(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5780554
(24)【登録日】2015年7月24日
(45)【発行日】2015年9月16日
(54)【発明の名称】落雷抑制型避雷装置
(51)【国際特許分類】
H05F 3/04 20060101AFI20150827BHJP
【FI】
H05F3/04 F
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-95726(P2012-95726)
(22)【出願日】2012年4月19日
(65)【公開番号】特開2013-222689(P2013-222689A)
(43)【公開日】2013年10月28日
【審査請求日】2014年11月14日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】511019144
【氏名又は名称】株式会社落雷抑制システムズ
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 朋子
(72)【発明者】
【氏名】石崎 誠
(72)【発明者】
【氏名】松本 敏男
【審査官】
岡崎 克彦
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭59−227690(JP,A)
【文献】
特開2008−010241(JP,A)
【文献】
特開2010−205687(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05F 1/00− 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クレーンのブームに装備される落雷抑制型避雷装置であって、
上部電極体と下部電極体とを絶縁する絶縁体を有する避雷極部材と、
前記ブームの上部に設けられて前記避雷極部材を鉛直に保持する保持機構と、を備え、
前記保持機構は、前記避雷極部材を支持する支持部材と、その支持部材を水平軸周りに回動可能に軸支する軸部材と、その軸部材をブームに固定する固定部材と、前記支持部材の下部に設けられて前記避雷極部材を鉛直状態に保持する錘とを備え、
前記固定部材には、前記軸部材の取付孔と、前記錘を収容可能な収容部とが設けられていることを特徴とする落雷抑制型避雷装置。
【請求項2】
前記支持部材及び軸部材が導電性金属で形成され、それら支持部材及び軸部材を介して前記避雷極部材が前記ブームに電気的に接続されていることを特徴とする、請求項1に記載の落雷抑制型避雷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、落雷を抑制することで、雷害からクレーンやその設備機器等の被保護体を保護するための落雷抑制型避雷装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の雷保護概念では、落雷は防止できないものとの観点から、落雷を突針形避雷針(フランクリンロッド)に受けて大地に流す方式が大半であった。
【0003】
近年、雷保護の概念が改正され、角度法から回転球体法に移行する動き(新JIS A4201 2003年版)等もあるが、いずれにしても落雷による障害を完全に取り除くことは困難であった。特に、冬季雷のように雷撃規模(電流値や継続時間)が大きい場合、雷電流そのものや大地の電位上昇による各種の被害を起こしていた。
さらに、近年の機器はIC化のため異常電流に弱く、落雷による問題が大きくなる傾向となっている。
【0004】
一方、落雷を防止する技術として、電荷放散型防雷システム(DAS)が開発されている(特許文献1参照)。しかし、このシステムは大規模な装備となるため価格が高く、特殊な設備にしか用いられていないのが実情である。
近年、落雷を抑制する技術として、消イオン容量型避雷針(PDCE)が現れ効果を見せている(特許文献2、特許文献3参照)。
【0005】
落雷は大気中で起こる放電現象であり、雷放電には雲内放電、雲間放電、雲―大地間放電等がある。雷放電で大きな被害を出すのは雲―大地間放電(以下落雷)である。落雷は雷雲(雲底)と大地または大地等に建設された構造物との間の電界強度が非常に大きくなり、その電荷が飽和状態となって大気の絶縁を破壊したときに発生する現象である。
【0006】
落雷の現象を詳細に観察すると、夏季に起こる一般的な落雷(夏季雷)の場合、雷雲が成熟すると雷雲からステップトリーダが大気の放電しやすいところを選びながら大地に近づいてくる。
