(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5780525
(24)【登録日】2015年7月24日
(45)【発行日】2015年9月16日
(54)【発明の名称】ガイドワイヤ
(51)【国際特許分類】
A61M 25/09 20060101AFI20150827BHJP
【FI】
A61M25/09 516
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-266896(P2012-266896)
(22)【出願日】2012年12月6日
(65)【公開番号】特開2014-113177(P2014-113177A)
(43)【公開日】2014年6月26日
【審査請求日】2014年5月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】390030731
【氏名又は名称】朝日インテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134326
【弁理士】
【氏名又は名称】吉本 聡
(72)【発明者】
【氏名】小杉 知輝
【審査官】
金丸 治之
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2009/039063(WO,A1)
【文献】
特開平11−076415(JP,A)
【文献】
特表2007−515259(JP,A)
【文献】
特開平02−215476(JP,A)
【文献】
特開2008−264558(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コアシャフトと、
前記コアシャフトの外周を覆うコイル体と、からなるガイドワイヤであって、
前記ガイドワイヤの先端領域は、
第一方向に湾曲する第一湾曲部と、
前記第一湾曲部よりも先端側に形成され、前記第一方向とは異なる第二方向に湾曲する第二湾曲部と、
前記第二湾曲部よりも先端側に形成され、前記第二方向とは異なる第三方向に湾曲する第三湾曲部と、を有しており、
前記第二湾曲部の柔軟性は、前記第一湾曲部の柔軟性及び前記第三湾曲部の柔軟性よりも高いことを特徴としたガイドワイヤ。
【請求項2】
前記第二湾曲部における前記コアシャフトは、前記第一湾曲部における前記コアシャフト及び前記第三湾曲部における前記コアシャフトよりも平板形状になっていることを特徴とした請求項1に記載のガイドワイヤ。
【請求項3】
前記先端領域の後端側に直線状の本体部を有しており、
前記ガイドワイヤの先端は、前記本体部の軸から変位して先端側に延びていることを特徴とした請求項1又は請求項2に記載のガイドワイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血管内に挿入されるガイドワイヤに関するものである。
【背景技術】
【0002】
経皮的冠動脈形成術等の血管内治療に使用される医療用器具の一つとして、ガイドワイヤが知られている。ガイドワイヤは、カテーテルやステント等を血管内の目的部位まで案内するための医療用器具である。
【0003】
従来は、ガイドワイヤを血管内に挿入する方法として、鼠径部から大腿動脈への穿刺(TFI)が主流であったが、医療用器具のダウンサイズ化が進んだことで、近年患者に対する負担を軽減できる、上腕部から上腕動脈への穿刺(TBI)や手首から橈骨動脈への穿刺(TRI)に移行しつつある。
【0004】
上腕動脈や橈骨動脈等にある末梢血管は、細く、かつ、主枝と側枝との分岐部が多い。そのため、ガイドワイヤの先端が末梢血管の側枝に引っかかってしまい、スムーズに目的部位まで到達できないという問題があった。このため、ガイドワイヤの操作性を向上できる多湾曲形状の先端部を備えたガイドワイヤが知られている(例えば、下記特許文献1、2参照)。引用文献2のガイドワイヤには、先端領域に3つの湾曲部が設けられており、先端側から後端側に向けて各湾曲部における剛性が高くなる構造(言い換えると、先端側の湾曲部ほど柔軟な構造)になっている。
【0005】
しかしながら、第一湾曲部300と、第二湾曲部320と、第三湾曲部340と、からなる先端領域を備えたガイドワイヤ100であっても、末梢血管の分岐部500における主枝と側枝との角度が鋭角である場合には、ガイドワイヤ100の先端140が側枝に引っかかることがある(
