(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記障害推定部は、前記集計された呼処理履歴情報のうち、正常に処理が完了した呼の比率を第1の閾値と比較した結果に基づいて、前記無線基地局の異常の有無を推定することを特徴とする請求項1に記載の障害監視装置。
前記集計部は、前記集計期間内に集計された呼処理履歴情報の数が所定の最低呼量に満たない場合、前記集計期間を延長することを特徴とする請求項1又は2に記載の障害監視装置。
前記障害監視装置は、前記推定された障害要因を、前記無線基地局の不揮発性記憶装置に格納するために出力することを特徴とする請求項1から5のいずれか一つに記載の障害監視装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
【0014】
<実施形態1>
図1は、本発明の実施形態の移動体通信システムの構成を示すブロック図である。
【0015】
本実施形態の移動体通信システムは、複数の無線基地局(BS)20−i(i=1〜n)、基地局制御装置30及び監視装置40を有する。
【0016】
無線基地局20−iは、無線送受信器及び制御部(プロセッサ、メモリ、不揮発性記憶装置)を有し、移動端末(AT)10−i(i=1〜n)と無線チャネルで通信し、移動端末10−iを基地局制御装置30及び移動通信交換局80を経由して、交換網NWに接続された通信相手装置に接続する。
【0017】
基地局制御装置30は、無線基地局20−iの動作、すなわち、移動端末10−iとの通信(例えば、発呼、着呼)を制御する。基地局制御装置30は、移動通信交換機80と接続される。移動通信交換機80は、各無線基地局20−i(移動端末10−i)からの通信を、交換網NWに接続する交換機である。
【0018】
監視装置40は、本実施形態の移動体通信システムに発生する障害を監視する障害監視装置であり、その構成の詳細は
図3を用いて後述する。監視装置40は、保守員端末70と接続される。保守員端末70は、プロセッサ、メモリ、ユーザインタフェース(表示部、入力部)及び通信インタフェースを有する計算機端末で、無線基地局20−iの障害の情報を監視装置40から受信する。
【0019】
図2は、本発明の実施形態の無線基地局20−iの呼処理のシーケンス図である。
【0020】
移動端末10−iは、近隣の無線基地局20−iに接続する時、通信経路を確立するためにアドレス取得要求を送信する(SQ01)。移動端末10−iから送信されたアドレス取得要求は、無線基地局20−iを介して、基地局制御装置30に転送される(SQ02)。
【0021】
基地局制御装置30は、移動端末10−iから送信されたアドレス取得要求を受信すると、要求元の移動端末10−iにアドレスを割り当て、割り当てたアドレスを含む応答メッセージを移動端末10−iに返送する(SQ03)。基地局制御装置30から送信された応答メッセージは、無線基地局20−iを介して移動端末10−iに転送される(SQ04)。移動端末10−iは、基地局制御装置30から送信された応答メッセージを受信すると、アドレス設定完了通知を無線基地局20−iに送信する(SQ05)。アドレス設定完了通知は、無線基地局20−iを介して、基地局制御装置30に転送される(SQ06)。
【0022】
その後、移動端末10−iは、他の端末装置と通信する時、無線基地局20−iに呼接続要求を送信する(SQ10)。移動端末10−iから送信された呼接続要求は、無線基地局20−iから基地局制御装置30を介して移動通信交換局80に転送され(SQ11、SQ12)、移動通信交換局80から通信相手装置に転送される。通信相手装置が応答すると、応答メッセージが、移動通信交換局80、基地局制御装置30、無線基地局20−iを介して、移動端末10に転送され(SQ13〜SQ15)、移動端末10と通信相手装置とが通信状態になる。
【0023】
移動端末10−iは、通信を終了した時、呼切断要求を送信する(SQ20)。移動端末10−iから送信された呼切断要求は、無線基地局20−i及び基地局制御装置30を介して、移動通信交換局80に転送される(SQ21、SQ22)。