ステップトリーダが大地とある程度の距離になると大地または建築物(避雷針)、木などからステップトリーダに向かって、微弱電流の上向きストリーマ(お迎え放電)が伸びてくる。
このストリーマとステップトリーダが結合すると、その経路を通って、雷雲と大地間に大電流(帰還電流)が流れる。これが落雷現象である。
【0007】
特許文献2に記載の消イオン容量型避雷針(PDCE)は落雷抑制タイプの避雷針であり、上向きストリーマの発生を起こりにくくしたものである。そのため、このPDCEを最高部に取り付けた施設には落雷現象が起き難い。
【0008】
このPDCEは、絶縁体を挟んで配置される上部電極体及び下部電極体を有する球状の避雷極部材を備え、下部電極体のみが接地される。したがって、例えばマイナス電荷が雲底に分布した雷雲が近づくと、それとは逆の電荷(プラス電荷)が大地の表面に分布し、雲底のプラス電荷に引き寄せられて下部電極体にもプラス電荷が集まるようになる。すると、絶縁体を介して配置されている上部電極体は、コンデンサの作用でマイナス電荷を帯びる。この作用により、PDCEとその周辺における上向きストリーマの発生を起こりにくくし、落雷の発生を抑制する。
【0009】
北陸の平地でPDCEを設置し、5年にわたり雷観測カメラやLLS(Lightning Location System)を用いて落雷の有無を観測した結果、夏季には、PDCE設置箇所において落雷が観測されなかった。
これらの観測結果から、夏季雷に対して、PDCEは帰還電流を防止(落雷を防止)し、落雷による被害を抑制することが判った。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平8−273715号公報
【特許文献2】特開2008−10241号公報
【特許文献3】特開2010−205687号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、高層ビル等の建築に際しては、クレーンを用いて建築することが多い。この種のクレーンでは、建築物が高層になるほど、クレーン自体のブーム先端位置も高くなるため、落雷が発生しやすいという問題がある。クレーンへの落雷は、クレーン操作者の保護やクレーン搭載電子機器の保護等の観点からも問題がある。
【0012】
そこで本発明者らは、この点の解決手段として、クレーンのブームに、落雷抑制型避雷装置(PDCE)を装備することを考えた。
しかしながら、クレーンのブームは、その先端位置や角度が作業の状況で常に変化するため、それに応じてPDCEの姿勢制御が必要となることが判明した。即ち、PDCEの避雷極部材は、その構造上、ブームの角度に関わらず避雷極部材自体を常に鉛直に保ち、常に受雷部(上部電極)を天空に対して正対する姿勢とすることが必要となる。
【0013】
よって、本発明は、クレーンのブームに、鉛直保持機構を介して避雷極部材を装備することで、クレーンへの落雷を抑制して、クレーン操作者の保護やクレーン搭載電子機器の保護等を有効に図ることができる落雷抑制型避雷装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決する本発明は、クレーンのブームに装備される落雷抑制型避雷装置であって、上部電極体と下部電極体とを絶縁する絶縁体を有する避雷極部材と、前記ブームの上部に設けられて前記避雷極部材を鉛直に保持する保持機構と、を備えていることを特徴とする。
本発明によれば、クレーンのブームに、鉛直保持機構を介して避雷極部材を装備することで、避雷極部材を常に鉛直に保持してクレーンへの落雷を抑制し、クレーン操作者の保護やクレーン搭載電子機器の保護等を有効に図ることができる。
【0015】
本発明の好ましい形態では、前記保持機構は、前記避雷極部材を支持する支持部材と、その支持部材を水平軸周りに回動可能に軸支する軸部材と、その軸部材をブームに固定する固定部材と、前記支持部材の下部に設けられて前記避雷極部材を鉛直状態に保持する錘と、を備えていることを特徴とする。
このように、保持機構は、避雷極部材の支持部材を水平軸周りに回動可能に軸支する軸部材と、その軸部材をブームに固定する固定部材と、避雷極部材を鉛直状態に保持する錘とを備えているので、クレーンのブームの傾斜が変化しても、避雷極部材は常に鉛直に保持される。
【0016】
本発明の好ましい形態では、前記ブームに、前記固定部材が固定され、その固定部材に前記軸部材の取付孔が設けられていることを特徴とする。
このように、ブームに固定する固定部材に対して、軸部材の取付孔を設けることで、鉛直保持機構付きの落雷抑制型避雷装置を単位ユニットとして構成することができる。これにより、固定部材をブームの任意の箇所に取り付け可能になるだけでなく、種々のクレーンに対して取り付けて使用することができる。