図5(a)参照)。ガイドワイヤ100の先端140が、側枝に引っかかった状態で、ガイドワイヤ100を先端方向に押し込むと、以下の問題があった。ガイドワイヤ100の剛性が、先端側の第二湾曲部320よりも後端側の第一湾曲部300の方が高く構成されているため、主枝の側壁を接触している第二湾曲部320付近において、ガイドワイヤ100を先端方向に押し込む力600が、第二湾曲部320での主枝の側壁を外部方向に押す力640に変換されて、第二湾曲部320を支点に回転してしまい、ガイドワイヤ100の先端領域がループ状になって(
図5(b)参照)、ひいては、ガイドワイヤ100が破損することがあった(
図5(c)参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−76415号公報
【特許文献2】国際公開第2007/105531号公報パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、分岐部の多い末梢血管において、ガイドワイヤの先端が側枝に引っかかった状態で、ガイドワイヤを先端方向に押し込んだ場合でも、ループ状になりにくい操作性の高いガイドワイヤを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は、以下に列挙される手段により解決される。
【0009】
本発明の態様1は、コアシャフトと、前記コアシャフトの外周を覆うコイル体と、からなるガイドワイヤであって、前記ガイドワイヤの先端領域は、第一方向に湾曲する第一湾曲部と、前記第一湾曲部よりも先端側に形成され、前記第一方向とは異なる第二方向に湾曲する第二湾曲部と、前記第二湾曲部よりも先端側に形成され、前記第二方向とは異なる第三方向に湾曲する第三湾曲部と、を有しており、前記第二湾曲部の柔軟性は、前記第一湾曲部の柔軟性及び前記第三湾曲部の柔軟性よりも高いことを特徴としたガイドワイヤ。
【0010】
本発明の態様2は、前記第二湾曲部における前記コアシャフト
は、前記第一湾曲部における前記コアシャフト及び前記第三湾曲部における前記コアシャフトよりも平板形状になっていることを特徴とした態様1に記載のガイドワイヤ。
【0011】
本発明の態様3は、前記先端領域の後端側に直線状の本体部を有しており、前記ガイドワイヤの先端は、前記本体部の軸から変位して先端側に延びていることを特徴とした態様1又は態様2に記載のガイドワイヤ。
【発明の効果】
【0012】
本発明の態様1のガイドワイヤは、先端領域のうち、第二湾曲部の柔軟性が第一湾曲部の柔軟性及び第三湾曲部の柔軟性よりも高くなっている。そのため、ガイドワイヤの先端が末梢血管の側枝に引っかかった状態で先端方向に押し込んだとしても、第二湾曲部が柔軟であるために、第二湾曲部付近は大きく撓むことができる。これにより、ガイドワイヤを先端方向に押す力が第二湾曲部での主枝の側壁を外部方向に押す力に変換されることを軽減でき、第二湾曲部を支点とした先端領域の回転が生じにくくすることができる。従って、ガイドワイヤの先端は、ループ状になることなく、正常に主枝を進行することができる。
【0013】
本発明の態様2のガイドワイヤは、
第二湾曲部におけるコアシャフトが、第一湾曲部におけるコアシャフト及び第三湾曲部におけるコアシャフトよりも平板形状になっている。そのため、ガイドワイヤを複数回用いた場合でも、第二湾曲部は塑性変形しにくく、その結果、形状を維持し易い。
【0014】
本発明の態様3のガイドワイヤは、ガイドワイヤの先端が、本体部の軸から変位して先端側に延びている。そのため、医師によるガイドワイヤの押し込み力を先端まで伝達しやすい。また、ガイドワイヤを先端方向に押す力から変換された第二湾曲部での主枝の側壁を外部方向に押す力の反作用を利用して、ガイドワイヤの先端をガイドワイヤの軸方向から垂直方向に少し傾けた方向に向けることができる。そのため、末梢血管の主枝が急激に曲がっている場合でも、ガイドワイヤの進行方向を自由に変えることができる。これにより、操作性の高いガイドワイヤを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1(a)は、本実施の形態のガイドワイヤの全体図である。
図1(b)は、
図1(a)のA−A´断面図である。
図1(c)は、
図1(a)のB−B´断面図である。
図1(d)は、
図1(a)のC−C´断面図である。
【
図2】