【0024】
無線基地局20−iは、前述した呼制御手順の実行過程で、所定の制御メッセージを受信した場合、移動端末毎の呼状態を示す履歴情報を記録する呼処理履歴の収集機能200を有する。
【0025】
図3は、本発明の実施形態の監視装置40及び無線基地局20−iのブロック図である。
【0026】
監視装置40は、プロセッサ41、入出力装置42、通信インタフェース43、端末インタフェース44、メモリ45及びメモリ46を有する。これらの要素は、内部バス47によって相互に接続されている。
【0027】
プロセッサ41は、メモリ46に格納されたプログラムを実行する。入出力装置42は、ヒューマンインタフェースであり、例えば、キーボード、マウスなどの入力装置及びディスプレイ、プリンタなどの出力装置である。
【0028】
通信インタフェース43は、無線基地局20−i及び基地局制御装置30と通信するためのネットワークインタフェースである。端末インタフェース44は、保守員端末70と接続するための通信インタフェースである。なお、通信インタフェース43と端末インタフェース44は、物理的又は論理的に一つのインタフェースでもよい。
【0029】
メモリ45は、データを格納する記憶装置であり、プログラムの実行時にプロセッサ41によって使用されるデータである、構成情報テーブル51、閾値テーブル52、呼処理履歴ファイル53、呼処理集計値ファイル54及び選択テーブル55を格納する。
【0030】
構成情報テーブル51は、監視装置40の監視下にある移動体通信システム中の構成情報を格納するデータベースで、その詳細は
図4を用いて後述する。閾値テーブル52は、基地局の障害を検知するために用いられる閾値を格納するデータベースで、その詳細は
図5を用いて後述する。呼処理履歴ファイル53は、各無線基地局20−iから収集した呼処理履歴情報を格納するデータベースで、その詳細は
図6を用いて後述する。呼処理集計値ファイル54は、呼処理履歴情報を集計した結果(例えば、正常呼処理数、異常呼処理数、呼処理コード毎の呼処理数)を格納する。呼処理コード発生パターン選択テーブル55は、障害要因毎に呼処理コードの発生比率を格納するデータベースで、その詳細は
図7を用いて後述する。
【0031】
メモリ46は、プログラムを格納する記憶装置であり、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)のような高速かつ揮発性の記憶装置であり、オペレーティングシステム(OS)、アプリケーションプログラム及び各種プログラムの実行時に使用されるデータを格納する。プロセッサ41が、オペレーティングシステムを実行することによって、監視装置40の基本機能が実現され、アプリケーションプログラム(各ルーチン61〜68)を実行することによって、監視装置40が提供する機能が実現される。
【0032】
メモリ46は、プロセッサ41が実行するプログラムである、主制御ルーチン61、呼処理履歴収集ルーチン62、障害BS検出ルーチン63、集計期間特定ルーチン64、呼処理数集計ルーチン65、被疑BS推定ルーチン66、障害判定ルーチン67及び障害尤度判定ルーチン68を格納する。
【0033】
主制御ルーチン61は、呼処理履歴収集ルーチン62を繰り返し(例えば、5分周期などの所定の時間間隔で)起動し、また、構成情報テーブル51に格納された基地局IDを指定して、障害BS検出ルーチン63を起動する。
【0034】
呼処理履歴収集ルーチン62は、各無線基地局20−iから呼処理履歴情報21を収集し、収集結果を呼処理履歴ファイル53に格納する。各無線基地局20−iは、例えば、通話状態に至った呼は正常処理呼とし、発呼から所定時間Tが経過しても通話状態にならない呼は異常処理呼として、監視装置40に報告する。なお、現在処理中の呼は、次回以後の周期に報告される。
【0035】
障害BS検出ルーチン63は、呼処理コードの集計結果から、障害が発生していると推定される無線基地局20−iの部分(被擬モジュール)を特定する。障害BS検出ルーチン63による処理の詳細は
