(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
ファクシミリ、複写機、スキャナなどの機器は、原稿面からの反射光によって原稿面の文字・画像情報を読み取る原稿読取装置を有し、この原稿読取装置には、原稿面を照明する光源装置が搭載されている。
この原稿読取用の光源装置においては、副走査方向における幅の大きい高照度照明領域を形成することができるものが求められており、このような光源装置としては、一端にLED素子が配置された棒状の導光体と、この導光体に並ぶよう配置された第1の反射鏡および第2の反射鏡とを具え、導光体が、LED素子からの光を原稿載置面に向かって反射する第1の反射部と、LED素子からの光を第1の反射鏡および第2の反射鏡に向かって反射する第2の反射部とを有してなるものが提案されている(特許文献1参照。)。
【0003】
図16は、原稿読取装置に搭載される従来の光源装置における導光体の構成を示す説明図である。この導光体80においては、その長手方向に垂直な断面における外周輪郭が円弧状の光出射面81が、当該導光体80の長手方向に沿って形成されている。導光体80における光出射面81に対向する周面には、LED素子86からの光を原稿載置面(図示省略)に向かって反射する第1の反射部82が、導光体80の半径方向に突出した状態で当該導光体80の長手方向に沿って形成されていると共に、この第1の反射部82から導光体80の周方向に離間した位置に、LED素子86からの光を反射鏡(図示省略)に向かって反射する第2の反射部83が、導光体80の半径方向に突出した状態で当該導光体80の長手方向に沿って形成されている。また、導光体80における光出射面81と第1の反射部82との間には、導光体80の長手方向に伸びる保持用突条部85が形成されている。87は、導光体80の一端面とLED素子86との間の空間を取り囲むよう配置されたミラーである。
【0004】
然るに、上記の光源装置においては、導光体80における第1の反射部82および第2の反射部83が半径方向に突出した状態に形成されており、導光体80全体が複雑な形状であることから、導光体80自体の製造コストが高く、しかも、2つの反射鏡を用いるため、光源装置の製造コストが高い、という問題がある。
【0005】
この問題を解決するため、本発明者らは、導光体として簡単な形状例えば円柱状のものを用いると共に、1つの反射鏡を用いた光源装置について検討を行った。
この光源装置は、
図17に示されるように、透光性材料よりなる棒状の導光体90と、この導光体90の長手方向における端面に対向して配置されたLED素子(図示省略)と、導光体90に並列して配置された、当該導光体90からの光を原稿載置面1に向かって反射する1つの反射鏡20とを具えてなるものである。なお、
図17において、2は原稿、5は原稿載置台を示す。
そして、導光体90として、
図18および
図19に示されるように、内方に窪んだ凹部92H,93H(
図19参照)が複数並んで長手方向に沿って形成された凹部列を2列有する、長尺な円柱状のものを用いた。この導光体90においては、凹部列の一方は第1の反射部92とされてLED素子からの光を原稿載置面1に向かって反射するよう設けられたものであり、他方は第2の反射部93とされてLED素子からの光を反射鏡20に向かって反射するよう設けられたものである。
【0006】
しかしながら、このような導光体90を用いて光源装置を構成した場合には、原稿載置面1の副走査方向における照度分布(以下、「断面配光」ともいう。)の均一性が高い照明領域を形成することが困難であることが判明した。以下、この問題について具体的に説明する。
上記の光源装置においては、LED素子から導光体90に入射された光は、第1の反射部92によって、導光体90の光出射面91から原稿載置面1に向かって出射されると共に、第2の反射部93によって、導光体90の光出射面91から反射鏡20に向かって出射され、更に、反射鏡20に向かって出射された光は、当該反射鏡20によって原稿載置面1に向かって反射される。そして、原稿載置面1においては、第1の反射部92から原稿載置面1に直接照射される光(以下、「直接光」ともいう。)による照明領域(以下、「直接光照明領域」ともいう。)と、導光体90における第2の反射部93から反射鏡20を介して原稿載置面1に照射される光(以下、「間接光」ともいう。)による照明領域(以下、「間接光照明領域」ともいう。)とが、それらの一部が互いに重畳して形成されることにより、当該原稿載置面1に主走査方向に伸びる帯状の高照度照明領域が形成される。
【0007】
然るに、上記の光源装置によって形成される高照度照明領域は、
