【発明を実施するための形態】
【0007】
図1で示される部材1は本発明に係る半田合金から成る半田10で処理される。部材1は母材4を含み、この母材は特に高温応用用の部材の場合、特に蒸気タービンまたはガスタービン100(
図4)用のタービン翼120、130(
図2)または燃焼室要素155(
図3)の場合、ニッケル基またはコバルト基超合金から成る(
図5)。半田10はとりわけ
図5による全合金用に使用することができる。これらは特に公知の素材PWA1483、PWA1484またはReneN5とすることができる。半田10は航空機用のタービン翼でも応用される。
【0008】
母材4が有するクラック7または窪み7は半田で充填されねばならない。クラック7もしくは窪み7は特に幅が約200μmであり、5mmまでの深さのことがある。半田合金から成る半田10が窪み7内またはその近傍に付与され、熱処理(+T)によって半田10は母材4の融点未満で溶融し、窪み7を完全に充填する。
【0009】
半田合金10はニッケル基であり、それゆえに最大割合として主にニッケル(Ni)を有する。
【0010】
主に、Ni−GeまたはNi−Gaの2成分系が使用される。
【0011】
好ましくは、ガリウム(Ga)含有量が少なくとも0.1重量%である。同様に好ましくは、ゲルマニウム含有量が少なくとも0.1重量%である。この僅かな割合がニッケルまたはニッケル合金の半田特性に影響を及ぼす。
【0012】
残りのニッケルとガリウムおよび/またはゲルマニウムの他に、好ましくは他の成分、クロム(Cr)、コバルト(Co)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)またはタンタル(Ta)を設けておくことができ、それらが使用される場合、それらは好ましくはそれぞれ少なくとも0.1重量%の割合で使用される。
【0013】
クロム含有量は、好ましくは2重量%〜10重量%の範囲内、特に3重量%〜9重量%の範囲内であり、特に好ましい実施例はクロム含有量が4重量%または8重量%であり、これにより好ましいクロム値は3重量%〜5重量%または7重量%〜9重量%の範囲内、好ましくは8重量%である。好ましくは含有量が4重量%クロムでもある。
【0014】
アルミニウム含有量は、好ましくは1重量%〜5重量%の範囲内、特に好ましくは2重量%〜4重量%の範囲内である。特別良好な実施例はアルミニウム含有量3重量%の半田合金を有する。
【0015】
タングステン含有量は、好ましくは2重量%〜6重量%の範囲内、特に好ましくは3重量%〜5重量%の範囲内である。特別良好な結果は4重量%のタングステン含有量で達成された。
【0016】
コバルト含有量は2重量%〜10重量%の範囲内、特別好ましくは3重量%〜9重量%の範囲内である。特別好ましい実施例はコバルト含有量が4重量%または8重量%であり、特別好ましいコバルト含有量は3重量%〜5重量%または7重量%〜9重量%、特に8重量%である。好ましくは、コバルト含有量は4重量%でもある。
【0017】
ガリウムまたはゲルマニウム含有量は、好ましくは少なくとも3重量%、特に好ましくは少なくとも6重量%である。好ましくは、ゲルマニウムまたはガリウム含有量は18重量%の最大値に限定することができる。同様に好ましくはガリウムまたはゲルマニウムの最大含有量が13重量%であり、まったく特別に好ましくはこの最大含有量が8重量%である。
【0018】
半田合金としてのニッケル基超合金内のガリウム(Ga)の割合は、好ましくは28重量%〜35重量%である。
【0019】
ゲルマニウムの割合は、特に2成分系の場合、つまりNiGe20、NiGe23またはNiGe26の場合、特に単結晶凝固用に好ましくは18重量%〜28重量%、特に20重量%、23重量%、26重量%または27重量%である。
【0020】
好ましくは、上記半田成分のリストはニッケル、クロム、コバルト、タングステン、アルミニウム、ガリウムまたはゲルマニウムだけを含んでいる。
【0021】
好ましくはガリウムまたはゲルマニウムのいずれかのみが使用される。
【0022】
有利に使用される合金の最終的組成が以下に列挙される。この合金はゲルマニウムのみ、またはガリウムのみ、あるいはゲルマニウムとガリウムを有する(G=ガリウムおよび/またはゲルマニウム、つまりGaのみ、またはGeのみ、または、GaおよびGe):Ni−Cr−G、Ni−Co−G、Ni−W−G、Ni−Al−G、