【0017】
本発明の好ましい形態では、前記ブームに、前記軸部材の取付孔が設けられていることを特徴とする。
このように、クレーンのブームに軸部材の取付孔を設けた場合、固定部材を一部省略又は全部省略することができる。
【0018】
本発明の好ましい形態では、前記固定部材に、前記錘を収容可能な収容部が設けられていることを特徴とする。
このように、固定部材に対して、錘を収容可能な収容部を設けた場合、クレーンを使用しないときや、クレーンの解体時などに、錘を収容部内に収容してコンパクトに納めることができる。
【0019】
本発明の好ましい形態では、前記支持部材及び軸部材が導電性金属で形成され、それら支持部材及び軸部材を介して前記避雷極部材が前記ブームに電気的に接続されていることを特徴とする。
このように、支持部材及び軸部材を導電性金属で形成することで、避雷極部材をブームに電気的に接続することができる。これにより、接地用の導体(アース線)を別途に設ける必要がなくなり、その分、構成の簡略化、保守の簡易化等を図ることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、クレーンのブームに、鉛直保持機構を介して避雷極部材を装備することで、クレーンへの落雷を抑制して、クレーン操作者の保護やクレーン搭載電子機器の保護等を有効に図れる落雷抑制型避雷装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施形態1に係る落雷抑制型避雷装置を固定クレーンに適用した例を示す一部省略側面図である。
【
図2】本発明の実施形態1に係る落雷抑制型避雷装置の構成を示す正面図である。
【
図3】本発明の実施形態1に係る落雷抑制型避雷装置の構成を示す側面図である。
【
図4】本発明の実施形態1に係る落雷抑制型避雷装置の錘の収納状態を示す側面図である。
【
図5】本発明の実施形態2に係る落雷抑制型避雷装置の構成を示す要部の縦断面図である。
【
図6】本発明の実施形態3に係る落雷抑制型避雷装置を移動クレーンに適用した例を示す一部省略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
<実施形態1>
以下、本発明の一実施形態1について、
図1〜
図4を参照して説明する。
図1は、本発明に係る落雷抑制型避雷装置をクライミング式ジブクレーンに適用した実施形態を示す側面図である。
【0023】
この実施形態に係る落雷抑制型避雷装置Aは、
図1に示すように、クレーンKのブーム10の先端に装備されている。この落雷抑制型避雷装置(以下避雷装置と称する)Aは、
図2〜
図4に示すように、避雷極部材1と、その避雷極部材1を鉛直に保持する保持機構2とを備えている。避雷極部材1としては、この実施形態では、消イオン容量型のものが採用されている。次いで、これらの詳細について説明する。
【0024】
避雷極部材1は、上部電極体11と、下部電極体12と、それら上部電極体11および下部電極体12間に設けられた絶縁体13とを備え、全体として概略球体状に形成されている。上部電極体11、下部電極体12は、球体が上下に半割りされた若干扁平な半球状に形成されている。したがって、それらの表面は大気と接触する曲面部11a、12aとして形成されている。上部電極体11及び下部電極体12は、例えば
図5に示すように、空洞に形成されている。また、上部電極体11の天面及び下部電極体12の内底面から互いに向き合う下向き凸部11bおよび上向き凸部12bが形成されている。
【0025】
絶縁体13は、
図2に示すように厚肉の円筒状やドーナツ状に形成され、上下の電極体11、12間の電気的な絶縁状態を保持するように設けられるものである。したがって、上部電極体11および下部電極体12間の絶縁材としての機能を発揮できれば良く、形状等は任意である。但し、この実施形態における避雷極部材1は、落雷抑制効果を高めるために、絶縁体の厚さや外径等を大きくして、上下の電極体11、12間の絶縁性を強化した構造となっている。上下の電極体11、12は、絶縁体13を介して連結されている。連結にはボルト結合、溶接、接着、嵌め合わせ等の締結手段や結合手段を用いることができる。なお、この避雷極部材1については、特許文献2や特許文献3に記載の避雷極部材等を適宜採用することもできる。
【0026】
避雷極部材1を鉛直に保持するための保持機構2は、
