(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5780691
(24)【登録日】2015年7月24日
(45)【発行日】2015年9月16日
(54)【発明の名称】輸送コンテナ等における内部温度の維持方法および装置
(51)【国際特許分類】
F25D 3/12 20060101AFI20150827BHJP
【FI】
F25D3/12
【請求項の数】7
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2007-532285(P2007-532285)
(86)(22)【出願日】2005年9月14日
(65)【公表番号】特表2008-513723(P2008-513723A)
(43)【公表日】2008年5月1日
(86)【国際出願番号】SE2005001333
(87)【国際公開番号】WO2006031189
(87)【国際公開日】20060323
【審査請求日】2008年8月29日
【審判番号】不服2014-1219(P2014-1219/J1)
【審判請求日】2014年1月23日
(31)【優先権主張番号】0402205-9
(32)【優先日】2004年9月15日
(33)【優先権主張国】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】507082769
【氏名又は名称】パーマクール エスエー
(74)【代理人】
【識別番号】100103285
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 順之
(74)【代理人】
【識別番号】100183782
【弁理士】
【氏名又は名称】轟木 哲
(72)【発明者】
【氏名】ブルース ハンス
【合議体】
【審判長】
千壽 哲郎
【審判官】
紀本 孝
【審判官】
森本 康正
(56)【参考文献】
【文献】
実表昭63−26067(JP,U)
【文献】
特開昭63−135765(JP,A)
【文献】
特開平1−282290(JP,A)
【文献】
実開平5−68877(JP,U)
【文献】
実開昭61−34083(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3053431(JP,U)
【文献】
特開2003−14354(JP,A)
【文献】
特開2004−20138(JP,A)
【文献】
特開昭52−51153(JP,A)
【文献】
実開昭49−148567(JP,U)
【文献】
実開昭56−8277(JP,U)
【文献】
実開昭58−174484(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
感温性または温度依存性の物品を収納して輸送するための密閉式輸送コンテナ内を、ドライアイスを冷媒に用いるか、融解、昇華または蒸発温度が低温または極低温であるドライアイスに類する第1相変化物質を冷媒に用いて所望温度に保冷する方法において、底部と頂部と側部を有する容器内に、ドライアイスまたは第1相変化物質を収め、容器全体が冷却要素を構成する保冷容器を、前記輸送コンテナ内に配置し、容器全体が冷却要素である前記保冷容器の頂部(2)および底部(1)を空間(4,5)が内在する二重構造とし、相転移温度が前記輸送コンテナ内で所望される温度に適応して、しかもその相転移温度がドライアイスまたは第1相変化物質のそれよりも高い第2相変化物質を、前記輸送コンテナ内の所望温度近くに凝固点および融解点を有する物質から選択し、それを前記空間(4,5)に収めることで、前記保冷容器内のドライアイスまたは第1相変化物質の少なくとも一部が、第2相変化物質で囲まれ、該第2相変化物質は、最初に液体状態にある水混合液であり、これにより、第1相変化物質は、その融解、昇華または蒸発の結果生じる冷気によって第2相変化物質を固体に変化させ、そして輸送コンテナ内部の熱が第2相変化物質を液体に徐々に変化させることを特徴とする前記の保冷方法。
【請求項2】
前記保冷容器の頂部(2)が、容器の蓋を構成することを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記保冷容器の側部(3)に、第2相変化物質が収まる空間(6)を設けたことを特徴とする請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記輸送コンテナに物品を積載する際に、コンテナ内部の上方に配置された前記保冷容器内に、ドライアイスまたは第1相変化物質と、第2相変化物質を収めることを特徴とする請求項1、2または3記載の方法。
【請求項5】
第2相変化物質である水混合液を、液相状態で柔軟性のある袋に密封し、これを保冷容器の底部(1)及び頂部(2)に内在する空間(4)及び(5)に挿入し、各空間を袋に詰めた第2相変化物質で満たすことを特徴とする請求項1から4のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
