【実施例】
【0023】
以下、本発明の実施例を図に基づいて詳説する。
図1は、プロジェクタ10の外観斜視図である。尚、本実施例において、左右とは投影方向に対しての左右方向を示し、前後とは光線束の進行方向に対しての前後方向を示す。プロジェクタ10は、
図1に示すように、略直方体形状であって、本体ケースの前方の側板とされる正面パネル12の側方に投影口を覆うレンズカバー19を有すると共に、この正面パネル12には複数の排気孔17を設けている。更に、図示しないがリモートコントローラからの制御信号を受信するIr受信部を備えている。
【0024】
又、本体ケースである上面パネル11にはキー/インジケータ部37が設けられ、このキー/インジケータ部37には、電源スイッチキーや電源のオン又はオフを報知するパワーインジケータ、投影のオン、オフを切りかえる投影スイッチキー、光源装置や表示素子又は制御回路等が過熱したときに報知をする過熱インジケータ等のキーやインジケータが配置されている。
【0025】
更に、本体ケースの背面には、背面パネルにUSB端子や画像信号入力用のD−SUB端子、S端子、RCA端子等を設ける入出力コネクタ部及び電源アダプタプラグ等の各種端子20が設けられている。尚、図示しない本体ケースの側板である右側パネル14、及び、
図1に示した側板である左側パネル15の下部近傍には、各々複数の吸気孔18が形成されている。
【0026】
次に、プロジェクタ10のプロジェクタ制御手段について
図2のブロック図を用いて述べる。プロジェクタ制御手段は、制御部38、入出力インターフェース22、画像変換部23、表示エンコーダ24、表示駆動部26等から構成され、入出力コネクタ部21から入力された各種規格の画像信号は、入出力インターフェース22、システムバス(SB)を介して画像変換部23で表示に適した所定のフォーマットの画像信号に統一するように変換された後、表示エンコーダ24に出力される。
【0027】
又、表示エンコーダ24は、入力された画像信号をビデオRAM25に展開記憶させた上でこのビデオRAM25の記憶内容からビデオ信号を生成して表示駆動部26に出力する。
【0028】
表示駆動部26は、表示エンコーダ24から出力された画像信号に対応して適宜フレームレートで空間的光変調素子(SOM)である表示素子51を駆動するものであり、光源装置63から射出された光線束を光源側光学系を介して表示素子51に入射することにより、表示素子51の反射光で光像を形成し、投影側光学系とする投影系レンズ群を介して図示しないスクリーンに画像を投影表示する。尚、この投影側光学系の可動レンズ群97は、レンズモータ45によりズーム調整やフォーカス調整のための駆動が行われる。
【0029】
又、画像圧縮伸長部31は、画像信号の輝度信号及び色差信号をADTC及びハフマン符号化等の処理によりデータ圧縮して着脱自在な記録媒体とされるメモリカード32に順次書き込む記録処理を行なう。更に、画像圧縮伸長部31は、再生モード時にメモリカード32に記録された画像データを読み出し、一連の動画を構成する個々の画像データを1フレーム単位で伸長し、この画像データを画像変換部23を介して表示エンコーダ24に出力し、メモリカード32に記憶された画像データに基づいて動画等の表示を可能とする処理を行なう。
【0030】
制御部38は、プロジェクタ10内の各回路の動作制御を司るものであって、CPUや各種セッティング等の動作プログラムを固定的に記憶したROM及びワークメモリとして使用されるRAM等により構成されている。
【0031】
本体ケースの上面パネル11に設けられるメインキー及びインジケータ等により構成されるキー/インジケータ部37の操作信号は、直接に制御部38に送出され、リモートコントローラからのキー操作信号は、Ir受信部35で受信され、Ir処理部36で復調されたコード信号が制御部38に出力される。
【0032】
尚、制御部38にはシステムバス(SB)を介して音声処理部47が接続されている。この音声処理部47は、PCM音源等の音源回路を備えており、投影モード及び再生モード時には音声データをアナログ化し、スピーカ48を駆動して拡声放音させる。
【0033】
