(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5780151
(24)【登録日】2015年7月24日
(45)【発行日】2015年9月16日
(54)【発明の名称】電池温度調節装置、及び車両
(51)【国際特許分類】
H01M 10/6572 20140101AFI20150827BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20150827BHJP
H01M 10/615 20140101ALI20150827BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20150827BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20150827BHJP
B60L 3/00 20060101ALI20150827BHJP
B60L 11/18 20060101ALI20150827BHJP
【FI】
H01M10/6572
H01M10/613
H01M10/615
H01M10/625
H01M10/44 Q
B60L3/00 S
B60L11/18 C
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2011-278736(P2011-278736)
(22)【出願日】2011年12月20日
(65)【公開番号】特開2013-131336(P2013-131336A)
(43)【公開日】2013年7月4日
【審査請求日】2014年3月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(72)【発明者】
【氏名】会沢 真一
(72)【発明者】
【氏名】渡▲辺▼ 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】倉石 守
(72)【発明者】
【氏名】広瀬 慎司
【審査官】
高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−080914(JP,A)
【文献】
実開昭61−185237(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/42 −10/667
B60L 1/00 − 3/12
B60L 7/00 −13/00
B60L 15/00 −15/42
H02J 7/00 − 7/12
H02J 7/34 − 7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電池と熱交換を行う熱媒体を前記蓄電池に供給する電池温度調節装置であって、
外部電源から供給される電力を変換して前記蓄電池に供給する電力変換装置が備える直流−直流変換器にて前記蓄電池の電力を変換した駆動用電力が供給され、
前記蓄電池の急速充電時に前記蓄電池の温度調節を行う際に前記駆動用電力が供給されることを特徴とする電池温度調節装置。
【請求項2】
前記蓄電池の放電時に前記蓄電池の温度調節を行う際に前記駆動用電力が供給されることを特徴とする請求項1に記載の電池温度調節装置。
【請求項3】
前記電力変換装置を搭載した車両において、
請求項1又は請求項2に記載の電池温度調節装置を搭載したことを特徴とする車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電池の温度調節を行う電池温度調節装置、及びその電池温度調節装置を搭載した車両に関する。
【背景技術】
【0002】
EV(Electric Vehicle)やPHV(Plug in Hybrid Vehicle)などの車両には、当該車両の原動機となる電動機(モータ)への供給電力を蓄える蓄電池が搭載されている。そして、この種の車両には、蓄電池が低温環境下や高温環境下で使用されることを考慮し、蓄電池の温度を適正範囲に維持するための電池温度調節装置が装備されている。例えば、特許文献1の車両には、蓄電池と熱交換を行うための熱媒体を供給(生成)する手段(特許文献1ではペルチェ素子)を使って空気を加温又は冷却し、その加温後又は冷却後の空気により蓄電池の温度調節を行う電池温度調節装置が搭載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−110829号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電池温度調節装置では、熱媒体を供給する手段を駆動するために当該手段に対して電力を供給する。この電力は、蓄電池に蓄えられている電力を使用することになるが、蓄電池に蓄えられている電力を前記手段の駆動用電力に変換する必要がある。このため、電池温度調節装置の構成を簡素化するためには、蓄電池の電力を、如何なる手段を用いて前記手段の駆動用電力に変換するかを考えなければならない。
