特許第5780501号(P5780501)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5780501太陽電池モジュールの設置構造、及び設置方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5780501
(24)【登録日】2015年7月24日
(45)【発行日】2015年9月16日
(54)【発明の名称】太陽電池モジュールの設置構造、及び設置方法
(51)【国際特許分類】
   E04D 13/18 20140101AFI20150827BHJP
   H02S 20/23 20140101ALI20150827BHJP
【FI】
   E04D13/18ETD
   H02S20/23 A
【請求項の数】2
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2011-245390(P2011-245390)
(22)【出願日】2011年11月9日
(65)【公開番号】特開2013-100693(P2013-100693A)
(43)【公開日】2013年5月23日
【審査請求日】2014年2月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000165505
【氏名又は名称】元旦ビューティ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082669
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 賢三
(74)【代理人】
【識別番号】100095337
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100095061
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 恭介
(72)【発明者】
【氏名】舩木 元旦
(72)【発明者】
【氏名】田澤 浩臣
(72)【発明者】
【氏名】北村 浩一
(72)【発明者】
【氏名】西田 和倫
【審査官】 五十幡 直子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−153465(JP,A)
【文献】 特開2000−129868(JP,A)
【文献】 特開2007−270529(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 13/18
H02S 20/23
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水下側、水上側の太陽電池モジュールが載置可能な支持部を有するレール材が、所定間隔で配設され、該レール材間に太陽電池モジュールを敷設する太陽電池モジュールの設置構造において、
前記レール材の水上側に敷設される太陽電池モジュールは、水下側端部がレール材上に載置され、その表面がレール材に係合させる取付部材にて保持され、
前記レール材は、被係合部を構成する縦片の上端に水上側へ突出する係合凸部を有し、前記取付部材は、下向きの係合部の下端に水下側へ突出する係合凸部が形成され、レール材の長手方向に対して一定間隔で配置されると共に、この取付部材を、上方から前記レール材に係合させることにより、前記被係合部の係合凸部と前記係合部の係合凸部とを相互に係合させて前記レール材と前記取付部材とを一体化させていることを特徴とする太陽電池モジュールの設置構造。
【請求項2】
水下側、水上側の太陽電池モジュールが載置可能な支持部を有するレール材が、所定間隔で配設され、該レール材間に太陽電池モジュールを敷設する太陽電池モジュールの設置方法において、
被係合部を構成する縦片の上端に水上側へ突出する係合凸部を有する前記レール材を所定間隔で配設する第1の工程と、
配設したレール材間に、太陽電池モジュールを敷設する第2の工程と、
下向きの係合部の下端に水下側へ突出する係合凸部が形成される前記取付部材を上方からレール材に係合させることにより、配設した太陽電池モジュールの水下側端部に、前記被係合部の係合凸部と前記係合部の係合凸部とを相互に係合させて前記レール材と前記取付部材とを一体化させる第3の工程と、