図2(a)は、他の実施の形態のガイドワイヤの全体図である。
図2(b)は、
図2(a)のA−A´断面図である。
図2(c)は、
図2(a)のB−B´断面図である。
図2(d)は、
図2(a)のC−C´断面図である。
【
図3】
図3は、他の実施の形態のガイドワイヤの先端領域拡大図である。
【
図4】
図4は、末梢血管内における本実施の形態のガイドワイヤの様子を示した図である。
図4(a)は、ガイドワイヤの先端が側枝に引っかかった状態を示した図である。
図4(b)は、引っかかった状態でガイドワイヤを先端方向に押し込んだ状態を示した図である。
図4(c)は、ガイドワイヤの先端が側枝から外れて主枝に戻った状態を示した図である。
【
図5】
図5は、末梢血管内における従来のガイドワイヤの様子を示した図である。
図5(a)は、ガイドワイヤの先端が側枝に引っかかった状態を示した図である。
図5(b)は、引っかかった状態でガイドワイヤを先端方向に押し込んだことで、先端領域がループ状になった図である。
図5(c)は、ガイドワイヤが破損した状態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1(a)〜
図5(c)を参照しつつ、本実施の形態のガイドワイヤ1を用いた場合を例として説明する。
図1(a)〜
図5(c)において、図示左側が体内に挿入される先端側(遠位側)、右側が医師等の手技者によって操作される後端側(近位側、基端側)である。尚、各図において、以下に示されるコアシャフト10、コイル体20、湾曲部30、32、34など他の部分に比べて小さな場所は、理解を容易にするために、他の部材の寸法との関係でやや誇張して図示されている。また、理解を容易にするため、ガイドワイヤ1の軸方向(長さ方向)を短縮し、全体的に模式的に図示しているため、全体の寸法は実際とは異なっている。
【0017】
図1(a)に示されるガイドワイヤ1は、主に、コアシャフト10と、コアシャフト10の外周を覆うコイル体20と、コアシャフト10の先端とコイル体20の先端とを固着する先端固着部40と、からなる。
【0018】
コアシャフト10は、後端側に位置する太径部11と、太径部11の先端側に位置して、先端方向に向かって外径が減少するテーパー部12と、テーパー部12の先端側に位置する小径部13と、を有している。
【0019】
また、コアシャフト10とコイル体20とを固着するために、テーパー部12に中間固着部42、大径部11に後端固着部44が設けられている。
【0020】
ガイドワイヤ1の先端領域15には、外力が加えられていない状態で、3つの湾曲部を有する。後端側から順に、第一湾曲部30、第二湾曲部32、第三湾曲部34となる。第一湾曲部30は、第一方向31に湾曲する。また、第一湾曲部よりも先端側に形成された第二湾曲部32は、第一方向31とは異なる第二方向33に湾曲する。さらに、第二湾曲部32よりも先端側に形成された第三湾曲部34は、第二方向33とは異なる第三方向35に湾曲する。
【0021】
本実施の形態では、第一方向31と第三方向35とは異なる方向であるが、これに限定されず、第一方向31と第三方向35とを同じ方向としてもよい。
【0022】
ガイドワイヤ1は、第三湾曲部34から先端側に延びる先端14と、先端14の後端側に第一湾曲部30と第二湾曲部32と第三湾曲部34とを有した先端領域15と、先端領域12の後端側に直線形状の本体部16と、からなる。本体部16の軸方向(長手方向)L1と、先端14の軸方向(長手方向)L2と、は平行になっている。また、先端14は、第一湾曲部30よりも高い位置で、第二湾曲部32よりも低い位置にある。言い換えると、先端14のコアシャフト13cは、第一湾曲部30におけるコアシャフト13aと、第二湾曲部32におけるコアシャフト13bと、の間に位置する。従って、ガイドワイヤ1の先端14は、本体部16の軸方向L1から変位して延びている。
【0023】
図1(b)は、第一湾曲部30におけるA−A´断面図である。
図1(c)は、第二湾曲部32におけるB−B´断面図である。
図1(d)は、第三湾曲部34におけるC−C´断面図である。第二湾曲部32におけるコアシャフト13bの外径は、第一湾曲部30におけるコアシャフト13aの外径及び第三湾曲部34におけるコアシャフト13cの外径よりも細くなっている。一方、第二湾曲部32におけるコイル体20の外径は、第一湾曲部30におけるコイル体20の外径及び第三湾曲部34におけるコイル体20の外径と同じになっている。なお、理解を容易にするために、
