(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0038】
(実施の形態1)
以下本発明を実施の形態1に係るコンバインを示す図面に基づいて詳述する。
図1はコンバインの外観斜視図である。
【0039】
コンバインは機体9を備え、該機体9の下側に走行クローラ1が設けてある。機体9の上側には脱穀装置2が設けてある。該脱穀装置2の前側に、刈取り穀稈と非刈取り穀稈とを区別する分草板3a、穀稈を刈取る刈刃3b、及び穀稈を引き起こす引起し装置3cを備える刈取部3が設けてある。前記脱穀装置2の右側には穀粒を収容する穀粒タンク(貯留部)4が設けてあり、前記脱穀装置2の左部には、穀稈を搬送する前後に長いフィードチェン5が設けてある。該フィードチェン5の上側に、穀稈を挟持する挟持部材6が設けてあり、該挟持部材6とフィードチェン5とが対向している。前記フィードチェン5の前端部付近には縦搬送装置7を配設してある。また前記穀粒タンク4には、穀粒タンク4から穀粒を排出する筒状の排出オーガ4aを取り付けてある。穀粒タンク4の前側にはキャビン8を設けてある。
【0040】
走行クローラ1の駆動によって機体9は走行する。機体9の走行によって刈取部3に穀稈が取り込まれ、刈り取られる。刈り取られた穀稈は縦搬送装置7、フィードチェン5及び挟持部材6を介して脱穀装置2に搬送され、脱穀装置2内にて脱穀される。
【0041】
図2は脱穀装置2の内部構成を略示する側面断面図である。
図2に示すように、脱穀装置2の前側上部に穀稈を脱穀するための扱室10が設けてある。該扱室10内に、前後方向を軸長方向とした円筒形の扱胴11が軸架してあり、該扱胴11は軸回りに回動可能となっている。扱胴11の周面には多数の扱歯12、12、・・・12が螺旋状に並んでいる。前記扱胴11の下側に、前記扱歯12、12、・・・12と協働して稈を揉みほぐすクリンプ網15が配置してある。前記扱胴11は後述するエンジンの駆動力によって回動し、穀稈を脱穀する。
【0042】
前記扱室10の上壁に四つの送塵弁(調整手段)10a、10a、10a、10aが前後方向に並設してあり、該送塵弁は扱室10の後部へ送出する稈及び穀粒の量を調節する。
【0043】
扱室10の後部には処理室13が連設してある。該処理室13内に、前後方向を軸長方向とした円筒形の処理胴13bが軸架してあり、該処理胴13bは軸回りに回動可能となっている。処理胴13bの周面には多数の扱歯13c、13c、・・・、13cが螺旋状に並んでいる。前記処理胴13bの下側には扱歯13c、13c、・・・、13cと協働して稈を揉みほぐす処理網13dを配置してある。前記処理胴13bはエンジン40の駆動力によって回動し、扱室10から送出された稈及び穀粒から穀粒を分離する処理を行う。処理室13の後端部下側には排出口13eを開設してある。
【0044】
前記処理室13の上壁に四つの処理胴弁(調整手段)13a、13a、13a、13aが前後方向に沿って並設してあり、該処理胴弁13a、13a、13a、13aは処理室13の後部へ送出する稈及び穀粒の量を調節する。
【0045】
前記クリンプ網15の下側には、穀粒及び稈の選別を行う揺動選別装置16を設けてある。該揺動選別装置16は、穀粒及び稈を均一化すると共に比重選別を行う揺動選別盤17と、該揺動選別盤17の後側に設けてあり、穀粒及び稈の粗選別を行うチャフシーブ18と、該チャフシーブ18の後側に設けてあり、稈に混入した穀粒を落下させるためのストローラック19とを備える。該ストローラック19は図示しない複数の透孔を有している。また前記揺動選別盤17の前部には揺動アーム21が連結してある。該揺動アーム21は前後に揺動するように構成されている。この揺動アーム21の揺動によって揺動選別装置16は揺動し、稈及び穀粒の選別が行われる。
【0046】
揺動選別装置16は、前記チャフシーブ18の下側に設けてあり、穀粒及び稈の精選別を行うグレンシーブ20を更に備える。該グレンシーブ20の下方に、前側が下向きに傾斜した一番穀粒板22が設けてあり、該一番穀粒板22の前側に、一番スクリューコンベア23が設けてある。該スクリューコンベア23は、上方に延出し、穀粒タンク4の投口4bに至る。
【0047】
前記グレンシーブ20から一番穀粒板22に落下した穀粒は、前記一番スクリューコンベア23に向けて滑落する。滑落した穀粒は一番スクリューコンベア23によって搬送され、投口4bから、穀粒タンク4へ投入される。
【0048】
前記一番穀粒板22の後部に、後方へ下降傾斜した傾斜板24が連設してある。該傾斜板24の後端部に、前方へ下降傾斜した二番穀粒板25が連設してある。該二番穀粒板25と前記傾斜板24との連結部分の上側に稈及び穀粒を搬送する二番スクリューコンベア26が設けてある。
【0049】
前記ストローラック19の透孔から傾斜板24又は二番穀粒板25に落下した落下物は、前記二番スクリューコンベア26に向けて滑落する。滑落した落下物は、二番スクリューコンベア26によって前記扱胴11の左側に設けてある処理ロータ14に搬送され、処理ロータ14にて脱穀処理される。
【0050】
前記一番スクリューコンベア23よりも前方であって、前記揺動選別盤17よりも下方に、起風動作を行う唐箕27が設けてある。記唐箕27の起風動作によって発生した風は、後方へ進行する。唐箕27と前記一番スクリューコンベア23との間に、風を上向きに送り出す整流板28を配設してある。
【0051】
前記二番穀粒板25の後端部に通路板36が連ねてある。該通路板36の上方には下部吸引カバー30が設けてある。該下部吸引カバー30及び通路板36の間は塵埃が排出される排気通路37になっている。
【0052】
下部吸引カバー30の上方に上部吸引カバー31が設けてある。該上部吸引カバー31及び下部吸引カバー30の間に、稈を吸引排出する軸流ファン32を配設してある。該軸流ファン32の後方には排塵口33を設けてある。前記唐箕27の動作によって発生した気流は、前記整流板28によって整流された後に、前記揺動選別装置16を通過して、前記排塵口33及び排気通路37に至る。
【0053】
前記上部吸引カバー31の上側であって、前記処理室13の下方に、前方へ下降傾斜した流下樋35が設けてある。処理室13の排出口13eから排出された排出物は、流下樋35を滑落して前記ストローラック19に落下する。
【0054】