図20に示すように、直接光の断面配光aおよび間接光の断面配光bを重畳して得られる合成光の断面配光cが、断面の中心(原稿読取軸Y)からの距離が大きくなるほどその照度が低下するという山型の形状を呈しており、所期の断面配光の均一性が高い高照度照明領域を形成することができなかった。
このような問題が生じた原因は、以下のように推測される。すなわち、導光体90の凹部92H,93Hの各々によって反射された光は、まず各反射部92,93によって一定の方向に集光され、かつ、導光体90における光出射面91においてもレンズの作用で集光される。その結果、直接光も間接光も、原稿載置面1において急峻な照度のピークを有する光となることにあると考えられる。
【0008】
このような問題を解決する一つの手段として、例えば、導光体と拡散反射面との距離を大きくすることが考えられる。
例えば、上記の光源装置においては、導光体90は、
図17に示されているように、導光体90の光出射面91が所定の方向を向いた状態で導光体保持台45に保持されて固定されている。具体的には、導光体保持台45には、断面が円形の導光体90の形状に合わせて樋状にくり抜かれた形状の保持凹部が形成されており、導光体90の全体が導光体保持台45の保持凹部に嵌合されている。そして、この保持凹部の表面は、光を拡散反射する拡散反射面18とされている。この拡散反射面18によって、導光体90の外面における光出射面91と反対側の導光体背面から出射された光が、拡散反射された状態で再び当該導光体背面に入射されて利用されるので、断面配光の均一性を高めることができる。
そして、この導光体90と拡散反射面18との距離を大きくするほど、導光体背面から出射された光の反射方向を拡げることができて断面配光の均一性を高める効果が高い。
しかしながら、導光体と拡散反射面との距離が大きくなると製品サイズの拡大を招くために好ましくない。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明のライン照明装置が組み込まれた光源装置の実施の形態について説明する。
図1は、原稿読取装置に搭載された本発明の光源装置の一例における構成を示す平面図、
図2は、
図1に示す光源装置のX−X線断面図、
図3は、
図1に示す光源装置における導光体を示す平面図、
図4は、
図1に示す光源装置における導光体を長手方向に切断して示す断面図、
図5は、
図3に示す導光体の表面を拡大して示す部分平面図である。
この光源装置は、原稿読取装置において原稿2が載置される透光性を有する原稿台5の下方に配置され、原稿台5の原稿載置面1に平行な平面に沿って主走査方向に伸びるよう配置された棒状の導光体10と、この導光体10に原稿載置面1に垂直な原稿読取軸Yを介して副走査方向に離間して並列した状態で配置された、主走査方向に伸びる長尺な矩形の板状の反射鏡20とを有する。
本発明において、「副走査方向」とは、原稿載置面1に対して光源装置を相対的に移動させるときの移動方向を意味し、「主走査方向」とは、副走査方向と垂直な方向であって原稿載置面に対して平行な方向を意味する。
【0018】
図1に示すように、導光体10の一端面(
図1において左端面)に対向する位置には、LED素子30が、当該導光体10の一端面から離間して配置されている。また、導光体10の一端には、当該導光体10の一端面とLED素子30との間の空間を取り囲むようミラー31が配置されている。図示の例では、導光体10の他端面(
図1において右端面)に対向する位置にも、LED素子30が、当該導光体10の他端面から離間して配置され、当該導光体10の他端には、当該導光体10の他端面とLED素子30との間の空間を取り囲むようミラー31が配置されている。
【0019】
導光体10は、シャーシ40Aによって固定されて保持され、反射鏡20は、シャーシ40Bによって固定されて保持されている。具体的に説明すると、導光体10を保持するシャーシ40Aは、基台41Aと、この基台41A上に設けられた、導光体10と同方向に伸びる導光体保持台45とを有する。また、反射鏡20を保持するシャーシ40Bは、基台41Bと、この基台41B上に導光体保持台45から離間して並ぶよう設けられた、反射鏡20と同方向に伸びる反射鏡保持台46とを有する。
そして、導光体10は、光出射面11が所定の方向を向いた状態で導光体保持台45に保持されて固定されている。具体的には、導光体10には、その周面から突出し、長手方向に伸びる位置決め用の凸部(図示省略)が形成され、導光体保持台45には、導光体10の断面形状に合わせて樋状にくり抜かれた形状の保持凹部と、導光体10の凸部に適合する形状の凹部(図示省略)とが形成されており、導光体10の凸部が導光体保持台45の凹部に嵌合した状態で、導光体10の全体が導光体保持台45の保持凹部に保持されることによって固定されている。