図1(b)〜
図1(d)では、コアシャフト13aの外径と、コアシャフト13bの外径と、コアシャフト13cの外径と、の差をかなり誇張した図になっている。
【0024】
これにより、第二湾曲部32の柔軟性を、第一湾曲部30の柔軟性及び第三湾曲部34の柔軟性よりも高くすることができる。また、先端領域15におけるコイル体20の外径が変わらないので、医師によるガイドワイヤ1の押し込み力をガイドワイヤ1の先端まで減衰させることなく伝達させることができる。
【0025】
次に、本実施の形態のガイドワイヤ1を末梢血管内に挿入した際の動作について、説明する。
【0026】
ガイドワイヤ1を末梢血管内に挿入すると、主枝と側枝との角度が鋭角な分岐部50で、ガイドワイヤ1の先端14が側枝に引っかかってしまう場合がある(
図4(a)参照)。ガイドワイヤ1の先端14が側枝に引っかかった状態で、医師がガイドワイヤ1を先端方向に押し込むと、第二湾曲部32の柔軟性が第一湾曲部30及び第三湾曲部34よりも高いために、第二湾曲部32付近が大きく撓むことができる(
図4(b)参照)。
【0027】
具体的には、医師によるガイドワイヤ1の先端方向への押し込み力60により、第二湾曲部32には、先端方向に押す力60aと外部方向に押す力61とが作用する。第二湾曲部32が柔軟な構成になっていることで、主枝の側壁に接触した状態で、先端方向に撓むことができる。そのため、従来に比べ、医師による先端方向への押し込み力60が外部方向に押す力61に変換されることが軽減される。言い換えると、第二湾曲部32において、先端方向に押す力60aが外部方向に押す力61よりもかなり大きいため、両者が合成された合成力62は、先端方向に押す力60aとほとんど変わらない。第二湾曲部が合成力62により先端方向に進むことで、ガイドワイヤ1の先端14は後端方向63に戻されて、側枝に引っかかった状態から自然と解放される。
【0028】
このように、第二湾曲部32の方が第三湾曲部34よりも剛性の高いガイドワイヤに比べて、本実施の形態のガイドワイヤ1では、第二湾曲部32付近において、主枝の側壁を外部方向に押す力61が減少されて、代わりに先端方向に押す力60aが増加するので、第二湾曲部32を支点とした回転が生じにくい。その結果、側枝に引っかかった状態から解放されたガイドワイヤ1の先端14は、ループ状になることなく、正常に主枝を進行することができる(
図4(c)参照)。
【0029】
また、外力が加えられていない状態において、ガイドワイヤ1の先端14が、本体部16の軸方向L1から変位して第三湾曲部34から先端側に延びていているため、医師によるガイドワイヤ1の押し込み力60を先端14まで伝達しやすい構成になっている。
【0030】
さらに、ガイドワイヤ1の先端14が、本体部16の軸方向L1から変位して延びている(言い換えると、ガイドワイヤ1の先端14が、第一湾曲部30と第二湾曲部32との間に位置し、本体部16の軸方向L1と平行して先端側に延びている)ため、ガイドワイヤ1の先端14が側枝に引っかかっていない場合(言い換えると、ガイドワイヤ1の先端14が主枝を正常に進行している場合)でも、以下のメリットを有する。血管径の細い末梢血管では、ガイドワイヤ1の第二湾曲部32は、主枝の側壁と接触している場合が多い。第二湾曲部32が主枝の側壁と接触しているときに、医師がガイドワイヤ1を先端方向に押し込むと、ガイドワイヤ1の先端14が側枝に引っかかった場合と同様に、第二湾曲部32付近では、先端方向に押す力と外部方向に押す力とが作用する。この第二湾曲部32が主枝の側壁を外部方向に押す力の反作用を利用することで、ガイドワイヤ1の先端14をガイドワイヤ1の軸方向L1、L2から垂直方向に少し傾けた方向に向けることができる。特に、ガイドワイヤ1の先端14の高さが、第一湾曲部30側よりも第二湾曲部32側に位置している方が、反作用によるガイドワイヤ1の先端14の進行変更が行いやすいため、より好ましい。
【0031】
このように、外力が加えられていない状態において、ガイドワイヤ1の先端14が、本体部16の軸方向L1と平行するように第三湾曲部34から先端側に延びていて、かつ、第一湾曲部30よりも高く第二湾曲部32の位置よりも低い位置にあることで、末梢血管の主枝が急激に曲がっている場合でも、ガイドワイヤ1の進行方向を自由に変えることができるため、操作性の高いガイドワイヤ1を提供することができる。
