(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施の形態を、遊技機としてスロットマシン10を例に、
図1〜
図17に基づいて説明する。
以下、「前面」及び「正面」とは、スロットマシン10において遊技を行う際に遊技者が向き合う面をいい、「右側」とは、スロットマシン10の前面に向き合って遊技を行う遊技者から見て右側をいい、「左側」とは、スロットマシン10の前面に向き合って遊技を行う遊技者から見て左側をいう。
(スロットマシン10)
スロットマシン10は、
図1に示すように、正面側が開口する方形箱状の筐体11と、この筐体11の正面開口を開閉自在に設けられた前扉3を有している。前記筐体11の内部において、開口上部には、3個の回転リール40を有するリールユニット60が設置され、開口下部には、ホッパーユニット65と、電源ユニット5が設けられている。また、前記リールユニット60の上方には、スロットマシン10の全体の動作を制御するための制御装置20が配置されている。
【0021】
前記前扉3は、筐体11にヒンジ(図示せず)を介して水平方向に回動自在に取り付けられた板状の扉である。前扉3には、
図1に示すように、遊技者側に向かって臨む正面パネル12が設けられており、正面パネル12には、3個の回転リール40の図柄を視認可能な図柄表示窓13が形成されている。そして、この図柄表示窓13の下方であってスロットマシン10の高さ方向略中央部は、スロットマシン10を作動させるための操作スイッチが設けられたカウンター状の操作部3Aとなっており、操作部3Aの上面右端にはメダル投入口14が設けられている。前扉3の下部には、ホッパーユニット65から払い出されたメダルを受ける下皿3Bが設けられている。また、メダル投入口14の下方であって前扉3の裏側には、投入メダルを検知しメダルを判別するためのメダルセレクター4が設けられている。
【0022】
前記リールユニット60は、筐体11の内部に収納される枠体に固定された3個のステッピングモータ(図示せず)と、各ステッピングモータの出力軸に固定された3個の回転リール40から構成されている。ここで、3個の回転リール40について、個々の回転リール40を特定して説明する場合には、正面視したときに左側に位置する回転リール40を左リール41と称し、中央に位置する回転リール40を中リール42と称し、右側に位置する回転リール40を右リール43と称するものとし、個々の回転リール40を特定しない場合には、単に回転リール40というものとする。
各回転リール40は、合成樹脂からなる回転ドラムと、この回転ドラムの周囲に貼付されるテープ状のリールテープとを備えている。このリールテープの外周面には、
図3に示すように、「赤7」、「白7」、「黒BAR」、「赤BAR」「リプレイa」、「リプレイb」、「スイカa」、「スイカb」、「ベル」、「チェリー」などの図柄が、1つの回転リール40につき21個ずつ、表示されている。なお、
図3において左端の数字は、各図柄を特定するための図柄番号を示している。
【0023】
そして、スロットマシン10を正面視したとき、図柄表示窓13からは、各回転リール40の図柄がそれぞれ3個ずつ、合計9個視認できるようになっている。
また、特に図示しないが、各回転リール40には、リールユニット60に設けられたインデックスセンサ60A(
図2参照)に検知される検知部としてのスタートインデックスが設けられている。スタートインデックスは、たとえば回転ドラムの内側や回転ドラムとステッピングモータをつなぐスポークに設けられた突片とすることができる。
前記ホッパーユニット65は、
図1に示すように、筐体11の内部に設けられた払い出し装置であって、遊技の結果に基づいて、遊技者にメダルを払い出すためのものである。前記電源ユニット5は、スロットマシン10の主電源のON/OFFを行うためのものである。
【0024】
ここで、前記操作スイッチとしては、
図1に示すように、ベットスイッチ16、精算スイッチ17、スタートスイッチ30、ストップスイッチ50が設けられている。なお、操作スイッチとしては、その操作によりスロットマシン10により行われる演出に関わる選択を行うことができる演出選択スイッチが設けられていてもよい。
前記ベットスイッチ16は、カウンター状の操作部3Aの上面左側に設けられたボタンスイッチであって、クレジットをメダル投入に代えるためのものである。ここで、クレジットとは、次ゲーム以降に使用するためのメダルをあらかじめ遊技機内部に貯留しておくことであり、スロットマシン10は、メダル投入口14から投入されたメダル、又は入賞により払い出されるメダルを、最大50枚まで、遊技機内部に貯留する扱いができるように形成されている。
【0025】
前記精算スイッチ17は、操作部3Aの上面左端に設けられたボタンスイッチであって、クレジットを払い戻すためのものである。
前記スタートスイッチ30は、操作部3Aの正面左側に設けられたレバー状のスイッチであって、回転リール40の回転を開始させるためのものである。スタートスイッチ30の筐体内部側には、特に図示しないが、レバーの位置移動を検出する接触センサあるいは遮光センサが設けられており、センサの検出信号がスタートスイッチ30の操作信号として扱われるようになっている。
ストップスイッチ50は、操作部3Aの正面中央部に設けられた3個のボタンスイッチであって、回転中の回転リール40を停止させるためのものである。ここで、3個のストップスイッチ50について、個々のストップスイッチ50を特定して説明する場合には、正面視したときに左側に位置するストップスイッチ50を左停止スイッチ51と称し、中央に位置するストップスイッチ50を中停止スイッチ52と称し、右側に位置するストップスイッチ50を右停止スイッチ53と称するものとし、個々のストップスイッチ50を特定しない場合には、単にストップスイッチ50というものとする。3個のストップスイッチ50は、それぞれ、3個の回転リール40に対応して設けられている。具体的には、左リール41には左停止スイッチ51が対応し、中リール42には中停止スイッチ52が対応し、右リール43には右停止スイッチ53が対応している。各ストップスイッチ50の筐体内部側には、特に図示しないが、ボタンの位置移動を検出する接触センサあるいは遮光センサがそれぞれ設けられており、センサの検出信号が各ストップスイッチ50の操作信号として扱われるようになっている。そして、左停止スイッチ51の操作により左リール41を停止させることができ、中停止スイッチ52の操作により中リール42を停止させることができ、右停止スイッチ53の操作により右リール43を停止させることができる。
【0026】
(制御装置20)
上記制御装置20は、図示しないが、CPUを中心に構成され、ROM、RAM、I/Oなどを備えている。ここでCPUは、1個に限定されず、二個以上のCPUで制御するようにしてもよい。また、CPU、ROM、RAM及びI/Oなどは一体化されてワンチップを構成してもよい。そして、CPUがROMに記憶されたプログラムを読み込むことで、
図2に示すように、メイン制御装置21及びサブ制御装置22を構成する。遊技制御装置21と演出制御装置22との間における信号の送受信は、遊技制御装置21における内部データの信頼性を担保すべく、遊技制御装置21から演出制御装置22への一方通行となるように形成されている。
【0027】
ここで、メイン制御装置21の制御に基づくスロットマシン10の作動状態をメイン状態といい、サブ制御装置22の制御に基づくスロットマシン10の作動状態をサブ状態という。なお、本実施の形態では、メイン制御装置21には、メイン状態とは別に、後述する遅延演出の実行に関する状態である遅延演出状態が設けられている。これについては後述する。
そして、制御装置20の入力側には、
図2に示すように、メダルセンサ15、ベットスイッチ16、精算スイッチ17、スタートスイッチ30、ストップスイッチ50、インデックスセンサ60Aの各パーツが接続されている。ここで、メダルセンサ15は、
図1に示すように、メダルセレクター4に内蔵された検知センサであって、投入された遊技メダルの通過を検知するものである。インデックスセンサ60Aは、特に図示しないが、リールユニット60の枠体に設けられた検知部であって、回転リール40の回転を検知するためのものである。
【0028】
一方、制御装置20の出力側には、
図2に示すように、リールユニット60、ホッパーユニット65、画像表示部(演出装置)67、ランプ(演出装置)68、スピーカ(演出装置)69の各パーツが接続されている。画像表示部67、ランプ68、スピーカ69は、演出を実行するための演出装置である。ここで、画像表示部67は、
図1に示すように、図柄表示窓13の上側に設けられた窓部であり、LED、ドットマトリックス、液晶画面などを用いて、入賞の報知その他の演出画像を表示するためのものである。なお、画像表示部67としては上記のものに限られず、たとえば演出専用の回転リールを設け、リールの図柄や文字などにより演出を表示するようにしてもよい。ランプ68は発光体の点灯又は点滅により入賞などを報知するためのものであり、スピーカ69は、BGMや操作音など、所定の音声を出力するためのものである。
【0029】
(メイン制御装置(遊技制御装置)21)
メイン制御装置21は、主として遊技を制御するものであって、具体的には役の抽選(役抽選)、回転リール40の回転・停止及びメダルの払い出しなどの遊技の進行を制御するものである。そして、メイン制御装置21は、
図2に示すように、役抽選手段70、メイン状態移行制御手段80、リール制御手段90、遊技結果判定手段110、ホッパー制御手段120、遅延演出制御手段130、遅延演出状態制御手段140、操作態様設定手段150、ゲーム数設定手段160、遊技制御情報送信手段170などの各手段として機能する。
(役抽選手段70)
役抽選手段70は、複数の役のいずれかに当選か否かの役抽選を行うものである。具体的には、複数の図柄から構成される図柄組合せが対応付けられた所定の「役」について、当選したか否かを乱数抽選(役抽選)により決定するものであり、図示しないが、役抽選テーブルと、判定手段とを備えている。そして、スタートスイッチ30の操作信号受信のタイミングで、図示しないカウント抽出手段が、図示しないループカウンタの数値を読み取り、判定手段がこの数値と役抽選テーブルとを比較して、当選の有無を判定するものである。
【0030】
役抽選テーブルは、前記ループカウンタがカウントする数値(たとえば0〜65535)を全領域として各当選項目の当選領域を規定したものである。なお、役抽選テーブルの詳細については後述する。判定手段は、カウント抽出手段がピックアップしたカウントデータと、前記役抽選テーブルの当選判定領域データとを照合し、カウントデータが所定の当選領域に属する場合には当該当選領域に対応する当選を決定し、カウントデータがいずれの当選領域にも属さない場合には、「ハズレ」の決定をするものである。
ここで、スロットマシン10は、ストップスイッチ50の操作によって所定の当選役に対応する図柄組合せが有効ライン上に揃って表示される(以下、このことを入賞という)と、役に応じた利益が付与されるようになっている。前記役としては、入賞により所定枚数のメダルが払い出される小役と、入賞により次ゲームにおいて遊技メダルを新たに投入することなく再度の遊技を行える再遊技役と、入賞により次ゲームからボーナス状態へ移行するボーナス役とを備えている。
【0031】
なお、有効ラインとは、3個の回転リール40にそれぞれ表示されている図柄のうち図柄表示窓13から視認可能な縦3個横3個合計9個の図柄を1個ずつ繋いでできるライン(入賞ライン)のうち、入賞するために有効となる図柄組合せの並びを規定したラインである。入賞ラインは、規定数のメダルをベットすることにより有効ラインになる。ここで、規定数とは、1回の遊技を行うためにかけることができるメダル数である。本実施の形態においては、
図1に示すように、左リール41の中段に位置する図柄、中リール42の中段に位置する図柄、右リール43の中段に位置する図柄を繋いでできる中段ラインが入賞ラインとして設定されている。そして、本実施の形態では、1回の遊技につき、メダルを3枚ベットすることが可能となっており、3枚のメダルをベットすると、中段ラインが有効になる。
