(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ポリマー粒子Aが、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ビニルエステル系樹脂、ポリ−N−ビニル化合物系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリジエン系樹脂、ポリエステル系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、フェノール系樹脂、アミノ系樹脂、オキサゾリン系樹脂及びカルボジイミド樹脂から選ばれる少なくとも1種から構成される請求項1記載の紫外線散乱剤。
ポリマー粒子Aが、スチレン類、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル類、ビニルエステル類、N−ビニル化合物、オレフィン類、フッ化オレフィン類及び共役ジエン類から選ばれる少なくとも1種の単量体からなる(共)重合体である請求項1又は2記載の紫外線散乱剤。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[UV散乱剤]
本発明のUV散乱剤は、(1)
長軸方向と直交する方向から光を照射して得られる投影二次元図の長径(L)の平
均(L
AV)が0.1〜80μm、(2)
長軸方向と直交する方向から光を照射して得られる投影二次元図の短径(D)の平
均(D
AV)が0.05〜40μm、及び(3)
上記長径(L)と短径(D)とから算出されるアスペクト比(L/D)の平均(P
AV)が2〜30楕円状又は針状のポリマー粒子Aを少なくとも1種含むものである。
【0014】
ポリマー粒子AのL
AVは0.1〜80μmであるが、0.2〜50μmが好ましく、1.0〜30μmがより好ましく、2〜20μmが更に好ましい。L
AVが80μm超となると、単位当たりの比表面積の減少に伴いUV散乱効果が著しく低減する傾向がある。また、L
AVが0.1μmを下回ると、短径も細くなることからUVの光抜けが生じ、UV散乱効果が低減することがある。
【0015】
ポリマー粒子AのD
AVは0.05〜40μmであるが、0.1〜25μmが好ましく、0.5〜15μmがより好ましく、1〜10μmが更に好ましい。D
AVが40μm超となると、単位当たりの比表面積の減少に伴いUV散乱効果が著しく低減する傾向がある。また、D
AVが0.05μmを下回ると、UVの光抜けが生じ、UV散乱効果が低減することがある。
【0016】
ポリマー粒子AにおけるP
AVは2〜30であるが、好ましくは3〜25、より好ましくは3.5〜20であり、最良は4〜18である。P
AVが30を超えると、粒子が配向しやすく、UV散乱効果、可視光領域における光散乱性、光反射性等の光学特性が安定的に得られないことがある。またP
AVが2未満であると、同成分の球状粒子程度のUV散乱効果しかなく、効果の優位性に欠ける。
【0017】
また、ポリマー粒子Aの体積平均粒子径(MV
A)は、0.06〜50μmが好ましく、0.1〜30μmがより好ましく、0.5〜20μmが更に好ましい。MV
Aが50μm超となると、単位当たりの比表面積の減少に伴いUV散乱効果が低減することがある。また、MV
Aが0.06μmを下回ると、UVの光抜けが生じ、UV散乱効果が低減することがある。
【0018】
なお、本発明において体積平均粒子径とは、レーザー散乱・回折法による測定値であり、例えば、楕円状又は針状の粒子や異形粒子においては体積を球状に換算した場合の平均粒子径を意味する。
【0019】
ポリマー粒子Aは、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ビニルエステル系樹脂、ポリ−N−ビニル化合物系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリジエン系樹脂、ポリエステル系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、フェノール系樹脂、アミノ系樹脂、オキサゾリン系樹脂及びカルボジイミド樹脂から選ばれる少なくとも1種から構成されることが好ましい。この場合、上記各樹脂は、単一重合体、共重合体のいずれでもよい。例えば「スチレン系樹脂」は、スチレン類を主構成単位とする樹脂であって、スチレン類の単一重合体のほか、スチレン類又はスチレン類と他の単量体との共重合体も含む。
【0020】
スチレン系樹脂としては、スチレン類の(共)重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−塩素化ポリエチレン−スチレン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体等又はこれらを変性したもの、スチレン−ブタジエンブロック共重合体(SBR)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、水素添加スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−イソプレンブロック共重合体(SIR)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、水素添加スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)等のスチレン−オレフィン又は共役ジエンとの共重合体等が挙げられる。
【0021】
(メタ)アクリル系樹脂としては、(メタ)アクリル酸(共)重合体、(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ビニルエステル−(メタ)アクリル酸共重合体、ビニルエステル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体等のオレフィン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体等のオレフィン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、N−ビニル化合物−(メタ)アクリル酸共重合体、N−ビニル化合物−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、共役ジエン−(メタ)アクリル酸共重合体、共役ジエン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。
【0022】
ビニルエステル系樹脂としては、ビニルエステルの(共)重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のオレフィン−ビニルエステル共重合体、ビニルエステル−共役ジエン共重合体等が挙げられる。ポリ−N−ビニル化合物系樹脂としては、N−ビニル化合物の(共)重合体、オレフィン−N−ビニル化合物の共重合体、共役ジエン−N−ビニル化合物の共重合体等が挙げられる。ポリオレフィン系樹脂としては、ポリオレフィン、ポリフッ素化オレフィン、オレフィン及び/又はフッ素化ポリオレフィンの共重合体、オレフィン−共役ジエン共重合体等が挙げられる。ポリジエン系樹脂としては、共役ジエンの(共)重合体等が挙げられる。
【0023】
なお、これらスチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ビニルエステル系樹脂、ポリ−N−ビニル化合物系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリジエン系樹脂等の不飽和単量体より構成される樹脂は、適宜用途、目的に合わせて2種以上の共重合体とすることができる。
【0024】
ポリエステル系樹脂としては、特に限定されないが、例えば、テレフタル酸又はテレフタル酸ジメチルを主たる酸成分とし、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチレングリコール、ブチレングリコールより選ばれる少なくとも1種のアルキレングリコールを主たるグリコール成分とするポリエステル樹脂が挙げられる。具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンジメチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリ乳酸等が挙げられる。
【0025】
シリコーン系樹脂としては、分子鎖中にケイ素−ケイ素結合、ケイ素−炭素結合、シロキサン結合又はケイ素−窒素結合を含むものであれば特に限定されない。具体的には、ポリシロキサン、ポリカルボシラン、ポリシラザン等が挙げられる。
【0026】
ポリウレタン系樹脂としては、ポリオールとポリイソシアネートとを重合させることによって得られたポリウレタン樹脂等が挙げられる。ポリオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、1,1,1−トリメチロールプロパン、1,2,5−ヘキサントリオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、4,4'−ジヒドロキシフェニルプロパン、4,4'−ジヒドロキシフェニルメタン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。ポリイソシアネートとしては、4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0027】
