(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
血管、消化管、尿管等の管状器官や体内組織に挿入され、使用されるカテーテルは、樹脂からなる内層(基材チューブ)と、内層の外周に形成された樹脂からなる外層と、内層と外層との間に編組体(補強部材)と、からなる構造を有する。編組体は、カテーテルに要求される性能(押し込み性能、トルク伝達性能、耐圧性能など)の観点から、銅線やステンレス鋼等の金属からなる素線を編むことで形成される。例えば、ステンレス鋼からなる第一素線を左巻きに、ステンレス鋼からなる第二素線を右巻きに、それぞれ編んだ編組体が知られている(下記特許文献1参照)。
【0003】
編んだ第一素線と第二素線とが外れてしまうことを防止するために、第一素線と第二素線とが互いに交差する交点において、第一素線と第二素線とを溶接や接着剤等で接合させた編組体がある(例えば、下記特許文献2参照)。また、第一素線と第二素線とが互いに交差する交点において、第一素線と第二素線とをレーザ光により溶接させた編組体がある(例えば、下記特許文献3参照)。
【0004】
しかしながら、第一素線と第二素線とを交点で接合するという上記の方法では、第一素線と第二素線との接合強度を確保することに限界がある。カテーテル本体をダウンサイズ化するためには、編組体の厚みを薄くする必要があるが、第一素線の厚さ及び第二素線の厚さが薄くなると、第一素線と第二素線とを交点で接合するだけでは接合強度を確保することが困難となる。そこで、接合強度を確保するために、クリップや接着剤等の他の材料を用いて第一素線と第二素線とを接合させると、結局、編組体の厚みを薄くすることができないという問題がある。
【0005】
また、第一素線を構成する材料と第二素線を構成する材料とが異なるとき、レーザ光で第一素線と第二素線とを溶接することが困難となる場合がある。そのため、クリップや接着剤等の他の材料を用いて第一素線と第二素線とを接合させるしか方法がなく、結局、編組体の厚みを薄くすることができないという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、編組体を構成する第一素線の厚さ及び第二素線の厚さを薄くした場合においても、第一素線と第二素線との接合強度が高い編組体からなるカテーテルを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は、以下に列挙される手段により解決がなされる。
【0009】
<1>樹脂からなる内層と、前記内層の外周に設けられ、第一素線と第二素線とで形成された編組体と、前記編組体の外周に設けられた樹脂からなる外層と、からなるカテーテルにおいて、前記第一素線と前記第二素線と
が交差する交点に形成された接合部では、前記第一素線の先端が前記第二素線に巻き付いていることを特徴としたカテーテル。
【0010】
<2>前記接合部における前記第一素線の厚さは、前記接合部以外における前記第一素線の厚さよりも厚いことを特徴とした態様1に記載のカテーテル。
【0011】
<
3>前記第一素線の前記先端は、前記第一素線の軸方向と交差する方向に向いていることを特徴とした態様1
又は態様2に記載のカテーテル。
【0012】
<
4>前記第一素線の材料は、前記第二素線の材料よりも融点が低いことを特徴とした態様1乃至態様
3のいずれかに記載のカテーテル。
【発明の効果】
【0013】
<1>本発明の態様1のカテーテルは、
第一素線と第二素線とが交差する交点に形成された接合部において第一素線の先端が第二素線
に巻き付いているため、クリップや接着剤等の他の材料を用いずに、第一素線と第二素線とを接合することができる。また、第一素線の厚さ及び第二素線の厚さを薄くした場合でも、第一素線の先端が第二素線
に巻き付く面積を調整することで、第一素線と第二素線との接合強度を
確保することができ、その結果、編組体(ひいては、カテーテル本体の外径)をダウンサイズ化することができる。
【0014】
<2>本発明の態様2のカテーテルは、接合部における第一素線の厚さが接合部以外における第一素線の厚さよりも厚いため、接合部における垂直抗力が大きくなる。そのため、第二素線に対して第一素線が覆う側面側から第一素線が覆わない他の側面側に外力が加わった(言い換えると、接合部が形成されていない方向に第二素線が引っ張られた)際、接合部における第一素線と第二素線との摩擦抵抗が大きいため、第二素線が第一素線から外れてしまうことを防止できる。また、第一素線の厚さ及び第二素線の厚さを薄くした場合でも、接合部における第一素線の厚さを厚くするだけで第一素線と第二素線との接合強度を確保できるので、第一素線と第二素線との接合強度を確保したまま、カテーテル本体をダウンサイズ化することができる。