【0020】
導光体10を固定する導光体保持台45の保持凹部の表面は、拡散反射面18とされており、この例の光源装置においては、導光体10と、拡散反射面18を有する導光体保持台45とによって、ライン照明装置が構成されている。
この拡散反射面18は、凹部12H,13Hによって光出射面11に向かって反射されずに、導光体10の外面における光出射面11と反対側の導光体背面から出射されてしまった光を、拡散反射して再び当該導光体背面に入射させる機能を有するものである。
拡散反射面18は、例えば導光体保持台45が白色の樹脂によって成型されたものである場合など、保持凹部の露出面が拡散反射機能を有する場合は、露出面そのままであってもよい。また、導光体保持台45の保持凹部に白色塗料を塗布して形成されたものであってもよく、保持凹部に拡散反射シート等の反射部材が設けられて形成されたものであってもよい。
【0021】
反射鏡20は、反射面が所定の方向を向いた状態で反射鏡保持台46に保持されている。また、シャーシ40A,40Bの各々の間には、原稿2からの原稿反射光を透過させる空隙44が導光体保持台45および反射鏡保持台46と同方向に伸びるよう形成されており、これにより、原稿2からの反射光が、例えば光源装置の下方に配置されたCCDに受光される。また、シャーシ40Aにおける基台41A上には、LED素子30に給電するための配線32が配置されている。なお、
図1において、50は、LED素子30が発する熱を放散するためのヒートシンクである。
【0022】
導光体10は、例えば、その長手方向に垂直な断面の輪郭形状が円形とされたものとすることができる。この導光体10の外周面における原稿載置面1および反射鏡20に臨む領域には、光出射面11が当該導光体10の長手方向に沿って形成されている。導光体10の外周面における光出射面11と反対側の導光体背面には、LED素子30からの光を原稿載置面1に向かって反射する第1の反射部12が形成されていると共に、当該導光体背面における第1の反射部12から周方向に離間した位置に、LED素子30からの光を反射鏡20に向かって反射する第2の反射部13が、当該導光体10の長手方向に沿って形成されている。
この例の光源装置においては、導光体10が長手方向に垂直な断面が円形のものであるため、当該導光体10を容易に製造することができる。
【0023】
この例における第1の反射部12および第2の反射部13の各々は、
図5に示すように、導光体10の外面に当該導光体10の長手方向に並ぶよう形成された複数の内方に窪んだ凹部12H,13Hによる凹部列から構成されている。このような凹部12H,13Hは、CO
2 レーザ装置を用いたレーザ加工によって、導光体10の外面に形成することができる。
【0024】
そして、本発明においては、
図6に示されるように、第1の反射部12および第2の反射部13を構成する凹部12H,13Hの各々の周縁部に、当該凹部12H,13Hに連続する状態で外方に突出する周縁突起部12P,13Pが形成されている。このような周縁突起部12P,13Pは、CO
2 レーザ装置を用いたレーザ加工によって、または、加熱された刃等を当てる加熱溶融加工によって、凹部12H,13Hと同時にまたは凹部12H,13Hを形成した後に、導光体10の外面に形成することができる。
【0025】
第1の反射部12および第2の反射部13を構成する凹部12H,13Hの寸法例としては、凹部12H,13Hの深さdが0.05mm、導光体10の長手方向の幅sが0.2mm、ピッチは、凹部13Hについては長手方向に0.4〜0.6mm、凹部12Hについては長手方向に0.7〜1.0mmである。
また、周縁突起部12P,13Pの寸法例としては、幅tが0.05mm、高さhが0.02mmである。
【0026】
この例の光源装置においては、
図7に示される、導光体10と拡散反射面18との離間距離、すなわち導光体10における周縁突起部12P,13Pの頂部と拡散反射面18との距離kが、例えば0.2mmとされている。
この距離kが大きいほど拡散反射面18を用いた光の拡散効率が高くなる。
【0027】
導光体10は透光性材料によって構成されている。導光体10を構成する透光性材料としては、ポリメチルメタクリレート樹脂等のアクリル系樹脂、シクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンコポリマーなどを用いることができ、このような材料を用いることにより、射出成形法によって導光体10を容易に作製することができると共に、レーザ加工によって、当該導光体10の外面に複数の凹部12H,13Hよりなる第1の反射部12および第2の反射部13を容易に形成することができる。