Ni−Cr−Co−G、Ni−Cr−W−G、Ni−Cr−Al−G、Ni−Co−W−G、Ni−Co−Al−G、Ni−W−Al−G、
Ni−Cr−Co−W−G、Ni−Cr−Co−Al−G、Ni−Cr−W−Al−G、Ni−Co−W−Al−G、
Ni−Cr−Co−W−Al−G
【0023】
好ましくは半田10はホウ素を含まない。同様に好ましくは半田10はジルコニウムを含まない。好ましくはレニウムの添加も省くことができる。同様に好ましくはハフニウムが使用されない。
【0024】
ケイ素および/または炭素は半田内に脆性相を形成するので、好ましくはそれらの添加または存在は避けられる。鉄および/またはマンガンは低融点相または非酸化相を形成するので、やはり好ましくはこれらの元素の添加または存在は避けられる。
【0025】
半田10は等温法または温度勾配法で部材1、120、130、155の母材4と結合することができる。勾配法が考慮に値するのは、好ましくは、母材4が方向性構造、例えばSX構造またはDS構造を有し、引き続き半田10も方向性構造を有するときである。しかし半田内の方向性凝固構造は等温法で達成することもできる。
【0026】
同様に、部材1は方向性凝固構造を有する必要がない(方向性凝固構造ではなく、CC構造を有する)。同様に、この半田は部材のCC母材においてCC構造で半田付けして凝固させることができる。その場合、この半田は多結晶に凝固(CC)される。
【0027】
特に半田の多結晶凝固用には以下の半田が特別興味あるものである:
NiGe
NiGeW4Al3
NiGeCo8W4
NiGeCr8W4
NiGeCr8Co8W4Al3
NiGeCr8Co8
NiGeCo8Al3
NiGeCr8Al3
NiGeCr4Co4W2Al1.5
【0028】
ここでゲルマニウム成分は20重量%〜30重量%の割合を有し、特に26重量%または27重量%である。
【0029】
溶融時(等温法または勾配法)、好ましくは、高温時に母材4からのクロム蒸発を減少させる不活性ガス、特にアルゴンが使用され、または還元性ガス(アルゴン/水素)が使用される。特に中空部材において母材4の厚肉化を達成するために、半田10は部材1、120、130、155の表面に広い面で被着することもできる。主に、半田10はクラック7または窪み7を充填するのに使用される。
【0030】
方法とそのパラメータ
半田10を真空下で半田付けすることは、半田10または部材1、120、130、155が酸化するときしばしば行われるが、その場合主に不活性ガス(Ar、He、Ar/He、H
2…)の使用によって、および/または真空の使用によって処理圧力が過度に低いとき、部材1、120、130、155または半田10の構成要素が蒸発する問題が生じる。酸素分圧p
02が過度に高いと半田10または部材1、120、130、155の酸化が起きる。
【0031】
それゆえに本発明に係る方法は好ましくはさらに、処理室の真空中で、好ましくは炉内で最高10
-6mbar(=10
-4Pa)の酸素分圧p
02において半田付け法を行うことを提案する。酸素分圧p
02は好ましくは少なくとも10
-7mbar(10
-5Pa)である。
【0032】
総処理圧は、好ましくは最高100mbar(=10000Pa)、特に最高10mbar(1000Pa)である。総処理圧は好ましくは少なくとも0.1mbar(10Pa)である。特別良好な半田結合は1mbar(=100Pa)の圧力において達成された。
【0033】
これらの圧力値は特に、処理室の内部を真空とし、好ましくは持続的に排気し、半田付け前に好ましくは純不活性ガス、好ましくはアルゴン(Ar)(Ar5.0、好ましくはAr6.0)でフラッシングすることによって達成される。このフラッシングは好ましくは、主に0.2l/分〜1l/分の流量で少なくとも10時間、特に48時間行われる。
【0034】
その際好ましくはアルゴン6.0(処理ガス内の酸素成分5×10
-7を意味する)が使用されるが、しかし好ましくはこれがガス浄化カートリッジで濾過され、酸素および水の含有量が100倍減らされ、処理室に導入される処理ガス内で5×10
-9の酸素成分が達成される。
【0035】
半田付け過程のときやはり好ましくはアルゴンが上記圧力値の範囲で存在する。
【0036】