図8を用いて後述する。
【0036】
集計期間特定ルーチン64は、障害BS検出ルーチン63から起動され、障害が発生していると推定される無線基地局20−i(被擬モジュール)を特定するために、呼処理コードを集計する期間を、当該期間中の呼量によって、特定する。集計期間特定ルーチン64による処理の詳細は
図9を用いて後述する。
【0037】
呼処理数集計ルーチン65は、障害BS検出ルーチン63から起動され、集計期間内の正常呼処理数と異常呼処理数とを集計する。被疑BS推定ルーチン66は、障害BS検出ルーチン63から起動され、集計された異常呼処理数によって、障害が発生している無線基地局の有無を推定する。
【0038】
障害判定ルーチン67は、障害BS検出ルーチン63から起動され、障害が発生していると推定される無線基地局を特定する。障害尤度判定ルーチン68は、障害BS検出ルーチン63から起動され、可能性が高い障害を特定する。
【0039】
なお、本実施形態ではメモリ45、46を別の要素として図示したが、メモリ45及び46は、物理的に一つのメモリの異なる領域でもよい。
【0040】
また、監視装置40は、メモリ45、46の他に、記憶部を有してもよい。記憶部は、例えば、磁気ディスク装置、フラッシュメモリ等の大容量かつ不揮発性の記憶装置であり、プロセッサ41によって実行されるプログラム及びプログラム実行時に使用されるデータを格納する。この場合、プロセッサ41によって実行されるプログラムは、記憶部から読み出され、メモリ46にロードされて、プロセッサ41によって実行される。
【0041】
監視装置40は、物理的に一つの計算機上に構築されても、物理的には一つ又は複数の計算機上に構成された論理区画上に構築されてもよい。
【0042】
無線基地局20−iは、その不揮発性記憶装置に呼処理履歴情報21及び障害履歴情報22を格納する。無線基地局20−iは、障害監視機能を有する。障害監視機能は、無線基地局20−iに発生した異常を検知し、検知した異常を保守監視装置40に送る。
【0043】
呼処理履歴情報21は、無線基地局20−iによる呼の処理結果が格納されるファイルであり、その形式は、監視装置40に格納される呼処理履歴ファイル53と同じでよい。監視装置40の呼処理履歴収集ルーチン62は、無線基地局20−iの呼処理履歴情報21を収集し、呼処理履歴ファイル53に格納する。
【0044】
障害履歴情報22は、監視装置40の障害判定ルーチン67で判定された結果(障害発生推定結果)が監視装置40から送信され、無線基地局20−iに格納されたものである。なお、障害履歴
情報22は、第1の実施形態では必須の要素ではなく、後述する第2の実施の形態で使用される。
【0045】
図4は、本発明の実施形態の構成情報テーブル51の構成例を説明する図である。
【0046】
構成情報テーブル51は、無線基地局20−iの状態情報が記憶されており、基地局ID511、運用状態512、近傍基地局ID513、キャリアID514、セクタID515及び閉塞状態516を含む。
【0047】
基地局ID511は、無線基地局20−iを一意に識別するための識別子である。運用状態512は、無線基地局20−iの運用状態であり、例えば、運用中であることを示す「運用」、工事中であることを示す「工事」などが格納される。近傍基地局ID513は、当該無線基地局とエリアが隣接する基地局を一意に識別するための識別子である。キャリアID514は、当該無線基地局が使用可能なキャリアを一意に識別するための識別子である。セクタID515は、当該無線基地局のセクタを一意に識別するための識別子である。閉塞状態516は、当該無線基地局の無線信号の送受信の状態であり、例えば、無線信号を送受信可能な「閉塞解除」、無線信号を送受信不可能な「閉塞」などが格納される。
【0048】
図5は、本発明の実施形態の閾値テーブル52の構成例を説明する図である。
【0049】
閾値テーブル52は、集計期間521、最低呼量522、閾値TH1(523)及び閾値TH2(524)を含む。
