(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5780551
(24)【登録日】2015年7月24日
(45)【発行日】2015年9月16日
(54)【発明の名称】マイクロホン装置
(51)【国際特許分類】
H04R 1/00 20060101AFI20150827BHJP
H04R 3/00 20060101ALI20150827BHJP
H04R 17/02 20060101ALI20150827BHJP
H04R 9/08 20060101ALI20150827BHJP
H04R 19/04 20060101ALI20150827BHJP
H04R 19/01 20060101ALI20150827BHJP
【FI】
H04R1/00 327Z
H04R3/00 320
H04R17/02
H04R9/08
H04R19/04
H04R19/01
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-43958(P2012-43958)
(22)【出願日】2012年2月29日
(65)【公開番号】特開2013-183196(P2013-183196A)
(43)【公開日】2013年9月12日
【審査請求日】2014年12月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000128566
【氏名又は名称】株式会社オーディオテクニカ
(74)【代理人】
【識別番号】100101878
【弁理士】
【氏名又は名称】木下 茂
(72)【発明者】
【氏名】秋野 裕
【審査官】
松田 直也
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−261534(JP,A)
【文献】
実開昭61−206393(JP,U)
【文献】
特開2010−171880(JP,A)
【文献】
実開平03−002793(JP,U)
【文献】
特開平10−056682(JP,A)
【文献】
特開2007−267331(JP,A)
【文献】
特開平10−079999(JP,A)
【文献】
特開2011−135481(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/00
H04R 3/00
H04R 9/08
H04R 17/02
H04R 19/01
H04R 19/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
音声マイクロホンと咽喉マイクロホンおよび切り換え選択スイッチとが備えられ、前記切り換え選択スイッチは、少なくとも第1ないし第3の選択モードが選択可能に構成され、第1選択モードにおいて前記音声マイクロホンによる出力のみを出力端子に導出し、第2選択モードにおいて前記音声マイクロホンによる出力に前記咽喉マイクロホンによる出力を加算した出力を前記出力端子に導出すると共に、第3選択モードにおいて前記咽喉マイクロホンによる出力のみを前記出力端子に導出するように構成したことを特徴とするマイクロホン装置。
【請求項2】
前記咽喉マイクロホンとして、圧電素子を音声信号出力源として利用したことを特徴とする請求項1に記載されたマイクロホン装置。
【請求項3】
前記音声マイクロホンとしてコンデンサマイクロホンもしくはダイナミックマイクロホンを用いたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載されたマイクロホン装置。
【請求項4】
前記音声マイクロホンとしてコンデンサマイクロホンを用いた場合における前記第2選択モードにおいては、前記コンデンサマイクロホンのインピーダンス変換器の出力端子に前記咽喉マイクロホンの圧電素子を直列接続することで、前記音声マイクロホンによる出力に前記咽喉マイクロホンによる出力を加算した出力を前記出力端子に導出するように構成したことを特徴とする請求項2に記載されたマイクロホン装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、騒音の程度に応じて咽喉マイクロホンおよび音声マイクロホンの機能をそれぞれ生かすことができるマイクロホン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、高騒音下においては咽喉マイクロホンを利用することが提案されている。この咽喉マイクロホンは、例えば圧電素子を利用して咽喉部の振動を電気信号に変換するものであり、周囲の騒音に影響されることなく、発声音を集音することができる。(例えば、特許文献1参照)
しかしながら、この咽喉マイクロホンは喉の部分の振動を検出することから、音声の摩擦音や破裂音等が集音できず、音声の明瞭度が低下する。