又、制御部38は、電源制御回路41を制御しており、この電源制御回路41は、電源スイッチキーが操作されると光源装置63の光源を点灯させる。更に、制御部38は、冷却ファン駆動制御回路43に光源装置63等に設けた複数の温度センサによる温度検出を行わせ、この温度検出の結果から冷却ファンの回転速度を制御させている。又、制御部38は、冷却ファン駆動制御回路43にタイマー等によりプロジェクタ本体の電源OFF後も冷却ファンの回転を持続させ、更に、温度センサによる温度検出の結果によってはプロジェクタ本体の電源をOFFにする等の制御も行う。
【0034】
次に、このプロジェクタ10の内部構造について述べる。
図3は、プロジェクタ10の内部構造を示す平面模式図である。プロジェクタ10は、
図3に示すように、右側パネル14の近傍に電源回路ブロック101等を取付けた電源制御回路基板102が配置され、略中央にはシロッコファンタイプのブロア110が配置され、このブロア110の近傍に制御回路基板103が配置され、正面パネル12の近傍には光源装置63が配置され、左側パネル15の近傍には光学系ユニット77が配置されている。又、プロジェクタ10は、筐体内を区画用隔壁120により背面パネル13側の吸気側空間室121と正面パネル12側の排気側空間室122とに気密に区画されており、ブロア110は、吸込み口111が吸気側空間室121に位置し排気側空間室122と吸気側空間室121の境界に吐出口113が位置するように配置されている。
【0035】
光学系ユニット77は、光源装置63の近傍に位置する照明側ブロック78と、背面パネル13側に位置する画像生成ブロック79と、照明側ブロック78と左側パネル15との間に位置する投影側ブロック80との3つのブロックから構成された略コの字形状である。
【0036】
この照明側ブロック78は、光源装置63から射出された光を画像生成ブロック79が備える表示素子51に導光する光源側光学系61の一部を備えている。この照明側ブロック78が有する光源側光学系61としては、光源装置63から射出された光線束を均一な強度分布の光束とする導光装置75や、導光装置75を透過した光を集光する集光レンズ等がある。
【0037】
画像生成ブロック79は、光源側光学系61として、導光装置75から射出された光線束の光軸方向を変更する光軸変更ミラー74と、この光軸変更ミラー74により反射した光を表示素子51に集光させる複数枚の集光レンズと、これらの集光レンズを透過した光線束を表示素子51に所定の角度で照射する照射ミラー84と、を有している。更に、画像生成ブロック79は、表示素子51とするDMDを備え、この表示素子51の背面パネル13側には表示素子51を冷却するための表示素子冷却装置53が配置されて、表示素子51が高温となることを防止している。
【0038】
投影側ブロック80は、表示素子51で反射されて画像を形成する光をスクリーンに放出する投影側光学系90のレンズ群を有している。この投影側光学系90としては、固定鏡筒に内蔵する固定レンズ群93と可動鏡筒に内蔵する可動レンズ群97とを備えてズーム機能を備えた可変焦点型レンズとされ、レンズモータにより可動レンズ群97を移動させることによりズーム調整やフォーカス調整を可能としている。
【0039】
次に、本実施例のプロジェクタ10における光源装置63について述べる。
図4は、光源装置63の平面図であり、
図5は、発光ホイール71の正面図及び断面模式図である。光源装置63は、
図4に示すように、導光装置75の中心軸と光軸が一致するように配置された光源72と、光源72の光軸とホイール面が直交するように配置された発光ホイール71と、発光ホイール71を回転駆動するホイールモータ73と、を備える。
【0040】
又、光源72の射出側にはコリメータレンズ141が配置され、発光ホイール71の射出面側には複数のレンズから構成された集光光学系が配置されて導光装置75に発光ホイール71からの射出光を入射させている。この集光光学系は、発光ホイール71の近傍に配置された集光レンズ群145と、集光レンズ群145の光軸上に配置されたコンデンサレンズ146と、コンデンサレンズ146の光軸上であって導光装置75の入射面近傍に配置された導光装置入射レンズ147とから構成されている。
【0041】
光源72は、青色波長域、つまり、約450nm波長のレーザ光を射出するレーザダイオードである。そして、光源72からの射出光は、コリメータレンズ141によって平行光に変換され、発光ホイール71にレーザ光として照射される。そして、この光源光は、青色波長域の投影光として、或いは、蛍光体を励起する励起光として利用される。
【0042】