【0032】
本実施の形態においては、
図4に示すように、ボーナス役として、「赤7・赤7・赤7」の図柄組合せが対応付けられたBB(ビッグボーナス)と、「白7・白7・白7」の図柄組合せが対応付けられたRB(レギュラーボーナス)が設けられている。
前記小役としては、入賞により9枚のメダルが払い出されるベル1〜ベル10までの10個のベル役と、入賞により5枚のメダルが払い出されるスイカ1〜スイカ4までの4個のスイカ役と、入賞により4枚のメダルが払い出されるチェリー役が設けられている。各ベル役には、ベル図柄、リプレイa図柄とリプレイb図柄(合わせてリプレイ図柄と省略する)、黒BAR図柄、スイカa図柄とスイカb図柄(合わせてスイカ図柄と省略する)、チェリー図柄のいずれかにより構成される図柄組合せが対応付けられている。たとえばベル1は「リプレイa・黒BAR・スイカa」の図柄組合せが対応付けられている。ちなみに、ベル1が入賞すると、ベル図柄が図柄表示窓13の上段に揃って表示される。また、各スイカ役には、スイカ図柄、ベル図柄、赤BAR図柄、リプレイb図柄のいずれかにより構成される図柄組合せが対応付けられている。たとえば、スイカ1は、「ベル・リプレイa・赤BAR」の図柄組合せが対応付けられている。ちなみに、スイカ1が入賞すると、スイカ図柄が図柄表示窓13の上段に揃って表示される。そして、チェリー役には、「チェリー・ANY・ANY」(ANYは何の図柄でもよい)の図柄組合せが対応付けられている。
【0033】
前記再遊技役としては、リプレイ1〜リプレイ11までの11個のリプレイ役が設けられている。各リプレイ役には、回転リール40に表示されている全ての図柄のうちのいずれかにより構成される図柄組合せが対応付けられている。たとえば、リプレイ1は、「リプレイa・リプレイa・リプレイa」「リプレイa・リプレイa・リプレイb」などの、リプレイa図柄とリプレイb図柄の順列からなる8個の図柄組合せが対応付けられている。いずれかの再遊技役が入賞すると、再遊技が作動し、当該遊技終了後の遊技において、ベットすることなくスタートスイッチ30が操作可能となる。
BBが入賞すると、次ゲームからボーナスゲームであるビッグボーナスゲーム(BBゲーム)が開始される。BBゲームは、レギュラーボーナスゲーム(RBゲーム)が連続して行われる遊技期間である。RBゲームとは、通常遊技に比べて小役の当選確率が高く設定された遊技期間であり、所定回数の入賞又は所定回数のゲーム消化により終了する。なお、RBゲームへ移行した場合には投入メダルの規定数を1枚に変更するように形成してもよい。そして、BBゲームへ移行すると、RBゲームが無条件で、すなわちRBゲームへ移行させるための図柄(RB図柄)を揃えることなく開始され、1回のRBゲームが終了すると、再び無条件で次のRBゲームが開始される。そして、BBゲームは、払い出しメダルの総数があらかじめ定められた一定枚数を超えた場合に終了する。
【0034】
なお、BBゲーム中に、所定のRB図柄を揃えた場合にRBゲームが開始されるようにしてもよい。また、ボーナス役が入賞した場合に、所定枚数(たとえば15枚)のメダルを払い出した後に、ボーナス状態へ移行するようにしてもよい。また、BBゲーム、RBゲームの終了条件を、他の条件(たとえばゲーム回数)としてもよい。
ここで、抽選の結果、いずれかの役が当選すると、当選に対応する当選フラグが成立する。当選役が小役の場合には小役フラグ(ベル1フラグ、スイカ1フラグなど)が、ボーナス役の場合にはボーナスフラグ(BBフラグ、RBフラグ)が、再遊技役の場合にはリプレイフラグ(リプレイ1フラグ、リプレイ2フラグなど)がそれぞれ成立する。小役フラグ及びリプレイフラグは当該遊技限りでリセットされるが、ボーナスフラグは、当該ボーナス役が入賞するまでリセットされない。すなわち、ボーナス役当選の場合には、当選の権利が次ゲーム以降に持ち越されるようになっている。また、ボーナスフラグが持ち越されている間(ボーナス内部中)は、ボーナス役の当選判定は行われない。また、本実施の形態では、以下に述べるように、役抽選テーブルには、複数の役が同時に当選となる重複当選領域が設けられており、カウント抽出手段が抽出したループカウンタのカウントデータが前記した重複当選領域に属する場合には、当該領域に含まれる役の全てについて、それぞれに対応する当選フラグを成立させることになる。
【0035】
(役抽選テーブル)
本実施の形態における役抽選テーブルの概念図を
図5に示す。ここで、
図5は、ハズレの領域を省略し、複数の役抽選テーブルに設定されている当選領域の有無を示したものであり、左欄に示した当選領域が含まれているものを丸印で表している。
役抽選テーブルとしては、
図5に示すように、通常状態において用いられる通常テーブルと、RT状態において用いられるRT1テーブル及びRT2テーブルと、ボーナス内部中状態において用いられる内部中テーブルと、ボーナス作動中状態において用いられるボーナス中テーブルとが設けられている。
【0036】
ここで、通常状態とは、スロットマシン10の初期状態(工場出荷時又は設定変更後若しくはリセット後)のメイン状態をいうものである。RT状態とは、再遊技役の当選確率が通常状態とは異なるように設定されているメイン状態であり、いわゆるリプレイタイムと呼ばれるものである。RT状態としては、RT1とRT2が設けられている。ボーナス内部中状態とは、ボーナスフラグが持ち越されているメイン状態であり、ボーナス作動中状態とはボーナスゲームが行われるメイン状態である。
各役抽選テーブルには、
図5に示す所定の当選の領域と、図示しないハズレの領域とが設定されている。当選の領域としては、一の役に対応付けられた当選領域である単独当選領域の他に、複数種類の役に対応付けられた重複当選領域が設定されている。
図5において、「BB」、「RB」、「チェリー」の当選領域は、それぞれ、BB、RB、チェリーの単独当選領域である。一方、当選領域の「リプレイA」〜「リプレイI」は所定のリプレイ役の重複当選領域であり、「ベルA」〜「ベルM」までの当選領域は所定のベル役の重複当選領域であり、「スイカ」は所定のスイカ役の重複当選領域となっている。
【0037】
ここで、上記した「ベルA」〜「ベルL」の12個の重複当選領域に対しては、3個のストップスイッチ50に基づく3通りの操作順序(以下、「押し順」という。)が、それぞれ割り当てられている。具体的には、「ベルA」〜「左ベルD」の各当選領域に対しては、左停止スイッチ51を最初に操作する押し順(以下、「左第一停止」という。)が、「ベルE」〜「ベルH」の各当選領域に対しては、中停止スイッチ52を最初に操作する押し順(以下、「中第一停止」という。)が、「ベルI」〜「ベルL」の各当選領域に対しては、右停止スイッチ53を最初に操作する押し順(以下、「右第一停止」という。)が、それぞれ割り当てられている。割り当てられている押し順が、各当選領域の当選に対する正解の押し順となる。そして、前記重複当選領域のいずれかが当選した場合、正解の押し順で、ストップスイッチ50が操作(以下、「停止操作」という。)されたか否かによって、ベル役が入賞し得るか否かが変化するようになっているが、これについては後述する。なお、押し順の設定は、上記した3通りを設定する場合に限られない。たとえば、各当選領域に、3個のストップスイッチ50に基づく6通りの押し順(左中右、左右中、中左右、中右左、右中左、右左中)をそれぞれ割り当てることもできる。ここで、「左」とは左停止スイッチ51を意味し、「中」とは中停止スイッチ52を意味し、「右」とは右停止スイッチ53を意味する。すなわち、たとえば「中左右」とは、中停止スイッチ52を最初に操作し、次に左停止スイッチ51を操作し、最後に右停止スイッチ53を操作する順序を意味する。
【0038】
また、「リプレイA」〜「リプレイD」の4個の再遊技役の重複当選領域に対しては、3個のストップスイッチ50に基づく左第一停止以外の4通りの押し順が、それぞれ割り当てられている。具体的には、「リプレイA」には、ストップスイッチ50を「中、左、右」の順で操作する押し順が、「リプレイB」には、ストップスイッチ50を「中、右、左」の順で操作する押し順が、「リプレイC」には、ストップスイッチ50を「右、左、中」の順で操作する押し順が、「リプレイD」には、ストップスイッチ50を「右、中、左」の順で操作する押し順が、それぞれ割り当てられている。そして、割り当てられている押し順で停止操作したか否かにより、入賞する再遊技役が変化するようになっているが、この詳細については後述する。
【0039】
なお、当選領域「ベルA」〜「ベルL」を総称して「押し順ベル」といい、当選領域「リプレイA」〜「リプレイD」を総称して「押し順リプレイ」というものとする。
さて、
図5では明記していないが、各役抽選テーブルにおける小役の当選領域の全領域に対する割合(以下当選確率という)は、通常テーブル、RT1テーブル、RT2テーブル及び内部中テーブルにおいては、同等に設定されている。ボーナス中テーブルでは、「ベルM」、「スイカ」及び「チェリー」の当選確率の合計が他のテーブルに比べて非常に高く、たとえば約1/1.1に設定されている。また、各役抽選テーブルにおける再遊技役の当選確率(合算値)は、RT2テーブルが最も高く、RT1テーブル及び通常テーブルが最も低く、内部中テーブルがその中間に位置するように設定されている。たとえば、RT1テーブル及び通常テーブルでは、再遊技役の当選確率が約1/7.3に設定されており、RT2テーブルでは、再遊技役の当選確率が約1/1.5に設定されており、内部中テーブルでは、再遊技役の当選確率が約1/3に設定されている。これにより、メイン状態がRT2である遊技、ボーナス内部中状態である遊技は、ベットなしで遊技を行える再遊技の回数が増えるとともに、小役の当選確率は変化しないので、手持ちのメダルの目減りが少なくなる。
【0040】
また、RT1テーブル及び通常テーブルでは、ハズレの領域が当該テーブル中で最大の領域となっている。
なお、上記した役抽選テーブルの構成や当選確率は一例であって、上記した態様や数値に限られるものではない。
(メイン状態移行制御手段80)
メイン状態移行制御手段80は、メイン状態を特定し、メイン状態の移行を制御するためのものであり、図示しないが、移行条件判定手段、状態フラグ設定手段、遊技カウンタの各手段を備えている。
【0041】
移行条件判定手段は、役抽選手段70の抽選結果、後述する遊技結果判定手段110の判定結果、及び以下に述べる遊技カウンタの計測値に基づいて、遊技状況が、メイン状態を移行させるための所定条件に該当するか否かを判定するためのものである。また、状態フラグ設定手段は、前記移行条件判定手段の判定結果及び役抽選手段70の抽選結果に基づいて、現在のメイン状態を記憶する所定の状態フラグを成立させるためのものである。遊技カウンタは、遊技に関する数値を計測するものである。具体的には、BB(RB)ゲーム中のゲーム回数、入賞回数、払出枚数などのカウントなどを行うものである。
移行条件判定手段は、役抽選手段70の抽選結果に基づいてボーナス内部中状態への移行及び所定のRT状態の終了を決定し、遊技結果判定手段110の判定結果に基づいて、ボーナス内部中状態の終了、ボーナス作動中状態への移行、再遊技の作動、所定のRT状態への移行又は終了(ボーナス終了、他のRT状態への移行又は通常状態への復帰)を決定し、遊技カウンタの計測値に基づいて、ボーナス状態の終了(RT1状態への移行)、所定のRT状態の終了などを決定するようになっている。なお、メイン状態の移行の具体例については後述する。
【0042】
また、状態フラグ設定手段の設定可能な状態フラグには、ボーナス内部中フラグ、ボーナス作動フラグ、RTフラグ(RT1〜3フラグ)がある。ボーナス内部中フラグはボーナス当選に基づきセットされ、ボーナス入賞に基づきリセットされる。ボーナス作動フラグは、ボーナス入賞に基づきセットされ、ボーナス終了条件成立によりリセットされる。RTフラグは、所定のRT状態への移行条件成立に基づきセットされ、RT状態の終了条件成立に基づきリセットされる。なお、通常状態においては通常状態フラグを設定してもよいし、状態フラグを特に設定しないようにしてもよい。
