【文献】
ドナルド・スターリング,光ファイバーネットワーク構築入門,日本,株式会社リックテレコム,1999年11月30日,第1版第1刷,pp. 70 - 72
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
よって、本発明は、斯かる事情に鑑み、構造の簡素化が図れる導光体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る導光体は、長尺な平板状に形成される複数の導光板を備え、前記各導光板は、幅方向の端面から入射される光を長手方向の端部に向けて反射させる反射部を備え、前記複数の導光板は、厚み方向で重なるように配置される。
【0007】
本発明に係る導光体によれば、長尺な平板状に形成される複数の導光板は、厚み方向で重なるように配置されている。これにより、構造の簡素化が図れている。また、各導光板に設けられる反射部は、導光板の幅方向の端面から導光板に入射される光を、導光板の長手方向の端部に向けて反射させている。これにより、導光板の幅方向の端面から導光板に入射された光は、導光板の長手方向の端部から出射される。
【0008】
また、本発明に係る導光体においては、前記複数の反射部は、前記導光板の長手方向において互いに離間するように、配置される、という構成でもよい。
【0009】
斯かる構成によれば、複数の反射部が、導光板の長手方向において互いに離間している。これにより、例えば、レーザ光を出射する複数のレーザ発光部を、導光板の長手方向において互いに離間するように配置できるため、導光板の厚み方向において、装置を小型化することができる。
【0010】
また、本発明に係る導光体においては、前記反射部は、前記導光板の長手方向の端部に配置される端面であり、前記端面は、前記導光板の側部から入射される光が臨界角よりも大きい入射角で該端面に入射するように配置される、という構成でもよい。
【0011】
斯かる構成によれば、導光板の側部から入射される光は、導光板の長手方向の端部に配置される端面に、臨界角よりも大きい入射角で入射するため、端面に入射された光は、臨界反射する。これにより、端面が反射部として機能する。したがって、例えば、導光板の端部を切断及び研磨することにより、反射部として機能する端面を形成することができるため、反射部の構成を簡素化することができる。
【0012】
また、本発明に係るレーザ光源装置は、レーザ光を出射する複数のレーザ発光部と、前記レーザ発光部から出射されるレーザ光が入射される第1の光学系と、前記第1の光学系から出射されるレーザ光が入射される前記の導光体と、前記導光体から出射されるレーザ光が入射させる第2の光学系と、を備える。
【発明の効果】
【0013】
以上の如く、本発明は、構造の簡素化が図れるという優れた効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る導光体及びレーザ光源装置における一実施形態について、
図1〜
図5を参酌して説明する。なお、各図において、図面の寸法比と実際の寸法比とは、必ずしも一致していない。
【0016】
図1に示すように、本実施形態に係るレーザ光源装置1は、レーザ光を出射する光源部2と、光源部2から出射されるレーザ光が入射される第1の光学系(「入射側の光学系」ともいう)3と、第1の光学系3から出射されるレーザ光が入射される長尺な導光体4とを備えている。また、レーザ光源装置1は、導光体4から出射されるレーザ光が入射される第2の光学系(「出射側の光学系」ともいう)5と、第2の光学系5から出射されるレーザ光が入射されるファイバ6とを備えている。
【0017】
光源部2は、レーザ光を出射する複数のレーザ発光部21を備えている。本実施形態においては、光源部2は、複数の半導体レーザを備えており、各半導体レーザは、一つのレーザ発光部21を備えている。例えば、各半導体レーザは、外径が9mmのCAN型の青色半導体レーザ(LD)であり、発光サイズは、(X方向)15μm×(Z方向)1μmである。複数のレーザ発光部21は、導光体4の側方側に配置され、そして、導光体4の長手方向Xに沿って並列されている。
【0018】
図1及び