図3は、穀粒タンク4を略示する部分拡大断面図である。
投口4bは、上下方向に延出した穀粒タンク4の側面部4cに形成してある。穀粒タンク4は、左右方向に延出した底面部4fを備えている。該底面部4fと側面部4cとは、底面部4f側に下降傾斜した傾斜面部4dを介して連なっている。穀粒タンク4の内側において、傾斜面部4dに凹部4eが形成してある。
【0055】
該凹部4eには、傾斜面部4dと面一になるように、後述する載置板76(
図4参照)が配置してある。投口4bの下側に、投口4bから投入された穀粒を後述する検査装置70(
図4参照)に案内する案内通路4gが、側面部4cと一体に設けてある。該案内通路4gは側面部4c及び傾斜面部4dに沿った上下に細長い箱形をなす。長手方向に直角な断面は矩形状をなす。案内通路4gは側面部4c及び傾斜面部4d上に位置する。その上端部の側面に投口4bに対向する採取口4hが設けてある。該採取口4hの開口面積は、投口4bよりも小さい。案内通路4gの下端面は開放してあり、下端面は検査装置70に隣接している。採取口4hに投入された穀粒は、案内通路4g内を落下し、検査装置70内を通過する。なお案内通路4gを検査装置70と一体にしてもよい。また案内通路4gから検査装置70に穀粒が案内される限り、案内通路4gを検査装置70から離隔してもよい。
【0056】
穀粒タンク4内には、穀粒の状態を検査する検査装置70が配してある。
図4は検査装置70を略示する縦断面図、
図5は検査装置70付近の構成を略示する外観斜視図である。
検査装置70は、凹部4eの上側に位置し、カラー画像を撮像するカメラ73及び第1光源72を支持する支持枠71を備える。支持枠71は、凹部4eの両側に設けてあり、互いに対向する二つの側面部71a、71aと、該側面部71a、71aの上部を連結する天面部71bとを備える。両側面部71a、71aは、傾斜面部4dを滑落する穀粒が移動する方向に平行である。天面部71bは傾斜面部4dに略平行である。
【0057】
長手方向に直角な断面において、案内通路4gの下端部の横幅は、両側面部71a、71aの間の寸法と略同一である。また案内通路4gの下端部の縦幅は、傾斜面部4d及び天面部71bの間の寸法と略同一である。案内通路4gの下端部は、両側面部71a、71a及び天面部71bに隣接する。案内通路4gを落下した穀粒は両側面部71a、71aの間を通過する。
【0058】
両側面部71a、71aの間に、凹部4eに向けて光を照射する第1光源72が配してあり、側面部71a、71aによって支持されている。第1光源72は、中央部に貫通孔72bを有する環状のフレームと、該フレームの一面に設けられた多数のLED(Light Emitting Diode)とを備える。LEDは凹部4eに向いている。フレームの一面には、所定の方向に振動した光が通過する偏光フィルタ72aが設けてある。なおLEDに代えて、蛍光管又はLD(Laser Diode)など他の発光素子を使用してもよい。
【0059】
天面部71bには、カラー画像を撮像するカメラ(撮像部)73が、レンズを凹部4eに向けて固定してある。レンズの表面には、所定の方向に振動した光が通過する偏光フィルタ73aが貼付してある。カメラ73は、貫通孔72bに対して同軸的に配置してあり、貫通孔72bの径方向内側に位置する。カメラ73は、後述する露光時間を調整するシャッタスイッチ及び画像を記憶する記憶部(例えばフラッシュメモリ)を備える。
【0060】
凹部4eの内奥には、黒布(吸光部)74が載置してある。該黒布74上に、カメラ73に向けて光を照射する第2光源75が設けてある。該第2光源75は、環状のフレーム75aを備えており、該フレーム75aの径方向内側に、入射した光をカメラ73側に照射する導光板75bが設けてある。該導光板75bの周面とフレーム75aの内周面との間に、多数のLED(発光部)75c、75c、・・・、75cが配してある。LED75cは、フレーム75aに支持されており、導光板75bの周面に向けて光を照射する。
【0061】
導光板75b上に、アクリル又はガラスなどからなり、透光性を有する載置板76が設けてある。導光板75bに対面する載置板76の一面は、多数の小さな凹凸を有する粗面76aであり、粗面76aと反対側の他面は平滑面76bである。平滑面76bは、傾斜面部4bと面一になっている。載置板76の寸法は、凹部4eに対応しており、載置板76と凹部4eとの間には、ほとんど隙間がない。
【0062】
図6はワイパを略示する斜視図である。
検査装置70は、支持枠71内に配置してあり、平滑面76bを清掃するワイパ(清掃部)77を備える。ワイパ77は、ゴム又はウレタンなどの弾性部材からなり、汚れを除去するブレード77aを備える。該ブレード77aの尖端部は、平滑面76b側を向いている。該ブレード77aは、柄77bの一端部に固定してあり、柄77bの他端部は、駆動部77cに連結してある。該駆動部77cは、モータ及びギヤなどを備え、モータの駆動によって柄77bを横方向に揺動させる。平滑面76bに付着した汚れは、ブレード77aによって除去される。後述する制御部が適当なタイミングでワイパ77を駆動させて、平滑面76bを清掃する。なおブレード77aに代えて、スクレーパを使用してもよい。またワイパ77に代えて、エアーを使用した清掃部を設けてもよい。
【0063】
図7はカメラ73によって撮像された籾(穀粒)の画像の一例を示す図である。
図7Aは、第1光源72から光を照射し、第2光源から75から光を照射しなかった場合に、撮像された第1画像を示す。
図7Bは、第1光源72から光を照射せず、第2光源75から光を照射した場合に、撮像された第2画像を示す。
【0064】
図7Aに示すように、第1光源72から光を照射して撮像した場合、黒布74によって背景が黒になり、カラー画像を明確に認識することができる。そのため撮像した画像から青葉、桿切れ(茎の細片)又は雑草などの異物300を、色、大きさ及び形状などに基づいて、抽出することができる。
【0065】
図7Bに示すように、第2光源75から光を照射して撮像した場合、背景が白くなり、収穫物の輪郭及び透光性を明確に認識することができる。そのため、透光性の度合いに基づいて、脱穀時に損傷した籾(例えば籾から皮が剥けた脱ぷ米及び割れた籾など)301を抽出することができ、また大きさ及び形状などに基づいて、枝梗(茎と籾とを繋ぐ枝)302を抽出することができる。
