【実施例1】
【0018】
〔実施例1の構成〕
実施例1のガイドワイヤ1の構成を、
図1、
図2を用いて説明する。
図1、
図2において、右側が先端側、左側が後端側である。
ガイドワイヤ1は、コアシャフト2と、コアシャフト2と並行に配された撚線3と、コアシャフト2及び撚線3が貫挿される外側可撓管体4と、外側可撓管体4の内側に設けられた中空撚線コイル5とを備え、コアシャフト2及び撚線3を中空撚線コイル5に貫挿し、さらに、これらを外側可撓管体4内に貫挿してなる。
【0019】
コアシャフト2は、ステンレス合金で形成されており、後端側に太径の把持部21を有し、先端側に細径の先端部22を有する。コアシャフト2の先端部22は段階的に細くなっており、段部23を介して径小にされた径小部25を有する。尚、本実施例では、例えば、径小部25の外径は0.03mmである。
【0020】
撚線3は、複数本のステンレス線材等の金属素線を撚合して形成されている。本実施例では、例えば、外径0.014mmのステンレス素線を7本撚合して形成されている。
撚線3はコアシャフト2の先端部22と並行に配されており、撚線3の先端はコアシャフト2及び後述する中空撚線コイル5の先端とともに外側可撓管体4の先端の先端ロー付け部41にはんだ付けされており、撚線3の後端はコアシャフト2の径小部25の後端よりも後端側に位置し、撚線3の後端部は、段部23の後端側において、コアシャフト2とともに中空撚線コイル5にはんだ付けされている(はんだ付け部7)。
【0021】
外側可撓管体4は、ステンレス素線により形成された単コイルであり、本実施例では、例えば、外径0.05mmのステンレス素線で単コイルの外径0.355mmに形成されている。また、外側可撓管体4は、先端側により柔軟性を与えるために先端側のみコイルピッチが広げられている。尚、外側可撓管体4は、可撓性を有していればよく単コイルに限らず、中空撚線コイル、樹脂チューブ等であってもよい。
【0022】
外側可撓管体4は、コアシャフト2の先端側のみに外装されて外側可撓管体4の後端42がコアシャフト2の後端側の太径部分の外周面に固着されている。また、外側可撓管体4の外周面には、親水性の樹脂被覆が施されている。
【0023】
中空撚線コイル5は、複数本のステンレス素線をロープ撚線機を用いてロープ状に撚り合わせて、中心材を抜いた中空形態、または、複数の素線を中空状に撚合構成した形態となっている。本実施例では、例えば、柔軟性とトルク伝達性のバランスを良好にするため、外径0.04mmのステンレス素線を6本撚合して外径0.188mmに形成されている。
また、中空撚線コイル5の先端部52は、電解研磨により外径が先端に向かって小さくなるテーパ状に加工されている。尚、中空撚線コイル5の内径は後端から先端にかけて一定である。
【0024】
中空撚線コイル5は、外側可撓管体4の内径よりも小さい外径に形成され、軸方向長さは外側可撓管体4よりも小さく、軸方向において、中空撚線コイル5の後端53は外側可撓管体4の後端42よりも先端側に位置する。そして、中空撚線コイル5と外側可撓管体4とは少なくとも1箇所で、互いの相対位置を固定するために固着されている。本実施例では、段部23の位置で中空撚線コイル5と外側可撓管体4と撚線3とコアシャフト2がはんだ付けにより固着されている(はんだ付け部8)。また、軸方向において撚線3の後端位置より後端側でも中空撚線コイル5と外側可撓管体4とが固着されている(はんだ付け部9)。
【0025】
また、コアシャフト2及び撚線3の関係では、中空撚線コイル5の後端53は、コアシャフト2の段部23よりも後端側、且つ撚線3の後端より後端側に位置する。そして、上述したように中空撚線コイル5の先端は、コアシャフト2及び撚線3の先端とともに外側可撓管体4の先端の先端ロー付け部41に固着され、中空撚線コイル5の後端53は、コアシャフト2の外周面に固着されている。
【0026】
〔実施例1の作用効果〕