【0028】
LED素子30としては、白色LED素子を用いることができる。
また、シャーシ40A,40Bにおける基台41A,41Bを構成する材料としては、アルミニウムなどの金属材料を用いることができ、導光体保持台45および反射鏡保持台46を構成する材料としては、アルミニウムなどの金属材料、ポリカーボネート樹脂などの樹脂材料を用いることができる。
【0029】
このような光源装置においては、LED素子30から放射される光がミラー31に反射されて導かれて、導光体10にその端面から入射され、この導光体10によって当該導光体10の長手方向に導かれる。
導光体10の長手方向に導かれた光は、
図8に示されるように、その一部が第1の反射部12および第2の反射部13を構成する凹部12H,13Hの各々によって反射されて導光体10の光出射面11から出射される。
一方、導光体10の長手方向に導かれた光の他の一部は、凹部12H,13Hによって光出射面11に向かって反射されずに導光体背面から出射されて拡散反射面18に到達し、拡散反射されて導光体背面から再び導光体10に入射され、当該導光体10を通過して光出射面11から出射される。
光出射面11から出射された光のうち、第1の反射部12に係る領域から出射された光(直接光)は、原稿台5上に載置された原稿2の一面に照射されると共に、第2の反射部13に係る領域から出射された光は、反射鏡20によって反射され、この反射光(間接光)が原稿台5上に載置された原稿2の一面に照射される。
そして、原稿2の一面においては、第1の反射部12からの光によって直接光照明領域が形成されると共に、反射鏡20からの反射光によって間接光照明領域が形成される。そして、直接光照明領域および間接光照明領域の各々の一部が互いに重畳することによって、主走査方向に伸びる帯状の高照度照明領域が形成される。
【0030】
このように導光体背面から出射されてしまう光のうち、周縁突起部12P,13Pを通過する光は、当該周縁突起部12P,13Pによって屈折されて、導光体10の導光体背面となす角度が小さい、拡がった状態で導光体背面から出射される(
図8の矢印d参照。)。従って、拡散反射面18において光が照射される領域D
1 が周縁突起部12P,13Pを有さない場合の領域D
2 と比べて拡がるので、拡散反射面18によって反射されて再度利用される光の拡散効果が大きくなる。その結果、導光体10と拡散反射面18との離間距離を大きくすることなく、副走査方向における照度の均一性が高い高照度照明領域を形成することができる。
【0031】
上記の光源装置によれば、周縁突起部12P,13Pが設けられていることにより、導光体背面から外部に出射されてしまう光のうち当該周縁突起部12P,13Pを通過する光が、当該周縁突起部12P,13Pによって屈折されて拡がった状態で出射される。従って、拡散反射面18において光が照射される領域が周縁突起部12P,13Pを有さない場合と比べて拡がるので、拡散反射面18によって反射されて再度利用される光の拡散効果が大きくなる。その結果、導光体10と拡散反射面18との離間距離を大きくすることなく、副走査方向における照度の均一性が高い高照度照明領域を形成することができる。
【0032】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されず、種々の変更を加えることが可能である。
例えば、第1の反射部および第2の反射部を構成する凹部は、略真円状のものであることに限定されない。また、周縁突起部は、全周にわたって形成されたものであることに限定されない。
【0033】
具体的には、
図9および
図10に示すように、導光体21の外面に形成された第1の反射部22および第2の反射部23を構成する各凹部22H,23Hが、導光体21の内方に窪んだ、導光体21の周方向に伸びる長円状のものである。
また、周縁突起部22P,23Pが、凹部22H,23Hの各々の周縁部における、周方向に伸びる縁部にのみ当該凹部22H,23Hに連続する状態で導光体21の半径方向に突出するよう形成されている。そして、凹部22H,23Hの各々の周縁部における、導光体21の長手方向に伸びる縁部には、突出部が僅かしか形成されていない、または形成されていない。
【0034】
この例の光源装置において、凹部22H,23Hの寸法例としては、凹部22H,23Hの深さが0.05mm、第1の反射部22の凹部22Hの導光体21の長手方向の幅v1が0.2mm、周方向の幅w1が1.3mm、第2の反射部23の凹部23Hの導光体21の長手方向の幅v2が0.2mm、周方向の幅w2が0.8mm、ピッチは、凹部23Hについては長手方向に0.4〜0.6mm、凹部22Hについては長手方向に0.7〜1.0mmである。