ポリアミド系樹脂としては、アジピン酸、ヘプタンジカルボン酸、オクタンジカルボン酸、ノナンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸等のジカルボン酸と、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン等のジアミンとを重縮合反応することによって得られたポリアミド樹脂が挙げられる。また、α−ピロリドン、ε−カプロラクタム、ω−ラウロラクタム、ε−エナントラクタム等のラクタムを開環重合させたポリアミド樹脂も挙げることができる。具体的には、ナイロン−6、ナイロン−11、ナイロン−12、ナイロン−6,6、ナイロン−6,T等が挙げられる
【0028】
ポリイミド系樹脂としては、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、4,4'−ジアミノジフェニルエーテル、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン等のジアミンと、4,4'−ヘキサフルオロプロピリデンビスフタル酸二無水物、4,4'−ビフタル酸無水物、ジフェニル−2,3,3',4'−テトラカルボン酸二無水物、ジフェニル−2,2',3,3'−テトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物等のテトラカルボン酸二無水物とを重合させることによって得られたポリイミド樹脂等が挙げられる。
【0029】
エポキシ系樹脂としては、ポリエポキシド、芳香族系ポリエポキシ化合物、多価フェノールのグリシジルエーテル体、多価フェノールのグリシジルエステル体、グリシジル芳香族ポリアミン、脂環族系ポリエポキシ化合物、脂肪族系ポリエポキシ化合物、多価脂肪酸のポリグリシジルエステル体等が挙げられる。これらのうち好ましくは、脂肪族系ポリエポキシ化合物及び芳香族系ポリエポキシ化合物である。
【0030】
ポリビニルブチラール系樹脂としては、ポリビニルアルコールとブチルアルデヒドとの反応性生成物及び分子間がモノブチラール結合によって架橋された生成物等が挙げられる。
【0031】
フェノール系樹脂としては、フェノール、クレゾール等のフェノール類に属する有機化合物を用いて得られる樹脂等が挙げられる。
【0032】
アミノ系樹脂としては、尿素樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂等が挙げられる。
【0033】
オキサゾリン系樹脂としては、ビスオキサゾリン化合物及びこれらのビスオキサゾリン化合物のオキサゾリン基2化学当量と多塩基性カルボン酸のカルボキシル基1化学当量とを反応させて得られる末端オキサゾリン基を有する化合物等を挙げることができる。また、オキサゾリン化合物は、オキサゾリン環を開環させないで付加重合等の重合体から得られる一分子中に少なくとも2つ以上のオキサゾリン基を有するポリマー化した化合物でもよい。また、付加重合性オキサゾリン化合物とオキサゾリン基と反応しない共重合可能な単量体との共重合体等が挙げられる。
【0034】
カルボジイミド樹脂としては、1種又は2種以上のイソシアネート化合物を原料として得られる少なくとも1以上のカルボジイミド基を有する樹脂等が挙げられる。
【0035】
これらのうち、ポリマー粒子Aとしては、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ビニルエステル系樹脂、ポリ−N−ビニル化合物系樹脂、ポリジエン系樹脂等がより好ましい。
【0036】
ポリマー粒子Aは、特に、スチレン類、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル類、ビニルエステル類、N−ビニル化合物、オレフィン類、フッ化オレフィン類及び共役ジエン類から選ばれる少なくとも1種の単量体からなる(共)重合体であることが好ましい。
【0037】
具体的には、ポリスチレン、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸メチル共重合体、(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ−N−ビニルピロール、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリ−N−ビニルインドール、ポリ−N−ビニルピロリドン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン及びこれらの共重合体等が挙げられる。
【0038】
これらのうち、スチレン類、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル類から選ばれる少なくとも1種の単量体から得られる繰り返し単位を必須単位として含む(共)重合体が好ましく、特には、ポリスチレン、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸メチル共重合体、(メタ)アクリル酸エステル共重合体が好ましい。
【0039】
ポリマー粒子Aは、上記条件(1)〜(3)を満たす限り、2種以上の混合物であってもよい。
【0040】
本発明のUV散乱剤は、更に(4)ポリマー粒子Aと異なる形状を有し、体積平均粒子径(MV
B)が1/5×D
AV≦MV
B≦L
AVを満たす粒子Bを少なくとも1種含むことが好ましい。
【0041】
ここで述べる異なる形状とは、上記ポリマー粒子Aと形状又はサイズが異なる楕円状又は針状の粒子も含まれるが、配向しやすく、UV散乱効果、可視光領域における光散乱性、光反射性等の光学特性が安定的に得られることを考慮すると、好ましくは楕円状又は針状と異なる形状となる任意の形状がよい。例えば、球状、略球状、板状、鱗片状、粉砕状、棒状、多面体、凹凸状、塊状等である。なお、略球状とは、楕円状であって、アスペクト比が2未満のことをいう。
【0042】
本発明者らによる検討によれば、ポリマー粒子Aは、その形状により従来の同一組成の球状又は略球状の粒子に比べてUV散乱効果が高いが、同時に実用化する場合において成形品及び組成物の製造や調合時の流動性により流れ方向に沿って当該粒子が並びやすく、UV散乱効果、可視光領域における光散乱性、光反射性等の光学特性が安定的に得られないことがある。このような場合において、所定の粒子Bを添加して立体障害性を与えることで異方性特徴を安定的に制御できる。すなわち、粒子Bによって、ポリマー粒子Aの特徴を損ねることなく安定したUV散乱効果を維持できる。
【0043】
MV
Bは、1/3×D
AV≦MV
B≦0.8×L
AVを満たすことが好ましく、1/2×D
AV≦MV
B≦0.6×L
AVを満たすことがより好ましく、D
AV≦MV
B≦1/2×L
AVを満たすことが最も好ましい。MV
Bが1/5×D
AVを下回ると、立体障害の安定性に欠けることがあり、MV
BがL
AVを上回ると、UV散乱効果が体積平均粒子径に依存しやすくなるため、UV散乱効果を低減させることがある。
【0044】
粒子Bは、無機粒子であってもポリマー粒子であってもよい。ポリマー粒子Aの持つ光学特性、光沢性、透過性、軽量化、触感性等を十分発揮するためには、粒子Bはポリマー粒子であることが好ましい。この場合、粒子を構成するポリマーとしては、ポリマー粒子Aの成分と同一又は少なくとも同一成分を含むことが製造上の効率的な観点からは好ましい。可視光領域の拡散性能向上も考慮する場合は、ポリマー粒子AとBは屈折率の異なる成分組成にすると効果的である。
【0045】
粒子Bは、上記条件(4)を満たす限り、2種以上の混合物であってもよい。用途によっては、ポリマー粒子と無機粒子の混合物であってもよい。
【0046】
ポリマー粒子A及び粒子Bの少なくとも一方は、粒子表面に微細な凹凸を有しているもの、多孔質性を有しているもの、比表面積が比較的大きいものの少なくともいずれかの特徴を有していることが、UV散乱効果や可視光散乱効果が更に向上する点で好ましい。
【0047】
また、ポリマー粒子A及び粒子Bの少なくとも一方は、コア−シェル構造を有する複合粒子や、他の微粒子を物理的又は化学的に付加して得られる複合粒子とすることもできる。
【0048】
複合粒子とする方法として具体的には、(1)母粒子製造時に他の微粒子を取り込ませる、(2)母粒子作製後に母粒子表面に存在するイオン性官能基の極性を利用して付加する、(3)付加重合、重縮合、付加縮合、シード重合等の化学的方法が挙げられる。
【0049】
ここで、他の微粒子としては、母粒子となるポリマー粒子Aや粒子Bよりも小さい粒子であれば有機物、無機物の制限はない。他の微粒子の好ましい粒径は、母粒子の大きさにもよるが、通常、0.005〜50μm程度である。
【0050】
有機粒子としては、ポリマー粒子の製造に用いられる重合性モノマーからなる粒子、硬化性粒子、有機顔料等が挙げられる。
【0051】
無機粒子としては、銅粉、鉄粉、金粉、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ケイ素、酸化錫、酸化銅、酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化マンガン、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の金属、金属酸化物、水和金属酸化物、無機顔料等が挙げられる。
