特許第5780585号(P5780585)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

<>
  • 5780585-破砕機 図000002
  • 5780585-破砕機 図000003
  • 5780585-破砕機 図000004
  • 5780585-破砕機 図000005
  • 5780585-破砕機 図000006
  • 5780585-破砕機 図000007
  • 5780585-破砕機 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5780585
(24)【登録日】2015年7月24日
(45)【発行日】2015年9月16日
(54)【発明の名称】破砕機
(51)【国際特許分類】
   B02C 18/24 20060101AFI20150827BHJP
   B02C 18/14 20060101ALI20150827BHJP
【FI】
   B02C18/24
   B02C18/14 A
   B02C18/14 B
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2011-108713(P2011-108713)
(22)【出願日】2011年5月13日
(65)【公開番号】特開2012-239921(P2012-239921A)
(43)【公開日】2012年12月10日
【審査請求日】2013年12月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】396006181
【氏名又は名称】ウエノテックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092691
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 勇治
(72)【発明者】
【氏名】上野 秀正
(72)【発明者】
【氏名】上野 宗正
(72)【発明者】
【氏名】上野 光陽
(72)【発明者】
【氏名】楠 秀樹
【審査官】 日下部 由泰
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2005/039777(WO,A1)
【文献】 特開2001−017876(JP,A)
【文献】 特開昭53−086981(JP,A)
【文献】 実開平03−031189(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B02C 18/24
B02C 23/00
B02C 13/30
B02C 4/42
B66D 1/44
B02C 18/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
破砕機体の破砕室部内に回転軸を配設し、該回転軸に被破砕物を破砕可能な破砕刃を配設し、該回転軸を回転駆動する油圧モータを設け、該油圧モータを駆動制御する油圧制御手段を備えてなり、上記回転軸は該回転軸の一方端部及び他方端部に設けられた各油圧モータにより回転駆動され、該各油圧モータは相互に容量が大小に異なる油圧モータが用いられ、上記油圧制御手段は該各油圧モータを個別又は同時に駆動制御するように設けられ、かつ、上記回転軸は上記破砕室部内に単数個又は複数個設けられ、該複数個の回転軸のうちの、少なくとも、いずれか一つの回転軸、いずれかの複数個の回転軸、又は、すべての回転軸を上記各油圧モータにより回転駆動するように設けられ、さらに、上記油圧制御手段として、上記各油圧モータと油圧ポンプとの間にそれぞれ流路切換弁を設け、該流路切換弁の切換により各油圧モータを個別又は同時に駆動制御するように設けられ、さらに、上記流路切換弁は上記油圧モータに供給される圧油の圧力を検出する圧力センサに基づいて切換動作されることを特徴とする破砕機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は例えば紙、プラスチック等の都市ゴミ、産業廃棄物等の被破砕物を細片に切断する破砕機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来この種の破砕機として、例えば、図2図3図4の如く、破砕機体Bの破砕室部Q内に並列状に回転軸S・Sを二個配設し、各回転軸S・Sに