天体自動追尾制御を撮像面14の中心を基準に撮像センサ13を移動させて行うこととする。撮影光学系Lの一般的な光学特性から、撮像センサ13の中心から離れるほど像のゆがみが生じやすくなる。一般的には、この像のゆがみは、撮影光学系Lの焦点距離が短いほど大きくなり、また露出が長秒時に亘るほど、画像に表れるゆがみの影響が大きくなる。しかし天体自動追尾撮影での撮像センサ13のサイズに対する撮像センサ13の最大移動量(最大移動速度)や露出時間を考慮すると、天体の配列パターンは、どの天体についても撮影位置、撮影時間に拘わらずほぼ同じ(撮像面上の位置にかかわらず、撮影開始時と撮影終了時とで変化しない)と見なせる。この性質を利用すれば、天体の軌道を簡単に求めることができる。
【0026】
図2乃至
図4を参照して説明すると、撮影者は、撮影時間間隔Δtをおいて予備撮影した2枚の予備画像をデジタルカメラ10のLCDモニタ23に表示させ、撮影した天体のうち撮像面中心以外の天体を2個以上選択する。天体の選択は、画像処理回路であるCPU21による画像処理によって自動的に行う他、デジタルカメラのモニタに表示されたカーソルを十字キーで移動してスイッチ操作により手動で選択することもできる。
【0027】
図2のように選択した二つの天体の始点位置を現す点S1とS2が、予備撮影時間(撮影間隔、予備撮影開始時から予備撮影終了時までの時間)Δt後にそれぞれ終点位置である点S1'とS2'へ移動したとする。その移動の前後における点S1とS2を通る直線S1-S2と点S1'とS2'を通る直線S1'-S2'の成す角Δθは、全画像(撮影された全天体)の回転角に等しい。ここで、説明を簡単にするため撮像面14の中心を点Oとする。なお、このデジタルカメラ10は、設計上の初期状態では撮影光軸Z(Z軸)が撮像面14の中心の点Oを通っていて、撮像面は光軸Zを回転軸として回転制御される。またX方向の基準軸であるX軸とY方向の基準軸であるY軸とZ軸は、初期状態では点Oで交差していると想定している。
【0028】
点S1、S2、Oを結ぶ三角形△S1S2Oと合同な三角形を点S1'とS2'に対して作製し、できた三角形を△S1'S2'O'とおくと、撮像面14の中心点Oから点O'への移動量ΔXとΔYが、撮像センサ13上でのシフト移動量である。X方向(軸)、Y方向(軸)は、設計上の初期状態において、矩形の撮像面14の長辺方向、短辺方向として定義される。よって、本番の天体自動追尾撮影を行う際には、撮像センサ13は、撮影間隔Δt内で、X方向にΔX、Y方向にΔYだけ移動させながら、中心点Oを中心としてΔθ回転させればよいことになる。
【0029】
なお、予備撮影後の天体自動追尾撮影では、予備撮影した二つの天体を現す点S1とS2が予備撮影時とできるだけ同じ配置となるように、撮影者はデジタルカメラ10の構図を設定し直すことが好ましい。そのためには、LCDモニタ23に予備撮影した画像と、現に撮像センサ13で撮影しているモニタ画像を重ねて表示するとよい。
【0030】
以上は予備画像に始点と終点が撮影された場合であるが、実際には、
図3のように時間分割を細かくし、点S1、S1'、S1''・・・のように多数のデータ(始点、途中点・・・終点))を採取して、撮影間隔Δt経過する毎に移動量ΔX1、ΔY1、回転角Δθ1、次に移動量ΔX2、ΔY2、回転角Δθ2・・・のように順次制御することで天体を追尾することが好ましい。
【0031】
勿論、天体の数も点S1、S2の二つだけではなく、より多く選択すれば、中心点Oを含む三角形も多数となり、精度を高めることができる。これにより画像周辺の像ゆがみの補正も可能となる。特に、撮影者が重要視する画像が画面周辺に位置する場合は、画面周辺のゆがみに沿って移動する天体の移動量ΔXn、ΔYn、回転角Δθnを演算により算出できるので、ゆがみの影響を受けない天体自動追尾撮影が可能になる。但し、nは正の整数である。
【0032】
以上は、予備撮影時間Δtと本番の露出時間Tが同一以下の場合の実施形態である。次に、予備撮影時間よりも、長い時間の追尾撮影を行う場合の実施形態について説明する。撮影者にとって、予備撮影時間は短い方が好ましいので、この実施形態では、予備撮影時間を本番の天体自動追尾撮影時間よりも短く設定している。
