(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5780591
(24)【登録日】2015年7月24日
(45)【発行日】2015年9月16日
(54)【発明の名称】凝縮器用散水装置及びその運転方法
(51)【国際特許分類】
F25B 39/04 20060101AFI20150827BHJP
【FI】
F25B39/04 N
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-168236(P2011-168236)
(22)【出願日】2011年8月1日
(65)【公開番号】特開2013-32869(P2013-32869A)
(43)【公開日】2013年2月14日
【審査請求日】2014年6月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000213493
【氏名又は名称】中野冷機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088720
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 眞一
(72)【発明者】
【氏名】秋子 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】田中 朋行
【審査官】
関口 勇
(56)【参考文献】
【文献】
特開平11−337230(JP,A)
【文献】
特開2010−276269(JP,A)
【文献】
特開2010−053510(JP,A)
【文献】
特開平05−231726(JP,A)
【文献】
特開2001−317821(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 39/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機により圧縮されて高温高圧となったガス冷媒を空冷により高圧の液冷媒にする凝縮器に対して散水を行う散水器と、
前記凝縮器から流れ出た液冷媒の温度を検出する液冷媒温度検出部と、
前記液冷媒温度検出部により検出された前記液冷媒の温度が所定温度以上であるか否かを判断し、前記液冷媒の温度が所定温度以上であると判断した場合、前記圧縮機が一定時間以上フル稼働し続けたか否かを判断し、前記圧縮機が一定時間以上フル稼働し続けたと判断した場合、前記散水器に前記散水を実行させる制御部と、を備えるとともに、 前記制御部は、前記圧縮機が一定時間以上フル稼働し続けていないと判断した場合、夜間冷却停止が解除されて間もないか否かを判断し、夜間冷却停止が解除されて間もないと判断した場合、前記散水器に前記散水を実行させることを特徴とする凝縮器用散水装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記圧縮機が一定時間以上フル稼働し続けていないと判断した場合、現在の時刻が前記凝縮器の周辺温度が急激に上昇する時間帯であるか否かを判断し、現在の時刻が前記凝縮器の周辺温度が急激に上昇する時間帯であると判断した場合、前記散水器に前記散水を実行させることを特徴とする請求項1記載の凝縮器用散水装置。
【請求項3】
前記凝縮器の周辺の明るさを検出する光検出部を備え、
前記制御部は、前記圧縮機が一定時間以上フル稼働し続けたと判断した場合、前記光検出部により検出された前記凝縮器の周辺の明るさが晴天又は昼間の明るさであるか否かを判断し、前記凝縮器の周辺の明るさが晴天又は昼間の明るさであると判断した場合、前記散水器に前記散水を実行させることを特徴とする請求項1又は2記載の凝縮器用散水装置。
【請求項4】
圧縮機により圧縮されて高温高圧となったガス冷媒を空冷により高圧の液冷媒にする凝縮器に対して散水を行う散水器と、前記凝縮器から流れ出た液冷媒の温度を検出する液冷媒温度検出部とを備える凝縮器用散水装置の運転方法であって、
前記液冷媒温度検出部により検出された前記液冷媒の温度が所定温度以上であるか否かを判断し、前記液冷媒の温度が所定温度以上であると判断した場合、前記圧縮機が一定時間以上フル稼働し続けたか否かを判断し、前記圧縮機が一定時間以上フル稼働し続けたと判断した場合、前記散水器に前記散水を実行させ、前記圧縮機が一定時間以上フル稼働し続けていないと判断した場合、夜間冷却停止が解除されて間もないか否かを判断し、夜間冷却停止が解除されて間もないと判断した場合、前記散水器に前記散水を実行させることを特徴とする凝縮器用散水装置の運転方法。
【請求項5】