また、状態フラグ設定手段は、上記した状態フラグとは別に、再遊技作動フラグを設定可能である。再遊技作動フラグは再遊技の作動決定に基づいてセットされ、1回の再遊技終了によりリセットされる。「再遊技作動中」とは、再遊技役の当選時に再遊技役を構成する図柄組合せが表示され(入賞し)てから、入賞に基づく再遊技(ベットなしで行えるゲーム)が終了するまでの期間である。状態フラグ設定手段が再遊技作動フラグを設定している場合には、再遊技作動中となり、次ゲーム開始前に、自動的に規定数のメダルが投入された扱い(自動ベット)とされる。具体的には、ベットスイッチ16の操作又はメダル投入によらず、図示しない所定のベット表示部にベット表示(かけ枚数の表示)がされて、その後のスタートスイッチ30の操作が可能となる。
【0043】
そして、状態フラグ設定手段の設定した状態フラグに応じて、役抽選手段70が対応する役抽選テーブルを選択し役抽選を行うことにより、通常状態、ボーナス内部中状態、ボーナス作動中状態、RT状態などの所定のメイン状態が発動する。すなわち、役抽選手段70は、状態フラグが成立していない場合には通常テーブル(
図5参照)を選択し、ボーナス内部中フラグが成立している場合には、内部中テーブルを選択し、ボーナス作動フラグが成立している場合にはボーナス中テーブルを選択し、所定のRTフラグが成立している場合には対応するRTテーブル(
図5のRT1、RT2テーブル)を選択する。
(リール制御手段90)
リール制御手段90は、スタートスイッチ30及びストップスイッチ50の操作信号に基づいて、回転リール40の回転及び停止を制御するためのものであり、
図2に示すように、回転制御手段91と、停止制御手段92とを少なくとも備えている。
【0044】
(回転制御手段91)
回転制御手段91は、スタートスイッチ30の有効な操作信号を受信した場合に、リールユニット60のステッピングモータを駆動させて回転リール40を回転させるためのものである。具体的には、規定数のベットがされている状態でスタートスイッチ30の操作信号を入力した場合には、前遊技における回転リール40の回転開始から一定時間(4.1秒、いわゆるウエイト時間)が経過していることを条件に、各ステッピングモータに駆動信号を出力することにより、全ての回転リール40の回転を一斉に、あるいは所定の順番で開始させる。そして、全ての回転リール40の回転速度が所定の定常回転速度(たとえば80rpm)に達すると、この定常回転速度で定速回転を行わせるものとなっている。
【0045】
全ての回転リール40が定速回転するようになると、ストップスイッチ50の操作信号が有効なものとして取り扱われ、後述する停止制御手段92により停止制御が行われる。
(停止制御手段92)
停止制御手段92は、リールユニット60に設けられた回転リール40の回転を検知するためのインデックスセンサ(図示せず)の検知信号に基づき、現時点における回転リール40の回転角度を把握し、ストップスイッチ50が操作された時点での回転リール40の回転角度から、所定の有効ライン上に位置している図柄を特定することができるようになっている。そして、特定された図柄を基準として、この基準図柄から回転方向にあらかじめ定められた個数(最大スベリコマ数、たとえば4コマ)移動したときの図柄までの範囲で、対応する回転リール40を停止させるように形成されている。換言すれば、停止制御手段92は、ストップスイッチ50が操作された時点から対応する回転リール40が停止するまでに、この回転リール40が回転する回転量があらかじめ定められたコマ数の範囲内となるように、ステッピングモータの駆動停止を制御するものである。具体的には、前記基準図柄をその位置に停止させてもよい場合にはそのまま回転リール40を停止させ、その位置に停止させてはいけない場合には、回転リール40が停止するまでの時間を遅らせて、有効ライン上からその当選図柄を蹴飛ばして停止させる。また、最大スベリコマ数の範囲内に、当選図柄が含まれている場合には、回転リール40が停止するまでの時間を遅らせて、有効ライン上にその当選図柄を引き込んで停止させる。
【0046】
ここで、停止制御手段92は、複数の当選フラグが同時に成立している場合に、引き込み制御において、当選した複数の役のうちいずれの役を優先して引き込むかをあらかじめ設定している。たとえば、異種役が同時当選している場合の引き込み優先順位を、再遊技役>小役>ボーナスに設定している。具体的には、ボーナス役と小役が同時に当選している場合には小役の図柄を優先して引き込み、ボーナス役と再遊技役が同時に当選している場合には再遊技役の図柄を優先して引き込む。
上記した制御は、優先度に基づいて停止位置候補を特定するための優先度判定データと、基準図柄から図柄何コマ分回転させて回転リール40を停止させるかを役抽選の結果及び停止スイッチ50の操作タイミングに応じて各当選図柄ごとにテーブル上に規定した停止テーブルとに基づいて行われる。また、停止図柄の情報は所定の記憶部に記憶される。
【0047】
次に、押し順が設定された当選領域が当選した場合の引き込み制御について詳述する。
まず、「押し順ベル」のいずれか、すなわち
図5に示す「ベルA」〜「ベルL」のいずれかの当選領域が当選した場合の停止制御について説明する。
本実施の形態においては、「ベルA」〜「ベルD」の領域に共通して含まれるベル10の図柄組合せを構成する図柄、「ベルE」〜「ベルL」の領域に共通して含まれるベル9の図柄組合せを構成する図柄は、いずれも、全ての回転リール40において最大スベリコマ数の範囲内に配置されている(
図3、
図4参照)。つまり、ベル9、ベル10は、ストップスイッチ50の操作のタイミングにかかわらず入賞可能な設定となっている。一方、各「押し順ベル」に含まれる、ベル9、ベル10以外のベル役の図柄組合せを構成する図柄は、全ての回転リール40において最大スベリコマ数の範囲内に配置されているわけではない。つまり、ベル9、ベル10以外のベル役は、目押しをしないと入賞できない設定となっている。そして、停止制御手段92は、役抽選により、いずれかの「押し順ベル」が当選した場合には、ストップスイッチ50の操作態様に応じて、当該領域に含まれるいずれかのベル役に対応する図柄組合せ、又は他のいずれの役に対応付けられた図柄組合せにも該当しない特定のハズレの図柄組合せであるブランク図柄(ベルブランク)を有効ライン上に停止表示させるように停止制御を行う。
【0048】
具体的には、役抽選により「押し順ベル」が当選した場合に、当選した当選領域に対して割り当てられている正解の押し順で各ストップスイッチ50が操作された場合には、ストップスイッチ50の操作のタイミングにかかわらず、ベル9又はベル10の図柄組合せを構成する図柄を、他のベル役の図柄組合せを構成する図柄に優先して、有効ライン上に引き込んで、ベル9又はベル10を入賞させる。一方、その正解の押し順以外の押し順(不正解の押し順)で各ストップスイッチ50が操作された場合には、ベル9又はベル10以外のベル役の図柄組合せを構成する図柄を、ベル9又はベル10の図柄組合せを構成する図柄に優先して、有効ライン上に引き込む制御を行う。ストップスイッチ50の操作のタイミングが、ベル9又はベル10以外のいずれかのベル役に対応する図柄を有効ライン上に引き込み可能な場合には、その図柄を有効ライン上に引き込んで、そのベル役を入賞させることができる。しかし、それらのベル役に対応する図柄のうちのいずれも有効ライン上に引き込むことができない場合には、ベルブランクを有効ライン上に停止表示させ、この場合には入賞はしない。
【0049】
このように、「押し順ベル」が当選した場合には、当該当選領域に設定された正解の押し順でストップスイッチ50が操作された場合には、必ずベル9又はベル10が入賞し、正解の押し順でストップスイッチ50が操作されなかった場合には、他のベル役が入賞するか、あるいは何の役も入賞しないようになっている。すなわち、ベル9及びベル10が正解役であり、それ以外のベル役は不正解役として位置づけられている。
なお、本実施の形態では、正解役と不正解役の配当が同じ設定となっているが、不正解役は正解役よりも払い出しが少ない(不正解の押し順で操作すると払い出しの少ない不正解役が入賞する)ように設定してもよい。また、この場合には、不正解役についても、当選していれば必ず引き込める設定にしてもよい。また、同時当選している役の配当は同じだが、正解押し順だと複数役が重複して入賞し、不正解押し順だと単独の役しか入賞しないかいずれの役も入賞しないように形成してもよい。
【0050】
次に、「押し順リプレイ」のいずれか、すなわち、
図5に示す「リプレイA」〜「リプレイD」のいずれかの当選領域が当選した場合の停止制御について説明する。
ここで、「押し順リプレイ」に含まれる再遊技役のうち、リプレイ4〜13は、その入賞がメイン状態移行の契機となる移行契機役として位置付けられている。具体的には、リプレイ4は通常状態からRT1への移行契機役であり、リプレイ5〜11は通常状態からRT2への移行契機役となっている(
図4参照)。以下、RT1への移行契機役となっている再遊技役をRT1リプレイといい、RT2への移行契機役となっている再遊技役をRT2リプレイというものとする。
【0051】
本実施の形態では、「押し順リプレイ」の領域には、対応する図柄組合せを構成する図柄が、全ての回転リール40において最大スベリコマ数の範囲内となるよう配置されている再遊技役(リプレイ1、リプレイ9、リプレイ12、リプレイ13)が、少なくとも1つ必ず含まれている(
図3、
図4参照)。つまり、ストップスイッチ50の操作のタイミングにかかわらず、上記したいずれかの再遊技役が入賞可能な設定となっている。そして、停止制御手段92は、役抽選により上記した「押し順リプレイ」のいずれかが当選した場合には、ストップスイッチ50の操作態様に応じて、有効ライン上に停止表示させる再遊技役に対応する図柄組合せを異なるものとなるように停止制御を行う。
【0052】
具体的には、停止制御手段92は、「リプレイA」〜「リプレイD」の当選時に、正解の押し順で停止操作された場合には、RT2リプレイに対応する図柄組合せを有効ライン上に停止させる制御を行う。RT2リプレイのうちのリプレイ9は、ストップスイッチ50の操作タイミングにかかわらず入賞可能であるが、正解の押し順かつ特定のタイミングで停止操作すると、リプレイ5〜8、リプレイ10が入賞しうる。一方、不正解の押し順で停止操作された場合には、RT2リプレイ以外(具体的にはリプレイ1〜4)に対応する図柄組合せを有効ライン上に停止させる制御を行う。したがって、通常状態中において「リプレイA」〜「リプレイD」の当選時に正解の押し順でストップスイッチ50を操作すると、メイン状態がRT2へ移行し、不正解の押し順でストップスイッチ50を操作すると、メイン状態がRT1へ移行するか、もしくは移行しないことになる。
【0053】
(遊技結果判定手段110)
遊技結果判定手段110は、ストップスイッチ50の操作によって回転リール40が全て停止したときに、当該遊技の結果を判定するためのものである。
具体的には、停止制御手段92の記憶している停止図柄の情報に基づき、有効ライン上に揃った図柄の組合せが、所定の役を構成するものか否かを判断し、所定の役を構成する図柄組合せが有効ライン上に表示されたと判断した場合には、その判定結果情報を、ホッパー制御手段120及びメイン状態移行制御手段80に送信する。また、役に対応する図柄組合せではないが、メイン状態の移行契機となっている図柄組合せが表示されたと判断した場合には、その判定結果情報を、メイン状態移行制御手段80に送信する。判定結果情報を受信したホッパー制御手段120は、入賞メダルの払い出し処理を行い、メイン状態移行制御手段80は、ボーナス状態や所定のRT状態への移行処理、あるいは再遊技作動処理を行う。さらに、演出制御装置22へ所定の信号出力を行うことにより、画像表示部67やランプ68やスピーカ69により、入賞やボーナスゲームの開始際して所定の演出が行われるようにすることもできる。
【0054】
(ホッパー制御手段120)
