特許第5780411号(P5780411)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5780411-過酸化水素水溶液精製方法及び装置 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5780411
(24)【登録日】2015年7月24日
(45)【発行日】2015年9月16日
(54)【発明の名称】過酸化水素水溶液精製方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   C01B 15/013 20060101AFI20150827BHJP
   B01D 61/14 20060101ALI20150827BHJP
   B01J 41/04 20060101ALI20150827BHJP
   B01J 47/14 20060101ALI20150827BHJP
   B01D 15/00 20060101ALI20150827BHJP
   B01J 39/04 20060101ALI20150827BHJP
   B01J 47/04 20060101ALI20150827BHJP
【FI】
   C01B15/013
   B01D61/14 500
   B01J41/04
   B01J47/14
   B01D15/00 M
   B01J39/04
   B01J47/04
【請求項の数】9
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-4424(P2011-4424)
(22)【出願日】2011年1月12日
(65)【公開番号】特開2012-121784(P2012-121784A)
(43)【公開日】2012年6月28日
【審査請求日】2013年12月16日
(31)【優先権主張番号】201010577193.9
(32)【優先日】2010年12月8日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】511010495
【氏名又は名称】聯仕(上海)電子化学材料有限公司
【氏名又は名称原語表記】ASIA UNION ELECTRONIC CHEMICAL CORPORATION SHANGHAI
(74)【代理人】
【識別番号】100137095
【弁理士】
【氏名又は名称】江部 武史
(74)【代理人】
【識別番号】100173532
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 彰文
(74)【代理人】
【識別番号】100091627
【弁理士】
【氏名又は名称】朝比 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100075247
【弁理士】
【氏名又は名称】最上 正太郎
(72)【発明者】
【氏名】湯慧
(72)【発明者】
【氏名】▲ツァン▼家栄
(72)【発明者】
【氏名】カーティス ダブ
(72)【発明者】
【氏名】林益興
【審査官】 廣野 知子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−080207(JP,A)
【文献】 特開2002−080209(JP,A)
【文献】 特開平09−278416(JP,A)
【文献】 特開平09−278417(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 15/013
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の工程を、液温を5℃以上20℃以下に保ちつつ、順次実行することを特徴とする過酸化水素水溶液の精製方法であって、
(a)過酸化水素原料液を多孔吸着樹脂を吸着材とする多孔樹脂吸着カラム(2)で処理し、有機不純物含有量を、有機炭素換算で、20ppm以下とする工程。
(b)陽イオン交換樹脂カラム(3)を通し、イオン交換を行わせる工程。
(c)陰イオン交換樹脂カラム(4)を通し、イオン交換を行わせる工程。