【0066】
第1光源72から光を照射した場合、照射された光は、載置板76の平滑面76bで反射し、カメラ73に入射する。第1光源72には、偏光フィルタ72aが設けてあり、またカメラ73のレンズにも偏光フィルタ73aが貼付してある。そのため、余分な反射光が発生しにくくなっており、またカメラ73に過剰に反射光が入射することはなく、撮像時のハレーションを抑制することができる。
【0067】
第1光源72から照射された光は、載置板76の内部を通過して、粗面76aに至る場合がある。光は、粗面76aの凹凸によって拡散され、偏光フィルタ72a、73aの効果と相俟って、カメラ73に入射しにくくなっている。そのため撮像時のハレーションを更に抑制することができる。
【0068】
図8は、エンジンの駆動力の伝達経路を略示する伝動機構図である。
【0069】
図8に示すように、コンバインはエンジン40を搭載しており、該エンジン40はHST(Hydro Static Transmission)41を介して走行ミッション42に連結してある。
【0070】
HST41は油圧ポンプ(図示せず)と、該油圧ポンプに供給される作動油の流量及び油圧ポンプの圧力を調整する機構(図示せず)と、該機構を制御する変速回路41aとを有している。
【0071】
走行ミッション42は、前記走行クローラ1に駆動力を伝達するギヤ(図示せず)を有している。走行ミッション42には、ホール素子を有する車速センサ43を設けてある。該車速センサ43は前記ギヤの回転数を検出して、ギヤの回転数に対応する機体の車速を示す信号を出力するようにしてある。
【0072】
前記エンジン40は電磁式の脱穀クラッチ44を介して、前記扱胴11及び処理胴13bに連結してあり、また伝動機構50に連結してある。伝動機構50は前記一番スクリューコンベア23に連結してある。
【0073】
またエンジン40は脱穀クラッチ44を介して偏心クランク45に連結してある。該偏心クランク45は前記揺動アーム21に連結してある。偏心クランク45の駆動により前記揺動選別装置16が揺動する。また前記エンジン40は脱穀クラッチ44を介して前記唐箕27に連結してある。また前記エンジン40は脱穀クラッチ44及び電磁式の刈取クラッチ46を介して前記刈取部3に連結してある。
【0074】
走行ミッション42を介してエンジン40の駆動力が走行クローラ1に伝達され、機体が走行する。また刈取クラッチ46を介して刈取部3にエンジン40の駆動力が伝達し、刈取部3にて穀稈が刈取られる。
【0075】
脱穀クラッチ44を介して前記扱胴11にエンジン40の駆動力が伝達し、扱胴11にて穀稈は脱穀される。また脱穀クラッチ44を介して処理胴13bにエンジン40の駆動力が伝達する。処理胴13bは、扱胴11にて脱穀処理された処理物から穀粒を分離する。
【0076】
また前記揺動選別装置16には、脱穀クラッチ44及び偏心クランク45を介してエンジン40の駆動力が伝達し、扱胴11から漏下した稈及び穀粒並びに処理室13の排出口13eから排出された稈及び穀粒の選別が行われる。また脱穀クラッチ44を介して前記唐箕27にエンジン40の駆動力が伝達し、揺動選別装置16にて選別された稈が唐箕27の起風作用によって排塵口33及び排気通路37から排出される。
【0077】
図9は、送塵弁10a、10a、10a、10a及び処理胴弁13a、13a、13a、13a並びにこれらの伝動機構を示す略示平面図である。なお処理胴弁13aの伝動機構の構成は送塵弁10aの伝動機構の構成と同様であり、処理胴弁13a及び処理胴弁13aの伝動機構の構成に対応する送塵弁10a及び送塵弁10aの伝動機構の構成に、括弧付きで名称又は符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0078】
前記複数の送塵弁10a、10a、10a、10a(処理胴弁13a、13a、13a、13a)は扱胴11(処理胴13b)と扱室10(処理室13)の上壁との間に前後方向に沿って並設してあり、互いに対向している。
図9に示すように、扱室10(処理室13)の上壁に四つの送塵弁軸65、65、65、65(処理胴弁軸65′、65′、65′、65′)が設けてあり、該送塵弁軸65(処理胴弁軸65′)は円筒形の扱胴11(処理胴13b)の径方向に沿って扱室10(処理室13)の内側に突出している。前記送塵弁10a、10a、10a、10a(処理胴弁13a、13a、13a、13a)は送塵弁軸65、65、65、65(処理胴弁軸65′、65′、65′、65′)にそれぞれ枢着している。
【0079】
各送塵弁10a、10a、10a、10a(処理胴弁13a、13a、13a、13a)の一側部には、
図9に示すように、前後方向に延びる杆体64(64′)が、上下方向を軸長方向とした四つの枢軸66、66、66、66(66′、66′、66′、66′)を介して連結してある。
【0080】
また前記送塵弁10a(処理胴弁13a)に略直角な伝動杆63(63′)が送塵弁10a(処理胴弁13a)の送塵弁軸65(処理胴弁軸65′)付近から延出している。伝動杆63(63′)の延出端にクランクロッド61(61′)の一端部が、上下方向に沿う枢軸62(62′)を介して連結してある。クランクロッド61(61′)の他端部はクランク60(60′)に連結してある。該クランク60(60′)は減速機67(67′)を介してサーボモータM1(M2)に連結している。
【0081】
サーボモータM1(M2)が正回転した場合には、
図9中の実線矢印によって示すように、クランク60(60′)が一方向に回動し、クランクロッド61(61′)が一方向に移動する。クランクロッド61(61′)の移動によって伝動杆63(63′)が前記枢軸62(62′)を中心にして一方向に回動し、伝動杆63(63′)を連結してある送塵弁10a(処理胴弁13a)が送塵弁軸65(処理胴弁軸65′)を中心にして一方向に回動する。該送塵弁10a(処理胴弁13a)の回動によって前記杆体64(64′)が前方に移動し、
図9中の実線矢印によって示すように、他の送塵弁10a、10a、10a(処理胴弁13a、13a、13a)も連動して、送塵弁軸65、65、65(処理胴弁軸65′、65′、65′)を中心にして一方向へ回動する。
【0082】