【0052】
なお、これらの微粒子は、市販品をそのまま用いてもよく、予めカップリング剤等の表面処理剤で表面修飾したものを用いてもよい。
【0053】
特に、ポリマー粒子Aや粒子Bを光学用途に用いる場合には、屈折率の制御や、UV散乱効果の向上を目的として、粒径0.005〜10μmの酸化金属微粒子、中でも酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ケイ素等を付加させることもできる。これらは1種単独で又は2種類以上組み合わせて用いることができる。
【0054】
この酸化金属微粒子は、ポリマー粒子の製造時に、当該微粒子を重合成分全体に対して0.1〜50質量%配合して反応させることで、得られるポリマー粒子内に当該微粒子を物理的・化学的吸着や結合等により取り込ませることができる。このように無機粒子を適量ポリマー微粒子に含有又は被覆として複合化することにより、光沢性を維持しつつ、UV散乱効果を更に向上させることも可能である。
【0055】
また、化粧品や医薬品をはじめ、生物・医薬材料の検体とする場合は、活性物質を適宜、物理的、機械的又は化学的に結合させることで、薬剤としての効果を付与することができる。ここでいう物理的、機械的又は化学的な結合としては公知の技術で応用可能であり、例えば、溶解する成分であれば粒子内部又は表層部に吸収/吸着させる技術、染料等の着色技術、粒子内部又は表層部に有する反応基と活性物質が有する反応基とを化学的に結合させて吸着する公知の化学結合技術も応用可能である。
【0056】
ここで言う反応基とは、例えばα,β−不飽和カルボニル基、α,β−不飽和ニトリル基、ハロゲン化ビニル基、ハロゲン化ビニリデン基、芳香族ビニル基、複素環式ビニル基、共役ジエン、カルボン酸ビニルエステル等の重合性不飽和結合含有基、カルボキシル基、カルボニル基、エポキシ基、イソシアネート基、ヒドロキシ基、アミド基、シアノ基、アミノ基、エポキシ基、クロロメチル基、グリシジルエーテル基、リチオ基、エステル基、ホルミル基、ニトリル基、ニトロ基、カルボジイミド基、オキサゾリン基等が挙げられる。
【0057】
本発明のUV散乱剤がポリマー粒子A及び粒子Bの両方を含む場合は、その混合比(質量比)は99:1〜10:90であることが好ましく、98:2〜30:70がより好ましく、97:3〜50:50が更に好ましい。最も好ましくは、95:5〜80:20である。粒子Bの混合比が90質量%を超えると、UV散乱効果と同時にポリマー粒子Aの持つ可視光領域における光学特性が大きく減少する場合がある。また、粒子Bの混合比が1質量%未満であると、UV散乱効果と同時にポリマー粒子Aの持つ可視光領域における光学特性の安定性に問題が生じる場合がある。
【0058】
[ポリマー粒子の製造方法]
ポリマー粒子の製造方法は、上述した形状のものが得られる方法であれば特に限定されない。例えば、粒子Bがポリマー粒子である場合は、粉砕や溶液重合等によって得ることができる。ポリマー粒子Aは、例えば、特許文献1〜5等に記載の方法によって得ることができ、詳しくは、一般的な不飽和二重結合を有する単量体を用いて得られる粒子径を制御しやすい溶液重合によって製造することが好ましい。
【0059】
溶液重合としては、(1)水溶液中で行う乳化又は懸濁重合、(2)水、有機溶媒又は水と有機溶媒との混合溶媒中において分散剤の存在下で行う分散重合、(3)上記(1)又は(2)とシード法とを組み合わせる方法等が挙げられる。特に、ポリマー粒子Aの製造に関しては、(1)及び(2)の混合された溶液重合が好適に用いることができる。
【0060】
本発明者らの検討によれば、粒子Bがポリマー粒子であってポリマー粒子Aと成分を同一にする場合は、モノマー、溶媒の種類及び量比、並びに必要に応じて用いられる分散剤や乳化剤の量比を変えることで容易に目的の混合粒子を適宜調整することができる。
【0061】
また、ポリマー粒子に上述した微粒子表面の微細な凹凸、多孔質性、大きな比表面積といった特徴を持たせるためには、特許文献4又は5記載の製造方法が好適である。
【0062】
本発明で用いるポリマー粒子の原料となる重合性単量体としては、例えば、
(i)スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、o−エチルスチレン、m−エチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロロスチレン、3,4−ジクロロスチレン等のスチレン類;
(ii)(メタ)アクリル酸;
(iii)(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸トルイル、(メタ)アクリル酸ベンジル等の炭化水素含有(メタ)アクリル系単量体;(メタ)アクリル酸2,2,2−トリフルオロエチル、(メタ)アクリル酸3,3,3−トリフルオロプロピル、(メタ)アクリル酸2−(パーフルオロエチル)エチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチル、(メタ)アクリル酸テトラフルオロプロピル、(メタ)アクリル酸パーフルオロメチル、(メタ)アクリル酸1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルメチル、(メタ)アクリル酸2−(パーフルオロヘキシル)エチル、(メタ)アクリル酸2−(パーフルオロデシル)エチル、(メタ)アクリル酸2−(パーフルオロヘキサデシル)エチル等のフッ素含有(メタ)アクリル系単量体;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル等のヒドロキシ基含有(メタ)アクリル系単量体;(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸(β−メチル)グリシジル、(メタ)アクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシル等のエポキシ基含有(メタ)アクリル系単量体;(メタ)アクリル酸2−アミノエチル、アクリル酸−N−プロピルアミノエチル、(メタ)アクリル酸−N−エチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸−N−フェニルアミノエチル、(メタ)アクリル酸−N−シクロヘキシルアミノエチル等のアミノ基含有(メタ)アクリル系単量体;γ−(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、γ−(メタクリロイルオキシプロピル)ジメトキシメチルシラン等のケイ素含有(メタ)アクリル系単量体;(ポリ)エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸3−メトキシブチル等のアルコキシ基含有(メタ)アクリル系単量体;(ポリ)プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の(ポリ)アルキレングリコール(メタ)アクリル系単量体;メトキシ(ポリ)エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシ(ポリ)プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のアルコキシ(ポリ)アルキレングリコール(メタ)アクリル系単量体;(メタ)アクリル酸2−メルカプトエチル、(メタ)アクリル酸2−メルカプト−1−カルボキシエチル等のメルカプト基含有(メタ)アクリル系単量体;(メタ)アクリル酸2−クロロエチル、α−クロロ(メタ)アクリル酸メチル等の(メタ)アクリル酸エステル類;
(iv)酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル、ギ酸ビニル、バレリン酸ビニル、ピバリン酸ビニル等のビニルエステル類;
(v)N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物;
(vi)エチレン、プロピレン等のオレフィン類;
(vii)フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン等のフッ化オレフィン類;
(viii)ブタジエン、イソプレン等の共役ジエン類
等が挙げられる。これらは1種単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0063】
これらの中でも、スチレン類、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル類、ビニルエステル類等を重合性単量体として用いることが好ましく、これらを用いることで、上述した形状を有するポリマー粒子を容易に安価で得ることができる。
【0064】
また、上記重合性単量体のほかに、親水性官能基、活性水素基等の反応性官能基を有する不飽和単量体を用いることができる。このような反応性官能基としては、アミノ基、カルボキシル基、ヒドロキシ基、チオール基、カルボニル基、エーテル基、シアノ基、アミド基、アルキレンオキサイド基、エポキシ基、イオン性官能基等が挙げられる。なお、不飽和単量体には、上記官能基が1種単独で存在してもよく2種以上混在していてもよい。これら親水性官能基、活性水素基等の反応性官能基を粒子内部又は表層部に導入することにより、親水性や耐油性の機能向上を図るだけでなく、前述した無機粒子や他のポリマー微粒子等の複合化や官能基同士の反応による架橋構造体の生成、反応性化合物の結合による表面処理及び表面の改質、活性物質の付与等、多種の機能性を持たす補助官能基として応用することができる。