被破砕物Hを破砕可能な破砕刃Rを配設し、二個の各回転軸S・Sの一方端部及び他方端部に油圧モータM・Mを設け、二個の各油圧モータM・Mを同時に駆動制御する単一個の流路切換弁Eをもつ油圧制御手段Dを設けてなる構造の二軸破砕機や、図示省略しているが、これら二個の回転軸S・Sのうち、一方の回転軸Sは各回転軸S・Sの一方端部及び他方端部に設けた二個の油圧モータM・Mにより回転駆動し、他方の回転軸Sはその一方端部にのみ設けた一個の油圧モータMにより回転駆動することもあり、又、図5図6の如く、破砕機体Bの破砕室部Q内に並列状に回転軸S・S・Sを三個又は四個配設した構造の三軸、四軸破砕機、或いは、図示省略の複数個の回転軸を配設した構造の多軸破砕機、若しくは、図7の如く、単数の回転軸S及び破砕機体B側に設けた固定刃Fからなる一軸剪断構造などの各種の破砕機が知られている。
【0003】
しかして、例えば、図2図3図4に示す二軸破砕機にあっては、被破砕物Hの破砕状況により不可避的に生ずる過負荷運転に対し、二個の油圧モータM・Mを同時に駆動して回転軸Sを正転又は逆転制御し、各種の被破砕物Hを円滑に破砕するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公昭57−20855号
【特許文献2】実公昭60−22996号
【特許文献3】特公昭61−37988号
【特許文献4】特許第4164811号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら従来構造の場合、上記回転軸Sは回転軸Sの両端部に設けられた各油圧モータM・Mを同時に駆動制御して回転駆動する構造となっており、このため、回転軸Sの回転数及び出力トルクの回転制御範囲にあっては、一方端部及び他方端部に設けられた各油圧モータM・Mの合計のポンプ容量により定まる特定の一つの回転制御範囲に限られることになり、例えば、柔らかい、硬いなどの各種の被破砕物Hに対する破砕の融通性が低くなることがあり、被破砕物Hの破砕効率及び破砕経済性が低下することがあるという不都合を有している。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明はこれらの不都合を解決することを目的とするもので、本発明のうちで、請求項1記載の発明は、破砕機体の破砕室部内に回転軸を配設し、該回転軸に被破砕物を破砕可能な破砕刃を配設し、該回転軸を回転駆動する油圧モータを設け、該油圧モータを駆動制御する油圧制御手段を備えてなり、上記回転軸は該回転軸の一方端部及び他方端部に設けられた各油圧モータにより回転駆動され、該各油圧モータは相互に容量が大小に異なる油圧モータが用いられ、上記油圧制御手段は該各油圧モータを個別又は同時に駆動制御するように設けられ、かつ、上記回転軸は上記破砕室部内に単数個又は複数個設けられ、該複数個の回転軸のうちの、少なくとも、いずれか一つの回転軸、いずれかの複数個の回転軸、又は、すべての回転軸を上記各油圧モータにより回転駆動するように設けられ、さらに、上記油圧制御手段として、上記各油圧モータと油圧ポンプとの間にそれぞれ流路切換弁を設け、該流路切換弁の切換により各油圧モータを個別又は同時に駆動制御するように設けられ、さらに、上記流路切換弁は上記油圧モータに供給される圧油の圧力を検出する圧力センサに基づいて切換動作されることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明は上述の如く、請求項1記載の発明にあっては、油圧モータにより駆動される回転軸の回転により破砕刃で被破砕物を破砕するに際し、上記回転軸は該回転軸の一方端部及び他方端部に設けられた各油圧モータにより回転駆動され、該各油圧モータは相互に容量が大小に異なる油圧モータが用いられ、上記油圧制御手段は該各油圧モータを個別又は同時に駆動制御することになり、それだけ、回転軸の回転数及び出力トルクの回転制御範囲を拡大することができ、柔らかい、硬いなどの各種の被破砕物に対する破砕の融通性を高めることができ、被破砕物の破砕効率及び破砕経済性を高めることができ、かつ、上記回転軸は上記破砕室部内に単数又は複数個設けられ、複数個の回転軸のうちの、少なくとも、いずれか一つの回転軸、いずれかの複数個の回転軸、又は、すべての回転軸を上記各油圧モータにより回転駆動するように設けられているから、回転軸の回転制御範囲を拡大することができ、さらに、上記油圧制御手段として、上記各油圧モータと油圧ポンプとの間にそれぞれ流路切換弁を設け、流路切換弁の切換により各油圧モータを個別又は同時に駆動制御するように設けられているから、回転軸の回転制御を容易に行うことができ、さらに、各流路切換弁は油圧モータに供給される圧油の圧力を検出する圧力センサに基づいて切換動作されるから、回転軸の回転制御を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態例の説明平面図である。