【0050】
集計期間521は、呼の状態を示す呼処理履歴情報を集計する期間であり、本実施形態では、30分、60分、90分、120分の4段階となっている。最低呼量522は、各無線基地局20−iで処理した呼の量(正常呼処理数と異常呼処理数との合計値)であり、集計期間521内に各無線基地局20−iから収集された呼処理の数が満たすべき最低量を示す。
【0051】
閾値TH1(523)は、正常に完了した呼の比率を用いて無線基地局に障害が発生しているかを推定するための閾値であり、障害BS検出ルーチン(
図8)のステップ662で使用される。閾値TH2(524)は、隣接する無線基地局との呼処理履歴情報の集計結果との差を用いて無線基地局に障害が発生しているかを推定するための閾値であり、障害BS検出ルーチン(
図8)のステップ674で使用される。
【0052】
なお、閾値TH1(523)及び閾値TH2(524)は、基地局毎に異なる値を設定してもよい。例えば、無線基地局20−iが設置された環境に応じて異なる値を設定してもよい。
【0053】
後述するように、集計期間内(例えば、30分)において処理された呼の量が最低呼量未満である場合、障害が発生しているかを判定せず、集計期間を延長して、次の集計期間(例えば、60分)において処理された呼の量を判定し、当該期間において処理された呼の量が最低呼量に達している場合、処理された呼を分析した結果に基づいて、障害が発生しているかを判定する。
【0054】
なお、閾値テーブル52へ格納されるデータは、入出力装置42又は保守員端末70から入力される。
【0055】
図6は、本発明の実施形態の呼処理履歴ファイル53の構成例を説明する図である。
【0056】
呼処理履歴ファイル53は、基地局ID530と対応した複数のサブファイルを含み、各サブファイルは、各無線基地局20から収集した呼処理履歴情報21を、履歴情報レコード(日時531、呼処理コード532及び呼識別子533)として格納する。なお、各サブファイルが、さらに、時間によって(例えば、1時間毎に)分割されてもよい。
【0057】
基地局ID530は、無線基地局20−iを一意に識別するための識別子である。日時531は、呼処理履歴が収集された日時であり、日付、曜日及び時刻を含むが、これらの情報の一部が記録されなくてもよい。
【0058】
呼処理コード532は、呼処理の状態(例えば、処理結果)を表す番号であり、当該呼が正常処理呼か異常処理呼かを呼処理コード532によって判定できる。呼処理コード532には、例えば、CFC情報(Call Flow Code)を用いることができる。呼識別子533は、当該呼を識別するための識別子である。なお、呼識別子533の代わりに、端末の識別子が記録されてもよい。
【0059】
例えば、
図6に示す呼処理履歴ファイル53は、基地局IDが「1」の無線基地局において、端末ID=0x1234cff800000000の呼処理状態が、呼処理コード1(正常切断要因)及び23(正常切断要因)にて切断し、端末ID=0x1256cfd800000000の呼処理状態が、呼処理コード28(準正常切断要因)にて切断したことを記録している。
【0060】
本実施例では、呼処理履歴ファイル53は、所定期間(例えば、過去30日分)の呼処理履歴情報を保存し、保存期間が過ぎた履歴情報は呼処理履歴ファイル53から消去される。
【0061】
図7は、本発明の実施形態の呼処理コード発生パターン選択テーブル55の構成例を説明する図である。
【0062】
呼処理コード発生パターン選択テーブル55は、障害パターンID551、呼処理コード552、発生比率553、被疑モジュール・障害要因554及び尤度555を含む。
【0063】
障害パターンID551は、障害パターンを一意に識別するための識別子である。呼処理コード552は、呼処理の状態(例えば、処理結果)を表す番号であり、呼処理履歴ファイル53の呼処理コード532と同じ番号が記録される。なお、図示するように、当該呼処理コードが正常か異常かの情報が付加されてもよい。
【0064】