【0065】
このような反応性官能基を有する不飽和単量体としては、例えば、下記のようなものが挙げられる。なお、以下の説明において「C
n」は炭素原子数がnであることを意味する。
【0066】
(1)アミノ基含有単量体
アリルアミン、N−メチルアリルアミン等のアリルアミン系誘導体;p−アミノスチレン等のアミノ基含有スチレン誘導体;2−ビニル−4,6−ジアミノ−S−トリアジン等のトリアジン誘導体等が挙げられる。これらの中でも1級又は2級アミノ基を有する化合物が好ましい。
【0067】
(2)カルボキシル基含有単量体
クロトン酸、ケイ皮酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等の不飽和カルボン酸;イタコン酸モノブチル等のイタコン酸モノC
1〜C
8アルキルエステル;マレイン酸モノブチル等のマレイン酸モノC
1〜C
8アルキルエステル;ビニル安息香酸等のビニル基含有芳香族カルボン酸等、及びこれらの塩が挙げられる。
【0068】
(3)ヒドロキシ基含有単量体
ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル等のヒドロキシアルキルビニルエーテル系単量体;アリルアルコール、2−ヒドロキシエチルアリルエーテル等のヒドロキシ基含有アリル単量体等が挙げられる。
【0069】
(4)チオール(メルカプト)基含有単量体
N−(2−メルカプトエチル)アクリルアミド、N−(2−メルカプト−1−カルボキシエチル)アクリルアミド、N−(2−メルカプトエチル)メタクリルアミド、N−(4−メルカプトフェニル)アクリルアミド、N−(7−メルカプトナフチル)アクリルアミド、マレイン酸モノ2−メルカプトエチルアミド等が挙げられる。
【0070】
(5)カルボニル基含有単量体
ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類等が挙げられる。
【0071】
(6)エーテル基含有単量体
ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル系単量体が挙げられる。
【0072】
(7)シアノ基含有単量体
アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ヘキセンニトリル、4−ペンテンニトリル、p−シアノスチレン等が挙げられる。
【0073】
(8)アミド基含有単量体
(メタ)アクリルアミド、α−エチル(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル−p−スチレンスルホンアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
【0074】
(9)エポキシ基含有単量体
アリルグリシジルエーテル、3,4−エポキシビニルシクロヘキサン、ジ(β−メチル)グリシジルマレート、ジ(β−メチル)グリシジルフマレート等が挙げられる。
【0075】
(10)イオン性官能基含有単量体
イオン性官能基としては、アニオン性官能基、カチオン性官能基のどちらでもよい。アニオン性官能基としては、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、フェノール性ヒドロキシ基及びこれらの塩等が挙げられる。カチオン性官能基としては、アミノ基、イミダゾール基、ピリジン基、アミジノ基及びこれらの塩等が挙げられる。
【0076】
特に、汎用品が多く、種類が豊富であり、かつ楕円状又は針状ポリマー粒子の場合は大きさ、形状等を効率良く制御できることから、アニオン性官能基が好適であり、分子内への導入が容易であるとともに、安定性及び安全性に優れていることから、中でも、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基及びこれらの誘導体から選ばれる1種以上の官能基であることが好ましい。
【0077】
これらのイオン性官能基の対イオンとなりうる化合物としては、アニオン性官能基に対しては金属カチオン、アンモニウムカチオン、ピリジニウムカチオン、ホスホニウムカチオン等が挙げられ、カチオン性官能基に対しては塩化物、臭化物、ヨウ化物等のハロゲン化物イオン等が挙げられる。
【0078】
アニオン性官能基を用いる場合、製造コスト及び種類の豊富さと楕円状又は針状ポリマー粒子の精度、大きさ、形状等を効率良く制御することを考慮すると、対イオンとして、特に、金属カチオンが好適である。
【0079】
金属カチオンとしては、リチウム、ナトリウム、ルビジウム、セシウム等のアルカリ金属カチオン;マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等のアルカリ土類金属カチオン;アルミニウム等のその他の非遷移金属カチオン;亜鉛、銅、マンガン、ニッケル、コバルト、鉄、クロム等の遷移金属カチオンが挙げられる。
【0080】
アニオン性官能基を有するモノマーとしては、例えば、モノカルボン酸系モノマー、ジカルボン酸系モノマー、スルホン酸系モノマー、硫酸エステル系モノマー、フェノール性ヒドロキシ基含有モノマー、リン酸系モノマー等が挙げられる。
【0081】
モノカルボン酸系モノマーとしては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸、マレイン酸モノC
1〜C
8アルキルエステル、イタコン酸モノC
1〜C
8アルキルエステル、ビニル安息香酸及びこれらの塩等が挙げられる。
ジカルボン酸系モノマーとしては、(無水)マレイン酸、α−メチル(無水)マレイン酸、α−フェニル(無水)マレイン酸、フマル酸、イタコン酸及びこれらの塩等が挙げられる。
【0082】
スルホン酸系モノマーとしては、エチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸等のアルケンスルホン酸;スチレンスルホン酸、α−メチルスチレンスルホン酸等の芳香族(スチレン系)スルホン酸;C
1〜C
10アルキル(メタ)アリルスルホコハク酸エステル、スルホプロピル(メタ)アクリレート等のスルホC
2〜C
6アルキル(メタ)アクリレート;メチルビニルスルホネート、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロキシプロピルスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2−ジメチルエタンスルホン酸、3−(メタ)アクリロイルオキシエタンスルホン酸、3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−(メタ)アクリルアミド−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸等のスルホン酸基含有不飽和エステル、及びこれらの塩等が挙げられる。
【0083】
硫酸エステル系モノマーとしては、ポリオキシプロピレンモノメタクリレート硫酸エステル化物等の(メタ)アクリロイルポリオキシアルキレン(重合度2〜15)硫酸エステル及びこれらの塩等が挙げられる。
【0084】
フェノール性ヒドロキシ基含有モノマーとしては、ヒドロキシスチレン、ビスフェノールAモノアリルエーテル、ビスフェノールAモノ(メタ)アクリルエステル及びこれらの塩等が挙げられる。
【0085】
リン酸系モノマーとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリロイルホスフェート,フェニル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルリン酸モノエステル、ビニルリン酸等が挙げられる。
【0086】
なお、この場合、塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;トリエタノールアミン等のアミン塩;テトラC
4〜C
18アルキルアンモニウム塩等の第4級アンモニウム塩等が挙げられる。
【0087】
一方、カチオン性官能基を有するモノマーとしては、1級アミノ基含有モノマー、2級アミノ基含有モノマー、3級アミノ基含有モノマー、第4級アンモニウム塩基含有モノマー、複素環含有モノマー、ホスホニウム基含有モノマー、スルホニウム基含有モノマー、スルホン酸基含有重合性不飽和モノマー等が挙げられる。
【0088】
1級アミノ基含有モノマーとしては、アリルアミン、クロチルアミン等のC
3〜C
6アルケニルアミン;アミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノC
2〜C
6アルキル(メタ)アクリレート;ビニルアニリン、p−アミノスチレン等の芳香環と1級アミノ基を有するモノマー;エチレンジアミン;ポリアルキレンポリアミン等が挙げられる。
【0089】
2級アミノ基含有モノマーとしては、t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、メチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のC
1〜C
6アルキルアミノC
2〜C