ホッパー制御手段120は、遊技結果判定手段110の判定結果及び精算スイッチ17の操作に基づいて、ホッパーユニット65を作動させメダルを払い出させるものである。すなわち、遊技結果判定手段100が払い出し小役の入賞を判定した場合には、当該小役入賞に応じたメダルを払い出し、クレジットが1以上ある場合に精算スイッチ17が操作されたときには、クレジットとして貯留されているメダルを払い出すようになっている。
(メイン状態の移行)
ここで、上記したメイン状態移行制御手段80の制御に基づくメイン状態の移行について、
図6を参照しつつ説明する。本実施の形態では、上述したように、メイン状態として、通常状態、ボーナス内部中状態、ボーナス作動中状態を有しているとともに、RT1、RT2の、2つのRT状態を有している。
【0055】
本実施の形態におけるスロットマシン10は、初期状態(工場出荷時)のメイン状態は、通常状態となっている。すなわち、役抽選手段70は、役抽選に用いる役抽選テーブルとして通常テーブル(
図5参照)を取得している。そして、通常状態中に、既述したRT2リプレイ(リプレイ5〜11のうちのいずれか)が入賞した場合には、RT2へ移行する。すなわち移行条件判定手段がRT2への移行を決定し、状態フラグ設定手段がRT2フラグをセットする。RT2フラグがセットされると、役抽選手段70は役抽選に使用する役抽選テーブルとしてRT2テーブルを取得する。以下、メイン状態が移行する場合には、各状態に応じた同様の処理が行われる。また、RT2中において、既述したベルブランクが表示された場合には、通常状態へ移行する。
【0056】
通常状態中において、RT1リプレイ(リプレイ4)が入賞すると、RT1へ移行する。RT1中において、ベルブランクが表示された場合には通常状態へ移行する。
なお、通常状態中、RT状態中において、ボーナスが当選した場合にはボーナス内部中状態へ移行し、ボーナス内部中状態においてボーナス役が入賞した場合には、ボーナス作動中状態へ移行する。そして、払い出しメダル数が所定値を超えてボーナスゲームが終了することによりボーナス作動中状態が終了すると、RT1へ移行するようになっている。
ここで、RT2中においては、所定条件の下で、後述するAT制御手段210の制御に基づき、「押し順ベル」が当選した場合に正解の押し順を報知(ナビ)する表示操作報知(ベルナビ)が行われるようになっている。また、通常状態中においては、所定条件の下で、RT2リプレイを入賞させるための正解の押し順を報知する表示操作報知(移行ナビ)が行われるようになっているが、これについては後述する。
【0057】
(遅延演出制御手段130)
遅延演出制御手段130は、遊技の進行をさせないことによって遊技の進行を遅延させる遅延演出を制御するものである。遅延演出制御手段130は、後述する遅延演出状態が高確率状態である場合に、ボーナス役に当選したときに(特定の条件の成立)、遅延演出を実行する。なお、遅延演出を実行する契機としてはこれに限られるものではない。すなわち、これ以外の場合にも遅延演出を実行するようにしてもよい。たとえば、ボーナス役以外の役に当選した場合や、ボーナスゲームにおいて所定の役に当選した場合などに実行するようにしてもよい。高確率状態においてのみ遅延演出を実行可能と設定した場合には、高確率状態は、遅延演出を実行可能な実行可能状態、あるいは、遅延演出の実行を許可する実行許可状態と言うことができるとともに、通常状態は、遅延演出を実行不可能な実行不可能状態、あるいは、遅延演出の実行を許可しない実行不許可状態と言うことができる。また、役抽選の結果以外の実行条件(たとえば、所定の操作態様で停止操作されたことや、特定の図柄組合せの停止表示や、特定のメイン状態など)を付すようにしてもよい。
【0058】
遅延演出としては、スロットマシン10の動作が一旦停止したかのように遊技者に見せるフリーズ演出や、回転リール40を用いた演出である回転リール演出などとすることができる。
ここで、「フリーズ演出」としては、たとえば、スタートスイッチ30が操作されてから全ての回転リール40が所定の定常回転速度に達して定速回転するまでの時間や、全ての回転リール40が所定の定常回転速度に達してからストップスイッチ50が有効となるまでの時間や、メダルを払い出す場合に、遊技結果判定手段110による判定が行われてからメダルの払い出しを開始するまでの時間や、当該遊技が終了してから次回の遊技の開始に係るメダルの受け付け状態となるまでの時間を、通常の遊技の進行よりも遅らせることができる。たとえばスタートスイッチ30が操作されてから回転リール40の回転が開始するまでの時間を通常の遊技の進行よりも遅らせることにより、スタートスイッチ30の操作によってスロットマシン10の動作が一旦停止したかのように遊技者に見せることができる。具体的には、この場合には、スタートスイッチ30の操作(具体的にはスタートスイッチ30からの操作信号)を有効なものとして取り扱うとともに、これを契機に行うことが定められた遊技の進行に係る処理である回転リール40の回転を開始させる処理を留保することにより、遊技の進行を遅延させる。このように形成した場合には、フリーズ演出の終了後(フリーズ演出に係るフリーズ時間の経過後)、再度スタートスイッチ30を操作することなく、留保した回転リール40の回転を開始させる処理が行われ、回転リール40の回転が開始する。
【0059】
また、「フリーズ演出」としては、たとえば、操作スイッチ(スタートスイッチ30、ストップスイッチ50、ベットスイッチ16)の操作を無効なものとして取り扱い、当該操作を契機に行うことが定められた遊技の進行に係る処理を行わないようにすることにより、通常の遊技の進行よりも遅らせることができる。たとえば、ストップスイッチ50の操作を契機に、当該ストップスイッチ50からの操作信号を受け付けるものの、当該操作信号を無効なものとして取り扱い、これを契機に行うことが定められた遊技の進行に係る処理である回転リール40の回転を停止させる処理を行わないようにすることにより、遊技の進行を遅延させることができる。このように形成した場合には、フリーズ演出の終了後(フリーズ演出に係るフリーズ時間の経過後)、再度ストップスイッチ50を操作することにより、回転リール40の回転が停止する。
【0060】
また、「回転リール演出」としては、スタートスイッチ30が操作されてから全ての回転リール40が所定の定常回転速度に達して定速回転するまでの間において、回転リール40の回転方向や回転速度を変化させることにより、結果として通常の遊技の進行よりも遊技の進行を遅らせることができる。
遅延演出中は、操作スイッチの操作信号が有効なものとして取り扱われず、言い換えれば無効なものとして取り扱われ、当該操作スイッチの操作によって遊技が進行することはない。なお、遊技が進行することはないが、遅延演出中の操作スイッチの操作によって、遅延演出中の演出態様が変化するようにしてもよい。このように形成した場合には、遊技の進行という点からすれば、遅延演出中の操作スイッチの操作信号が有効なものとして取り扱われないという点に変わりはないが、当該操作信号によって遅延演出中の演出態様を変化させるという制御が行われる点からすると、有効なものとして取り扱っているということができる。
【0061】
遅延演出のデータは、メイン制御装置21のROMに予め記憶されている。遅延演出を実行する際には、遅延演出制御手段130は、このデータを取得し、当該データに基づいて、遅延演出を実行する。遅延演出をフリーズ演出とする場合には、たとえば、フリーズ演出に係る予め定められたフリーズ時間のデータを取得し、フリーズ演出の開始とともに図示しないタイマーにより時間の計測を開始し、フリーズ時間が経過したことにより、フリーズ演出を終了することができる。また、遅延演出を回転リール演出とする場合には、たとえば、回転リール演出に係る予め定められた動作のデータを取得し、この動作(具体的には、当該動作を回転リール40に行わせる処理)が完了したことにより、回転リール演出を終了することができる。
【0062】
また、遅延演出としては、一種類に限られるものではなく複数種類の演出を設けることができる。ここで、「複数種類」とは、フリーズ演出については、フリーズ時間が異なることを意味し、回転リール演出については、回転リール40の動作態様が異なることを意味する。複数種類の遅延演出を設けた場合には、たとえば、実行する遅延演出を抽選により決定(選択)することができる。また、たとえば、当選した役に応じて実行する遅延演出を決定することができる。当然のことではあるが、遅延演出として、フリーズ演出と回転リール演出とを設けるようにしてもよい。
なお、スタートスイッチ30の操作を契機に遅延演出を実行する場合には、遅延演出の終了後に、上述した回転制御手段91により回転リール40の制御が行われる。すなわち、遅延演出をフリーズ演出とする場合には、フリーズ演出の終了後、回転制御手段91は、全ての回転リール40の回転を開始し、回転速度が所定の定常回転速度に達すると、定速回転を行わせる。また、遅延演出を回転リール演出とする場合には、回転リール演出の終了後、回転制御手段91は、所定の定常回転速度となるように加速又は減速を行い、回転速度が所定の定常回転速度に達すると、定速回転を行わせる。この場合には、遅延演出の実行契機に係るスタートスイッチ30の操作は、有効なものとして取り扱われる。
【0063】
(遅延演出状態制御手段140)
遅延演出状態制御手段140は、遅延演出の実行に関する状態である遅延演出状態の設定を制御するものである。本実施の形態では、遅延演出状態として、通常状態と、高確率状態(特定状態)とが設けれらている。
高確率状態は、メイン制御装置21のRAMにおける所定の記憶領域に高確率状態フラグを設定されている状態である。通常状態は、高確率状態フラグが設定されていない状態であるが、通常状態フラグが設定されている状態としてもよい。なお、遅延演出状態としてはこれに限られるものではない。
【0064】
遅延演出状態制御手段140は、高確率状態設定条件の成立により、高確率状態フラグをセットして遅延演出状態を高確率状態に設定する。本実施の形態では、遅延演出状態制御手段140は、役抽選の結果がハズレ(特定の結果)となった場合に、後述する操作態様設定手段150により設定された押し順(操作態様)で各ストップスイッチ50が操作されたときに、遅延演出状態を高確率状態に設定する。操作態様設定手段150により設定された操作態様で操作されたか否かは、後述する操作態様設定情報によって判断することができる。
この高確率状態は、後述するゲーム数決定手段により決定されたゲーム数の経過、又は、ボーナス役の当選により終了する。高確率状態の終了は、高確率状態フラグをリセットすることにより行われる。高確率状態の終了により遅延演出状態は通常状態となる。
【0065】
遅延演出状態制御手段140は、高確率状態のゲーム数(遊技回数)をカウントする、図示しないゲーム数カウンタを備えている。後述するゲーム数設定手段160によりゲーム数が決定されると、当該ゲーム数がゲーム数カウンタにセットされ、高確率状態において遊技が1回行われる度に「1」ずつ減算される。そして、高確率状態においてゲーム数カウンタが「0」になったら、遅延演出状態制御手段140は高確率状態を終了する。
(操作態様設定手段150)
操作態様設定手段150は、ストップスイッチ50の操作態様を設定し得るものである。本実施の形態では、乱数抽選(以下、この抽選を「操作態様決定抽選」という。)により、上述した「中左右」、「中右左」、「右左中」及び「右中左」の4通りの押し順のうちから操作態様を選択する。本実施の形態では、役抽選の結果がハズレとなった場合に、操作態様決定抽選を行う。操作態様決定抽選では、各抽選対象の抽選確率が予め定められた操作態様決定抽選テーブルが用いられる。このテーブルは、メイン制御装置21のROMに予め用意されている。
【0066】
操作態様決定抽選テーブルには、ハズレの領域と、「中左右」の押し順の領域と、「中右左」の押し順の領域と、「右左中」の押し順の領域と、「右中左」の押し順の領域とが所定の範囲(所定の抽選確率で)設定されている。すなわち、操作態様決定抽選では、上記4通りのそれぞれの押し順及びハズレを対象に抽選を行う。操作態様決定抽選の結果がハズレとなった場合には、操作態様は設定されない。