【0033】
「ケース1」
前記で求めた移動量ΔX、ΔY、回転角Δθを用いて、その後の天体自動追尾撮影における撮像センサ13の移動量(移動速度)を予備撮影時間Δtに比例させて決定する方法として、下記の2つの方法(1)、(2)がある。
【0034】
(1)ΔX1、ΔX2など求められた多数の移動量ΔXn、ΔYn、回転角Δθnの平均値を算出して、経過時間に対して比例させて、本番の自動追尾撮影時間のうち予備撮影時間を超えた部分の時間の移動量ΔX、ΔY、回転角Δθを演算する。
(2)最新のΔXnとΔXn -1から変化率を考慮した移動量ΔXを、次式により算出する。
ΔX=ΔXn×(T/Δt) + (ΔXn − ΔXn -1)×(T/Δt)(T:予測追尾時間、Δt:ΔXnの移動にかかった時間)
ΔY、Δθも同様に算出する。
ΔY=ΔYn×(T/Δt) + (ΔYn − ΔYn -1)×(T/Δt)
Δθ=Δθn×(T/Δt) + (Δθn − Δθn -1)×(T/Δt)
【0035】
「ケース2」
前述のように、撮影レンズ101の焦点距離が短い場合や長秒時露出の場合は、撮像面14の中心から離れるほど像のゆがみが大きくなるが、この天体自動追尾撮影における撮像面14のサイズに対する撮像面14の最大移動量や露出時間を考慮すると、天体の軌道は直線ではなく円弧に近似できる。
図3のように、点S1、S2が予備撮影開始時からΔt後に点S1'、S2'に移動し、予備撮影開始時から時間(2×Δt)後、更に点S1''、S2''に移動していたとき、三角形△S1S2Oと合同な三角形△S1'S2'O'及び△S1''S2''O''の、線分O-O'の垂直二等分線と線分O'-O''の垂直二等分線の交点Gの座標を(X0,Y0)とおく(
図4)。つまり、
図4のように、前記(1)又は(2)で求めた中心点を時系列順に中心点O、O'、O''、・・・と3点以上の点をおき、各点O、O'、O''の座標を(X1,Y1)、(X2,Y2)、(X3,Y3)とする。
2点O、O'を結ぶ直線(線分)O-O'の垂直二等分線を直線A1とする。
同様に直線O'-O''の垂直二等分線を直線A2とする。
直線A1とA2の交点の座標をG(X0,Y0)とする。座標系は、初期位置にある撮像面14の中心を原点とし、長手方向(横方向)をX軸、短手方向(縦方向)をY軸とするX-Y座標である。
【0036】
直線A1とA2が成す角度をΔφとすると、点Oから点O''までは点Gを中心に2Δφだけ円運動をしていると考える。つまり、点Gは中心点O、O'、O''、・・・の仮想回転中心である。回転角速度はΔφ/Δtなので、回転半径をrとおくと、
r={(X1 − X0)
2 + (Y1 − Y0)
2}
1/2
となる。
【0037】
点GからX軸に垂線(点Gを通りY軸と平行な基準線P)を引き、直線G-Oと成す角をΘとすると、始点位置である点Oから時間T経過後の予測中心点O'、O''、・・・の座標(Xt,Yt)は、回転中心Gの座標(X0,Y0)を用いて次のように現すことができる。
Xt = X0 − r × sin(Θ + Δφ/Δt × T)
Yt = Y0 + r × cos(Θ + Δφ/Δt × T)
【0038】
このようにして、時間T経過後における撮像面14の予測中心点座標(Xt,Yt)を求める。ただし、撮像面14(撮像センサ13)の回転角Δθは、ケース1で求めた値を用いる。勿論、中心点O'''やO''''など中心点を増やして回転角、移動距離を求めることで精度を上げることが可能である。時間Tの大小にかかわらず時間Tの経過後における撮像面14の予測中心点座標(Xt,Yt)は不変である。従って、
図3のように撮像センサ13を平行移動および回転移動させたときの撮像面14の中心O、O'、O''、・・・は常に、この予測中心点座標(Xt,Yt)を中心とした半径rの仮想円上に位置することとなる。
【0039】