扱胴11(処理胴13b)の周面に沿って、後方へ向かって螺旋状に移動する稈及び穀粒は、送塵弁10a、10a、10a、10a(処理胴弁13a、13a、13a、13a)の一方向への回動によって、
図9中の実線矢印によって示すように、送塵弁10a、10a、10a、10a(処理胴弁13a、13a、13a、13a)に当接して前方へ跳ね返り、扱室10(処理室13)における稈及び穀粒の送出量は減少する。
【0083】
サーボモータM1(M2)が逆回転した場合には、
図9中の破線矢印によって示すように、クランク60(60′)が他方向に回動し、クランクロッド61(61′)が他方向に移動する。クランクロッド61(61′)の移動によって伝動杆63(63′)が前記枢軸62(62′)を中心にして他方向に回動し、伝動杆63(63′)を連結してある送塵弁10a(処理胴弁13a)が送塵弁軸65(処理胴弁軸65′)を中心にして他方向に回動する。該送塵弁10a(処理胴弁13a)の回動によって前記杆体64(64′)が後方に移動し、
図9中の破線矢印によって示すように、他の送塵弁10a、10a、10a(処理胴弁13a、13a、13a)も連動して、送塵弁軸65、65、65(処理胴弁軸65′、65′、65′)を中心にして他方向へ回動する。
【0084】
送塵弁10a、10a、10a、10a(処理胴弁13a、13a、13a、13a)の他方向への回動によって、扱胴11(処理胴13b)の周面に沿って螺旋状に移動する稈及び穀粒は、
図9中の破線矢印によって示すように、送塵弁10a、10a、10a、10a(処理胴弁13a、13a、13a、13a)に当接して後方へ跳ね返り、扱室10(処理室13)における稈及び穀粒の送出量は増加する。
【0085】
サーボモータM1(M2)にはロータリエンコーダE1(E2)が設けてある。サーボモータM1(M2)は、後述する制御部から与えられる動作指令に従って駆動され、またサーボモータM1(M2)の回転数及び回転方向がロータリエンコーダE1(E2)によって検出される。
【0086】
図10はチャフシーブ及びシャッタの要部構成を示す側面図である。
前記扱胴11の近傍に、扱胴11にて脱穀された排桿を、脱穀装置2の後側に配置したカッタ(図示せず)に向けて搬送する排ワラチェン80が設けてある。該排ワラチェン80に対向させて排ワラガイド棒81が設けてある。該排ワラガイド棒81及び排ワラチェン80の間を、排ワラチェン80の移動と共に排桿が移動するようにしてある。
【0087】
図10に示す如く、排ワラガイド棒81の下側にL形の回動レバー82が設けてある。該回動レバー82は前後方向に長い前後軸82aと、該前後軸82aの前端部から上方に突出した上下軸82bとを備えている。該上下軸82b及び前後軸82aとの角部分に、左右方向を軸方向とした枢軸82cが設けてある。
【0088】
排ワラガイド棒81と前後軸82aの後端部とが連結棒83を介して連結してある。該連結棒83の周囲にばね体84が固定してある。排ワラガイド棒81及び排ワラチェン80の間を移動する排桿が増加するに連れて、排ワラガイド棒81は押圧されて下側に移動し、回動レバー82は枢軸82cを支点にして後方に回動する(
図10実線矢印参照)。このときばね体84は圧縮される。一方排桿が減少するにつれて、圧縮されたばね体84の復元力により排ワラガイド棒81は上側に移動し、回動レバー82は枢軸82cを支点にして前方に回動する(
図10破線矢印参照)。
【0089】
次にチャフシーブ18の構成について説明する。チャフシーブ18は矩形に枠組された枠体(図示せず)を有している。該枠体を構成しており、前後方向に延びる左右の枠材の間に、左右方向に延びる多数のフィン18a、18a、・・・、18aを前後方向に並設してある。該フィン18a、18a、・・・、18aの各上部は、枠材に枢支してある。フィン18a、18a、・・・、18aの各下部は、前後方向に延びる一本の連結桿18bに枢支してある。該連結桿18bの前部に、矩形状の回動板18cの中途部が連結してある。該回動板18cの一端部は前記連結桿18bの上方にて軸体18iを中心にして枢支してある。回動板18cの他端部には、チャフワイヤ18eの一端部が連結してある。該チャフワイヤ18eの他端部は前記上下軸82bに連結してある。
【0090】
前記軸体18iには回動板18cの位置を検出するポテンショメータ型のフィンセンサ18jを設けてある。該フィンセンサ18jの出力に基づいてフィン角(フィン18a、18a、・・・、18aと連結桿18bとのなす角度)rを検出する構成にしてある。
【0091】
また軸体18iに、図示しない手動レバーによって操作されるL形の手動板18hの一端部が連結してある。該手動板18hの他端部には、前記チャフワイヤ18eの中途部及び手動ワイヤ18gの一端部を連結してある。該手動ワイヤ18gの他端部は前記手動レバーに連結してある。
【0092】
回動板18cの一端部及び手動板18hの他端部に、ばね体18dを介装して前記手動板18hと前記回動板18cとを連結してある。また前記手動板18hの中途部には、ばね体18fの一端部が連結してあり、該ばね体18fの他端部は前記脱穀装置2の適所に固定してある。
【0093】
前記回動レバー82が後方に回動したときに、前記チャフワイヤ18eは牽引され、前記回動板18cは反時計回りに回動する。連結桿18bは後方へ移動し、フィン18a、18a、・・・、18aは起立する。フィン角rは大きくなり、フィン18a、18a、・・・、18a同士の間隔は広くなる。このときばね体18fは圧縮される(
図10実線矢印参照)。一方回動レバー82が前方に回動したときには、ばね体18fの復元力により、回動板18cは時計回りに回動する。連結桿18bは前方へ移動し、前記フィン18a、18a、・・・、18aは傾倒する。フィン角rは小となり、フィン18a、18a、・・・、18a同士の間隔は狭くなる(
図10破線矢印参照)。
【0094】
手動レバーの操作により、前記手動ワイヤ18gを牽引するか又は弛緩させることができる。手動レバーの操作により、手動板18h及び回動板18cは回動し、フィン18a、18a、・・・、18a同士の間隔を調整することができる。また手動レバーは、適当な位置で固定することができるようにしてある。
【0095】