(d)陰イオン交換樹脂と陽イオン交換樹脂とを含む陰陽イオン交換樹脂混合カラム(6,7)を通し、イオン交換を行わせる工程。
(e)マイクロフィルター(8)でろ過し、不純物イオンを除去する工程。
前記多孔吸着樹脂カラム(2)と前記イオン交換樹脂カラム(3,4,6,7)との内壁には、フッ素樹脂が被覆されていることを特徴とする過酸化水素水溶液の精製方法。
【請求項2】
前記多孔樹脂吸着カラム(2)に充填される前記多孔吸着樹脂がポリスチレン、ポリジビニルベンゼン又はこれらの混合物である請求項1に記載の過酸化水素水溶液の精製方法。
【請求項3】
前記陰陽イオン交換樹脂混合カラム(6,7)で、前記陰イオン交換樹脂と前記陽イオン交換樹脂との体積比が1:1以上、1:2以下である請求項1又は2に記載の過酸化水素水溶液の精製方法。
【請求項4】
前記イオン交換樹脂カラム(3,4,6,7)の内径と長さ(内法)の比が1:8以上、1:10以下であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一に記載の過酸化水素水溶液の精製方法。
【請求項5】
前記陽イオン交換樹脂が強酸性陽イオン交換樹脂であり、前記陰イオン交換樹脂が強アルカリ性交換樹脂である請求項1乃至4の何れか一に記載の過酸化水素水溶液の精製方法。
【請求項6】
前記マイクロフィルター(8)のろ過膜の穴径が0.1μm以下である請求項1乃至5の何れか一に記載の過酸化水素水溶液の精製方法。
【請求項7】
前記イオン交換樹脂カラム(3,4,6,7)内の温度変化が±2.5K以下に制御された請求項1乃至6の何れか一に記載の過酸化水素水溶液の精製方法。
【請求項8】
前記過酸化水素水溶液が、前記イオン交換樹脂カラム(3,4,6,7)を通過する流量が200kg/h以上、400kg/h以下である請求項1乃至7の何れか一に記載の過酸化水素水溶液の精製方法。
【請求項9】
原料となる過酸化水素水溶液をろ過する多孔樹脂吸着カラム(2)と、
陽イオン交換樹脂カラム(3)と、
陰イオン交換樹脂カラム(4)と、
陰陽イオン交換樹脂混合カラム(6,7)と、
マイクロフィルター(8)と、
を順次連結して成り、請求項1乃至8の何れか一に記載の過酸化水素水溶液の精製方法を実施する過酸化水素水溶液の精製装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、過酸化水素精製方法及び装置、特に高純度の製品が得られる過酸化水素水溶液の精製方法及び装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子級の過酸化水素は主に大規模な集積回路の洗浄や加工に使用されているが、電子工業の発展に連れて、その品質と純度に対する要求は次第に厳しいものとなって来ている。
中国の伝統的な電子級の過酸化水素精製方法においては、工業級過酸化水素を処理して、試薬級又は食品級に精製したものを原料としており、そのため、原料コストが高く、利益が得られ難いと言う問題があった。
工業級過酸化水素を原料として直接SEMI C12標準に適合する超高純度過酸化水素が得られるような精製方法は提案されていない。
【0003】
従来公知の精留法は、無機不純物を除去する理想的な方法の一つであり、長期間に渡り連続して操業が可能であるため、大量生産に適しており、広く用いられている。
例えば、日本の特許公開公報、特開平11−292512及び同特開2000−1305で公開された「過酸化水素水溶液の製造方法」は、蒸発器、気液分離機及び精留塔を用いて濃縮精製を行なうものである。
アメリカ特許USP5,670,028Aには、蒸留を通じて有機炭素不純物と無機不純物を除去してから、減圧精留で過酸化水素を精製する超高純度過酸化水素の精製方法が開示されている。
アメリカ特許USP5,296,104Aには、精留と洗浄とにより過酸化水素を精製するプロセスが開示されている。
然しながら、精留法は大量のエネルギーを要する上、精留塔の内面防食被覆用に大量のフッ素樹脂を必要とするため、設備費用が嵩むと言う問題がある。
【0004】
膜ろ過法は、有望な技術であり将来発展の余地がある。