図7に示すように、押し順の領域は、それぞれ、8/128の抽選確率に設定され、ハズレの領域は、96/128に設定されている。すなわち、操作態様決定抽選によりいずれかの押し順が選択される確率は、1/4(=32/128)に設定されている。
【0067】
操作態様決定抽選によりいずれかの操作態様が選択された場合には、その操作態様を示す情報(以下、「操作態様設定情報」という。)を、メイン制御装置21のRAMにおける所定の記憶領域において一時的に記憶する。これにより、操作態様が設定される。操作態様設定情報については、当該遊技(役抽選の結果がハズレとなった遊技)における3番目の停止操作より後の所定の契機により消去するようにしてもよいし、操作態様決定抽選によりいずれかの操作態様が選択される度にその操作態様を示す情報に更新するようにしてもよい。
なお、設定され得る操作態様については、押し順に限られるものではなく、操作のタイミングや、押し順と操作のタイミングとを組み合わせたものとしてもよい。操作のタイミングとしては、たとえば、左リール41において「赤7」の図柄を図柄表示窓13内に停止表示させることが可能なタイミングなどとすることができる。
【0068】
また、設定され得る押し順については、上記4つの押し順に限られるものではない。たとえば、上述した「左中右」、「左右中」の押し順を設定可能としてもよい。また、たとえば、上述した左第一停止、中第一停止、右第一停止を設定可能としてもよい。また、4通りの押し順のうちから操作態様を選択するのに限られるものではなく、2通りや5通りなどの複数通りの押し順のうちから操作態様を選択するようすることができる。
また、操作態様決定抽選の抽選確率は、上記したものに限られるものではなく、たとえば、出玉率(メダルの投入枚数に対する払い出し枚数の比率)を定めた設定値に応じて異なるようにしてもよい。たとえば、設定値として「1」〜「6」を定めた場合には、出玉率が最も高い設定値(「6」)や、奇数の設定値又は偶数の設定値程、特定の操作態様が選択され易いように設定することができる。
【0069】
また、操作態様決定抽選を行う抽選契機としては、ハズレ時に限られるものではなく、たとえば所定の役の当選時などとすることができる。
(ゲーム数設定手段(特定状態遊技回数設定手段)160)
ゲーム数設定手段160は、高確率状態(特定状態)のゲーム数(遊技回数)を設定するものである。本実施の形態では、乱数抽選(以下、この抽選を「ゲーム数抽選」という。)により、「10」、「20」及び「30」の3つのゲーム数のうちからゲーム数を決定(選択)する。ゲーム数抽選では、各抽選対象の抽選確率が予め定められたゲーム数抽選テーブルが用いられる。このテーブルは、メイン制御装置21のROMに予め用意されている。
【0070】
ゲーム数抽選テーブルには、「10」のゲーム数の領域と、「20」のゲーム数の領域と、「30」のゲーム数の領域とが所定の範囲(所定の抽選確率で)設定されている。
図8に示すように、「10」のゲーム数の領域は96/128の抽選確率に設定され、「20」のゲーム数の領域は24/128の抽選確率に設定され、「30」のゲーム数の領域は8/128の抽選確率に設定されている。
上述の如く、ゲーム数抽選により決定されたゲーム数は、上記したゲーム数カウンタにセットされる。これにより、高確率状態のゲーム数が設定される。
ゲーム数設定手段160は、役抽選の結果がハズレとなった遊技において、操作態様設定手段150により設定された操作態様でストップスイッチ50が操作された場合に、ゲーム数抽選を行う。操作態様設定手段150により設定された操作態様で操作されたか否かは、操作態様設定情報によって判断することができる。
【0071】
なお、ゲーム数については、上記した3つのものに限られるものではない。
また、ゲーム数抽選の抽選確率は、上記したものに限られるものではなく、たとえば、設定値に応じて異なるようにしてもよい。たとえば、設定値として「1」〜「6」を定めた場合には、出玉率が最も高い設定値(「6」)や、奇数の設定値又は偶数の設定値程、特定のゲーム数が選択され易いように設定することができる。
また、抽選によることなくゲーム数を決定するようにしてもよい。たとえば、ゲーム数を固定とすることができる。また、たとえば、各ゲーム数毎に選択条件を設定し、各選択条件とゲーム数との関係を1対1の対応関係に設定することもできる。
【0072】
(遊技制御情報送信手段170)
遊技制御情報送信手段170は、メイン制御装置21における制御に関する情報あるいは所定のコマンドを、サブ制御装置22へ送信するものである。たとえば、現時点のメイン状態、役抽選の結果、停止操作の態様、遊技結果、メダルの払い出しなど、遊技の進行に関する情報や、演出を開始させたり終了させたりするためのコマンドを、所定の契機で、サブ制御装置22へ送信する。
本実施の形態では、操作態様設定手段150により操作態様が設定された場合に、操作態様設定情報を送信する。なお、操作態様設定手段150による操作態様決定抽選により操作態様が設定されなかった場合にも、その旨を示す情報を送信するようにしてもよい。
【0073】
また、ゲーム数設定手段160により高確率状態のゲーム数が設定された場合に、設定されたゲーム数を示す情報であるゲーム数情報(特定状態遊技回数情報)を送信する。
また、遅延演出制御手段130により遅延演出が実行される場合に、所定の演出開始コマンドを送信する。
(サブ制御装置(演出制御装置)22)
サブ制御装置22は、主として遊技の演出を制御するものであって、具体的には画像表示部67やランプ68やスピーカ69などを制御して、役抽選の結果や、遊技の進行に応じて、遊技の演出の実行を制御するものである。そして、サブ制御装置22は、
図2に示すように、遊技制御情報受信手段180、サブ状態記憶手段185、サブ高確率状態移行決定手段190、サブ高確率状態ゲーム数設定手段200、AT制御手段210、報知実行手段220、遅延演出中演出実行手段230、演出表示制御手段240の各手段として機能する。
【0074】
(遊技制御情報受信手段180)
遊技制御情報受信手段180は、遊技制御情報送信手段170から送信されたメイン制御装置21における制御に関する情報あるいは所定のコマンドを受信するものである。
(サブ状態記憶手段(抽選状態制御手段)185)
サブ状態記憶手段185は、現在のサブ状態を記憶しておくためのものである。
サブ状態には、ATの実行が決定されている状態であるAT状態と、それ以外の状態である非AT状態があり、非AT状態には、ボーナス状態と、サブ通常状態(抽選状態)と、サブ高確率状態(抽選状態)とが設けられている。また、AT状態には、ART待機状態と、通常ART状態と、特定ART状態が設けられており、特定ART状態には、継続待機状態と、上乗せ高確率状態とが設けられている。ここで、AT(アシストタイム)とは、当選役に関する情報を遊技者に報知する補助演出を実行可能なATゲームが行われる遊技期間であり、ART(アシストリプレイタイム)とは、メイン状態がRT状態中にATが行われる遊技期間である。
【0075】
前記ボーナス状態は、メイン状態がボーナス作動中状態である場合のサブ状態である。ART待機状態は、ATの実行が決定されており、かつメイン状態が通常状態又はRT1である場合のサブ状態である。通常ART状態は、ATが実行される状態であり、メイン状態がRT2である場合のサブ状態である。継続待機状態及び上乗せ高確率状態は、ART状態であって通常ART状態の終了後に滞在する所定期間のサブ状態である。サブ高確率状態は、後述するAT抽選の抽選確率がサブ通常状態中よりも優遇されている状態のサブ状態である。サブ通常状態は、上記したいずれの状態にも該当しないサブ状態である。
そして、サブ状態記憶手段185は、各サブ状態の移行条件が成立した場合に、それぞれに対応するサブ状態フラグをセットし、現在のサブ状態とは異なるサブ状態の移行条件の成立又は現在のサブ状態の終了条件の成立により、セットしたサブ状態フラグをリセットする。なお、サブ通常状態については、サブ状態フラグをセットしないようにしてもよい。そして、サブ状態フラグの有無及び種類に応じて、AT制御手段210の制御に基づく報知内容が変化する。
【0076】
(サブ高確率状態移行決定手段(特定抽選状態設定決定手段)190)
サブ高確率状態移行決定手段190は、サブ高確率状態(特定抽選状態)への移行の有無を乱数抽選(以下、「サブ高確率状態移行抽選」とする。)により決定するものである。本実施の形態では、サブ通常状態中において、ボーナス役、スイカ役又はチェリー役などの特定役の当選時などに、ATの実行が決定されていないことを条件として、サブ高確率移行抽選を行う。サブ高確率状態移行抽選で当選した場合にはサブ高確率状態移行フラグをセットして抽選結果を記憶し、サブ高確率状態へ移行した場合にサブ高確率状態移行フラグをリセットする。
【0077】
サブ高確率状態移行抽選では、抽選確率が予め定められた、図示しない抽選テーブルが用いられる。このテーブルは、サブ制御装置22のROMに予め用意されている。なお、このテーブルとしては、抽選契機に対応した複数のテーブルを設けるようにしてもよい。また、抽選契機についてはこれに限られるものではない。
なお、所定のペナルティ条件に該当し、ペナルティが発生している場合には、サブ高確率状態移行抽選は行われない。ペナルティについては後述する。
(サブ高確率状態ゲーム数設定手段(特定抽選状態遊技回数設定手段)200)
サブ高確率状態ゲーム数設定手段200は、サブ高確率状態(特定抽選状態)のゲーム数を設定するものである。
【0078】
サブ制御装置22は、サブ高確率状態のゲーム数をカウントする、図示しないサブ高確率状態ゲーム数カウンタを備えている。本実施の形態では、役抽選の結果がハズレで、かつ、操作態様設定状態を受信した遊技(以下、「特定の遊技」とする。)において、特定状態遊技回数情報を受信した場合(操作態様設定手段150により設定された操作態様でストップスイッチ50が操作された場合)に、サブ高確率状態への移行が決定されている(サブ高確率状態移行フラグがセットされている)ことを条件として、受信したゲーム数情報に基づいて、ゲーム数設定手段160により設定された高確率状態のゲーム数を、サブ高確率状態ゲーム数カウンタにセットする。これにより、サブ高確率状態のゲーム数が設定される。一方、特定状態遊技回数情報を受信しなかった場合(操作態様設定手段150により設定された操作態様でストップスイッチ50が操作されなかった場合)には、サブ高確率状態への移行が決定されていることを条件として、サブ高確率状態の継続期間を最低限保証するものとして予め定められたゲーム数である最低保障ゲーム数(最低保障遊技回数)を、サブ高確率状態ゲーム数カウンタにセットする。本実施の形態では、最低保障ゲーム数として、10ゲームが設定されている。なお、サブ高確率状態への移行が決定されていない場合には、サブ高確率状態のゲーム数を設定しない。
【0079】
(サブ状態の移行)
ここで、サブ状態の移行の具体例を、
図9に基づき説明する。
上述したように、スロットマシン1は、初期状態(工場出荷時など)においては、メイン状態は通常状態であり、サブ状態もサブ通常状態となっている。そして、サブ通常状態中において、役抽選の結果がハズレで、かつ、操作態様設定情報を受信した場合に、サブ高確率状態への移行が決定されていることを条件として、すなわちサブ高確率状態移行フラグがセットされていると、サブ高確率状態へ移行する。サブ高確率状態は、サブ高確率状態ゲーム数設定手段200により設定されたゲーム数の経過により終了する。具体的には、高確率状態において遊技が1回行われる度に、サブ高確率状態ゲーム数カウンタが「1」ずつ減算される。そして、高確率状態においてゲーム数カウンタが「0」になったら、サブ高確率状態は終了する。この場合は、サブ通常状態へ移行する。なお、サブ高確率状態中においてボーナス役に当選したこと(特定の条件の成立)によりサブ通常状態へ移行するようにしてもよい。
【0080】
サブ高確率状態又はサブ通常状態中において、ボーナス役、スイカ役又はチェリー役などの特定役の当選時などの所定の契機時に行われる後述するAT抽選で当選すると、ART待機状態へ移行する。