第2相変化物質である水混合液を、液相状態で柔軟性のある袋に密封し、これを保冷容器の底部(1)、頂部(2)及び側部(3)に内在する空間(4)、(5)及び(6)に挿入し、各空間を袋に詰めた第2相変化物質で満たすことを特徴とする請求項3または請求項3に従属する請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記保冷容器の底部(1)、頂部(2)および側部(3)で囲まれた領域すべてを第1相変化物質で満たすことを特徴とする請求項1から6のうちのいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、実質的に密閉容積または空間を形成するコンテナ内部の温度を
、その内部に配置された冷媒によって、この種のコンテナが輸送する物品に適した温度に維持する方法およびその装置に関し、その冷媒は蒸発温度の低い相変化物質(Phase Change Material、
これを以下PCMと略記する)であって、コンテナ内部の温度を物品に
適応した温度に維持する
役割を果す。
【背景技術】
【0002】
コンテナ等の内部にドライアイス、すなわち固形炭酸または同様のPCMを充填した容器を配置する方法は公知であるが、これらの物質は輸送中、周囲環境の温度の影響を受けて蒸発または昇華するため、この方法(プロセス)は温度の制御が困難である。そのため、ドライアイスには多額のコストが掛かり、コンテナ内部を所望の温度にできる限り近づけるように制御することは困難であるため、機能も不十分である。
【0003】
さらに、輸送ボックスなど
の壁部
に密閉空間を設け、
この空間に溶融温度の高いPCM、たとえば水などを充填する方法も公知である。これらの輸送ボックスは物品を積載する前に充分冷却された場所に保管されるため、PCMが固体の状態となる。輸送中、固体から液体への変化に必要な熱が
、輸送ボックスの壁部を通過する外気から回収され、内部はほとんど影響を受けない。長時間の輸送で輸送ボックスの内部を所望の温度に維持するためには、PCMが水あるいは冷凍した混合液体である場合、かなりの量を必要とするため、何らかの問題を生じる可能性がある。
【0004】
上に述べた方法、すなわちドライアイス、液体二酸化炭素または液体窒素等の公知の低蒸発温度PCMを利用する方法が、実際にはむしろ、あまり用いられない理由として、コストの問題と、極めて低い温度が輸送物にマイナスの影響を及ぼしやすいという事実が挙げられる。
【0005】
同じく重要な短所として、輸送物
を0℃未満に冷却してはいけない場合、蒸発するドライアイスの貯蔵容器から輸送物を隔離する必要があるためドライアイスの冷熱エネルギーを十分に利用できず、取り扱いコストがかさむ点も挙げられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の新規の概念は、低蒸発温度の第1のPCMおよび輸送物・商品
に所望される温度近くに融解点を有する第2のPCMを併用することにある。このような方法によってΔ−t(温度差)も小さくなるため、結果としてドライアイスの必要量の大幅な削減、より安全で制御し易い機能の提供、ドライアイスまたは同様のPCMの使用量およびコストの基本的な削減が可能となる。
【0007】
本発明の方法は、感温性の物品、たとえば要冷蔵品または冷凍食品などの輸送に用いる断熱コンテナや輸送ボックスの内部を所望の温度に維持する必要性に基づいている。今日ドライアイスはこの種の輸送に頻繁に用いられ、断熱輸送コンテナの上方に配置された容器に収容される。Δ−tが大きいため(外気または周囲温度が22℃のときは100℃)、ドライアイスの潜熱「冷熱エネルギー」がコンテナの屋根および壁部から大量に逃げてしまう。熱は低温領域を求めて移動するため、周囲の熱がすぐにコンテナの隔離材を通過してしまう。
【0008】
本発明にしたがって構成され、ドライアイス
または第1PCM
が収容される容器は、
底部と、蓋のような頂部と、側部とを有し、底部および頂部には、場合によっては壁部
にも
中空部または内部空間が形成され、これらの場所
には、第2PCM
が収容される。第2PCMは常温では液体の状態であるため、融解および凝固温度が高い。第2PCMは水または水混合液でもよく、この第2PCMを好ましくは密閉可能な袋または柔軟性を有する容器に充填し、これを
上記した底部、頂部および
側部の中空部に配置する。当然ながら、第2PCMを直接
それぞれの中空部に充填することも可能だが、袋などの容器を用いることによって漏れる危険性を軽減または回避することができる。
【0009】
容器の
頂部は、
容器内に収容するドライアイスまたは第1PCM
の上に
載置できるように、容器の壁部の
内側に配置可能な大きさとすることが好ましい。
こうすることで、頂部の縁部を蒸発したドライアイスの通路
にすることができる。