を含むことを特徴とする太陽電池モジュールの設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特殊な部材の使用によるコスト上昇を招くことなく、太陽電池モジュールの水下側端部を確実に且つ容易に一体状に固定することができる太陽電池モジュールの設置構造、及び設置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池モジュールを屋根に設置するに際し、水下側に敷設した太陽電池モジュールの水上側フレームと、水上側に敷設した水下側フレームとを直接的に接続するか、或いは連結部材を介して接続する構造(例えば特許文献1,2など)が各種提案されている。
前記特許文献1は、水上側に敷設される太陽電池パネルの水下側フレーム32に設けた爪状部材34を水下側に敷設される太陽電池パネルの水上側フレーム33上に固定した係止部材37の間隙に押し込んで固定する構造である。
前記特許部文献2は、太陽電池モジュール10の水下側フレーム(第1枠体11)の上面に設けた固定溝11bと、水上側フレーム(第2枠体12)の下側に設けた係合部12bとを押え金具28により押えて固定する構造である。
【0003】
また、太陽電池モジュールにフレームを用いない構造(例えば特許文献3,4など)も各種提案されている。
前記特許文献3には、複数の太陽電池パネル5、6の端面部同士を、ベース2と中間ベース3と上部レール4とで構成される支持レール1にて結合し、カバー11にて覆う構造が開示されている。なお、このカバー11は、太陽電池パネルの水下側端部を完全に覆う長さに形成されている。
前記特許文献4には、太陽電池モジュール2の一方の端部に枠体10を、他方の端部に載置部20を備える枠体1を配し、前記載置部20に固定カバー3を押え付けて固定する構造が開示されている。なお、この固定カバ3は、枠体20と略同一長さであって、太陽電池モジュール2の水下側端部を完全に覆う長さに形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−285827号公報
【特許文献2】特開2007−231514号公報
【特許文献3】特開2006−132111号公報
【特許文献4】特開2006−120959号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記特許文献1の構造では、水下側フレーム(32)や水上側フレーム(33)が、前記特許文献2の構造では、水下側フレーム(11)や水上側フレーム(12)が、複雑な形状構成を有するものであるため、これらのフレーム材が特殊になり、コストの上昇を避けられないものであった。
【0006】
また、前記特許文献3の構造では、支持フレーム1が、前記特許文献4の構造では、枠体10と枠体1とが、物理的には固定されておらず、水下側の端部に太陽電池モジュールの水下側端部を覆うカバー11,3を固定することによって一体化されるものであり、モジュール上を流下する雨水がせき止められ、雨水に含まれる土や埃等が堆積し易いものであった。その結果、モジュール表面に汚れが付着し性能低下や、フレーム部の止水材が劣化し易くなっていた。
【0007】
そこで、本発明は、特殊な部材(フレーム)の使用によるコスト上昇を招くことなく、太陽電池モジュールの水下側端部を確実に且つ容易に一体状に固定することができる太陽電池モジュールの設置構造、及び設置方法を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記に鑑み提案されたもので、水下側、水上側の太陽電池モジュールが載置可能な支持部を有するレール材が、所定間隔で配設され、該レール材間に太陽電池モジュールを敷設する太陽電池モジュールの設置構造において、前記レール材の水上側に敷設される太陽電池モジュールは、水下側端部の裏面がレール材上に載置され、その表面がレール材に係合させる取付部材にて保持され、前記レール材は、被係合部を構成する縦片の上端に水上側へ突出する係合凸部を有し、前記取付部材は、下向きの係合部の下端に水下側へ突出する係合凸部が形成され、レール材の長手方向に対して一定間隔で配置されると共に、この取付部材を、上方から前記レール材に係合させることにより、前記被係合部の係合凸部と前記係合部の係合凸部とを相互に係合させて前記レール材と前記取付部材とを一体化させていることを特徴とする太陽電池モジュールの設置構造に関するものである。
【0009】