ART待機状態中であってメイン状態が通常状態である場合には、RT2リプレイの当選時に移行ナビが行われる。ART待機状態中に所定のRT2リプレイが入賞すると、通常ART状態へ移行する。
また、サブ通常状態中であってメイン状態が通常状態である場合に、RT2リプレイが当選(「リプレイH」が当選)した場合には、通常ART状態へ移行する。なお、遊技の結果、RT2リプレイのうちの特定の再遊技役(特定の図柄組合せが対応付けられた目押しの必要な再遊技役、たとえばリプレイ8)が入賞した場合には、ART確定演出が行われる。
【0081】
通常ART状態中においては、たとえば40ゲームを1セットするセット数が、抽選により決定される1〜7セットの範囲内で保障されており、後述する上乗せ抽選で当選した場合にはさらに所定のゲーム数が上乗せされる。そして、設定されたセット数のATが終了すると、継続待機状態又は上乗せ高確率状態へ移行する。なお、このセット数のうちには、ゲーム数が上乗せされた場合にはそのゲーム数を含むものである。上乗せ高確率状態へは、次回ATの実行が決定されておりかつ上乗せ高確率状態への移行が決定されている場合に移行し、それらの条件に該当しない場合には継続待機状態へ移行する。
継続待機状態は、通常ART状態を継続するか否かの継続抽選が行われる所定ゲーム数の期間である。所定のゲーム数の間に継続抽選に当選した場合には通常ART状態へ移行し、ハズレの場合には所定のゲーム数の終了後にサブ通常状態へ移行する。継続待機状態中には、後述する演出表示制御手段240の制御に基づき、継続抽選の結果を示唆する所定の連続演出が行われるようになっている。
【0082】
上乗せ高確率状態は、ATゲーム数を上乗せするか否かの抽選が行われる所定ゲーム数の期間である。所定のゲーム数の間に上乗せ抽選に当選した場合には抽選結果に基づく所定回数のATが上乗せされて所定のゲーム数の終了後に通常ART状態へ移行し、ハズレの場合には所定のゲーム数の終了後に通常ART状態へ移行する。上乗せ高確率状態中には、上乗せ抽選の当選を報知する演出が行われるようになっている。
なお、特定ART状態である継続待機状態及び上乗せ高確率状態中においても、「押し順ベル」当選時にはベルナビが行われる。また、通常ART状態中又は上乗せ高確率状態中にベルブランクが表示された場合には、メイン状態が通常状態に転落するが、後述するATカウンタがゲーム数を有している限りAT状態は維持される。サブ状態がAT状態でメイン状態が通常状態である場合には、RT2リプレイの当選時に移行ナビが行われる。特定ART状態中にベルブランクが表示された場合には、メイン状態が通常状態に転落してART状態が終了する。
【0083】
(AT制御手段210)
AT制御手段210は、ATを制御するものであり、図示しないATカウンタとAT抽選手段とを備えている。AT制御手段210は、メイン制御装置21から送信される遊技制御情報やサブ状態フラグの種類などに基づき、ATの開始及び終了を制御する。
(ATカウンタ)
ATカウンタは、通常ART状態で行われるATのセット数及びゲーム数をカウントするものである。具体的には、後述するAT抽選で当選すると、ATのセット数を、当選に係る数だけ加算して記憶するとともに、1セット(40ゲーム)終了ごとに、記憶値を1だけ減算する。また、上乗せ抽選に当選すると、当選に係るゲーム数を加算する。ATカウンタがゲーム数を有している間は、通常ART状態が継続する。
【0084】
(AT抽選手段(特典付与手段))
AT抽選手段は、ATの実行の有無及びゲーム数を抽選により決定するためのものである。本実施の形態では、AT抽選手段は、サブ通常状態又はサブ高確率状態中において、遊技中の所定契機、たとえばボーナス当選時(特定の条件の成立)や、特定役の当選時などに、AT抽選(所定の抽選)を行う。AT抽選では、ARTのセット数を、たとえば1〜7セットの範囲で決定する。AT抽選で当選した場合にはAT実行フラグをセットして抽選結果を記憶し、ATが実行された場合にはAT実行フラグをリセットする。AT実行フラグは複数ストックすることができ、AT実行フラグを有している間は、ATの実行(特定の特典)が決定されている状態となる。
【0085】
AT抽選では、抽選契機ごとの抽選確率が予め定められたAT抽選テーブルが用いられる。このテーブルは、サブ制御装置22のROMに予め用意されている。AT抽選テーブルとしては、サブ通常状態中に用いられる通常AT抽選テーブルと、高確率状態中に用いられる高確率AT抽選テーブルとが設けられている。AT抽選を行う際には、現在のサブ状態に応じて、AT抽選テーブルが参照されてAT抽選が行われる。
各AT抽選テーブルには、
図10(A)及び(B)に示すように、ボーナス役の当選、スイカ役の当選、及び、チェリー役の当選のそれぞれの抽選契機ごとに抽選確率が設定されている。高確率AT抽選テーブルでは、同一の抽選契機における当選確率が通常AT抽選テーブルよりも高く設定されている。これにより、サブ高確率状態中は、サブ通常状態中よりもAT抽選で当選し易くなっている。また、高確率AT抽選テーブルでは、
図10(B)に示すように、ボーナス役当選時の当選確率が100%に設定されている。このため、本実施の形態では、サブ高確率状態中にボーナス役に当選すると、その後、ATが実行されるものとなっている。上述の如くこの際には、遅延演出状態が高確率状態であれば、遅延演出が実行される。なお、高確率AT抽選テーブルは、少なくともいずれか一の抽選契機における当選確率が通常AT抽選テーブルよりも高く設定されていればよいものである。また、AT抽選の抽選契機及び各AT抽選テーブルにおける抽選確率についてはこれに限られるものではない。
【0086】
また、AT抽選手段は、上記した継続待機状態中に継続抽選を行うとともに、上記した上乗せ高確率状態中にゲーム数の上乗せ抽選を行う。上乗せ抽選の抽選結果もストック可能である。さらに、遊技中の所定時に、上乗せ高確率状態への移行の有無を抽選により決定する。
なお、所定のペナルティ条件に該当し、ペナルティが発生している場合には、AT抽選や上乗せ抽選は行われない。ペナルティ条件は、たとえば、非AT状態又はART待機状態中に補助演出が実行されていない場合に、ストップスイッチ50を左第一停止以外の押し順で操作することなどとすることができる。ペナルティは図示しないペナルティカウンタにより管理され、ペナルティカウンタがペナルティゲーム数を有している場合にはペナルティ状態として扱われる。ペナルティカウンタはゲームごとにペナルティゲーム数を減算するが、メイン状態がRT2中はペナルティゲーム数の減算を行わない。
【0087】
(報知実行手段(報知演出実行手段)220)
報知実行手段220は、補助演出を実行させるものである。
本実施の形態における補助演出は、いわゆる押し順ナビである。押し順ナビは、画像表示部67に、停止操作すべきストップスイッチ50の位置を左、中、右などの文字で表示させたり、スピーカ69から音声により指示したり、ストップスイッチ50のボタンの内部に設けた発光体の発光色を変化させて、最初に操作すべきストップスイッチ50を示すことなどにより行われる。
報知実行手段220が実行可能な補助演出には、ベルナビと、移行ナビと、高確率状態移行ナビ(報知演出)とが設けられている。
【0088】
ベルナビは、「押し順ベル」が当選した場合に正解の押し順を報知するものである。前述したように、正解の押し順で停止操作された場合には、正解役であるベル役が必ず入賞し、不正解の押し順で停止操作された場合には、不正解役であるベル役が入賞するか、何の役も入賞しない。非入賞の場合には、ベルブランクが表示される。
移行ナビは、「押し順リプレイ」が当選した場合に、RT2リプレイを入賞させるための正解の押し順を報知するものである。正解の押し順で停止操作された場合には、RT2リプレイのいずれかが必ず入賞し、不正解の押し順で停止操作された場合には、RT2リプレイは入賞せず、RT1リプレイ又は移行契機役となっていない再遊技役(維持リプレイ、たとえばリプレイ1など)のいずれかが必ず入賞する。
【0089】
高確率状態移行ナビは、操作態様設定手段150により設定された押し順(操作態様)を報知する、言い換えれば遅延演出状態を高確率状態へ移行させるための押し順を報知するものである。報知実行手段220は、前記特定の遊技において、サブ高確率状態への移行が決定されている(サブ高確率状態移行フラグがセットされている)ことを条件として、受信した操作態様設定情報(役抽選の結果がハズレのときに操作態様設定手段150により決定された押し順)に基づいて、高確率状態移行ナビを実行する。前述したように、このナビに従って停止操作された場合には、遅延演出状態が高確率状態に設定される。
(遅延演出中演出実行手段(演出制御手段)230)
遅延演出中演出実行手段230は、遅延演出中演出を実行するものである。遅延演出中演出は、遅延演出中に実行されるものである。遅延演出中演出実行手段230は、所定の演出開始コマンドを受信した場合に、遅延演出中演出を実行する。このとき、遅延演出中演出実行手段230は、サブ状態がサブ通常状態である場合とサブ高確率状態である場合とで、異なる演出を実行する。言い換えれば、同一の演出は実行しないように形成されている。
【0090】
なお、遅延演出中演出として複数種類の演出を設け、実行する遅延演出中演出を、適宜選択するようにしてもよい。この場合には、サブ通常状態中とサブ高確率状態中とで、別の演出が選択されるようにすることができる。たとえば、サブ高確率状態中では、複数種類の遅延演出中演出のうちから実行する演出を乱数抽選により選択するが、サブ通常状態中では、それらとは異なる特定の遅延演出を固定の演出として実行するようにすることができる。同様に、サブ通常状態中では、複数種類の遅延演出中演出のうちから実行する演出を乱数抽選により選択するが、サブ高確率状態中では、それらとは異なる特定の遅延演出を固定の演出として実行するようにすることができる。
【0091】
(演出表示制御手段240)
演出表示制御手段240は、画像表示部67やランプ68やスピーカ69などの演出装置の作動を制御するものである。演出表示制御手段240は、AT制御手段210や報知実行手段220や遅延演出中演出実行手段230や、図示しない演出決定手段の決定に基づき、ROMに記憶されている演出データをもとに、所定のナビ表示や、遅延演出中演出に係る表示や、連続演出に係る表示などを行わせる。
本実施の形態では、サブ制御装置22におけるサブ状態がサブ高確率状態で、かつ、メイン制御装置21における遅延演出状態が高確率状態であるときに、ボーナス役に当選すると、ボーナスゲーム終了後のARTが確定する仕様となっており、ボーナス役当選時にメイン制御装置21の遅延演出制御手段140がフリーズ演出や回転リール演出などの遅延演出を実行するとともに、サブ制御装置22の遅延演出中演出実行手段230が上記遅延演出にあわせて画像表示部67やランプ68やスピーカ69などによる遅延演出中演出を実行することにより、遊技者にARTが確定した旨を報知するようになっている。
【0092】
ここで、メイン制御装置21からサブ制御装置22へのみ信号が送信されるようになっているため、サブ制御装置22のサブ高確率状態移行決定手段190がサブ高確率状態への移行を決定してもメイン制御装置21側ではそのことを把握できない。そこで、本実施の形態では、サブ制御装置22の報知実行手段220が高確率状態移行ナビを実行することによって、メイン制御装置21の操作態様設定手段150により決定された押し順を遊技者に報知し、このナビに従った遊技者による停止操作を介して、メイン制御装置21における遅延演出状態を高確率状態にするようにしている。このナビの実行契機として、本実施の形態では発生頻度(発生確率)が一番高いハズレとしているため、サブ高確率状態への移行が決定されてから、速やかに、メイン制御装置21における遅延演出状態を高確率状態にすることができるとともに、サブ制御装置22におけるサブ状態もサブ高確率状態にすることができる。
【0093】