発生比率553は、当該呼処理コードが発生する比率である。呼処理コード552及び発生比率553によって、呼処理に発生している異常のパターン(異常処理呼と判定される呼処理コードの存在比)を判定することができる。
【0065】
被疑モジュール・障害要因554は、呼処理コード552及び発生比率553によって定義されるパターンの異常が生じていると推定される、基地局内の被擬モジュールを特定する情報(例えば、モジュールの種類、モジュールの識別子)である。また、被疑モジュール・障害要因554には、当該被擬モジュールに発生していると推定される障害の要因が格納される。
【0066】
尤度555は、一つの呼処理コード発生パターンに対して、複数の既知の障害パターンが一致した場合に、いずれの条件が発生する可能性が高いかを判定するための優先順位、すなわち、被擬モジュールでの発生が推定される異常の確からしさである。なお、尤度555は、呼処理コード発生パターンの発生比率と、その優先係数(例えば、異常の重大度)に基づいて計算される。
【0067】
なお、呼処理コード発生パターン選択テーブル55には、異常処理呼と判定される呼処理コードだけでなく、正常と判定される呼処理コードが登録されてもよい。また、集計期間毎に、異なる呼処理コード発生パターン選択テーブル55を設けてもよい。
【0068】
図8は、本発明の実施形態の障害BS検出ルーチン63によって実行される処理のフローチャートである。
【0069】
障害BS検出ルーチン63において、プロセッサ41は、先ず、集計期間特定ルーチン64を起動して、主制御ルーチン61によって指定された無線基地局識別子(BS−ID)の呼処理履歴サブファイル(呼処理履歴ファイル53に含まれるサブファイル)を参照し、閾値テーブル52によって指定された集計期間521の履歴情報レコードを計数し、被疑無線基地局を推定するための集計期間T0及び閾値TH1、TH2の値を決定する(640)。この集計期間特定ルーチン64による処理は、
図9を用いて後述する。
【0070】
プロセッサ41は、パラメータT0、TH1及びTH2の値が決定した後、集計期間T0を指定して、呼処理数集計ルーチン65を起動する。呼処理数集計ルーチン65は、前記呼処理履歴サブファイルの最新レコードから遡って、集計期間T0内の正常呼処理数と異常呼処理数とを集計し、集計結果を最新の呼処理集計値Z0として呼処理集計値ファイル54に格納し、さらに、集計結果を障害BS検出ルーチン63に報告する(651)。
【0071】
プロセッサ41は、集計値Z0が決定した後、被疑BS推定ルーチン66を起動して、最新の呼処理集計値Z0が示す正常呼処理数と異常呼処理数とから、次式を用いて、最新呼処理の正常完了比率R0を算出する(661)。
正常完了比率R0 = 正常呼処理数/(正常呼処理数+異常呼処理数)
【0072】
次に、プロセッサ41は、最新呼処理の正常完了比率R0と、ステップ640で決定された異常推定用閾値TH1とを比較する(662)。その結果、R0の値が閾値TH1未満であれば(662でYES)、正常終了呼の比率が低いので、プロセッサ41は、無線基地局に異常が発生している可能性があると判定して、障害判定ルーチン67を起動する。
【0073】
一方、R0の値がTH1以上であれば、プロセッサ41は、算出された当該無線基地局20−iの正常完了比率R0から他の無線基地局20−jの正常完了比率を減じて、他の無線基地局との正常完了比率の差を算出する。なお、他の無線基地局は、設置環境(すなわち、呼の処理状態)が類似する無線基地局であり、例えば、近隣の無線基地局でも、代表的な無線基地局として予め定められた無線基地局でもよい。
【0074】
そして、算出された正常完了比率の差を異常推定用閾値TH2とを比較する(663)。その結果、正常完了比率の差が閾値TH2以上であれば(663でNO)、当該無線基地局20−iの正常完了比率が大きいので、当該無線基地局20−iは正常であると判定し、障害BS検出ルーチン
63を終了する。
【0075】
