特許第5780433号(P5780433)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5780433
(24)【登録日】2015年7月24日
(45)【発行日】2015年9月16日
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/42 20060101AFI20150827BHJP
【FI】
   H01R13/42 D
   H01R13/42 B
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-213519(P2012-213519)
(22)【出願日】2012年9月27日
(65)【公開番号】特開2014-67660(P2014-67660A)
(43)【公開日】2014年4月17日
【審査請求日】2014年10月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村井 完
【審査官】 前田 仁
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−228017(JP,A)
【文献】 特開2008−98103(JP,A)
【文献】 特開2008−258070(JP,A)
【文献】 特開2009−104837(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/42、4/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手側コネクタに対して前後方向に嵌合可能なコネクタであって、
電線の端末に接続された端子と、
一対の半割体を互いに組み付けることで隣り合う一対の前記端子間に絶縁壁が形成されて前記端子が互いに絶縁されるとともに、いずれか一方の前記半割体に設けられた保持部によって前記端子を保持するホルダと、
前記一対の半割体が組み付けられた部分をその組付方向の外側から挟むことにより、前記一対の半割体が開いて前記絶縁壁に隙間が形成されることを防ぐ一対の開き防止壁が設けられたフロントハウジングと、
前記フロントハウジングとともに前記ホルダを内部に収容し、前記電線が後方に引き出されたリアハウジングとを備えたコネクタ。
【請求項2】
前記端子は、前記相手側コネクタに設けられた相手側端子に接続される接続部を備え、この接続部は、前記ホルダから前方に突出して配設され、前記フロントハウジングは、隣り合う一対の前記接続部を互いに絶縁する仕切壁を有していることを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記フロントハウジングにおいて前記接続部を挿通させる挿通部は、前記一対の開き防止壁と、これらを互いに連結する一対の側壁とによって囲まれた挿通孔が複数並んで配された格子状に形成されており、前記側壁のうち隣り合う一対の前記挿通孔間に形成された側壁の前縁に、前記仕切壁が前方に突出して形成されていることを特徴とする請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記リアハウジングにおける前記ホルダを収容する収容部は、前方に開口する形態をなし、前記ホルダは、前記収容部の開口縁部に前方から係止する係止突部を備えていることを特徴とする請求項3に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記フロントハウジングは、前記収容部の開口縁部に前方から当接する当接部を有しており、この当接部は、前記係止突部を逃がす逃がし部を備えていることを特徴とする請求項4に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記リアハウジングの外周面には、シールリングが嵌着されており、前記当接部は、径方向外側に張り出して形成されることで、前記シールリングの前止まりを行うようにされていることを特徴とする請求項5に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一対の半割体からなるホルダによって端子を保持したコネクタとして、下記特許文献1に記載のものが知られている。このコネクタは、ホルダの前壁に形成された保持部を端子の孔に貫通させて端子をホルダに保持するようにしている。