6アルキル(メタ)アクリレート;ジ(メタ)アリルアミン等のC
6〜C
12のジアルケニルアミン;エチレンイミン;ジアリルアミン等が挙げられる。
【0090】
3級アミノ基含有モノマーとしては、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノブチル(メタ)アクリレート等のジC
1〜C
4アルキルアミノC
2〜C
6アルキル(メタ)アクリレート;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のジC
1〜C
4アルキルアミノC
2〜C
6アルキル(メタ)アクリルアミド;N,N−ジメチルアミノスチレン等の芳香環と3級アミノ基とを有するモノマー等が挙げられる。
【0091】
第4級アンモニウム塩基含有モノマーとしては、C
1〜C
12アルキルクロライド、ジアルキル硫酸、ジアルキルカーボネート、ベンジルクロライド等の4級化剤を用いて3級アミンを4級化したものが挙げられる。
【0092】
例えば、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムブロマイド、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリエチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチルメチルモルホリノアンモニウムクロライド等のアルキル(メタ)アクリレート系第4級アンモニウム塩;(メタ)アクリロイルアミノエチルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルアミノエチルトリメチルアンモニウムブロマイド、(メタ)アクリロイルアミノエチルトリエチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルアミノエチルジメチルベンジルアンモニウムクロライド等のアルキル(メタ)アクリルアミド系第4級アンモニウム塩;ジメチルジアリルアンモニウムメチルサルフェート、トリメチルビニルフェニルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウム(メタ)アクリレート、トリメチルベンジルアンモニウム(メタ)アクリレート、2−(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムジメチルホスフェート等のその他の第4級アンモニウム塩基含有モノマーが挙げられる。
【0093】
複素環含有モノマーとしては、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルイミダゾール、N−ビニル−2,3−ジメチルイミダゾリン、N−メチル−2−ビニルイミダゾリン、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、N−メチルビニルピリジン、オキシエチル−1−メチレンピリジン等が挙げられる。
【0094】
ホスホニウム基含有モノマーとしては、グリシジルトリブチルホスホン等が挙げられる。
【0095】
スルホニウム基含有モノマーとしては、2−アクリロキシエチルジメチルスルホン、グリシジルメチルスルホニウム等が挙げられる。
【0096】
スルホン酸基含有重合性不飽和モノマーとしては、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等の(メタ)アクリルアミド−アルカンスルホン酸、2−スルホエチル(メタ)アクリレート等のスルホアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0097】
上記カチオン性官能基を有するモノマーは、塩酸塩、リン酸塩等の無機酸塩;ギ酸塩、酢酸塩等の有機酸塩として用いることもできる。
【0098】
なお、上述した反応性官能基を有する不飽和単量体は、1種単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0099】
以上のような反応性官能基を有する不飽和単量体の中でも、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミノ基、アミド基、アルキレンオキサイド基又はイオン性官能基を有する単量体が好ましく、特に、ヒドロキシ基、カルボキシル基、エチレンオキサイド基又はイオン性官能基を有する単量体がより好ましい。これらの官能基を用いることで、親水性が強くなり、溶液中で得られる粒子同士の反発が強くなるため、分散系の安定性が高くなり、より一層単分散性を向上できることで、くっつきや凝集による粒子径精度の悪化を低減できるとともに、耐薬品性、反応性、溶液分散性及び粉体分散性、機械的特性等に優れたポリマー粒子を得ることができる。
【0100】
更に、反応性官能基を有する不飽和単量体は、水溶性の化合物が好適である。水溶性単量体を用いることで、上記単分散性を更に向上させることが可能である、また、得られるポリマー粒子を水又は水系媒体に容易に分散させることができる。
【0101】
また、重合反応の際に、得られる粒子の耐熱性、耐薬品性用途等に応じて、重合成分の合計質量に対し、0.01〜80質量%の適宜な量で架橋剤を配合することもできる。架橋剤としては、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等の芳香族ジビニル化合物;エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、グリセロールアクリロキシジメタクリレート、N,N−ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルフォン等の化合物が挙げられる。これらは1種単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0102】
重合反応を行う際に用いられる重合開始剤としては、公知の種々の重合開始剤を用いることができ、例えば、過酸化ベンゾイル、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスメチルブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル、2,2'−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2'−アゾビス(N,N'−ジメチレンイソブチルアミジン)ジヒドロクロライド、2,2'−アゾビス−2−シアノプロパン−1−スルホン酸二ナトリウム等のアゾ系化合物等の油溶性、水溶性又はイオン性の重合開始剤が挙げられる。これらの重合開始剤は、1種単独で又は2種類以上混合して用いることができる。上記ラジカル重合開始剤の配合量は、通常、原料モノマー100質量部に対して、0.1〜50質量部であることが好ましい。
【0103】
合成用溶媒としては、特に限定されるものではなく、一般的な溶媒の中から、使用する原料等に応じて適宜なものを選択すればよい。
【0104】
使用可能な溶媒としては、例えば、水、及び親水性有機溶媒としてメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、プロピルセルソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、エチルカルビトールアセテート、アセトン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、アセトニトリル等が挙げられる。これらは1種単独で又は2種類以上混合して用いることができる。
【0105】
ここで、親水性有機溶媒とは、水との混合液が均一な外観を維持するものを意味し、疎水性有機溶媒とは、1気圧において、温度20℃で同容量の純水と緩やかにかき混ぜ、流動がおさまった後に当該混合液体が均一な外観を維持できないものを意味する。
【0106】
疎水性有機溶媒も使用でき、その具体例としては、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、イソペンチルアルコール、tert−ペンチルアルコール、1−ヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−エチルブタノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、2−オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノール等の高級アルコール類;ブチルセロソルブ等のエーテルアルコール類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル、ブチルカルビトールアセテート等のエステル類;ペンタン、2−メチルブタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、2−メチルペンタン、2,2−ジメチルブタン、2,3−ジメチルブタン、ヘプタン、n−オクタン、イソオクタン、2,2,3−トリメチルペンタン、デカン、ノナン、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、p−メンタン、ジシクロヘキシル、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の脂肪族又は芳香族炭化水素類;四塩化炭素、トリクロロエチレン、クロロベンゼン、テトラブロムエタン等のハロゲン化炭化水素類等が挙げられる。これらは1種単独で又は2種以上混合して用いることができる。
