特許第5780424号(P5780424)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5780424
(24)【登録日】2015年7月24日
(45)【発行日】2015年9月16日
(54)【発明の名称】撮像レンズ
(51)【国際特許分類】
   G02B 13/00 20060101AFI20150827BHJP
   G02B 13/18 20060101ALI20150827BHJP
【FI】
   G02B13/00
   G02B13/18
【請求項の数】4
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2011-180494(P2011-180494)
(22)【出願日】2011年8月22日
(65)【公開番号】特開2013-44784(P2013-44784A)
(43)【公開日】2013年3月4日
【審査請求日】2014年7月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】708000650
【氏名又は名称】株式会社オプトロジック
(73)【特許権者】
【識別番号】391014055
【氏名又は名称】カンタツ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】久保田 洋治
(72)【発明者】
【氏名】久保田 賢一
(72)【発明者】
【氏名】平野 整
(72)【発明者】
【氏名】栗原 一郎
(72)【発明者】
【氏名】伊勢 善男
【審査官】 殿岡 雅仁
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−233221(JP,A)
【文献】 特開2008−233222(JP,A)
【文献】 特開2008−185687(JP,A)
【文献】 特開平04−230717(JP,A)
【文献】 特開2012−230233(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0321800(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 9/00 − 17/08
G02B 21/02 − 21/04
G02B 25/00 − 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側から像面側に向かって順に、正の屈折力を有する第1レンズと、負の屈折力を有する第2レンズと、正の屈折力を有する第3レンズとを配置して構成され、
前記第1レンズは、物体側の面の曲率半径および像面側の面の曲率半径が共に正となる形状であり、
前記第2レンズは、物体側の面の曲率半径が負となり、像面側の面の曲率半径が正となる形状であり、
前記第3レンズは、物体側の面の曲率半径および像面側の面の曲率半径が共に正となる形状であり、
前記第1レンズの焦点距離をf1、前記第2レンズの焦点距離をf2、前記第3レンズの焦点距離をf3、前記第1レンズおよび前記第2レンズの合成焦点距離をf12、前記第2レンズおよび前記第3レンズの合成焦点距離をf23、前記第2レンズの物体側の面の曲率半径をRf、像面側の面の曲率半径をRrとしたとき、
f1<|f2|
f1<f3
−0.79≦f12/f23<−0.1
−0.15<Rf/Rr<0
を満足する撮像レンズ。
【請求項2】
前記第3レンズの光軸上の厚さをD3、前記第1レンズの物体側の面から前記第3レンズの像面側の面までの光軸上の距離をL13としたとき、
0.25<D3/L13<0.5
を満足する請求項1に記載の撮像レンズ。
【請求項3】
−1.0<f1/f2<−0.5
を満足する請求項1または2に記載の撮像レンズ。
【請求項4】
前記第1レンズと前記第2レンズとの間の光軸上の距離をdA、前記第2レンズと前記第3レンズとの間の光軸上の距離をdBとしたとき、
1.0<dA/dB<3.0
を満足する請求項1〜3のいずれか一項に記載の撮像レンズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CCDセンサやCMOSセンサ等の撮像素子上に被写体像を形成する撮像レンズに係り、携帯電話機、デジタルスティルカメラ、携帯情報端末、セキュリティカメラ、車載カメラ、ネットワークカメラ等の比較的小型のカメラに組み込まれて好適な撮像レンズに関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記小型のカメラに組み込まれる撮像レンズには、小型化はもちろんのこと、近年の高画素化された撮像素子にも対応することのできる解像度の高いレンズ構成が要求される。従来、レンズ構成として様々なものが提案されてきたが、中でも3枚のレンズから構成される撮像レンズは、諸収差が比較的良好に補正されるうえに小型化にも適していることから多くのカメラに採用されている。