前記圧縮機が一定時間以上フル稼働し続けていないと判断した場合、現在の時刻が前記凝縮器の周辺温度が急激に上昇する時間帯であるか否かを判断し、現在の時刻が前記凝縮器の周辺温度が急激に上昇する時間帯であると判断した場合、前記散水器に前記散水を実行させることを特徴とする請求項4記載の凝縮器用散水装置の運転方法。
【請求項6】
前記凝縮器用散水装置は、前記凝縮器の周辺の明るさを検出する光検出部を備えており、
前記圧縮機が一定時間以上フル稼働し続けたと判断した場合、前記光検出部により検出された前記凝縮器の周辺の明るさが晴天又は昼間の明るさであるか否かを判断し、前記凝縮器の周辺の明るさが晴天又は昼間の明るさであると判断した場合、前記散水器に前記散水を実行させることを特徴とする請求項4又は5記載の凝縮器用散水装置の運転方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、凝縮器用散水装置及びその運転方法に関し、例えば、冷凍機の圧縮機で圧縮されて高温高圧となったガス冷媒を空冷により凝縮させる凝縮器に散水を行う散水器を備える凝縮器用散水装置及びその運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な冷却設備では、冷凍機の圧縮機で圧縮されて高温高圧となったガス冷媒を凝縮器に導入し、ファンにより強制的に流通する外気との熱交換によって凝縮させて高圧の液冷媒とし、その後、液冷媒を膨張弁で膨張させることによって低温低圧のガス冷媒を発生させ、この低温低圧のガス冷媒を冷却器に導入して冷却対象を冷却している。
【0003】
このような冷却設備において、高温高圧ガス冷媒と熱交換する外気の温度が高くなったり、凝縮した高圧液冷媒の温度が高くなったりすると、圧縮機を保護するための高圧スイッチが作動して圧縮機が停止する、いわゆる高圧カットが発生しやすくなる。このため、凝縮器の吐出管路を流れる高圧液冷媒の温度が所定温度以上になったときに、凝縮器に向けて散水することが行われている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−27429号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述の技術では、高圧カットの発生防止や省エネルギー化は可能であるが、水道代を含めたランニングコストについての検討がなされていない。現状としては、省エネルギー化及び省ランニングコスト化が重要視されており、高圧カットを抑えつつ省エネルギー性能を向上させ、さらに、水道代を抑制することが望まれている。
【0006】
本発明は上記を鑑みてなされたものであり、その目的は、高圧カットを抑えつつ省エネルギー性能を向上させることができ、さらに、水道代を抑制することができる凝縮器用散水装置及びその運転方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る凝縮器用散水装置は、圧縮機により圧縮されて高温高圧となったガス冷媒を空冷により高圧の液冷媒にする凝縮器に対して散水を行う散水器と、凝縮器から流れ出た液冷媒の温度を検出する液冷媒温度検出部と、液冷媒温度検出部により検出された液冷媒の温度が所定温度以上であるか否かを判断し、液冷媒の温度が所定温度以上であると判断した場合、圧縮機が一定時間以上フル稼働し続けたか否かを判断し、圧縮機が一定時間以上フル稼働し続けたと判断した場合、散水器に散水を実行させる制御部とを備える。
【0008】
また、前述の本発明に係る凝縮器用散水装置において、制御部は、圧縮機が一定時間以上フル稼働し続けていないと判断した場合、夜間冷却停止が解除されて間もないか否かを判断し、夜間冷却停止が解除されて間もないと判断した場合、散水器に散水を実行させることが望ましい。
【0009】
また、前述の本発明に係る凝縮器用散水装置において、制御部は、圧縮機が一定時間以上フル稼働し続けていないと判断した場合、現在の時刻が凝縮器の周辺温度が急激に上昇する時間帯であるか否かを判断し、現在の時刻が凝縮器の周辺温度が急激に上昇する時間帯であると判断した場合、散水器に散水を実行させることが望ましい。
【0010】
また、前述の本発明に係る凝縮器用散水装置において、凝縮器の周辺の明るさを検出する光検出部を備え、制御部は、圧縮機が一定時間以上フル稼働し続けたと判断した場合、光検出部により検出された凝縮器の周辺の明るさが晴天又は昼間の明るさであるか否かを判断し、凝縮器の周辺の明るさが晴天又は昼間の明るさであると判断した場合、散水器に散水を実行させることが望ましい。
【0011】