【0107】
ポリマー粒子A及びBの少なくとも一方に上述した表面の微細な凹凸、多孔質性、大きな比表面積といった特徴を持たせるためには、水及び親水性有機溶媒の混合溶媒や更には疎水性有機溶媒を併用することが好ましい。これによって、粒子表面及び内部を適度に改質させることができる。
【0108】
上記溶媒の混合割合は任意であり、使用する単量体に応じて適宜調整を行えばよいが、例えば、質量比で、水:水以外の有機溶媒=1:99〜99:1の範囲とすることができるが、目的とするファジー状態を得られ易くするため、かつ、(共)重合性を向上させ、より小さな粒子径で高アスペクト比の粒子をより効率的に得るためには、10:90〜80:20、特に30:70〜70:30とすることが好ましい。なお、ファジー状態とは、混合媒体を任意に選択することで、単量体が溶解している部分と分散している部分との両方を備える状態とする、すなわち、少なくとも乳化部分と溶解部分との両方を有する状態のことである。このようなファジー状態にすることで、重合後に得られた粒子の表面の改質、小径化、アスペクト比の調整等が効率よくできる(特許文献5)。
【0109】
また、水以外の有機溶媒として親水性有機溶媒と疎水性有機溶媒の混合溶媒を用いる場合には、上記と同様の理由から、質量比で、親水性有機溶媒:疎水性有機溶媒=10:90〜90:10の範囲とすることが好ましく、80:20〜20:80の範囲とすることがより好ましく、70:30〜30:70の範囲とすることが最も好ましい。
【0110】
本発明においては、以上のような溶媒組成の調整を行うことで、ポリマー粒子の粒子径やアスペクト比、表面の微細な凹凸の大きさ、多孔質性を制御できることから、UV散乱効果の向上と光学特性、吸水性、吸油性等の諸性能をバランスよく制御できることとなる。
【0111】
反応溶液中における、原料モノマーの含有量は、全反応溶液中1〜80質量%とすることが好ましく、より好ましくは5〜50質量%、更に好ましくは10〜30質量%である。原料モノマーの含有量が80質量%を超えると、単分散化した状態で上記物性を有するポリマー粒子を高収率で得ることが困難になる。一方、1質量%未満であると、反応が完結するまでに長時間を要し、また工業的観点から実用的ではない。
【0112】
重合時の反応温度は、使用する溶媒の種類によっても変わるものであり、一概には規定できないが、通常、10〜200℃程度であり、好ましくは30〜130℃、より好ましくは40〜90℃である。
【0113】
また、反応時間は、目的とする反応がほぼ完結するのに要する時間であれば特に限定されず、モノマー種及びその配合量、溶液の粘度及びその濃度、目的の粒子径等に大きく左右されるが、例えば、40〜90℃の場合、1〜72時間、好ましくは2〜24時間程度である。
【0114】
本発明で用いるポリマー粒子を製造する際には、重合方法に応じてその他の(高分子)分散剤、安定剤、乳化剤(界面活性剤)等を、上記原料モノマーに対し、0.01〜50質量%の適宜な量で配合することもできる。
【0115】
分散剤及び安定剤としては、ポリヒドロキシスチレン、ポリスチレンスルホン酸、ヒドロキシスチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ヒドロキシスチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等のポリスチレン誘導体;ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリアクリロニトリル、ポリエチル(メタ)アクリレート、ポリブチル(メタ)アクリレート等のポリ(メタ)アクリル酸誘導体;ポリメチルビニルエーテル、ポリエチルビニルエーテル、ポリブチルビニルエーテル、ポリイソブチルビニルエーテル等のポリビニルアルキルエーテル誘導体;セルロース、メチルセルロース、酢酸セルロース、硝酸セルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体;ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリ酢酸ビニル等のポリ酢酸ビニル誘導体;ポリビニルピリジン、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、ポリ−2−メチル−2−オキサゾリン等の含窒素ポリマー誘導体;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のポリハロゲン化ビニル誘導体等の各種疎水性又は親水性の分散剤、安定剤が挙げられる。これらは1種単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0116】
乳化剤(界面活性剤)としては、ドデシル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸エステル塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、脂肪酸塩、アルキルリン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩等のアニオン系乳化剤;アルキルアミン塩、第4級アンモニウム塩、アルキルベタイン、アミンオキサイド等のカチオン系乳化剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル等のノニオン系乳化剤等が挙げられる。これらは1種単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0117】
また、重合反応の際に、得られる粒子の用途等に応じて、触媒(反応促進剤)を配合することができる。配合量は、粒子物性に悪影響を及ぼさない適宜な量、例えば、重合成分の合計質量に対し、0.01〜20質量%とすることができる。
【0118】
触媒としては、正触媒であれば特に限定されず、公知のものから適宜選択して使用することができる。具体例としては、ベンジルジメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、トリフェニルアミン等の3級アミン類;トリエチルベンジルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムクロライド等の第4級アンモニウム化合物類;トリフェニルホスフィン、トリシクロホスフィン等のホスフィン類;ベンジルトリメチルホスホニウムクロライド等のホスホニウム化合物類;2−メチルイミダゾール、2−メチル−4−エチルイミダゾール等のイミダゾール化合物類;水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属水酸化物類;炭酸ナトリウム、炭酸リチウム等のアルカリ金属炭酸塩類;有機酸のアルカリ金属塩類;三塩化ホウ素、三フッ化ホウ素、四塩化スズ、四塩化チタン等のルイス酸性を示すハロゲン化物類又はその錯塩類等の触媒が挙げられる。これらは1種単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0119】
また、重合反応の際に、得られる楕円状又は針状ポリマー粒子の大きさ、形状、品質等を調整する目的で、水又はその他の極性溶媒に溶解し得る、陽イオンと陰イオンとに電離してその溶液が電気伝導性を示す化合物を添加することも可能である。
【0120】
具体例としては、塩類、無機酸、無機塩基、有機酸、有機塩基、イオン液体等が挙げられる。配合量は、粒子物性に悪影響を及ぼさない適宜な量、例えば、重合成分の合計質量に対し、0.01〜80質量%とすることができる。
【0121】
[UV散乱剤の用途]
本発明のUV散乱剤は、UVカット用添加剤として好適である。
本発明のUV散乱剤を含む組成物は、ポリマーに混練させたり媒体に分散させたりする場合の製造適性に優れ、長期使用によるブリードアウトを生じることがなく、UV散乱性能に優れ、かつ、この散乱性能を長期間維持して耐光性(UV堅牢性)に優れるという効果を奏する。また、皮膚刺激性のある構造ではない点で取り扱いが容易である。
【0122】
本発明のUV散乱剤は、優れた耐光性を有しているので、プラスチック、容器、塗料、塗膜、繊維、建材等の高分子成形品に用いることができる。また、UVに弱い内容物等を保護するため、例えば、フィルタ、包装材料、容器、塗料、塗膜、インク、繊維、建材、記録媒体、画像表示装置、太陽電池カバーに用いることができ、光に不安定な化合物の分解を抑制することもできる。
【0123】
本発明のUV散乱剤は、水、親水性有機溶媒、疎水性有機溶媒又はこれらの混合溶媒に分散させ、分散液として使用できる。ここで、親水性有機溶媒及び疎水性有機溶媒としては、ポリマー粒子の製造方法において例示したものと同様のものが挙げられる。
【0124】
この場合、本発明のUV散乱剤を0.1質量%添加した分散液において、波長360nmのUVの透過率が8%未満となることが好ましく、より好ましくは5%未満、更に好ましくは3%未満である。また、当該UV散乱剤は、ポリマー粒子Aと同一組成かつ同一の体積換算径の球状ポリマーと比較した場合、UV−A及びUV−B透過率が1/2以下になることが好ましい。ただし、UV−A、UV−B及びUV−Cとは、それぞれ波長315〜400nm、280〜315nm及び200〜280nmのUVである。
