特許第5780250号(P5780250)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5780250
(24)【登録日】2015年7月24日
(45)【発行日】2015年9月16日
(54)【発明の名称】読取装置用線状光源装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/04 20060101AFI20150827BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20150827BHJP
   F21S 2/00 20060101ALI20150827BHJP
   G03B 27/54 20060101ALI20150827BHJP
【FI】
   H04N1/04 101
   G06T1/00 420F
   F21S2/00 443
   F21S2/00 435
   F21S2/00 432
   G03B27/54 A
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-39043(P2013-39043)
(22)【出願日】2013年2月28日
(65)【公開番号】特開2014-168142(P2014-168142A)
(43)【公開日】2014年9月11日
【審査請求日】2014年1月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000102212
【氏名又は名称】ウシオ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106862
【弁理士】
【氏名又は名称】五十畑 勉男
(72)【発明者】
【氏名】多田 元典
(72)【発明者】
【氏名】至極 稔
【審査官】 橋爪 正樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−044336(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0195166(US,A1)
【文献】 特開2011−182370(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/024− 1/207
G06T 1/00
F21S 2/00
G03B27/52 −27/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円柱状の導光体と、その端面に対向配置されたLED素子と、前記導光体に対向配置された反射鏡と、前記導光体を支持する支持台とを備え、
前記導光体には、第1の反射部とそれに対向する第1の光出射面、および第2の反射部とそれに対向する第2の光出射面が形成され、
前記第1の反射部からの反射光が前記第1の光出射面から原稿載置面に向けて出射され、前記第2の反射部からの反射光が前記第2の光出射面から前記反射鏡に向けて出射される、
読取装置用線状光源装置において、
前記導光体には、互いに直径方向の反対側に位置して放射方向に突出する第1の突部と第2の突部とが設けられ、
前記導光体は、前記突部によって前記支持台上に載置固定され、
前記導光体の円周面上で前記第1の光出射面に近接している方の前記第1の突部の突出長が、前記第2の突部の突出長よりも小さく、該第1の突部の側面から光が外部に漏れ出て原稿載置面に向かうことがない程度の長さであることを特徴とする読取装置用線状光源装置。

【請求項2】
前記第1の突部および第2の突部は、前記導光体の長手方向に不連続に設けられた複数の突部であることを特徴とする請求項1に記載の読取装置用線状光源装置。
【請求項3】
前記第1の突部の長手方向幅が、前記第2の突部の長手方向幅よりも小さいことを特徴とする請求項2に記載の読取装置用線状光源装置。
【請求項4】
前記支持台は傾斜平面部を備え、
前記第1の突部および前記第2の突部が該傾斜平面部に当接されることにより前記導光体が固定され、
前記第1の突部が原稿載置面側に位置することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の読取装置用線状光源装置。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は読取装置用線状光源装置に関するものであり、特に、ファクシミリ、複写機、イメージスキャナー、バーコードリーダ等に使用される画像読取装置の照明用光源として利用される線状光源装置に係わるものである。
【背景技術】
【0002】
上記画像読取装置においては、原稿面からの反射光によって原稿面の文字・画像情報を読み取るべく、原稿面を照射するために、走査方向に光を照射する線状光源装置が搭載されている。
このような線状光源装置にとしては、特開2008−216409号公報(特許文献1)に開示されるような、発光素子(LED素子)と透明樹脂製の円柱状の導光体とを備えたものが知られている。
【0003】
図6に、該従来技術に係る線状光源装置が示されている。