【0015】
<
3>本発明の態様
3のカテーテルは、第一素線の先端が第一素線の軸方向と交差する方向を向いているので、カテーテル本体の血管内に挿入した際に、カテーテル本体と血管の内壁との衝突等により、外部からカテーテル本体に付与されるあらゆる方向の力に対して、第一素線と第二素線との接合が外れることなく耐えることができる。
【0016】
<
4>本発明の態様
4のカテーテルは、第一素線の材料が第二素線の材料よりも融点が低いため、第一素線の先端にレーザ光を照射することで第二素線に影響を与えることなく第一素線の先端が第二素線の側面を覆う接合部を容易に形成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1〜9を参照しつつ、本実施の形態のカテーテル1を用いた場合を例として説明する。
図1〜
図3において、図示左側が体内に挿入される先端側(遠位側)、右側が医師等の手技者によって操作される後端側(近位側、基端側)である。尚、各図において、以下に示される編組体26の第一素線26a、第二素線26bなど他の部分に比べて小さな部材は、理解を容易にするために、他の部材の寸法との関係でやや誇張して図示されている。
【0019】
図1に示されるカテーテル1は、全長が約1200mmの管状の医療用機器である。カテーテル1は、主に、可撓性を有するカテーテル本体10と、このカテーテル本体10の先端部11に接着された先端チップ12と、カテーテル本体10の後端部に固定されたコネクタ14とからなる。
【0020】
カテーテル本体10は、
図2及び
図3に示す様に、半径方向に内側から順に内層24、補強部材としての編組体26、及び外層28からなる。
【0021】
内層24は、樹脂から形成され、内部にガイドワイヤや他のカテーテルを挿入するためのルーメン18を構成する。内層24を形成する樹脂材料は、特に限定されるものではないが、本実施の形態では、PTFE(ポリテトラフルオロチレン)が用いられる。
【0022】
内層24の外周には補強部材としての編組体26が形成されている。編組体26は、
図2、
図4(b)、
図8(b)、
図9(b)に示す様に第一素線26a及び第二素線26bが網目状(メッシュ状)に編み込まれたものである。本実施の形態の場合、8本の第一素線26a及び8本の第二素線26bの合計16本(8本×8本)の素線が交互に編み込まれている。即ち、一方向には第一素線26aが巻回されており、他方向には第二素線26bが巻回されている。
【0023】
尚、編組体26の第一素線26a及び第二素線26bの組み合わせは、このように8本×8本に限られるものではなく、例えば、4本×4本、2本×2本の様な対称の組み合わせであってもよく、4本×8本、2本×4本等の非対称の組み合わせも採用し得る。また、第一素線26aの素線幅と第二素線26bの素線幅は、同じであってもよいし、一方の素線26aの素線幅を他方の素線26bの素線幅よりも大きくしてもよい。さらに、
図4(b)、
図8(b)、
図9(b)では、第一素線26a及び第二素線26bの編み込みは、2本毎に(1本おきに)交互に編み込む方法で形成されているが、これに限定されず、1本ずつ交互に編み込む方法で形成してもよい。
【0024】
第一素線26a及び第二素線26bの材料は、同じ材料であってもよいし、異なる材料を用いてよい。本実施の形態では、ステンレス鋼(SUS316)からなる融点の低い第一素線26aと、タングステンからなる融点の高い第二素線26bを用いたが、金属以外の材料(例えば、強化プラスチック)を用いてもよい。また、第一素線26a及び第二素線26bの断面形状は、本実施の形態の場合、円形でも矩形でもよい。
【0025】
編組体26の外周には樹脂からなる外層28が形成され、内層24及び編組体26を被覆する。外層28を形成する樹脂材料は、特に限定されるものではなく、ポリアミド、ポリアミドエラストマ、ポリエステル、ポリウレタン等が用いられる。
【0026】
図3の断面図に示されるように、カテーテル本体10の先端開口部15から先端チップ12の長さXを除いた部分が、外層28によって被覆されている。外層28は、カテーテル10の後端側から先端側に向けて柔軟になるように、硬度の異なる樹脂材料を用いた構成となっている。