【0005】
この発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものであり、構成の簡素化を図った電池温度調節装置、及びその電池温度調節装置を搭載した車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、蓄電池と熱交換を行う熱媒体を前記蓄電池に供給する電池温度調節装置であって、外部電源から供給される電力を変換して前記蓄電池に供給する電力変換装置が備える直流−直流変換器にて前記蓄電池の電力を変換した駆動用電力が供給され
、前記蓄電池の急速充電時に前記蓄電池の温度調節を行う際に前記駆動用電力が供給されることを要旨とする。
【0007】
これによれば、電池温度調節装置へ供給される駆動用電力を、外部電源から供給される電力を変換して蓄電池に供給する電力変換装置が備える直流−直流変換器を利用して変換することができる。すなわち、電池温度調節装置に供給する駆動用電力を得るために、専用の直流−直流変換器を設ける必要がない。したがって、構成を簡素化することができる。
また、蓄電池の温度上昇を伴う急速充電時において、電力変換装置の直流−直流変換器で変換された電力を使って蓄電池の温度調節を行うことができる。したがって、充電後の蓄電池の放電性能の低下を抑制することができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電池温度調節装置において、前記蓄電池の放電時に前記蓄電池の温度調節を行う際に前記駆動用電力が供給されることを要旨とする。
【0009】
これによれば、電力変換装置の直流−直流変換器で変換された電力を使って蓄電池の放電時に、当該蓄電池の温度調節を行うことができる。したがって、蓄電池の放電性能の低下を抑制することができる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、前記電力変換装置を搭載した車両において、
請求項1又は請求項2に記載の電池温度調節装置を搭載したことを要旨とする。
これによれば、車両に搭載されている電力変換装置の直流−直流変換器を使って電池温度調節装置を駆動させることができる。したがって、専用の直流−直流変換器を設ける必要がないので、車両としても構成を簡素化することができる。また、蓄電池の温度調節により、車両の走行性能の低下を抑制することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、電池温度調節装置の構成の簡素化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】電池温度調節装置を搭載した車両の構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を具体化した一実施形態を
図1及び
図2にしたがって説明する。
図1に示すように、車両(本実施形態ではPHV)10には、電池パック12が搭載されている。電池パック12は、外部電源11に接続される図示しない充電用プラグを介して供給される電力を充電用の電力に変換して充電する車載用の充電器13と、その充電器13によって充電される蓄電池としてのメインバッテリ14を備えている。また、電池パック12は、メインバッテリ14の温度調節(冷却又は加温)を行う電池温度調節装置(以下、「温調装置」と言う)15を備えている。
【0016】
充電器13は、外部電源11から入力された交流の電力を直流に変換するための図示しないAC/DCコンバータと、その変換後の直流の電力を所定の充電用電力に変換するDC/DCコンバータ13aを備えている。メインバッテリ14は、DC/DCコンバータ13aによる変換後の電力によって充電される。本実施形態において充電器13は、外部電源11から供給される電力を変換して蓄電池に供給する電力変換装置となり、充電器13が備えるDC/DCコンバータ13aが直流−直流変換器となる。
【0017】