次に唐箕27の吸気口55付近の構成について説明する。唐箕27の一側に、唐箕27に吸い込まれる空気が通流する矩形の吸気口55が設けてある。該吸気口55の中央部に、吸気口55の一部を覆う前後方向に長い矩形の固定板56が設けてある。該固定板56の上側部に沿って矩形板状のシャッタ57が隣接してある。該シャッタ57は、その一端部を脱穀装置2に枢支してある。シャッタ57が上方に回動した場合に、シャッタ57は固定板56から離間して吸気口55の開口面積が拡大する。シャッタ57が下方に回動した場合に、シャッタ57は固定板56に接近して吸気口55の開口面積が縮小する。
【0096】
シャッタ57の前端部には引張ばね58の上端部が連結してある。該引張ばね58の下端部は脱穀装置2の適所に係止してある。シャッタ57の前端部から前方に軸体59が突出している。該軸体59の突出端部にシャッタワイヤ85の一端部が連結してある。該シャッタワイヤ85の他端部は前記上下軸82bに連結してある。
【0097】
前記回動レバー82が後方に回動したときに、シャッタワイヤ85は牽引され、シャッタ57は上方に回動する。吸気口55の開口面積が拡大し、引張ばね58は伸長する(
図10実線矢印参照)。一方回動レバー82が前方に回動したときに、引張ばね58の復元力により、シャッタ57は下方に回動し、吸気口55の開口面積が縮小する(
図10破線矢印参照)。
【0098】
前記回動レバー82の下方にサーボモータM3が配設してある。該サーボモータM3には、サーボモータM3の回転軸を制動する図示しない電磁ブレーキが設けてある。サーボモータM3の回転開始と同時に電磁ブレーキが解除され、回転終了と同時に電磁ブレーキが作動する。サーボモータM3の回転軸は、図示しない減速ギヤボックスを介して、電磁式のモータクラッチ110の一方に連結してある。該モータクラッチ110の他方は前記枢軸82cに連結してある。なお前記サーボモータM3は後述するチャフシーブ駆動回路に接続してある。
【0099】
サーボモータM3にはロータリエンコーダE3が設けてある。サーボモータM3は、後述する制御部から与えられる動作指令に従って駆動される。サーボモータM3の回転数及び回転方向は、ロータリエンコーダE3によって検出される。
【0100】
モータクラッチ110を継合し、サーボモータM3の回転により前記回動レバー82が後方に回動した場合に、排ワラガイド棒81は下側に移動し、ばね体84は圧縮される(
図10実線矢印参照)。モータクラッチ110が切断された場合に、ばね体84の復元力により、排ワラガイド棒81は上側に移動し、回動レバー82は前方に回動する(
図10破線矢印参照)。
【0101】
前記キャビン8内にはダッシュボードパネル(図示せず)が設けてあり、該ダッシュボードパネルに、穀稈の刈取を実行するための刈取スイッチ90、脱穀を実行するための脱穀スイッチ91及び液晶パネルを有する表示部92などが設けてある。またキャビン8内には、機器の異常又は穀粒の異常を報知する複数の警告ランプ(報知手段)93が設けてある。なお刈取スイッチ90のオンオフに対応して、刈取クラッチ46及び脱穀クラッチ44が継断される。また脱穀スイッチ91のオンオフに対応して、脱穀クラッチ44が継断される。
【0102】
図11は制御部の構成を示すブロック図である。
制御部(画像処理手段、制御手段)100は内部バス100gにより相互に接続されたCPU(Central Processing Unit)100a、ROM(Read Only Memory)100b、RAM(Random Access Memory)100c及びEEPROM(Electrically Erasable and Progrmmable Read Only Memory) 100dを備えている。CPU100aはROM100bに記憶された制御プログラムをRAM100cに読み込み、該制御プログラムに従って、送塵弁10a及び処理胴弁13aなどの動作を制御する。
【0103】
刈取スイッチ90、脱穀スイッチ91、カメラ73に内蔵してあり、画像を記憶する記憶部73c及びロータリエンコーダE1〜E3の各出力信号は入力インタフェース100eを介して制御部100に入力されている。
【0104】
制御部100は、出力インタフェース100fを介して、刈取クラッチ46及び脱穀クラッチ44に継断信号を出力する。また制御部100は出力インタフェース100fを介して、表示部92に所定の映像を表示することを示す表示信号を出力する。また制御部100は出力インタフェース100fを介して、第1光源72、第2光源75及び警告ランプ93に点灯又は消灯信号を出力する。またカメラ73に内蔵してあるシャッタスイッチ73bに、動作信号を出力する。シャッタスイッチ73bは、動作信号に基づいて、予め設定された時間露光する。
【0105】
出力インタフェース100fには、各サーボモータM1〜M3を駆動する送塵弁駆動回路101、処理胴弁駆動回路102及びチャフシーブ駆動回路103が接続してある。制御部100は、送塵弁駆動回路101、処理胴弁駆動回路102及びチャフシーブ駆動回路103に駆動信号を出力し、各サーボモータM1〜M3を駆動する。
【0106】
図12は、第1画像及び第2画像に基づくチャフシーブ18、送塵弁10a及び処理胴弁13aの動作処理を説明するフローチャートである。
CPU100aは、刈取スイッチ90がオンになるまで待機する(ステップS1)。刈取スイッチ90がオンになっている場合、穀稈の刈取及び脱穀が実行されていると考えられる。
【0107】
刈取スイッチ90がオンになっている場合(ステップS1:YES)、CPU100aは、第1光源72に点灯信号を出力し(ステップS2)、シャッタスイッチ73bにオン信号を出力する(ステップS3)。このとき第1光源72は所定時間点灯し、点灯中にシャッタスイッチ73bが動作する。カメラ73は第1画像を撮像し、記憶部73cに記憶する。
【0108】
次にCPU100aは、第2光源75に点灯信号を出力し(ステップS4)、シャッタスイッチ73bにオン信号を出力する(ステップS5)。このとき第2光源75は所定時間点灯し、点灯中にシャッタスイッチ73bが動作する。カメラ73は第2画像を撮像し、記憶部73cに記憶する。なお第2光源75の点灯が開始する前に、第1光源72は消灯している。
【0109】