また、以上の直線A1とA2が交点を持たない場合は、天体の軌道は直線O-O'の延長線と一致するので、撮像面14の中心を直線O-O'と平行な直線上を動かして天体自動追尾撮影を行う。つまり、撮像センサ13には、光軸Zと平行な軸を中心とする回転運動は必要ない。
【0040】
以上のデジタルカメラ10による天体撮影(天体自動追尾撮影)について、
図5ないし
図7に示したフローチャートを参照して説明する。
図5に示すように、天体撮影スイッチ29により天体自動追尾撮影モードではなく通常撮影モードが設定されて電源スイッチ27がオンされた状態では、レリーズスイッチ28をオンすることにより通常の撮影が行われる(S101、S103:NO、S105:NO、S109:YES、S111:NO、S113)。電源スイッチ27がオフされたときは撮影動作が終了する(S103:YES)。レリーズスイッチ28がオンされないときは撮影が行われない(S109:NO)。この撮影動作は一般的なデジタルカメラ10によるそれと同じである。
【0041】
一方、天体撮影スイッチ29により天体自動追尾撮影モードが設定されて電源スイッチ27がオンされた状態では(S101、S103:NO、S105:YES)、予備撮影の撮影間隔Δtと予備撮影全体の時間Tpreとを入力する(S107)。この撮影間隔Δt及び予備撮影全体時間Tpreは、LCDモニタ23に表示された説明に従って、初期値を基準として、撮影者がマニュアル選択またはマニュアル入力する。天体撮影スイッチ29により天体自動追尾撮影モードが設定されたままで、少なくとも2つの天体(本実施形態では2つの天体)を現す点S1とS2を撮像センサ13の撮像面14の中心とは異なる位置にとらえてレリーズスイッチ28をオンすることにより、天体自動追尾撮影が行われる(S109:YES、S111:YES)。
【0042】
天体自動追尾撮影では、まずCPU21が前述の予備撮影を実行して予備画像を取得し、この予備画像から追尾に必要な撮像センサ13の移動方向及び移動量(回転方向及び回転量)であるΔX、ΔY、Δθを演算する(S115:YES、S117)。次いで、任意の追尾撮影露出時間Tが撮影者によってカメラに対して設定される(S119)。ΔX、ΔY、Δθを追尾撮影露出時間Tで除算したものが、撮像センサ13の移動速度(回転速度)となる。なお、予備撮影(S117)を実行した後に、撮影した予備画像をLCDモニタ23に表示し、あるいは予備撮影画像の合成画像をLCDモニタ23に表示して、撮影者が確認できるように構成してもよい。また、AF装置及びAF対応撮影レンズが装着されたデジタルカメラの場合は、天体撮影モードが設定されたときは、焦点を無限遠合焦状態に固定するか、天体撮影処理の前に無限遠合焦処理を実行する。マニュアルフォーカスの場合は、撮影者が焦点を無限遠合焦位置に設定する。
【0043】
予備撮影が完了して撮像センサ13の移動方向及び移動量(回転方向及び回転量)であるΔX、ΔY、Δθを演算したら、予備撮影した2つの天体を現す点S1とS2が予備撮影時とできるだけ同じ配置となるように、撮影者はデジタルカメラ10の構図を設定し直して、再度レリーズスイッチ28をオンする(S121:YES)。これにより、予備撮影(S117)の結果を利用した本実施形態の天体自動追尾撮影の本撮影が実行される(S123)。
【0044】
「予備撮影」
本実施形態の予備撮影(S117)について、
図6に示したフローチャートを参照してより詳細に説明する。
【0045】
予備撮影に入ると、まずCPU21が、予備撮影で画像を取得する(S201)。本実施形態では、予備撮影全体時間Tpreが経過するまで所定の撮影間隔Δtで露出(多重露出)を行って、1枚あるいは複数枚の画像を取得する(S201、S203、S205:YES)。取得した1枚あるいは複数枚の画像は、メモリーカード25に保存される。取得した画像が複数枚のときは、これらの画像を合成して1枚の画像としてメモリーカード25に保存する。
【0046】