さらに、本発明は、水下側、水上側の太陽電池モジュールが載置可能な支持部を有するレール材が、所定間隔で配設され、該レール材間に太陽電池モジュールを敷設する太陽電池モジュールの設置方法において、被係合部を構成する縦片の上端に水上側へ突出する係合凸部を有する前記レール材を所定間隔で配設する第1の工程と、配設したレール材間に、太陽電池モジュールを敷設する第2の工程と、下向きの係合部の下端に水下側へ突出する係合凸部が形成される前記取付部材を上方からレール材に係合させることにより、配設した太陽電池モジュールの水下側端部に、前記被係合部の係合凸部と前記係合部の係合凸部とを相互に係合させて前記レール材と前記取付部材とを一体化させる第3の工程と、を含むことを特徴とする太陽電池モジュールの設置方法をも提案するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の太陽電池モジュールの設置構造は、太陽電池モジュールの水下側端部が、レール材、及び取付部材により、一体的に固定されるものであり、使用するレール材も取付部材も極めて簡易な部材であり、前記従来(特許文献1,2)のように特殊なフレーム材を必要とすることもないため、コストを抑えることができる。しかも、前記従来(特許文献3,4)のようにカバー材を用いないので、モジュール上を流下する雨水がせき止められることもないし、雨水に含まれる土や埃等が堆積することもなく、負圧作用時の強度向上と流れ方向のズレ止めを補強することができる。そのため、モジュール表面を美麗に維持することができ、発電効率等の性能低下を招くこともない。また、太陽電池モジュールを取付部材でレール材に一体化させているため、取付部材を着脱することで、太陽電池モジュールの交換を容易に行うことができる。
【0011】
本発明の太陽電池モジュールの設置方法は、レール材を配設する第1の工程も、太陽電池モジュールを配設する第2の工程も、取付部材を配設する第3の工程も、それぞれ表面側から極めて容易に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】(a)本発明の太陽電池モジュールの設置構造の一実施例(第1実施例)の要部を示す側断面図、(b)取付部材を配設していない一般部を示す側断面図である。
図2】第1実施例の太陽電池モジュールの設置構造を示すために、意図的に構成部材を欠載して示した斜視図である。
図3】(a)本発明の太陽電池モジュールの設置構造の他の一実施例(第2実施例)の要部を示す側断面図、(b)取付部材や保持具を配設していない一般部を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の太陽電池モジュールの設置構造は、水下側、水上側の太陽電池モジュールが載置可能な支持部を有するレール材が、流れ方向に所定間隔で配設され、該レール材間に太陽電池モジュールを敷設する構造において、前記レール材の水上側に敷設される太陽電池モジュールは、水下側端部の裏面がレール材上に載置され、その表面がレール材に係合させる取付部材にて保持され、前記取付部材は、レール材の長手方向に対して一定間隔で配置されると共に、上方からレール材に係合させることにより、一体化されていることを特徴とする。
【0014】
前記本発明に用いる太陽電池モジュールは、シリコン系、化合物系、有機系等の太陽電池をパネル化し、モジュールとして周縁(小口)の止水、防水処理を施したものであればよく、モジュールの剛性を高めるためのフレーム等の有無を問うものではないが、太陽電池モジュール表面を流下する雨水をせき止めないように少なくとも流れ方向に交わる方向にはフレーム等の突起がないものが好ましい。また、発電量を増大させるために両面受光(発電)型の太陽電池を用いてもよく、この場合、太陽電池モジュールの下方に反射材を介在させればよい。
そして、その流れ方向の端縁のうち、水下側端部の裏面は、レール材の水上側の支持部に載置され、水下側端部の表面は、レール材に係合させる取付部材にて保持され、上下から挟着状に一体化(固定)される。
【0015】
前記本発明に用いるレール材は、前記太陽電池モジュールの流れ方向の端縁を支持する水上側支持部、水下側支持部を有し、後述する取付部材を係合する被係合部を有するが、その具体的構成、並びにそれ以外の構成は特に限定するものではなく、どのような形状又は構成であってもよく、単一部材にて構成されるものでも複数部材にて構成されるものでもよい。
例えば前記水上側支持部、水下側支持部に関し、後述する図示実施例では、太陽電池モジュールが流れ方向に隣接する構成としたので、水上側支持部と水下側支持部とを、高さレベルを太陽電池モジュールの厚さに相当する段差状に形成したが、特に限定するものではない。