本実施例のガイドワイヤ1では、コアシャフト2の先端部22に並行して撚線3が配されている。そして、コアシャフト2の先端部22が先端に向かって段階的に細くなっている。ここで、撚線3は素線間で相対的に微小な移動が可能であるため、自由度があり、柔軟性が高い上、塑性変形し難く、復元性が高い。このため、柔軟性確保のため細径にしたコアシャフト2の先端部22と並行に、塑性変形し難い撚線を設けることで、ガイドワイヤ1の柔軟性を確保しつつU字屈曲からの復元性が向上する。
【0027】
また、ガイドワイヤ1は、外側可撓管体4の内側でコアシャフト2の先端部22及び撚線3を囲う中空撚線コイル5を備え、中空撚線コイル5は、コアシャフト2及び撚線3の先端とともに外側可撓管体4の先端と接合されている。多条の中空撚線コイル5は、単コイルと比較して、トルク伝達性がよいので、中空撚線コイル5の先端を外側可撓管体4の先端に接合してガイドワイヤ1の先端部に配置することで、手元側の操作を先端側にスムーズに伝えることができる。このため、使用者の狙い通りにガイドワイヤが操作できるので、治療時間を短縮できる。また、この中空撚線コイル5は単コイルと比較して復元性にも優れているので、コアシャフト2と撚線3の外周を囲うことで、ガイドワイヤ1の先端部の復元性を向上させることができる。
【0028】
また、中空撚線コイル5の先端部52が、先端に向かって徐々に細くなるテーパ状に形成されているため、ガイドワイヤ1が後端側に向けて徐々に剛性が高くなる剛性徐変構造となり、剛性の急激な変化による応力集中の発生をより低減することができ、トルク伝達性が向上する。また、中空撚線コイル5の先端側の径を細くすることで、ガイドワイヤ1の柔軟性が向上し、管腔抹消部への挿入性が向上する。
【0029】
また、中空撚線コイル5の内径が先端から後端にかけて一定であるため、コアシャフト2及び撚線3の中空撚線コイル5への挿入が容易となり、好適なガイドワイヤ1の組み付けを容易にすることができる。
【0030】
また、中空撚線コイル5を形成する金属素線は、ステンレス合金で形成されているので、中空撚線コイル5の剛性を高めることができ、ガイドワイヤ1のトルク伝達性及び操作性を向上することができる。
【0031】
〔変形例〕
実施例1では、コアシャフト2の先端部22が先端に向かって段階的に細くなっていたが、先端に向かってテーパ状に細くしてもよい。
【0032】
実施例1では、コアシャフト2をステンレス合金で形成していたが、コアシャフト2の先端部分(少なくとも径小部25)を復元性に優れている擬弾性合金(例えば、Ni−Ti合金)で形成し、後端側をステンレス合金で形成してもよい。これによれば、ガイドワイヤ1の先端部の復元性を向上させることができるとともに、トルク伝達性及び操作性を向上することができる。
【0033】
また、
図3に示すように、径小部25の先端部分をステンレス合金で形成し(第1先端部26)、径小部25の後端部分を擬弾性合金で形成し(第2先端部27)、径小部25よりも後端側のコアシャフト2をステンレス合金で形成してもよい。これによれば、擬弾性合金によりコアシャフト2の先端部22の復元性を向上させることができる。また、擬弾性合金で形成された部分(第2先端部27)の先端側及び後端側の両方にステンレス合金で形成された部分を設けることにより、後端側のトルクを確実に先端側に伝達することができ、トルク伝達性及び操作性をさらに向上することができる。
【0034】
また、実施例1では、中空撚線コイル5の先端部52が先端に向かってテーパ状に細くなっていたが、先端に向かって段階的に細くしてもよい。
【0035】
また、実施例1では、中空撚線コイル5をステンレス素線のみで形成していたが、擬弾性合金素線のみで形成してもよい。これによれば、中空撚線コイル5の復元性をさらに高めることができる。また、ステンレス素線と擬弾性合金素線を組み合わせて中空撚線コイル5を形成してもよい(例えば、3本のステンレス素線と3本の擬弾性合金素線の組み合わせ)。これによれば、ステンレス素線で中空撚線コイル5の剛性を高め、擬弾性合金素線で中空撚線コイル5の復元性を高めることができる。このため、ガイドワイヤ1のトルク伝達性、操作性、及び復元性を向上することができる。
【0036】
実施例1のガイドワイヤ1は、コアシャフト2の先端側のみを外側可撓管体4が囲う構造であったが、外側可撓管体4がコアシャフト2の全体に外装される構造であってもよい。