特許第5780602号(P5780602)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5780602事業所用デジタルコードレス電話システム、切替チャネル選択方法および切替チャネル選択プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5780602
(24)【登録日】2015年7月24日
(45)【発行日】2015年9月16日
(54)【発明の名称】事業所用デジタルコードレス電話システム、切替チャネル選択方法および切替チャネル選択プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 16/14 20090101AFI20150827BHJP
   H04W 72/08 20090101ALI20150827BHJP
   H04W 72/04 20090101ALI20150827BHJP
【FI】
   H04W16/14
   H04W72/08 110
   H04W72/04 132
【請求項の数】8
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-274761(P2012-274761)
(22)【出願日】2012年12月17日
(65)【公開番号】特開2014-120933(P2014-120933A)
(43)【公開日】2014年6月30日
【審査請求日】2014年7月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】大木 英生
【審査官】 桑江 晃
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−203898(JP,A)
【文献】 特開2011−77985(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/26
H04W 4/00 − 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第二世代デジタルコードレス電話システムとして規格化されたPHS(Personal Handy-Phone System)方式を採用した基地局と端末とから構成される事業所用デジタルコードレス電話システムにおいて、前記基地局の通信エリア内に同一周波数帯域を使用する他の方式のデジタルコードレス電話システムの無線機器が存在している場合に備え、前記基地局は、前記端末との間の通信に用いるチャネルに対する電波干渉が発生して、通信中の通信品質の低下が発生したか否かを監視する通信品質監視手段と、前記通信品質監視手段にて通信中の通信品質があらかじめ定めた品質閾値以下に低下したことを検出した場合、または、通信相手先の前記端末からチャネル切替要求を受け取った場合に、前記他の方式のデジタルコードレス電話システムが使用している周波数とは異なる周波数帯域のチャネルを切替チャネルとして選択する切替チャネル選択手段と、電波干渉が発生したチャネルを前記切替チャネル選択手段により選択された前記切替チャネルに切り替える動作を制御するチャネル切替制御手段と、を少なくとも備え
前記切替チャネル選択手段は、前記他の方式のデジタルコードレス電話システムの各チャネルの周波数帯域に該当する周波数帯域となるPHS方式における各チャネルの合計帯域それぞれを該当帯域として、また、前記他の方式のデジタルコードレス電話システムの各チャネルの周波数帯域に該当しない周波数帯域となるPHS方式における各チャネルの合計帯域を非該当帯域としてあらかじめ設定登録しておき、前記切替チャネルを選択する際に、前記非該当帯域よりも優先させて、前記該当帯域のうち、電波干渉が発生したチャネルが属する該当帯域以外のいずれかの該当帯域に属するチャネルの中から空きチャネルを前記切替チャネルとして選択することを特徴とする事業所用デジタルコードレス電話システム。
【請求項2】
前記端末との通信を行うためのチャネルを前記切替チャネル選択手段により選択された前記切替チャネルに前記チャネル切替制御手段によって切り替えて、前記端末との間の通信状態になった以降において、前記通信品質監視手段が、前記切替チャネルを使用した通信の通信品質があらかじめ定めた前記品質閾値以下に低下したことを検出した場合、前記切替チャネル選択手段は、前記該当帯域のうちまだ切替チャネルとして選択していない残りの該当帯域のいずれかに属するチャネルの中から空きチャネルを前記切替チャネルとして選択することを特徴とする請求項に記載の事業所用デジタルコードレス電話システム。
【請求項3】
前記端末との通信を行うためのチャネルを前記切替チャネル選択手段により選択された前記切替チャネルに前記チャネル切替制御手段によって切り替えて、前記端末との間の通信状態になった以降において、前記通信品質監視手段が、前記切替チャネルを使用した通信の通信品質があらかじめ定めた前記品質閾値以下に低下したことを検出した場合、前記切替チャネル選択手段は、ただちに、前記非該当帯域に属するチャネルの中から空きチャネルを前記切替チャネルとして選択するか、または、前記該当帯域のうちまだ切替チャネルとして選択していない残りの該当帯域が存在していない状態になった場合に、前記非該当帯域の中から空きチャネルを前記切替チャネルとして選択することを特徴とする請求項またはに記載の事業所用デジタルコードレス電話システム。
【請求項4】