【0032】
次に、本実施の形態のガイドワイヤ1を構成する各要素の材料について、説明するが、特に限定されるものではない。
【0033】
太径部11と、テーパー部12と、小径部13と、からなるコアシャフト10には、ステンレス鋼(SUS304、SUS316等)やNi−Ti合金等の超弾性合金を使用することができる。
【0034】
コイル体20の材料は、特に限定されるものでは無いが、本実施の形態の場合、ステンレス鋼が用いられている。また、コイル体20は、一本の素線で形成された単線コイル体、あるいは、複数の素線から形成された多条コイル体を使用することができる。多条コイル体は、単線コイル体に比べて、破断強度や柔軟性などの特性に優れているため、多条コイル体を用いる方が好ましい。多条コイル体として、複数の素線を中空状に撚合構成した中空コイル体、を用いることができる。
【0035】
先端固着部40と、中間固着部42と、後端固着部44には、ロウ材(アルミニウム合金ロウ、銀ロウ、金ロウ等)や金属ハンダ(Ag−Sn合金、Au−Sn合金等)等を使用することができる。
【0036】
なお、本実施の形態のガイドワイヤ1では、コアシャフト13bの外径をコアシャフト13aの外径及びコアシャフト13cの外径よりも細くすることで、第二湾曲部32を第一湾曲部30及び第三湾曲部34よりも柔軟な構造にしたが、この構成に限定されない。他の実施の形態のガイドワイヤ1aとして、
図2(a)及び
図2(c)に示したように、コアシャフト13dを平板形状としてもよい。コアシャフト13dの形状を平板状とすることで、塑性変形しにくい構成にすること
ができる。言い換えると、ガイドワイヤ1aを複数回用いた場合でも、第二湾曲部32の形状を維持しやすい構成にすることができる。
【0037】
さらに、他の実施の形態のガイドワイヤ1bとして、
図3に示したように、第一湾曲部30及び第三湾曲部34において、コアシャフト10の小径部13とコイル体20との間に、コイル体20とは別の第二コイル体21、22を備えた構成としてもよい。具体的には、ガイドワイヤ1bは、第一湾曲部30にコアシャフト13aの外周を第二コイル体21で覆った部分を設け、かつ、第三湾曲部34にコアシャフト13cの外周を第二コイル体22で覆った部分を設ける一方、第二湾曲部32ではコアシャフト13bの外周に第二コイル体を設けない構造になっているため、第二湾曲部32の柔軟性を第一湾曲部30及び第三湾曲部34よりも高くすることができる。
【0038】
なお、ガイドワイヤ1bでは、ガイドワイヤ1及びガイドワイヤ1aと同様に、コアシャフト10の小径部13を、第一湾曲部30と第二湾曲部32と第三湾曲部34とで外径を変えてもよいが、第二コイル体21、22により、第一湾曲部30の剛性及び第三湾曲部34の剛性を上げることできるため、コアシャフト10の小径部13は、第一湾曲部30と第二湾曲部32と第三湾曲部34とで外径を同じにした方が、製造が容易であるため、好ましい。
【0039】
なお、第二コイル体21、22を同じ材料で作製する場合、第三湾曲部34を第一湾曲部30よりも柔軟にするために、第二コイル体22の素線径を第二コイル体21の素線径よりも細くすればよい。第二コイル体21、22を異なる材料で作製する場合は、第三湾曲部34を第一湾曲部30よりも柔軟にするために、第二コイル体22の素線を第二コイル体21の素線よりも柔軟な材料を用いればよい。
【0040】
図3では図示していないが、固着部40、42、44と同じように、第二コイル体21、22の両端部をコアシャフト10の小径部13にロウ材やはんだ付けで固着してもよいし、別材料を用いずに両端部をレーザ等で溶接してもよい。
【0041】
以上で述べたように、ガイドワイヤ1、1a、1bでは、第二湾曲部32の柔軟性が第一湾曲部30及び第三湾曲部34よりも高いために、第二湾曲部32付近が大きく撓むことができる。これにより、ガイドワイヤ1の先端14は、側枝に引っかかった状態から解放され、第二湾曲部32を支点とした先端領域15の回転が防止される。
【符号の説明】
【0042】
1、1a、1b ガイドワイヤ
10 コアシャフト
11 大径部
12 テーパー部
13 小径部
14 先端
15 先端領域
16 本体部
20 コイル体
21、22 第二コイル体
30、32、34 湾曲部
40、42、44 固着部
50 分岐部