【0016】
このレール材は、後述する図示実施例のように長さ方向に同一断面を有する長尺材とすることが望ましい。この場合、使用する太陽電池モジュールの桁行き方向の長さ寸法に応じて適宜に成形(切断)することができ、どのような寸法の太陽電池モジュールも極めて容易に対応することができる。
また、このレール材には、前述の支持部の他に、後述する図示実施例のように水下側へ突出する支持片を有することが望ましい。この構成のレール材では、該支持片上に太陽電池モジュールの水下側縁を載置することができ、太陽電池モジュールの表面を伝う雨水等が、確実に水下側に隣接する太陽電池モジュール上に導かれて排水される。
【0017】
前記本発明に用いる取付部材は、前記レール材の長手方向に対して一定間隔で配置されるものであって、太陽電池モジュールの水下側端部の表面を保持する保持部を有し、前記レール材の被係合部に係合させる係合部を有するものであり、単一部材にて構成されるものでも複数部材にて構成されるものでもよい。
【0018】
前記レール材の上端には、後述する図示実施例に示すように捨板を、流れ方向に配して太陽電池モジュールの左右の側端を支持するようにしてもよい。
この捨板としては、後述する図示実施例のように長さ方向に同一断面を有する定尺材とすることが望ましい。この場合、使用する太陽電池モジュールの流れ方向の長さ寸法に応じて適宜に成形(切断)することができ、どのような寸法の太陽電池モジュールも極めて容易に対応することができる。
また、この捨板には、後述する図示実施例のように略中央に隆状部を、その左右に水返し部を、それぞれ長さ方向に沿うように有することが望ましい。この構成の捨板では、太陽電池モジュールを配設した後に、その配設間隔を覆うように継手カバーを取り付ける際に、固定具を打ち付ける箇所として隆状部を用いることができる。また、継手カバーの裏面側に雨水等が浸入しても、左右に形成された水返し部にて、確実に水下側へ雨水等を流下させることができる。
【0019】
なお、この捨板を用いた場合には、前記レール材の水上側支持部、水下側支持部は、直接的に前記太陽電池モジュールの流れ方向の端縁を支持するものではなく、この捨板を介して支持するものとなる。
【0020】
また、太陽電池モジュールの左右の配設間隔には、継手カバーを覆うように配設してもよい。
この継手カバーは、捨板上に配設した左右の太陽電池モジュールの配設間隔を覆うものであって、後述する図示実施例のようにビス等により取り付けられ、平板状の水下側を下方へ折り曲げた形状が望ましい。この場合、継手カバーを水下側からスライドさせて左右の太陽電池モジュールの配設間隔に配設することができる。
なお、太陽電池モジュールの側縁は、ビス等により直接固定するものであってもよく、この継ぎ手カバーによって挟着されるものであってもよい。
【0021】
これらの部材から構成される本発明の太陽電池モジュールの設置構造は、以下の第1〜第3の工程にて施工される。
【0022】
まず、第1の工程では、流れ方向に略直交状にレール材を配設する。このレール材は、下地上に直接的に配設してもよいが、後述する図示実施例のように流れ方向に配した排水部材上に、その端縁が臨むように略直交状に配設してもよい。この場合、仮に雨水等が捨板の裏面側へ回り込むことがあったとしても、回り込もうとする雨水を排水部材の排水部に導いて水下側へ流下させることができる。
【0023】
次に、第2の工程では、配設したレール材間に、太陽電池モジュールを敷設し、上段側のレール材の水下側支持部、下段側のレール材の水上側支持部に、太陽電池モジュールの水上側端部、水下側端部を載置するように支持させる。
【0024】
続いて第3の工程では、取付部材を上方からレール材に係合させることにより、配設した太陽電池モジュールの水下側端部に、レール材と取付部材とを一体化させる。
その結果、太陽電池モジュールの水下側端部が、レール材と取付部材により、一体的に固定されるものとなる。
【0025】
なお、前記構成の捨板を用いる場合には、前記第1の工程の後に以下の工程を実施すればよい。
取り付けたレール材の水下側支持部に捨板の水上側の端縁を受支させると共に水下側に隣接するレール材の水上側支持部に捨板の水下側の端縁を受支させるように取り付ける。このレール材に、前述のように水下側へ突出する支持片が設けられている場合には、捨板を配設する際に、該支持片と水下側支持部との間(空間)に捨板の水上側の端縁を挿入するように配設すればよく、少なくとも捨板の水上側の側縁が浮き上がって外れることはない。