【0003】
一方、前記した音声マイクロホンとしては、小型であるという特質を生かしてコンデンサマイクロホンが多く用いられている。特にエレクトレットコンデンサ型マイクロホンは、成極電圧をユニットに加える必要がないために、単一指向性の接話型マイクロホンとして利用するには都合が良い。
この音声(接話)マイクロホンは、比較的騒音が低い環境下において明瞭度の高い集音特性を発揮することができる。(例えば、特許文献2参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−79999号公報
【特許文献2】特開2011−135481号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上のように高い騒音下においては咽喉マイクロホンを利用するのが好ましく、比較的低い騒音下においては音声マイクロホンを接話型マイクロホンとして利用することで、それぞれの特質を生かすことができ、騒音の程度により個別のセットになされた両者を使い分ける必要があった。
【0006】
したがって、騒音が高い場所と騒音が低い場所との間を移動する場合、もしくは同一の場所においても騒音のレベルが頻繁に変化する環境においては、前記した咽喉マイクロホンおよび音声マイクロホンをそれぞれ使い分けをするために、その扱いがきわめて煩わしいものとなる。
【0007】
この発明は、前記した問題点に着目してなされたものであり、騒音が高い場合には咽喉マイクロホンのみの出力が導出され、騒音が中程度の場合には咽喉マイクロホンと音声マイクロホンとの合成された出力が導出され、騒音が低い(軽微な)場合には、音声マイクロホンのみの出力が導出されるように構成することで、いずれの騒音下においても、それぞれのマイクロホンの特質を生かした音声出力を得ることができるマイクロホン装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記した課題を解決するためになされたこの発明にかかるマイクロホン装置は、音声マイクロホンと咽喉マイクロホンおよび切り換え選択スイッチとが備えられ、前記切り換え選択スイッチは、少なくとも第1ないし第3の選択モードが選択可能に構成され、第1選択モードにおいて前記音声マイクロホンによる出力のみを出力端子に導出し、第2選択モードにおいて前記音声マイクロホンによる出力に前記咽喉マイクロホンによる出力を加算した出力を前記出力端子に導出すると共に、第3選択モードにおいて前記咽喉マイクロホンによる出力のみを前記出力端子に導出するように構成したことを特徴とする。
【0009】
この場合、前記咽喉マイクロホンとしては、圧電素子を音声信号出力源として利用した構成を好適に採用することができる。また、前記音声マイクロホンとしてコンデンサマイクロホンもしくはダイナミックマイクロホンを好ましくは接話型マイクロホンとして用いた構成を好適に採用することができる。
【0010】
そして、好ましい実施の形態においては、前記音声マイクロホンとしてコンデンサマイクロホンを用いた場合における前記第2選択モードにおいては、前記コンデンサマイクロホンのインピーダンス変換器の出力端子に前記咽喉マイクロホンの圧電素子を直列接続することで、前記音声マイクロホンによる出力に前記咽喉マイクロホンによる出力を加算した出力を前記出力端子に導出するように構成される。
【発明の効果】
【0011】
この発明にかかる前記したマイクロホン装置によると、騒音の程度に応じて切り換え選択スイッチを利用して第1選択モードないし第3選択モードを選択することができる。
これにより、第1選択モードを選択した場合には、例えば接話型の音声マイクロホンによる出力のみを利用することができ、明瞭度の高い音声信号を得ることができる。
また第2選択モードを選択した場合には、前記音声マイクロホンによる出力に咽喉マイクロホンによる出力を加算した出力を利用することができ、騒音により打ち消される明瞭度の高い音声信号を、騒音の影響を受けにくい咽喉マイクロホンによる出力によりカバーすることができる。
【0012】
さらに、第3選択モードを選択した場合には、咽喉マイクロホンによる出力のみを利用することができるので、高い騒音下においても音声信号を伝達する機能を発揮することができる。
以上のように、例えば接話型の音声マイクロホンおよび咽喉マイクロホンの各セットを装着し直すことなく、騒音に応じて各マイクロホンの機能をそれぞれ生かすことができるマイクロホン装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】この発明に係るマイクロホン装置の第1の実施の形態を示したブロック図である。
【
