(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記視差データ発生部は、複数の基本奥行きモデルそれぞれの画面全体の視差値を示す視差データを、前記非立体画像信号が有する特徴に基づいて合成する合成部を有することを特徴とする請求項1記載の奥行き情報生成装置。
前記中央部分布割合算出部は、前記周辺部に含まれる高周波成分の頻度を示す高周波成分頻度データと、前記第1の中央部に含まれる高周波成分の頻度を示す高周波成分頻度データとを用いて、前記中央部分布割合データを算出することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の奥行き情報生成装置。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の奥行き情報生成装置、奥行き情報生成方法、奥行き情報生成プログラム、擬似立体画像生成装置の一実施形態について、添付図面を参照して説明する。
【0018】
図1において、R,G,B信号である入力信号(オブジェクト信号)は、擬似的な奥行き情報を生成する奥行き情報生成部1に入力される。奥行き情報生成部1は、一実施形態の奥行き情報生成装置を構成する。R,G,B信号は、3原色信号の赤色信号,緑色信号,青色信号である。
【0019】
奥行き情報生成部1に入力されるR,G,B信号は、奥行き情報が明示的にも暗示的にも与えられていない非立体画像を表す画像信号である。奥行き情報生成部1は、奥行き推定データを生成する奥行き推定部11を有する。奥行き推定部11の具体的な構成及び動作については後に詳述する。
【0020】
ステレオペア生成部2には、奥行き情報生成部1への入力信号であるR,G,B信号と、奥行き推定部11によって生成された奥行き推定データとが入力される。ステレオペア生成部2は、右目画像データと左目画像データとのステレオペアを生成する。
【0021】
ステレオペア生成部2は、非立体画像信号に基づいて複数の視点の画像データを生成する複数視点画像データ生成部の一例である。奥行き情報生成部1とステレオペア生成部2とは、一実施形態の擬似立体画像生成装置を構成する。
【0022】
ステレオペア生成部2は、入力されたR,G,B信号をそのまま右目画像データとする。ステレオペア生成部2は、右目画像データ(R,G,B信号)に基づいて左目画像データを生成する。
【0023】
画素シフト部21には、R,G,B信号と奥行き推定データとが入力される。画素シフト部21は、奥行き推定データに基づいてR,G,B信号それぞれの画素をシフトする。
【0024】
例えば左に視点移動する場合、画面より手前に表示するものは近いものほど画像を見る者の内側(鼻側)に見える。そこで、画素シフト部21は、対応部分の画素を奥行き推定データが示す奥行きに応じた量だけ、内側(右側)に移動させる。画面より奥に表示するものは近いものほど画像を見る者の外側に見える。そこで、画素シフト部21は、対応部分の画素を奥行きに応じた量だけ、外側(左側)に移動させる。
【0025】
画素シフト部21によって画素をシフトすると、画像内に、画素が存在しない、いわゆるオクルージョンが発生する場合がある。オクルージョン補償部22は、画素シフト部21より出力されたR,G,B信号のオクルージョンを補償する。
【0026】
オクルージョン補償部22は、オクルージョンの周辺の画素を用いて画素を補間する等の公知の方法によってオクルージョンを補償する。
【0027】
オクルージョン補償部22より出力されたR,G,B信号は、ポスト処理部23に入力される。ポスト処理部23は、入力されたR,G,B信号に対して平滑化処理等のポスト処理を施す。ポスト処理部23によってポスト処理を施すことにより、オクルージョン補償された画像が滑らかとなり、ノイズが軽減される。
【0028】
ポスト処理部23より出力されたR,G,B信号は、左目画像データとなる。左目画像出力部24は左目画像データを出力し、右目画像出力部25は右目画像データを出力する。
【0029】
ステレオペア生成部2には、ステレオ画像表示装置3が接続されている。ステレオ画像表示装置3には、左目画像出力部24より出力された左目画像データと、右目画像出力部25より出力された右目画像データとのステレオペアが入力される。ステレオ画像表示装置3は、入力されたステレオペアに基づいてステレオ画像(立体画像)を表示する。