図3では、編組体26が樹脂からなる中間層29と樹脂からなる外層28により被覆されているが、この構造に限定されない。中間層29を用いずにカテーテル本体10を形成することで、カテーテル本体10の外径をダウンサイズ化することができる。尚、中間層29は、内層24や外層28を形成する樹脂材料と同じものを用いてもよいし、異なるものを用いてもよい。
【0027】
また、
図3の断面図では、カテーテル本体10の先端部11では、軸方向で同一の内径を有した形状になっているが、この形状に限定されるものでなく、カテーテル本体10の後端に向けてテーパー状に大径化させることで、カテーテル本体10の先端部11だけを小径化した形状でもよい。
【0028】
カテーテル本体10の先端には、樹脂からなる先端チップ12が取り付けられている。先端チップ12は、先端開口部15を有する円筒状の部材である。この先端チップ12を形成する樹脂は、特に限定されないが、ポリウレタン、ポリウレタンエラストマ等からなる。また、先端チップ12には、放射線不透過性の粉末を含有させてもよい。例えば、先端チップ12が約65w%〜約90w%の範囲で放射線不透過性の粉末(例えば、タングステン粉末)を含有することで、冠動脈造影時に医師等の手技者がカテーテルの位置を正確に把握することができる。
【0029】
次に、編組体26の先端部27について説明する。
【0030】
図4(b)に示したように、編組体26の先端部27には、第一素線26aと第二素線26bとが交差する交点30及びその付近で第二素線26bに巻きついて接合する第一素線26aの先端40と、第一素線26aに接合していない第二素線26bの先端41と、がある。
【0031】
第一素線26aの先端40は、上から下方向に(言い換えると、カテーテル本体10の内側方向に)向いた先端40aと、下から上方向に(言い換えると、カテーテル本体10の外側方向に)向いた先端40bと、に分けられる。
【0032】
第一素線26aの先端40aを作製する方法について説明する。
図4(a)、
図5(a)に示したように、第一素線26aの●で示した位置にレーザ光を照射すると、レーザ光のエネルギーにより照射位置の近くにある第一素線26aの溶融部分50が溶融される。
図5(b)に示したように、溶融された溶融部分50は、第一素線26aの軸方向L及び軸方向Lに交差する方向である方向Mに進みながら固化する。その結果、
図5(c)に示したように、第一素線26aの先端40aが、第二素線26bの側面を上から下方向に巻きつくことで、第一素線26aと第二素線26bとを接合する接合部100が形成される。
【0033】
接合部100は、第一素線26aと第二素線26bとが交差する交点30の位置にある接合部110と、交点30を第一素線26aの幅方向Nに超えた位置にある接合部120と、交点30を第二素線26bの幅方向N´に超えた位置にある接合部130と、からなる。
【0034】
このように、第一素線26aの先端40aが第二素線26bの側面を巻き込むことで、クリップや接着剤等の他の材料を用いずに、接合部100で第一素線26aと第二素線26bとを接合することができる。第一素線26aの厚さ及び第二素線26bの厚さを薄くした場合でも、交点30を超えた位置にある接合部120の面積を増やすことで、第一素線26aと第二素線26bとの接合強度を自由に調整することができる。
【0035】
また、
図5(b)(c)で示したように、溶融部分50が溶融・固化した第一素線26aの先端40aは、第一素線26aの軸方向L及び交差する方向Mを向いている。そのため、カテーテル本体10を血管内に挿入したときに、カテーテル本体10が血管の内壁と接触して編組体26に外力が加わったとしても、接合部100は、第一素線26aの軸方向Lの外力のみならず軸方向Lからずれた方向Mの外力にも耐えることができる。これにより、第一素線26aと第二素線26bとの接合強度が高いカテーテル1を作製することができる。
【0036】
同様に、第一素線26aの先端40bを作製する方法について説明する。
図6(a)に示したように、第一素線26aの●で示した位置にレーザ光を照射すると、レーザ光のエネルギーにより照射位置の近くにある第一素線26aの溶融部分60が溶融される。
図6(b)に示したように、溶融された溶融部分60は、第一素線26aの軸方向L及び軸方向Lに交差する方向である方向M´に進みながら固化する。その結果、
図6(c)に示したように、第一素線26aの先端40bが第二素線26bの側面に下から上方向に巻きつくことで、第一素線26aと第二素線26bとを接合する接合部200が形成される。
【0037】