CPU100aは、記憶部73cから第1画像を取得し、取得した第1画像に基づいて、青葉、桿切れ又は雑草などの異物300が多量に存在するか否かを判定する(ステップS6)。CPU100aは、色、大きさ及び形状などに基づいて、異物300を示す画像を第1画像から抽出し、異物300の数量を算出する。例えば、異物300を示す画像の画素数と異物の数量との関係を示すLUT(look up table)及び閾値をEEPROM100dに記憶しておき、抽出した画像の画素数から異物の数量を求める。求めた異物300の数量が前記閾値を超過した場合に、異物300が多量に存在すると判定する。
【0110】
異物が多量に存在すると判定した場合(ステップS6:YES)、CPU100aは、チャフシーブ駆動回路103に駆動信号を出力して、チャフシーブ18を閉じ(ステップS7)、ステップS1に処理を戻す。このときモータクラッチ110が継合し、サーボモータM3が所定数回転して、チャフシーブ18が所定角度閉じる。
【0111】
異物が多量に存在しないと判定した場合(ステップS6:NO)、CPU100aは、記憶部73cから第2画像を取得し、取得した第2画像に基づいて、損傷した籾301が多量に存在するか否かを判定する(ステップS8)。CPU100aは、透光性の度合いに基づいて、損傷した籾301の数量を算出する。例えば、所定値以上の輝度を有する画素群を、損傷した一つの籾301として認識し、画素群の個数を、損傷した籾301の個数とする。閾値をEEPROM100dに記憶しておき、損傷した籾301の個数が前記閾値を超過した場合に、損傷した籾301が多量に存在すると判定する。
【0112】
損傷した籾301が多量に存在すると判定した場合(ステップS8:YES)、CPU100aは、送塵弁駆動回路101及び処理胴弁駆動回路102に駆動信号を出力し、送塵弁10a及び処理胴弁13aを開く(ステップS9)。送塵弁10a及び処理胴弁13aは他方向へ回動し、扱室10及び処理室13における稈及び穀粒の送出量は増加する。
【0113】
CPU100aは、チャフシーブ駆動回路103に駆動信号を出力して、チャフシーブ18を開き(ステップS10)、ステップS1に処理を戻す。モータクラッチ110が継合し、サーボモータM3が所定数回転して、チャフシーブ18が所定角度開く。
【0114】
損傷した籾301が多量に存在しないと判定した場合(ステップS8:NO)、記憶部73cから第2画像を取得し、取得した第2画像に基づいて、枝梗302が多量に存在するか否かを判定する(ステップS11)。CPU100aは、大きさ及び形状などに基づいて、枝梗302を示す画像を第2画像から抽出し、枝梗302の数量を算出する。例えば枝梗302を示す画像の画素数と枝梗の数量との関係を示すLUT及び閾値をEEPROM100dに記憶しておき、抽出した画像の画素数から枝梗の数量を求める。求めた数量が前記閾値を超過した場合に、枝梗302が多量に存在すると判定する。
【0115】
枝梗302が多量に存在すると判定した場合(ステップS11:YES)、CPU100aは、送塵弁駆動回路101及び処理胴弁駆動回路102に駆動信号を出力し、送塵弁10a及び処理胴弁13aを閉じる(ステップS12)。送塵弁10a及び処理胴弁13aは一方向へ回動し、扱室10及び処理室13における稈及び穀粒の送出量は減少する。
【0116】
CPU100aは、チャフシーブ駆動回路103に駆動信号を出力して、チャフシーブ18を閉じ(ステップS13)、ステップS1に処理を戻す。モータクラッチ110が継合し、サーボモータM3が所定数回転して、チャフシーブ18が所定角度閉じる。枝梗302が多量に存在しないと判定した場合(ステップS11:NO)、CPU100aは、ステップS1に処理を戻す。
【0117】
異物300が多量に存在する場合、チャフシーブ18を閉じるので、穀粒タンク4に異物300が混入することを抑制することができる。損傷した籾301が多量に存在する場合、送塵弁10a及び処理胴弁13aを開き、チャフシーブ18を開くので、過剰な脱穀を抑制し、損傷した籾301の発生を防止することができる。枝梗302が多量に存在する場合、送塵弁10a及び処理胴弁13aを閉じ、チャフシーブ18を閉じるので、十分な脱穀を行い、枝梗302の発生を抑制することができる。なお異物300が多量に存在する場合、唐箕27の風量を増加させて、異物の排出を促してもよい。
【0118】
実施の形態1に係るコンバインは、穀粒タンク4に貯留する穀粒を載置板76に載置し、載置板76の両面側からそれぞれ光を照射して、穀粒を撮像する。そして撮像した画像を処理して、穀粒の状態(例えばヒビ・割れの有無)及び異物の混入などを検査するので、収穫中に穀粒の状態を把握することができる。
【0119】
また穀粒が載置する載置板76の一面を平滑にし、水の付着によってカメラ73によって撮像される画像への影響を最小限に止める。平滑面76bに水が付着しても、粗面76aに付着した場合に比べて、第1光源72又は第2光源75からの照射光の状態はほとんど変化しないので、カメラ73にて撮像された画像に対する影響は少ない。また他面を粗面76aにすることで、載置板76はディフューザとして機能し、平滑面76b側から照射された光によるハレーションの発生を抑制する。そのため画像処理の処理結果の信頼性を確保することができる。また平滑面76bに穀粒を載置するので、水又は汚れが付着しても、容易に清掃できる。
【0120】
また偏光フィルタ72a、73aによって、平滑面76b側から照射された光によるハレーションの発生を確実に防止し、画像処理の処理結果の信頼性を確保することができる。また環状の第1光源72の中央部にカメラ73を位置させて、カメラ73、第1光源72、被写体(穀粒)及び第2光源75を同軸的に配置し、小型化を図ることができる。
【0121】
また黒布74を、平滑面76b側に配置することによって、第1光源72から光を照射した場合に、撮像された画像の背景が黒くなり、画像の認識精度を向上させることができる。また黒布74を導光板75bの裏側に配置することで、第1光源72から光を照射したときには背景を黒くし、第2光源75から光を照射したときには背景を白くする。そのため異物の発見を目的とする画像と、ヒビ・割れなどの発見を目的とする画像の両者を取得することができ、一の検査装置によって二つの画像を取得することができる。
【0122】
またワイパ77によって、平滑面76bを清掃し、画像の認識精度の低下を防止することができる。また画像処理の結果に基づいて、チャフシーブ18又は送塵弁10aなどの動作を制御し、収穫中に得た検査結果を脱穀又は精選処理に迅速に反映させて、収穫物の品位を向上させることができる。