【0003】
こうした3枚構成の撮像レンズとしては、例えば特許文献1に記載の撮像レンズが知られている。当該撮像レンズは、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズと、負の屈折力を有する第2レンズと、正の屈折力を有する第3レンズとから構成されており、レンズ系全体の焦点距離に対して第3レンズの焦点距離を短く、すなわち第3レンズの屈折力を比較的強くするとともに、第2レンズの屈折力を第1レンズよりも強くすることによって像面湾曲やコマ収差等の補正を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−76594号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、携帯電話機をはじめ、カメラの小型化および高画素化が急速に進んでおり、撮像レンズに対して要求される性能も従来にも増して厳しいものとなっている。上記特許文献1に記載の撮像レンズによれば比較的良好に収差が補正されるものの、レンズ系全体の焦点距離が長いことから撮像レンズの光軸上の長さが長く、撮像レンズの小型化には自ずと限界が生じる。
【0006】
なお、こうした小型化と良好な収差補正との両立は上記携帯電話機に組み込まれる撮像レンズに特有の課題ではなく、デジタルスティルカメラ、携帯情報端末、セキュリティカメラ、車載カメラ、ネットワークカメラ等の比較的小型のカメラに組み込まれる撮像レンズにおいても共通の課題である。
【0007】
本発明は上記のような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、小型でありながらも収差を良好に補正することのできる撮像レンズを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の撮像レンズは、物体側から像面側に向かって順に、正の屈折力を有する第1レンズと、負の屈折力を有する第2レンズと、正の屈折力を有する第3レンズとを配置して構成される。第1レンズは、物体側の面の曲率半径および像面側の面の曲率半径が共に正となる形状であり、第2レンズは、物体側の面の曲率半径が負となり、像面側の面の曲率半径が正となる形状であり、第3レンズは、物体側の面の曲率半径および像面側の面の曲率半径が共に正となる形状である。当該構成において、第1レンズの焦点距離をf1、第2レンズの焦点距離をf2、第3レンズの焦点距離をf3、第1レンズおよび第2レンズの合成焦点距離をf12、第2レンズおよび第3レンズの合成焦点距離をf23、第2レンズの物体側の面の曲率半径をRf、像面側の面の曲率半径をRrとしたとき、本発明の撮像レンズは次の条件式(1)〜(3)、および(6)を満足する。
f1<|f2| (1)
f1<f3 (2)
−0.79≦f12/f23<−0.1 (3)
−0.15<Rf/Rr<0 (6)
【0009】
条件式(1)および(2)は、撮像レンズの光軸上の長さを短縮し、撮像レンズの小型化を図るための条件である。本発明の撮像レンズにおいて第1レンズは、物体側の面の曲率半径および像面側の面の曲率半径が共に正となる形状、すなわち光軸近傍において物体側に凸面を向けたメニスカスレンズとなる形状に形成されている。このような第1レンズの形状により、第1レンズの主点の位置は物体側に移動する。また、条件式(1)および(2)に示されるように、本発明の撮像レンズは、レンズ系を構成する3枚のレンズのうち第1レンズの屈折力が他の2枚のレンズの屈折力よりも強くなる構成となっている。このため、レンズ系の主点の位置が物体側に移動することとなり、撮像レンズの小型化が好適に図られる。
【0010】