発光ホイール71は、光源72からの射出光を受けて光の三原色である赤色、緑色、青色の波長域の光を導光装置75に向けて射出する。この発光ホイール71は、
図5に示すように、中央に開口を備えた円板形状であり、透光性の高いガラス等の円形基板131によって形成されている。又、円形基板131の前方の面である射出面には微細凹凸が施され、この微細凹凸によって円形基板131の射出面に拡散層132が形成されている。更に、拡散層132上の所定の領域には蛍光体層133が敷設されている。
【0043】
この拡散層132とされる微細凹凸は、サンドブラスト加工等によって円形基板131に対して直接加工されている。又、微細凹凸の間隔は、コヒーレント光であるレーザ光をインコヒーレント光に変換できればよいため、数μm乃至数100μmの範囲とされており、中でも10μm乃至100μmの範囲が好適である。
【0044】
又、発光ホイール71には、赤色波長域の発光光が射出される帯状の赤色領域71Rと、緑色波長域の発光光が射出される帯状の緑色領域71Gと、拡散層132で拡散された光源光が透過することにより青色波長域の光が射出される帯状の青色領域71Bと、が周方向に並設された環状照射領域が設定されている。この環状照射領域は、発光ホイール71の直径よりも小さな外径とされ、光源72の光軸上に位置している。
【0045】
この赤色領域71Rにおける拡散層132上には、光源72からの射出光を励起光として赤色波長域の光を発光する赤色蛍光体層133Rが敷設され、緑色領域71Gにおける拡散層132上には、光源72からの射出光を励起光として緑色波長域の光を発光する緑色蛍光体層133Gが敷設されている。
【0046】
そして、発光ホイール71の赤色領域71R及び緑色領域71Gは、発光体により形成されている。この発光体は、光源72からの照射光を励起光として発光する蛍光体層133と、照射光を拡散する拡散層132と、を備える。この拡散層132は、少なくとも光源72からの照射光の被照射領域に形成されている。又、拡散層132は、透光性の高いガラス等の円形基板131の部材表面に形成された微細凹凸により形成されている。
【0047】
赤色蛍光体層133Rは、シリコン樹脂やガラス等の可視光線を透過する部材に硼酸カドミウム(Cd2B2O5)等の赤色蛍光体を均一に分散することにより形成され、励起光を受けて600nm乃至650nmにピーク波長がある光を発光する蛍光体層133とされている。
【0048】
又、緑色蛍光体層133Gの蛍光体層133は、シリコン樹脂やガラス等の可視光線を透過する部材に珪酸亜鉛(ZnSiO3)等の緑色蛍光体を均一に分散することにより形成され、励起光を受けて500nm乃至550nmにピーク波長がある光を発光する。
【0049】
そして、光源72からの射出光は、コリメータレンズ141によって発光ホイール71の環状照射領域上に照射され、円形基板131を透過した後、拡散層132で拡散される。そして、この拡散光の光線束は、青色領域71Bにおいては青色波長域の投影光として発光ホイール71の前方に射出され、赤色領域71R又は緑色領域71Gにおいては各蛍光体層133R,133Gを励起する励起光となる。そして、各蛍光体層133R,133Gは、この励起光によって励起されて赤色波長域又は緑色波長域の光を発光し、この発光光が投影光として前方に射出される。
【0050】
発光ホイール71からの射出光は、集光レンズ群145に射出され、集光レンズ群145によって集光された後コンデンサレンズ146に入射し、コンデンサレンズ146で更に集光されて導光装置入射レンズ147に入射する。導光装置入射レンズ147に入射した光線束は、導光装置75の入射面に照射されて導光装置75内に入射し、導光装置75で均一な強度分布の光とされてその後の光学系に射出される。
【0051】
又、発光ホイール71は、ホイールモータ73によって回転が制御されており、光の3原色である赤、緑、青の光を制御に従って射出することにより、所定波長域の光を時分割で射出することができ、この時分割で射出されている光を表示素子51のマイクロミラーで投影側に画像として反射させることにより画像のカラー投影が可能となる。
【0052】