【0123】
実施の形態1にあっては、自然落下によって検査装置70内を穀粒は通過しているが、動力によって検査装置70内を穀粒が通過するようにしてもよい。例えば穀粒を略水平な振動板の上に供給し、振動板の振動によって穀粒を移動させて、穀粒が検査装置70内を通過するようにしてもよい。また圧縮空気を利用した給気装置によって、穀粒を移動させて、穀粒が検査装置70内を通過するようにしてもよい。
また案内通路4gは穀粒タンク4内に配置してあるが、案内通路を穀粒タンク4の外側に隣接させて配置し、投口4bから投入された穀粒の一部が案内通路を通過し、穀粒タンク4に戻るように構成してもよい。
【0124】
(実施の形態2)
以下本発明を実施の形態2に係るコンバインを示す図面に基づいて詳述する。
図13は、検査装置70を略示する縦断面図である。
検査装置70は、カラー画像を撮像する第1カメラ731及び第2カメラ732を備える。第1カメラ731及び第2カメラ732は、レンズを載置板76に向けて、天面部71bに支持してある。各レンズの表面には、所定の方向に振動する光が通過する偏光フィルタ731a及び732aが貼付してある。
【0125】
第1カメラ731及び第2カメラ732は、貫通孔72bの径方向内側に配置してある。第1カメラ731及び第2カメラ732は、載置板76上を滑落する穀粒の移動方向に沿って並んでおり、第1カメラ731は、第2カメラ732の上流側に位置する。第1カメラ731及び第2カメラ732は、シャッタスイッチ及び画像を記憶する記憶部を備える。
【0126】
制御部100は、第1光源72を点灯させて第1カメラ731のシャッタスイッチをオンし、第1画像を撮像する。また第2光源75を点灯させて第2カメラ732のシャッタスイッチをオンし、第2画像を撮像する。第1光源72及び第2光源75の点灯時間、第1カメラ731及び第2カメラ732の画角並びに各シャッタスイッチをオンにするタイミングを、穀粒の移動速度に対応させることによって、移動する同一の穀粒を第1画像及び第2画像としてそれぞれ撮像することができる。
【0127】
実施の形態2に係るコンバインの構成の内、実施の形態1と同様な構成については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0128】
(実施の形態3)
以下本発明を実施の形態3に係るコンバインを示す図面に基づいて詳述する。
図14はコンバインの側面図である。
【0129】
実施の形態3に係るコンバインは、脱穀装置2に大豆や麦などの穀稈のすべてを投入して脱穀する全稈投入型コンバインである。
【0130】
図14に示すように、コンバインは機体9を備えており、該機体9には、走行クローラ1と、刈取部130と、脱穀装置2と、穀粒タンク4と、図示しない排ワラ処理手段と、エンジン40と、キャビン8とが設けてある。左右一対の走行クローラ1は、機体9の下側に配置してある。エンジン40は、機体9の右側後部に設けてある。キャビン8は、機体9の右側前部に設けてあり、穀粒タンク4の前方に配置してある。
【0131】
刈取部130は、機体9の前端部に昇降可能に設けてある。刈取部130は、穀稈を分草する分草具131、穀稈を掻き込む掻込リール132、穀稈の株元を切断する切断装置133及び穀稈を搬送する搬送装置134を備える。コンバインは走行中、分草具131によって圃場の穀稈を分草し、掻込リール132によって分草後の穀稈を掻き込む。切断装置133によって、掻込後の穀稈の株元を切断する。切断後の穀稈を、搬送装置134によって左右略中央に位置させた後、脱穀装置2へ搬送する。
【0132】
脱穀装置2は、機体9の左側において、刈取部130の後側に配置してある。脱穀装置2は、実施の形態1と同様な構成を備え、例えば扱胴11及び扱胴弁10aなどを備える。扱胴11によって、刈取部130から搬送されてくる穀稈を後方へ送りながら脱穀し、脱穀した穀粒を漏下させる。
【0133】
脱穀装置2は、実施の形態1と同様に穀粒を脱穀する構成となっている。例えば扱胴、揺動選別装置及び一番スクリューコンベアなどが設けてある。
【0134】
揺動選別装置によって、扱胴から漏下した穀粒は選別され、一番スクリューコンベアを介して穀粒タンク4に送出される。穀粒タンク4は、実施の形態1と同様な構成をなし、例えば投口4b、側面部4c、傾斜面部4d、凹部4e、底面部4f及び案内通路4gを備える。穀粒タンク4内には、実施の形態1と同様に、検査装置70が設けてある。
【0135】
図15はカメラ73によって撮像された大豆(穀粒)の画像及び該画像を処理した処理画像の一例を示す図である。
図15Aは、第2光源75から光を照射せず、第1光源72から光を照射し、撮像された第1画像を示す。
図15A1は、第1画像を処理して得られた正常な大豆501を示す画像である。
図15Bは、第1光源72から光を照射せず、第2光源75から光を照射した場合に、撮像された第2画像を示す。
図15B1は、第2画像を処理して得られた割れた又は潰れた大豆502を示す画像である。
図15B2は、第2画像を処理して得られた茎・さや503及び生育不良の大豆504を示す画像である。
【0136】
図15Aに示すように、第1光源72から光を照射して撮像した場合、黒布74によって背景が黒になり、カラー画像を明確に認識することができる。そのため撮像した画像から正常な大豆501を、色、大きさ及び形状などに基づいて、抽出することができる(
図15A1参照)。
【0137】
図15Bに示すように、第2光源75から光を照射して撮像した場合、背景が白くなり、収穫物の輪郭及び透光性を明確に認識することができる。そのため、透光性の度合いに基づいて、割れた又は潰れた大豆502を抽出することができ(
図15B1参照)、また透光性の度合い並びに大きさ及び形状などに基づいて、茎・さや503及び生育不良の大豆504を抽出することができる(
図15B2参照)。
【0138】
図16は第2光源75から光を照射せず、第1光源72から光を照射し、撮像された第1画像の他の例を示す図である。
図16に示すように、第1画像によれば、色、大きさ及び形状などに基づいて、汚れの付着した大豆505を認識することができる。
【0139】
図17は第1画像及び第2画像に基づくチャフシーブ18及び送塵弁10aの動作処理を説明するフローチャートである。