前記通信品質監視手段は、通信の通信品質として通信データのFER(Frame Error Rate)を監視し、該FERの値があらかじめ定めた閾値以上に大きくなった場合に、通信の通信品質があらかじめ定めた前記品質閾値以下に低下したものとして検出することを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載の事業所用デジタルコードレス電話システム。
【請求項5】
前記他の方式のデジタルコードレス電話システムが、DECT(Digital Enhanced Cordless Telecommunications)方式のデジタルコードレス電話システムであることを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載の事業所用デジタルコードレス電話システム。
【請求項6】
第二世代デジタルコードレス電話システムとして規格化されたPHS(Personal Handy-Phone System)方式を採用した基地局と端末とから構成される事業所用デジタルコードレス電話システムにおける切替チャネル選択方法であって、前記基地局の通信エリア内に同一周波数帯域を使用する他の方式のデジタルコードレス電話システムの無線機器が存在している場合に備え、前記基地局は、前記端末との間の通信に用いるチャネルに対する電波干渉が発生して、通信中の通信品質の低下が発生したか否かを監視する通信品質監視ステップと、前記通信品質監視ステップにて通信中の通信品質があらかじめ定めた品質閾値以下に低下したことを検出した場合、または、通信相手先の前記端末からチャネル切替要求を受け取った場合に、前記他の方式のデジタルコードレス電話システムが使用している周波数とは異なる周波数帯域のチャネルを切替チャネルとして選択する切替チャネル選択ステップと、電波干渉が発生したチャネルを前記切替チャネル選択ステップにより選択された前記切替チャネルに切り替える動作を制御するチャネル切替制御ステップと、を少なくとも有し
前記切替チャネル選択ステップは、前記他の方式のデジタルコードレス電話システムの各チャネルの周波数帯域に該当する周波数帯域となるPHS方式における各チャネルの合計帯域それぞれを該当帯域として、また、前記他の方式のデジタルコードレス電話システムの各チャネルの周波数帯域に該当しない周波数帯域となるPHS方式における各チャネルの合計帯域を非該当帯域としてあらかじめ設定登録しておき、前記切替チャネルを選択する際に、前記非該当帯域よりも優先させて、前記該当帯域のうち、電波干渉が発生したチャネルが属する該当帯域以外のいずれかの該当帯域に属するチャネルの中から空きチャネルを前記切替チャネルとして選択することを特徴とする切替チャネル選択方法。
【請求項7】
前記端末との通信を行うためのチャネルを前記切替チャネル選択ステップにより選択された前記切替チャネルに前記チャネル切替制御ステップによって切り替えて、前記端末との間の通信状態になった以降において、前記通信品質監視ステップにおいて、前記切替チャネルを使用した通信の通信品質があらかじめ定めた前記品質閾値以下に低下したことを検出した場合、前記切替チャネル選択ステップにより、ただちに、前記非該当帯域に属するチャネルの中から空きチャネルを前記切替チャネルとして選択するか、または、前記該当帯域のうちまだ切替チャネルとして選択していない残りの該当帯域が存在していない状態になった場合に、前記非該当帯域の中から空きチャネルを前記切替チャネルとして選択することを特徴とする請求項に記載の切替チャネル選択方法。
【請求項8】
請求項6または7に記載の切替チャネル選択方法を、コンピュータによって実行可能なプログラムとして実施していることを特徴とする切替チャネル選択プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、事業所用デジタルコードレス電話システム、切替チャネル選択方法および切替チャネル選択プログラムに関し、特に、第二世代コードレス電話システムの規格に準拠した事業所用デジタルコードレス電話システムの通信エリア内に同一周波数帯域を使用する異なる方式の他の電話システムが混在している場合に、混在した他の電話システムからの妨害電波を回避するためのチャネル切替を実施する事業所用デジタルコードレス電話システム、切替チャネル選択方法および切替チャネル選択プログラムに関する。本発明は、1.9GHz帯域のPHS方式の事業所用デジタルコードレス電話システム(基地局、デジタルコードレス端末)と他の方式として国内で新たに規格化された1.9GHz帯域のDECT(Digital Enhanced Cordless Telecommunications)方式のデジタルコードレス電話システム(DECT親機、DECT子機)とが同一の通信エリアに重複して存在する場合に特に有効である。
【背景技術】
【0002】
デジタルコードレス電話システムとして1.9GHzの無線周波数帯域を使用するDECT(Digital Enhanced Cordless Telecommunications)方式が国内で新たに規格化されたことにより、第二世代コードレス電話システム(Personal Handy-Phone System)として社団法人電波産業会にて策定されたRCR STD−28規格に準拠するPHS(Personal Handy-Phone System)方式のデジタルコードレス電話システムと使用する無線周波数帯域と重複する状況が発生しつつある。ここで、これらの双方のデジタルコードレス電話システムが互いに重複する通信エリアに混在するような場合であって、使用している通信チャネルの周波数帯域が重複し、かつ、TDMA(Time Division Multiple Access)方式のタイミングが重複するような場合には、互いの電波干渉が発生して、通信品質が低下して、通信エラーが発生する事態が回避できなくなってくる。