端子においてホルダの前壁から前方に突出した部分は、端子台にボルト止めされる接続部とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−228017号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような端子台は、所定の取付誤差をもって機器に固定されているため、取付誤差が大きいにもかかわらず、端子の接続部を端子台に無理にボルト止めしようとすると、一対の半割体が開いてしまう場合があり、隣り合う一対の端子間の絶縁性が低下してしまう。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、ホルダを構成する一対の半割体の開きを防止して絶縁性を確保することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、相手側コネクタに対して前後方向に嵌合可能なコネクタであって、電線の端末に接続された端子と、一対の半割体を互いに組み付けることで隣り合う一対の端子間に絶縁壁が形成されて端子が互いに絶縁されるとともに、いずれか一方の半割体に設けられた保持部によって端子を保持するホルダと、一対の半割体が組み付けられた部分をその組付方向の外側から挟むことにより、一対の半割体が開いて絶縁壁に隙間が形成されることを防ぐ一対の開き防止壁が設けられたフロントハウジングと、フロントハウジングとともにホルダを内部に収容し、電線が後方に引き出されたリアハウジングとを備えた構成としたところに特徴を有する。
【0007】
このような構成によると、一対の開き防止壁によって一対の半割体を挟むことにより、一対の半割体が開いて絶縁壁に隙間が形成されることを防ぐことができる。したがって、隣り合う一対の端子間の絶縁性を確保することができる。
【0008】
本発明の実施の態様として、以下の構成が好ましい。
端子は、相手側コネクタに設けられた相手側端子に接続される接続部を備え、この接続部は、ホルダから前方に突出して配設され、フロントハウジングは、隣り合う一対の接続部を互いに絶縁する仕切壁を有している構成としてもよい。
このような構成によると、隣り合う一対の接続部間の絶縁性を仕切壁によって確保することができる。
【0009】
フロントハウジングにおいて接続部を挿通させる挿通部は、一対の開き防止壁と、これらを互いに連結する一対の側壁とによって囲まれた挿通孔が複数並んで配された格子状に形成されており、側壁のうち隣り合う一対の挿通孔間に形成された側壁の前縁に、仕切壁が前方に突出して形成されている構成としてもよい。
このような構成によると、一対の半割体を挿通部によって全周に亘って囲むことができ、一対の半割体が開くことを強固に阻止できる。また、側壁の前縁から仕切壁を前方に突出して形成しているため、挿通部から仕切壁に亘って絶縁性を確保することができる。
【0010】
リアハウジングにおけるホルダを収容する収容部は、前方に開口する形態をなし、ホルダは、収容部の開口縁部に前方から係止する係止突部を備えている構成としてもよい。
このような構成によると、ホルダの係止突部を収容部の開口縁部に前方から係止させることにより、ホルダを収容部に保持することができ、かつ、電線が後方へ引っ張られたときに、端子が後方へ動くのを阻止することができる。
【0011】
フロントハウジングは、収容部の開口縁部に前方から当接する当接部を有しており、この当接部は、係止突部を逃がす逃がし部を備えている構成としてもよい。
このような構成によると、フロントハウジングの当接部を収容部の開口縁部に前方から当接させることにより、フロントハウジングとリアハウジングによってこれらを前後方向に位置決めすることができる。その際、ホルダの係止突部をフロントハウジングの逃がし部に逃がすことにより、係止突部と当接部が干渉することを回避できる。これにより、ホルダはフロントハウジングとリアハウジングにより挟み込まれて保持されるから、係止突部を係合させる部位をフロントハウジングに別途設ける必要がなく、コネクタ全体の小型化に寄与する。
【0012】
リアハウジングの外周面には、シールリングが嵌着されており、当接部は、径方向外側に張り出して形成されることで、シールリングの前止まりを行うようにされている構成としてもよい。
このような構成によると、当接部を径方向外側に張り出して形成することで、この張り出し部をシールリングの前止まりとして利用することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ホルダを構成する一対の半割体の開きを防止して絶縁性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態1におけるシールドコネクタの分解斜視図
図2】シールドコネクタの斜視図
図3】シールドコネクタの内部構造を示す斜視断面図