図2に示すように、避雷極部材1を支持する支持部材3と、その支持部材3を水平軸周りに回動可能に軸支する軸部材4と、その軸部材4をブーム10に固定する固定部材5と、支持部材3の下部に設けられて避雷極部材1を鉛直状態に保持する錘6と、を備えている。
【0027】
避雷極部材1の上部電極体11、下部電極体12、及び前記支持部材3、軸部材4、固定部材5は、ステンレス等の耐久性および導電性のある金属で形成されている。下部電極体12は、支持部材3、接続用良導体a、および図示しない接地用導電体(接地線)を介して大地に電気的に接続される。また、クレーンK自体も大地に接地される。これにより、この避雷装置Aを鉛直に設置した状態において、雷雲等の影響により大地や構造物、クレーンK等が正電荷に帯電すると、上部電極体11の表面は負電荷に帯電し、大地や構造物、クレーンK等が負電荷に帯電すると、上部電極体の表面は正電荷に帯電するように設計されている。なお、この帯電機能自体は既存のPDCEと同様の原理に基づいている。
【0028】
支持部材3は、円筒状又は角筒状に形成されている。これにより、避雷極部材1の軸線と、支持部材3の軸線と、錘6の軸線とがほぼ同一軸線となるように構成されている。接続用良導体aは、支持部材3と固定部材5とを電気的に接続するもので、銅線を用いたフレキシブルな編み線で形成されている。接続用良導体aを編み線で形成することで、支持部材3と固定部材5との相対変位を小さな抵抗で許容することができる。
【0029】
錘6は支持部材3の下端部に設けられ、避雷極部材1と同程度の重量を有している。したがって、支持部材3の重心位置は、その長さ方向のほぼ中間付近に設定されている。支持部材3には、軸部材4の軸孔3aが設けられている。この軸孔3aは、支持部材3の重心位置よりも上部(避雷極部材側)に設けられている。これにより、避雷極部材1は軸部材4を中心に水平軸周りに回動して鉛直状態を保持できるように設計されている。
【0030】
固定部材5は、軸部材4をブーム10の所定位置に取り付けるためのもので、ブーム10に対して溶接やボルト等により固定する基端部51と、軸部材4の取付孔52が設けられた先端部53と、を有している。また、この固定部材5には、ブーム10と支持部材3とが同軸上にあるときに錘6を収容可能な空間を有する収容部54が設けられている。
【0031】
なお、ステンレス等の導電性金属で形成されている支持部材3、軸部材4、及び固定部材5を介して避雷極部材1はブーム10に電気的に接続されるので、銅線等の良導体aを用いて、下部電極体12をブーム10に電気的に接続することは必ずしも必要ではない。しかし、良導体aを設けた場合には、軸部材4を迂回して確実な電気的接続を図ることができる。
【0032】
本実施形態によれば、クレーンKのブーム10に、鉛直保持機構2を介して避雷極部材1を装備することで、避雷極部材1を常に鉛直に保持してクレーンKへの落雷を抑制し、クレーン操作者の保護やクレーン搭載電子機器の保護等を有効に図ることができる。
【0033】
また、保持機構2は、避雷極部材1の支持部材3を水平軸周りに回動可能に軸支する軸部材4と、その軸部材4をブーム10に固定する固定部材5と、避雷極部材1を鉛直状態に保持する錘6とを備えているので、クレーンKのブーム10の傾斜が変化しても、避雷極部材1は常に鉛直に保持される。
【0034】
また、このようにブーム10に固定する固定部材5に対して、軸部材4の取付孔52を設けることで、鉛直保持機構2付きの落雷抑制型避雷装置Aを単位ユニットとして構成することができる。これにより、固定部材5をブーム10の任意の箇所に取り付け可能になるだけでなく、種々のクレーンに対して取り付けて使用することができる。
【0035】
また、固定部材5に対して、錘6を収容可能な収容部54を設けているので、クレーンKを使用しないときや、クレーンKの解体時などに、錘6を収容部54内に収容してコンパクトに納めることができる。
【0036】
また、支持部材3、軸部材4、及び固定部材5を導電性金属で形成することで、避雷極部材1をブーム10に電気的に接続することができる。これにより、接地用の導体(アース線)を別途に設ける必要がなくなり、その分、構成の簡略化、保守の簡易化等を図ることができる。
【0037】
なお、上記の実施形態では、固定部材5に対して軸部材4の取付孔52を設けた例を示したが、クレーンKのブーム10に直接、軸部材4の取付孔52を設けてもよい。その場合には、固定部材5を一部省略又は全部省略することができる。
<実施形態2>
【0038】
図5は、本発明に係る落雷抑制型避雷装置の他の実施形態を示す要部の縦断面図である。なお、同実施形態において、先の実施形態と基本的に同一の構成要素については、同一符号を付してその説明を簡略化する。