尚、本実施例では、光源72を青色波長域のレーザ光を射出する青色レーザダイオードとしているが、光源72を紫外線レーザ光を射出する紫外線レーザダイオードとし、青色領域71Bに青色波長域の光を発光する青色蛍光体層を形成する構成とすることもできる。この場合、青色蛍光体としてタングステン酸カルシウム(CaWO4)等を用いることができる。このように青色波長域の光も蛍光体を利用する構成とすることにより、発光ホイール71に対して様々な角度に光源72を配置することができるため、省スペースな電気機器の筐体内において光源装置63の配置が容易となる。又、紫外線レーザダイオードを複数配置することによって、光量の増加を図ることも容易となる。
【0053】
又、本実施例の発光ホイール71は、発光ホイール71の射出面側の同一面上に拡散層132と蛍光体層133を形成した構成としているが、発光ホイール71の入射面側の同一平面上に拡散層132と蛍光体層133を形成した構成とすることもできる。更に、発光ホイール71は、発光ホイール71の入射面側に拡散層132を形成し、対向する射出面側に蛍光体層133を敷設する構成とすることもできる。又、発光ホイール71は、発光ホイール71の入射面側に蛍光体層133を形成し、対向する射出面側に拡散層132を敷設する構成とすることもできる。何れにしても、発光ホイール71は、発光ホイール71の一部に微細凹凸の拡散層132を形成することで、蛍光体層133が脱落した場合であっても、光源72からの光がコヒーレント光のままで外部に射出されることを防ぐことができる構成となっていればよい。
【0054】
本実施例の光源装置63によれば、発光ホイール71の一面に拡散層132を形成することにより、発光ホイール71から蛍光体層133が脱落した場合、或いは、発光ホイール71上における環状照射領域から外れた位置に光源光が照射された場合であっても、光源72からの射出された光がコヒーレント光のままで外部に射出されることを防止でき、安全性が高い光源装置63を提供できる。
【0055】
つまり、光源装置63は、蛍光体層133と拡散層132を備える発光体を発光ホイール71に形成することにより、発光ホイール71の回転中に蛍光体層133が脱落した場合であっても拡散層132によってコヒーレント光をのままで外部に射出されることを防止できる。
【0056】
又、光源72から射出されたコヒーレント光が光源装置63内、或いは、プロジェクタ10の筐体内に配置された各種装置にコヒーレント光のままで照射されることがないため、高出力で高エネルギーの光が照射されることにより引き起こされる故障や経年劣化といった弊害を防止できる。更に、発光ホイール71の円形基板131の一部に微細凹凸を形成して拡散層132としているため、拡散層132が発光ホイール71から脱落するといった危険が無く、より安全性が高い光源装置63とすることができる。
【0057】
又、拡散層132を形成する微細凹凸の間隔を10μm乃至100μmの範囲とすることにより、光源光の利用効率を大きく下げることなく安全な光源光に変換することができる。
【0058】
又、光源72を青色波長域のレーザ光を射出する青色レーザダイオードとすることにより、青色波長域光はエネルギーが高いため赤色蛍光体及び緑色蛍光体を励起する励起光として利用でき、又、拡散層132を介すことによって青色波長域光として利用することもできるため、比較的高額な蛍光体層の数を減らすことができ、安価な光源装置63を製造可能となる。
【0059】
更に、発光ホイール71を透光性の高い円形基板131によって形成し、円形基板131の一面に赤色蛍光体層133R及び緑色蛍光体層133Gを敷設したことにより、光の三原色である赤色、緑色、青色の三色の光を射出することができるため、様々な電気機器における光源として利用できる。
【0060】
又、プロジェクタ10において、このような光源装置63を用いることにより、従来の放電ランプを光源として用いるプロジェクタ10よりも小型で電気消費量の少ないプロジェクタ10とすることができ、更に、従来のレーザ光を利用したプロジェクタ10よりも安全性が高いプロジェクタ10を提供できる。
【0061】
次に、本発明の変形例に係る光源装置63に関して述べる。
図6は、本変形例に係る光源装置63の平面図であり、
図7は、本変形例における発光ホイール71の正面図及び断面模式図である。光源装置63は、
図6に示すように、光源72と、光源72からの射出光を受けて光の三原色である赤色、緑色、青色の波長域の光を導光装置75に向けて射出する発光ホイール71と、発光ホイール71を回転駆動するホイールモータ73と、を備える。尚、発光ホイール71は、赤色及び緑色波長域光を光源72側に射出し、青色波長域光を光源72側の面とは逆側の面から射出する。