一方、正常完了比率の差が閾値TH2より小さければ(663でYES)、当該無線基地局20−iの正常完了比率が小さいので、当該無線基地局20−iに異常が発生していると判定して、ステップ674に進む。
【0076】
一方、ステップ662による判定の結果、R0の値がTH1より小さければ(662でNO)、プロセッサ41は、無線基地局に異常が発生していると判定して、障害判定ルーチン67を起動し、発生した異常呼処理を分析する(671)。具体的には、プロセッサ41は、呼処理コード毎に異常呼処理を集計し、集計された呼処理コードの発生パターンを呼処理コード発生パターン選択テーブル55に格納された既知のパターンと照合する。
【0077】
例えば、異常呼処理コード全体のうち、呼処理コード28の占める割合が30%以上であり、異常呼処理コード30の占める割合が20%以上である場合、障害パターンID551を参照し、障害パターンID=1の障害であると判定し、被疑モジュール554を参照し、障害が発生していることが疑われる被疑モジュールはモジュールAであると判定する。同様に、異常呼処理コード全体のうち、異常呼処理コード32の占める割合が40%以上であり、異常呼処理コード35の占める割合が20%以上である場合、障害パターンID=2の障害であると判定する。
【0078】
照合の結果、集計された呼処理コード発生パターンが既知の障害パターンのいずれとも一致しない場合、障害要因及び障害発生部位のいずれも推定できないが、無線基地局に異常が発生していると推定されるので、ステップ674に進む。
【0079】
ステップ674では、プロセッサ41は、無線基地局に異常が発生していることを示す警報メッセージを、端末インタフェース44を介して保守員端末70に通知する。なお、この場合の警報メッセージは、障害要因及び推定被疑モジュールを通知しない。
【0080】
一方、集計された呼処理コード発生パターンが既知の障害パターンと一致する場合、プロセッサ41は、無線基地局20−iに異常が発生していると判定する。そして、プロセッサ41は、呼処理コード発生パターンが、呼処理コード発生パターン選択テーブル55に格納された複数の既知のパターンと一致するかを判定する(673)。その結果、呼処理コード発生パターンが複数の既知の障害パターンと一致する場合、障害尤度判定ルーチン68を起動し、呼処理コード発生パターン選択テーブル55の尤度555を参照して、可能性が最も高い障害パターン(被疑モジュール、障害要因)を特定する(681)。
【0081】
その後、プロセッサ41は、構成情報テーブル51の閉塞状態516を「閉塞」に更新し、無線基地局に異常が発生していることを示す警報メッセージに障害判定結果(被疑モジュール、障害要因)を含めて、端末インタフェース44を介して保守員端末70に通知する(682)。
【0082】
主制御ルーチン61は、一つの無線基地局20−iについて、障害BS検出ルーチン63による障害判定が完了すると、構成情報テーブル51に登録された次の無線基地局IDを指定して、障害BS検出ルーチン63を起動する。この処理の繰り返しによって、構成情報テーブル51に登録された全ての無線基地局20−iの障害を判定することができる。そして、判定結果に従って、構成情報テーブル51内の無線基地局の状態情報(例えば、閉塞状態516)が更新され、保守員端末70へ警報が出力される。
【0083】
図9は、本発明の実施形態の集計期間特定ルーチン64によって実行される処理のフローチャートである。
【0084】
まず、プロセッサ41は、閾値テーブル52を参照して、呼処理履歴の集計期間の初期値を設定する(641)。例えば、この初期値には、集計期間521の最短時間(エントリ520−iの集計期間「30分」)を選択すればよい。なお、この初期値は、無線基地局毎に(例えば、無線基地局の設置環境によって)異なってもよい。
【0085】
その後、プロセッサ41は、集計期間中の呼量を集計し(642)、集計した呼量と当該集計期間の最低呼量とを比較する(643)。
【0086】
その結果、集計した呼量が最低呼量より小さい場合、プロセッサ41は、集計期間を延長し、ステップ641に戻り、延長された集計期間の呼量を集計する。例えば、現在選択されているエントリ520−iの次のエントリ520−2の集計期間「60分」を選択する。