【0003】
通常、かかる電波干渉を回避するためには、特許文献1の特開2011−77985号公報「無線通信装置および無線通信方法」にも記載されているように、電波干渉を生じた通信中のチャネルを他のチャネルに切り替えるチャネル切替が有効である。しかし、該特許文献1の場合、チャネル切替を実施するデジタルコードレス電話システムは、DECT方式側の無線機器であり、PHS方式を適用した事業所用デジタルコードレス電話システム側の無線機器ではない。
【0004】
DECT方式の1通話チャネル当たりの周波数帯域幅は、PHS方式を適用した事業所用デジタルコードレス電話システムの場合の帯域幅よりも広く、約6倍もあるため、DECT方式側がチャネル切替を実施した場合には、電波干渉していたPHS方式側のチャネルとは異なる周波数帯域のチャネルに切り替えることができるが、PHS方式側がチャネル切替を実施する場合には、電波干渉していたPHS方式側のチャネルの近傍の周波数帯域のチャネルに切り替えても、DECT方式側にて通信中のチャネルとして使用している周波数帯域内に存在している場合が多く、切替先のチャネルにおいても通信エラーが発生してしまい、チャネル切替を繰り返す事態が生じる。かくのごときチャネル切替動作中は、無通信状態が発生し、通信内容の脱落(音声通話の場合は音抜け)が生じたり雑音が混入したりすることになり、頻繁なチャネル切替動作は、使用するユーザへの著しいサービス低下要因になってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−77985号公報(第6−8頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述したように、第二世代コードレス電話システム(Personal Handy-Phone System)として社団法人電波産業会が策定のRCR STD−28規格に準拠するPHS(Personal Handy-Phone System)方式を適用した事業者用デジタルコードレス電話システムの通信エリア内に、同じ無線周波数帯(1.9GHz)を使用するETSI(European Telecommunications Standards Institute)策定のデジタルコードレス電話規格のDECT(Digital Enhanced Cordless Telecommunications)方式のデジタルコードレス電話システムの通信エリアがほぼ重複して共存する状況が発生した場合であっても、チャネル切替は干渉回避の有効な手段であることに変りはない。
【0007】
しかし、前述したように、DECT方式の通信チャネルはPHS方式の約6倍の周波数帯域を必要とするため、PHS方式側において電波干渉が発生したチャネルを切り替えるチャネル切替を実施しても、電波干渉元になっていたDECT方式側の通信チャネルの周波数帯域とは異なるチャネルに切り替わることができるとは限らず、チャネル切替を実施しても、エラーレートがあらかじめ定めた閾値よりも少ない状態に収まらない可能性がある。かかる場合が生じると、PHS方式側においてチャネル切替を何度繰り返しても、電波干渉を回避することができず、通信品質を劣化させ続けるという状況に陥ことになり、ユーザへのサービス品質を著しく低下させてしまう可能性が生じてしまう。
【0008】
(本発明の目的)
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、事業所用として設置したPHS方式のデジタルコードレス電話システムの通信エリアに他の方式のデジタルコードレス電話システム例えばDECT方式のデジタルコードレス電話システムの通信エリアが重複して存在するような場合であっても、PHS方式側におけるチャネル選択方法を工夫して、チャネル切替を迅速に実施することを可能にすることによって、電波干渉の発生時間を短縮し、通信品質を確保することが可能な事業所用デジタルコードレス電話システム、切替チャネル選択方法および切替チャネル選択プログラムを提供することをその目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述の課題を解決するため、本発明による事業所用デジタルコードレス電話システム、切替チャネル選択方法および切替チャネル選択プログラムは、主に、次のような特徴的な構成を採用している。
【0010】
(1)本発明による事業所用デジタルコードレス電話システムは、第二世代デジタルコードレス電話システムとして規格化されたPHS(Personal Handy-Phone System)方式を採用した基地局と端末とから構成される事業所用デジタルコードレス電話システムにおいて、前記基地局の通信エリア内に同一周波数帯域を使用する他の方式のデジタルコードレス電話システムの無線機器が存在している場合に備え、前記基地局は、前記端末との間の通信に用いるチャネルに対する電波干渉が発生して、通信中の通信品質の低下が発生したか否かを監視する通信品質監視手段と、前記通信品質監視手段にて通信中の通信品質があらかじめ定めた品質閾値以下に低下したことを検出した場合、または、通信相手先の前記端末からチャネル切替要求を受け取った場合に、前記他の方式のデジタルコードレス電話システムが使用している周波数とは異なる周波数帯域のチャネルを切替チャネルとして選択する切替チャネル選択手段と、電波干渉が発生したチャネルを前記切替チャネル選択手段により選択された前記切替チャネルに切り替える動作を制御するチャネル切替制御手段と、を少なくとも備えていることを特徴とする。