予備撮影全体時間Tpreが経過すると(S205:NO)、CPU21は、予備撮影により得られた画像の軌跡から撮像センサ13の移動方向及び移動量(回転方向及び回転量)であるΔX、ΔY、Δθを演算し、このΔX、ΔY、Δθを追尾撮影露出時間Tで除算することで、撮像センサ13の単位時間当たりの移動速度(回転速度)であるdX/dt、dY/dt、dθ/dtを求める(S207)。ここでCPU21は、追尾撮影露出時間Tが予備撮影全体時間Tpre以内である場合と、追尾撮影露出時間Tが予備撮影全体時間Tpreを超えている場合とに分けて、dX/dt、dY/dt、dθ/dtを求める。
【0047】
最後にCPU21は、撮像センサ駆動ユニット15による撮像センサ13の可動範囲の機械的リミットLx、Ly、Lθ、追尾撮影露出時間Tが予備撮影全体時間Tpre以内である場合のdX/dt、dY/dt、dθ/dt、追尾撮影露出時間Tが予備撮影全体時間Tpreを超えている場合のdX/dt、dY/dt、dθ/dtに基づいて最長露出時間(露出限界時間)Tlimitを算出する(S209)。
【0048】
「天体本撮影(天体自動追尾撮影)」
本実施形態の本撮影(S123)について、
図7に示したフローチャートを参照してより詳細に説明する。
【0049】
本撮影に入ると、まずCPU21が、撮影者が設定した追尾撮影露出時間T(S119)が最長露出時間Tlimit(S209)以内であるか否かを判定する(S301)。CPU21は、追尾撮影露出時間Tが最長露出時間Tlimit以内である場合には、その追尾撮影露出時間Tを本撮影中の露出時間として設定する(S301:YES)。一方、CPU21は、追尾撮影露出時間Tが最長露出時間Tlimitを超えている場合には(S301:NO)、最長露出時間Tlimitを本撮影中の露出時間として設定する(S303)。そしてCPU21は、設定した露出時間だけ、図示しないシャッタを開放して、撮像センサ13による撮像を開始する(S305)。なお、絞り103は、通常、開放状態で撮影されるが、撮影者により任意に設定可能である。
【0050】
CPU21は、追尾撮影露出時間Tが予備撮影全体時間Tpre以内であるときは、その追尾撮影露出時間Tの間、追尾撮影露出時間Tが予備撮影全体時間Tpre以内である場合のdX/dt、dY/dt、dθ/dtに基づく移動軌跡に合わせて撮像センサ13を平行移動制御及び回転移動制御しながら露出を行う(S307:NO、S309、S313:NO)。
【0051】
一方、CPU21は、追尾撮影露出時間Tが予備撮影全体時間Tpreを超えているときは、まず予備撮影全体時間Tpreの間、追尾撮影露出時間Tが予備撮影全体時間Tpre以内である場合のdX/dt、dY/dt、dθ/dtに基づく移動軌跡に合わせて撮像センサ13を平行移動制御及び回転移動制御しながら露出を行い、次いで追尾撮影露出時間Tのうち予備撮影全体時間Tpreを超えた部分の時間の間、追尾撮影露出時間Tが予備撮影全体時間Tpreを超えている場合のdX/dt、dY/dt、dθ/dtに基づく移動軌跡に合わせて撮像センサ13を平行移動制御及び回転移動制御しながら露出を行う(S307:NO、S309、S313:NO → S307:YES、S311、S313:NO)。
【0052】
やがて追尾撮影露出時間Tが経過すると(S313:YES)、CPU21は、図示しないシャッタを閉じて露出を終了する(S315)。CPU21は、撮像センサ13から撮影画像データを読み出して(S317)、ホワイトバランス調整や所定フォーマットへの変更等の画像処理を施す(S319)。最後にCPU21は、画像処理後の撮影画像データをLCDモニタ23に表示するとともに、所定フォーマットの画像ファイルとしてメモリーカード25に保存する(S321)。
【0053】
なお、露出の開始(S305)、露出の終了(S315)は、機械シャッターを有するデジタルカメラの場合は機械シャッターを開放し、閉じる処理を含み、電子シャッターの場合は撮像センサ13が蓄積した電荷の掃き出して露出を開始し、同電荷を転送又は読み出して露出を終了する処理などを含む。
【0054】