【0087】
さらに、60分の呼量の集計値が最低呼量より小さい場合、エントリ520−3の集計期間「90分」の呼量を集計する。90分の呼量の集計値が最低呼量より小さい場合、エントリ520−4の集計期間「120分」の呼量を集計する。なお、集計期間の最長時間(エントリ520−4の集計期間「120分」)でも、呼量の集計値が最低呼量より小さい場合、無線基地局20−iの異常の有無を判定しなくてもよい。また、120分間の呼量によって、無線基地局20−iの異常の有無を判定してもよい。また、120分間の呼量がゼロである場合、ゼロトラフィック異常であり、無線基地局が異常であると判定してもよい。
【0088】
一方、集計した呼量が最低呼量以上である場合、プロセッサ41は、閾値テーブル52を参照して、被疑無線基地局を推定するための集計期間T0及び異常推定用閾値TH1、TH2の値として、当該集計期間のエントリ520−iが示す集計期間521及び閾値523、524を決定する。すなわち、異常推定用閾値TH1、TH2は、呼処理集計期間に対応した値が用いられる。
【0089】
以上、監視装置40が無線基地局20−iの異常を検知する例について説明したが、移動体通信システム内で呼を処理する装置であれば、いずれの装置にも本発明を適用することができる。
【0090】
以上に説明したように第1の実施形態では、第1の実施形態では、正常呼処理コード発生比率の低下から異常と推定された無線基地局について、集計した呼処理コードを分析し、既知の異常パターンと比較して異常を判定する。すなわち、障害BS検出ルーチン63が、集計期間特定ルーチン64を起動して、呼処理履歴から集計した呼量が閾値テーブル52に登録された最低呼量以上となる集計期間T0及び異常判定用閾値TH1を特定し、呼処理数集計ルーチン65が、集計期間T0の呼処理集計値Z0を算出し、被疑BS推定ルーチン66が、正常完了比率R0を閾値TH1と比較することによって、無線基地局の異常を推定する。また、障害判定ルーチン67及び障害尤度判定ルーチン68が、異常が推定される無線基地局の呼処理コード発生パターンから障害被疑箇所を推定し、推定された障害要因、被疑障害箇所を保守員端末70へ通知する。このため、試験用端末を有さない無線基地局でも、その異常を的確に判定することができる。
【0091】
また、例えば、正常な呼処理完了率の低下を検出して、無線基地局の障害を推定する方式では、無線基地局の設置場所における通信量の動的な変化によって、装置障害要因以外の要因によって正常呼処理率が低下することがあり、装置の異常を正確に推定できないことあった。例えば、ルーラルエリアにおいては昼夜を通して通信量自体が少ないため、有効な統計サンプル数が得られず正常呼処理完了率を正確に算出できない可能性がある。しかし、第1の実施形態では、集計期間T0内に集計した呼量が閾値テーブル52に登録された最低呼量に満たない場合、集計期間T0を延長するので、有効な統計サンプル数が得られる状態で、正常呼処理完了率を正確に算出することができる。
【0092】
<実施形態2>
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態は、前述した第1実施形態の変形例であり、各無線基地局20−iは、監視装置40の障害判定ルーチン67及び障害尤度判定ルーチン68で判定された結果を保持する障害履歴情報22を保持する。
【0093】
このため、障害尤度判定ルーチン68は、無線基地局20−iの異常の判定結果を監視装置40に送信する。無線基地局20−iは、監視装置40から送信された異常判定結果を障害履歴情報22に格納する。
【0094】
無線基地局20−iが交換のために、別の監視装置40−1に接続された際、無線基地局20−iは、保持された障害判定履歴を、当該別の監視装置40に送信する。そして、監視装置40は、無線基地局20−iから送信された障害判定履歴を用いて、障害の重み付けをして、障害の尤度を決定することができる。