条件式(3)は、撮像レンズの小型化を図りつつ、像面湾曲および歪曲収差を良好に補正するための条件である。上限値「−0.1」を超えると、撮像レンズの小型化には有利となるものの、レンズ系のバックフォーカスが短くなり、撮像レンズと撮像素子との間に赤外線カットフィルターやカバーガラス等の挿入物を配置するための空間を確保することが困難となる。また、第3レンズの屈折力が相対的に弱くなるため、非点収差のうちサジタル像面の収差量がプラス方向(像面側)に増加し、結像面が像面側に倒れることになる。このため、良好な結像性能を得ることが困難となる。なお、この場合には、撮像レンズから出射される光線の撮像素子への入射角度が大きくなるため、撮像素子の仕様によっては撮像レンズから出射される光線が撮像素子に十分に取り込まれず、いわゆるシェーディング現象が生じる懸念が残る。
【0011】
一方、下限値「−0.79」を下回ると、レンズ系のバックフォーカスが長くなり、上記挿入物を配置するための空間の確保は容易となるものの、撮像レンズの小型化が困難となる。また、結像面が物体側に倒れるとともにマイナスの歪曲収差が増大するため、良好な結像性能を得ることが困難となる。
【0012】
条件式(6)は、撮像レンズの小型化を図りつつ、コマ収差を良好な範囲内に抑制するための条件である。上限値「0」を超えると、レンズ系の主点の位置が像面側に移動するため、撮像レンズの小型化が困難となる。一方、下限値「−0.15」を下回ると、レンズ系の主点の位置が物体側に移動するため、撮像レンズの小型化には有利となるものの、結像面が像面側に倒れるとともに外方コマ収差が増大する。このため、良好な結像性能を得ることが困難となる。
【0013】
上記構成の撮像レンズにおいては、第3レンズの光軸上の厚さをD3、第1レンズの物体側の面から第3レンズの像面側の面までの光軸上の距離をL13としたとき、次の条件式(4)を満足することが望ましい。
0.25<D3/L13<0.5 (4)
【0014】
条件式(4)は、歪曲収差、像面湾曲、および倍率色収差をより良好に補正するための条件である。上限値「0.5」を超えると、軸外光線の倍率色収差が補正不足(基準波長の結像点に対して短波長の結像点が光軸に近づく方向に移動)となるとともにマイナスの歪曲収差が増大する。一方、下限値「0.25」を下回ると、歪曲収差の補正には有利となるものの、サジタル像面が物体側に湾曲するため、像面湾曲が補正不足となる。よって、いずれの場合も良好な結像性能を得ることが困難となる。
【0015】
上記構成の撮像レンズにおいては、さらに次の条件式(5)を満足することが望ましい。
−1.0<f1/f2<−0.5 (5)
【0016】
条件式(5)は、撮像レンズの小型化を図りつつ、軸上の色収差、軸外の倍率色収差、および像面湾曲を良好な範囲内に抑制するための条件である。上限値「−0.5」を超えると、第1レンズの屈折力が第2レンズの屈折力に対して相対的に強くなるため、撮像レンズの小型化には有利となるものの、軸上の色収差が補正不足(基準波長の焦点位置に対して短波長の焦点位置が物体側に移動)となるとともに軸外の倍率色収差が補正不足となる。また、結像面が物体側に倒れるため、良好な結像性能を得ることが困難となる。一方、下限値「−1.0」を下回ると、軸上の色収差の補正には有利となるものの、軸外の倍率色収差が補正過剰(基準波長の結像点に対して短波長の結像点が光軸から遠ざかる方向に移動)となる。また、結像面が像面側に倒れるため、良好な結像性能を得ることが困難となる。
【0019】
上記構成の撮像レンズにおいては、第1レンズと第2レンズとの間の光軸上の距離をdA、第2レンズと第3レンズとの間の光軸上の距離をdBとしたとき、次の条件式(7)を満足することが望ましい。
1.0<dA/dB<3.0 (7)
【0020】
条件式(7)は、歪曲収差、像面湾曲、および倍率色収差を良好な範囲内に抑制するための条件である。上限値「3.0」を超えると、第2レンズが像面側に移動するため、撮像レンズから出射される光線の撮像素子への入射角度が小さくなるものの、マイナスの歪曲収差が増大する。また、サジタル像面が物体側に湾曲し、像面湾曲が補正不足となる。このため、良好な結像性能を得ることが困難となる。一方、下限値「1.0」を下回ると、第2レンズが物体側に移動するため、バックフォーカスが長くなり、赤外線カットフィルタ等の挿入物を配置するための空間の確保は容易となるものの、軸外の倍率色収差が補正不足となる。また、非点隔差も増大するため、良好な結像性能を得ることが困難となる。
【0021】
さらに、上記構成の撮像レンズにおいては、歪曲収差、像面湾曲、および倍率色収差をより良好な範囲内に抑制するために次の条件式(7A)を満足することが望ましい。
1.0<dA/dB<2.5 (7A)
【発明の効果】
【0022】
