(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
エア供給源から供給される圧縮エアをエアジェット織機に備えたメインタンク及びサブタンクに貯留し、前記メインタンク及びサブタンクの圧縮エアをそれぞれメインノズル及びサブノズルに供給して緯入れを行うエアジェット織機において、
前記エアジェット織機を停止し、前記エア供給源と前記エアジェット織機との接続位置で開閉弁の操作により圧縮エアの供給停止を行い、前記エア供給源から前記エアジェット織機に供給された圧縮エアの元圧力を圧力計により計測し、前記圧力計によって計測された圧縮エアの元圧力が基準値として設定された比較圧力に減圧されるまでの減圧時間を予め設定された標準の減圧時間と比較し、前記計測された減圧時間と前記標準の減圧時間との差に基づいて、エア漏れが前記メインタンク側で生じているか、前記サブタンク側で生じているかを区別して判断することを特徴とするエアジェット織機におけるエア漏れ検知方法。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1の実施形態)
第1の実施形態を
図1〜
図5に基づいて説明する。
図1は、エアジェット織機の緯入れ装置の概要をブロック図で示したものである。織布工場内に設置されたエア供給源1は、エアコンプレッサー及びドライヤー等の関連機器から構成され、配管2により織布工場内に設置されている個々のエアジェット織機3毎に圧縮エアを供給している。配管2は圧縮エアの供給、停止を行う開閉弁4を介してエアジェット織機3側の配管5と接続している。
【0018】
エアジェット織機3では、配管5はフィルタ6を介して、圧力計7に接続する。圧力計7は、エア供給源1から供給される圧縮エアの元圧力P1(
図2参照)を計測する。元圧力P1はエアジェット織機3の緯入れに使用する圧力よりも高い圧力で供給されるように設定されている。圧力計7は配管5によりメインレギュレータ8を介してメインタンク9に接続する。メインレギュレータ8は、圧縮エアの元圧力P1を緯入れに適したメイン圧力P2(
図7参照)に調整するため、メインタンク9には、メイン圧力P2に低下された圧縮エアが貯留される。なお、メイン圧力P2と元圧力P1との関係は、P2<P1となるように設定されている。メインタンク9は配管5によりメインバルブ10を介してメインノズル11に接続する。
【0019】
従って、メインタンク9の圧縮エアは、緯入れ時期にメインバルブ10の作動によりメインノズル11に供給され、緯入れが行われる。また、圧力計7とメインレギュレータ8とを接続する配管5から分岐された配管12が絞弁13を介してメインバルブ10とメインノズル11とを接続する配管5に接続し、微風回路を構成する。従って、絞弁13により調整された微量の圧縮エアが、緯入れ中及び緯入れ停止中を問わず常時メインノズル11に供給され、メインノズル11は緯糸保持のために常時微風を噴射している。
【0020】
一方、圧力計7とメインレギュレータ8とを接続する配管5からさらに分岐された配管14は、サブレギュレータ15を介してサブタンク16に接続する。サブレギュレータ15は、エア供給源1から供給された圧縮エアの元圧力P1を緯入れに適したサブ圧力P3(
図7参照)に調整するため、サブタンク16には、サブ圧力P3に低下された圧縮エアが貯留される。なお、サブ圧力P3と元圧力P1及びメイン圧力P2との関係は、P3<P1、P3>P2となるように設定されている。サブタンク16は、緯入れ方向に沿って配設された4つのサブバルブ17にそれぞれ配管14によって接続される。緯入れ方向に4つの群に分割されたサブノズル群18は、それぞれ複数本のサブノズルを備え、各サブバルブ17は各サブノズル群18の各サブノズルに配管14によって接続される。従って、各サブノズル群18には、緯入れ時に各サブバルブ17の作動によりサブタンク16からサブ圧力P3を有する圧縮エアが供給される。