図2】従来構造の二軸破砕機の説明平面図である。
図3】従来構造の二軸破砕機の説明横断面図である。
図4】従来構造の二軸破砕機の説明油圧回路図である。
図5】従来構造の三軸破砕機の説明横断面図である。
図6】従来構造の四軸破砕機の説明横断面図である。
図7】従来構造の一軸破砕機の説明横断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1は本発明の実施の形態例を示し、この場合、上記図2に示した二軸破砕機に適用したものであって、同符号を付して説明すると、破砕機体Bの破砕室部Q内に並列状に回転軸S・Sを二個配設し、各回転軸S・Sに被破砕物Hを破砕可能な破砕刃Rを配設し、少なくとも、一方の回転軸Sは回転軸Sの一方端部及び他方端部に設けられた各油圧モータM・Mにより回転駆動され、各油圧モータM・Mは相互に容量が大小に異なる油圧モータM・Mが用いられ、油圧制御手段Dとして、回転軸Sを回転駆動する一方端部側の油圧モータMと油圧ポンプPとの間及び他方端部側の油圧モータMと油圧ポンプPとの間にそれぞれ流路切換弁E・Eを設け、しかして、回転軸Sの一方端部及び他方端部に設けられた大小容量の異なる油圧モータM・Mを、大容量の油圧モータMのみ、小容量の油圧モータMのみのように個別駆動制御、又は、大容量の油圧モータM及び小容量の油圧モータMの同時駆動制御のように段階的、この場合、三段階で回転制御するように構成している。
【0010】
この場合、図示省略しているが、二個の回転軸S・Sのうち、一方及び他方の二個の回転軸S・Sをその一方端部及び他方端部に設けた各油圧モータM・Mにより駆動するようにしているが、その一方の回転軸にはその一方端部及び他方端部に油圧モータM・Mを設け、他方の回転軸Sについては、その一方端部にのみ油圧モータを設ける構成とすることもあり、すなわち、いずれか一つ又は二個すべての回転軸Sについて、その一方端部及び他方端部に油圧モータM・Mを設ける構成とすることもある。
【0011】
又、この場合、一方端部及び他方端部の各油圧モータM・Mは、それぞれ容量が大小に異なる油圧モータM・Mが用いられているが、ここに、油圧モータMの容量とは、油圧モータMを一回転させるに要する油量(cm/rev)をいい、容量が大きい又は小さいとは、油圧モータMを一回転させるに要する油量が多い、又は、小さいということである。また、被破砕物Hの破砕能力に影響する回転軸Sの出力トルク(N・m/MPa)にあっては、油圧モータMの回転数(rev/min)に依拠するということになる。
【0012】
又、この場合、上記油圧ポンプPと上記各油圧モータM・Mとの間に圧力センサGを設け、各油圧モータM・Mに供給される圧油の圧力を圧力センサGにより検出し、この圧力センサGの圧力信号に基づいて流路切換弁E・Eを切換動作するように構成している。
【0013】
この実施の形態例は上記構成であるから、回転軸Sは回転軸Sの一方端部及び他方端部に設けられた各油圧モータM・Mにより回転駆動され、各油圧モータM・Mは相互に容量が大小に異なる油圧モータM・Mが用いられ、油圧制御手段Dは各油圧モータM・Mを個別又は同時に駆動制御することになり、例えば、先ず、油圧ポンプPより中立位置から正転位置に切換えた流路切換弁Eを介して容量小の油圧モータMに圧油が供給され、油圧モータMにより回転軸Sが駆動され、このとき、油圧モータMは空転し、破砕途中において、過負荷運転となって圧力センサGが油圧モータMに供給される圧油の圧力上昇を検出すると、上記流路切換弁Eは正転位置から中立位置に切換動作されると共に流路切換弁Eは中立位置から正転位置に切換えられ、油圧ポンプPより中立位置から正転位置に切換えられた流路切換弁Eを介して容量大の油圧モータMに圧油が供給され、油圧モータMにより回転軸Sが回転駆動され、このとき、油圧モータMは空転し、更に、破砕途中において、過負荷運転となって圧力センサGが油圧モータMに供給される圧油の圧力上昇を検出すると、流路切換弁Eは位置切換されない状態で、上記流路切換弁Eは中立位置から正転位置に切換動作され、しかして、流路切換弁E・Eを介して油圧モータM・Mが同時に回転駆動され、この際、必要に応じて、これら流路切換弁E・Eの切換動作において、流路切換弁E・Eの逆転位置への切換が行われて破砕作業がなされることになる。