CPU100aは、刈取スイッチ90がオンになるまで待機する(ステップS21)。刈取スイッチ90がオンになっている場合、穀稈の刈取及び脱穀が実行されていると考えられる。
【0140】
刈取スイッチ90がオンになっている場合(ステップS21:YES)、CPU100aは、第1光源72に点灯信号を出力し(ステップS22)、シャッタスイッチ73bにオン信号を出力する(ステップS23)。このとき第1光源72は所定時間点灯し、点灯中にシャッタスイッチ73bが動作する。カメラ73は第1画像を撮像し、記憶部73cに記憶する。
【0141】
次にCPU100aは、第2光源75に点灯信号を出力し(ステップS24)、シャッタスイッチ73bにオン信号を出力する(ステップS25)。このとき第2光源75は所定時間点灯し、点灯中にシャッタスイッチ73bが動作する。カメラ73は第2画像を撮像し、記憶部73cに記憶する。なお第2光源75の点灯が開始する前に、第1光源72は消灯している。
【0142】
CPU100aは、記憶部73cから第1画像を取得し、取得した第1画像に基づいて、汚れの付着した大豆505が多量に存在するか否かを判定する(ステップS26)。判定は例えば以下のように実行される。閾値をEEPROM100dに予め記憶しておく。CPU100aは、色、大きさ及び形状などに基づいて、第1画像から正常な大豆501を示す画像を抽出する。次に、正常な大豆501を示す画像から、茶色又は黒色などの泥を示す色の画像を抽出し、該画像の画素数を算出する。そして正常な大豆501を示す画像の画素数と泥を示す画像の画素数との比を算出し、算出した比と閾値とを比較する。例えば前記比が閾値を超過した場合に、汚れの付着した大豆505が多量に存在すると判定する。
【0143】
汚れの付着した大豆505が多量に存在すると判定した場合(ステップS26:YES)、CPU100aは、一の警告ランプ93を点灯し(ステップS27)、ステップS28に処理を進める。一の警告ランプ93によって、操作者にコンバイン内の清掃を促すことができる。
【0144】
汚れの付着した大豆505が多量に存在しないと判定した場合(ステップS26:NO)、記憶部73cから第2画像を取得し、取得した第2画像に基づいて、茎・さや503が多量に存在するか否かを判定する(ステップS28)。判定は例えば以下のように実行される。閾値をEEPROM100dに予め記憶しておく。CPU100aは、透光性の度合い並びに大きさ及び形状などに基づいて、第2画像から茎・さや503を示す画像を抽出し、抽出した画像の画素数を算出する。算出した画素数が閾値を超過した場合に、茎・さや503が多量に存在すると判定する。
【0145】
茎・さや503が多量に存在すると判定した場合(ステップS28:YES)、CPU100aは、チャフシーブ駆動回路103に駆動信号を出力して、チャフシーブ18を閉じ(ステップS29)、ステップS21に処理を戻す。モータクラッチ110が継合し、サーボモータM3が所定数回転して、チャフシーブ18が所定角度閉じる。なおチャフシーブ18の角度は図示しないポテンショメータによって検出されており、チャフシーブ18の角度が最小角度であることが検出された場合、サーボモータM3は回転しないようにしてある。
【0146】
茎・さや503が多量に存在しないと判定した場合(ステップS28:NO)、CPU100aは、割れた又は潰れた大豆502が多量に存在するか否かを判定する(ステップS30)。判定は例えば以下のように実行される。閾値をEEPROM100dに予め記憶しておく。CPU100aは、透光性の度合いに基づいて、第2画像から、割れた又は潰れた大豆502を示す画像を抽出し、抽出した画像の画素数を算出する。算出した画素数が閾値を超過した場合に、割れた又は潰れた大豆502が多量に存在すると判定する。
【0147】
割れた又は潰れた大豆502が多量に存在すると判定した場合(ステップS30:YES)、CPU100aは、送塵弁駆動回路101に駆動信号を出力し、送塵弁10aを開く(ステップS31)。送塵弁10aは他方向へ回動し、扱室10における稈及び穀粒の送出量は増加する。
【0148】
CPU100aは、チャフシーブ駆動回路103に駆動信号を出力して、チャフシーブ18を開き(ステップS32)、ステップS21に処理を戻す。モータクラッチ110が継合し、サーボモータM3が所定数回転して、チャフシーブ18が所定角度開く。なおチャフシーブ18の角度が最大角度であることが検出された場合、サーボモータM3は回転しないようにしてある。
【0149】
割れた又は潰れた大豆502が多量に存在しないと判定した場合(ステップS30:NO)、CPU100aは、生育不良の大豆504が多量に存在するか否かを判定する(ステップS33)。判定は例えば以下のように実行される。閾値をEEPROM100dに予め記憶しておく。CPU100aは、透光性の度合い並びに大きさ及び形状などに基づいて、第2画像から、生育不良の大豆504を示す画像を抽出し、抽出した画像の画素数を算出する。算出した画素数が閾値を超過した場合に、生育不良の大豆504が多量に存在すると判定する。
【0150】
生育不良の大豆504が多量に存在すると判定した場合(ステップS33:YES)、CPU100aは、他の警告ランプ93を点灯させて(ステップS34)、ステップS21に処理を戻す。他の警告ランプ93の点灯によって、刈取を行っている穀稈が生育不良であることを操作者に報知することができる。生育不良の大豆504が多量に存在しないと判定した場合(ステップS33:NO)、CPU100aは、ステップS21に処理を戻す。
【0151】
実施の形態3に係るコンバインは、警告ランプ93によって、機器の異常又は穀粒の異常を報知しているが、ブザーその他の報知手段を使用してもよい。また実施の形態2と同様に、二つのカメラ731、732を使用して、第1画像及び第2画像を撮像してもよい。
【0152】
実施の形態3に係る構成の内、実施の形態1又は2と同様な構成については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0153】
以上説明した実施の形態は本発明の例示であり、本発明は特許請求の範囲に記載された事項及び特許請求の範囲の記載に基づいて定められる範囲内において種々変更した形態で実施することができる。