【0021】
圧力計7はファンクションパネル19を備えた制御装置20に電気的に接続され、計測した圧縮エアの元圧力P1のデータを制御装置20に送信している。制御装置20には、圧力計7から送信される元圧力P1のデータや設定値等を記憶する記憶部及び元圧力P1のデータを基に各種計算を行う演算部が備えられるとともに元圧力P1の計測時間を測定する計時手段が備えられている。また、制御装置20は、エアジェット織機3を運転するために必要な各種プログラムを備え、図示していないが、緯入れ時にメインバルブ10及びサブバルブ17に信号を送信し、緯入れ動作の開始及び停止を制御する。
【0022】
図2は、エア漏れが無い正常時にエアジェット織機3を停止し、開閉弁4を操作してエアジェット織機3への圧縮エアの供給を停止した時に生じる元圧力P1の減圧波形である。元圧力P1の減圧波形は圧力計7により計測され、制御装置20に記憶される。制御装置20には、元圧力P1より低い比較圧力Pが基準値として予め設定されている。なお、比較圧力Pは、メイン圧力P2及びサブ圧力P3よりも低い値(
図7参照)である。元圧力P1は、時間経過に伴い低下し、T秒後に比較圧力Pに減圧される。その後、元圧力P1はさらに低下し、t1秒後に圧力が零となる。しかし、t2秒後に再び圧力が上昇し、t3秒後に比較圧力Pを越えるが、再び圧力が低下し、t4秒後に比較圧力Pに減圧された後、圧力零となる。
【0023】
図2に示す元圧力P1の減圧波形は、配管5内に残留する圧縮エアとメインタンク9及びサブタンク16に残留する圧縮エアがメインノズル11から微風として放出される時のバランスにより生じると考えられる。そこで、本実施形態では、減圧パターンとして、減圧時間を採用し、エア漏れの無い正常時において、圧縮エアの元圧力P1が比較圧力Pに減圧されるまでの減圧時間T秒を元圧力P1の標準の減圧時間として制御装置20に設定し、記憶させる。標準の減圧時間T秒は、エアジェット織機3の製織運転開始前などに、元圧力P1を圧力計7により計測し、予め設定すれば良い。なお、標準の減圧時間T秒は、測定データに限らず、メインタンク9の容量及びメイン圧力P2、サブタンク16の容量及びサブ圧力P3、微風流量、緯糸色数等の機台仕様を基に算出し、設定しても良い。
【0024】
メインタンク9側の圧縮エアの供給経路にエア漏れが発生している場合、開閉弁4を閉鎖すると、元圧力P1は
図3に示す減圧波形を生じる。元圧力P1は、急激に減圧して減圧時間T1秒で比較圧力Pに到達し、t5秒後に圧力零となる。t6秒後に再び圧力が上昇し、t7秒後に比較圧力Pを越えるが、t8秒後には比較圧力Pまで減圧し、その後圧力零の状態となる。エア漏れの無い正常時と比較すると、減圧波形の形態は類似するが、比較圧力Pに到達する減圧時間は、T>T1となり、大きく相違する。
【0025】
また、サブタンク16側の圧縮エアの供給経路にエア漏れが生じている場合、開閉弁4を閉鎖すると、元圧力P1は
図4に示す減圧波形を生じる。元圧力P1は、急激に減圧して減圧時間T2秒で比較圧力Pに減圧され、t9秒後に圧力零となる。
図4では、t9秒後の圧力零状態は継続され、
図3に示す圧力の再上昇は生じない。
図4の減圧波形においても、エア漏れの無い正常時と比較すると、比較圧力Pに到達する減圧時間は、T>T2となり、
図3と同様に大きく相違する。
【0026】
従って、比較圧力Pを設定し、減圧パターンとして標準の減圧時間Tを予め設定しておくことにより、開閉弁4を閉鎖して圧力計7により元圧力P1を計測すれば、エアジェット織機3がエア漏れを発生しているか否かを簡単に検知することができる。なお、実験的に、計測された減圧時間T1とT2との間には、T1<T2の関係が生じている。このため、標準の減圧時間Tと計測された減圧時間T1との差及び標準の減圧時間Tと計測された減圧時間T2との差を許容範囲も含めて予め設定しておくことにより、エア漏れがメインタンク9側で生じているか、サブタンク16側で生じているかを判断することが可能である。
