(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5780690
(24)【登録日】2015年7月24日
(45)【発行日】2015年9月16日
(54)【発明の名称】発毛剤組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/49 20060101AFI20150827BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20150827BHJP
A61K 31/506 20060101ALI20150827BHJP
A61K 31/5575 20060101ALI20150827BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20150827BHJP
A61P 17/14 20060101ALI20150827BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20150827BHJP
A61Q 7/00 20060101ALI20150827BHJP
【FI】
A61K8/49
A61K8/37
A61K31/506
A61K31/5575
A61K45/00
A61P17/14
A61P43/00 112
A61P43/00 121
A61Q7/00
【請求項の数】2
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2007-532144(P2007-532144)
(86)(22)【出願日】2006年8月23日
(86)【国際出願番号】JP2006316471
(87)【国際公開番号】WO2007023841
(87)【国際公開日】20070301
【審査請求日】2009年8月10日
【審判番号】不服2013-20531(P2013-20531/J1)
【審判請求日】2013年10月23日
(31)【優先権主張番号】特願2005-243557(P2005-243557)
(32)【優先日】2005年8月25日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002819
【氏名又は名称】大正製薬株式会社
(72)【発明者】
【氏名】中尾 明子
(72)【発明者】
【氏名】植松 奈津子
【合議体】
【審判長】
新居田 知生
【審判官】
冨永 保
【審判官】
関 美祝
(56)【参考文献】
【文献】
特表2003−528899(JP,A)
【文献】
特表2001−511155(JP,A)
【文献】
国際公開第2003/092617(WO,A2)
【文献】
特表2004−538288(JP,A)
【文献】
特表2003−521452(JP,A)
【文献】
国際公開第2003/090699(WO,A1)
【文献】
特開2003−155218(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K8/00-8/99
A61Q1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミノキシジルおよびPGF2αを含む発毛剤組成物。
【請求項2】
ミノキシジルおよびPGF2αアルキルエステルを含む発毛剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミノキシジルを有効成分とする発毛製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
ミノキシジルは化学名を6-(1-ピペリジニル)-2,4-ピリミジンジアミン-3-オキサイドと称し、育毛剤としての適応が報告されている(特許文献1参照)他、発毛、育毛、養毛作用について多数の報告がある。
【0003】
ミノキシジル製剤は優れた発毛効果を有するものの、さらに優れたものが求められていた。
【0004】
従来、FP受容体作動薬が育毛効果を有することは知られており、プロスタグランジンF2αが脱毛治療に有効であることは報告されている(特許文献2)。
【0005】
また、ラタノプロスト(Latanoprost)塗布によりベニガオザルの毛密度・毛径の増大が認められたことも開示されている(非特許文献1)。
【0006】
【特許文献1】米国特許第4,139,619号
【特許文献2】特開2001−2535
【非特許文献1】Acta Dermatol Venereol 82, 7-12(2002)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、ミノキシジルの優れた発毛効果をさらに向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、ミノキシジルの優れた発毛効果をさらに向上させるために種々検討した結果、ミノキシジルとFP受容体作動薬を配合した発毛剤は、それぞれの成分単独の効果からは予測できない優れた発毛効果を有することを見出し本発明を完成した。
【0009】
すなわち本発明は
1.ミノキシジルおよびFP受容体作動薬を含む発毛剤組成物。
2.FP受容体作動薬がPGF2αである1記載の発毛剤組成物。
3.FP受容体作動薬がPGF2αアルキルエステルである1記載の発毛剤組成物。
4.FP受容体作動薬がラタノプロストである1記載の発毛剤組成物。
である。
【発明の効果】
【0010】