接合部200は、第一素線26aと第二素線26bとが交差する交点30の位置にある接合部210と、交点30を第一素線26aの幅方向Nに超えた位置にある接合部220と、交点30を第二素線26bの幅方向N´に超えた位置にある接合部230と、からなる。
【0038】
このように、第一素線26aの先端40bが第二素線26bの側面を巻き込むことで、クリップや接着剤等の他の材料を用いずに、接合部200で第一素線26aと第二素線26bとを接合することができる。第一素線26aの厚さ及び第二素線26bの厚さを薄くした場合でも、交点30を超えた位置にある接合部220の面積を増やすことで、第一素線26aと第二素線26bとの接合強度を自由に調整することができる。
【0039】
また、
図6(b)(c)で示したように、溶融部分60が溶融・固化した第一素線26aの先端40bは、第一素線26aの軸方向L及び交差する方向M´を向いている。そのため、カテーテル本体10を血管内に挿入したときに、カテーテル本体10が血管の内壁と接触して編組体26に外力が加わったとしても、接合部200は、第一素線26aの軸方向Lの外力のみならず軸方向Lからずれた方向M´の外力にも耐えることができる。これにより、第一素線26aと第二素線26bとの接合強度が高いカテーテル1を作製することができる。
【0040】
尚、溶融された溶融部分50、60が進行する方向L、M、M´やその距離は、第一素線26aに照射するレーザ光の位置や強度、あるいは、第一素線26aの膜厚、あるいは、照射中の雰囲気等の条件を調整することで、制御することができる。そのため、溶融部分50の長さは、溶融部分60の長さと同じであってもよいし、異なっていてもよい。また、溶融部分50の溶融する方向Mは、溶融部分60の溶融する方向M´と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0041】
このように、交点30からずれた位置に形成される接合部120、220の長さを自由に変えることができる。接合部120、220の面積を増やすことで、編組体26を構成する第一素線26a及び第二素線26bの厚さを薄くした場合でも、第一素線26aと第二素線26bとの接合強度を確保することができる。
【0042】
従って、本実施の形態における接合部100、200を形成することで、クリップや接着剤等の他の材料を用いずに、第一素線26aと第二素線26bとを接合することができ、第一素線26aと第二素線26bとの接合強度を確保したまま、編組体26(ひいては、カテーテル本体10の外径)をダウンサイズ化することができる。
【0043】
これまで接合部100、200について、第一素線26aの先端40が第二素線26bの側面を覆う形状で説明してきたが、これに限定されない。例えば、第一素線26aの先端40が第二素線26bの側面及び上面(下面)を覆う形状であってもよい。但し、第一素線26aの先端40が第二素線26bの上面(下面)を覆う場合は、その分接合部100、200の厚みが増してしまう。編組体26のダウンサイズ化の観点からは、第二素線26bの側面だけを覆う形状の方がより好ましい。
【0044】
図7は、
図5(c)、
図6(c)のA−A´断面図である。第一素線26a自体の厚さをX1、第一素線26aの先端40の厚さをX2とすると、X2>X1の関係になる。この理由は、第一素線26aの先端40は、溶融部分50、60が溶融・固化した分だけ盛り上がるからである。
【0045】
第一素線26aの溶融部分50、60が先端40に加わるため、接合部100、200における第一素線26aの質量が大きくなり、その結果、垂直抗力が大きくなる。そのため、第二素線26bに対してP方向に外力が加わった(言い換えると、接合部100、200が形成されていない方向に第二素線26bが引っ張られた)際、接合部100、200における第一素線26aと第二素線26bとの摩擦抵抗が大きいため、第二素線26bが第一素線26aから外れてしまうことを防止できる。これにより、第一素線26aの厚さ及び第二素線26bの厚さを薄くした場合でも、溶融部分50、60の量を増やして接合部100、200における第一素線26aの厚さを厚くするだけで、第一素線26aと第二素線26bとの接合強度を確保できるので、第一素線26aと第二素線26bとの接合強度を確保したまま、カテーテル本体10をダウンサイズ化することができる。
【0046】
尚、
図4(b)では、第一素線26aの先端40は、先端40aと先端40bとが交互に設けられているため、第二素線26bが上下方向に動かないようになっているが、