半田付け処理時の温度は少なくとも1140℃、特に少なくとも1160℃である。他の有利な半田付け温度は1160℃、1180℃、1200℃、1230℃、1260℃である。最高温度は好ましくは1280℃、特に最高1260℃である。
【0037】
半田付け処理の持続時間は好ましくは少なくとも10時間、特に48時間である。
【0038】
図2は、縦軸線121に沿って延びた流体機械の動翼120または静翼130を示した斜視図である。
【0039】
この流体機械は飛行機のガスタービン、発電所のガスタービン、蒸気タービンまたは圧縮機とすることができる。
【0040】
翼120、130は長手軸線121に沿って順次、固定部400、これに隣接する翼プラットホーム403、翼板406、そして翼端415を有する。静翼130として翼130はその翼端415に他のプラットホーム(図示せず)を有することができる。
【0041】
固定部400に形成された翼脚部183は動翼120、130を軸またはディスクに固定するのに役立つ(図示せず)。翼脚部183は例えばT字形に形成されている。他に、クリスマスツリー形またはダブテール形脚としての形成が可能である。翼120、130は翼板406を通流する媒体用に前縁409と後縁412とを有する。
【0042】
従来の翼120、130では、翼120、130のすべての部分400、403、406において例えば中実金属素材、特に超合金、特に
図5による超合金が使用される。そのような超合金が例えばEP1204776B1、EP1306454、EP1319729A1、WO99/67435またはWO00/44949により公知である。これらの明細書は合金の化学組成に関して本開示の一部である。その際、翼120、130は鋳造法によって、また方向性凝固によって、鍛造法によって、フライス加工法によって、またはそれらの組合せによって作製しておくことができる。
【0043】
1つまたは複数の単結晶構造を有する工作物は、運転時に高い機械的、熱的および/または化学的負荷に曝される機械用の部材として利用される。このような単結晶工作物の作製は例えば溶融体から方向性凝固によって行われる。これは鋳造法であり、液状金属合金が単結晶構造へと、すなわち単結晶工作物へと凝固され、または方向性凝固される。樹枝状結晶が熱流に沿って整列し、柱状結晶質粒状構造(柱状、すなわち、工作物の全長にわたって延びる粒子。ここでは、一般的用語法に従って方向性凝固と称される。)または単結晶構造、すなわち、工作物全体が単一の結晶から成る構造、のいずれかを形成する。この方法では、球状(多結晶)凝固への移行を避けねばならない。というのも、非方向性成長によって不可避的に横方向および縦方向粒界が生じ、これが、方向性凝固部材または単結晶部材の良好な特性を無にするからである。一般に方向性凝固組織とは、粒界を有しないかまたはせいぜい小角粒界を有する単結晶を意味し、また縦方向に延びる粒界を有するが横方向粒界を持たない柱状結晶構造も意味している。第二に指摘したこの結晶構造は方向性凝固組織(directionally solidified structures)とも称される。このような方法が米国特許第6024792号明細書、EP0892090A1により公知である。これらの明細書は凝固法に関して本開示の一部である。
【0044】
同様に、翼120、130は腐食または酸化に備えた被覆を有することができる(例えば、MCrAlX;Mは鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)の群のうち少なくとも1つの元素、Xは活性元素、イットリウム(Y)および/またはケイ素および/または少なくとも1つの希土類元素、もしくはハフニウム(Hf)である)。このような合金はEP0486489B1、EP0786017B1、EP0412397B1またはEP1306454A1により公知であり、これらは合金の化学組成に関して本開示の一部となるものである。その密度は有利には理論密度の95%である。
【0045】
(中間層としてまたは最外層としての)MCrAlX層上に保護する酸化アルミニウム層(TGO=熱成長酸化物層)が生成する。
【0046】
好ましくは、この層の組成はCo−30Ni−28Cr−8Al−0.6Y−0.7SiまたはCo−28Ni−24Cr−10Al−0.6Yを有する。これらのコバルト基保護被覆の他に、好ましくはNi−10Cr−12Al−0.6Y−3ReまたはNi−12Co−21Cr−11Al−0.4Y−2ReまたはNi−25Co−17Cr−10Al−0.4Y−1.5Re等のニッケル基保護層も使用される。