温調装置15は、熱媒体となる外気を取り込んでメインバッテリ14に供給する送風機15aと、取り込んだ外気をメインバッテリ14に導く図示しない導入路に設けられるとともに取り込んだ外気を加温又は冷却するペルチェユニット15bと、を備えている。また、温調装置15は、送風機15a及びペルチェユニット15bの駆動を制御するコントローラ15cを備えている。メインバッテリ14は、ペルチェユニット15bで温度調節されるとともに熱媒体となる外気と熱交換することにより、所定の温度に保たれる。ペルチェユニット15bは、温度が相互に異なるように制御可能な第1面と第2面を備えており、本実施形態において外気は第1面と熱交換することによって温度調節される。すなわち、メインバッテリ14を冷却する場合には、ペルチェユニット15bの第1面を冷却面とすることで外気が冷却される。一方、メインバッテリ14を加温する場合には、ペルチェユニット15bの第1面を加温面とすることで外気が加温される。コントローラ15cは、メインバッテリ14の温度を監視し、冷却又は加温の必要が生じた場合には送風機15a及びペルチェユニット15bを駆動する。具体的に言えば、コントローラ15cは、冷却の必要が生じた場合、第1面を冷却面とするようにペルチェユニット15bを駆動する。一方、コントローラ15cは、加温の必要が生じた場合、第1面を加温面とするようにペルチェユニット15bを駆動する。メインバッテリ14の温度調節は、主に、車両10の走行中などのメインバッテリ14の放電時や、車両10の始動時に行われる。なお、メインバッテリ14は、走行中などの放電時において主として冷却する一方で、車両10の始動時において主として加温する。
【0018】
また、車両10には、メインバッテリ14に対してDC/DCコンバータ16を介して接続される補助バッテリ17が搭載されている。DC/DCコンバータ16は、メインバッテリ14に蓄えられた電力を、補助バッテリ17に充電するための所定の充電用電力に変換する。補助バッテリ17は、DC/DCコンバータ16による変換後の電力によって充電される。
【0019】
本実施形態の温調装置15では、ペルチェユニット15bの駆動用電力が、メインバッテリ14から供給される。すなわち、ペルチェユニット15bは、メインバッテリ14から供給される駆動用電力によって駆動する。また、本実施形態の温調装置15では、送風機15a及びコントローラ15cの駆動用電力が、補助バッテリ17から供給される。そして、本実施形態の温調装置15は、前述のような駆動用電力の供給を受けて駆動する。なお、ペルチェユニット15bの駆動用電力は、送風機15a及びコントローラ15cの駆動用電力よりも大きい。このため、本実施形態の温調装置15は、駆動用電力の供給源を前述のように異ならせている。
【0020】
そして、本実施形態の車両10では、メインバッテリ14に蓄えられた電力とペルチェユニット15bの駆動用電力が異なることから、メインバッテリ14に蓄えられた電力をペルチェユニット15bの駆動用電力に変換し、供給する給電経路が設けられている。具体的に言えば、前記給電経路は、メインバッテリ14→充電器13のDC/DCコンバータ13a→ペルチェユニット15bによって構成されている。すなわち、本実施形態において充電器13のDC/DCコンバータ13aは、外部電源11から供給される電力をメインバッテリ14に供給する給電経路上と、メインバッテリ14の電力をペルチェユニット15bに供給する給電経路上のそれぞれに配設されている。そして、充電器13のDC/DCコンバータ13aは、外部電源11から供給される電力をメインバッテリ14の充電用電力に変換する変換器、及びメインバッテリ14の電力をペルチェユニット15bの駆動用電力に変換する変換器として兼用されている。
【0021】
なお、メインバッテリ14の充電方法には、普通充電と急速充電がある。普通充電は、メインバッテリ14の温度上昇を抑制しつつ、ある程度の時間(例えば、6〜8時間)を使って充電する方法である。急速充電は、普通充電時よりも大電流を流して短時間(例えば、15〜30分)でメインバッテリ14の充電を完了させるように充電する方法である。
【0022】
以下、本実施形態の作用を説明する。
普通充電は、
図1に示すように、外部電源11と車両10に搭載された充電器13を充電プラグで接続することにより、充電器13を用いて充電する。なお、本実施形態において普通充電時の外部電源11は、家庭用電源とされる。普通充電は、前述したようにメインバッテリ14の温度上昇を抑制しつつ充電を行う方法であるから、その充電中はメインバッテリ14を冷却する必要性が少ない。つまり、普通充電時、充電器13のDC/DCコンバータ13aは、外部電源11から供給される電力をメインバッテリ14の充電用電力に変換する変換器として動作させる。そして、普通充電時の給電経路は、