線状光源装置20を構成する透明な円柱状の導光体21は、主走査方向に細長く成形されており、該導光体21の長手方向の端面に同図では不図示の発光素子(LED素子)が配置されている。
導光体21の前方上面側には第1の光出射面23aおよび第2の光出射面23bが形成され、これに対向する後方底面側には、それぞれ第1の反射部22aと第2の反射部22bが形成されている。導光体21の端面に、発光素子からの光が入射すると、導光体内部を長手方向に導かれ、その間に第1の反射部22aおよび第2の反射部22bに入射した光が全反射して、それぞれ第1の光出射面23aおよび第2の光出射面23bから出射される。
前記導光体21の第1の光出射面23aから出射された光Pは直接原稿載置面40に集光し、一方、第2の光出射面23bから放射された光Qは、該第2の光出射面23bに対向配置された樋状ないし板状の反射鏡35で反射されて、その反射光Rが前記原稿載置面40に集光する。
【0004】
そして、前記導光体21には、その円周方向の互いに略反対側に位置して放射方向に同一高さだけ突出する第1の突部24と第2の突部25とが設けられていて、該突部24、25が支持台30の傾斜固定面31に当接されることにより、前記導光体21は該支持台30上に載置固定され位置決めされている。
【0005】
このような構成とすることにより、導光体21を支持台30上に精度よく位置決めすることができるものである。
しかしながら、上記構成の導光体21は、第1の反射部22aで反射された光の一部が第1の突部24から漏れ出てしまい、光の利用効率が低下するという不具合が生じていた。
これを本発明の効果を説明する図5によって説明すると、導光体21の第1の反射部22aによって反射された光の内、第1の光出射面23a以外に向かう光は、導光体21の外周面で全反射されて再び導光体21内に戻されることが期待されるものであるが、図中点線で表示したように、第1の突部24の側面24aに入射する光の入射角は、臨界角よりも小さいために全反射せずに界面(側面24a)を透過して導光体21の外部に漏れ出てしまい、原稿読取面に向かうことがなく、その分だけ光の利用効率が低下するためである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−216409号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明は、上記従来技術の問題点に鑑みて、LED光源と導光体とからなり、前記導光体には、第1の反射部とそれに対向する第1の光出射面、および第2の反射部とそれに対向する第2の光出射面が形成され、前記第1の反射部からの反射光が前記第1の光出射面から原稿載置面に向けて出射され、前記第2の反射部からの反射光が前記第2の光出射面から前記反射鏡に向けて出射される読取装置用線状光源装置において、前記第1の反射部で反射された光が、前記導光体を前記支持台に固定するために形成した突部から漏れ出ることを極力抑制して、光の利用効率が低下するという不具合を改善した構造を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、この発明に係る読取装置用線状光源装置は、前記導光体には、互いに直径方向の略反対側に位置して放射方向に突出する第1の突部と第2の突部とが設けられ、前記導光体は、前記突部によって前記支持台上に載置固定され、前記導光体の円周面上で前記第1の光出射面に近接している方の前記第1の突部の突出長が、前記第2の突部の突出長よりも小さいことを特徴とする。
また、前記第1の突部および第2の突部は、前記導光体の長手方向に不連続に設けられた複数の突部であることを特徴とする。
また、前記第1の突部の長手方向幅が、前記第2の突部の長手方向幅よりも小さいことを特徴とする。
また、前記支持台は傾斜平面部を備え、前記第1の突部および前記第2の突部が該傾斜平面部に当接されることにより前記導光体が固定され、前記第1の突部が原稿載置面側に位置することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
この発明の読取装置用線状光源装置によれば、導光体に突出形成される突部のうち、円周面上で第1の光出射面に近接している方の第1の突部の突出長を、第2の突部の突出長よりも小さくしたことにより、前記第1の反射部で反射されて前記第1の突部に向かう光のうち、該突部の側面に当たる成分を小さくして、殆どを突出外端面に向かわせて、ここで全反射させ、導光体内に戻すことができるので、前記突部の側面から外部に放射される光を極力抑制できて、光の利用効率を向上させることができるものである。
また、前記第1の突部および前記第2の突部を、前記導光体の長手方向に不連続に設けられた複数の突部からなるものとしたので、連続的に設けた場合よりも該第1の突部からの光の漏出を減少することができる。
また、前記第1の突部の長手方向幅を、前記第2の突部の長手方向幅よりも小さくしたことにより、導光体の固定の確実性を第2の突部によって維持しつつ、第1の突部からの光の漏出を更に小さなものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の読取装置用線状光源装置の導光体の断面図。
図2図1のA矢視図。