【0027】
エアジェット織機3において、第1の実施形態によりエア漏れのチェックを行う例を
図5に示す。エア漏れチェックは、エアジェット織機3を停止し、開閉弁4を手動又は自動で閉鎖し、エア供給源1からエアジェット織機3への圧縮エアの供給を停止して行う。
図5は、ファンクションパネル19に表示されたエア漏れ確認モード画面である。エア漏れ確認モード画面は、「設定比較圧力」の表示窓、「元圧力標準減圧時間」の表示窓、「減圧時間の計測実行」のタッチ式ボタン、「現在の元圧力」の表示窓、「現在の減圧時間」の表示窓、「エア漏れチェック結果」の表示窓を備えている。
【0028】
図5(A)において、エア漏れ確認モード画面の表示窓には、「設定比較圧力」Pメガパスカル(MPa)と「元圧力標準減圧時間」T秒が表示されている。開閉弁4を閉鎖し、「減圧時間の計測実行」の「はい」ボタンを押すと、圧力計7による元圧力P1の計測が開始される。「現在の元圧力」には、時間経過とともに減圧される圧縮エアの各時点における元圧力P1がP1−nメガパスカル(MPa)として順次表示される。また、「現在の減圧時間」には、計測開始後の経過時間T−n秒が順次表示される。「エア漏れチェック結果」には、「チェック中」が表示される。圧力計7による計測は、元圧力P1が設定比較圧力Pに減圧された時点で終了する。
【0029】
図5(B)及び
図5(C)は、圧力計7による計測が終了した時点でのエア漏れ確認モード画面である。
図5(B)では、「現在の元圧力」がPメガパスカル(MPa)、「現在の減圧時間」がT秒と表示されている。従って、「現在の元圧力」に減圧されるまでに要した「現在の減圧時間」が「元圧力標準減圧時間」と比較して同一であるため、制御装置20は正常と判断し、「エア漏れチェック結果」には、「エア漏れ無」が表示される。
【0030】
しかし、
図5(C)では、「現在の元圧力」がPメガパスカル(MPa)に減圧されるまでの経過時間である「現在の減圧時間」がTn秒と表示されている。Tn秒は、
図3の場合、減圧時間T1であり、
図4の場合、減圧時間T2である。従って、Tn秒は「元圧力標準減圧時間」T秒と比較すると異なる値となる。このため、制御装置20はエア漏れが生じていると判断し、「エア漏れチェック結果」には、「エア漏れ有」が表示される。
【0031】
第1の実施形態では、減圧パターンとして、元圧力P1の減圧時間を利用し、圧力変化を計測する簡単な構成で、エアジェット織機3のエア漏れを簡単にかつ精度良く検知することができる。なお、エア漏れ確認モード画面が
図5(C)のように表示された場合、作業者はエア漏れ防止のための処置を行う。
【0032】
(第2の実施形態)
図6〜
図9は第2の実施形態を示したもので、第1の実施形態と同一の構成については同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。第2の実施形態は、
図6に示すように、
図1に示したエアジェット織機3の圧縮エアの供給系に対して、元圧力P1を計測する圧力計7の他に、メイン圧力P2を計測する圧力計24をメインタンク9に設け、サブ圧力P3を計測する圧力計25をサブタンク16に設けた構成である。従って、第2の実施形態では、開閉弁4を閉鎖すると、圧縮エアの元圧力P1、メイン圧力P2及びサブ圧力P3の減圧波形が同時に計測される。
【0033】
エアジェット織機3にエア漏れが生じていない正常時では、
図7に示すように、元圧力P1の減圧波形は、
図2と同様な減圧波形となり、比較圧力Pに減圧されるまでの減圧時間T秒は