図1に実線矢印で示すように、外部電源11→充電器13のDC/DCコンバータ13a→メインバッテリ14とされ、メインバッテリ14は、DC/DCコンバータ13aによって変換された充電用電力が供給されて充電される。
【0023】
一方、非充電時(本実施形態では普通充電を行っていない時)には、メインバッテリ14に対して電力が充電されることがないので、充電器13のDC/DCコンバータ13aは充電用電力に変換する変換器として機能していない。このため、本実施形態では、走行中など、メインバッテリ14の温度調節が必要な時、充電器13のDC/DCコンバータ13aをペルチェユニット15bの駆動用電力に変換する変換器として動作させる。すなわち、メインバッテリ14の温度調節を行う場合の給電経路は、
図1に白抜き矢印で示すように、メインバッテリ14→充電器13のDC/DCコンバータ13a→ペルチェユニット15bとされ、ペルチェユニット15bは、DC/DCコンバータ13aによって変換された駆動用電力が供給されて駆動される。これにより、メインバッテリ14は、ペルチェユニット15bを含む温調装置15の駆動によって温度調節された熱媒体が供給されて、温度調節(加温又は冷却)が行われる。
【0024】
このように本実施形態では、走行中などの非充電時に使用していなかった充電器13のDC/DCコンバータ13aをペルチェユニット15bの駆動用電力に変換する変換器として機能させる。これにより、温調装置15の構成の簡素化を図り得る。つまり、メインバッテリ14の電力を使ってペルチェユニット15bを駆動させる場合に、メインバッテリ14の電力を駆動用電力に変換するための変換器(DC/DCコンバータ)を専用に設ける必要がない。なお、本実施形態のように充電器13のDC/DCコンバータ13aを兼用構成とする場合、DC/DCコンバータ13aは、図示しない制御コントローラにより、充電用電力への変換時と駆動用電力への変換時とで異なるスイッチングタイミングで制御される。
【0025】
図2は、急速充電時の給電経路を示す。
急速充電は、
図2に示すように、商業用施設などに設置された充電ステーションに備えられた急速充電専用の外部充電装置18を用いて行われる。すなわち、急速充電時、車両10は、外部充電装置18と図示しない充電プラグで接続されることにより、その充電プラグを介して供給される電力によってメインバッテリ14が充電される。そして、急速充電は、前述したように、短時間で充電を完了させるために大電流を流すことからメインバッテリ14に温度上昇を伴う。メインバッテリ14は、その温度が所定の温度を超えて高温になると、放電能力が低下する。その結果、充電完了後のメインバッテリ14が高温状態である場合、その後の車両10の走行性能が低下する可能性がある。
【0026】
したがって、急速充電時には、充電と同時にメインバッテリ14を冷却することが好ましく、本実施形態においては車両10に搭載されている温調装置15を駆動させてメインバッテリ14を冷却する。すなわち、冷却時は、前述した走行中などと同様に、メインバッテリ14の電力を使って温調装置15のペルチェユニット15bを駆動させる。つまり、メインバッテリ14の温度調節を行う場合の給電経路は、
図2に白抜き矢印で示すように、メインバッテリ14→充電器13のDC/DCコンバータ13a→ペルチェユニット15bとされ、ペルチェユニット15bは、DC/DCコンバータ13aによって変換された駆動用電力が供給されて駆動される。これにより、メインバッテリ14は、ペルチェユニット15bを含む温調装置15の駆動によって温度調節された熱媒体が供給されて、温度調節(この場合は冷却)が行われる。このように本実施形態では、急速充電時に使用していなかった充電器13のDC/DCコンバータ13aをペルチェユニット15bの駆動用電力に変換する変換器として機能させることで、構成の簡素化を図り得る。
【0027】
したがって、本実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)メインバッテリ14の電力を充電器13のDC/DCコンバータ13aにてペルチェユニット15bの駆動用電力に変換し、その変換後の電力を温調装置15に供給する。すなわち、ペルチェユニット15bの駆動用電力を得るために、専用の変換器(DC/DCコンバータ)を設ける必要がない。したがって、温調装置15の構成を簡素化することができる。
【0028】
(2)また、メインバッテリ14及び温調装置15を含む電池パック12の構成も簡素化することができる。