【0026】
なお、前記構成の継手カバーを用いた場合には、前記第3の工程の後に以下の工程を実施すればよい。
敷設した太陽電池モジュールの左右の配設間隔に継手カバーを覆うように配設する。この継手カバーが、前述のように平板状の水下側を下方へ折り曲げた形状である場合には、水下側からスライドさせることにより、容易に左右に太陽電池モジュールの配設間隔に配設することができる。また、前述のようにレール材に水下側へ突出する支持片が設けられている場合には、この継手カバーの水上側の端縁は、支持片と捨板との間(空間)に挿入状に配設されるので、少なくとも継手カバーの水上側の側縁が浮き上がって外れることはない。
【0027】
このように施工する本発明の太陽電池モジュールの設置方法は、レール材を配設する第1の工程も、太陽電池モジュールを配設する第2の工程も、取付部材を配設する第3の工程も、それぞれ表面側から行うので、極めて容易に施工できる。
【0028】
そして、施工される本発明の太陽電池モジュールの設置構造は、太陽電池モジュールの水下側端部が、レール材と取付部材により、一体的に固定されるものであり、使用するレール材も取付部材も極めて簡易な部材であり、従来のように特殊なフレーム材を必要とすることもないため、コストを抑えることができる。しかも、従来のようにカバー材を用いないので、モジュール上を流下する雨水がせき止められることもないし、雨水に含まれる土や埃等が堆積することもなく、負圧作用時の強度向上と流れ方向のズレ止めを補強することができる。そのため、モジュール表面を美麗に維持することができ、発電効率等の性能低下を招くこともない。また、太陽電池モジュールを取付部材でレール材に一体化させているため、取付部材を着脱することで、太陽電池モジュールの交換を容易に行うことができる。
【実施例1】
【0029】
図1及び図2に示す太陽電池モジュール1の設置構造の第1実施例は、水下側、水上側の太陽電池モジュール1,1が載置可能な支持部41,42を有するレール材4が、所定間隔で配設され、該レール材4,4間に太陽電池モジュール1を敷設する構成であり、太陽電池モジュール1は、水下側端部がレール材4上に載置され、その表面がレール材4に係合させる取付部材6にて保持され、前記取付部材6は、レール材4の長手方向に対して一定間隔で配置されると共に、この取付部材6を、上方からレール材4に係合させることにより、一体化されている構成である。
【0030】
前記第1実施例に用いる太陽電池モジュール1は、図2に示すように略矩形状の太陽電池10を多面付けにて形成したものであり、図示しないが、その端縁(小口)に止水、防水処理を施され、原則的にフレーム材を用いない構成である。
【0031】
前記レール材4は、前記太陽電池モジュール1の流れ方向の端縁を支持する水上側支持部41、水下側支持部42を有し、後述する取付部材6を係合させる被係合部49を有する横桟に相当する構成である。
【0032】
図示実施例の水上側支持部41は、水上側を向く横片状であり、水下側支持部42は、水下側に設けられた上方が開放する溝内に弾性材46aが挿着された構成である。
また、この第1実施例におけるレール材4は、水下側へ突出する支持片43を有する構成であり、長さ方向に同一断面を有する長尺材とした。さらに、その水上側及び水下側に下方へ延在する脚部44,44、該脚部44の下端に下地面8に接地する接地部45,45、及び長さ方向に溝状部47,48を上下段に有する構成とした。
なお、前記支持片43の裏面側には、下方が開放する溝内に弾性材46bが装着され、前記太陽電池モジュール1の水上側端縁を前記水下側支持部42に受支させた際に、上方に配された弾性材46a及び下方に配された弾性材46b間にそれぞれ接触するため、上下から挟み込まれ、弾性作用にて挟着状に取り付けられる。
また、前記支持片43には、第2レール材4Bが掛止状に取り付けられ、該第2レール材4Bの水下端に、下方が開放する溝状の被係合部49が形成され、該被係合部49を構成する外側の縦片の上端には、水上側へ突出する係合凸部491が形成されている。
【0033】
前記取付部材6は、前記レール材4の長手方向に対して一定間隔で配置されるものであって、太陽電池モジュール1の水下側端部の表面を保持する保持部61を有し、前記レール材4(第2レール材4B)の被係合部49に係合させる、即ち係合可能な係合部62を有するものである。
【0034】