また、周縁突起部22P,23Pの寸法例としては、最大の幅uが0.05mm、高さが0.02mmである。
【0035】
このような凹部22H,23Hおよび周縁突起部22P,23Pは、CO
2 レーザ装置を用いたレーザ加工によって、導光体10の外面に形成することができる。
具体的には、水平な方向Xに移動可能なリニアステージ上に、導光体21の長手方向が水平となるように、かつ、導光体21の長手方向がリニアステージの移動方向と一致するように載置する。
リニアステージの直上にはCO
2 レーザを設置されている。
そして、リニアステージを方向Xに移動させることによって、導光体21の長手方向における凹部22H,23Hおよび周縁突起部22P,23Pを形成するべき位置を選択することができる。一方、CO
2 レーザのスポット位置を移動させることによって、導光体21の周方向における凹部22H,23Hおよび周縁突起部22P,23Pを形成するべき位置を選択することができる。
また、凹部22H,23Hの長手方向の幅v1,v2はCO
2 レーザのスポット径によって決定することができ、凹部22H,23Hの周方向の幅w1,w2は、CO
2 レーザのスポット位置の移動距離によって決定することができる。凹部22H,23Hの深さおよび周縁突起部22P,23Pの最大の幅uは、CO
2 レーザのパワーによって決定することができる。
【0036】
1つの凹部23Hおよび周縁突起部23Pを形成するためのレーザ照射工程について以下に示す。
まず、導光体21をリニアステージ上に載置させた状態で、リニアステージを方向Xに移動させ、導光体21の長手方向における凹部23Hおよび周縁突起部23Pを形成するべき位置を決める。
そして、パワー20W、スポット径約φ0.1mmに集光したCO
2 レーザを、導光体21に照射し、スポット位置を1000mm/sの速さで、導光体21の周方向に0.75mm移動させながら照射する。
これにより、導光体21の周方向に延びた直線状の、導光体21の周方向に長さ0.8mm、導光体21の長手方向に幅0.2mm(周縁突起部23Pを含むと幅0.3mm)、深さ0.05mmの凹部23Hが形成される。
このようなレーザ照射工程を行うことによって、凹部23Hの周縁部には周縁突起部23Pが同時に形成される。周縁突起部23Pは、導光体21の周方向に伸びる長い縁部にのみ当該凹部23Hに連続する状態で導光体21の半径方向に突出する突出部として形成される。導光体21の長手方向に伸びる縁部には周縁突起部23Pを構成する突出部が僅かに形成される、あるいは、まったく形成されない。
【0037】
上記のようなレーザ照射工程を、リニアステージを方向Xに移動させて導光体21の長手方向における加工位置を変えて繰り返し行うことによって、間接光を出射する第2の反射部23が形成される。
また、上記のようなレーザ照射工程を、CO
2 レーザのスポット位置、および、リニアステージの方向Xにおける位置を変えて繰り返し行うことによって、直接光を出射する第1の反射部22が形成される。
【0038】
また例えばLED素子30は、導光体10の一端側のみに配置されていてもよい。このような構成においては、導光体10の他端面に、LED素子30からの光を拡散反射する光拡散反射板が配置されていてもよい。
光拡散反射板としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)等の樹脂中に、酸化チタン、炭酸カルシウム、ガラスビーズ等が含有されてなるものを用いることができる。
【0039】
また例えば、導光体は、その長手方向に垂直な断面の輪郭形状が円形とされていることに限定されない。
具体的には、例えば、
図11に示されるように、従来の光源装置に用いられている導光体80のような、第1の反射部72および第2の反射部73が半径方向の外方に突出した状態に形成された、全体が複雑な形状を有する構成の導光体70であってもよい。
この導光体70においては、その長手方向に垂直な断面における外周輪郭が円弧状の光出射面71が、当該導光体70の長手方向に沿って形成されている。導光体70における光出射面71に対向する周面には、LED素子からの光を原稿載置面に向かって反射する第1の反射部72が、導光体70の半径方向に突出した状態で当該導光体70の長手方向に沿って形成されていると共に、この第1の反射部72から導光体70の周方向に離間した位置に、LED素子からの光を反射鏡に向かって反射する第2の反射部73が、導光体70の半径方向に突出した状態で当該導光体70の長手方向に沿って形成されている。また、導光体70における光出射面71と第1の反射部72との間には、導光体70の長手方向に伸びる保持用突条部75が形成されている。