【0062】
又、この光源装置63は、光源72の前方にコリメータレンズ141が配置され、更に、発光ホイール71の両面近傍から導光装置75までの間には、集光レンズ群145や、複数のダイクロイックミラー151、複数の反射ミラー152、複数の凸レンズ153、導光装置入射レンズ147等から構成される集光光学系が配置されている。
【0063】
集光光学系について述べる。光源72と発光ホイール71の間には、赤色波長域及び緑色波長域の発光光を反射し青色波長域の光源光は透過する第一ダイクロイックミラー151aが配置されている。そして、この第一ダイクロイックミラー151aは、光源72からの青色光を透過し発光ホイール71から射出される赤色及び緑色光を導光装置75の方向に90度だけ方向を変化させるように反射する。
【0064】
又、発光ホイール71の正面近傍、つまり、光源72側に位置する面の近傍と、発光ホイール71の裏面近傍には、夫々集光レンズ群145が配置されている。発光ホイール71の正面近傍の集光レンズ群145は、光源光を集光して発光ホイール71に照射させると共に発光ホイール71から射出された赤色波長域光及び緑色波長域光を集光して第一ダイクロイックミラー151aに射出する。発光ホイール71の裏面近傍の集光レンズ群145は、発光ホイール71を透過した青色波長域光を第一反射ミラー152aに集光する。
【0065】
第一ダイクロイックミラー151aの前方、つまり、導光装置75の方向には第一凸レンズ153aが配置されて第一ダイクロイックミラー151aで反射した光線束を集光しており、第一凸レンズ153aの前方には、第二ダイクロイックミラー151bが配置されている。この第二ダイクロイックミラー151bは、赤色波長域光及び緑色波長域光を透過し、青色波長域光を導光装置75の方向に90度だけ方向を変化させて反射させる。
【0066】
第一反射ミラー152aは、発光ホイール71の青色光射出側に配置されて、発光ホイール71からの青色光を導光装置75側へ90度反射する。第一反射ミラー152aの前方には、第二凸レンズ153bが配置され、第一反射ミラー152aで反射した光線束を集光して第二反射ミラー152bに照射している。第二反射ミラー152bは、第二凸レンズ153bを透過した光線束を導光装置75側に90度反射する。第二反射ミラー152bの前方には、第三凸レンズ153cが配置され、第二反射ミラー152bで反射した光線束を集光して第二ダイクロイックミラー151bに照射している。
【0067】
更に、第二ダイクロイックミラー151bの前方には導光装置入射レンズ147が配置され、この導光装置入射レンズ147の前方には第三反射ミラー152cが配置されて導光装置入射レンズ147を透過した光線束を導光装置75の方向に90度だけ方向を変化させて反射させている。
【0068】
このように、複数のダイクロイックミラー151及び複数の反射ミラー152を配置することで、発光ホイール71から射出される各色光の光軸を変換させて導光装置75の光軸と一致させることができるため、発光ホイール71からの射出光は反射或いは透過を繰り返して、導光装置75に入射することとなる。
【0069】
そして、光源72は、上述した実施例と同様、青色波長域のレーザ光を射出するレーザダイオードである。そして、光源72からの射出光は、コリメータレンズ141によって平行光に変換されて発光ホイール71に照射される。
【0070】
発光ホイール71は、
図7に示すように、中央に開口を備えた円板形状であり、金属等伝熱性の高い円形基板131によって形成されている。又、円形基板131の表面には微細凹凸による拡散層132としての機能を備えた反射層136が形成され、反射層136上の所定領域には蛍光体層133が敷設されている。更に、円形基板131には帯状の開口137が形成され、この開口137を封止するように微細凹凸による拡散層132としての機能を備えた透光板138が配置されている。
【0071】
反射層136は、円形基板131上にエッチング法等によって微細凹凸を形成し、この微細凹凸上に銀等を蒸着することでミラー加工したものである。又、透光板138は、透明なガラス板等の表面にサンドブラスト加工等によって微細凹凸を形成することにより形成されている。
【0072】