【0039】
この実施形態にかかる落雷抑制型避雷装置Bも、避雷極部材1と、その避雷極部材1を鉛直に保持する保持機構2とを備えている。
【0040】
避雷極部材1は、上部電極体11と、下部電極体12と、それら上部電極体11および下部電極体12間に設けられた絶縁体13とを備え、全体として概略球体状に形成されている。上部電極体11、下部電極体12は、球体が上下に半割りされた若干扁平な半球状に形成されている。したがって、それらの表面は大気と接触する曲面部11a、12aとして形成されている。上部電極体11及び下部電極体12は空洞に形成されている。また、上部電極体11の天面及び下部電極体12の内底面から互いに向き合う、放電用の下向き凸部11b、上向き凸部12bが形成されている。
【0041】
絶縁体13は、筒状の外側絶縁体13aと、その内側に嵌め込まれた内側絶縁体13bとにより構成されている。内側絶縁体13bは厚肉の円筒状に形成され、上下の電極体11、12間の電気的な絶縁状態を強化するために設けられている。外側絶縁体13aは内側絶縁体よりも長くかつ薄肉に形成されている。上部電極体11と下部電極体12とが相対する面(下面と上面)には周方向に一周する環状溝11c、12cが形成され、この環状溝11c、12cに外側絶縁体13の上下端が嵌め込まれて一体化されている。
この絶縁体13は、外側絶縁体13aと内側絶縁体13bとを一体成形により形成してもよい。また、外側絶縁体13aのみを用いた構成としてもよい。
【0042】
絶縁体13の外側には、同じく絶縁材からなるセパレータ14を介して絶縁カバー15が装着されている。この絶縁カバー15は、内筒部15aと、外筒部15bとを備えている。内筒部15aと、外筒部15bは上部で一体に形成されている。内筒部15aの内径はセパレータ14の外径とほぼ同じに形成されているが、外筒部15bは、その上端から下端に向かうにしたがい次第に拡径する円錐台状に形成されている。この外筒部15bの下端は下部電極体12の上面よりも下方に位置するように長く形成されている。
【0043】
避雷極部材1の上部電極体11、下部電極体12、突針部材2および支持部材3は、ステンレス等の耐久性および導電性のある金属で形成されている。下部電極体12は、支持部材3および図示しない接地用導電体(接地線)を介して大地に電気的に接続されている。これにより、この落雷抑制型避雷装置Bを鉛直に設置した状態において、雷雲等の影響により大地や構造物等が正電荷に帯電すると、上部電極体11の表面は負電荷に帯電し、大地や構造物等が負電荷に帯電すると、上部電極体の表面は正電荷に帯電するように設計されている。下部電極体12の底部には空気孔12eが設けられている。
【0044】
支持部材3は、中心に位置する支持棒31と、その外側に同軸に配置された支持パイプ32とを備えている。支持棒31には、下部電極体12の螺子穴12dにねじ込むおねじ31aが形成されている。支持部材3は、このおねじ31aにねじ込んだナット33の締め込みにより固定されている。支持パイプ32の下部には錘6が設けられ、ここを貫通する支持棒31のおねじ部分にナット35がねじ込まれている。したがって、本実施形態では、
図5に示すように、避雷極部材1の軸線と、支持部材3の軸線と、錘6の軸線とがほぼ同一軸線となるように構成されている。
【0045】
錘6は支持部材3の下端部に設けられ、避雷極部材1と同程度の重量を有している。したがって、支持部材3の重心位置は、その長さ方向のほぼ中間付近に設定されている。支持部材3の支持棒31及び支持パイプ32には、軸部材4の軸孔36、37が設けられている。この軸孔36、37は、支持部材3の重心位置よりも上部(避雷極部材側)に設けられている。これにより、避雷極部材1は軸部材4を中心に水平軸周りに回動して鉛直状態を保持できるように設計されている。
【0046】
なお、この実施形態に係る落雷抑制型避雷装置Bにおいても、実施形態1の場合とほぼ同様の効果を奏することができる。
【0047】
<実施形態3>
また、上記実施形態1では、いわゆるタワークレーンのブーム10に、鉛直保持機構を介して落雷抑制型避雷装置Aを装備した例を示したが、タワークレーンに限らず、例えば
図6に示すように、トラッククレーンなどの移動式クレーンK1のブーム20の先端に設けてもよい。
【符号の説明】
【0048】
1 避雷極部材
11 上部電極体
12 下部電極体
13 絶縁体
14 筒状絶縁体
15 カバー部材
2 保持機構
3 支持部材
3a 軸孔
4 軸部材
5 固定部材
52 取付孔
6 錘
10 ビーム
K、K1 クレーン
A、B 落雷抑制型避雷装置
a 良導体