【0010】
ドライアイスまたは同様の第1PCMを容器内部の所望の部分に充填し、この容器を輸送コンテナに取り付けるとすぐに、ドライアイスは蒸発または昇華し始める、すなわち固体から気体へと変化し始める。その結果放出された冷気によって、容器の蓋部、底部および場合によっては壁部の内部に収容されている凝固点の高い第2PCMは固体に変化する。
【0011】
輸送中、感温性の物品を収納するコンテナが周囲の熱に晒されると、輸送コンテナ内部の熱が容器の外側に影響を与え、ドライアイスの影響で最初は固体の状態で、それを維持していた容器内の中空部に収容されている相変化物質は、液体に変化し始める。この第2PCMはコンテナ内部の周囲の熱によって徐々に変化し、最終的には液体となる。しかし、ドライアイスが存在する限り、その反対作用によって融解は遅らせることができる。
【0012】
本発明の長所は、コンテナ内部の物品収納スペースの温度を、ただ輸送する物品の最適温度に応じて適当な水混合液を選択するだけで、広い範囲から、たとえば8℃、0℃、−3℃、−12℃、−17℃、−21℃または−32℃の中から選ぶことができる点にある。
【0013】
上述したように、ドライアイスのΔ−tは、外気あるいは周囲温度が22℃のとき100℃である。融解温度が−21℃の第2PCMによって、Δ−tは外気が22℃であれば43℃となる。第2PCMの融点が0℃の場合、外気が22℃であれば、Δ−tは22℃となる。
【0014】
本発明の重要な特徴は、第1PCMが第2PCMに密に囲まれている点である。これは、たとえ第2PCM用の空間が底部と頂部のみに設けられていて、容器内部が部分的にしか囲まれていなくても、実質的に融点の低い第1PCMを収容することが可能な例である。その結果、周囲環境が第1PCMに直接及ぼす影響をかなり防ぐことができる。ここで言えることは、頂部および底部を必ずしもそれぞれ上向きおよび下向きに配置する必要はないという点である。たとえこの構成が好ましいとしても、その他の構成も可能である。
【0015】
また、第2PCM用の空間は、容器の壁部にも設けることが好ましい。このようにして、周囲環境が第1PCMに直接及ぼす影響を最小限に抑えることができる。
【0016】
本態様では第2PCMが従来技術とは対照的に、第1PCMを囲み、その集合体が保冷すべき空間に配置されているため、従来技術からはこのような方法を想起し得ない。
【0017】
このことは、容器に充填したドライアイスの潜冷熱エネルギーの消費量が、使用するPCMのΔ−tに正比例するので、非常に重要である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明について添付図面を参照して説明する。
本容器は、上述のとおり輸送コンテナ等の内部に設置することを目的としており、その内部には感温性の輸送物を収納する。
【0019】
図示の容器は、底部1と、蓋
として働く頂部2と、側壁部3と
で構成されている。底部
および頂部
は、内方層と外方層とを
備え、これらの
2層は空間4および5を形成する
。場合によって、特に容器が高さを有する場合
には、6に示される位置
で側壁部3にも空間を形成することも可能である。空間4
および5の内部には、
図に示すように、適当な種類の第2PCMを
収めた袋7が多数収容されている。
【0020】
頂部2である蓋の端部と
側壁部3の間には、隙間8
が存在する。このため、蓋
は容器内に配置されたドライアイスまたは第1PCM
の上に載置すれば、蒸発する気体を隙間から逃すことができる。
【0021】
通常、容器全体にドライアイスを充填し、それによって第2PCMは固体に変化する。ドライアイスの影響によってこの第2PCMは固体に変化し、それを維持するため、容器内部全体が輸送コンテナ等の内部で温度制御部材を形成する。コンテナに流入する熱は底部、蓋部および妥当な場合は壁部の内部に収容するPCMを溶解するために消費されるが、残りのドライアイスがこの進行を遅らせる、または妨げる。
【0022】
本発明は特許請求の範囲において変更可能である。ある変更態様において、第1PCMをたとえばスライド式で可動する別の輸送ボックスに収容して、第2PCMを収容する底部、頂部、および場合によっては壁部を有する外方容器に配置することも可能である。この輸送ボックスをこのように配置してから、第2PCMを収容する蓋部または壁部で外方容器の開口部を覆うこともできる。これとは別に、輸送ボックスに設ける第2PCMを収容した壁部を、少なくとも1つとすることも可能である。
【0023】
特定の場合における用途および要件に応じて、別の第1PCMおよび第2PCMを利用することも可能である。特に第2PCMは水を含む別の混合物でも可能であるが、本発明において非水性の材料を利用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明による輸送コンテナ内部に配置するよう構成された容器を略式に示す断面図である。