本発明の撮像レンズによれば、撮像レンズの小型化と良好な収差補正との両立が図られ、諸収差が良好に補正された小型の撮像レンズを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の一実施の形態について、数値実施例1に係る撮像レンズの概略構成を示す断面図である。
図2図1に示す撮像レンズの横収差を示す収差図である。
図3図1に示す撮像レンズの球面収差、非点収差、歪曲収差を示す収差図である。
図4】本発明の一実施の形態について、数値実施例2に係る撮像レンズの概略構成を示す断面図である。
図5図4に示す撮像レンズの横収差を示す収差図である。
図6図4に示す撮像レンズの球面収差、非点収差、歪曲収差を示す収差図である。
図7参考例としての数値実施例3に係る撮像レンズの概略構成を示す断面図である。
図8図7に示す撮像レンズの横収差を示す収差図である。
図9図7に示す撮像レンズの球面収差、非点収差、歪曲収差を示す収差図である。
図10】本発明の一実施の形態について、数値実施例4に係る撮像レンズの概略構成を示す断面図である。
図11図10に示す撮像レンズの横収差を示す収差図である。
図12図10に示す撮像レンズの球面収差、非点収差、歪曲収差を示す収差図である。
図13参考例としての数値実施例5に係る撮像レンズの概略構成を示す断面図である。
図14図13に示す撮像レンズの横収差を示す収差図である。
図15図13に示す撮像レンズの球面収差、非点収差、歪曲収差を示す収差図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を具体化した一実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0025】
図1図4および図10はそれぞれ、本実施の形態の数値実施例1、2、および4に係る撮像レンズの概略構成を示す断面図である。いずれの数値実施例も基本的なレンズ構成は同一であるため、ここでは数値実施例1の概略断面図を参照しながら、本実施の形態に係る撮像レンズのレンズ構成について説明する。なお、数値実施例3および5は本発明の単なる参考例であり、本発明には属さない。
【0026】
図1に示すように、本実施の形態に係る撮像レンズは、物体側から像面側に向かって順に、開口絞りSTと、正の屈折力を有する第1レンズL1と、負の屈折力を有する第2レンズL2と、正の屈折力を有する第3レンズL3とが配列されて構成される。第3レンズL3と撮像素子の像面IMとの間には、フィルタ10が配置される。なお、このフィルタ10は割愛することも可能である。
【0027】
第1レンズL1は、物体側の面の曲率半径および像面側の面の曲率半径が共に正となる形状、すなわち光軸Xの近傍において物体側に凸面を向けたメニスカスレンズとなる形状に形成される。第2レンズL2は、物体側の面の曲率半径が負となり、像面側の面の曲率半径が正となる形状、すなわち光軸Xの近傍において両凹レンズとなる形状に形成される。第3レンズL3は、物体側の面の曲率半径および像面側の面の曲率半径が共に正となる形状、すなわち光軸Xの近傍において物体側に凸面を向けたメニスカスレンズとなる形状に形成される。なお、本実施の形態においてこの第3レンズL3は、物体側の面および像面側の面が共に、光軸Xの近傍において物体側に凸形状で且つ周辺部において物体側に凹形状となる非球面形状に形成されている。
【0028】
また、本実施の形態の撮像レンズは次の条件式(1)〜(7)を満足する。
f1<|f2| (1)
f1<f3 (2)
−0.79≦f12/f23<−0.1 (3)
0.25<D3/L13<0.5 (4)
−1.0<f1/f2<−0.5 (5)
−0.15<Rf/Rr<0 (6)
1.0<dA/dB<3.0 (7)
但し、
f1:第1レンズL1の焦点距離
f2:第2レンズL2の焦点距離
f3:第3レンズL3の焦点距離
f12:第1レンズL1および第2レンズL2の合成焦点距離
f23:第2レンズL2および第3レンズL3の合成焦点距離
D3:第3レンズL3の光軸上の厚さ
L13:第1レンズL1の物体側の面から第3レンズL3の像面側の面までの光軸上の距離
Rf:第2レンズL2の物体側の面の曲率半径
Rr:第2レンズL2の像面側の面の曲率半径
dA:第1レンズL1と第2レンズL2との間の光軸上の距離
dB:第2レンズL2と第3レンズL3との間の光軸上の距離
【0029】
本実施の形態に係る撮像レンズでは、撮像レンズの小型化を図りつつ、諸収差をより良好な範囲内に抑制するために次の条件式(7A)をさらに満足する。