以上の通り本実施形態の天体自動追尾撮影方法及びカメラによれば、天体自動追尾撮影の前に、撮影装置を所定の天体に向け、天体自動追尾動作を停止した状態で予め設定された予備撮影時間の予備撮影を実行して予備画像を得る予備撮影を実行し、予備撮影によって得た予備画像から天体像の移動方向及び移動速度の演算を実行し、演算した天体像の移動方向及び移動速度に基づき、所定の撮像領域と天体像の結像位置の少なくとも一方を移動させながら、天体自動追尾撮影を実行している。これにより、高価で複雑な調整が必要な赤道儀を使用せずに、カメラを任意の天体に向けて地上に対して固定状態で撮影するだけで各天体を見かけ上静止した状態で撮影することができる。
【0055】
続いて、
図8ないし
図10を参照して、本発明の別実施形態に係る天体自動追尾撮影方法及びカメラについて説明する。
【0056】
図2及び
図3に示したような長秒時露出撮影をする場合、予備撮影により短露出時間の多重露出を行うことで天体の位置を点として座標に変換することが容易になる。その反面、どの点とどの点が同一の天体の移動前なのか移動後なのかという判別が難しくなってしまう。
【0057】
図2のように移動前と移動後の2点について座標変換するならば、予備撮影で長秒時露出を行い、
図8のような線状軌跡の2個の端点(S1とS2、S1'とS2')を開始点、及び終了点と判別すればよい。しかし、
図4のように同一の天体の画像軌跡から3個以上の点を抽出する場合には、開始点と終了点とを結ぶ直線状軌跡外に中間点が存在する場合がある。そこで、3個以上の点を抽出する場合には、長秒時露出で線状に軌跡を写しながら、点として抽出したい経過時間に露出量を変化(増大)させる。具体的には、所定の時間間隔で絞り103を開閉する制御により露出量を変化(増減)させる。
【0058】
露出中に、点として座標に残したいときは絞り103を開放側に駆動して一定時間Δs、開放側絞りに固定して露出し、その他の場合や露出時間中は絞り103を適当に絞り込んで絞り込み側絞りで露出する。すると、
図9に示したように、絞り103を開放側に変更した露出期間は天体が少し大きく写り、
図3において点で写った天体S1、S2を同一天体S1、S2の軌跡で結んだ画像を得ることが可能となる。そしてこの軌跡の中から4個の端点(S1とS2、S1'とS2'、S1''とS2''、S1'''とS2''')を抽出することができる。時間Δsを第一所定時間(開放側絞り撮影時間)とし、時間Δsと時間Δsの間の時間Δuを第二所定時間(絞り込み側絞り撮影時間)とする。第一所定時間Δs<第二所定時間Δuである。
【0059】
始点と終点の判別の方法は、始点もしくは終点どちらかで、絞り103を開放にする時間を2倍にするなど変化させて特徴づけるなどの方法でよい。
【0060】
「予備撮影処理(長秒時露出と絞り制御を併用)」
長秒時露出と絞り制御を併用した予備撮影処理の別実施形態について、
図10に示したフローチャートを参照して説明する。
【0061】
この別実施形態の予備撮影処理では、予備撮影全体時間Tpreの範囲内において、絞り103を開いて第一所定時間Δsだけ1回目の露出を行い、この1回目の露出が終了したら絞り103を第二所定時間Δuだけ絞り込み、この第二所定時間Δuの絞り込みが終了したら再び絞り103を開いて第一所定時間Δsだけ2回目の露出を行う、という処理を繰り返して、少なくとも撮影開始時と撮影終了時、及び撮影中に、絞り103をより開けて露出量を増やすようにしている。この実施形態では、説明を簡単にするために、絞り103を開放側に開くときは開放とし、絞り込むときの絞りは開放から、アペックス表示で3段絞り込むものとする。
【0062】
この別実施形態の天体自動追尾撮影カメラは、図示しないが、予備撮影開始から予備撮影全体時間Tpreが経過するまでの時間を継続して測定する「タイマー1」と、絞り103の開放と絞り込みを切り替える度にリセットを繰り返しながら第一所定時間Δsと第二所定時間Δuを交互に測定する「タイマー2」を備えている。
【0063】