図2に示すように、第1の光学系3は、各レーザ発光部21から出射された光を平行な光にする複数の平行光レンズ31と、平行光レンズ31から出射された光を、導光体4の厚み方向Zで集中する複数の集光レンズ32とを備えている。なお、第1の光学系3は、一つのレーザ発光部21に対して、平行光レンズ31と集光レンズ32とをそれぞれ一つずつ配置されている。本実施形態においては、平行光レンズ31は、光軸対象のレンズであり、集光レンズ32は、シリンドリカル状のレンズである。
【0019】
図1、
図3及び
図4に示すように、導光体4は、長尺な平板状に形成される反射材からなる基板41と、長尺な平板状に形成され、基板41の一方側の面に厚み方向Zで重なるようにして配置される複数の導光板42とを備えている。また、導光体4は、所定の導光板42に入射された光が隣接する導光板42に向けて透過することを防止する透過防止部43と、導光板42,42の間に配置され、導光板42,42同士を接着する接着部44とを備えている。
【0020】
導光板42は、幅方向(短手方向)Yの一方側の端面から入射される光を長手方向Xの他端部に向けて反射させる反射部42aを、長手方向Xの一端部に備えている。また、複数の導光板42は、幅方向Yの寸法が全て同じとなるように、形成されている一方、基板41から離れるに従って、長手方向Xの寸法が短くなるように、形成されている。
【0021】
そして、複数の導光板42は、幅方向Yの各端面が略面一となるように、配置されていると共に、長手方向Xの他端面が略面一となるように、配置されている。これにより、各導光板42は、基板41側(下方側)で隣接する導光板42に対して、全体が厚み方向Zで重なるように配置されている。
【0022】
なお、導光板42は、一つのレーザ発光部21に対して、一つ配置されている。本実施形態においては、導光板42は、ガラスで形成されている。具体的には、導光板42は、幅寸法が5mmであり、厚み寸法が5μmであり、屈折率が1.52であるフロートガラスリボンからなる。
【0023】
反射部42aは、導光板42の長手方向Xの一端部に配置される平坦な端面である。そして、端面(反射部42a)は、導光板42の一方側の端部を切断及び研磨して形成されている。また、端面(反射部42a)は、導光板42の側部から入射される光が臨界角よりも大きい入射角で端面(反射部42a)に入射するように配置されている。本実施形態においては、導光板42から空気に入る際の臨界角が42°であり、端面(反射部42a)に対する光の入射角が45°である。
【0024】
複数の反射部42aは、導光板42の長手方向Xにおいて互いに離間するように、配置されている。具体的には、複数の反射部42aは、基板41から離れるに従って、長手方向Xの他端部に近くなるように、配置されている。本実施形態においては、複数の反射部42aは、導光板42長手方向Xにおいて、12mmの間隔でそれぞれ配置されている。
【0025】
図4に示すように、透過防止部43は、導光板42,42の間に配置されている。また、透過防止部43は、反射部42aが配置されている部分、即ち、導光板42の長手方向Xの一端部に、少なくとも配置されている。そして、透過防止部43は、導光板42よりも低い屈折率に形成されている。本実施形態においては、透過防止部43は、屈折率が1.46であるSiO
2を導光板42の表面にコーティングして形成されている。
【0026】
これにより、透過防止部43は、導光板42に入射された光が反射部42aで反射される前に隣接する導光板42に向けて透過することを防止している。なお、本実施形態においては、透過防止部43は、導光板42の長手方向Xに亘って配置されている。したがって、透過防止部43は、導光板42に入射された光が反射部42aで反射される前だけでなく後も隣接する導光板42に向けて透過することを防止している。
【0027】
図1及び
図5に示すように、第2の光学系5は、導光体4から出射され且つ導光体4の厚み方向Zで広がる光を、導光体4の厚み方向Zで平行な光にするシリンドリカル状の平行光レンズ51と、平行光レンズ51から出射された光を集中する集光レンズ52とを備えている。
【0028】