そして、発光ホイール71には、赤色波長域の発光光が光源光の入射面側から射出される帯状の赤色領域71Rと、緑色波長域の発光光が光源光の入射面側から射出される帯状の緑色領域71Gと、拡散された青色波長域の光源光が発光ホイール71を透過して逆の面から射出される帯状の青色領域71Bと、が周方向に並設されてなる環状照射領域が設定されている。
【0073】
この赤色領域71R上には、光源72からの射出光を励起光として赤色波長域の光を発光する赤色蛍光体層133Rが敷設され、緑色領域71G上には、光源72からの射出光を励起光として緑色波長域の光を発光する緑色蛍光体層133Gが敷設されている。又、青色領域71Bは、上述した開口137と透光板138とにより形成されている。つまり、赤色領域71Rと緑色領域71Gには、上述したように蛍光体層133と拡散層132(反射層136)からなる発光体が組み込まれている。
【0074】
光源72からの射出光は、コリメータレンズ141によって平行光に変換され、第一ダイクロイックミラー151aを透過し、集光レンズ群145で集光されて発光ホイール71の環状照射領域近傍に照射される。
【0075】
光源光の照射位置に赤色領域71R又は緑色領域71Gが位置している場合、光源光の大部分は赤色蛍光体層133R又は緑色蛍光体層133Gの蛍光体を励起する励起光となり、各蛍光体は、全方位に発光光を射出する。光源72側に射出された発光光は、集光レンズ群145によって集光され第一ダイクロイックミラー151aで反射して第一凸レンズ153aに照射される。又、発光ホイール71側に射出された発光光は、反射層136で拡散反射され、一部が光源72側に射出されて有効光となる。
【0076】
更に、赤色蛍光体層133R又は緑色蛍光体層133Gに照射された光源光の一部は、蛍光体層133を透過して反射層136に照射され、反射層136で拡散反射されて再び蛍光体層133に励起光として入射する。又、帯状の環状領域外に照射された光源光は、反射層136で拡散反射され、集光レンズ群145、第一ダイクロイックミラー151aを透過して光源72方向へ射出される。
【0077】
光源光の照射位置に青色領域71Bが位置している場合、光源光は透光板138に入射して表面の微細凹凸で拡散された後に透過し、発光ホイール71の開口137から発光ホイール71の裏面側へ射出される。発光ホイール71の裏面側に射出された光線束は、集光レンズ群145で集光されて第一反射ミラー152aに照射され、第一反射ミラー152aで反射されて第二凸レンズ153bに入射される。
【0078】
本変形例によれば、発光ホイール71を熱伝導率の高い金属板によって形成し、該金属板の表面に微細凹凸を備えた反射層136を形成することにより、発光ホイール71に照射された光線束は微細凹凸で必ず拡散光とされるため、レーザ光が直接外部に射出されることが無く、安全性の高い光源装置63を提供できる。又、青色波長域光は発光ホイール71の裏面側から射出される構成とすることにより、光源光を青色波長域光として利用できるため、比較的高額な蛍光体層133を用いることなく青色波長域光を生成でき、よって、安価で安全性の高い光源装置を提供できる。
【0079】
更に、発光ホイール71における環状照射領域から外れた場所に照射された光源光は、反射層136で反射されて第一ダイクロイックミラー151aへ照射されることとなるが、第一ダイクロイックミラー151aが光源光を透過するため、第一ダイクロイックミラー151aによって赤色や緑色の発光光と青色の反射光とが分離され、赤色又は緑色の波長域光のみが導光装置75へ導光されることとなり、投影画像の明度や彩度を高く表現できる。
【0080】
又、本変形例では、発光ホイール71の入射面側の同一平面上に蛍光体層133と反射層136が形成される構成としたが、これに限らず、発光ホイール71の入射面側に蛍光体層133を形成し、射出面側に反射層136を形成する構成としてもよい。
【0081】
更に、上記実施例は、一枚の発光ホイール71に赤色領域71R、緑色領域71G、青色領域71Bを形成しているも、円周形状に赤色領域71Rを形成した発光ホイールと、円周形状に緑色領域71Gを形成した発光ホイール71、円周形状に青色領域71Bを形成した発光ホイール71の3枚の発光ホイール71を用いて赤色光、緑色光、青色光をダイクロイックミラーで合成させて導光装置に導くようにすることもある。
【0082】
尚、本発明は、以上の実施例に限定されるものでなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で自由に変更、改良が可能である。