なお、このナビの実行契機としては、本実施の形態ではハズレであるが、要は、役抽選テーブル中において最大の領域を占めている部分に対応していれば良く、たとえばベルやリプレイなどが最大の領域を占めている場合には、上記したハズレに代えて、上記ベルやリプレイなどとしても同様の作用効果を得る。この場合のベルやリプレイにおいては、押し順による取りこぼしで遊技者に不利益を与えないように、必ず入賞するように設定することが望ましい。また、上記実行契機としては、役抽選テーブル中の最大領域のものに限られるものではなく、相対的に当選確率の低い当選役であってもよい。この場合においては、たとえば、サブ高確率状態への移行を決定したら当該遊技においてサブ状態をサブ高確率状態へ移行させるとともに、その旨を遊技者に報知する。そして、サブ高確率状態が終了する前に、上記相対的に当選確率に低い当選役を当選させて、メイン制御装置21における遅延演出状態が高確率状態で、かつ、サブ制御装置22におけるサブ状態がサブ高確率状態である状態の遊技をいかに速やかに発生させるかというゲーム性を持たせることも可能である。なお、この場合におけるサブ高確率状態の継続期間については、開始時にゲーム数を決定するものに限られず、サブ高確率状態中の終了抽選により終了するようにすることができる。
【0094】
(スロットマシン10の作動)
以下、
図11〜
図17に示すフローチャートに基づいて、本実施の形態に係るスロットマシン10の動作の概略を説明する。まず、スロットマシン10のメイン制御装置21における処理であるメイン制御処理について説明する。
図11に示すステップ100において、スタートスイッチ33が操作されたか否かが判断される。ここで、操作されたと判断されるとステップ101に進む。一方、操作されていないと判断されると、再度ステップ100となる。
ステップ101において、役抽選手段70により、役抽選が行われるとともに、遊技制御情報送信手段170により、役抽選の結果を示す情報がサブ制御装置22へ送信される。そして、次のステップ102に進む。
【0095】
ステップ102において、高確率状態フラグがセットされているか否かが判断される。ここで、セットされていると判断されると、ステップ103に進む。一方、セットされていないと判断されると、ステップ104に進む。
ステップ103において、ゲーム数カウンタが「1」減算され、高確率状態中のゲーム数がカウントされる。そして、次のステップ104に進む。
ステップ104において、操作態様設定手段150により、操作態様を設定し得る操作態様設定処理が行われる。そして、次のステップ105に進む。
ステップ105において、遅延演出制御手段130により、遅延演出を実行し得る遅延演出処理が行われる。そして、次のステップ106に進む。
【0096】
ステップ106において、ストップスイッチ50が操作されたか否かが判断される。ここで、操作されたと判断されると、ステップ107に進む。一方、操作されていないと判断されると、再度ステップ106となる。
ステップ107において、停止制御手段92により、操作されたストップスイッチ50に対応する回転リール40の停止制御が行われる。そして、次のステップ108に進む。
ステップ108において、すべての回転リール45の回転が停止したか否かが判断される。ここで、すべての回転リール40の回転が停止したと判断されると、ステップ109に進む。一方、すべての回転リール45の回転が停止していないと判断されると、ステップ106に戻る。
【0097】
ステップ109において、遊技結果判定手段110により、遊技結果判定処理が行われる。そして、次のステップ110に進む。
ステップ110において、遊技結果に応じた処理が行われる。すなわち、所定の役に対応する図柄が有効ライン上に表示された場合には、入賞メダルの払い出しや、再遊技作動又はボーナスゲームへの移行処理などが行われる。そして、次のステップ111に進む。
ステップ111において、遅延演出状態の移行に関する処理である遅延演出状態処理が行われる。そして、当該メイン制御処理が終了する。
つぎに、上述したステップ104の操作態様設定処理について説明する。
【0098】
図12に示すステップ200において、役抽選の結果がハズレとなったか否かが判断される。ここで、ハズレとなったと判断されると、ステップ201に進む。一方、ハズレでないと判断されると、当該操作態様設定処理が終了する。
ステップ201において、操作態様設定手段150により、操作態様決定抽選が行われる。そして、次のステップ202に進む。
ステップ202において、操作態様決定抽選の結果がハズレとなったか否かが判断される。ここで、ハズレでないと判断されると、ステップ203に進む。一方、ハズレとなったと判断されると、当該操作態様設定処理が終了する。すなわち、この場合には、操作態様は設定されない。
【0099】
ステップ203において、操作態様設定手段150により、操作態様決定抽選により選択された操作態様を示す操作態様設定情報が、メイン制御装置21のRAMにおける所定の記憶領域において一時的に記憶され、操作態様が設定される。そして、次のステップ204に進む。
ステップ204において、遊技制御情報送信手段170により、操作態様設定情報がサブ制御装置22へ送信される。そして、当該操作態様設定処理が終了する。
つぎに、上述したステップ105の遅延演出処理について説明する。
図13に示すステップ300において、ボーナス役に当選したか否かが判断される。ここで、当選したと判断されると、ステップ301に進む。一方、当選していないと判断されると、当該遅延演出処理が終了する。すなわち、ボーナス役に当選しなかった場合には、遅延演出は実行されない。
【0100】
ステップ301において、遅延演出状態が高確率状態であるか否かが判断される。ここで、高確率状態であると判断されると、ステップ302に進む。一方、高確率状態でないと判断されると、当該遅延演出処理が終了する。すなわち、ボーナス役に当選した場合であっても遅延演出状態が高確率状態でない場合には、遅延演出は実行されない。
ステップ302において、遅延演出のデータが取得される。そして、次のステップ303に進む。
ステップ303において、遅延演出制御手段130により、遅延演出が実行される。そして、当該遅延演出処理が終了する。
【0101】
すなわち、サブ制御装置22におけるサブ状態がサブ高確率状態で、かつ、メイン制御装置21における遅延演出状態が高確率状態である場合には、ボーナス役当選時にメイン制御装置21の遅延演出制御手段140がフリーズ演出や回転リール演出などの遅延演出を実行するとともに、サブ制御装置22の遅延演出中演出実行手段230が上記遅延演出にあわせて画像表示部67やランプ68やスピーカ69などによる遅延演出中演出を実行することにより、遊技者にARTが確定した旨を報知するようになっている。
一方、サブ制御装置22におけるサブ状態がサブ通常状態で、かつ、メイン制御装置21における遅延演出状態が高確率状態である場合、言い換えれば、ハズレ時に操作態様設定情報を受信してもサブ高確率状態への移行を決定していなければ、サブ制御装置22は高確率状態移行ナビを実行しないが、このときに、遊技者の操作ミスにより、たまたま(偶然)、操作態様設定手段150により設定された押し順で停止操作されることによって、メイン制御装置21における遅延演出状態のみが高確率状態となった場合においては、ボーナス役に当選してもARTは確定しないが、遅延演出状態が高確率状態であるため、遅延演出が発生してしまう。この場合では、ARTが確定した旨の上記遅延演出中演出を行うことはできないため、たとえば単にボーナス役が当選して旨のみを報知するといった特定の遅延演出中演出(ARTが確定した旨の上記遅延演出中演出とは異なる演出)を、メイン制御装置21による遅延演出にあわせて実行するようにする。
【0102】
つぎに、上述したステップ111の遅延演出状態処理について説明する。
図14に示すステップ400において、操作態様設定情報に基づいて、当該遊技で操作された操作態様が、設定された操作態様であるか否かが判断される。ここで、設定された操作態様であると判断されると、ステップ401に進む。一方、設定された操作態様でないと判断されると、ステップ405に進む。
ステップ401において、遅延演出状態制御手段140により、高確率状態フラグがセットされる。これにより、遅延演出状態が高確率状態となる。そして、次のステップ402に進む。
【0103】
ステップ402において、ゲーム数設定手段160により、ゲーム数抽選が行われる。そして、次のステップ403に進む。
ステップ403において、ゲーム数設定手段160により、ゲーム数抽選により選択されたゲーム数がゲーム数カウンタにセットされ、高確率状態のゲーム数が設定される。
ステップ404において、遊技制御情報送信手段170により、ゲーム数情報がサブ制御装置22へ送信される。そして、当該遅延状態処理が終了する。
ステップ405において、高確率状態フラグがセットされているか否か、すなわち高確率状態中であるか否かが判断される。ここで、高確率状態中であると判断されると、ステップ406に進む。一方、高確率状態中でないと判断されると、当該遅延状態処理が終了する。
【0104】
ステップ406において、ゲーム数カウンタが「0」となったか否か、すなわち設定された高確率状態のゲーム数が経過したか否かが判断される。ここで、経過したと判断されると、ステップ407に進む。一方、経過していないと判断されると、当該遅延状態処理が終了する。
つぎに、スロットマシン10のサブ制御装置22における処理であるサブ制御処理について説明する。
図15に示すステップ500において、サブ通常状態中の処理が行われる。そして、次のステップ501に進む。
【0105】
ステップ501において、サブ高確率状態中の処理が行われる。そして、次のステップ502に進む。
ステップ502において、AT状態中の処理が行われる。この処理では、ATの開始及び終了処理や、ATのゲーム数の管理や、ART待機状態、通常ART状態、継続待機状態及び上乗せ高確率状態の間でのサブ状態の移行処理や、上乗せ抽選などの各種抽選処理や、ベルナビ及び移行ナビなどを含む各種演出の演出処理などが行われる。そして、次のステップ503に進む。
ステップ503において、ボーナス状態中の処理が行われる。この処理では、ボーナスゲーム中の演出処理などが行われる。そして、当該サブ制御処理が終了する。
【0106】
つぎに、上述したステップ500のサブ通常状態中の処理について説明する。
図16に示すステップ600において、受信した遊技制御情報に基づいて、ボーナス役、スイカ役又はチェリー役などの特定役に当選したか否かが判断される。ここで、当選したと判断されると、ステップ601に進む。一方、当選していないと判断されると、ステップ608に進む。
ステップ601において、AT抽選手段により、通常AT抽選テーブルが参照されてAT抽選が行われる。そして、次のステップ602に進む。
ステップ602において、AT抽選で当選したか否かが判断される。ここで、当選したと判断されると、ステップ603に進む。一方、当選していないと判断されると、ステップ605に進む。
【0107】
ステップ603において、AT実行フラグがセットされる。そして、次のステップ604に進む。
ステップ604において、サブ状態がART待機状態へ移行する。そして、当該サブ通常状態中の処理が終了する。
ステップ605において、サブ高確率状態移行決定手段190により、サブ高確率状態移行抽選が行われる。そして、次のステップ606に進む。
ステップ606において、サブ高確率状態移行抽選で当選したか否かが判断される。ここで、当選したと判断されると、ステップ607に進む。一方、当選していないと判断されると、当該サブ通常状態中の処理が終了する。
【0108】
ステップ607において、サブ高確率状態移行決定手段190により、サブ高確率状態移行フラグがセットされる。そして、当該サブ通常状態中の処理が終了する。
ステップ608において、受信した遊技制御情報に基づいて、役抽選の結果がハズレとなったか否かが判断される。ここで、ハズレとなったと判断されると、ステップ609に進む。一方、ハズレでないと判断されると、当該サブ通常状態中の処理が終了する。