【0047】
MCrAlX上にさらに1つの断熱層を設けておくことができ、この断熱層は有利には最外層であり、例えばZrO
2、Y
2O
3−ZrO
2から成る。すなわちこの断熱層は安定化されていないか、または酸化イットリウムおよび/または酸化カルシウムおよび/または酸化マグネシウムによって部分的にまたは完全に安定化されている。この断熱層がMCrAlX層全体を覆う。例えば電子ビーム蒸着(EB−PVD)等の好適な被覆法によって断熱層内に柱状粒子が生成される。別の被覆法、例えば大気プラズマ溶射(APS)、LPPS、VPSまたはCVDが考えられる。この断熱層は耐熱衝撃性を改善するために多孔質、マイクロクラックまたはマクロクラックのある粒子を有することができる。つまり断熱層は有利にはMCrAlX層よりも多孔質である。
【0048】
再加工(補修)とは、部材120、130がそれらの利用後に場合によっては保護層を(例えばサンドブラストによって)取り除かれねばならないことを意味する。その後、腐食層および/または酸化層もしくは腐食生成物および/または酸化生成物の除去が行われる。場合によってはなお部材120、130のクラックも修理される。その後、部材120、130の再被覆と、部材120、130の再利用が行われる。
【0049】
翼120、130は中空または中実に実施しておくことができる。翼120、130が冷却されねばならない場合、翼は中空であり、場合によってはなお膜冷却孔418(破線で示唆)を有する。
【0050】
図3はガスタービンの燃焼室110を示す。燃焼室110は例えばいわゆる環状燃焼室として形成されており、周方向で回転軸線102の周りに配置される多数のバーナ107が共通の燃焼室空間154に開口して火炎156を生成する。このため燃焼室110はその全体が環状構造体として形成され、回転軸線102の周りに配置されている。
【0051】
比較的高い効率を達成するために燃焼室110は作動媒体Mの比較的高い約1000℃〜1600℃の温度用に設計されている。材料にとって不都合なこれらの動作パラメータの場合でも比較的長い運転時間を可能とするために、燃焼室壁153は作動媒体Mに向き合うその側に、複数の遮熱要素155で形成される内張りを備えている。合金製の各遮熱要素155は作動媒体側に特別耐熱性の保護層(MCrAlX層および/またはセラミック被覆)を装備しており、または耐熱材料(中実セラミック煉瓦)から作製されている。これらの保護層はタービン翼と類似させることができ、つまり例えばMCrAlXを意味する:Mは鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)の群のうち少なくとも1つの元素、Xは活性元素、イットリウム(Y)および/またはケイ素および/または少なくとも1つの希土類元素、もしくはハフニウム(Hf)である。このような合金はEP0486489B1、EP0786017B1、EP0412397B1またはEP1306454A1により公知であり、これらは合金の化学組成に関して本開示の一部となるものである。
【0052】
MCrAlX上に例えばセラミック断熱層をさらに設けておくことができる。このセラミック断熱層は例えばZrO
2、Y
2O
3−ZrO
2から成る。すなわち断熱層は安定化されていないか、または酸化イットリウムおよび/または酸化カルシウムおよび/または酸化マグネシウムによって部分的にまたは完全に安定化されている。例えば電子ビーム蒸着(EB−PVD)等の好適な被覆法によって断熱層内に柱状粒子が生成される。別の被覆法、例えば大気プラズマ溶射(APS)、LPPS、VPSまたはCVDが考えられる。この断熱層は耐熱衝撃性を改善するために多孔質、マイクロクラックまたはマクロクラックのある粒子を有することができる。
【0053】
再加工(補修)とは、遮熱要素155がその利用後に場合によっては保護層を(例えばサンドブラストによって)取り除かれねばならないことを意味する。その後、腐食層および/または酸化層もしくは腐食生成物および/または酸化生成物の除去が行われる。場合によってはなお遮熱要素155のクラックも修理される。その後、遮熱要素155の再被覆と、遮熱要素155の再利用が行われる。