図2の場合と同一である。圧力計24により計測されるメイン圧力P2は、若干の間高い圧力を維持するが、その後減圧され、減圧時間T秒よりも早いt10秒で元圧力P1の減圧波形に一致する。メイン圧力P2は元圧力P1とほぼ同一の減圧波形で減圧され、減圧時間T秒で比較圧力Pに達し、t1秒後に圧力零となる。しかし、t2秒後に再上昇し、t3秒後に比較圧力Pよりも上昇した波形となる。
【0034】
一方、元圧力P1及びメイン圧力P2が急激に減圧されている間、圧力計25により計測されるサブ圧力P3はほとんど減圧されること無く推移し、減圧時間T秒ではほぼ同じ高い圧力を維持している。その後、徐々に減圧され、t3秒後に再上昇した元圧力P1及びメイン圧力P2の減圧波形に一致する。元圧力P1、メイン圧力P2及びサブ圧力P3は共にt4秒後に比較圧力Pまで減圧され、その後、圧力零となるまで減圧される。
【0035】
メインタンク9側の圧縮エアの供給経路にエア漏れが発生している場合は、開閉弁4を閉鎖すると、
図8に示す減圧波形となる。元圧力P1は
図3と同じ減圧波形を生じ、正常時の標準の減圧時間Tより短い減圧時間T1で比較圧力Pまで減圧される。また、メイン圧力P2は直ちに減圧され、減圧時間T1で元圧力P1の減圧波形に一致する。しかし、サブ圧力P3は
図7と同様にほとんど減圧されないため、減圧時間T1では、ほぼ減圧されない高い圧力を維持している。
【0036】
減圧時間T1を経過すると、元圧力P1及びメイン圧力P2は、
図7の減圧波形と類似の波形となり、t5秒後に圧力零となる。その後、元圧力P1及びメイン圧力P2は、t6秒後に再上昇が始まり、t7秒後に比較圧力Pよりも上昇した波形となる。また、緩やかに減圧されていたサブ圧力P3がt7秒で元圧力P1及びメイン圧力P2の圧力と一致する。その後、元圧力P1、メイン圧力P2及びサブ圧力P3は共に減圧され、t8秒で比較圧力Pまで減圧された後、圧力零となる。
【0037】
サブタンク16側の圧縮エアの供給経路にエア漏れが生じている場合は、開閉弁4を閉鎖すると、
図9に示す減圧波形となる。元圧力P1は
図4と同じ減圧波形を生じ、正常時の標準の減圧時間Tより短い減圧時間T2で比較圧力Pまで減圧される。メイン圧力P2及びサブ圧力P3は共に直ちに減圧され、減圧時間T2よりも早いt11秒後に元圧力P1の減圧波形に一致する。このため、サブタンク16側のエア漏れ発生時には、サブ圧力P3は
図8のような高い圧力状態を維持する波形を生じない。
【0038】
従って、第2の実施形態では、
図7に示す正常時において、比較圧力Pに減圧される元圧力P1及びメイン圧力P2の減圧時間Tとサブ圧力P3の減圧時間t4とを予め設定する構成とした。なお、減圧時間は、t4>Tの関係にある。圧力計7、24、25により計測された元圧力P1、メイン圧力P2及びサブ圧力P3の各減圧時間T1、t8(
図8参照)及びT2(
図9参照)を設定された各減圧時間と比較することにより、メインタンク9側のエア漏れか、サブタンク16側のエア漏れかを区別して判断することができる。例えば、
図8の減圧波形が生じた場合は、元圧力P1及びメイン圧力P2の減圧時間がT1<Tであり、t8>T1であるため、メインタンク9側のエア漏れと判断される。また、
図9の減圧波形が生じた場合は、元圧力P1、メイン圧力P2及びサブ圧力P3の各減圧時間が同じであり、T2<Tであるため、サブタンク16側のエア漏れと判断される。
なお、第2の実施形態の場合、メイン圧力P2は減圧時間T1及びT2よりも早い時間で元圧力P1の減圧波形に一致するため、圧力計24を廃止し、メイン圧力P2の計測を行わない構成であっても実施可能である。
【0039】
第2の実施形態では、減圧パターンを次のように変更して実施することができる。具体的には、正常時の減圧波形を示す