本発明に係る凝縮器用散水装置の運転方法は、圧縮機により圧縮されて高温高圧となったガス冷媒を空冷により高圧の液冷媒にする凝縮器に対して散水を行う散水器と、凝縮器から流れ出た液冷媒の温度を検出する液冷媒温度検出部とを備える凝縮器用散水装置の運転方法であって、液冷媒温度検出部により検出された液冷媒の温度が所定温度以上であるか否かを判断し、液冷媒の温度が所定温度以上であると判断した場合、圧縮機が一定時間以上フル稼働し続けたか否かを判断し、圧縮機が一定時間以上フル稼働し続けたと判断した場合、散水器に散水を実行させる。
【0012】
また、前述の本発明に係る凝縮器用散水装置の運転方法において、圧縮機が一定時間以上フル稼働し続けていないと判断した場合、夜間冷却停止が解除されて間もないか否かを判断し、夜間冷却停止が解除されて間もないと判断した場合、散水器に散水を実行させることが望ましい。
【0013】
また、前述の本発明に係る凝縮器用散水装置の運転方法において、圧縮機が一定時間以上フル稼働し続けていないと判断した場合、現在の時刻が凝縮器の周辺温度が急激に上昇する時間帯であるか否かを判断し、現在の時刻が凝縮器の周辺温度が急激に上昇する時間帯であると判断した場合、散水器に散水を実行させることが望ましい。
【0014】
また、前述の本発明に係る凝縮器用散水装置の運転方法において、凝縮器用散水装置は、凝縮器の周辺の明るさを検出する光検出部を備えており、圧縮機が一定時間以上フル稼働し続けたと判断した場合、光検出部により検出された凝縮器の周辺の明るさが晴天又は昼間の明るさであるか否かを判断し、凝縮器の周辺の明るさが晴天又は昼間の明るさであると判断した場合、散水器に散水を実行させることが望ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る凝縮器用散水装置又はその運転方法によれば、液冷媒の温度に加え、圧縮機のフル稼働に応じて散水が行われる。すなわち、液冷媒の温度が所定温度以上であり、圧縮機が一定時間以上フル稼働し続けた場合には、散水が行われ、液冷媒の温度が所定温度以上であっても、圧縮機が一定時間以上フル稼働し続けていない場合には、散水が行われない。このように、圧縮機のフル稼働に応じた効率的な散水により、圧縮機のフル稼働時に凝縮器の熱交換効率が上げられるので、高圧カットの抑止に加え、圧縮機の省エネルギー化を適量の水道水で実現することが可能となる。これにより、高圧カットを抑えつつ省エネルギー性能を向上させることができ、さらに、水道代を抑制することができる。
【0016】
また、圧縮機が一定時間以上フル稼働し続けていないと判断した場合、夜間冷却停止が解除されて間もないか否かを判断し、夜間冷却停止が解除されて間もないと判断した場合、散水器に散水を実行させる場合には、夜間冷却停止の解除に応じて散水を行うことが可能となる。通常、圧縮機は夜間冷却停止の解除に応じてフル稼働するが、そのフル稼働に合わせて凝縮器に対して散水を行うことが可能となるため、圧縮機のフル稼働時に凝縮器の熱交換効率が上げられるので、より高圧カットを抑えつつ適量の水道水で省エネルギー性能を向上させることができる。
【0017】
また、圧縮機が一定時間以上フル稼働し続けていないと判断した場合、現在の時刻が凝縮器の周辺温度が急激に上昇する時間帯であるか否かを判断し、現在の時刻が凝縮器の周辺温度が急激に上昇する時間帯であると判断した場合、散水器に散水を実行させる場合には、凝縮器の周辺温度の急激な上昇に応じて散水を行うことが可能となる。通常、空冷に用いられる外気の温度は凝縮器の周辺温度の急激な上昇に応じて高くなるが、その周辺温度の急激な上昇に合わせて凝縮器に対して散水を行うことが可能となるため、空冷に用いられる外気の温度が下げられ、凝縮器の熱交換効率が上昇するので、より高圧カットを抑えつつ適量の水道水で省エネルギー性能を向上させることができる。
【0018】
また、圧縮機が一定時間以上フル稼働し続けたと判断した場合、光検出部により検出された凝縮器の周辺の明るさが晴天又は昼間の明るさであるか否かを判断し、凝縮器の周辺の明るさが晴天又は昼間の明るさであると判断した場合、散水器に散水を実行させる場合には、液冷媒の温度及び圧縮機のフル稼働に加え、現在が晴天又は昼間であることに応じて散水が行われる。これにより、雨天や夜間に散水が行われることが無くなり、無駄な散水動作によるエネルギー消費が抑えられるので、さらなる省エネルギー化を実現することが可能となる。これにより、省エネルギー性能をより向上させることができ、さらに、節水を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施の一形態に係る散水装置の概略構成を示す側面図である。