図4】シールドコネクタのシールドシェルに編組線を圧着接続した状態を示す平面図
図5】シールドコネクタを端子台に接続した状態を示す断面図
図6】シールドコネクタの組み立てる途中の状態を示す断面図
図7】シールドコネクタを組み立てた後の状態を示す断面図
図8】シールドコネクタの平面図
図9図8におけるA−A線断面図
図10】フロントハウジングの背面図
図11】リアハウジングの正面図
図12】実施形態2におけるシールドコネクタの分解斜視図
図13】シールドコネクタの斜視図
図14】シールドコネクタの内部構造を示す斜視断面図
図15】シールドコネクタのシールドシェルに編組線を圧着接続した状態を示す平面図
図16】シールドコネクタを端子台に接続した状態を示す断面図
図17】シールドコネクタの組み立てる途中の状態を示す断面図
図18】シールドコネクタを組み立てた後の状態を示す断面図
図19】シールドコネクタの平面図
図20図19におけるD−D線断面図
図21】フロントハウジングの背面図
図22】リアハウジングの正面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1ないし図11の図面を参照しながら説明する。本実施形態のシールドコネクタ10は、モータやインバータなどの機器のケースCに接続される機器用コネクタである。ケースCは導電性の金属からなり、図5に示すように、シールドコネクタ10が嵌合して取り付けられる取付孔C1、ケースCの内部に配設された端子台C2、端子台C2の上方に開口されてボルト締結用の工具などが挿入される作業孔C3などを備えて構成されている。なお、以下の説明において前方とは、取付孔C1に嵌合する方向とし、後方とは、取付孔C1から離脱する方向とする。
【0016】
シールドコネクタ10は、図1に示すように、図示左側から順に、フロントハウジング20、端子付き電線30、ホルダ40、シールリング50、リアハウジング60、ゴム栓70、シールドシェル80、かしめリング90などを備えて構成されている。シールドシェル80は、筒状をなすシェル本体81と、このシェル本体81から斜め前方に張り出す左右一対の取付部82とを備えている。図5に示すように、シェル本体81の外周面に筒状をなす編組線Bを被せた状態で、編組線Bの外周からかしめリング90をかしめて固着することにより、編組線Bとシールドシェル80が導通可能に接続されている。この編組線Bは、シールドコネクタ10から後方に引き出された複数の電線Wを一括して覆っており、このシールドコネクタ10は、複数の電線Wからなる導電路を一括してシールドする一括シールドコネクタとされている。
【0017】
端子付き電線30は、図1に示すように、平板状の端子31と、この端子31に接続された電線32とを備えて構成されている。端子31は、導電性の金属板を打ち抜いて曲げ加工を施したものであり、端子台C2にボルト締結される接続部33、電線32の芯線に圧着される圧着部34などを備えている。接続部33には、ボルトが挿通されるボルト挿通孔35が板厚方向に貫通して形成されている。接続部33は、図6に示すように、その後方に連なる基端部36を水平方向に配した場合に、基端部36の前縁からやや斜め上方に延出されている。基端部36には、抜止孔37が板厚方向に貫通して形成されている。一方、電線32は、断面横長の芯線を絶縁被覆で覆ってなるフラットケーブルとされている。
【0018】
ホルダ40は、上下一対の半割体41からなり、上側の半割体41には、下側の半割体41に向けて下方に突出する保持突起42が形成されている。一方、下側の半割体41には、保持突起42を受け入れる受入孔43が上下方向に貫通して形成されている。したがって、両半割体41によって端子31の基端部36を上下方向から挟み込むと、保持突起42が基端部36の抜止孔37を貫通するとともに、下側の半割体41の受入孔43に差し込まれる。これにより、端子31がホルダ40に保持される。このとき、端子31は、保持突起42の前後両側で両半割体41によって上下方向から挟み込まれており、端子31が保持突起42を中心として揺動することが規制されている。
【0019】
上側の半割体41の上面と下側の半割体41の下面とには、それぞれ係止突部44が形成されている。この係止突部44のうち後側の面は上下方向に切り立った係止面とされており、前側の面は傾斜面とされている。保持突起42は、係止突部44よりも前側に配されている。
【0020】
リアハウジング60は合成樹脂製であって、図5に示すように、端子付き電線30を前後方向に挿通させる電線挿通部を有し、この電線挿通部は、端子31を収容する端子収容部61と、ゴム栓70を収容するゴム栓収容部62とから構成されている。また、端子収容部61とゴム栓収容部62の間には、これらを仕切る隔壁63が形成されている。この隔壁63には、電線32の径寸法と同じかこれよりやや大きめの径寸法を有する貫通孔が形成されている。