【0125】
本発明のUV散乱剤は、液体、塗膜、フィルム、板材、紙等の成型品への添加剤として利用することができる。本発明のUV散乱剤含有組成物は、光散乱剤や光学フィルタ材料、着色剤、化粧品、吸収剤、吸着剤、インク、電磁波シールド材、蛍光センサー、生体マーカー、記録材料、記録素子、偏光材料、薬物送達システム(DDS)用薬物保持体、バイオセンサー、DNAチップ、検査薬等に広く利用することができる。
【0126】
更に、窓ガラス製品やカーテン、壁材等のインテリア製品等によって室内、及び車内等へ入射するUVを遮蔽することは、人体の日焼け及び人体への悪影響を防ぐばかりでなく、室内や車内の装飾品等の劣化を防ぐことができるという点でも有用となる。
【0127】
本発明のUV散乱剤は、化粧品用添加剤として好適である。楕円状又は針状ポリマー粒子A本来の軽量性、光散乱性、触感性、流動特性、溶液分散性等を保持しつつ、UV吸収剤や他のUV散乱剤の使用を無くす又は使用量を抑制することができるからである。また、本発明のUV散乱剤には皮膚刺激性がないことも、化粧品用添加剤として有用な点である。また、本発明のUV散乱剤は、独特の形状から一般の球状とは異なる付着力を有しており、例えばファンデーション等の成形体の固着力、塗布後の保持力を向上させる効果がある。更に、その光学特性によって肌を明るく見せ、ぼかし効果によりカバー力を向上できる。また、形状特有のすべり性によって、肌の上でののびに優れ、更にキメの溝を細かく埋めることで、シワや毛穴を目立たなくしたり、製品全体の流れ性を自由にコントロールしたりすることができる。また、付着力、保持力を利用して製品全体のポリマー添加量を多くすることができ、従来に無い化粧効果を見出すことができる。好ましい添加量としては、製品配合量に対して0.1質量%〜50質量%であり、好ましくは0.5質量%〜30質量%である。UV散乱効果、ぼかし効果等の光散乱性、流動性、成形性、付着向上、仕上り感等用途/目的に応じて適宜調整することができる。なお、本発明者の検討では化粧品用添加剤としては、1質量%〜20質量%が特に好ましい。なお、市販の粒子と適宜調整し組み合わせて使用してもよい。
【0128】
特に、UVカット及びUVによる劣化防止に効果が高い化粧品として、具体的には、スキンケア製品、頭髪製品、制汗剤製品、メイクアップ製品、UV防御製品、香料製品等であってよい。例えば、乳液、クリーム、ローション、カラミンローション、サンスクリーン剤、化粧下地料、サンタン剤、アフターシェーブローション、プレシェーブローション、パック料、クレンジング料、洗顔料、アクネ対策化粧料、エッセンス等の基礎化粧料、ファンデーション、白粉、マスカラ、アイシャドウ、アイライナー、アイブロー、チーク、ネイルカラー、リップクリーム、口紅等のメイクアップ化粧料、シャンプー、リンス、コンディショナー、ヘアカラー、ヘアトニック、セット剤、ボディーパウダー、育毛剤、デオドラント、脱毛剤、石鹸、ボディーシャンプー、入浴剤、ハンドソープ、香水等が挙げられる。また、製品の形態についても特に限定は無く、液状、乳液状、クリーム状、固形状、ペースト状、ゲル状、粉末状、多層状、ムース状、スプレー状等であってよい。これら化粧品の添加剤として有用な効果が期待できる。
【0129】
本発明のUV散乱剤は、スクリーン印刷、オフセット印刷、プロセス印刷、グラビア印刷、タンポ印刷、コーター、インクジェット等に用いられる印刷インク用添加剤、マーキングペン用、ボールペン用、万年筆用、筆ペン用、マジック等の筆記具インク用添加剤、クレヨン、絵の具、消しゴム等の文房具類の添加剤として利用できる。
【0130】
本発明のUV散乱剤は、刷毛塗り、スプレー塗装、静電塗装、電着塗装、流し塗り、ローラー塗り、浸漬塗装等に用いられる塗料用添加剤として好適である。例えば、自動車、電車、ヘリコプター、船、自転車、雪上車、ロープウェイ、リフト、フォバークラフト、自動二輪車等の輸送用機器、サッシュ、シャッター、貯水タンク、ドア、バルコニー、建築用外板パネル、屋根材、階段、天窓、コンクリート塀等の建築用部材、建築物屋内外の外壁や内装、ガードレール、歩道橋、防音壁、標識、高速道路側壁、鉄道高架橋、橋梁等の道路部材、タンク、パイプ、塔、煙突等のプラント部材、ビニールハウス、温室、サイロ、農業用シート等の農業用設備、電柱、送電鉄塔、パラボラアンテナ等の通信用設備、電気配線ボックス、照明器具、エアコン屋外器、洗濯機、冷蔵庫、電子レンジ等の電気機器、及びそのカバー、モニュメント、墓石、舗装材、風防シート、防水シート、建築用養生シート等の物品に用いられる塗料用添加剤として好適である。
【0131】
塗料の形態としては溶剤型塗料の他に水分散型塗料、非水分散型塗料、粉体塗料、電着型塗料等、必要に応じて適宜選択することができる。
【実施例】
【0132】
以下、合成例、実施例、
参考例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は、下記の実施例に限定されるものではない。なお、以下の各実施例、
参考例、比較例における評価項目は下記手法にて実施した。
【0133】
(1)ポリマー粒子のアスペクト比
走査電子顕微鏡(S−4800、(株)日立ハイテクノロジーズ製。以下、SEMという。)を用い、測定可能な倍率(300〜30,000倍)で写真を撮影し、得られた楕円状又は針状ポリマー粒子を二次元化した状態(なお、通常、楕円状又は針状ポリマー粒子は長軸方向を水平にした状態を保つ。)で、各粒子の長径(L)及び短径(D)を測定し、アスペクト比(L/D)を算出し、平均アスペクト比(P
AV)を算出した。
粒子の平均長径(L
AV)及び平均短径(D
AV)も同様に、長径(L)及び短径(D)の測定をランダムにn=100繰り返し行って算出した。
(2)ポリマー粒子の体積平均粒子径(MV)
MICROTRACK HRA9320−X100(日機装(株)製)を用いて測定した。
【0134】
[1]楕円状又は針状ポリマー粒子Aの合成
[合成例1]
2,000mLフラスコに、下記に示した化合物を各相でそれぞれ溶解した後、水相及び油相を混合して仕込み、窒素気流下でオイルバス温度80℃、約8時間加熱・攪拌(400rpm)してポリメタクリル酸メチルの粒子溶液を得た。
水相 水 1280.0g
ポリビニルピロリドン(K−15) 8.0g
過硫酸アンモニウム 4.8g
油相 トルエン 80.0g
ポリスチレン 16.0g
メタクリル酸メチル 160.0g
(ポリスチレン:シグマアルドリッチ社製、重量平均分子量約45,000)
【0135】
次に、この粒子溶液を公知の吸引ろ過設備を使ってメタノールで3〜5回程度、洗浄−ろ過を繰り返して真空乾燥し、ポリマー粒子A1を得た。
【0136】
[合成例2]
油相のポリスチレンを12.0gへ変更した以外は、合成例1と同じ方法でポリメタクリル酸メチルのポリマー粒子A2を得た。
【0137】
[合成例3]
攪拌を500rpmへ変更した以外は、合成例1と同じ方法によりポリメタクリル酸メチルのポリマー粒子A3を得た。
【0138】
[合成例4]
攪拌を250rpmへ変更した以外は、合成例1と同じ方法によりポリメタクリル酸メチルのポリマー粒子A4を得た。
【0139】
[合成例5]
メタクリル酸メチルをスチレン(和光純薬工業(株)製)に変更した以外は、合成例1と同じ方法によりポリスチレンのポリマー粒子A5を得た。
【0140】
[合成例6]
2,000mLフラスコに、以下に示した化合物を下記割合で混合してなる混合物を一括して仕込み、窒素にて溶存酸素を置換した後、攪拌機で窒素気流下、オイルバス温度88℃で約12時間加熱をして、スチレン・p−スチレンスルホン酸ナトリウム共重合粒子溶液を得た。
スチレン 240g
p−スチレンスルホン酸ナトリウム 60g
ブタノール 400g
メタノール 200g
水 600g
アゾビスイソブチロニトリル 30g
ポリビニルピロリドン(K−30) 250g
ドデシル硫酸ナトリウム 6.0g
【0141】
次に、この粒子溶液を公知の吸引ろ過設備を使ってメタノールで3〜5回程度、洗浄−ろ過を繰り返して真空乾燥し、ポリマー粒子A6を得た。
【0142】
[合成例7]
共重合体成分をスチレンとメタクリル酸2−ヒドロキシエチルとし、組成比を3:7(質量比)にした以外は合成例6と同じ方法で、スチレン−メタクリル酸2−ヒドロキシエチル共重合体のポリマー粒子A7を得た。
【0143】
[2]粒子Bの合成
[合成例8]
2,000mLフラスコに、下記に示した化合物を下記割合で混合してなる混合物を一括して仕込み、ディスパー分散翼で1,000rpmで懸濁液を作成、窒素気流下でオイルバス温度80℃、8時間加熱・攪拌し粒子分散液を得た。その後、遠心分離を5回繰り返し分級・洗浄操作を行い、平均粒子径が5μmのポリメタクリル酸メチル単一の球状ポリマー粒子B1を作製した。
水 533.3g
メタクリル酸メチル 66.7g
ラウリルパーオキサイド 3.33g
ポリビニルピロリドン(K−30) 6.67g
【0144】
[合成例9]
メタクリル酸メチルをスチレンに変更した以外は、合成例8と同じ方法で平均粒子径が5μmのポリスチレン単一の球状ポリマー粒子B2を作製した。
【0145】
[合成例10]
ポリビニルピロリドン(K−30)の使用量を1/3に変更した以外は、合成例8と同じ方法で平均粒子径が150μmのポリメタクリル酸メチル単一の球状ポリマー粒子B3を作製した。
【0146】
[合成例11]