【0030】
ステレオペア生成部2は、入力されたR,G,B信号をそのまま左目画像データとし、左目画像データ(R,G,B信号)を画素シフトすることによって右目画像データを生成してもよい。
【0031】
ステレオペア生成部2は、右目画像データと左目画像データのいずれも、入力されたR,G,B信号をそのまま用いるのではなく、画素シフト部21によって画素をシフトさせた左右の別視点の画像データをステレオペアとしてもよい。
【0032】
図2を用いて、奥行き推定部11の具体的構成例及びその動作について説明する。画像入力部111には、R,G,B信号が入力される。画像入力部111は、R,G,B信号のうちのR信号のみを、上部高域成分評価部112と下部高域成分評価部113とオブジェクト信号補正部118とに供給する。
【0033】
上部高域成分評価部112は、それぞれのフレームの上部約20%の領域に高域成分がどの程度含まれているかを評価する。例えば、上部高域成分評価部112は、上部約20%の領域を水平8画素、垂直8画素のブロックに分割する。上部高域成分評価部112は、それぞれのブロックにおいて次の式(1)を計算し、ブロックの平均を上部高域成分評価値top_actとする。上部高域成分評価値top_actは、合成部117に入力される。
【0035】
下部高域成分評価部113は、それぞれのフレームの下部約20%の領域に高域成分がどの程度含まれているかを評価する。例えば、下部高域成分評価部113は、下部約20%の領域を水平8画素、垂直8画素のブロックに分割する。下部高域成分評価部113は、それぞれのブロックにおいて上記の式(1)を計算し、ブロックの平均を下部高域成分評価値bottom_actとする。下部高域成分評価値bottom_actは、合成部117に入力される。
【0036】
フレームメモリ114〜116は、擬似立体画像を生成する際の基本となる基本奥行きモデルを記憶している。フレームメモリ114,115,116が記憶している基本奥行きモデルをそれぞれタイプ1,タイプ2,タイプ3とする。
図3,
図4,
図5は、それぞれ、基本奥行きモデルのタイプ1,タイプ2,タイプ3の立体構造の一例を示している。
【0037】
基本奥行きモデルとは画面全体の視差値を決定するためのモデルである。基本奥行きモデルは、平面上のそれぞれの画素を、
図3〜
図5に示すような非平面形状の特性が有する飛び出し方向または奥行き方向にシフトさせるテーブルまたは計算式にて構成することができる。
【0038】
合成部117は、上部高域成分評価値top_act及び下部高域成分評価値bottom_actそれぞれの値に応じて、フレームメモリ114〜116より出力されるタイプ1〜3の基本奥行きモデルを所定の合成比率で合成する。
【0039】
合成部117は、
図6に示す合成比率決定条件に従ってタイプ1〜3の基本奥行きモデルを合成する。
図6の横軸は上部高域成分評価値top_act、縦軸は下部高域成分評価値bottom_actである。
【0040】
図6に示すように、下部高域成分評価値bottom_actが所定の値bms以下であれば、合成部117は、上部高域成分評価値top_actの値にかかわらず、タイプ3の基本奥行きモデルを用いる。即ち、タイプ1,2の合成比率を0にする。
【0041】
下部高域成分評価値bottom_actが値bmsより大きく、所定の値bml以下であれば、合成部117は、上部高域成分評価値top_actの値に応じてタイプ1〜3を次のように合成する。上部高域成分評価値top_actが所定の値tps以下であれば、合成部117は、タイプ1の合成比率を0にして、タイプ2とタイプ3とを合成する。
【0042】
上部高域成分評価値top_actが値tpsより大きく、所定の値tpl以下であれば、合成部117は、タイプ1〜3を合成する。上部高域成分評価値top_actが値tplより大きければ、合成部117は、タイプ2の合成比率を0にして、タイプ1とタイプ3とを合成する。
【0043】
下部高域成分評価値bottom_actが値bmlより大きければ、合成部117は、上部高域成分評価値top_actの値に応じてタイプ1〜3を次のように合成する。上部高域成分評価値top_actが値tps以下であれば、合成部117は、タイプ1,3の合成比率を0にして、タイプ2の基本奥行きモデルを用いる。