ファイバ6は、第2光学系5から出射された光を入射されるコア61と、コア61の外側に配置されるクラッド62とを備えている。本実施形態においては、ファイバ6は、入射端面及び出射端面にそれぞれ共振器を有するファイバレーザであり、コア61の直径は、20μmである。なお、ファイバ6は、斯かる構成に限られず、例えば、コア61内で光を伝搬する光ファイバでもよい。
【0029】
本実施形態に係るレーザ光源装置1及び導光体4の構成については以上の通りであり、次に、本実施形態に係るレーザ光源装置1及び導光体4の作用について説明する。
【0030】
各レーザ発光部21から出射されたレーザ光(各図において、破線で示している)は、第1の光学系3を透過して、導光板42に入射する。このとき、第1の光学系3から出射されたレーザ光は、
図1に示すように、導光板42の長手方向Xにおいて、平行光となっている。また、第1の光学系3から出射されたレーザ光は、
図2に示すように、導光板42の厚み方向Zにおいて、導光板42の幅方向Yの端面が焦点位置となるように、集光されている。
【0031】
導光板42の側部から入射されたレーザ光は、長手方向Xにおいては、平行光を維持する一方、厚み方向Zにおいては、集光された角度を維持して散光する。このとき、導光板42における透過防止部43に接する平面(下面)に対して、レーザ光は、導光板42から透過防止部43に入る際の臨界角よりも、大きい角度で入射するため、当該平面で臨界反射する。これにより、導光板42に入射されたレーザ光は、反射部42aで反射される前に、下方側で隣接する導光板42に向けて出射されない。
【0032】
同様に、導光板42における空気に接する平面(上面)に対して、レーザ光は、導光板42から空気に入る際の臨界角よりも、大きい角度で入射するため、当該平面で臨界反射する。これにより、導光板42に入射されたレーザ光は、反射部42aで反射される前に、空気(外部)に向けて出射されない。したがって、導光板42に入射されたレーザ光は、全てその導光板42の反射部42aにより、長手方向Xの他端部に向けて反射される。
【0033】
そして、反射部42aで反射されたレーザ光は、導光板42の他端部から出射し、第2の光学系5を透過して、ファイバ6のコア61に入射する。このとき、第2の光学系5から出射されたレーザ光は、
図1に示すように、導光板42の幅方向Yにおいて、コア61の入射面が焦点位置となるように、集光されている。同様に、第2の光学系5から出射されたレーザ光は、
図5に示すように、厚み方向Zにおいて、コア61の入射面が焦点位置となるように、集光されている。
【0034】
以上より、本実施形態に係る導光体4によれば、長尺な平板状に形成される複数の導光板42は、厚み方向Zで重なるように配置されている。これにより、構造の簡素化が図れている。しかも、各導光板42は、基板41側で隣接する導光板42に対して、全体が厚み方向Zで重なるように配置されている。したがって、構造の剛性を備えることができる。
【0035】
また、本実施形態に係る導光体4によれば、各導光板42に設けられる反射部42aは、導光板42の幅方向Yの端面から導光板42に入射されるレーザ光を、導光板42の長手方向Xの端部に向けて反射させている。これにより、導光板42の幅方向Yの端面から導光板42に入射された光は、導光板42の長手方向Xの端部から出射される。
【0036】
また、本実施形態に係る導光体4によれば、複数の反射部42aが、導光板42の長手方向Xにおいて互いに離間している。これにより、レーザ光を出射する複数のレーザ発光部21を、導光板42の長手方向Xにおいて互いに離間するように配置できるため、導光板42の厚み方向Zにおいて、レーザ光源装置1を小型化することができる。
【0037】
また、本実施形態に係る導光体4によれば、導光板42の側部から入射されるレーザ光は、導光板42の長手方向Xの端部に配置される端面に、臨界角よりも大きい入射角で入射するため、端面に入射された光は、臨界反射する。これにより、端面が反射部42aとして機能する。したがって、導光板42の端部を切断及び研磨することにより、反射部42aとして機能する端面を形成できるため、反射部42aの構成を簡素化することができる。
【0038】