1.0<dA/dB<2.5 (7A)
【0030】
なお、上記各条件式の全てを満たす必要はなく、上記各条件式のそれぞれを単独に満たすことにより、各条件式に対応する作用効果をそれぞれ得ることができる。
【0031】
本実施の形態では、第1レンズL1〜第3レンズL3のレンズ面の全てを非球面で形成している。これらレンズ面に採用する非球面形状は、光軸X方向の軸をZ、光軸Xに直交する方向の高さをH、円錐係数をk、非球面係数をA4、A6、A8、A10、A12、A14、A16としたとき、次式により表される。
【数1】
【0032】
次に、本実施の形態に係る撮像レンズの数値実施例を示す。各数値実施例において、fはレンズ系全体の焦点距離を、FnoはFナンバーを、ωは半画角をそれぞれ示す。また、iは物体側より数えた面番号を示し、Rは曲率半径を示し、dは光軸上のレンズ面間の距離(面間隔)を示し、Ndはd線(基準波長)に対する屈折率を、νdはd線に対するアッベ数をそれぞれ示す。なお、非球面の面には、面番号iの後に*(アスタリスク)の符号を付加して示すこととする。
【0033】
数値実施例1
基本的なレンズデータを以下に示す。
f=2.82mm、Fno=2.9、ω=31.9°
単位 mm
面データ
面番号i R d Nd νd
(物面) ∞ ∞
1(絞り) ∞ 0.010
2* 1.066 0.473 1.5250 56.0
3* 6.675 0.403(=dA)
4* -1.881(=Rf) 0.300 1.6142 26.0
5* 111.996(=Rr) 0.233(=dB)
6* 1.355 1.036(=D3) 1.5250 56.0
7* 2.078 0.300
8 ∞ 0.300 1.5163 64.1
9 ∞ 0.340
(像面) ∞

f1=2.35mm
f2=−3.01mm
f3=4.97mm
f12=4.96mm
f23=−6.24mm
L13=2.445mm
【0034】
非球面データ
第2面
k=0.000,A4=1.509E-02,A6=-2.582E-01,A8=1.002,A10=-1.583
第3面
k=0.000,A4=2.379E-02,A6=-8.082E-01,A8=2.826,A10=-4.581
第4面
k=0.000,A4=-6.315E-01,A6=2.666E-01,A8=1.399E+01,A10=-7.833E+01,
12=1.823E+02,A14=-1.657E+02
第5面
k=0.000,A4=-1.248,A6=3.316,A8=-2.896,A10=-4.269,
12=1.467E+01,A14=-1.081E+01
第6面
k=-1.326E+01,A4=-4.296E-01,A6=1.795E-01,A8=9.618E-02,A10=2.308E-02,
12=-2.948E-01,A14=-3.504E-02,A16=1.706E-01
第7面
k=7.369E-01,A4=-2.599E-01,A6=6.944E-02,A8=-1.588E-02,A10=-9.679E-03,
12=2.437E-03,A14=2.126E-03,A16=-9.322E-04
【0035】
各条件式の値を以下に示す。
f12/f23=−0.79
D3/L13=0.42
f1/f2=−0.78
Rf/Rr=−0.02
dA/dB=1.73
このように、本数値実施例1に係る撮像レンズは、条件式(1)〜(7)、および(7A)を満足する。
【0036】
図2は、数値実施例1の撮像レンズについて、最大像高に対する各像高の比H(以下、「像高比H」という)に対応する横収差をタンジェンシャル方向とサジタル方向とに分けて示したものである(図5図8図11および図14において同じ)。また、図3は、数値実施例1の撮像レンズについて、球面収差(mm)、非点収差(mm)、および歪曲収差(%)をそれぞれ示したものである。これら収差図において、横収差図および球面収差図には、g線(435.84nm)、F線(486.13nm)、e線(546.07nm)、d線(587.56nm)、C線(656.27nm)の各波長に対する収差量を示し、非点収差図には、サジタル像面Sにおける収差量とタンジェンシャル像面Tにおける収差量とをそれぞれ示す(図6図9図12および図15において同じ)。図2および図3に示されるように、本数値実施例1に係る撮像レンズによれば、諸収差が良好に補正される。
【0037】
数値実施例2
基本的なレンズデータを以下に示す。