ステップ609において、当該遊技において、操作態様設定情報を受信したか否かが判断される。ここで、受信したと判断されると、ステップ610に進む。一方、受信していないと判断されると、当該サブ通常状態中の処理が終了する。
【0109】
ステップ610において、サブ高確率状態移行フラグがセットされているか否かが判断される。ここで、セットされていると判断されると、ステップ611に進む。一方、セットされていないと判断されると、当該サブ通常状態中の処理が終了する。
ステップ611において、報知実行手段220により、高確率状態移行ナビが実行される。そして、次のステップ612に進む。
ステップ612において、サブ状態がサブ高確率状態へ移行する。そして、次のステップ613に進む。
ステップ613において、ゲーム数情報を受信したか否かが判断される。ここで、受信したと判断されると、ステップ614に進む。一方、受信していないと判断されると、ステップ615に進む。
【0110】
ステップ614において、サブ高確率状態ゲーム数設定手段200により、受信したゲーム数情報に基づいて、高確率状態のゲーム数がサブ高確率状態ゲーム数カウンタにセットされ、サブ高確率状態のゲーム数が設定される。そして、当該サブ通常状態中の処理が終了する。
ステップ615において、サブ高確率状態ゲーム数設定手段200により、最低保証ゲーム数がサブ高確率状態ゲーム数カウンタにセットされ、サブ高確率状態のゲーム数が設定される。そして、当該サブ通常状態中の処理が終了する。
なお、本実施の形態では、ステップ613において、ゲーム数情報を受信したか否かを判断するものであるが、受信した操作態様設定情報と当該遊技の操作態様を示す情報とに基づいて、設定された操作態様で停止操作されたか否かを判断するようにしてもよい。設定された操作態様で停止操作された場合には、受信したゲーム数情報に基づいて、高確率状態のゲーム数をサブ高確率状態ゲーム数カウンタにセットし(ステップ614)、設定された操作態様で停止操作されなかった場合には、最低保証ゲーム数をサブ高確率状態ゲーム数カウンタにセットするようにすることができる(ステップ615)。
【0111】
つぎに、上述したステップ501のサブ高確率状態中の処理について説明する。
図17に示すステップ700において、サブ高確率状態ゲーム数カウンタが「1」減算され、サブ高確率状態中のゲーム数がカウントされる。そして、次のステップ701に進む。
ステップ701において、受信した遊技制御情報に基づいて、ボーナス役、スイカ役又はチェリー役などの特定役に当選したか否かが判断される。ここで、当選したと判断されると、ステップ702に進む。一方、当選していないと判断されると、ステップ706に進む。
【0112】
ステップ702において、AT抽選手段により、高確率AT抽選テーブルが参照されてAT抽選が行われる。そして、次のステップ703に進む。
ステップ703において、AT抽選で当選したか否かが判断される。ここで、当選したと判断されると、ステップ704に進む。一方、当選していないと判断されると、ステップ706に進む。
ステップ704において、AT実行フラグがセットされる。そして、次のステップ705に進む。
ステップ705において、サブ状態がART待機状態へ移行する。そして、当該サブ高確率状態中の処理が終了する。
【0113】
ステップ706において、サブ高確率状態ゲーム数カウンタが「0」となったか否か、すなわち設定されたサブ高確率状態のゲーム数が経過したか否かが判断される。ここで、経過したと判断されると、ステップ307に進む。一方、経過していないと判断されると、当該サブ高確率状態中の処理が終了する。
(作用・効果)
以上説明したように、本実施の形態では、操作態様が設定されると、操作態様設定情報がサブ制御装置22へ送信される。この情報を受信すると、AT抽選の抽選確率が優遇されているサブ高確率状態への移行が決定されていることを条件として、高確率状態移行ナビが実行されるとともに、サブ状態が高確率状態へ移行する。高確率状態移行ナビに従って停止操作されると、遅延演出状態も高確率状態へ移行する(設定される)。これにより、メイン制御装置21における高確率状態とサブ制御装置22におけるサブ高確率状態との開始を同期させることができるとともに、サブ制御装置22側のナビにより、高確率状態への移行を間接的に制御することができる。
【0114】
また、本実施の形態では、サブ高確率状態においてボーナス役に当選すると、ボーナスゲーム後におけるAT(ひいてはART)の実行が確定する。このとき、遅延演出状態が高確率状態であれば、遅延演出が実行される。これにより、ボーナスゲームとAT(ART)との確定を遅延演出によって遊技者に報知することができ、遊技の興趣を向上させることができる。
また、本実施の形態では、高確率状態移行ナビに従って停止操作されると、高確率状態のゲーム数が決定され、ゲーム数情報がサブ制御装置22へ送信される。この情報を受信すると、高確率状態のゲーム数をサブ高確率状態のゲーム数として設定する。これにより、メイン制御装置21における高確率状態とサブ制御装置22におけるサブ高確率状態との開始に加えて終了をも同期させることができる。一方、高確率状態移行ナビに従わずに停止操作されると、遅延演出状態が高確率状態へ移行しないとともに高確率状態のゲーム数は決定されずゲーム数情報も送信されない。この場合には、サブ高確率状態のゲーム数を最低保障ゲーム数に設定する。これにより、サブ状態がサブ高確率状態である遊技を一定期間保障しつつ、遅延演出状態が通常状態でサブ状態がサブ高確率状態である、設計者が意図していない状態の遊技を短い期間とすることができ、遊技性が損なわれることをできるだけ防止することができる。
【0115】
また、高確率状態移行ナビが実行されなかった遊技において、設定された操作態様で停止操作されると、遅延演出状態が高確率状態へ移行するとともにゲーム数情報が送信されるが、サブ高確率状態への移行が決定されていないので、サブ状態はサブ高確率状態へ移行しない。そして、この状態(遅延演出状態が高確率状態で、かつ、サブ状態がサブ高確率状態以外の状態)の遊技において、ボーナス役に当選した場合には、遅延演出状態は高確率状態であるので、遅延演出が実行される。この場合には、サブ状態がサブ高確率状態である場合に遅延演出が実行される場合とは異なる遅延演出中演出を演出装置に実行させる。これにより、ボーナスゲームとATとが確定する場合とそうでない場合とで、遅延演出と遅延演出中演出との組み合わせにより構成される演出全体を別のものに見せることができる。このため、遅延演出状態が高確率状態でサブ状態がサブ通常状態である、設計者が意図していない状態の遊技において、ボーナス役の当選により遅延演出が実行される場合であっても、ボーナスゲームとAT(ART)とが確定したと遊技者に誤解させないようにすることができ、遊技性が損なわれることをできるだけ防止することができる。
【0116】
また、本実施の形態に係る操作態様決定抽選では、ハズレが設けられている。具体的には、役抽選の結果がハズレとなった場合に、いずれかの操作態様が設定される確率は、1/4に設定されている。これにより、高確率状態移行ナビが実行されなかった遊技において、設定された操作態様で停止操作されることにより、遅延演出状態が高確率状態でサブ状態がサブ通常状態である、設計者が意図していない状態の遊技へ移行する確率を低下させることができる。
なお、本実施の形態では、ゲーム数設定手段160は、役抽選の結果がハズレとなった遊技において、操作態様設定手段150により設定された操作態様で停止操作された場合に、高確率状態のゲーム数を設定するものであるが、これに限られるものではない。たとえば、操作態様設定手段150により操作態様が設定されたことを契機として、高確率状態のゲーム数を設定するようにしてもよい。
【0117】
また、本実施の形態では、役抽選の結果がハズレで、かつ、操作態様設定情報を受信した場合に、サブ高確率状態への移行が決定されていることを条件として、サブ高確率状態へ移行するものであるが、これに限られるものではない。たとえば、役抽選の結果がハズレで、かつ、操作態様設定情報を受信した場合に、設定された操作態様で停止操作されたときに、サブ高確率状態への移行が決定されていることを条件として、サブ高確率状態へ移行するようにしてもよい。すなわち、サブ高確率状態への移行が決定されている状態で、設定された操作態様で停止操作されなかった場合には、サブ高確率状態への移行を保留する。このようにすると、メイン制御装置21における高確率状態とサブ制御装置22におけるサブ高確率状態との開始を常に同期させることができる。
【0118】
また、本実施の形態では、サブ高確率状態への移行が決定されてからサブ高確率状態へ移行するまでの間、サブ高確率状態へ移行する旨を遊技者に報知するようにすることができる。たとえば、「準備中」などと表示させることができる。
また、本実施の形態では、RT2中では、操作態様を設定せず、遅延演出状態を高確率状態に設定しないようにしてもよい。
(変形例)
本変形例では、ゲーム数設定手段160、サブ高確率状態移行決定手段190、サブ高確率状態ゲーム数設定手段200、AT制御手段210、報知実行手段220、遅延演出中演出実行手段230、演出表示制御手段240を備えていない。
【0119】
すなわち本変形例では、役抽選の結果がハズレとなった遊技において、設定された操作態様で停止操作されると、遅延演出状態が高確率状態へ移行する。そして、高確率状態においてボーナス役に当選すると、遅延演出を実行する。すなわち、遅延演出の発生によりボーナス役の当選が確定する。これにより、遊技者による操作態様によって高確率状態へ移行するか否かが決まる、言い換えれば押し順(操作態様)を正解することで自らの力で高確率状態へ移行させることができるという新たな遊技性を提供することができ、高確率状態へ自らの力で移行させることができたという達成感や高揚感を遊技者に持たせることができ易く、遊技の興趣を向上させることができる。
【0120】
(他の実施の形態)
上述した実施の形態では、役抽選の「特定の結果」はハズレであるが、これに限られるものではない。たとえば、ストップスイッチ50の操作態様に関わらず入賞するように図柄の配列及び停止制御が設定されている特定の小役や再遊技役の当選としてもよい。また、たとえば、払い出し枚数が同数に設定されている複数の小役の重複当選であって、ストップスイッチ50の操作態様に関わらず重複当選したいずれかの小役が入賞するように図柄の配列及び停止制御が設定されている特定の重複当選や、複数の再遊技役の重複当選であって、ストップスイッチ50の操作態様に関わらず重複当選したいずれかの再遊技役が入賞するように図柄の配列及び停止制御が設定されている特定の重複当選としてもよい。このような特定の重複当選としては、押し順が設定されていない「ベルM」の当選や、「リプレイE」〜「リプレイI」の当選が、本実施の形態では挙げられる。すなわち、本実施の形態では、役抽選の結果が「ベルM」の当選、「リプレイH」若しくは「リプレイI」の当選、又はハズレとなった場合に、操作態様を設定し、高確率状態移行ナビを実行し、遅延演出状態を高確率状態へ移行させるとともに、サブ状態をサブ高確率状態へ移行させるようにすることができる。なお、「リプレイE」〜「リプレイG」は、通常状態又はRT1では当選しないものとなっている。このようにすると、サブ高確率状態への移行が決定されてからサブ高確率状態移行ナビを実行するまでの期間をより短くすることが可能となり、間延びした印象を遊技者にできるだけ与えないようにすることができ、何時になったら移行するのかといった不快感やストレスなどを遊技者にできるだけ与えないようにすることができる。
【0121】
また、上述した実施の形態に係る操作態様決定抽選では、ハズレを設けなくてもよい。このようにした場合には、いずれかの操作態様が必ず設定されることとなる。このようにすると、サブ高確率状態への移行が決定されてからサブ高確率状態移行ナビを実行するまでの期間をより短くすることが可能となる。
また、本発明は、スロットマシン以外の遊技機、たとえば遊技媒体として遊技球を用いて、スロットマシンと同様の遊技を行わせるパロット遊技機にも応用できるものである。