図3図1のB矢視図。
図4】導光体と支持台を表す説明図。
図5】本発明の効果を説明する断面図。
図6】従来の読取装置用線状光源装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本発明の読取装置用線状光源装置の導光体を示す断面図であり、透明樹脂製の円柱状の導光体1は、その長手方向に沿って第1の反射部2aと、第2の反射部2bとが形成されていて、これら第1反射部2aおよび第2の反射部2bにそれぞれ対向する外表面には第1の光出射面3aと第2の光出射面3bとが形成される。
この導光体1には、互いに直径方向の略反対側に位置して、第1の突部4と第2の突部5とが放射方向に突出して設けられている。
そして、前記第1の突部4は、その突出長Xが、前記第2の突部5の突出長Yよりも小さく形成されている。
【0012】
図2は、図1のA矢視図であり、同図には、導光体1の端面に発光素子であるLED素子が配置されたものが示されている。
即ち、導光体1の長手方向の側面1aにはLED素子8が配置されていて、該LED素子8から側面1aに入射した光は、導光体1を長手方向に進むとともに、第1の反射部2aおよび第2の反射部2bで反射されて第1光出射面3aおよび第2の光出射面3bから出射される。
【0013】
図3図1のB矢視図であり、前記第1の突部4と第2の突部5との長手方向幅の関係が示されている。
導光体1の長手方向に沿って設けられた第1の突部4および第2の突部5は、ともに、連続的な突部ではなく、長手方向に不連続な複数の小さな突部からなる。このように、不連続な突部とすることにより、連続的な突部とした場合に比べて、第1の突部4から漏れ出る光を少なくすることができる。
そして、その第1の突部4の長手方向幅Mは、第2の突部の長手方向幅Nよりも小さくされている。
これにより、第2の突部5による導光体1の固定機能を保ちつつ、第1の突部4からの光の漏出をより小さなものとすることができる。
【0014】
図4に導光体1と支持台6との関係が示されていて、(A)は分解側面図、(B)は固定時の側面図である。
支持台6には、斜めに形成された傾斜固定面6aと、この傾斜固定面6aに開口し、導光体1を受容する円弧状凹部からなる受容面6bと、が形成されている。
図4(B)に示すように、導光体1は、支持台6の受容面6bに収納するように載置される。そして、導光体1の第1の突部4および第2の突部5が傾斜固定面に当接して位置決めされるが、このとき、図6の従来例の配置と同様に、導光体1の円周面上で第1の光出射面3aに近接している方の第1の突部4が、原稿載置面側に位置するように配置される。
そして、図示しない適宜の固定手段によって第1の突部4および第2の突部5を固定することにより、導光体1を支持台6の所定の位置に位置決め固定するものである。
【0015】
本発明の効果を、図5を用いて説明する。
同図においては、従来技術による第1の突部24を点線で示し、本発明の第1の突部4を実線で示している。
第1の反射部2a(22a)で反射された光Aは第1の光出射面3a(23a)から原稿載置面に向けて出射されるが、一部の光B、Cは第1の突部4(24)に向かう。従来技術による第1の突部24では、第2の突部25の突出量と同じであるので、該第1の突部24に向かう光B、Cはその側面24aに当たるが、その光の入射角は、臨界角よりも小さいために全反射せずに、そのまま外部に漏れ出てしまう。
これに対して本発明においては、第1の突部4の突出長を第2の突部5の突出長より小さくしてあるので、前記光B、Cのうち光Bはその側面4aに当たることなく、突出外端面4bに向かい、ここで全反射して反射光Dが導光体1内に戻される。
これにより、従来、第1の突部24の側面24aに向かい、そこから外部に漏れ出ていた光の内の一部が、該突部4の側面4aではなく突出外端面4bに当たることになり、これが導光体1内に戻されるので、第1の反射部4からの光の漏出を少なくすることができる。
【0016】
なお、上記第1の突部4の突出外端面4bを、導光体1の円周面と同心状の円弧形状とすることにより、該突出外端面4bでの反射をより確実なものとすることができる。
また、導光体1の支持台6への固定の確実性は、下方に位置する第2の突部5によるところが大きく、第1の突部4の突出長はこの固定力を損なわない程度に小さなものとすることが好適である。
【0017】
以上のように、本発明においては、LED光源と導光体とからなる読取装置用線状光源装置において、導光体を支持台に固定する突部の内、導光体に形成される第1の光出射面に近接している方の第1の突部の突出長を、第2の突部の突出長よりも小さいことにより、第2の反射部から反射された光の内、前記第1の突部に向かう光が外部に漏出する割合を小さなものして、光の利用効率を向上させることができるものである。
【符号の説明】
【0018】
1 導光体
2a 第1の反射部
2b 第2の反射部
3a 第1の光出射面
3b 第2の光出射面
4 第1の突部
5 第2の突部
6 支持台
6a 受容面
6b 傾斜固定面
X 第1の突部の突出長
Y 第2の突部の突出長
M 第1の突部の長手方向幅
N 第2の突部の長手方向幅


図1
図2
図3
図4
図5
図6