f=2.84mm、Fno=2.9、ω=31.7°
単位 mm
面データ
面番号i R d Nd νd
(物面) ∞ ∞
1(絞り) ∞ 0.010
2* 1.044 0.493 1.5250 56.0
3* 5.516 0.459(=dA)
4* -1.873(=Rf) 0.285 1.6142 26.0
5* 400.000(=Rr) 0.215(=dB)
6* 1.385 0.944(=D3) 1.5250 56.0
7* 2.189 0.300
8 ∞ 0.300 1.5163 64.1
9 ∞ 0.347
(像面) ∞

f1=2.36mm
f2=−3.03mm
f3=5.12mm
f12=4.73mm
f23=−6.34mm
L13=2.396mm
【0038】
非球面データ
第2面
k=0.000,A4=2.309E-02,A6=-2.848E-01,A8=9.845E-01,A10=-1.557
第3面
k=0.000,A4=5.838E-02,A6=-8.978E-01,A8=2.578,A10=-3.913
第4面
k=0.000,A4=-6.303E-01,A6=1.125E-01,A8=1.378E+01,A10=-7.863E+01,
12=1.811E+02,A14=-1.588E+02
第5面
k=0.000,A4=-1.265,A6=3.276,A8=-2.877,A10=-4.312,
12=1.396E+01,A14=-9.223
第6面
k=-1.625E+01,A4=-4.316E-01,A6=1.787E-01,A8=7.797E-02,A10=-1.609E-04,
12=-2.866E-01,A14=-1.022E-02,A16=2.027E-01
第7面
k=6.889E-01,A4=-2.528E-01,A6=6.700E-02,A8=-1.538E-02,A10=-9.951E-03,
12=2.211E-03,A14=2.013E-03,A16=-8.866E-04
【0039】
各条件式の値を以下に示す。
f12/f23=−0.75
D3/L13=0.39
f1/f2=−0.78
Rf/Rr=−0.01
dA/dB=2.14
このように、本数値実施例2に係る撮像レンズは条件式(1)〜(7)、および(7A)を満足する。
【0040】
図5は、数値実施例2の撮像レンズについて、像高比Hに対応する横収差を示したものであり、図6は、球面収差(mm)、非点収差(mm)、および歪曲収差(%)をそれぞれ示したものである。これら図5および図6に示されるように、本数値実施例2に係る撮像レンズによっても像面が良好に補正され、諸収差が好適に補正される。
【0041】
数値実施例3
基本的なレンズデータを以下に示す。
f=2.77mm、Fno=2.2、ω=32.3°
単位 mm
面データ
面番号i R d Nd νd
(物面) ∞ ∞
1(絞り) ∞ 0.010
2* 1.037 0.442 1.5251 56.0
3* 3.286 0.476(=dA)
4* -3.453(=Rf) 0.289 1.6142 26.0
5* 15.602(=Rr) 0.292(=dB)
6* 1.254 0.715(=D3) 1.5251 56.0
7* 1.814 0.100
8 ∞ 0.300 1.5163 64.1
9 ∞ 0.674
(像面) ∞

f1=2.70mm
f2=−4.58mm
f3=5.37mm
f12=4.45mm
f23=−22.59mm
L13=2.214mm
【0042】
非球面データ
第2面
k=0.000,A4=2.303E-02,A6=-2.305E-01,A8=7.870E-01,A10=-1.130
第3面
k=0.000,A4=3.875E-03,A6=-3.473E-01,A8=1.110,A10=-2.743,
12=2.235,A14=-2.792
第4面
k=0.000,A4=-7.244E-01,A6=-2.783E-01,A8=1.432E+01,A10=-7.697E+01,
12=1.702E+02,A14=-1.336E+02,A16=-1.781E+01
第5面
k=0.000,A4=-1.237,A6=2.916,A8=-3.664,A10=-9.759E-01,
12=9.582,A14=-7.084,A16=2.008E-01
第6面
k=-1.068E+01,A4=-3.921E-01,A6=1.058E-01,A8=-6.539E-02,A10=1.254E-04,