【0011】
(2)本発明による切替チャネル選択方法は、第二世代デジタルコードレス電話システムとして規格化されたPHS(Personal Handy-Phone System)方式を採用した基地局と端末とから構成される事業所用デジタルコードレス電話システムにおける切替チャネル選択方法であって、前記基地局の通信エリア内に同一周波数帯域を使用する他の方式のデジタルコードレス電話システムの無線機器が存在している場合に備え、前記基地局は、前記端末との間の通信に用いるチャネルに対する電波干渉が発生して、通信中の通信品質の低下が発生したか否かを監視する通信品質監視ステップと、前記通信品質監視ステップにて通信中の通信品質があらかじめ定めた品質閾値以下に低下したことを検出した場合、または、通信相手先の前記端末からチャネル切替要求を受け取った場合に、前記他の方式のデジタルコードレス電話システムが使用している周波数とは異なる周波数帯域のチャネルを切替チャネルとして選択する切替チャネル選択ステップと、電波干渉が発生したチャネルを前記切替チャネル選択ステップにより選択された前記切替チャネルに切り替える動作を制御するチャネル切替制御ステップと、を少なくとも有していることを特徴とする。
【0012】
(3)本発明による切替チャネル選択プログラムは、少なくとも前記(2)に記載の切替チャネル選択方法を、コンピュータによって実行可能なプログラムとして実施していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の事業所用デジタルコードレス電話システム、切替チャネル選択方法および切替チャネル選択プログラムによれば、以下のような効果を奏することができる。
【0014】
PHS方式の事業者用デジタルコードレス電話システムの通信エリアに他の方式のデジタルコードレス電話システム例えばDECT方式のデジタルコードレス電話システムの通信エリアが重複して存在するような場合であっても、PHS方式側において、他の方式例えばDECT方式側との電波干渉が発生しないチャネルを迅速かつ確実に選択してチャネル切替を実施することができるので、他の方式例えばDECT方式側からの電波干渉の発生時間を短縮し、通信品質の確保を図ることができる。また、かかるチャネル選択動作およびチャネル切替動作は、新たなハードウェア的な実現手段を導入することなく、ソフトウェアの変更のみで実現することが可能であり、導入コストの大幅な低減を図ることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明による事業所用デジタルコードレス電話システムのシステム構成の一例を示すシステム構成図である。
図2A】PHS方式の事業所用デジタルコードレス電話システムとDECT方式のデジタルコードレス電話システムとのチャネル割り当て状態を説明するための模式図である。
図2B】PHS方式の事業所用デジタルコードレス電話システム10のDECT方式のデジタルコードレス電話システム20とのチャネル割り当て状態の対応関係を該当帯域と非該当帯域とに分類してあらかじめ設定登録しているテーブルを示す図である。
図3図1に示す事業所用デジタルコードレス電話システムにおけるチャネル切替動作の一例を説明するためのフローチャートである。
図4図1に示す事業所用デジタルコードレス電話システムにおける具体的なチャネル切替動作を説明するためのシーケンスチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明による事業所用デジタルコードレス電話システム、切替チャネル選択方法および切替チャネル選択プログラムの好適な実施形態について添付図を参照して説明する。なお、以下の説明においては、本発明による事業所用デジタルコードレス電話システムおよび切替チャネル選択方法について説明するが、かかる切替チャネル選択方法をコンピュータにより実行可能な切替チャネル選択プログラムとして実施するようにしても良いし、あるいは、切替チャネル選択プログラムをコンピュータにより読み取り可能な記録媒体に記録するようにしても良いことは言うまでもない。
【0017】
(本発明の特徴)
本発明の実施形態の説明に先立って、本発明の特徴についてその概要をまず説明する。一般に、同一通信エリア内にPHS(1.9GHz帯)方式の無線機器と他の方式の無線機器例えばDECT(1.9GHz帯)方式の無線機器とが共存し、PHS方式の第二世代デジタルコードレス電話システムの規格に準拠した事業所用デジタルコードレス電話システムにおけるPS(Personal Station:移動局、端末)−CS(Cell Station:基地局)間の通信中に、通信中の通話チャネルと同一周波数帯域を使用した他の方式の無線機器例えばDECT方式の無線機器からの妨害電波が発生した場合、音声データ等の通信データの通信エラーが発生し、通信ノイズ混入としての現象が継続することになる。その結果、音声通話の場合、音声が途切れ、雑音や音抜けの現象となり、PHS(1.9GHz帯)方式側のかかる現象を解消する手段として、PHS(1.9GHz帯)方式側において基地局(CS)と端末(PS)との間の通話チャネルを他の周波数帯域のチャネルに切り替えるチャネル切替を実施することが必要になる。
【0018】