また、本実施形態に係る導光体4によれば、第1の光学系3と第2の光学系5との各種レンズの配置は、焦点距離を変えることで幅方向Yと厚み方向Zとの結像倍率を容易に変えることができる。したがって、使用するレーザの発光サイズ、個数、及び、集光するファイバのコア等のサイズにあわせた適切な光学設計を提供することができる。
【0039】
なお、本発明は、上記した実施形態の構成に限定されるものではなく、また、上記した作用効果に限定されるものではない。また、本発明は、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0040】
上記実施形態に係るレーザ光源装置1においては、光源部2は、一つのレーザ発光部21を有する部材(半導体レーザ)を複数備える、という構成である。しかしながら、本発明に係るレーザ光源装置は、斯かる構成に限られない。例えば、本発明に係るレーザ光源装置においては、光源部2は、複数のレーザ発光部21を有する部材(例えば、レーザアレイ)を備える、という構成でもよく、また、一つのレーザ発光部21を有する部材と複数のレーザ発光部21を有する部材とをそれぞれ備える、という構成でもよい。
【0041】
また、上記実施形態に係る導光体4においては、透過防止部43は、導光板42よりも低い屈折率の材料で形成されている、という構成である。しかしながら、本発明に係る導光体は、斯かる構成に限られない。例えば、本発明に係る導光体においては、透過防止部43は、反射材で形成されている、という構成でもよく、また、透過防止部43は、接着部44を低屈折率の接着剤で構成することにより、接着部44に透過防止部43の機能を兼用させる、という構成でもよい。
【0042】
さらに、例えば、
図6に示すように、透過防止部43は、導光板42,42間に形成される隙間(空気層)である、という構成でもよい。
図6に示す導光体4は、導光板42,42間に配置されて導光板42,42同士を結合する結合材45を備えている。斯かる結合材45は、一方の導光板42の端部を支持している。そして、結合材45は、レーザ光が導光体42から出射することを防止すべく、反射材又は低屈折率の材料で形成されている。
【0043】
また、上記実施形態に係る導光体4においては、透過防止部43は、導光板42の長手方向Xの全体に亘って配置されている、という構成である。しかしながら、本発明に係る導光体は、斯かる構成に限られない。例えば、本発明に係る導光体においては、
図7に示すように、透過防止部43は、反射部42aが配置されている導光板42の長手方向Xの一端部側にのみ配置されている、という構成でもよい。
【0044】
要するに、透過防止部43は、導光板42に入射された光が反射部42aで反射される前に隣接する導光板42に向けて透過することを防止できればよい。したがって、本発明に係る導光体においては、反射部42aで反射されたレーザ光は、隣接する導光板42に向けて透過する、という構成でもよい。具体的には、導光板42の長手方向Xの他端部側においては、透過防止部43が存在せず、導光板42,42同士は、高屈折率で透光可能な材料からなる接着部44により、接着されている、という構成でもよい。
【0045】
また、上記実施形態に係る導光体4においては、複数のレーザ発光部21から出射されたレーザ光の全部は、各導光板42における幅方向の一方側の端面から入射される、という構成である。しかしながら、本発明に係る導光体は、斯かる構成に限られない。例えば、本発明に係る導光体においては、上記実施形態に係る導光板42と、反射部42aの向きを90°変えた導光板42とが、併せて設けられ、複数のレーザ発光部21から出射されたレーザ光のうち、一部は、各導光板42における幅方向の一方側の端面から入射され、残りの他部は、各導光板42における幅方向の他方側の端面から入射される、という構成でもよい。
【0046】
また、上記実施形態に係る導光体4においては、反射部42aは、導光板42の長手方向Xの端部に配置される端面である、という構成である。しかしながら、本発明に係る導光体は、斯かる構成に限られない。例えば、本発明に係る導光体4においては、反射部42aは、導光板42の内部に配置される(埋め込められる)反射材である、という構成でもよい。