図8(b)に示したように、第一素線26aの先端40を一方の先端40bだけで形成してもよい。このような構成でも、第一素線26aの先端40bの厚さX2や交点30からずれた位置に形成される接合部220の長さ等を調整することで、第一素線26aと第二素線26bとの接合強度を確保することができる。
【0047】
図4(b)、
図8(b)では、編組体26の先端部27が凹凸形状になるように第一素線26a及び第二素線26bを切断している。しかしながら、本発明は、
図9(b)に示した直線状に切断した編組体26の先端部27にも適用することができる。
図9(b)では、
図4(b)と同様、第一素線26aの先端40aと先端40bとが交互に設けられているため、第二素線26bが上下方向に動かないように接合することができる。
【0048】
次に、第一素線26aと第二素線26bとが接合部100、200で接合された編組体26を有したカテーテル本体10の作製方法について説明する。尚、
図4(a)(b)に基づいて説明を行うが、他の実施の形態である
図8(a)(b)及び
図9(a)(b)も同じであるため、説明は省略する。
【0049】
まず、芯金上に内層24及び編組体26を形成する。この状態で、編組体26を構成する第一素線26aのうち●で示した位置及び第二素線26bのうち■で示した位置にレーザ光を照射して、先端側に伸びた不要な第一素線26a及び第二素線26bを切断する。これにより、後に第一素線26aの先端40となる溶融部分50、60及び第二素線26bの先端41が形成される。
【0050】
次に、第一素線26aの溶融部分50、60に再度レーザ光を照射すると、溶融した溶融部分50、60が第一素線26aの軸方向L及び軸方向Lと交差する方向M、M´に進みながら固化して、第一素線26aの先端40となる。これにより、第二素線26bの側面に第一素線26aの先端40が巻きついた接合部100、200が形成される。ここで、第一素線26aの融点は第二素線26bの融点よりも低いため、溶融した溶融部分50、60が第二素線26bの側面を巻き込んでも、第二素線26bの形状に何ら影響を与えない。そのため、接合部100、200により第一素線26aと第二素線26bとを接合しても、編組体26の耐久性能を低下させることはない。
【0051】
尚、レーザ光の照射する位置は、
図4(a)の●及び■の位置に限定されず、第一素線26aと第二素線26bとが交差する交点30からずれた位置であれば適宜変更することができる。また、第一素線26a及び第二素線26bを切断した後に接合部100を形成したが、これに限定されない。レーザ光の照射強度を調整することで、第一素線26aの切断と接合部100、200の形成を同時に行ってもよい。
【0052】
第一素線26a及び第二素線26bの切断や接合部100、200の形成に用いるレーザ光は、特に限定されない。本実施の形態では、YAGパルスレーザ光を用いた。
【0053】
接合部100、200で第一素線26aと第二素線26bとを接合した後に、編組体26の外周に外層28となる樹脂からなるチューブを被せて、所定の温度に加熱することで溶着する。外層28は、先端チップ12の長さXを除いた部分に溶着される。
【0054】
次に、編組体26の先端部27に、先端チップ12となる樹脂からなるチューブを被せて、所定の温度に加熱することで溶着する。これにより、先端チップ12がカテーテル本体10の先端部11に接着される。
【0055】
その後、芯金を抜き取ることで、カテーテル本体10の先端部11及び先端チップ12を有したカテーテル1を作製することができる。
【0056】
尚、本実施の形態では、第二素線26bの先端41は第一素線26aに接合されていない状態であったが、これに限定されない。接合部100、200による第一素線26aと第二素線26bとの接合強度が少ない場合には、第二素線26bの先端41に再度レーザ光を照射して、第一素線26aの側面に巻きつける工程を行ってもよい。
【0057】
以上で述べたように、本実施の形態では、第一素線26aの先端40が第二素線26bの側面に巻きつくように覆うことで、第一素線26aと第二素線26bとを接合することができる。接合部100、200は、交点30の位置に形成される接合部110、210と、交点30を第一素線26aの幅方向Nに超えた位置に形成される接合部120、220と、交点30を第二素線26bの幅方向N´に超えた位置に形成される接合部130、230と、から構成される。そのため、編組体26をダウンサイズ化するために、第一素線26aの厚さ及び第二素線26bの厚さを薄くした場合でも、接合部120、220の面積や接合部130、230の厚さを増やすことで、第一素線26aと第二素線26bとの接合強度を確保することができる。