本発明においては、通信中の通信データに通信エラーが発生した場合、基地局(CS)は、通信中の通話チャネルを、他の方式の無線機器例えばDECT(1.9GHz帯)方式の無線機器が使用している周波数帯域とは異なる周波数帯域のチャネルを切替チャネルとして迅速かつ的確に選択して、端末(PS)に対して該切替チャネルへの変更を指示し、他の方式の無線機器例えばDECT(1.9GHz帯)方式の無線機器による妨害電波のない周波数帯域に短時間で切り替えることを可能にすることにより、通信品質を迅速に良好な状態に回復させることを主要な特徴としている。
【0019】
(実施形態の構成例)
次に、本発明による事業所用デジタルコードレス電話システムのシステム構成について、その一例を、図1を用いて説明する。図1は、本発明による事業所用デジタルコードレス電話システムのシステム構成の一例を示すシステム構成図であり、1.9GHz帯の第二世代デジタルコードレス電話システムのPHS(Personal Handy-Phone System)方式を採用した本発明による事業所用デジタルコードレス電話システムと、事業所用デジタルコードレス電話システムと同一の周波数帯域を使用する他のデジタルコードレス電話システムの例として、事業所用デジタルコードレス電話システムと同一周波数帯域の1.9GHz帯を使用するDECT(Digital Enhanced Cordless Telecommunications)方式のデジタルコードレス電話システムとの双方の通信エリアが互いに重複して存在している場合を示している。
【0020】
つまり、図1に示すシステム構成例においては、事業所用デジタルコードレス電話システム10は、主装置(ME)11の制御下で動作する基地局(CS:Cell Station)12の通信エリア10Aと、他のデジタルコードレス電話システムの一例としてDECT方式のデジタルコードレス電話システム20の通信エリア20Aとが互いに重複したエリアに存在している状態を示している。
【0021】
さらに、図1に示すシステム構成例においては、事業所用デジタルコードレス電話システム10の基地局(CS)12と端末(PS:Personal Station)13との間は、PHS方式の25chのチャネルを用いて通信中になっている状態において、DECT方式のデジタルコードレス電話システム20のDECT親機21とDECT子機22との間で、DECT方式のF5チャネルを用いて通信を開始した状態になったものと仮定している。
【0022】
ここで、PHS方式の事業所用デジタルコードレス電話システム10とDECT方式のデジタルコードレス電話システム20とのチャネル割り当て状態について、図2Aおよび図2Bを用いて説明する。図2Aおよび図2Bは、PHS方式の事業所用デジタルコードレス電話システム10とDECT方式のデジタルコードレス電話システム20とのチャネル割り当て状態を説明するための模式図であり、図2A(1)がPHS方式の事業所用デジタルコードレス電話システム10のチャネル割り当て状態を示し、図2A(2)がDECT方式のデジタルコードレス電話システム20のチャネル割り当て状態を示している。また、図2Bは、PHS方式の事業所用デジタルコードレス電話システム10のDECT方式のデジタルコードレス電話システム20とのチャネル割り当て状態の対応関係を該当帯域と非該当帯域とに分類してあらかじめ設定登録しているテーブルである。
【0023】
なお、図2Aおよび図2Bには、制御チャネルおよび隣接チャネルを除く通話チャネルについてのみ示し、PHS方式を採用する事業所用デジタルコードレス電話システム10のチャネルについては、DECT方式のデジタルコードレス電話システム20のチャネルとの対応付けが容易になるように、通話チャネルを帯域0〜帯域5にグループ分けし、DECT方式のデジタルコードレス電話システム20の各チャネルの周波数帯域に該当する周波数帯域となるPHS方式における各チャネルの合計帯域それぞれを該当帯域(すなわち帯域1〜5)として、また、DECT方式のデジタルコードレス電話システム20の各チャネルの周波数帯域に該当しない周波数帯域となるPHS方式における各チャネルの合計帯域を非該当帯域(すなわち帯域0)としてあらかじめ設定登録している場合を示している。
【0024】
図2A(2)に示すように、1.9GHz帯域のDECT方式のデジタルコードレス電話システム20として我が国において許可されている通話チャネルは、1893.65MHz〜1905.95MHzの中のF1ch(1894.762MHz〜1896.48MHz)、〜、F5ch(1901.064MHz〜1903.392MHz)の5ch分であるが、これらの周波数帯域は、図2A(1)に示すように、1.9GHz帯域のPHS方式の事業所用デジタルコードレス電話システム10において、それぞれの該当帯域として、1ch〜5chの5つのチャネル数からなる帯域1、〜、24ch〜28chの5つのチャネル数からなる帯域5のそれぞれの周波数帯域が重複する状態にして割り当てられている。
【0025】
すなわち、図2Bに示すように、1.9GHz帯域のPHS方式の事業所用デジタルコードレス電話システム10において、それぞれ、1ch〜5chの5つのチャネル数からなる帯域1、6ch〜10chの5つのチャネル数からなる帯域2、14ch〜16chの3つのチャネル数からなる帯域3、20ch〜23chの4つのチャネル数からなる帯域4および24ch〜28chの5つのチャネル数からなる帯域5のそれぞれの周波数帯域は、DECT方式のF1ch(1894.762MHz〜1896.48MHz)、F2ch(1896.48MHz〜1898.208MHz)、F3ch(1898.208MHz〜1899.906MHz)、F4ch(1899.906MHz〜1901.064MHz)およびF5ch(1901.064MHz〜1903.392MHz)のそれぞれと重複する周波数帯域である。