【0044】
上部高域成分評価値top_actが値tpsより大きく、値tpl以下であれば、合成部117は、タイプ3の合成比率を0にして、タイプ1とタイプ2とを合成する。上部高域成分評価値top_actが値tplより大きければ、合成部117は、タイプ2,3の合成比率を0にして、タイプ1の基本奥行きモデルを用いる。
【0045】
合成部117によって
図6に示す合成比率決定条件に従って合成した画面全体の視差値を示すデータは、加算器119に入力される。
【0046】
複数のタイプの基本奥行きモデルを上部高域成分評価値top_act及び下部高域成分評価値bottom_actに応じて合成する構成は必須の構成ではないが、好ましい構成である。少なくとも1つのタイプの基本奥行きモデルを用いて、画面全体の視差値を示すデータを発生する構成であればよい。
【0047】
オブジェクト信号補正部118は、オブジェクト信号のうちのR信号を後述するように補正してR’信号として出力する。R’信号は、合成部117より出力されたデータが示す画面全体の視差値に対して付加される付加的な視差値のデータである。
【0048】
R信号を用いる理由の1つは、順光に近い環境で、かつ、画面内の明度が大きく異ならない条件で、R信号の大きさが被写体の凹凸の程度と一致する確立が高いからである。他の理由の1つは、赤色等の暖色は色彩学における前進色であり、寒色よりも奥行き方向の手前に認識されやすいからである。
【0049】
図7を用いて、オブジェクト信号補正部118の具体的構成例及びその動作について説明する。
図7において、画像特徴検出部80にはR信号が入力される。画像特徴検出部80は、高周波成分頻度検出部81,82を有する。
【0050】
高周波成分頻度検出部81は、
図8に示すように、1フレームの画面全体である領域RnAにおける高周波成分の頻度を検出する。領域RnAは有効映像期間でよい。高周波成分頻度検出部82は、
図8に示すように、領域RnAよりも狭い画面中央の領域RnBにおける高周波成分の頻度を検出する。領域RnBの大きさは適宜設定すればよい。
【0051】
高周波成分頻度検出部81,82は、具体的に、
図9に示すように構成される。
図9において、ハイパスフィルタ(HPF)801には、R信号が入力される。
【0052】
HPF801は、水平方向においては、
図10の(a)に示すように、ハッチングを付した現在の画素に対し、左右方向に1画素ずつ離れた位置の白で示す画素x_m,x_pの差分を算出する。HPF801は、垂直方向においては、
図10の(b)に示すように、ハッチングを付した現在の画素に対し、上下方向に1画素ずつ離れた位置の白で示す画素y_m,y_pの差分を算出する。
【0053】
HPF801は、
図10の(a),(b)に白で示す画素x_m,x_p,y_m,y_pのデータを生成するための水平方向及び垂直方向の遅延器と、差分を算出する減算器を有する。
図10の(a),(b)より分かるように、ハッチングを付した現在の画素に対する差分値は、水平方向では1画素、垂直方向では1ライン遅れて生成されることになる。水平方向の差分値は水平方向の高周波成分を示し、垂直方向の差分値は垂直方向の高周波成分を示す。
【0054】
絶対値演算部802は、HPF801より入力された差分値を式(2),式(3)に示す計算式によって絶対値化する。Act_Hは水平差分絶対値であり、Act_Vは垂直差分絶対値である。絶対値演算部802は、式(4)に示す計算式によって高周波成分Act_HVを算出する。
【0055】
Act_H=abs(x_m-x_p) …(2)
Act_V=abs(y_m-y_p) …(3)
Act_HV=Act_H+Act_V …(4)
【0056】
2値化演算部803は、絶対値演算部802より入力された高周波成分Act_HVが所定の閾値より大きければ“1”を出力し、閾値以下であれば“0”を出力する。2値化演算部803の出力が“1”であれば、注目画素である現在の画素が高周波成分を有するということである。
【0057】
高周波成分頻度検出部81においては、累積カウンタ804は、領域RnAの期間、2値化演算部803の出力を累積してカウントする。累積カウンタ804のカウント値は、領域RnA内で、2値化演算部803によって高周波成分Act_HVが閾値より大きいと判定された画素の総数を示す。