図7において、元圧力P1は比較圧力Pに達するまでの減圧時間による減圧パターンで比較できるように、標準の減圧時間T秒を設定する。また、サブ圧力P3は、高い圧力状態が標準の減圧時間Tよりも長く維持され、t4秒後に比較圧力Pに達する減圧波形による減圧パターンを予め設定しておく。従って、計測された元圧力P1の減圧時間がT1<T又はT2<Tとなりエア漏れを検知した時、設定されたサブ圧力P3の減圧波形が計測されているか否かを比較し、サブ圧力P3の減圧波形が存在する場合、メインタンク9側のエア漏れと判断し、サブ圧力P3の減圧波形が存在しない場合、サブタンク16側のエア漏れと判断する。なお、この変更例の場合は、メイン圧力P2を計測する圧力計24を廃止した構成でも実施可能である。
【0040】
また、第2の実施形態では、
図7に示す正常時の元圧力P1、メイン圧力P2及びサブ圧力P3の減圧波形による減圧パターンを予め設定しておき、計測された減圧波形を設定された減圧波形と比較し、エア漏れか否かの判断を行う構成で実施することができる。なお、この変更例の場合は、メイン圧力P2を計測する圧力計24を廃止した構成でも実施可能である。
【0041】
(第3の実施形態)
図10は第3の実施形態を示したもので、第1の実施形態及び第2の実施形態と同一の構成については同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。第3の実施形態は、メイン圧力P4をサブ圧力P5よりも高く設定した構成である。エア漏れを生じていない正常な状態で開閉弁4を閉鎖すると、元圧力P1は減圧時間Tで比較圧力Pに達し、t13秒後に最低圧力を示すが、その後再上昇し、t14秒後に比較圧力Pを越える位置まで上昇する。その後、再度減圧されてt15秒で比較圧力Pまで減圧された後、圧力零の状態になる。
【0042】
メイン圧力P4は直ちに減圧され、減圧時間Tよりも短いt12秒後に元圧力P1の減圧波形に一致する。一方、サブ圧力P5は減圧時間Tまで高い圧力状態を維持した後減圧され、t14秒後に元圧力P1の減圧波形に一致する。従って、第3の実施形態における元圧力P1、メイン圧力P4及びサブ圧力P5の減圧波形の傾向は、
図7に示した第2の実施形態における減圧波形の傾向と同じである。このため、メイン圧力P4をサブ圧力P5よりも高く設定した場合であっても、減圧時間又は減圧波形を利用して第1の実施形態及び第2の実施形態と同様に構成することにより、エアジェット織機3のエア漏れを検知することができる。
【0043】
(第4の実施形態)
図11及び
図12は第4の実施形態を示したもので、第1の実施形態及び第2の実施形態と同一の構成については同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。第4の実施形態は、多色用のエアジェット織機3に実施した例を示すもので、
図11に示す具体例は、2本のメインノズル11A及び11Bを備えた2色用のエアジェット織機3の構成である。メインノズル11Aには、圧力計7よりも下流側に、メインレギュレータ8A、メインタンク9A、メインバルブ10Aが配管5により接続されている。メインタンク9Aには、メイン圧力P2A(
図12参照)を計測する圧力計24Aが設けられている。また、圧力計7とメインレギュレータ8Aの間の配管5から分岐する配管12Aは、絞弁13Aを介してメインノズル11Aに接続し、微風回路を構成する。
【0044】
メインノズル11Bには、圧力計7よりも下流側に、メインレギュレータ8B、メインタンク9B、メインバルブ10Bが配管5により接続されている。メインタンク9Bには、メイン圧力P2B(
図12参照)を計測する圧力計24Bが設けられている。また、圧力計7とメインレギュレータ8Bの間の配管5から分岐する配管12Bは、絞弁13Bを介してメインノズル11Bに接続し、微風回路を構成する。
【0045】