図示実施例の保持部61は、太陽電池モジュール1の水下側端部の表面に添わせる添接片であり、略コ字状に形成される取付部材6の上側横片である。また、係合部62は、前記レール材4(4B)の被係合部49に係合可能な下向きの係止片状であって、略コ字状に形成される取付部材6の下側横片の先端に形成され、該係合部62の下端には、水下側へ突出する係合凸部621が形成されている。
【0035】
また、図示実施例では、前記レール材4の上端に、捨板3を、流れ方向に配して太陽電池モジュール1,1の左右の側端を支持するようにした。
この捨板3は、略中央に隆状部31を、その左右に複数条の水返し部32を、それぞれ長さ方向に沿うように有する構成であり、長さ方向に同一断面を有する定尺材とした。
【0036】
また、図示実施例では、太陽電池モジュール1,1の左右の配設間隔に、継手カバー5を覆うように配設した。
この継手カバー5は、平板状の水下側を下方へ折り曲げた形状であり、ビス等の固定具5bを表面側から打ち込んで前記捨板3の隆状部31の頂部に固定される。
【0037】
以下、この第1実施例の太陽電池モジュール1の設置構造の施工手順を説明する。
【0038】
まず、第1の工程に先立ち、流れ方向に沿うように排水部材2を配設した。この排水部材2は、略平坦状の底面21の左右の側縁を傾斜状に立ち上げた側面22,22の上端を略水平状に内側へ折曲して受部23,23とした構成の連続材である。この排水部材2の底面21は、排水部の底面であり、以下、排水部とする。
【0039】
そして、第1の工程では、配設した排水部材2上に、前記構成のレール材4の端縁が臨むように略直交状に配設する。なお、このレール材4は、配設以前に予めその脚部44,44を部分的に削除し、脚部44,44の上方部分が排水部材2の排水部21に臨むように配設する。
【0040】
次に、前記第1の工程で取り付けたレール材4の水下側支持部42に捨板3の水上側の端縁を受支させると共に、水下側に隣接するレール材4の水上側支持部41に捨板3の水下側の端縁を受支させるように取り付ける。
この第1実施例のレール材4には、前述のように水下側へ突出する支持片43が設けられているので、捨板3の水上側の端縁を、支持片43と水下側支持部42との間(空間)に挿入状に取り付ければよく、また捨板3の水下側の端縁を、水上側支持部41の上面と支持片43の上面に架け渡すように取り付ける。なお、前述のようにこのレール材4は、本体4と第2レール材4Bにて構成されているが、この時点で第2レール材4Bは、支持片43の表面に遊嵌状に添わせた状態とする。
【0041】
続いて第2の工程では、前記第1の工程で取り付けたレール材4,4間に、太陽電池モジュール1を敷設し、上段側のレール材4の水下側支持部42、下段側のレール材4の水上側支持部41に、太陽電池モジュール1の水上側端部、水下側端部を載置するように支持させる。その際、前述のように捨板3を配設しているので、太陽電池モジュール1の長さ方向の端縁が支持されるように配設する。
この図示実施例では、前述のようにレール材4には、弾性材46a,46bが取り付け得られ、該弾性材46a,46b間に太陽電池モジュール1の水上側端縁を取り付けるので、該水上側端縁は、上下から挟み込まれ、弾性作用にて挟着状に取り付けられるものとなる。
なお、前述のようにレール材4の支持片43の表面には、第2レール材4Bを添わせているが、太陽電池モジュール1の配設に際し、この第2レール材4B上にクッション材4cを介在させて太陽電池モジュール1を載置状に配設した。
【0042】
さらに、第3の工程では、前記構成の取付部材6を上方からレール材4に係合させることにより、配設した太陽電池モジュール1の水下側端部に、レール材4と取付部材6とを一体化させる。この取付部材6の取り付けは、保持部61を太陽電池モジュール1の水下側端部の上面に添わせると共に、レール材4(第2レール材4B)の被係合部49に、係合部62を上方から押し込むように係合する。
その結果、被係合部49の係合凸部491と係合部62の係合凸部62とが相互に係合し、太陽電池モジュール1の水下側端部に、レール材4と取付部材6が一体的に固定されるものとなる。
【0043】
その後、図示実施例では、前記第3の工程で取り付けた太陽電池モジュール1,1の左右の配設間隔に継手カバー5を覆うように配設した。この第1実施例では、捨板3に、前述のように略中央に隆状部31が、その左右に水返し部32が、それぞれ長さ方向に沿うように設けられているので、継手カバー5を配設してビス等の固定具5bを隆状部31に打ち付けて固定することができる。