12=2.452E-03,A14=9.836E-03,A16=1.846E-02
第7面
k=0.000,A4=-3.132E-01,A6=6.928E-02,A8=1.309E-02,A10=-3.238E-02,
12=-4.128E-04,A14=1.087E-02,A16=-3.547E-03
【0043】
各条件式の値を以下に示す。
f12/f23=−0.20
D3/L13=0.32
f1/f2=−0.59
Rf/Rr=−0.22
dA/dB=1.63
このように、本数値実施例3に係る撮像レンズは条件式(1)〜()、()、および(7A)を満足する。
【0044】
図8は、数値実施例3の撮像レンズについて、像高比Hに対応する横収差を示したものであり、図9は、球面収差(mm)、非点収差(mm)、および歪曲収差(%)をそれぞれ示したものである。これら図8および図9に示されるように、本数値実施例3に係る撮像レンズによっても像面が良好に補正され、諸収差が好適に補正される。
【0045】
数値実施例4
基本的なレンズデータを以下に示す。
f=2.85mm、Fno=2.2、ω=31.5°
単位 mm
面データ
面番号i R d Nd νd
(物面) ∞ ∞
1(絞り) ∞ 0.010
2* 1.006 0.468 1.5251 56.0
3* 3.705 0.493(=dA)
4* -2.996(=Rf) 0.290 1.6142 26.0
5* 42.855(=Rr) 0.301(=dB)
6* 1.491 0.798(=D3) 1.5251 56.0
7* 1.585 0.100
8 ∞ 0.300 1.5163 64.1
9 ∞ 0.502
(像面) ∞

f1=2.48mm
f2=−4.55mm
f3=12.21mm
f12=3.80mm
f23=−5.97mm
L13=2.350mm
【0046】
非球面データ
第2面
k=0.000,A4=1.191E-02,A6=-2.284E-01,A8=7.890E-01,A10=-1.164
第3面
k=0.000,A4=1.310E-02,A6=-3.523E-01,A8=1.107,A10=-2.755,
12=2.303,A14=-2.768
第4面
k=0.000,A4=-7.447E-01,A6=-2.700E-01,A8=1.437E+01,A10=-7.679E+01,
12=1.709E+02,A14=-1.350E+02,A16=-2.604E+01
第5面
k=0.000,A4=-1.217,A6=2.922,A8=-3.628,A10=-8.850E-01,
12=9.650,A14=-7.188,A16=-4.541E-02
第6面
k=-1.386E+01,A4=-4.643E-01,A6=1.032E-01,A8=-3.742E-02,A10=3.700E-03,
12=6.688E-03,A14=1.137E-02,A16=2.661E-02
第7面
k=0.000,A4=-3.548E-01,A6=7.583E-02,A8=1.624E-02,A10=-3.585E-02,
12=-1.212E-03,A14=1.097E-02,A16=-3.207E-03
【0047】
各条件式の値を以下に示す。
f12/f23=−0.64
D3/L13=0.34
f1/f2=−0.55
Rf/Rr=−0.07
dA/dB=1.64
このように、本数値実施例4に係る撮像レンズは条件式(1)〜(7)、および(7A)を満足する。
【0048】
図11は、数値実施例4の撮像レンズについて、像高比Hに対応する横収差を示したものであり、図12は、球面収差(mm)、非点収差(mm)、および歪曲収差(%)をそれぞれ示したものである。これら図11および図12に示されるように、本数値実施例4に係る撮像レンズによっても像面が良好に補正され、諸収差が好適に補正される。
【0049】
数値実施例5
基本的なレンズデータを以下に示す。
f=2.84mm、Fno=2.2、ω=31.7°
単位 mm
面データ
面番号i R d Nd νd
(物面) ∞ ∞
1(絞り) ∞ 0.010
2* 1.059 0.520 1.5251 56.0
3* 3.484 0.423(=dA)
4* -3.712(=Rf) 0.288 1.6142 26.0
5* 18.543(=Rr) 0.325(=dB)
6* 1.297 0.695(=D3) 1.5251 56.0
7* 1.645 0.100
8 ∞ 0.300 1.5163 64.1
9 ∞ 0.666