後述の試験例から明らかな通り、本発明の発毛剤組成物は、配合成分単独の場合と比較して優れた発毛効果が得られた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明で配合するミノキシジルの配合量は、発毛効果の点から製剤全体(エアゾール剤のときは原液中)の1〜5W/V%(以下「W/V%」は、単に「%」で示すことがある)が好ましい。配合量が少ないと発毛効果が不十分であり、配合量が多すぎるとミノキシジルの結晶が析出するなど製剤化が難しくなるからである。
【0012】
本発明で配合するFP受容体作動薬の配合量は、発毛促進効果の点から製剤全体の0.00005〜5%が好ましい。
【0013】
本発明で配合するFP受容体作動薬はPGF2α、PGF2αアルキルエステルまたはラタノプロストが好ましい。ここでアルキルエステルとは、炭素原子数1〜6のアルキルエステルであり、好ましくはメチルエステルである。
【0014】
本発明の発毛剤組成物の溶媒としては、エタノール、水またはそれらの混合液が好ましい。この場合の配合量はエタノールは40〜80%程度の範囲、水は5〜30%程度の範囲が好ましい。特にエタノールを配合すると塗布直後のエタノール揮発による良好な使用感が得られることから好ましい。
【0015】
本発明の発毛剤組成物は、主薬成分のミノキシジルの安定性、使用感、使用時の肌への刺激感、薬物の浸透性などの点からpH5.5〜9.5が好ましく、5.5〜6.5の範囲がさらに好ましい。このpHの調整には、通常用いられる酸および塩基を用いることができるが、好ましいものとして、クエン酸、塩酸、乳酸、リン酸およびそれらの塩などをあげることができる。
【0016】
本発明の発毛剤組成物では、必須成分の他、他の必要な活性成分や補助成分を加えることができる。本発明の発毛剤組成物に添加、配合することが好ましい薬効成分としては、メントール、ビタミンEアセテート、パントテニルエチルエーテル、ヒノキチオール、グリチルレチン酸、塩酸ジフェンヒドラミンなどがあげられる。
【0017】
これら選択成分の添加量は、特に制約はなく、使用感やミノキシジル、FP受容体作動薬の安定性あるいは溶剤系組成等を考慮しながら実験的に定めることができる。
【0018】
本発明の発毛剤組成物においては、上記した成分の他、一般の外用剤に使用される種々の活性成分や補助成分、例えば、賦形剤、血管拡張剤(塩化カルプロニウム、ニコチン酸ベンジル、センブリ抽出液、オタネニンジンエキス、トウガラシチンキなど)、抗ヒスタミン剤(塩酸イソチペンジルなど)、抗炎症剤(グアイアズレンなど)、角質溶解剤(尿素、サリチル酸など)、殺菌剤(グルコン酸クロルへキシジン、イソプロピルメチルフェノール、第4級アンモニウム塩、ピロクトンオラミンなど)、保湿剤(ヒアルロン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸など)、各種動植物(イチイ、ボタンピ、カンゾウ、オトギリソウ、附子、ビワ、カワラヨモギ、コンフリー、アシタバ、サフラン、サンシシ、ローズマリー、セージ、モッコウ、セイモッコウ、ホップ、プラセンタなど)の抽出物、ビタミン類(酢酸レチノール、塩酸ピリドキシン、アスコルビン酸、硝酸チアミン、シアノコバラミン、ビオチンなど)、抗酸化剤(ジブチルヒドロキシトルエン、ピロ亜硫酸ナトリウム、トコフェロール、エデト酸ナトリウム、アスコルビン酸、イソプロピルガレートなど)、溶解補助剤(アジピン酸ジイソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、各種植物油、各種動物油、アルキルグリセリルエーテル、炭化水素類など)、代謝賦活剤、ゲル化剤(水溶性高分子など)、多価アルコール類(グリセリン、1,3−ブチレングリコールなど)、粘着剤、香料、清涼化剤(ハッカ油、カンフルなど)、染料などの通常使用される成分を本発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。
【0019】
本発明の発毛剤組成物は、必須成分および必要があれば他の配合成分を配合して、通常の方法でローション剤、エアゾール剤、トニック剤、クリーム剤、軟膏剤、ゲル剤などの適当な外用製剤にして使用することができる。
【実施例】
【0020】
以下、試験例により、本発明をさらに具体的に説明する。
試験例1
C3Hマウス(雄、7週齢)の背部体毛を剃毛した。ミノキシジル1%、ミノキシジル1%およびPGF2α0.05%、PGF2α0.05%をそれぞれ基剤(1,3-ブチレングリコール/エタノール)に溶解させた各被験液を、各群10匹の動物について1日1回100μLずつ25日間連続塗布投与した。基剤塗布群を比較例として、被験液の投与開始日から経日的に表1に示したスコアで発毛状態を採点し、各観察日のスコアを指標に統計学的解析を行った。
【0021】
【表1】
【0022】
投与開始19日および22日のスコアを表2に示した。
【0023】
表中、「*」はp<0.05、「***」はp<0.001で基剤投与群に対して有意差あり(Steel検定)、「#」はp<0.05でミノキシジル1%投与群に対して有意差あり(t検定)を示す。
【0024】
【表2】
【0025】
本試験例の結果から、PGF2α単独の投与では毛の成長に影響を及ぼさないが、ミノキシジルとPGF2αを配合した被験液は毛の成長を促進する発毛・育毛効果を有し、その効果はミノキシジルのみを含む被験液よりも有意に優れていることがわかった。
【0026】
試験例2
試験例1の方法と同様の方法で、PGF2αメチルエステル、ラタノプロストについても試験を行った。結果を表3に示した。表中、「**」はp<0.01で基剤投与群に対して有意差あり(Steel検定)を示す。
【0027】
【表3】
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明は、ミノキシジルの発毛効果をさらに向上させることができたので、医薬品、医薬部外品、化粧品などとして利用可能である。