【0058】
高周波成分頻度検出部82においては、累積カウンタ804は、領域RnBの期間、2値化演算部803の出力を累積してカウントする。累積カウンタ804のカウント値は、領域RnB内で、2値化演算部803によって高周波成分Act_HVが閾値より大きいと判定された画素の総数を示す。
【0059】
高周波成分頻度検出部81においては、レジスタ805は、累積カウンタ804からのカウント値を保持して、高周波成分頻度データAct_Num_Aとして出力する。高周波成分頻度検出部82においては、レジスタ805は、累積カウンタ804からのカウント値を保持して、高周波成分頻度データAct_Num_Bとして出力する。
【0060】
本実施形態では、それぞれのフレームで高周波成分頻度データAct_Num_A,Act_Num_Bを生成しているが、複数フレーム毎に高周波成分頻度データAct_Num_A,Act_Num_Bを生成してもよい。画像特徴検出部80は、画面の所定単位(時間単位)毎に高周波成分頻度データAct_Num_A,Act_Num_Bを生成すればよい。但し、1フレーム毎に高周波成分頻度データAct_Num_A,Act_Num_Bを生成することが好ましい。
【0061】
ここでは、画像データの画面の単位をフレームとして説明したが、インターレース走査によるフィールドを単位とすることもある。この場合、本実施形態におけるフレームをフィールドと読み替えることとする。
【0062】
図7に戻り、高周波成分頻度検出部81より出力された高周波成分頻度データAct_Num_Aは、減算器83に入力される。高周波成分頻度検出部82より出力された高周波成分頻度データAct_Num_Bは、減算器83及び中央部分布割合算出部84に入力される。
【0063】
減算器83は、式(5)に示す計算式によって高周波成分頻度データAct_Num_Aから高周波成分頻度データAct_Num_Bを減算して、それぞれのフレームの領域RnAのうち、画面中央の領域RnBを除いた周辺部の高周波成分頻度データAct_Num_(A-B)を算出する。周辺部の高周波成分頻度データAct_Num_(A-B)は、中央部分布割合算出部84に入力される。
【0064】
Act_Num_(A-B)=Act_Num_A-Act_Num_B …(5)
【0065】
中央部分布割合算出部84は、画面中央の領域RnBの高周波成分頻度データAct_Num_Bと、周辺部の高周波成分頻度データAct_Num_(A-B)とに基づいて、画面の中央部に注目被写体が存在している程度を示す中央部分布割合データAct_Centerを算出する。
【0066】
本実施形態では、画像特徴検出部80において高周波成分が多く検出される部分は背景のような平坦な画像ではなく、所定の絵柄(テクスチャ)を有する画像であるから、高周波成分が多く検出される部分を注目被写体としている。
【0067】
図11に示すように、中央部分布割合算出部84は、減算器841と下限リミッタ842とを有する。減算器841は、式(6)に示す計算式によって、高周波成分頻度データAct_Num_Bから高周波成分頻度データAct_Num_(A-B)を減算して、中央部分布割合データAct_Centerを算出する。
【0068】
Act_Center=Act_Num_B-Act_Num_(A-B) …(6)
【0069】
下限リミッタ842は、減算器841より出力された中央部分布割合データAct_Centerが0未満の値であれば0にする。下限リミッタ842からは、0以上の所定の値をとる中央部分布割合データAct_Centerが出力される。中央部分布割合データAct_Centerは、高周波成分を有する被写体が画面の周囲よりも中央部に位置している程度が大きいほど、大きな値を示すことになる。
【0070】
中央部分布割合データAct_Centerは、リーク型積分回路85に入力される。リーク型積分回路85は、
図12に示すように、加算器851と、レジスタ852と、乗算器853,854を有する。リーク型積分回路85は、
図12に示す構成によって、中央部分布割合データAct_Centerに対して、時間方向にリーク型の積分処理を施す。
【0071】