【0054】
それに加えて、燃焼室110の内部の高い温度のゆえに、遮熱要素155用もしくはその保持要素用に冷却システムを設けておくことができる。その場合、遮熱要素155は例えば中空であり、場合によっては、燃焼室空間154に開口する冷却孔(図示せず)をなお有する。
【0055】
図4は例示的にガスタービン100を縦部分断面図で示す。ガスタービン100が内部に、軸101を備えて回転軸線102の周りで回転可能に支承されるロータ103を有し、このロータはタービンロータとも称される。ロータ103に沿って順次続くのは吸込ケーシング104、圧縮機105、同軸状に配置される複数のバーナ107を備えた例えばトーラス状の燃焼室110、特に環状燃焼室、タービン108、そして排気ケーシング109である。環状燃焼室110は、例えば環状の高温ガス通路111と連通している。そこでは例えば前後に接続される4つのタービン段112がタービン108を形成する。各タービン段112は例えば2つの翼輪で形成されている。作動媒体113の流れ方向に見て高温ガス通路111内で静翼列115に続くのは、動翼120で形成される列125である。
【0056】
静翼130がステータ143の内部ケーシング138に固定されているのに対して、列125の動翼120は例えばタービンディスク133によってロータ103に取付けられている。ロータ103に発電機または作業機械(図示せず)が連結されている。
【0057】
ガスタービン100の運転中、圧縮機105によって吸込ケーシング104を通して空気135が吸い込まれて圧縮される。圧縮機105のタービン側末端で供給される圧縮空気はバーナ107へと送られ、そこで燃料と混合される。次にこの混合物は燃焼室110内で燃焼されて作動媒体113を形成する。そこから作動媒体113は高温ガス通路111に沿って静翼130および動翼120を通流する。動翼120で作動媒体113が膨張して衝撃を伝達し、動翼120がロータ103を駆動し、ロータはロータに連結された作業機械を駆動する。
【0058】
高温作動媒体113に曝された部材は、ガスタービン100の運転中熱負荷を受ける。作動媒体113の流れ方向に見て第1タービン段112の静翼130と動翼120は、環状燃焼室110に内張りされる遮熱要素と並んで、最も強く熱負荷を受ける。そこに存在する温度に耐えるために翼は冷却材によって冷却することができる。同様に、この部材の母材は配向構造を有することができる。すなわち、母材は単結晶(SX構造)であるか、または縦方向粒子(DS構造)のみを有する。部材用、特にタービン翼120、130および燃焼室110の部材用の材料として使用されるのは例えば鉄基、ニッケル基またはコバルト基超合金である。そのような超合金が例えばEP1204776B1、EP1306454、EP1319729A1、WO99/67435またはWO00/44949により公知である。これらの明細書は合金の化学組成に関して本開示の一部である。
【0059】
同様に、翼120、130は腐食に備えた被覆を有することができる(MCrAlX;Mは鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)の群のうち少なくとも1つの元素、Xは活性元素で、イットリウム(Y)および/またはケイ素、スカンジウム(Sc)および/または少なくとも1つの希土類元素、もしくはハフニウムである)。このような合金はEP0486489B1、EP0786017B1、EP0412397B1またはEP1306454A1により公知であり、これらは化学組成に関して本開示の一部となるものである。
【0060】
MCrAlX上にさらに1つの断熱層を設けておくことができ、この断熱層は例えばZrO
2、Y
2O
3−ZrO
2から成る。すなわち断熱層は安定化されていないか、または酸化イットリウムおよび/または酸化カルシウムおよび/または酸化マグネシウムによって部分的にまたは完全に安定化されている。例えば電子ビーム蒸着(EB−PVD)等の好適な被覆法によって断熱層内に柱状粒子が生成される。
【0061】
静翼130はタービン108の内部ケーシング138に向き合う静翼脚部(ここには図示せず)とこの静翼脚部とは反対側の静翼端とを有する。静翼端はロータ103に向き合い、ステータ143の固定リング140に固定されている。