【0026】
ここで、事業所用デジタルコードレス電話システム10において、図2Bに示すように、1893.65MHz〜1905.95MHzの周波数帯域のうち、帯域0で示す251ch〜255chの5ch分と29ch〜37chの9ch分については、非該当帯域であり、DECT方式の通話チャネルとの周波数の重複がない周波数帯域である。
【0027】
したがって、図1に示したように、事業所用デジタルコードレス電話システム10の基地局(CS)12と端末(PS:Personal Station)13との間は、PHS方式の25chのチャネル(すなわち帯域5に属するチャネル)を用いて通信中になっている状態において、DECT方式のデジタルコードレス電話システム20のDECT親機21とDECT子機22との間で、DECT方式のF5チャネルを用いて通信を開始した場合、TDMA(Time Division Multiple Access)のタイミングにもよるが、事業所用デジタルコードレス電話システム10の25chのチャネル(すなわち帯域5に属するチャネル)とDECT方式のデジタルコードレス電話システム20のF5chの通信とは互いの干渉が発生することになり、事業所用デジタルコードレス電話システム10の通信中の25chの通信データに通信エラーが発生し、通信ノイズ混入としての現象が継続することになる。その結果、音声通話の場合、音声が途切れ、雑音や音抜けの現象が発生する。したがって、かかる現象を解消する手段として、事業所用デジタルコードレス電話システム10側において通信チャネルを他の周波数帯域に切り替えるチャネル切替を実施することが必要である。
【0028】
しかし、事業所用デジタルコードレス電話システム10のチャネル切替として、通信チャネルを通信中の25chの隣接チャネル例えば26chに切り替えたとしても、DECT方式のデジタルコードレス電話システム20のF5chの通信との干渉状態を解消することができず、相変わらず、通信データの通信エラーが発生し、通信ノイズ混入としての現象が継続することになる。
【0029】
すなわち、図2Bに示すように、DECT方式のデジタルコードレス電話システム20のF1ch〜F5chの各チャネルの周波数帯域は、帯域幅がチャネル当たり300kHzの事業所用デジタルコードレス電話システム10の場合よりも、3〜6倍の広い帯域を使用している。したがって、図1に示したDECT方式の通信チャネルはPHS方式の約6倍の帯域を使用しているため、PHS方式側においてチャネルを切り替えても、DECT方式側の1通信チャネルの周波数帯域から移動させることができるとは限らない。
【0030】
かくのごとき事態を解消するために、事業所用デジタルコードレス電話システム10の基地局(CS)12は、図1に示すように、通信品質監視部121、切替チャネル選択部122およびチャネル切替制御部123を少なくとも備えている。通信品質監視部121は、通信中の通信データの品質(フレームエラーレート:FER(Frame Error Rate))を監視する部位であり、通信品質があらかじめ定めた品質閾値以下に低下して、FERの値があらかじめ定めた閾値以上に大きくなった場合、DECT方式のデジタルコードレス電話システム20との間の干渉が発生しているものと見做して、通信チャネルを切り替えるために、チャネル切替要求を切替チャネル選択部122に対して出力する。
【0031】
また、切替チャネル選択部122は、通信品質監視部121からチャネル切替要求を受け取った際に、または、通信相手先の端末(PS)13からチャネル切替要求を受け取った際に、DECT方式のデジタルコードレス電話システム20との間の干渉が生じない空きチャネルを選択する部位であり、まず、DECT方式のデジタルコードレス電話システム20における各チャネルに対応する該当帯域として定義した図2Aおよび図2Bに示す帯域1〜帯域5のうち、干渉が発生したチャネルが属する帯域以外の帯域に属する空きチャネルを切替チャネルとして優先して選択する。
【0032】
ここで、該当帯域である帯域1〜帯域5のいずれにも切替可能な空きチャネルが存在していない場合には、最終的に、DECT方式のデジタルコードレス電話システム20との周波数の重複がない非該当帯域の帯域0に属するチャネルの中から、空きチャネルを切替チャネルとして選択する。あるいは、選択した切替チャネルに切り替えた以降においても、通信品質監視部121の監視結果として通信品質があらかじめ定めた品質閾値以下に低下して、FERの値があらかじめ定めた閾値以上に大きくなった場合には、ただちに、DECT方式のデジタルコードレス電話システム20との周波数の重複がない非該当帯域の帯域0に属するチャネルの中から、空きチャネルを切替チャネルとして選択する。
【0033】
また、チャネル切替制御部123は、切替チャネル選択部122にて選択された切替チャネルに切り替える動作を制御する部位であり、通信相手先の端末(PS)13に対して、指定した切替チャネルに通話チャネルを切り替えるTCH(Traffic Channel:通話チャネル)切替指示を送信して通話チャネルの切り替えを実施するとともに、端末(PS)13との間で、切り替えた通話チャネルの同期を確立した後、SACCH(Slow Associated Control Channel:低速付随制御チャネル)を用いて、呼設定を行うためのSABM(Set Asynchronous Balanced Mode)コマンド、UA(Unnumbered Acknowledgement)レスポンスの交換動作を制御する。