合成例1で得られた粒子をトルエンに溶解させ、シート状にして再乾燥させた後、粉砕機にかけ、分級操作を行い、平均粒子径が5μmのポリメタクリル酸メチル単一の粉砕(異形)ポリマー粒子B4を作製した。
【0147】
上記合成例1〜11で得られた粒子のMV、L
AV、D
AV、P
AV、粒子成分、形状についてのまとめを表1に示す。
【0148】
【表1】
【0149】
[3]光学測定分散液の作製及びその評価
[実施例1〜
9、
参考例1〜7、比較例1〜4]
ポリマー粒子A、B及び精製水を下記表2に示す割合で混合して、0.1質量%のポリマー粒子水分散液1〜20を作製した。
【0150】
【表2】
【0151】
[評価試験1]
分散液1〜20をそれぞれ付属の石英セルに注入し、紫外可視分光光度計(日本分光(株)製UV−2450)を用いて、波長320nm、360nm、400nmにおける粒子分散時のUVの透過光分析を行った。結果を表3に示す。
【0152】
【表3】
【0153】
透過光分析の結果、UV−A領域を含むUV領域において、楕円状又は針状のポリマー粒子は、明らかにUV散乱効果が高いことを確認した。
【0154】
[4]光学測定シートの作製及びその評価
[実施例
10〜
18、
参考例8〜12、比較例5〜9]
ポリマー粒子A、B、バインダー樹脂((株)クラレ製PVA樹脂)及び精製水を下記表4に示す割合で混合して組成物を調製し、厚み100μmのPETフィルム(E−5000、東洋紡(株)製)の片面に市販のバーコーターを使用しコーティングした。コーティング後、乾燥機を50℃に設定し20分間熱風乾燥を行った後、塗工層の厚みが40μmとなるように光学シートを作製した。
【0155】
【表4】
【0156】
[評価試験2]
紫外可視分光光度計(日本分光(株)製UV−2450)を用いて、光学シート1〜19について、波長320nm、360nm、400nmにおけるUVの透過光分析を行った。結果を表5に示す。
【0157】
【表5】
【0158】
透過光分析の結果、本発明の楕円状又は針状のポリマー粒子を含む添加剤は、UV領域(特にUV−A)において透過光が低下していることから明らかにUV散乱効果が高いことを確認した。また、可視光領域においても散乱効果が高いことから、隠蔽性も高いことが確認された。
【0159】
なお、複数のシートを作製し(n=5)同様の試験を行ったところ、
参考例
8〜
12からなる光学シートは、散乱効果が高いものの実施例
10〜
18に比べてシート毎の特性に若干のバラツキが見られた。これは、楕円状又は針状のポリマー粒子の流動性や当該粒子が配向しやすい特性に起因し、UV散乱効果にバラツキが生じたものと推測している。言い換えれば、楕円状又は針状のポリマー粒子に球状又は粉砕(異形)状のように異なる形状の第2のポリマー粒子を混合すると(実施例
10〜
18)、楕円状又は針状のポリマー粒子における配向を抑えるよう第2のポリマー粒子が立体障害をおこさせ、楕円状又は針状のポリマー粒子の特徴を損ねることなく、安定してUV散乱効果を維持できることが分かった。
【0160】
また、実施例
10と
17の比較から、楕円状又は針状のポリマー粒子及び同じ成分の球状のポリマー粒子を混合した場合、楕円状又は針状のポリマー粒子の割合を減らすとUV散乱効果も若干低くなるが、比較例6(同じ成分の球状のポリマーのみ)に比べると、十分にUV散乱効果が高いことが分かった。
【0161】
[評価試験3]
[実施例
19〜
27、
参考例13〜17、比較例10〜14]
光学シート1〜19を用いて、以下の方法でUV散乱試験を行った。
UV光に対して色が変わる紙(評価試験紙(ケニス(株)製))の上に5cm四方に加工した光学シート1〜19を置き固定し、UVランプを1分間照射し変色度合を外観で確認した。結果を表6に示す。
※UVランプ(フナコシ(株)製)
・波長254nm MODEL UVG−54
・波長302nm MODEL UVM−57
・波長366nm MODEL UVL−56
【0162】
【表6】
【0163】
UV散乱試験の結果より、本発明の楕円状又は針状のポリマー粒子を含む添加剤を基材への混合又は基材表層部等へ付帯させることでUV領域(UV−A、UV−B、UV−C)においてUV散乱効果があり、化粧品、インク、塗料、着色材等のUVによる劣化、変色、健康被害等への悪影響を抑制できることを確認した。
【0164】
[5]反射散乱性の評価
[実施例
28、
参考例18、比較例15]
参考例
10で配合した粒子を黒色の合成皮革(5cm×8cm)に、化粧用パフでパッティングしながら均一に塗布し(0.24mg/cm
2)、評価用シートを作製した。次いで、自動変角光度計((株)村上色彩技術研究所製Gonio Photometer GP−200)を用い、評価用シートに入射角45°で光を一定量照射し、反射光の光散乱分布を測定した(
参考例18)。また、
参考例
10で配合した粒子の代わりに実施例
12及び比較例6で配合した粒子を用いて、同じ方法で反射光の光散乱分布を測定した(実施例
28、比較例15)。結果を
図1に示す。
【0165】
図1より、UV効果を損ねることなく安定して、楕円状又は針状のポリマー粒子の光散乱性効果も得られることを確認した。また、塗料、インク、成形品、化粧品等のUVカットが必要な用途においては当該粒子が有効であることを確認した。
【0166】
[6]化粧品用途向け試験
[実施例
29〜
37、
参考例19〜23、比較例16〜19]
実施例
10〜
18、
参考例8〜12、比較例6〜9で配合した粒子について、下記に示す方法で評価した。結果を表7に示す。
評価項目
・肌触り:各粒子を皮膚上に伸ばした際の感触で評価。
・滑り性:黒色合皮上に各粒子を1gのせて、指で伸ばした際の長さで評価。
・粒子付着力:黒色合皮上に各粒子を1gのせて、パフで均等に伸ばした後、合皮を3回たたき、粒子の残存量をデジタルマイクロスコープ(VHX200、キーエンス社製)で観察し評価。
【0167】
【表7】
【0168】
上記結果より、楕円状又は針状ポリマー粒子の肌触り、滑り性、粒子付着性の特性を損なわず、UV散乱効果も得られることを確認した。
また、UV散乱、可視光散乱いずれにも有効であることから、ヘアケア製品、特に毛染め等の光散乱剤としても有効である。
【0169】
[化粧料評価試験1]
下記表8の組成にしたがって、ファンデーション1、2及び3(水中油型乳化)を作製した。
【0170】
【表8】
【0171】
パネラーとして10人を選定し、ファンデーション1、2、3について使用感や使用前後の差を「肌への付着性」、「塗布時のフィット感」、「使用感触」、「ソフトフォーカス性」、「化粧効果の持続性(4時間)」の5項目を総合的に評価し、化粧品配合可否について評価した。
A:<ファンデーション1>の方がよい。
B:<ファンデーション2>の方がよい。
C:<ファンデーション3>の方がよい。
D:何れも同じ。
その結果、パネラーの評価は
<ファンデーション用化粧料>
A:5名
B:4名
C:0名
D:1名
であった。なお、ファンデーション1、2については殆ど特性が類似しているという意見が多かった。
【0172】
[化粧料評価試験2]
下記表9の組成にしたがって、ファンデーション4、5、6、7及び8(粉末状)を作製した。
【0173】
【表9】
【0174】
パネラーとして10人を選定し、ファンデーション4、5、6、7及び8について使用感や使用前後の差を「肌への付着性」、「塗布時のフィット感」、「使用感触」、「ソフトフォーカス性」、「化粧効果の持続性(4時間)」の5項目を総合的に評価し、化粧品配合可否について評価した。
A:<ファンデーション4>の方がよい。
B:<ファンデーション5>の方がよい。
C:<ファンデーション6>の方がよい。
D:<ファンデーション7>の方がよい。
E:<ファンデーション8>の方がよい。
F:何れも同じ。
その結果、パネラーの評価は
<ファンデーション用化粧料>
A:2名
B:3名
C:2名
D:3名
E:0名
F:0名
であった。なお、ファンデーション4、5、6及び7については殆ど特性が類似しているという意見が多かった。また、ファンデーション4、5、6及び7については「肌への付着性」、「ソフトフォーカス性」、「化粧効果の持続性(4時間)」が特に優れているという意見が多かった。一方ファンデーション8については、「肌への付着性」、「化粧効果の持続性(4時間)」に欠けるとの意見が多かった。
【0175】
[化粧料評価試験3]
下記表10の組成にしたがって、マスカラ用化粧料1、2及び3を作製した。
【0176】
【表10】
【0177】
パネラーとして10人を選定し、マスカラ用化粧料1、2、3について使用感や使用前後の差を「マスカラののりの良さ」、「マスカラのボリューム感」、「マスカラの見栄え」、「化粧効果の持続性(4時間)」の4項目を総合的に評価し、化粧品配合可否について評価した。
A:<マスカラ用化粧料1>の方がよい。
B:<マスカラ用化粧料2>の方がよい。
C:<マスカラ用化粧料3>の方がよい。
D:何れも同じ
その結果、パネラーの評価は
<マスカラ用化粧料>
A:5名
B:4名
C:0名
D:1名
であった。なお、マスカラ用化粧料1、2については殆ど特性が類似しているという意見が多かった。
【0178】
以上の結果から、本発明のUV散乱剤は、UV散乱特性を維持しつつ、メイクアップ、スキンケア等の化粧料全般の添加剤(素材)としても有用であることを確認した。
また、UV散乱、可視光散乱いずれにも有効であることから、ヘアケア製品、特に、毛染め等の光散乱剤としても有効である。