加算器851は、入力された中央部分布割合データAct_Centerと乗算器853の出力とを加算する。レジスタ852は、加算器851の出力を保持する。乗算器853は、レジスタ852の出力に15/16を乗算して、加算器851へと出力する。乗算器854は、レジスタ852の出力に1/16を乗算して、リーク型の積分処理を施した中央部分布割合データAct_Center_Leakを出力する。
【0072】
リーク型積分回路85によって中央部分布割合データAct_Centerに対してリーク型の積分処理を施すことにより、オブジェクト信号補正部118によって生成されるR’信号は、画像の変化によって急激には変化しない。従って、ステレオペア生成部2によって生成されるステレオペアによるステレオ画像は緩やかに変化することになり、より自然な画質とすることができる。
【0073】
リーク型積分回路85を設けることは必須ではないが、設けることが好ましい。
【0074】
リーク型積分回路85より出力された中央部分布割合データAct_Center_Leakは、ゲイン算出部86に入力される。ゲイン算出部86には、画像情報として、奥行き情報生成部1に入力される画像データの水平幅データH_widthと垂直幅データV_widthも入力される。
【0075】
ゲイン算出部86は、画面の位置に応じて、また、中央部分布割合データAct_Center_Leakの値に応じて、ゲインを算出する。
図13を用いて、画面の位置に応じたゲインの設定について説明する。
図13は、画面の水平方向の位置に応じたゲインの特性を示している。
図13の(a),(b)において、H_Numは水平の画素番号である。
【0076】
図13の(a)は比較のため従来におけるゲインの特性を示している。横軸の左端部が画面の左端部であり、従来は、水平方向の左端部からH_widthで示す右端部まで一定のゲイン1である。
【0077】
これに対して、本実施形態では、
図13の(b)に示すように、水平方向の左端部からH_widthで示す右端部まで太い破線で示す一定のゲイン1の状態と、画面中央部のp1〜p2の範囲で実線で示す1を超えるゲインをとる状態とのいずれかとなる。画面中央部のp1〜p2の範囲のゲインの制限値limは、中央部分布割合データAct_Center_Leakの値に応じて1〜r2の範囲で可変される。即ち、画面中央部のp1〜p2の範囲のゲインは、最大で太い一点鎖線で示す状態となる。
【0078】
図13の(b)に示すゲイン(Gain)の特性を計算式で表すと、式(7)となる。
【0079】
If(H_Num<p1) Gain=(lim-1)×H_Num/p1+1;
If(H_Num<p2) Gain=lim;
If(H_Num<H_width) Gain=(lim-1)×(H_width-H_Num)/(H_width-p2)+1;
…(7)
【0080】
画面中央部のp1,p2の位置は適宜設定すればよい。領域RnBの左端部をp1、右端部をp2としてもよい。即ち、ここでの画面中央部とは、
図8に示す画面中央の領域RnBと同じでもよいし、同じでなくてもよい。
【0081】
図14は、中央部分布割合データAct_Center_Leakの値とゲインの制限値limとの関係を示している。
図14に示すように、中央部分布割合データAct_Center_Leakの値が0であれば制限値limは1である。中央部分布割合データAct_Center_Leakの値が大きくになるに従って、制限値limも順次大きくなる。
【0082】
中央部分布割合データAct_Center_Leakの値がr1のとき、制限値limは最大のr2となる。中央部分布割合データAct_Center_Leakの値がr1以上では、制限値limは最大のr2で一定となる。
【0083】
図13では、画面の水平方向の位置に応じてゲインを異ならせるように設定しているが、画面の垂直方向の位置に応じてゲインを異ならせるように設定してもよい。垂直方向の位置に応じてゲインを異ならせる場合も、
図13と同様、中央部分布割合データAct_Center_Leakの値が大きくなるほど、垂直方向の中央部のゲインを大きくすればよい。画面の水平方向及び垂直方向の双方で、位置に応じてゲインを異ならせるように設定してもよい。
【0084】