予備撮影処理に入ると、CPU21はまず、絞り103を開放側へ駆動することにより1回目の露出を開始する(S401、S403)。同時にCPU21は、「タイマー1」をリセットしてスタートさせることで予備撮影開始から予備撮影全体時間Tpreが経過するまでの計時を開始するとともに(S405)、「タイマー2」をリセットしてスタートさせることで絞り103を開いてから第一所定時間Δsが経過するまでの計時を開始する(S407)。
【0064】
第一所定時間Δsが経過して1回目の露出が終了すると(S409)、CPU21は、絞り103を絞り込むとともに「タイマー2」をリセットしてスタートさせることで絞り103を絞り込んでから第二所定時間Δuが経過するまでの計時を開始する(S413)。第二所定時間Δuが経過すると(S415)、CPU21は、再び絞り103を開いて第一所定時間Δsだけ2回目の露出を行う(S417)。CPU21は、以上の動作を予備撮影開始から予備撮影全体時間Tpreが経過するまで繰り返す(S411:YES)。
【0065】
やがて「タイマー1」により予備撮影開始から予備撮影全体時間Tpreの経過が計時されると(S411:NO)、CPU21は、「タイマー2」を参照してさらに第一所定時間Δsだけ絞り103を開放した状態で最後の露出を行う(S419)。この最後の露出により予備撮影の最後だけ露出時間が第一所定時間Δsの2倍になるので、予備撮影最終付近における天体は明るく、大きく写り、その座標をより明確に認識することが可能になる。なお、この2倍時間露出は、天体予備撮影における露出開始時に実行してもよい。
【0066】
最後の露出が終了すると(S421)、CPU21は、予備撮影により得られた画像の軌跡から撮像センサ13の移動方向及び移動量(回転方向及び回転量)であるΔX、ΔY、Δθを演算し、このΔX、ΔY、Δθを追尾撮影露出時間Tで除することで、撮像センサ13の単位時間当たりの移動速度(回転速度)であるdX/dt、dY/dt、dθ/dtを求める(S423)。ここでCPU21は、追尾撮影露出時間Tが予備撮影全体時間Tpre以内である場合と、追尾撮影露出時間Tが予備撮影全体時間Tpreを超えている場合とに分けて、dX/dt、dY/dt、dθ/dtを求める。
【0067】
最後にCPU21は、撮像センサ駆動ユニット15による撮像センサ13の可動範囲の機械的リミットLx、Ly、Lθ、追尾撮影露出時間Tが予備撮影全体時間Tpre以内である場合のdX/dt、dY/dt、dθ/dt、追尾撮影露出時間Tが予備撮影全体時間Tpreを超えている場合のdX/dt、dY/dt、dθ/dtに基づいて最長露出時間(露出限界時間)Tlimitを算出する(S425)。
【0068】
なお、可動リミットLx、Ly、X軸方向、Y軸方向に移動可能な長さ及び可動リミットLθは、撮像センサ駆動ユニット15の撮像センサ13を防振駆動する可動部材が光軸Zと直交する方向に移動可能な範囲及び平行な軸回りに回転可能な回転角範囲である。
【0069】
以上の予備撮影処理によれば、例えば天体S1、S2が、予備撮影開始位置、撮影間隔毎の位置及び予備撮影終了位置において濃く、大きく写り、その間が線状の軌跡で結ばれるので、同一の天体であること及び撮影間隔毎の天体の位置を正確に測定することができる。
【0070】
以上のデジタルカメラ10は、撮像センサ13を光軸と直交する方向及び光軸と平行な軸回りに回転させる撮像センサ駆動ユニット15を備えたが、撮影レンズ101内に撮像センサ上の被写体位置を移動させる像ブレ補正レンズを搭載した像ブレ補正装置と、撮像センサを回転させる撮像センサ回転機構とを組み合わせても本発明のデジタルカメラは構成することができる。この場合、CPU21が撮影レンズ101のレンズCPUに防振駆動指示信号を送ることにより、レンズCPUが像ブレ補正レンズを光軸直交方向に駆動制御する。一方、CPU21が、所定の駆動周期で撮像センサ13に回転指示信号を送ることにより、撮像センサを光軸Zと平行な軸回りに回転移動させる。
【0071】
また、本実施形態の説明ではカメラとしてデジタルカメラを示したが、レンズ交換式の一眼レフデジタルカメラ、レンズシャッタ式コンパクトデジタルカメラに限らず、撮像手段を光軸と直交する面内において光軸と直交する任意の方向に移動、回転が駆動可能な撮影装置一般に適用できる。