【0014】
したがって、この場合、小容量の油圧モータMのみによる回転軸Sの回転駆動、大容量の油圧モータMのみによる回転軸Sの回転駆動及び小容量の油圧モータM及び大容量の油圧モータMの同時駆動による回転軸Sの回転駆動の三段階での回転駆動制御を行うことができ、それだけ、回転軸Sの回転数及び出力トルクの回転制御範囲を拡大することができ、柔らかい、硬いなどの各種の被破砕物Hに対する破砕の融通性を高めることができ、被破砕物Hの破砕効率及び破砕経済性を高めることができる。
【0015】
例えば、軽負荷時の小容量の油圧モータMのみによる回転軸Sの駆動の場合は、油圧モータMの回転数は高速、破砕力は弱となって、比較的柔らかい被破砕物Hの破砕に適して、高速で素早く破砕を行うことができ、又、大容量の油圧モータMのみによる回転軸Sの駆動の場合は、油圧ポンプPの圧力は一定であるから、油圧モータMの回転数は中速、破砕力は中となって、比較的柔らかい被破砕物Hと硬い被破砕物Hの中間的な普通の被破砕物Hの破砕に適して、比較的低速で確実な破砕を行うことができ、又、大容量の油圧モータM及び小容量の油圧モータMの同時駆動による回転軸Sの駆動の場合は、油圧モータMの回転数は低速、破砕力は強となって、硬い被破砕物Hの破砕に適して、低速で確実な破砕を行うことができる。
【0016】
この場合、上記回転軸Sは上記破砕室部Q内に二個設けられ、二個の回転軸S・Sのうちのすべての回転軸S・Sを上記各油圧モータM・Mにより回転駆動するように設けられているから、回転軸Sの運転制御範囲を拡大することができ、回転軸Sが単数の一軸破砕機であったり、又は、少なくとも、いずれか一つの回転軸S、いずれか複数個の回転軸S・・・、又は、すべての回転軸S・・・を回転駆動する場合においても、同様に、回転軸Sの回転制御範囲を拡大することができ、破砕の融通性を高めることができ、又、この場合、上記油圧制御手段Dとして、上記各油圧モータM・Mと油圧ポンプPとの間にそれぞれ流路切換弁E・Eを設け、流路切換弁E・Eの切換により各油圧モータM・Mを個別又は同時に駆動制御するように設けられているから、回転軸Sの回転制御を容易に行うことができ、破砕の融通性を高めることができ、又、この場合、各流路切換弁E・Eは油圧モータM・Mに供給される圧油の圧力を検出する圧力センサGに基づいて切換動作されるから、回転軸Sの回転制御を容易に行うことができる。
【0017】
尚、本発明は上記実施の形態例に限られるものではなく、例えば、上記形態例以外の構造の多軸破砕機に適用することもでき、多軸破砕機においては、その複数個の回転軸のうちの、少なくとも、いずれか一つの回転軸、選択されたいずれか複数個の回転軸、又は、すべての回転軸をその一方端部及び他方端部に設けた各油圧モータにより回転駆動するように設けることもでき、又、回転軸Sの一方端部及び他方端部に設けられる各油圧モータM・Mの構造として、単独構造の油圧モータや、2個又は数個のモータを直列状に直結した構造のタンデム構造の油圧モータ、或いは、二つ又は複数個のモーター室を有して一定油量に対して数種類の異なる回転数を得ることのできる多連式油圧モータを採用することもある。
【0018】
又、油圧制御手段Dにおいて、例えば、上記実施の形態例においては、回転軸Sを回転駆動する油圧モータM・Mを一個の油圧ポンプPにより二個の流路切換弁E・Eを格別に切り替えて駆動するようしているが、油圧モータM・Mをそれぞれ別個の二個の油圧ポンプにより駆動する回路構成を採用することもあり、油圧制御手段Dの油圧回路構造は適宜設計して変更されるものである。
【0019】
以上、所期の目的を充分達成することができる。
【符号の説明】
【0020】
B 破砕機体
Q 破砕室部
S 回転軸
H 被破砕物
R 破砕刃
M 油圧モータ
油圧モータ
油圧モータ
E 流路切換弁
流路切換弁
流路切換弁
D 油圧制御手段
P 油圧ポンプ
G 圧力センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7