図2】同じく第2の実施の形態を示したブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明にかかるマイクロホン装置について、図に示す実施の形態に基づいて説明する。まず
図1は第1の実施の形態を示したものであり、これは音声マイクロホンとしてエレクトレットコンデンサマイクロホンを用いた例を示すものである。
符号M1は、音声マイクロホンとして機能するエレクトレットコンデンサマイクロホンユニットを示しており、このマイクロホンユニットM1は、単一指向性の接話マイクロホンとして利用される。
【0015】
符号BAは、前記マイクロホンユニットM1のインピーダンス変換器として動作するバッファアンプであり、これはバイアス回路内蔵型のFETQ1が具備されており、FETQ1のドレインには直流駆動電源E1が接続されている。またFETQ1のソースにはソース抵抗が接続されてソースフロアー回路を構成しており、したがって前記FETQ1のソースが前記コンデンサマイクロホンのインピーダンス変換器における出力端子T1を構成している。
なお、FETQ1のゲートとソースとの間に逆並列で接続されたダイオードD1,D2および抵抗Rbは、FETQ1のゲートバイアスを生成するものである。
【0016】
前記したインピーダンス変換器の出力端子T1として機能するFETQ1のソースには直流成分をカットするカップリングコンデンサC1の一端が接続され、その他端は連動型の切り換え選択スイッチのうちの第1スイッチSW1における第1被選択端子Mに接続されている。
また、インピーダンス変換器の出力端子として機能するFETQ1のソースには、咽喉マイクロホンとして機能する圧電素子M2の一端が接続され、その他端は前記第1スイッチSW1における第2被選択端子Bおよび第3被選択端子Pに接続されている。
【0017】
前記第2スイッチSW2の第1被選択端子Mおよび第2被選択端子Bは、基準電位点(アース)に接続されており、第2スイッチSW2の第3被選択端子Pは、インピーダンス変換器の出力端子T1として機能するFETQ1のソースに接続されている。
そして、前記第1スイッチSW1の選択端子は、音声信号出力端子OUTとされ、前記第2スイッチSW2の選択端子は、基準電位点(アース)に接続されている。
【0018】
なお、咽喉マイクロホンとして機能する前記圧電素子M2としては、静電容量の大きな積層型を利用することが望ましく、好ましくは静電容量が1000nF程度のものが利用される。
これによれば前記圧電素子M2が、インピーダンス変換器の出力端子T1からもたらされるマイクロホンユニットM1による音声信号に対して比較的インピーダンスが低いカップリングコンデンサとして機能すると共に、圧電素子M2による咽喉マイクロホンとしての音声出力を、コンデンサマイクロホンの音声出力に対して効果的に加算する機能を果たすことができる。
【0019】
図1に示した以上の構成において、第1スイッチSW1および第2スイッチSW2は、前記したとおり連動型の切り換え選択スイッチを構成しており、第1および第2スイッチSW1,SW2が、第1被選択端子Mを選択する第1選択モードにおいて、接話型音声マイクロホンによる出力のみを出力端子OUTに導出するようになされる。
【0020】
すなわち、第1選択モードにおいては、マイクロホンユニット(音声マイクロホン)M1による出力がバッファアンプBAによりインピーダンス変換され、カップリングコンデンサC1および第1スイッチSW1を介して出力端子OUTにもたらされる。
この時、第2スイッチSW2は、基準電位を選択することになり、第1スイッチSW1の選択動作には影響しない。
【0021】
また、前記第1および第2スイッチSW1,SW2が、第2被選択端子Bを選択する第2選択モードにおいては、マイクロホンユニット(音声マイクロホン)M1による出力に、咽喉マイクロホン(圧電素子M2)による出力を加算した出力を前記出力端子OUTに導出するようになされる。
【0022】
すなわち、第2選択モードにおいては、マイクロホンユニットM1による出力が、FETQ1のソースにインピーダンス変換されて出力され、当該ソースに前記咽喉マイクロホンの圧電素子M2が直列接続されて、マイクロホンユニットM1による出力に、咽喉マイクロホン(圧電素子M2)による出力が加算され、第1スイッチSW1を介して出力端子OUTにもたらされる。
この時、第2スイッチSW2は、基準電位を選択することになり、第1スイッチSW1の選択動作には影響しない。
【0023】
また、前記第1および第2スイッチSW1,SW2が、第3被選択端子Pを選択する第3選択モードにおいては、前記咽喉マイクロホン(圧電素子M2)による出力のみが前記出力端子OUTに導出するようになされる。