第1の反射部72および第2の反射部73の各々は、当該第1の反射部72および第2の反射部73の外面に導光体70の長手方向に並ぶよう形成された複数の内方に窪んだ凹部72H,73Hによる凹部列から構成されている。そして、当該凹部72H,73Hの各々の周縁部に、当該凹部72H,73Hに連続する状態で外方に突出する周縁突起部72P,73Pが形成されている。
【0040】
また例えば、
図12に示されるように、周縁突起部12P,13Pの頂部は拡散反射面18に当接されていてもよい。
導光体10の材料が例えばアクリルなどの温度や湿度の変化によって膨張または収縮する場合は、温湿度条件によっては長手方向において導光体10と導光体保持台45との離間距離が一定にならず、高照度照明領域における主走査方向の照度の均一性が低くなってしまうことがある。
然るに、このように周縁突起部12P,13Pをスペーサーとして利用することにより、温湿度条件によらず導光体10と導光体保持台45との離間距離を一定に保つことができるので、主副走査方向における照度の均一性が高い高照度照明領域を形成することができる。
【実施例】
【0041】
以下、本発明の具体的な実施例について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〈実施例1〉
LED素子として白色LED素子を用い、下記の条件により、
図1に示す構成の光源装置(A)を作製した。
導光体は、材質がアクリル系樹脂で、全長が340mm、直径が5mmであり、水平方向(副走査方向)における導光体の中心軸から原稿読み取り軸までの距離が6.2mmである。
導光体における第1の反射部および第2の反射部は、当該導光体の長手方向に並ぶ複数の凹部によって構成されている。これらの凹部は、深さが0.05mm、導光体10の長手方向の幅が0.2mm(周縁突起部を含むと0.3mm)、凹部のピッチは、間接光側が長手方向に0.4〜0.6mm、直接光側が長手方向に0.7〜1.0mmのものである。
導光体における周縁突起部は、各々の凹部の周縁に連続して形成されており、直接光側が、幅(t)が0.05mm、高さ(h)が0.02mm、間接光側が、幅(t)が0.05mm、高さ(h)が0.02mmである。凹部および周縁突起部の断面の形状を示す曲線図を
図13に示す。
反射鏡は、長尺な矩形の板状の平面ミラーであって、その縦横の寸法が10mm×340mmで、水平面(原稿載置面)に対する傾斜角度が60°、水平方向(副走査方向)における導光体の中心軸から反射鏡までの距離が14.2mmである。
この光源装置(A)によって、導光体の中心軸から垂直方向に12mm離間した原稿載置面に光を照射し、副走査方向における照度分布を測定した。結果を
図14に示す。
ここで、導光体の長手方向に垂直な断面において、第1の反射部からの光(直接光)の光軸と原稿載置面との交点は、原稿読取軸Yから導光体側に(ガラス厚3mmの屈折を含めて)0mm離間した位置にあり、第1の反射部からの光の光軸と原稿載置面とのなす角は、60°である。また、反射鏡からの光(間接光)の光軸と原稿載置面との交点は、原稿読取軸Yから反射鏡側に(ガラス厚3mmの屈折を含めて)1.8mm離間した位置にある。
【0042】
〈実施例2〉
導光体における第1の反射部に係る周縁突起部(直接光側の周縁突起部)の高さを0.035mmにしたこと以外は、実施例1と同様の構成の光源装置(B)を作製し、この光源装置(B)によって、導光体から垂直方向に12mm離間した原稿載置面に光を照射し、副走査方向における照度分布を測定した。結果を
図15に示す。
【0043】
図14は、光源装置(A)からの光による原稿載置面における副走査方向の照度分布を示す曲線図であり、縦軸は原稿載置面における原稿読取軸Y上の照度を1とする相対照度、横軸は原稿載置面における原稿読取軸Yからの距離、aは導光体の第1の反射部からの光(直接光)による照度分布曲線、bは反射鏡からの反射光(第2の反射部からの間接光)による照度分布曲線、cは装置全体からの光による照度分布曲線である。
また、
図15は、光源装置(B)からの光による原稿載置面における副走査方向の照度分布を示す曲線図であり、縦軸は原稿載置面における原稿読取軸Y上の照度を1とする相対照度、横軸は原稿載置面における原稿読取軸Yからの距離、aは導光体の第1の反射部からの光(直接光)による照度分布曲線、bは反射鏡からの反射光(第2の反射部からの間接光)による照度分布曲線、cは装置全体からの光による照度分布曲線である。
【0044】
図14および
図15の結果から明らかなように、実施例1および実施例2に係る光源装置(A)、(B)によれば、副走査方向における照度の均一性の高い高照度照明領域が得られることが確認された。