【
図3】
図1及び
図2に示す散水装置が行う散水処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施の一形態について図面を参照して説明する。
【0021】
図1及び
図2に示すように、本発明の実施の一形態に係る散水装置1は、凝縮器2に対して散水を行う散水器3と、その散水器3を制御する制御部4とを備えている。この散水装置1は凝縮器用散水装置として機能する。
【0022】
凝縮器2は、V字状に対向して配置された一対の熱交換器2a、2bと、それらの熱交換器2a、2b間の上部に設けられた複数のファン2c、2d、2eを有している。この凝縮器2は、各ファン2c、2d、2eによって吸引した外気と高温高圧のガス冷媒とを一対の熱交換器2a、2bで熱交換させることによって、冷凍機の圧縮機で圧縮されて高温高圧となったガス冷媒を凝縮させて高圧の液冷媒にする空冷式の凝縮器である。
【0023】
各熱交換器2a、2bには、共通の配管として、冷凍機の圧縮機により圧縮された高温高圧のガス冷媒を導入するガス導入管11と、各熱交換器2a、2bで凝縮した高圧液冷媒を各熱交換器2a、2bから導出する液導出管12とが設けられている。また、液導出管12には、高圧液冷媒の温度を検出する液冷媒温度検出部13が設けられている。この液冷媒温度検出部13は電気的に制御部4に接続されており、高圧液冷媒の温度を測定し、測定した高圧液冷媒の温度を制御部4に出力する。なお、液冷媒温度検出部13としては、各種の温度センサを用いることが可能である。
【0024】
散水器3は、各熱交換器2a、2bに向けて水を噴射する複数の散水ノズル3a、3b、3c(なお、符号は三つしか存在しないが、熱交換器2a用に二個、熱交換器2b用に二個の計四個設けられている)と、それらの散水ノズル3a、3b、3cに水を供給する給水配管3dと、各散水ノズル3a、3b、3cから各熱交換器2a、2bに向けて噴射されて蒸発せずにその凝縮器2の下方に流下した水を受ける受水槽3eとを備えている。
【0025】
各散水ノズル3a、3b、3cは給水配管3dに接続されており、給水配管3dを介して供給された水を各熱交換器2a、2bに向けて噴射可能に設置されている。給水配管3dには、その給水配管3dを開閉する電磁弁などの開閉弁14が設けられている。この開閉弁14は電気的に制御部4に接続されており、その制御部4による制御に応じて給水配管3dを開閉する。また、受水槽3e内には、前述の液導出管12となる配管の一部が配設されている。なお、散水用の水としては、水道水を用いているが、この水道水に限るものではなく、例えば、雨水やドレン水などを利用することも可能である。
【0026】
凝縮器2の上部には、その凝縮器2の周辺の明るさを検出する光検出部15が設けられている。この光検出部15は、凝縮器2の周辺の明るさを正確に検出可能に、例えば、周囲の部材などにより影とならず、各散水ノズル3a、3b、3cにより噴射された水がかからない場所に設けられている。この光検出部15は電気的に制御部4に接続されており、凝縮器2の周辺の明るさを測定し、測定した明るさを制御部4に出力する。なお、光検出部15としては、各種の光センサを用いることが可能である。
【0027】
制御部4は、各部を集中的に制御するマイクロコンピュータ、及び、各種情報や各種プログラムを記憶する記憶部などを備えている。なお、記憶部としては、フラッシュメモリやハードディスクドライブ(HDD)などを用いることが可能である。この制御部4は、各種プログラムや各種情報に基づいて開閉弁14を制御し、散水器3による散水動作を制御する。この制御には、液冷媒温度検出部13により検出された液冷媒温度や光検出部15により検出された明るさなどが用いられる。
【0028】
次に、前述の散水装置1が行う散水処理(散水動作)について説明する。なお、散水装置1の制御部4が各種プログラム及び各種情報に基づいて散水処理を実行する。
【0029】
図3に示すように、まず、制御部4は、凝縮器2の出口の液冷媒温度が所定温度以上であるか否かを判断する(ステップS1)。このとき、液冷媒温度は液冷媒温度検出部13により検出されて制御部4に入力されている。なお、所定温度は、高圧カットを抑止するための温度に設定されている。
【0030】
次いで、ステップS1において、凝縮器2の出口の液冷媒温度が所定温度以上でないと判断した場合には(ステップS1のNO)、各散水ノズル3a、3b、3cからの水の噴射を実行せず(ステップS2)、処理をステップS1に戻す。このとき、給水配管3dの開閉弁14は閉められており、給水配管3dは閉状態である。
【0031】