【0021】
ゴム栓収容部62には、ゴム栓70が収容され、ゴム栓70の後方には、バックリテーナ71が収容されている。このバックリテーナ71は、周知の係止手段によりゴム栓収容部62に抜止状態で収容されている。したがって、ゴム栓70は、リアハウジング60の隔壁63とバックリテーナ71との間に保持されている。ゴム栓70は、電線32の外周面とゴム栓収容部62の内周面との双方に対して全周に亘って密着している。このため、リアハウジング60の後方からゴム栓収容部62を通って端子収容部61に水が浸入することが抑制されている。
【0022】
リアハウジング60の外周面における前端部には、図1に示すように、シールリング50が嵌着されるシール面64が形成されている。このシール面64は、複数の端子収容部61を一括して覆うように周設されている。シールリング50の前縁および後縁には、回り止め突部51が形成されている。一方、リアハウジング60のシール面64の後方には、シールリング50の後方への移動を抑制する後側シール壁65が周設されている。この後側シール壁65には、回り止め突部51が前方から嵌合してシールリング50の回り止めを行う回り止め凹部66が形成されている。
【0023】
端子収容部61は、図5に示すように、前方に開口する形態をなし、端子収容部61の開口部は、ホルダ40が内部に収容可能な収容部67とされている。この収容部67はシール面64の内側に形成されている。ホルダ40を収容部67内に収容すると、係止突部44が収容部67の開口縁部に前方から係止するようになっており、これによりホルダ40が収容部67内に保持される。このとき、係止突部44の係止面から後方に延びる台座部45は、収容部67の内壁によって上下方向から挟まれて面接触した状態になっており、ホルダ40が収容部67内で揺動することが抑制されている。
【0024】
フロントハウジング20は合成樹脂製であって、図1に示すように、各端子31に対応して形成された挿通孔21が複数並んで配設された挿通部22を備えている。挿通部22は、複数の挿通孔21が並んで配設された格子状をなしている。各挿通孔21の左右両側には、一対の側壁23が形成されており、この側壁23の前縁に、仕切壁24が前方に突出して連設されている。左右に隣り合う一対の挿通孔21間には、共通の側壁23が一つ設けられている。これに伴って、共通の側壁23の前縁から共通の仕切壁24が前方に突出して一つ設けられている。
【0025】
各挿通孔21は横長の長方形状とされており、上下一対の開き防止壁25と、左右一対の側壁23とによって囲まれた空間として構成されている。一対の開き防止壁25は、図5に示すように、上下一対の半割体41を上下両側から挟む位置に配されており、上下一対の半割体41が上下方向に開くことを防止している。また、上側の半割体41における保持突起42の後側には、端子31の左右両側に配された一対の絶縁壁46が形成されている。上下一対の半割体41が挿通部22の挿通孔21に挿入されて上下一対の開き防止壁25によって上下両側から挟まれた状態では、絶縁壁46の下端縁が下側の半割体41の上面(一対の半割体41を組み付けた状態において端子31が収容される空間を構成する内壁面のうち端子31の下側に配された底面)に押圧されるため、上下一対の半割体41が互いに離間する方向に開こうとしても、上下一対の開き防止壁25によって各半割体41の開きが防止され、隣り合う一対の端子31間の絶縁性が確保される。
【0026】
さらに、フロントハウジング20の後面には、図10に示すように、隣り合う一対の挿通孔21の間に配された一対の対向壁29が後方に突出して形成されている。この一対の対向壁29は、挿通孔21の孔縁部から後方に立ち上がるように形成されており、側壁23の後方において所定の間隔を空けて対向状態で配されている。一方、図11に示すように、リアハウジング60において隣り合う一対の端子収容部61間には、これらの端子収容部61を区画する区画壁68が形成されている。両ハウジング20,60を組み付けると、対向状態で配された一対の対向壁29の間には、リアハウジング60の区画壁68が進入するようになっている。このように、一対の対向壁29と区画壁68がラビリンス構造をなすことにより、隣り合う一対の端子31間の沿面距離を稼いで、さらに絶縁性を高めることができる。
【0027】