図7に戻り、乗算器87には、R信号と、ゲイン算出部86によって算出されたゲインとが入力される。乗算器87は、R信号に対して、ゲイン算出部86から入力されたゲインを乗算して、R’信号として出力する。R’信号は、オブジェクト信号であるR信号を補正した補正オブジェクト信号である。
【0085】
以上より分かるように、オブジェクト信号補正部118(特に、ゲイン算出部86及び乗算器87)は、中央部分布割合算出部84で算出された中央部分布割合データAct_Center(Act_Center_Leak)の大きさに応じて、画面中央部における非立体画像信号(R信号)の振幅を増大させるよう補正して、補正非立体画像信号(R’信号)を出力する振幅補正部として動作している。
【0086】
以上のようにして生成されたR’信号は、
図2の加算器119に入力される。加算器119は、合成部117より出力された画面全体の視差値を示すデータとR’信号とを加算して、奥行き推定データとして出力する。
【0087】
図15を用いて、本実施形態による効果について説明する。
図15において、(a)は従来の処理による擬似立体画像であり、(b)は本実施形態の処理による擬似立体画像である。
図15の(a)の擬似立体画像は、特許文献1に記載されている画面全体の視差値を示すデータに対してR信号をそのまま加算する処理による画像である。
【0088】
図15の(a),(b)は、シフト量0〜255を黒から白までのグレースケールで表現している。シフト量0は視差が0の状態であり、シフト量255は飛び出し方向の視差が最大の状態である。
【0089】
図15の(a),(b)は、画面の中央部に注目被写体が集中して配置されている画像の例である。従来では、
図15の(a)に示すように、注目被写体(特に花の画像)の立体の程度が限定的である。
【0090】
これに対して、本実施形態によれば、
図15の(b)に示すように、注目被写体(特に花の画像)のシフト量が大きくなり、より飛び出して見えることから、立体の程度が大きく改善されていることが分かる。
【0091】
図13の(b)に示すゲインの特性より分かるように、画面の周辺部から中央部へとゲインが順次増大し、中央部から周辺部へとゲインが順次減少していくので、擬似立体画像の奥行きはなだらかに変化する。従って、違和感を生じさせることはない。本実施形態によれば、画面中央部に向かってオブジェクト(被写体)の奥行きがなだらかに変化し、丸みを帯びたような立体効果を得ることができる。
【0092】
本実施形態によれば、画面の中央部に注目被写体が存在している程度に応じて画面中央部を飛び出させることができ、画像の絵柄に応じて適切な飛び出しの程度とすることができる。
【0093】
以上説明した本実施形態においては、ステレオペア生成部2が2視点の画像データを生成し、ステレオ画像表示装置3が2視点の画像データに基づいて立体画像を表示する構成を示している。3視点以上の画像データを生成し、3視点以上の画像データに基づいて立体画像を表示するいわゆる多視点画像表示装置によって立体画像を表示してもよい。
【0094】
ステレオ画像表示装置3は、偏光めがねを用いたプロジェクションシステム、時分割表示と液晶シャッタめがねとを組み合わせたプロジェクションシステムもしくはディスプレイシステム、レンチキュラ方式のステレオディスプレイ、アナグリフ方式のステレオディスプレイ、ヘッドマウントディスプレイ等のいずれでもよい。
【0095】
プロジェクタシステムは、ステレオペアのそれぞれの画像データを投射する2台のプロジェクタで構成することができる。
【0096】
本実施形態の奥行き情報生成装置または擬似立体画像生成装置をハードウェアによって構成してもよいし、コンピュータプログラムによるソフトウェアによって構成してもよい。
【0097】
コンピュータに以上説明した奥行き情報生成装置及び方法、や似立体画像生成装置及び方法と同様の処理を実行させる場合、奥行き情報生成プログラムや擬似立体画像生成プログラムを記録媒体より読み出してコンピュータにインストールさせてもよいし、奥行き情報生成プログラムや擬似立体画像生成プログラムを、ネットワークを介してコンピュータにインストールさせてもよい。
【0098】
本発明は以上説明した本実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。