(像面) ∞

f1=2.70mm
f2=−5.01mm
f3=6.92mm
f12=4.20mm
f23=−14.21mm
L13=2.251mm
【0050】
非球面データ
第2面
k=0.000,A4=2.122E-02,A6=-2.467E-01,A8=7.469E-01,A10=-1.056
第3面
k=0.000,A4=-1.157E-02,A6=-3.989E-01,A8=1.022,A10=-2.821,
12=2.338,A14=-2.634
第4面
k=0.000,A4=-7.859E-01,A6=-2.902E-01,A8=1.432E+01,A10=-7.735E+01,
12=1.697E+02,A14=-1.317E+02,A16=-1.662E+01
第5面
k=0.000,A4=-1.218,A6=2.868,A8=-3.680,A10=-8.028E-01,
12=9.477,A14=-7.365,A16=6.498E-01
第6面
k=-8.395,A4=-4.092E-01,A6=1.125E-01,A8=-5.610E-02,A10=4.718E-03,
12=2.809E-03,A14=1.501E-02,A16=6.365E-03
第7面
k=0.000,A4=-3.518E-01,A6=8.036E-02,A8=1.547E-02,A10=-3.412E-02,
12=-1.808E-03,A14=1.073E-02,A16=-3.154E-03
【0051】
各条件式の値を以下に示す。
f12/f23=−0.30
D3/L13=0.31
f1/f2=−0.54
Rf/Rr=−0.20
dA/dB=1.30
このように、本数値実施例5に係る撮像レンズは条件式(1)〜()、()、および(7A)を満足する。
【0052】
図14は、数値実施例5の撮像レンズについて、像高比Hに対応する横収差を示したものであり、図15は、球面収差(mm)、非点収差(mm)、および歪曲収差(%)をそれぞれ示したものである。これら図14および図15に示されるように、本数値実施例5に係る撮像レンズによっても像面が良好に補正され、諸収差が好適に補正される。
【0053】
ところで、撮像素子の高画素化に伴い、撮像レンズには広い画角が要求されるようになってきている。画角が広い撮像レンズをカメラに組み込むことにより、広い範囲を撮影できることはもちろんのこと、撮影後において所望の範囲(画角)の画像をハードウェアやソフトウェアを利用して切り出すことが可能となる。高画素の撮像素子を利用した場合には切り出された画像も十分な解像度を有していることから、当初から所望の画角で撮影した画像と遜色のない画像を得ることができる。これは、カメラへの新たな付加機能として注目されている。本実施の形態に係る撮像レンズは比較的広い画角を有しているため、こうした要求にも十分に応えることができる。
【0054】
また、高画素の撮像素子では各画素の受光面積が減少するため、撮影した画像が暗くなる傾向にある。これを補正するための方法として、電気回路を用いて撮像素子の受光感度を向上させる方法がある。しかしながら、受光感度が上げると画像の形成に直接寄与しないノイズ成分も増幅されてしまうため、新たにノイズ低減のための回路が必要になることが多い。本実施の形態に係る撮像レンズは比較的小さなFナンバーを有しているため、これら電気回路等を設けなくても十分に明るい画像を得ることができる。
【0055】
したがって、本実施の形態に係る撮像レンズを、携帯電話機、デジタルスティルカメラ、携帯情報端末、セキュリティカメラ、車載カメラ、ネットワークカメラ等の撮像光学系に適用した場合、当該カメラ等の高機能化と小型化の両立を図ることができる。
【0056】
なお、本発明に係る撮像レンズは上記実施の形態に限定されるものではない。上記実施の形態では第1レンズL1〜第3レンズL3の全ての面を非球面としたが、全ての面を必ずしも非球面にする必要はない。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、撮像レンズとして小型化とともに良好な収差補正能力が要求される機器、例えば携帯電話機やデジタルスティルカメラ等の機器に組み込まれる撮像レンズに適用することができる。
【符号の説明】
【0058】
ST 開口絞り
L1 第1レンズ
L2 第2レンズ
L3 第3レンズ
10 フィルタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図15