また、フロントハウジング20には、図5に示すように、シール面64に嵌着されたシールリング50の前止まりを行う前側シール壁26が形成されている。この前側シール壁26は、フロントハウジング20の後縁に周設されており、収容部67の開口縁部に対して前方から当接可能とされている。前側シール壁26の上下両側部分は、フロントハウジング20の上下両面から上下両側に張り出すように形成されている。また、前側シール壁26の内周面には、係止突部44を逃がす逃がし部27が形成されている。さらに、前側シール壁26のうち上下両側には、図2に示すように、回り止め突部51が嵌まり込んでシールリング50の回り止めを行う回り止め凹部28が設けられている。
【0028】
本実施形態は以上のような構成であって、続いてその作用を説明する。まず、シールドコネクタ10の組立方法について説明する。組立にあたっては、図6に示すように、電線32を、編組線Bと、かしめリング90と、シールドシェル80と、リアハウジング60と、ゴム栓70と、リテーナ71とに先通ししておく。電線32の端末で絶縁被覆を皮剥ぎして芯線を露出させた後、端子31の圧着部34を電線32の芯線に圧着させる。また、リアハウジング60のシール面64にシールリング50を予め嵌着しておく。
【0029】
次に、端子31の基端部36を一対の半割体41によって上下両側から挟み付ける。このとき、保持突起42が抜止孔37を貫通して受入孔43に挿入され、端子31がホルダ40に保持される。このホルダ40をリアハウジング60の収容部67内に前方から収容すると、上下一対の係止突部44が収容部67の開口縁部に対して前方から当接することで、ホルダ40がリアハウジング60に保持される。この後、フロントハウジング20をホルダ40の前方から装着すると、一対の半割体41が互いに組み付けられたホルダ40の前端部分が挿通孔21に挿入されるとともに、前側シール壁26が収容部67の開口縁部に対して前方から当接し、ホルダ40が収容部67内に正規に組み付けられる。また、フロントハウジング20とリアハウジング60は、図示しない係止構造によって組付状態に保持される。こうして、シールドコネクタ10の組立が完成する。
【0030】
次に、シールドコネクタ10をケースCに取り付ける方法について説明する。フロントハウジング20を取付孔C1に嵌合させると、図5に示すように、端子31の接続部33が端子台C2上に配置される。シールリング50は、シール面64と取付孔C1の内周面との双方に対して密着した状態となり、取付孔C1を通ってケースC内に水が浸入することが防止される。作業孔C3から工具を挿入して端子31と端子台C2をボルト締結していくと、端子台C2の取付公差などによって端子31が正規の姿勢よりも傾いた状態で取り付けられる場合がある。このとき、上下一対の半割体41は互いに開こうとするものの、フロントハウジング20の挿通部22によって互いに開くことが抑制されているため、絶縁壁46に隙間が発生することを防止できる。これにより、隣り合う一対の端子31間の絶縁性を確保できる。
【0031】
以上のように本実施形態では、一対の開き防止壁25によって一対の半割体41を挟むことにより、一対の半割体41が開いて絶縁壁46に隙間が形成されることを防ぐことができる。したがって、隣り合う一対の端子31間の絶縁性を確保することができる。
【0032】
また、端子31は、ケースCの取付孔C1内に設けられた端子台C2に接続される接続部33を備え、この接続部33は、ホルダ40から前方に突出して配設され、フロントハウジング20は、隣り合う一対の接続部33を互いに絶縁する仕切壁24を有している構成としてもよい。このような構成によると、隣り合う一対の接続部33間の絶縁性を仕切壁24によって確保することができる。
【0033】
フロントハウジング20において接続部33を挿通させる挿通部22は、一対の開き防止壁25と、これらを互いに連結する一対の側壁23とによって囲まれた挿通孔21が複数並んで配された格子状に形成されており、側壁23のうち隣り合う一対の挿通孔21間に形成された側壁23の前縁に、仕切壁24が前方に突出して形成されている構成としてもよい。このような構成によると、一対の半割体41を挿通部22によって全周に亘って囲むことができ、一対の半割体41が開くことを強固に阻止できる。また、側壁23の前縁から仕切壁24を前方に突出して形成しているため、挿通部22から仕切壁24に亘って絶縁性を確保することができる。
【0034】
リアハウジング60におけるホルダ40を収容する収容部67は、前方に開口する形態をなし、ホルダ40は、収容部67の開口縁部に前方から係止する係止突部44を備えている構成としてもよい。このような構成によると、ホルダ40の係止突部44を収容部67の開口縁部に前方から係止させることにより、ホルダ40を収容部67に保持することができ、かつ、電線32が後方へ引っ張られたときに、端子31が後方へ動くのを阻止することができる。