一方、ステップS1において、凝縮器2の出口の液冷媒温度が所定温度以上であると判断した場合には(ステップS1のYES)、圧縮機が一定時間(例えば、数十分)以上フル稼働し続けたか否かを判断する(ステップS3)。なお、制御部4はタイマ機能を有しており、圧縮機がフル稼働しているフル稼働時間を計測することが可能である。
【0032】
ここで、例えば、庫内を冷却するショーケースのナイトカバーを開けた場合や庫内照明を点灯した場合などには、ショーケース側の負荷が増えるため、圧縮機はフル稼働することになる。また、圧縮機は、除霜運転後のプルダウンのときもフル稼働する。このフル稼働中には、圧縮機がフル稼働中であることを知らせるフル稼働信号が制御部4に入力され、このフル稼働信号が入力されている時間がタイマにより計測され、フル稼働時間が求められる。このフル稼働時間が一定時間以上となるか否かが制御部4により判定され、圧縮機が一定時間以上フル稼働し続けたか否かが判断される。
【0033】
なお、前述のナイトカバーは、例えば、オープンショーケースなどのショーケースの開口部を塞ぐためのカバーである。このナイトカバーは、通常、店舗営業時間帯などには使用されず、店舗営業後の夜間などに冷却運転するショーケースに対して、冷気の漏れを防止して省エネルギー化を実現することを目的として使用される。その中でも清涼飲料水や酒などの飲料を陳列するショーケースでは、夜間に、冷凍機による庫内冷却が停止される場合がある。また、庫内照明は、ショーケースの庫内に設けられた照明であり、通常、店舗営業時間帯に点灯され、店舗営業後に消される。
【0034】
また、前述のプルダウンは、除霜により上昇した庫内温度を所定の設定温度に復帰させることであり、除霜運転が完了すると、必ず復帰運転として実行される。このプルダウンでは、庫内温度が所定の設定温度に到達するまでのプルダウン時間を短縮するため、ひいては冷却対象である商品の品質低下を防止するため、圧縮機は庫内温度が所定の設定温度で安定するまでフル稼働する。なお、除霜運転は、ショーケースの蒸発器に付着した霜を除霜ヒータにより溶かす除霜(デフロスト)を行う運転である。この除霜にかかる除霜時間は、例えば数十分から数時間までの範囲内で設定されている。また、除霜運転は、例えば、毎日、一日数回、同時刻に実行されるように設定されている。
【0035】
その後、ステップS3において、圧縮機が一定時間以上フル稼働し続けていないと判断した場合には(ステップS3のNO)、ショーケースの夜間冷却停止が解除されて間もないか否かを判断する(ステップS4)。なお、制御部4は、前述のタイマ機能により、夜間冷却停止が解除されてからの経過時間を計測することが可能である。
【0036】
ここで、夜間冷却停止が解除されると、そのことを知らせる停止解除信号が制御部4に入力され、その停止解除信号が入力されてからの経過時間がタイマにより計測され、停止解除経過時間が求められる。この停止解除経過時間が所定時間以内であるか否かが制御部4により判定され、夜間冷却停止が解除されて間もないか否かが判断される。
【0037】
なお、通常、夜間冷却停止を実行するショーケースでは、店舗営業後の夜間などに、冷凍機によるショーケースの庫内冷却は停止されるため、ショーケースの庫内温度は所定の設定温度よりかなり高くなる。このため、夜間冷却停止が解除されると、圧縮機は庫内温度が所定の設定温度で安定するまでフル稼働することになる。
【0038】
次に、ステップS4において、ショーケースの夜間冷却停止が解除されて間もなくないと判断した場合には(ステップS4のNO)、現在の時刻が凝縮器2の周辺温度が急激に上昇する時間帯であるか否かを判断する(ステップS5)。なお、現在の時刻が凝縮器2の周辺温度が急激に上昇する時間帯でないと判断した場合には(ステップS5のNO)、処理をステップS2に進める。
【0039】
ここで、凝縮器2の周辺温度が急激に上昇する時間帯としては、例えば、日の出の時間帯があり、この日の出の時間帯は制御部4の記憶部などに季節あるいは月毎に設定されている。日の出などにより凝縮器2の周辺温度が急激に上昇すると、各ファン2c、2d、2eにより吸い込まれる外気の温度が高くなるため、日の出の時間帯では、冷凍機の消費電力量は多くなりやすい。
【0040】
ステップS3において、圧縮機が一定時間以上フル稼働し続けたと判断した場合(ステップS3のYES)、あるいは、ステップS4において、ショーケースの夜間冷却停止が解除されて間もないと判断した場合(ステップS4のYES)、または、現在の時刻が凝縮器2の周辺温度が急激に上昇する時間帯であると判断した場合には(ステップS5のYES)、現在が昼間かつ晴天であるか否かを判断する(ステップS6)。