膜ろ過法では物質の相転移が発生せず、室温の下でも操作でき、操作が簡単である上、不純物除去率が高く、高純度の製品が得られるという利点がある。
然しながら、ろ過圧力が高い上、ろ過膜の耐用年数が短く、頻繁な交換を必要としているので、ランニングコストが高く、従って、目下殆どの場合では、膜ろ過技術は他の方法と組み合わせて用いられているに過ぎない。
例えば、中国発明専利説明書,授権公告号CN1189387C及び同CN100420625Cで公告された超高純度過酸化水素の精製方法では、何れもイオン交換樹脂と膜ろ過の組み合わせが採用されており、発明専利申請公布説明書CN101244810Aで公開された超高純度過酸化水素の精製プロセス及び装置では、膜ろ過、活性炭吸着及び多段式精留の組み合わせが採用されている。
【0005】
超臨界抽出方法は、ここ数年来新しく開発された分離方法である。この方法は操作が簡単で、大量処理に向いており、エネルギー消費量が少なくて済む。
このため、例えば、フィンランドのKemirachemical Oy社は、超臨界状態の下で二酸化炭素抽出法により過酸化水素中の有機不純物を除去することによって、過酸化水素を精製する方法を提案している。但し、この方法には、得られる製品の純度が低いと言う問題がある。
又、活性炭吸着方法で電子級過酸化水素を精製する方法も提案されている。例えば、日本の公開特許公報特開平11−35305では、活性炭を過酸化水素に接触させその一部を分解させた後、水洗して吸着材として使用する方法である。但し、この方法には、活性炭が過酸化水素を分解するので収率が下がると言う問題がある。
【0006】
樹脂吸着方法は、不純物除去率が高く、設備敷地面積が少なくて済み、柔軟に組み合わせられる等の優位性を有するため、現在人々の注意を集めている。
例えば、WIPOパンフレットWO98/54085A1で公開された精製方法は、酢酸イオンの存在下で、イオン交換により超高純度過酸化水素を精製する方法であり、少なくとも一つの陽イオン交換樹脂及びカルボン酸イオン(例えば、酢酸イオン)を含む一つの陰イオン交換樹脂を使用して吸着を行なうものである。
アメリカ特許USP5055286で公開された過酸化水素精製方法は、キレート剤を搭載している陰イオン交換樹脂を用いて吸着を行う方法である。
アメリカ特許USP499179で開示された技術は、陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂を並列に繋ぎ、それら二種の樹脂の間にハロゲンを含む多孔質樹脂体を設置するものである。
中国発明専利説明書受験公告号CN1171776Cで公開された過酸化水素精製方法では、H陽イオン交換樹脂、フッ素イオン型陰イオン交換樹脂、炭酸イオン型又は重炭酸イオン型交換樹脂、H陽イオン交換樹脂と言う合わせて4種のイオン交換樹脂を用いる方式を採用している。
【0007】
過酸化水素を超高純度に精製するための樹脂吸着方法では、主に強酸性陽イオン交換樹脂、強アルカリ性陰イオン交換樹脂、親水性多孔樹脂等の組み合わせが採用されている。
過酸化水素は、爆発性危険物である上、取扱過程で温度や、イオン交換樹脂との接触順序等多種の要素から影響を受ける。
更に、過酸化水素は強い酸化性と、アルカリ性物質に接触すると分解する特徴を持っているので、イオン交換樹脂の骨組み構造を破壊し易く、このためイオン交換樹脂の浄化能力が損なわれ易いものである。
更に、過酸化水素は、大量な過酸化物とエポキシド等の不純物を発生させて、酷い場合に爆発に至ることがある。
又、工業級過酸化水素は一般にアントラキノン法を採用して生産され、大量な有機と無機の不純物を含んでおり、そのため、上述の特許技術で、単純な陰イオン交換樹脂カラムと陽イオン交換樹脂カラムとを並列に繋いだり、組み合わせたりする方法で処理された過酸化水素製品はSEMI C12標準に適合しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
特開2000−001315
【0009】
特開平11−292521
【0010】
特開平11−035305
【0011】
CN1171776C
【0012】
CN1189387C