【0034】
(実施形態の動作の説明)
次に、図1に示した事業所用デジタルコードレス電話システム10におけるチャネル切替動作の一例について、図3のフローチャートを用いて説明する。図3は、図1に示す事業所用デジタルコードレス電話システム10におけるチャネル切替動作の一例を説明するためのフローチャートである。
【0035】
なお、図3のフローチャートにおいては、前述したように、事業所用デジタルコードレス電話システム10の基地局(CS)12と端末(PS)13との間で、PHS方式の25chのチャネルを用いて通信中になっている状態において、DECT方式のデジタルコードレス電話システム20のDECT親機21とDECT子機22との間で、DECT方式のF5チャネルを用いて通信を開始した結果として、基地局(CS)12と端末(PS)13との間の通信のFER(フレームエラーレート)があらかじめ定めた閾値を超えて、端末(PS)13側から通話チャネルの切替要求が基地局(CS)12に送信されてきた場合の基地局(CS)12の動作について示している。
【0036】
図3のフローチャートにおいて、基地局(CS)12の切替チャネル選択部122は、端末(PS)13側から通話チャネルの切替要求すなわち(RT TCH切替要求)を受け取ると(ステップS1)、切替要求の対象になっている現在使用中の通話チャネル例えば25chが、図2Aおよび図2Bに示した帯域0〜帯域5のどの帯域に属しているか検索する(ステップS2)。しかる後、検索結果として、DECT方式のデジタルコードレス電話システム20とは周波数が重複しない非該当帯域の帯域0に属しているか否かを確認する(ステップS3)。
【0037】
現在使用中の通話チャネル例えば25chが帯域0に属していなかった場合には(ステップS3のNO)、非該当領域の帯域0および切替要求の対象になっている現在使用中の通話チャネル例えば25chが属する帯域例えば帯域5を除いた残りの帯域(該当帯域)の中からいずれかの帯域の空きチャネルを選択して、選択したチャネルを切替チャネルとしてチャネル切替制御部123に通知する。
【0038】
つまり、DECT方式のデジタルコードレス電話システム20が周波数を使用することがない非該当帯域の帯域0よりも、DECT方式のデジタルコードレス電話システム20と周波数が重複する該当帯域の帯域1〜5の中からの切替チャネル選択動作を優先して、まず、該当帯域の帯域1〜5の中から、現在使用中の通話チャネル例えば25chが属する帯域5以外の帯域1〜4を対象にして、いずれかの帯域に属する空きチャネルを切替チャネルとして選択する動作を行う。切替チャネル選択部122からの通知を受け取ったチャネル切替制御部123は、受け取った切替チャネルへの切替を指示するRT TCH切替指示を端末(PS)13に対して送信し、該切替チャネルに通話チャネルを切り替える(ステップS4)。
【0039】
一方、現在使用中の通話チャネルが非該当帯域の帯域0に属していた場合には(ステップS3のNO)、帯域0に属するチャネルはDECT方式のデジタルコードレス電話システム20とは周波数が重複していないチャネルであるので、帯域0内に属するチャネルのうち、現在使用中の通話チャネルとは異なる空きチャネルを切替チャネルとしてチャネル切替制御部123に通知する。切替チャネル選択部122からの通知を受け取ったチャネル切替制御部123は、受け取った切替チャネルへの切替を指示するRT TCH切替指示を端末(PS)13に対して送信し、該切替チャネルに通話チャネルを切り替える(ステップS5)。
【0040】
しかる後、チャネル切替制御部123は、端末(PS)13との間で、切り替えた該切替チャネルに関する同期合わせを行った後、呼設定を実施して、通信中の状態に復帰する制御を行う。チャネル切替制御部123における具体的なチャネル切替動作は図4のシーケンスチャートに示す通りである。図4は、図1に示す事業所用デジタルコードレス電話システム10における具体的なチャネル切替動作を説明するためのシーケンスチャートであり、基地局(CS)12と端末(PS)13との間のチャネル切替および通信開始に関する信号のやり取りについてその一例を示している。
【0041】
図4のシーケンスチャートにおいて、周波数1のチャネルを用いて、基地局(CS)12と端末(PS)13との間で通信中の状態にあった際に(シーケンスSeq1)、通信中のデータにエラーが発生すると(シーケンスSeq2)、例えば、エラーを検出した端末(PS)13から基地局(CS)12に対して通信チャネルの切替を要求するRT TCH切替要求を送信してくる(シーケンスSeq3)。該RT TCH切替要求を受け取った基地局(CS)12のチャネル切替制御部123は、切替チャネル選択部122にて切替先チャネルとして選択された周波数2の切替チャネルに現在使用中の周波数1の切替元チャネルを切り替えることを指示するRT TCH切替指示を、端末(PS)13に対して送信する(シーケンスSeq4)。
【0042】