(3)そして、走行中など、メインバッテリ14の放電時には、充電器13のDC/DCコンバータ13aで変換された電力を使ってペルチェユニット15bを駆動させることで、メインバッテリ14の温度調節を行うことができる。したがって、メインバッテリ14の放電性能の低下を抑制することができる。
【0029】
(4)また、メインバッテリ14の温度上昇を伴う急速充電時には、充電器13のDC/DCコンバータ13aで変換された電力を使ってペルチェユニット15bを駆動させることで、メインバッテリ14の温度調節を行うことができる。したがって、急速充電後のメインバッテリ14の放電性能の低下を抑制することができる。そして、車両10においては、急速充電後、走行性能(最高速、加速性)を低下させることなく、走行を行うことができる。
【0030】
(5)車両10に搭載されている充電器13のDC/DCコンバータ13aを使ってペルチェユニット15bを駆動させる。したがって、専用の変換器(DC/DCコンバータ)を設ける必要がないので、車両10としても構成を簡素化することができる。また、メインバッテリ14の温度調節により、車両10の走行性能の低下を抑制することができる。
【0031】
(6)また、車両10の構成を簡素化することにより、車両重量の低減に貢献することができる。したがって、走行性能(燃費、加速性など)の向上を図ることができる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
【0032】
○ 実施形態において、普通充電時に充電器13に接続される外部電源11は、家庭用電源でも良いし、充電ステーションの充電装置でも良い。
○ 実施形態は、車両としてEV車に適用しても良い。また、蓄電池を搭載し、その蓄電池の電力で電動機を駆動させる車両、例えばフォークリフトなどの産業用車両に適用しても良い。
【0033】
○ 温調装置を、液冷媒を用いて温度調節する構成としても良い。具体的に言えば、液冷媒を供給するポンプと、ポンプから供給された液冷媒を冷却又は加温する装置(ペルチェユニットやヒータ)とから温調装置を構成しても良い。このとき、ペルチェユニットを採用する場合は、実施形態と同様にペルチェユニットの駆動用電力をメインバッテリ14から供給し、ポンプの駆動用電力を補助バッテリ17から供給する。また、加温用としてヒータを採用する場合は、ヒータの駆動用電力を補助バッテリ17から供給する。
【0034】
○ 温調装置を、熱媒体となり得る流体(外気や液冷媒)を単にメインバッテリ14へ供給する送風機やポンプで構成し、これらの送風機やポンプをDC/DCコンバータ13aで変換した駆動用電力で駆動させても良い。この場合には、DC/DCコンバータ16や補助バッテリ17を設けなくても良く、メインバッテリ14から供給する駆動用電力で送風機やポンプを駆動させることができる。また、ポンプに対して加温用の液冷媒と冷却用の液冷媒とを流路の切り替えによって供給するような構成であって、流路を切り替えるための切替弁を有する場合、その切替弁についてもメインバッテリ14から供給する駆動用電力で駆動させても良い。
【0035】
○ また、温調装置を、加温用にヒータを備えるとともに冷却用に送風機やラジエタなどの熱交換器を有する構成とした場合に、ヒータや送風機を、メインバッテリ14から供給する駆動用電力で駆動させても良い。また、温調装置を、加温用として車両に存在する熱源体の熱を利用するとともに、冷却用に送風機やラジエタなどの熱交換器を有する構成とした場合に、送風機を、メインバッテリ14から供給する駆動用電力で駆動させても良い。
【0036】
○ 実施形態の温調装置15を、走行中などの非充電時における冷却又は加温専用の装置として具体化しても良い。また、実施形態の温調装置15を、急速充電時専用の装置として具体化しても良い。
【0037】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想を以下に追記する。
(イ)外部電源から供給される電力を前記蓄電池に充電する電力に変換する電力変換装置を有し、前記電力変換装置で変換した電力を前記蓄電池に充電する充電装置において、前記電力変換装置が備える直流−直流変換器を、前記蓄電池に充電する電力に変換する変換器と、前記蓄電池の電力を、前記蓄電池と熱交換を行う熱媒体によって前記蓄電池の温度調節を行う電池温度調節機構の駆動用電力に変換する変換器と、に兼用したことを特徴とする充電装置。
【符号の説明】
【0038】
10…車両、11…外部電源、13…充電器、13a…DC/DCコンバータ、14…メインバッテリ、15…電池温度調節装置、15a…送風機、15b…ペルチェユニット、15c…コントローラ。