【0013】
CN100420625C
【0014】
CN1101244810A
【0015】
USP4999179
【0016】
USP5055286
【0017】
USP5670028
【0018】
USP5296104
【0019】
USP5055286
【0020】
USP4999179
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
本発明は、過酸化水素の高純度精製方法を提供するものである。
本発明は、原料とする工業級過酸化水素を、大孔吸着樹脂で前処理してから、イオン交換樹脂吸着の方法で精製して高純度の過酸化水素を得る。
そのイオン交換処理の方法の特徴は、原料となる工業級過酸化水素水溶液を、先ず陽イオン交換樹脂によりイオン交換処理し、次いで陰イオン交換樹脂によるイオン交換処理を行った後、更に陰イオン交換樹脂と陽イオン交換樹脂との混合物によりイオン交換処理を施腰、最後にマイクロフィルターでろ過し、精製品を得ることにある。
この本発明のプロセスフローの組合せ順序が合理的で、このため連続且つ大規模で安定した操業が可能となり、そのためSEMI C12標準に適合する高品質の精製品が得られる。
尚、本明細書で、「大孔」とは、通常のマイクロフィルターなどの孔に比して径が大きいと言う程度の意味である。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明に係る過酸化水素水溶液精製プロセスの流れは下記の通りである。
工業級過酸化水素原料を大孔吸着樹脂で吸着・ろ過処理することによって、原料となる過酸化水素水溶液中の有機不純物含有量(有機炭素で計算される)を20ppm以下とし、次いで必要に応じて所定温度まで冷却した後、順次、陽イオン交換樹脂カラム、陰イオン交換樹脂カラム及び多段式(最適が二段)陰陽イオン交換樹脂混合カラムを通し、パーフッ素樹脂膜を具備するマイクロフィルターでろ過して超高純度過酸化水素を得る。
このマイクロフィルターとしてはその孔径が0.1μm以下のものを用いることが望ましい。
上述の精製プロセス中、各カラム内過酸化水素水溶液の温度を5℃以上、20℃に以下の範囲内で定めた温度に制御する。液の温度がこの範囲内であると安全に操業でき、且つ効率よく最高品質の精製品が得られる。
又各カラム内の経時的及び場所的液温変化を平均温度に対し±2.5以内に保持することが望ましい。これは安定した操業を維持するためである。
このため、装置内に適宜冷却装置を設けることが推奨される。
【0023】
大孔樹脂吸着カラムとイオン交換樹脂槽の内壁面にはフッ素樹脂被覆を施し、カラム内の部品をフッ素樹脂製とすることにより、装置を過酸化水素から保護する。
過酸化水素水溶液のイオン交換樹脂カラムでの流量を200kg/h以上、400kg/h以下の範囲に制御することが望ましい,
大孔吸着樹脂の材料は、ポリスチレン、ポリジビニルベンゼン又はこれらの混合物から選ぶことが推奨される。
【0024】
陰陽イオン交換樹脂混合カラムの中で、陰イオン交換樹脂と陽イオン交換樹脂との混合比は、処理される液中のイオン成分比と各イオン交換樹脂の性質に応じて定められるが、通常、体積比は1:1以上、1:2以下となる。
このような配合比によれば、最高のイオン交換効率が得られる。
更に、生産プロセスで、イオン交換樹脂カラムの内径と長さ(内法)との比を1:8以上、1:10以下とすることが望ましい。これも精製度を高めるため有効である。
陽イオン交換樹脂としては強酸性陽イオン交換樹脂が使用でき、陰イオン交換樹脂には強アルカリ性イオン交換樹脂が使用できる。
マイクロフィルターのフッ素樹脂膜の穴径は0.1μm又はその前後若しくはそれ以下とすることが望ましい。
【0025】
パーフッ素樹脂(炭素原子と結合している水素原子が全部フッ素原子により置換された高分子材料)としては、特に限定されないが、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、フッ化エチレンとフッ化プロピレンの共重合体、テトラフルオロエチレンとパーフッ素化アルコキシルビニルエーテル共重合体等が用いられる。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係る過酸化水素水溶液の精製方法では、処理条件が温和で、樹脂吸着カラム及びマイクロフィルター等の筐体内面保護膜及びろ過膜にフッ素樹脂を用いることによって、樹脂が保護され、樹脂損失量を減少できるようになる。