【0035】
フロントハウジング20は、収容部67の開口縁部に前方から当接する前側シール壁26を有しており、この前側シール壁26は、係止突部44を逃がす逃がし部27を備えている構成としてもよい。このような構成によると、フロントハウジング20の前側シール壁26を収容部67の開口縁部に前方から当接させることにより、フロントハウジング20とリアハウジング60によってこれらを前後方向に位置決めすることができる。その際、ホルダ40の係止突部44をフロントハウジング20の逃がし部27に逃がすことにより、係止突部44と前側シール壁26が干渉することを回避できる。これにより、ホルダ40はフロントハウジング20とリアハウジング60により挟み込まれて保持されるから、係止突部44を係合させる部位をフロントハウジング20に別途設ける必要がなく、シールドコネクタ10全体の小型化に寄与する。
【0036】
リアハウジング60の外周面には、シールリング50が嵌着されており、前側シール壁26は、径方向外側に張り出して形成されることで、シールリング50の前止まりを行うようにされている構成としてもよい。このような構成によると、前側シール壁26を径方向外側に張り出して形成することで、この張り出し部をシールリング50の前止まりとして利用することができる。
【0037】
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2を図12ないし図22の図面を参照しながら説明する。本実施形態のシールドコネクタ110は、実施形態1のシールドコネクタ10の一部の形状を変更したものであって、実施形態1と共通する構成、作用、および効果についてはその説明を省略する。また、実施形態1と同じ構成については、実施形態1と同一の符号を用いるものとする。
【0038】
本実施形態の端子付き電線130は、平板状をなす端子131と、この端子131に接続された電線32とを備えて構成されている。端子131は、実施形態1と同様の圧着部34、基端部36などを備えて構成されている。しかしながら、本実施形態の接続部133は、実施形態1の接続部33よりも基端部36からの立ち上がり角度が急となっている。これは、図16に示すように、ケースCが斜めに配され、端子台C2も斜めに配されているにもかかわらず、コネクタ110を取付孔C1に対して真っ直ぐに挿入する必要があるためである。これに伴って、端子131の先端がL字曲げされており、本実施形態のシールドシェル180の取付部182は、シェル本体81に対する立ち上がり角度が実施形態1よりも急となっている。
【0039】
また、本実施形態のホルダ140は、上下一対の半割体141からなる点については実施形態1と同じであるものの、保持突起42が下側の半割体141に設けられている点で実施形態1とは異なる。これに伴って、受入孔43は、上側の半割体141に設けられている。さらに、本実施形態の絶縁壁146は、図20に示すように、下側の半割体141の両側縁から上方に突出して形成されている。絶縁壁146は、端子131の左右両側に一対配されている。
【0040】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、端子を保持する保持部として保持突起42を例示しているものの、本発明によると、弾性的に撓み可能なランスを保持部としてもよい。
【0041】
(2)上記実施形態では、本発明の相手側コネクタとして、ケースCにおける取付孔C1を構成する部分を例示しているものの、本発明によると、電線の端末に接続されたコネクタを相手側コネクタとしてもよい。
【0042】
(3)上記実施形態では、本発明の当接部として、前側シール壁26を例示しているものの、シールリングがない場合には、前側シール壁26のようにフロントハウジング20の外面から径方向外側に張り出す形態で形成しなくてもよい。
【符号の説明】
【0043】
10,110…シールドコネクタ
20…フロントハウジング
21…挿通孔
22…挿通部
23…側壁
24…仕切壁
25…開き防止壁
26…前側シール壁(当接部)
27…逃がし部
31,131…端子
32…電線
33…接続部
40,140…ホルダ
41,141…半割体
42…保持突起(保持部)
44…係止突部
46,146…絶縁壁
50…シールリング
60…リアハウジング
67…収容部
C1…取付孔(相手側コネクタ)
C2…端子台(相手側端子)
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