すなわちこの場合には、前記第2スイッチSW2は基準電位を選択し、咽喉マイクロホンを構成する圧電素子M2の一端を基準電位に設定する。また前記第1スイッチSW1は咽喉マイクロホンを構成する圧電素子M2の他端を選択するので、咽喉マイクロホンM2による出力のみが第1スイッチSW1を介して出力端子OUTにもたらされる。
【0024】
以上のとおり、前記した第1の実施の形態に係るマイクロホン装置によれば、騒音の程度に応じて切り換え選択スイッチを第1ないし第3選択モードに設定することで、いずれの騒音下においても、接話型の音声マイクロホンおよび咽喉マイクロホンの特質を生かした音声出力を得ることができ、前記した発明の効果の欄に記載したとおりの作用効果を得ることができる。
【0025】
次に
図2は、第2の実施の形態を示したものであり、これは音声マイクロホンとしてダイナミックマイクロホンを用いた例を示すものである。
なお、
図2においては前記した
図1に示す各部と同一の機能を果たす部分を同一符号で示している。したがって、重複する説明は省略する。
【0026】
この
図2に示す実施の形態によれば、音声マイクロホンとしてダイナミックマイクロホンM3が単一指向性の接話型マイクロホンとして利用されている。したがって、この実施の形態によれば、
図1に示したインピーダンス変換器を構成するバッファアンプBAおよびバッファアンプを駆動する直流駆動電源E1などは不要となり、その構成はより簡素化される。
【0027】
すなわち、ダイナミックマイクロホンM3による音声マイクロホンの出力端子T1は、連動型の切り換え選択スイッチのうちの第1スイッチSW1における第1被選択端子Mに接続されている。
また、前記音声マイクロホンM3の出力端子T1には、咽喉マイクロホンを構成する圧電素子M2の一端が接続され、前記圧電素子M2の他端は、前記第1スイッチSW1における第2被選択端子Bおよびに第3被選択端子Pに接続されている。
一方、連動型の切り換え選択スイッチのうちの第2スイッチSW2における第3被選択端子Pには、前記音声マイクロホンM3の出力端子T1が接続されている。
【0028】
図2に示した以上の構成において、連動する前記第1および第2スイッチSW1,SW2が、第1被選択端子Mを選択する第1選択モードにおいては、音声マイクロホンM3による出力のみを出力端子OUTに導出するようになされる。
すなわち、第1選択モードにおいては、ダイナミックマイクロホン(音声マイクロホン)M3の出力端子T1が第1スイッチSW1を介して出力端子OUTに接続される。
この時、第2スイッチSW2は、未選択となり第1スイッチSW1の選択動作には影響しない。
【0029】
また、前記第1および第2スイッチSW1,SW2が、第2被選択端子Bを選択する第2選択モードにおいては、ダイナミックマイクロホン(音声マイクロホン)M1による出力に、咽喉マイクロホン(圧電素子M2)による出力を加算した出力を前記出力端子OUTに導出するようになされる。
【0030】
すなわち、第2選択モードにおいては、ダイナミックマイクロホンM3による出力端子T1に、前記咽喉マイクロホンの圧電素子M2が直列接続されて、マイクロホンM3による出力に、咽喉マイクロホン(圧電素子M2)による出力が加算され、第1スイッチSW1を介して出力端子OUTにもたらされる。
この時、第2スイッチSW2は、未選択となり第1スイッチSW1の選択動作には影響しない。
【0031】
また、前記第1および第2スイッチSW1,SW2が、第3被選択端子Pを選択する第3選択モードにおいては、前記咽喉マイクロホン(圧電素子M2)による出力のみが前記出力端子OUTに導出するようになされる。
すなわちこの場合には、前記第2スイッチSW2は基準電位を選択し、咽喉マイクロホンを構成する圧電素子M2の一端を基準電位に設定する。また前記第1スイッチSW1は咽喉マイクロホンを構成する圧電素子M2の他端を選択するので、咽喉マイクロホンM2による出力のみが第1スイッチSW1を介して出力端子OUTにもたらされる。
【0032】
以上のとおり、前記した第2の実施の形態に係るマイクロホン装置においても、騒音の程度に応じて切り換え選択スイッチを第1ないし第3選択モードに設定することで、いずれの騒音下においても、接話型の音声マイクロホンおよび咽喉マイクロホンの特質を生かした音声出力を得ることができ、前記した発明の効果の欄に記載したとおりの作用効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0033】
BA バッファアンプ(インピーダンス変換器)
C1 カップリングコンデンサ
E1 直流駆動電源
M1 エレクトレットコンデンサマイクロホンユニット
M2 咽喉マイクロホン(圧電素子)
M3 ダイナミックマイクロホン
OUT 出力端子
Q1 FET
Rs ソース抵抗
SW1 第1スイッチ(切り換え選択スイッチ)
SW2 第2スイッチ(切り換え選択スイッチ)
T1 音声マイクロホン出力端子