そして、樹脂吸着カラムとイオン交換樹脂カラムの組合せ順序が合理的で、各カラムとイオン交換樹脂の機能が最大限度に発揮され、パーフッ素樹脂膜を備えたマイクロフィルターの作用により、Fe、Al、Cr、P、Snその他の不純物イオンが有効に除去できされる。
【0027】
本発明に係る過酸化水素精製法によれば、従来技術の問題点であった、操業の非連続性、安全性保証不能、精製度が低く製品品質が不安定であるなどの欠点を克服することができる。本発明は、簡単な設備で足り、高い空間利用率及び操作安全性等の優位性を持っており、長時間に亘る連続的大規模操業に適する。
試験運転の結果、表1に示したように、本発明方法で精製された超高純度過酸化水素製品の有機炭素の含有量は20ppm以下であり、各金属類の残留陽イオン濃度は0.1ppbより低く、各非金属塩類の残留陰イオン濃度量は30ppbより低く、0.5ミクロンより大きい固形粒子の含有量は150pcs/mlより少なく、依ってSEMI C12標準に適合することが判明した。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1は本発明の連続化超高純度過酸化水素精製装置の構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図中、1はポンプ、2は大孔樹脂吸着カラム、3は陽イオン交換樹脂カラム、4は陰イオン交換樹脂カラム、5は温度制御装置(冷却装置)、6及び7は陰陽イオン交換樹脂混合カラム、8はマイクロフィルター、9はサンプル採取器、10は製品タンク、11は原料液タンクである。
【0030】
図1を参照して、本発明の連続超高純度過酸化水素精製方法及び装置を説明する。
原料タンク11に貯蔵された工業級酸化水素原液は、ポンプ1により、大孔樹脂吸着カラム2に送られて、不純物の一部が吸着除去され、次いで陽イオン交換樹脂カラム3、陰イオン交換樹脂カラム4に送られ、これらの樹脂によりイオン交換が行なわれ、不純物が除かれる。
【0031】
次いで、中間処理された酸化水素溶液は冷却装置として機能する温度制御装置5に送られ、5℃以上、20℃以下の範囲内に適宜に定められる操業温度まで冷却され、陰陽イオン交換樹脂混合カラム6及び7を順次通過して、イオン交換により不純物が除かれ、最終的に望ましくは膜ろ過器であるマイクロフィルター8によりろ過され製品タンク10に送られ、貯蔵されるものである。
又、サンプル採取器9は装置配管の要所要所に設けられ、定期的に作動してサンプル液を採取する。採取されたサンプルは図示されていない分析装置により分析される。
【0032】
工業級過酸化水素水溶液を原料として、大孔樹脂吸着カラム2で接触処理することによって、有機不純物(有機炭素で計算される)含有量を20ppm以下とし、次いで陽イオン交換樹脂カラム、陰イオン交換樹脂カラム、多段式陰陽イオン交換樹脂混合カラムを通してイオン交換処理をし、最後にパーフッ素化樹脂膜を備えたマイクロフィルター器を通じて超高純度過酸化水素を得、これを製品タンク10に貯留する。
【0033】
その中で、上述の生産プロセスの温度を5℃以上、20℃以下に温度に制御し、イオン交換樹脂カラム内の温度変化幅を±2.5K以内に制御し、過酸化水素のイオン交換樹脂カラム内での流量を200kg/h以上、400kg/h以下に制御することが推奨される。これらの処理条件は温和で、安全性が高く、これらにより高品質の製品が得られるものである。
樹脂吸着カラム又はイオン交換樹脂カラム(直径と長さの比が1:8以上、1:10以下である。)の筐体内面にパーフッ素樹脂被覆加工を施すことによって、パーフッ素樹脂の耐腐食性と良い化学安定性の優位性を利用して、樹脂を保護する。
次に具体的な実施例により本発明に係る過酸化水素精製方法を説明する。但し、ここで述べる実施例は、本発明の技術的範囲を制限するものではない。