【0041】
ステップS6において、現在が昼間かつ晴天であると判断した場合には(ステップS6のYES)、各散水ノズル3a、3b、3cからの水の噴射を実行し(ステップS7)、処理をステップS1に戻す。水の噴射では、給水配管3dの開閉弁14が制御部4により開けられ、給水配管3dは開状態となる。一方、現在が昼間かつ晴天であると判断した場合には(ステップS6のNO)、処理をステップS2に進める。
【0042】
ここで、前述の散水は間欠的に行われ(水の噴射とその噴射の停止が繰り返される)、最初の散水開始から所定時間が経過した場合、あるいは、液冷媒温度検出部13により検出された液冷媒温度が所定温度未満になった場合などに停止する。このとき、給水配管3dの開閉弁14が制御部4により閉められ、給水配管3dは閉状態となる。
【0043】
このような散水処理においては、液冷媒の温度に加え、圧縮機のフル稼働に応じて散水が行われる。すなわち、液冷媒の温度が所定温度以上であり、圧縮機が一定時間以上フル稼働し続けた場合には、散水が行われ、液冷媒の温度が所定温度以上であっても、圧縮機が一定時間以上フル稼働し続けていない場合には、散水が行われない。このように、圧縮機のフル稼働に応じた効率的な散水により、圧縮機のフル稼働時に凝縮器2の熱交換効率が上げられるので、高圧カットの抑止に加え、圧縮機の省エネルギー化を適量の水道水で実現することが可能となる。これにより、高圧カットを抑えつつ省エネルギー性能を向上させることができ、さらに、水道代を抑制することができる。
【0044】
また、夜間冷却停止が解除されると、圧縮機は庫内温度が所定の設定温度で安定するまでフル稼働するが、このとき、圧縮機のフル稼働に合わせて凝縮器2に対して散水を行うことによって、圧縮機のフル稼働時に凝縮器2の熱交換効率が上げられるので、より高圧カットを抑えつつ適量の水道水で省エネルギー性能を向上させることができる。
【0045】
また、日の出などにより凝縮器2の周辺温度が急激に上昇すると、各ファン2c、2d、2eにより吸い込まれる外気の温度が高くなるため、日の出の時間帯では、冷凍機の消費電力量は多くなりやすくなるが、このとき、凝縮器2に対して散水を行うことによって、凝縮器2の周辺温度、すなわち各ファン2c、2d、2eにより吸い込まれる外気の温度が下げられ、凝縮器2の熱交換効率が上昇するため、より高圧カットを抑えつつ適量の水道水で省エネルギー性能を向上させることができる。
【0046】
また、凝縮器2の周辺の明るさが晴天又は昼間の明るさである場合だけに散水を行うことによって、雨天や夜間に散水が行われることが無くなり、無駄な散水動作によるエネルギー消費が抑えられるので、さらなる省エネルギー化を実現することが可能となる。これにより、省エネルギー性能をより向上させることができ、さらに、節水も達成することができる。加えて、凝縮器2のフィンに噴射する水の量が減らせるため、フィンへのスケール付着やフィン腐食の進行を遅らせることができる。
【0047】
また、凝縮器2の下方に受水槽3eを設けることによって、凝縮器2の下方が、滴下する水によって水浸しになることを防止することができるだけではなく、受水槽3eから水が蒸発する際の気化熱により、各ファン2c、2d、2eによって吸引される外気の温度を冷却することができる。これにより、各熱交換器2a、2bにおける外気と高温高圧ガス冷媒との熱交換効率を向上させることが可能となるので、高圧液冷媒の温度を下げることができる。
【0048】
さらに、凝縮器2の下方に設けた受水槽3eに液導出管12の配管を配設することによって、受水槽3e内の水により凝縮器2で凝縮した液冷媒を過冷却状態とすることが可能となるので、膨張弁で膨張前の高圧液冷媒の温度を更に低くすることができる。その結果、冷凍機の冷却能力を向上させることができる。
【0049】
以上、本発明は、前述の実施の形態に限るものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。例えば、前述の実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施の形態に亘る構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0050】
1 散水装置
2 凝縮器
2a 熱交換器
2b 熱交換器
2c ファン
2d ファン
2e ファン
3 散水器
3a 散水ノズル
3b 散水ノズル
3c 散水ノズル
3d 給水配管
3e 受水槽
4 制御部
11 ガス導入管
12 液導出管
13 液冷媒温度検出部
14 開閉弁
15 光検出部