【0044】
このように施工する本発明の太陽電池モジュール1の設置方法は、レール材4を配設する第1の工程も、太陽電池モジュール1を配設する第2の工程も、取付部材6を配設する第3の工程も、それぞれ表面側から極めて容易に実施することができる。
【0045】
このような手順にて施工された本発明の太陽電池モジュール1の設置構造は、太陽電池モジュール1の水下側端部が、レール材4と取付部材6により、一体的に固定されるものであり、使用するレール材4も取付部材6も極めて簡易な部材であり、従来のように特殊なフレーム材を必要とすることもないため、コストを抑えることができる。しかも、従来のようにカバー材を用いないので、モジュール1上を流下する雨水がせき止められることもないし、雨水に含まれる土や埃等が堆積することもなく、負圧作用時の強度向上と流れ方向のズレ止めを補強することができる。そのため、モジュール表面を美麗に維持することができ、発電効率等の性能低下を招くこともない。また、太陽電池モジュール1を取付部材6でレール材4に一体化させているため、取付部材6を着脱することで、太陽電池モジュール1の交換を容易に行うことができる。
【0046】
また、この第1実施例では、第1の工程に先立って流れ方向に排水部材2を取り付け、その後にレール材4の端縁が臨むように略直交状に配設したので、仮に雨水等が捨板3の裏面側へ回り込むことがあったとしても、排水部材2の排水部21に導いて水下側へ流下させることができる。
さらに、前記レール材4及び前記捨板3は、前述のようにそれぞれ長さ方向に同一断面を有する構成としたので、使用する太陽電池モジュール1の流れ方向の長さ寸法に応じてレール材4の長さを適宜に成形(切断)することができ、使用する太陽電池モジュールの桁行き方向の長さ寸法に応じて捨板3を長さを適宜に成形(切断)することができ、どのような寸法の太陽電池モジュールも極めて容易に対応することができる。
しかも、図示実施例のレール材4には、上下段に溝状部47,48を設けたので、仮に太陽電池モジュール1の裏面側に雨水が回り込むことがあったとしてもレール材4の溝状部47,48から排水部材2の排水部21へ導いて水下側へ流下させることができる。
【0047】
また、この第1実施例では、レール材4が、水下側へ突出する支持片43を有し、この支持片43上に太陽電池モジュール1の水下側縁(11c)を載置しているので、太陽電池モジュール1の表面を伝う雨水等が、確実に水下側に隣接する太陽電池モジュール1上に導かれて排水される。
さらに、前記第2の工程にて捨板3を取り付ける作業において、その水上側の端縁を、支持片43と水下側支持部42との間(空間)に挿入状に取り付ければよく、また水下側の端縁を、水上側支持部41の上面と支持片43の上面に架け渡すように取り付ければよいので、施工性にも優れており、更には少なくとも捨板3の水上側の側縁の浮き上がりが、支持片43にて防止される。
また、この第1実施例では、捨板3の略中央に隆状部31を、その左右に水返し部32を、それぞれ長さ方向に沿うように設けたので、継手カバー5を固定する固定具5bを隆状部31に打ち付けることができ、また継手カバー5の裏面側に雨水等が浸入しても水返し部32にて確実に水下側へ雨水等を流下させることができる。
【0048】
図3に示す第2実施例は、取付部材6IIが、保持部61を有する上側部材6Aと、係合部62を有する下側部材6Bと、固定具(ビス)である連結具6cとからなる以外は、保持部61及び係合部62の構成も含めて前記第1実施例と全く同様であるから、図面に同一符号を付して説明を省略する。
これらの部材の取付については、予め上側部材6Aと下側部材6Bとを連結具6cにて一体化して取り付けるのであれば、前記第1実施例と全く同様に行えばよい。個別に取り付ける場合には、まず下側部材6Bの係合部62を、上方から第2レール材4Bの係合部49に係合して取り付け、その後、上側部材6Aの保持部61を太陽電池モジュール1の水下側端部の表面に載置状に配設し、各部材6A,6Bの上側横片を重合させて連結具6cにて連結してもよい。
【符号の説明】
【0049】
1 太陽電池モジュール
10 太陽電池
2 排水部材
21 排水部(底面)
3 捨板
31 隆起部
32 水返し部
4 レール材
4B 第2レール材
41 水上側支持部
42 水下側支持部
43 支持片
44 脚部
45 接地部
46a,46b 弾性材
49 係合部
5 継手カバー
6,6II 取付部材
61 保持部
62 係合部
8 下地面
図1
図2
図3