【実施例1】
【0034】
過酸化水死水溶液の温度を5℃、濃度を30wt%に制御し、工業級過酸化水素を200kg/hの流量で大孔ポリスチレン樹脂吸着カラム2を通して、工業級過酸化水素原料を前処理して、原料での有機不純物(有機炭素で計算される)含有量を200ppm以内に下げ、次いで、5℃に冷却する。
同じプロセス条件の下で、前処理後の過酸化水素を強酸性陽イオン交換樹脂カラム2、強アルカリ性陰イオン交換樹脂カラム3を通して、イオン交換後の過酸化水素が陰陽イオン交換樹脂混合カラム6、7(陰イオン交換樹脂と陽イオン交換樹脂の比が1:1である)に入って二級イオン交換を行なう。
温度を5〜20℃に保持し、中央制御分析合格になった後の第二級のイオン交換液材料をポリテトラフルオロエチレン限外ろ過膜(0.1μm)濾過器8に送り、ろ過後の后過酸化水素に対して純度測定を行なう。具体的な測定結果は、表1に示されている。
【実施例2】
【0035】
過酸化水死水溶液の温度を5℃、濃度を30wt%に制御し、工業級過酸化水素水溶液を300kg/hの流量で大孔ポリスチレン樹脂吸着カラムを通して、前処理して、有機不純物(有機炭素で計算される。)含有量を200ppm以下に下げ、必要に応じて冷却する。
実施例1と同様に、前処理後の過酸化水素水溶液を強酸性陽イオン交換樹脂カラム3、強アルカリ性陰イオン交換樹脂カラム4を通し、次いでイオン交換後の過酸化水素水溶液を2段式陰陽イオン交換樹脂混合カラム6、7に送り、二級イオン交換を行なわせる。陰陽イオン交換樹脂混合カラム6、7内の陰イオン交換樹脂と陽イオン交換樹脂の混合比は1:1.5 であった。
液温を5℃以上、20℃以下の適温に維持し、中央制御分析で合格した酸化水素水溶液を、ポリテトラフルオロエチレン限外ろ過膜(0.1μm)を備えたマイクロフィルター8に送り、ろ過後の過酸化水素水溶液に対して純度測定を行った。具体的な測定結果は、表1に示されている通りであった。
【実施例3】
【0036】
温度を5℃,濃度を30wt%に制御し、工業級過酸化水素を400kg/hの流量で大孔ポリスチレン樹脂吸着カラム2を通して前処理し、有機不純物(有機炭素で計算される)含有量を200ppm以内に下げ、冷却して温度を5℃に保持する。
実施例1と同様に、前処理後の過酸化水素水溶液を強酸性陽イオン交換樹脂カラム3及び強アルカリ性陰イオン交換樹脂カラム4を通して、イオン交換を行なわせ、次いで陰陽イオン交換樹脂混合カラム6、7(陰イオン交換樹脂と陽イオン交換樹脂の比が1:2 である)で二級イオン交換を行なわせる。
温度を5℃に保持し、中央制御分析合格になった過酸化水素水溶液をポリテトラフルオロエチレン限外ろ過膜(0.1μm)を備えたマイクロフィルター8に送り、ろ過後の過酸化水素水溶液に対して純度測定を行った。具体的な測定結果は、表1に示されている通りであった。
【0037】
【表1】
【0038】
この表中、過酸化水素の含有量測定方法は以下の通りであった。即ち、有機炭素をTOC分析機(TOC‐VCPH)で分析し、陽イオンをICP‐MSで分析し、陰イオンをイオン交換クロマトグラフィー (IC)で分析し、0.5μmより大きい固形粒子をレザー粒子計数器 (RION 40KAF)で計数した。
表1から、本発明方法で精製された過酸化水素はSEMI C12標準に適合し、製品品質が安定であることが判明する。
【0039】
以上、本発明の具体的な実施例に関して詳細に述べたが、これらは、一実施例に過ぎず、本発明は以上で述べられた具体的な実施例に限定されないこと当然である。本発明に関する如何なる変更又は代替も本発明の技術的範囲に属する。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明によるときは、高純度の過酸化水素を安価に提供できるようになる。
【符号の説明】
【0041】
1 ポンプ
2 大孔樹脂吸着カラム
3 陽イオン交換樹脂カラム
4 陰イオン吸着カラム
5 温度制御装置(冷却装置)
6、7 引用イオン交換樹脂カラム
8 マイクロフィルター
9 サンプル採取箇所
10 製品タンク
11 原料タンク
図1