メインノズル11A、11Bに供給する圧縮エアのメイン圧力P2A、P2Bは、同一の圧力に設定され、第1及び第2の実施形態におけるメイン圧力P2と同一圧力に設定されている。このため、エア漏れの無い正常時にエアジェット織機3を停止し、開閉弁4を閉鎖した時、元圧力P1、メイン圧力P2A、メイン圧力P2B及びサブ圧力P3の減圧波形は、
図7に示した減圧波形とほぼ同一の減圧傾向を示す。従って、正常時に元圧力P1が比較圧力Pに達する減圧時間Tを標準値として設定しておく。なお、メイン圧力P2A及びメイン圧力P2Bは、異なる圧力に設定しておくことも可能である。
【0046】
図12は、エア漏れが生じている異常時を示している。圧力計7により計測された元圧力P1の減圧波形では、圧力が急激に減圧され、t16秒から僅かの間減圧変化が小さいが、その後、減圧時間T3で比較圧力Pにまで減圧され、t17秒後に圧力零状態となる。さらに、元圧力P1はt18秒後に再上昇してt19秒後に比較圧力Pを越える圧力にまで上昇するが、t20秒後に再度比較圧力Pまで減圧された後、圧力零の状態になる。
【0047】
圧力計24Aにより計測されたメイン圧力P2Aは、減圧変化が小さい状態でt16秒後に元圧力P1の減圧波形に一致する。しかし、圧力計24Bにより計測されたメイン圧力P2Bは、急激に減圧し、元圧力P1の減圧時間T3よりも短い減圧時間T4で比較圧力Pにまで減圧され、その後元圧力P1に一致する減圧波形を生じる。また、圧力計25により計測されたサブ圧力P3は、減圧時間T4及びT3ではほとんど減圧変化が無い状態で推移し、その後減圧されてt19秒後に元圧力P1に一致する減圧波形を生じる。
【0048】
従って、元圧力P1の減圧時間T3が標準の減圧時間Tよりも短いため、エア漏れが生じていると判断される。また、メイン圧力P2A及びサブ圧力P3の減圧変化は小さいが、メイン圧力P2Bは標準の減圧時間Tよりも短い減圧時間T4で比較圧力Pとなることから、エア漏れはメインタンク9B側で生じていると判断される。このように、減圧パターンとして元圧力P1、メイン圧力P2A、メイン圧力P2B及びサブ圧力P3の減圧時間を利用することにより、多色用のエアジェット織機3においてもエア漏れを簡単に検知することができる。なお、第4の実施例は、減圧パターンとして元圧力P1、メイン圧力P2A、メイン圧力P2B及びサブ圧力P3の減圧波形を用いた構成により実施することも可能である。
【0049】
本願発明は、前記した各実施形態の構成に限定されるものではなく、本願発明の趣旨の範囲内で種々の変更が可能であり、次のように実施することができる。
【0050】
(1)第2〜第4の実施形態において、圧力計24又は24A、24Bによって計測されるメイン圧力P2又はP2A、P2Bの減圧時間あるいは減圧波形を用いてメインタンク9側又は9A、9B側のみのエア漏れ検知を行うことが可能である。
(2)第2〜第4の実施形態において、圧力計25によって計測されるサブ圧力P3の減圧時間あるいは減圧波形を用いてサブタンク16側のみのエア漏れ検知を行うことが可能である。
(3)第2〜第4の実施形態において、元圧力P1を計測することなく、圧力計24又は24A、24B及び圧力計25によって計測されるメイン圧力P2又はP2A、P2B及びサブ圧力P3の減圧時間あるいは減圧波形を用いてメインタンク9側及びサブタンク16側のエア漏れ検知を行うことが可能である。
(4)第1〜第4の実施形態において、開閉弁4を、ファンクションパネル19に備えたスイッチの操作により開閉動作する電磁弁で構成すれば、スイッチ操作のみで開閉弁4を閉じ、圧力計7、24、24A、24B及び25により元圧力P1、メイン圧力P2、P2A、P2B及びサブ圧力P3が比較圧力Pに減圧されるまでの標準の減圧時間Tあるいは減圧波形を自動で計測し、制御装置20に自動で設定することができる。