端末(PS)13における周波数2へのチャネル切替動作が終了すると、該周波数2のチャネルのビット同期、フレーム同期を確立するために、同期バースト信号、アイドルTCHバースト信号を、端末(PS)13と基地局(CS)12との間で交換し合う(シーケンスSeq5〜Seq8)。この結果として、端末(PS)13と基地局(CS)12との間の同期が確立すると、端末(PS)13から呼設定を行うためのSABM(SACCH)信号が送信されてくる(シーケンスSeq9)。該SABM(SACCH)信号を受け取った基地局(CS)12のチャネル切替制御部123は、その応答となるUA信号を返送することによって(シーケンスSeq10)、基地局(CS)12と端末(PS)13との間は、切り替えた周波数2のチャネルを用いた通信中の状態に復帰する(シーケンスSeq11)。
【0043】
かくのごときチャネル切替動作によって、基地局(CS)12と端末(PS)13との間が通信中の状態に復帰すると、図3のフローチャートの説明に戻って、基地局(CS)12の通信品質監視部121により、端末(PS)13との間の通信品質を監視する動作を行い、通信中の音声データのFER(フレームエラーレート)の値があらかじめ定めた閾値よりも少なくなっているか否かを確認する(ステップS6)。通信中の音声データのFERの値が該閾値よりも少なくなっている場合には(ステップS6のYES)、切替チャネルに切り替えた結果、正常な品質の通信が可能な状態に回復しているので、チャネルの切替動作を終了する。
【0044】
これに対して、通信中の音声データのFERの値が該閾値以上に大きくなった場合には(ステップS6のNO)、該切替チャネルに切り替えても、まだ、通信品質が確保できない状態が継続しているので、チャネル切り替え回数があらかじめ定めた制限回数以下になっているか否かを確認する(ステップS7)。
【0045】
ここで、該制限回数は、周波数帯域をより有効に活用するために、すべての帯域すなわち0〜帯域5のうち現在使用中の通話チャネルが属している帯域を除く残りのすべての帯域内の空きチャネルを選択する回数(すなわち5回)と設定しても良いし、あるいは、該当帯域の帯域1〜帯域5のうち現在使用中の通話チャネルが属している帯域を除くいずれかの帯域内の空きチャネルと非該当帯域の帯域0内の空きチャネルとの2回だけ選択するように設定しても良い。図3に示す本実施形態においては、周波数帯域を有効に活用しつつ、迅速に切替効果を得ることができるチャネル切替を実現可能にするために、該制限回数を2回に設定している場合を例示している。
【0046】
つまり、図3においては、チャネル切り替え回数が該制限回数以下になっている場合には(ステップS7のYES)、まだ、非該当帯域の帯域0に属する空きチャネルの選択動作を実施していないので、ステップS5に移行して、DECT方式のデジタルコードレス電話システム20とは周波数が重複していない帯域0に属するチャネルの中から空きチャネルを選択し直す動作を行い、しかる後、ステップS6に移行する。一方、チャネル切り替え回数が該制限回数を超えた場合には(ステップS7のNO)、通話チャネルの切替を行っても、通話品質の回復が不可能な障害が発生している場合として、チャネル切替動作を終了する。
【0047】
一般に、現在使用中のチャネルが帯域5に属するch25であった場合において、DECT方式のデジタルコードレス電話システム20における通信により該チャネル25chに対する干渉が発生した場合、DECT方式側がF5チャネルを使用した通信を行っている場合であり、従来技術における問題として説明したように、同じ帯域5に属する近傍のチャネル例えばch24、ch28に切り替えたとしても、いずれも、ch25の場合と同様、DECT方式のデジタルコードレス電話システム20のF5チャネルの周波数帯域内に該当しているので、音声データの通信エラーは継続して発生する可能性が高く、かつ、チャネル切替の都度、無音状態が発生して、音声通話ノイズとしてユーザに認識されてしまう事態が継続する。
【0048】
これに対して、本実施形態においては、図3のフローチャートに説明したように動作することにより、現在使用中のチャネル例えば25chを切り替える際の切替チャネルとして、現在使用中のチャネル例えば25chと同じ帯域例えば帯域5に属するチャネルを選択する動作を禁止しているので、DECT方式のデジタルコードレス電話システム20のチャネル例えばF5チャネルの周波数帯域とは異なる周波数のチャネルを選択することができ、1回のチャネル切替動作で正常な通信品質を確保することが可能なチャネルに切り替えることができる。ここで、例え、切り替えた後の切替チャネルについてもDECT方式のデジタルコードレス電話システム20が使用中の状態にあって、正常な通信品質を確保することができない状態になっていたとしても、次に、DECT方式のデジタルコードレス電話システム20が周波数を使用しない非該当帯域(すなわち帯域0)に属するチャネルを切替チャネルとして選択するので、最低2回のチャネル切替動作で干渉を確実に回避することができる。
【0049】
以上、本発明の好適な実施形態の構成を説明した。しかし、かかる実施形態は、本発明の単なる例示に過ぎず、何ら本発明を限定するものではないことに留意されたい。本発明の要旨を逸脱することなく、特定用途に応じて種々の変形変更が可能であることが、当業者には容易に理解できよう。
【符号の説明】
【0050】
10 事業所用デジタルコードレス電話システム
10A 通信エリア
11 主装置(ME)
12 基地局(CS)
13 端末(PS)
20 DECT方式のデジタルコードレス電話システム
20A 通信エリア
21 DECT親機
22 DECT子機
121 通信品質監視部
122 切替チャネル選択部
123 チャネル切替制御部
図1
図2A
図2B
図3
図4